FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki内検索 / 「【ティナの魔石】」で検索した結果

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  • 【ティナの魔石】
    93話 96話 140話 420話 503話 523話
  • アイテム履歴
    ...ナ&ちょこソナー】 【ティナの魔石】 【キューソネコカミ】 【ラミアの竪琴】 【イエローメガホン】 【ナイトオブタマネギ】 【モップ】 【樫の杖】 【シャナクの巻物】 【英雄の盾】 【絵筆】 【祈りの指輪 】 【ダガー】 【ソードブレイカー】 【マシンガン用予備弾倉】 【猫耳&しっぽアクセ】 【タークスのスーツ(女性用)】 【吹雪の剣】 【鉄の盾】 【ソウルオブサマサ】 【魔晄銃】 【ブリッツボール】 【ケフカメモ】 【ルビスの剣】 【スナイパーアイ】 【ふきとばしの杖】 【青銅の盾】 【コルトガバメント(予備弾倉×5)】 【死者の指輪】 【プリンセスリング】 【正宗】 【デスペナルティ】 【天使のレオタード】 【ロープ】 【スネークソード】 【対人レーダー】 【デジタルカメラ】 【デジカメ用予備電池】 【変化の杖】 【村正】 【ふういんのマテリア】 【天空の兜】 【貴族の服】 【釘...
  • 140話
    第140話:she is not dead 「殺ス、ソノ三人組ヲ殺ス。クラウドノタメニ…」 夢中で山道を駆け抜けるティファの頭は、それだけしか考えられないほど錯乱していた。 三人組には意外と早く追いついた、なにやら立ち止まって話をしている。チャンスだ。 「アノ三人組ヲ殺セバクラウドはラクニナル。」 狙いをつけて引金に指を掛ける… 「マッシュ、どうした?いきなり立ち止まって。」スコールが声を掛ける。 「いや、なんかザックの中が熱いんだ…。なんだろ。」 ごそごそとザックをまさぐるマッシュ、その時スコールは異様な殺気を感じた。振り返ると背後に銃を構える人影。 「みんな!伏せろー!!」 「ぱん、ぱん、ぱん」 山道に銃声が木霊する。 「ぐはあ!」「きゃあ!」立ち上がっていた二人は、即銃弾の餌食となった。 「えっ。2人ともどうした!」 マッシ...
  • 272話
    第272話:親友になれた筈だった ――自惚れていたのだろう。 私が彼女を正しい道に案内したのだと。 私が彼女を狂気から救ったのだと。 そうやって私は彼女の信頼を得たのだと。 彼女の叫びと共に、疑った。 銃声と共に、気づかされた。 左肩を走る激痛と共に、思い知らされた。 二人の男性の叫びで、確信した。 彼女にとって、私は、クラウドという人とは比べられないほどに軽い存在だったのだと。 保護者を気取って、そのくせ彼女の発した警告に気づけなかった。 …私は、あまりにも、不甲斐無い。 確かに先程は、彼女の目に人を愛する心を見た。 ティナだって、彼女は正しい道を生きられると信じた。 彼女は確かに人を愛することを知っていた筈だった。 彼女は確かに正しい道を歩いていけた筈だった。 こんな状況でさえなければ。 こんな狂気の中にさ...
  • 93話
    第93話:穢れた自分と 「な~んか、目を合わせてくれなくなったんじゃない?」 「…気のせいよ」 ティナとアーヴァインは、奇妙な間隔をとって歩いていた。 二人目を殺すまでは無かった間隔だった。 …しかし、それには二人とも気づかない。 何と無く雰囲気が先刻までと違うという事しか。 そして、二人の間隔を徹底的なまでに具体化する存在が、彼女達の少し後ろに居た。 「やっと見つけたわ」 不意に後ろから声を掛けられ、驚きながらも振り返り武器を構える二人。 まず目に入ったのは、赤いマント。 それから、その女性の顔に視線が移る。 黒髪の、美しい女性だった。 「誰、あなた?用件は何?」 ティナは、冷たく言った。 すぐに殺してしまった方が良いのは分かっているけれど、ティナの中の何かがそれにブレーキを掛ける。 ――とりあえず相手は丸腰で、殺気も無い。いつでも、始末できるわ...
  • 164話
    第164話:覚悟 ――殺された、自分達のせいで。 ――もういない、ラグナもエーコも。 「畜生…!」 (フン、負け犬の遠吠えだな。) マッシュの頭の中で誰かが応える。 ―兄弟子のバルガス。 まだダンカン師匠に弟子入りしたての頃、何度試合をしても奴にはかなわなかった。 (畜生…!なぜだ、なぜ…勝てない?) 打ちのめされ、傷だらけで地面を這いながら何度も俺はそう呟いた。 そしてそんな俺に、何度も奴はこう吐き棄てた。 (ふふ…、才能の差だ。俺は師匠の実の子だからな。赤の他人であるお前とは違う。) ――こんな時にあの頃を思い出すなんて。修行不足なんて言葉じゃあ…済まされないな。 2人の亡骸を前にして跪いたマッシュの目に、とめどなく涙が溢れた。 「弔って…、やらなくちゃね。」声が、震えていた。 アイラは...
  • 351話
    第351話:Cautious about Meeting again 前方に人影を見つけたサイファーは、片腕を広げイザ達の動きを制した。 「俺が行って見てくる。イザはここでロザリーを守ってな」 そう言ってサイファーは破邪の剣をザックから取り出だす。 「…お気をつけて」 その言葉に片手で答え、人影のほうに向かって歩いていった。 ある程度近づいてゆくと、向こうもこちらに気づいたのか武器を構えこちらを振り向く。 その振り向いた男の顔を見て、サイファーは忌々しそうに呟いた。 「…チッ、お前かよ」 「サイファーか…」 それは自分と同じ傷を持つ、自分にこの傷をつけた男。 もっとも、先に手を出したのはサイファーだが。 幾度も全力でぶつかり合ったこの二人が、再会を懐かしむわけもなく。 互いに警戒を緩めることもなく、その場で武器を構え睨みあっていた。 サイファ...
  • 185話
    第185話:苦悩 もう、どれだけこうしているだろうか。 早くこんなところ立ち去りたい。 でも、いつまでもここにいたい、いなくちゃいけない、という気もする。 大小二つの小山を見つめ、アイラは溜息をついた。 死ぬべきじゃない人達が、死んでいく。 この山の下に眠る二人も、そう。 その悲しみ。その怒り。 きっと、それを味わう事無く過ごせた日々は幸せだったのだろう、と思う。 この数時間のうちで、誰もが、何か辛い体験をしたと思う。 この、隣で無防備に寝ている少女も、きっと、そう。 でも、彼女の心の声に耳を傾け、自分の心と向き合わせたとき、気づいた。 彼女の瞳にはちゃんと残っていた。 ――誰かを正しく愛する心が。 彼女に信用されているということより、彼女にそれが残っていることのほうが、嬉しかった。 思わず、上半身を後ろに倒し、上を見上げた。 綺麗な星空...
  • 192話
    第192話:長い夜 気づけば、闇の中で佇んでいた。 何もない、虚空の中で。 誰も、いない。 声がするだけ。自分を責める声が、するだけ。 ――あなたはエアリスさんを殺したの… 蒼い髪の女の子の冷たい声が。 ――次に会ったら…仇をとる。 暗い響きを帯びた、金髪の青年の声が。 ――なんだ…まだ死んでいなかったの? 火傷を作った、顔も見ていない少年の声が。 ――誰も殺せてないんだねぇ。役に立たないなぁ。 コートを着た男の声が。 ――人殺しの仲間なんだな! 失意の少年の声が。 微塵にも優しさのこもっていない、それらの声。 自分の心の中で作り出した声。 私は殺人者だから? エアリスを殺したから? …誰からも許される事無く。 …誰からも愛される事無く。 ――ティファ、なんて事をしたんだ! あぁ、クラウド、ごめんなさい… ――謝って済...
  • 503話
    第503話:EYES ON ME 暗い井戸の底、ひとりの男が、目の前の瀕死の緑髪の男を見て苦悩していた。 「…緑色の髪の男に遠くから射撃された……  ……リノアとかいう連れがいたそうだが、彼女は助からなかったらしい…」 数時間前に、カインから聞いた言葉が呼び起こされる。 目の前にいる男が、リノアを殺したのか?そうであれば、この男を許すことはできない。 男が手に持っている銃、これがリノアを殺した凶器なのかもしれない。 だが、もしこの男がリノアの死と何の関係もないとしたら? 彼の傷の具合からして、早急な治療がなければ、そのまま帰らぬ人となるだろう。 そして今、彼を助けられるのは自分たちしかいない。 スコールは苦悩していた。自分が選ぶべき選択肢に。 上の方から、自分の名前を呼ぶ、マッシュの声が聞こえる。 ふと上空を見ると、赤い光が目に...
  • 305話
    第305話:その目を見れば 「…待て、誰かいるみたいだ」 岩山を行く者が二人。 その一人、スコールは前方からの話声に気づき片手を広げ前を行くマッシュを制した。 二人は岩陰に身を隠しその様子を伺う。 目の前には話をしているのは、少女と男二人。 男のほうは歴戦の戦士という雰囲気が遠めからでも見て取れる屈強な男だ。 隠れたその場から小さいながら話し声が届いてきた。 二人はそれに静かに耳を傾けた。 「そういうわけだから腕輪を着けてなくて、手袋つけてるのが偽者だから」 「うむ、了解した」 「じゃあ、おじさん達の子供にあったらおじさん達の事伝えておくから、おじさん達も私の仲間に出会ったらよろしくね」 元気よく少女は手を振りながら駆け出し青い光に包まれ消えた。 男達はそれを見送り、旅の扉近くに待機した。 「…どうする?」 「どうするもこうするも、扉を抜けるには...
  • 143話
    第143話:『人殺し』 「魔石、か……」 緑色に輝く石を見つめ、スコールは小さく息を吐いた。 ティナの魂が宿るそれは、安らぐようなぬくもりを残したまま、静かに明滅を繰り返している。 ――人を殺した少女の化身とは、とても思えない。 (ティナ……誰があんたを狂わせたんだ?) 答えはない。それ以前に、問い掛ける気になれなかった。 聞いたところでどうしようもないし、何より、自分の考えを肯定されたくないというのもある。 「……ともかく、それを使えば彼女を幻獣として召喚できるわけだな?」 頭に浮かび続ける陰鬱な思考を振り払うために、スコールは今までの話題を思い返して言った。 「ああ。ただ、ティナ自身の意思が応じてくれた時じゃないと無理だ。  無闇に呼んだら、ティナに負担がかかっちまう」 「でも、すごい力よね。あれほどの傷を治せるなんて……」 アイラが呟いた。(もっと早く気付...
  • 107話
    第107話:遺される言葉 (――どうしてなんだ?) 俺の思考は声にならず、代わりに横にいたマッシュとアイラが叫ぶ。 「マリベル!!?」 数時間前に出会ったばかりの、先ほどまで元気でいたはずの少女が、俺たちの目の前に倒れていた。 竪琴と鞭を抱えるように、赤い水溜りの上で。 (どうして……彼女がここにいる?) そんな疑問に答えるかのように、マリベルが弱々しく言葉を紡ぐ。 「なんだ、無事だったの。絶対ピンチになってると思ってたのに。  おまけにアイラまで一緒にいるなんて、心配して損したわ……」 それで、わかった。 ろくな武器を持っていない自分たちを案じて、彼女はここまでやってきたのだと。 そして誰がやったのかは聞くまでもなかった。 彼女の身体を抉る幾本もの矢が、何よりも雄弁に物語っている。アーヴァイン以外にいるはずがない。 「あーあ。柄にもないこと、する...
  • 280話
    第280話:それはかつての物語 その昔 暗黒に満ちた世界があった もはやその世界は魔王の懐 希望は無く 絶望のみ その世界を光に満たさんと 四人の人間が天より舞い降りた その中の一人が かの勇者ロトである そして彼は魔王を打ち払うその時に 聖なる武具を手にした それは人の産物ではない それは人の空想ではない 神の手によって造られし希望の証 光の鎧 勇者の盾 そして 王者の剣 聖なる力により 護られるべくして護られた聖なる武具 伝説の鉱物の力と神の息吹によって造られた聖そのもの そう それは常人には扱うことなどできはしない 神に選ばれし者すら辿り付く事の無い領域 唯の人がそれを扱おうとも その重みに全てを潰されるのみ その聖なる光は 天に選ばれし者の為の光 その聖なる輝きは 天に選ばれし者の為の輝き 勇者はそれらを...
  • 96話
    第96話:本当の自分 残された魔石を挟み、対峙する二人。 だが、静寂を破ったのはどちらでもなかった。 「動くな、アーヴァイン」 アーヴァインにとっては懐かしく、最も聞きたくなかった男の声が背後で響く。 彼はアイラに視線を向けたまま答えた。 「スコールか。ずいぶん近くにいたんだね~。  まだティナが生きていた頃に会いたかったよ」 「てめえが殺したくせにッ!」 怒りをあらわにするマッシュを制しながら、スコールはアーヴァインにナイフを向ける。 「なぜ、こんなことをした? ゲームに乗る理由はなんだ?」 「最期に聞いておいてやるってわけ? 優しいね、スコールは」 アーヴァインは小さく笑った。殺気の渦中にいながらさも愉快そうに、挑発するように。 それが急に真顔に戻る。 「期待に添えなくて悪いけど、理由なんて大したことじゃないんだ」 「……何だと?」 スコールの目がすう...
  • 420話
    第420話:Rose,Wild rose 空の一端を掠めていく青い影にも気付かずに、フリオニールは走る。 彼方に見える緑、その向こうにあるはずの村――カズスを目指して。 度重ねた戦闘のせいか、走った距離のせいだろうか。 息は上がり、足は鉛のように重い。 だが、疲労や痛覚をごまかすためか、高揚した神経は無意味な全能感を脳に吹き込み続けている。 どこまでも走れそうな感覚、しかし限界が近いことを訴える筋肉。 その二つを取り持とうとするかのように、心は繰り返し、繰り返し一つのフレーズを流し続ける。 (俺は、野ばらだ……誰にも摘まれない……手折らせない……フィンの野ばらだ……) フィン王国の紋章、反乱軍の合言葉たる野ばら。 可憐な花を咲かせながらも、決して屈さず、媚びず、みだりに摘もうとする者の指を鋭い棘で貫く。 強大な帝国に対抗する者達の象徴としては、これ...
  • 27話
    第27話:交換交渉 様子を見ようと、そっと顔をのぞかせる。途端に、強烈な炎が木々を焦がしながら飛んでくる。 (冗談じゃない。こんなところで殺されてたまるものか)と、クルルは思った。 木立の影に身を潜め、必死で反撃の機会をうかがう。 その視線の彼方に立つのは一人の女だ。自分より少し年上の、緑髪を後ろで結んだ女性。 彼女の手には矢をつがえたボウガンが握られていた。 さきほどの炎魔法といい、ゲームに乗っている、という意思表示以外の何物でもない。 (どうする?) ――もしかしたら、先に仕掛ければ勝てるかもしれない。 狩人を極めた彼女にはわかるが、相手は弓に関しては間違いなくド素人だ。 構えはともかく、狙いのつけ方がなっちゃいない。 魔法は脅威だが、こちらにはミスリルの小手がある。ファイア程度なら、一度は耐えられるはずだ。 初撃をかわし、ニ撃目がくる前...
  • 85話
    第85話:ハンデ戦 助かったと思った。 怖くて怖くてどうしようもなくて、岩陰に隠れて震えてた俺にリチャードは優しく声をかけてくれた。 一緒にいようって、守ってやるからって言ってくれた。 そして、俺が怖くないように、たくさんのことを話してくれた。 故郷にいた、子供の父親になってあげたいとか、お母さんを大事にしろとか…いろいろ。 俺もたくさん話した。キーファのこと、キャラバンのこと、サマルトリアのこと、医療のこと。 リチャードはどんな話も、楽しそうに聞いててくれた。 嬉しかった。ずっと話してると、首が飛んだのを見たときの恐ろしさは、だんだんなくなってきた。 なのに。 いきなりリチャードの表情が変わった。中腰になって、元々は俺の支給品だった剣をしっかりと握って、辺りを見渡す。 それで、俺も気がついた。すごい嫌な感じの視線がある…一人、いや二人?…まさか。 俺は怖く...
  • 459話
    第459話:光が導く地へ 炎を思わせる黄昏の光は消えた。 天井に輝くは紅玉のような月。投げかけられるは血の色彩。 右手に聳え立つ山脈を臨み、スコールとマッシュは歩き続ける。 兄弟。仲間。脱出の手掛かり。 白魔道士に扮したかつての友。緑のバンダナを巻いた金髪の男。彼らとは別に存在しているのかもしれない緑髪の男。 探さねばならない相手は数多く、けれども、彼らは一点を目指す。 偽りの情報に導かれたまま。 (兄貴――どうか無事でいてくれ!) ケフカの企み。それは可能性として有り得る話。 だが、ウルに向かったという男は、現実に人を殺めている存在。 しかも敬愛する兄の命が掛かっているとなれば、どちらを追うかなど決まっている。 微塵の迷いもなく、マッシュは歩き続ける。 (……殺すのか、あいつを) 倒さなくてはいけない敵。死なせるべきではない仲間。 マリベ...
  • 523話
    第523話:カーネイジ(NO FUTURE) 咆哮と稲妻。 それがマッシュとブオーンの開戦の合図。 手負いの獣、そんなありふれた表現がぴたりとはまる相手。 降り注ぐ雷の第一波を覚悟を決めて弾丸のように突き抜け、巨体へと肉迫しながら格闘家の目は冷静に相手のダメージを見定める。 ヤツの左眼は見えていない。全身はあちらこちらが火傷、そうでなければ裂傷、あるいはその両方。 とりわけ右肩には深い傷がある。 重傷を負っている巨体には似つかわしくない反応速度で叩きつけられる右腕を紙一重にすり抜け飛び上がる。 スピードと体重を乗せた拳は遠慮なくモンスターの顎を下から叩いた。 鋼鉄の感触と相反する弾力。 分厚い肉が可能とする防御力に臆することなく続けざまに数発の打撃を打ち込んで地面に降りる。 こんな化け物をよくここまで追い詰めたもんだ、と感心するマッシュの目の前で緩慢に口が開か...
  • 500話
    第500話:夜空に星を 昨日に続いてその晩も、ラインハットは騒がしかった。 一夜のうちに失踪した王と、その兄夫婦を探し、兵士達が国中を駆け回っているためだ。 けれども、彼らの働きを嘲笑うかのように、一向に手掛かりは見つからず。 皇太后がいくら怒鳴ろうとも、三人の足取りは掴めずにいる。 「ええい、誰も彼も怠けおって!  よいか! 王が見つかるまで兵には休息も睡眠も取らせるな!  これは我が国の存亡が掛かった一大事! 身を投げ打ち、死ぬ気で探せと伝えるのじゃ!」 無茶苦茶な命令にも、反論できる者はいなかった。 実際問題として、一国の王と、王位継承者が居なくなっているのだ。 デール王とヘンリー夫妻が見つからなければ、ラインハットを継ぐ者は幼いコリンズただ一人。 彼を王の座に立てるとすれば、皇太后が実権を握る形になるだろう。 だが、皇太后は…… 魔物に誑かされたと...
  • 393話
    第393話:ある日の授業風景と、生徒の現実 はい、みなさん。P.156、『擬似魔法の確立以前に行われた呪術・第2章』ですよ。 ほらそこ、寝てないでちゃんと開いて。テキストを忘れたなら隣の人に見せてもらいなさいね。 コホン。……えー、太古の昔から、強い願いは現実を変えることができると信じられていました。 『生贄の儀式』も、一般的には、願いの強さを示すためのものであると考えられています。 「何を犠牲にしてでも叶えたい願いなんです、だから神様叶えてください!」というわけですね。 けれども、古代における呪術の中には、他の意図や意味から生贄を用いていたケースもあったようです。 ある遺跡から発掘された石版にはこう記されています。 『時を残すは人の歴史、歴史を紡ぐは人の意志、意志を生み出すは魂なり。  魂こそは時の源、大いなるハインに頼らずして、現世を変える唯一の力。  数多...
  • ティナ
    27話 85話 93話 140話 503話 539話
  • 434話(後編)
    434話:誰彼誘う闇、残照の光 「遅かったな。他の連中とスミスはどうしたんだ?」 フリオニールはカインに駆け寄り、声をかける。 カインは彼を一瞥すると、小さな声で何事かを囁いた。 サックスには聞き取れなかったが、フリオニールがかすかに肯いたことだけは見逃さない。 しかし二人は何事もなかったように、話を始めた。 「用事を頼んだからな。何もなければ直に戻ってくるはずだ。  それより、そこにいる連中は誰だ?」 「……ああ、スコールとマッシュのことか?  良く知らないが、お前と一緒にいるケフカとかいう奴に会いたいんだとよ」 「スコールにマッシュ……!?」 カインはどことなくわざとらしい仕草で目を見開き、高い声で叫ぶ。 名を呼ばれた二人は、きょとんとした表情でカインを見た。 「俺達のことを知っているのか?」 スコールの問いかけに、カインはゆっくり肯く。 「ああ。数時間...
  • 534話
    第534話:冒険のお話 「みんな、準備はいい? ここのぬしはどんなやつだろ?」 初めて見た旅の扉。そこに広がる、広くて深い異世界。今までとは比べ物にならない深さ。 深さはぬしの強さを表す。今度のぬしは相当強いに違いない。 ごくりと唾を飲み込む。それはヘルードも、グレンザも、ゴルゴも同じ。 最下層へ続く穴は、何よりも黒く、底がないように見えた。 仲間と手をつなぎ、勇気を出して穴へと飛び込む。 飛び込んだ先は深い闇。真っ暗。何も見えない。 「暗いな。みんな、俺から離れるなよ」 すぐそこにいるはずの仲間に手を伸ばす。その手は空を掴んだ。 「あれ? お~い、みんな、どこ行ったんだよ? こんなときに冗談はやめてよ」 返事はない。耳を澄ませると、聞こえるのは複数の息遣いだけ。 直ぐ隣には誰かが倒れていて、その隣にも誰かが倒れていて。それが延々...
  • 546話
    第546話:惨害の痕で寄り添って 《1》 「ピアスが鳴ったんだが、赤い奴は逃げたしって少し油断してたのかもしれない。  俺は振り返れたと思うんだがな、暗いもんで顔が見えなかったんだ。  だから、本当に振り返れたのかどうかはわからないな。  どっちにしたって、あっというまに腕を捻り上げられて地面に押し付けられたよ。  あれは兵士とか傭兵とか、とにかく軍人のやり方だ。  初めて本物を体験したんだけど、なんていうか、痛いってモンじゃないね。辛い、だな。  こんな痛いなら肩なんて外れてしまえー、あーすいません降伏しますギブギブ、って感じ。  それで『いぃぃぃぃっ!?』みたいな声あげちまってなあ……恥ずかしいのなんの。  確かに、あの状況じゃ俺がエリアを襲った敵だと勘違いされても仕方ないんだが、  一言くらい謝って欲しいもんだぜ。なあ?」 ...
  • 474話
    第474話:暗き森での出来事 マティウスとゴゴは運良くウィーグラフとアリーナに遭遇することに成功した。 ヘイストを使い何とか先回りができた。 「どうやら上手くいったようだな。…覚悟はいいな?アリーナよ」 とビームウィップをとりだす。いままでただの棒だったものは光線を出し始めた。 そしてゴゴもいつでも戦闘に行けるようソードブレイカーをかまえた。 アリーナはまさか外で奴らと遭遇されるとは思わなくて動揺したが、 すぐに臨戦態勢に入る。 (関係ない。今度は負けない!外で出会ったのは計算外 だけど、この地形は利点もあるわ!!) 「それはこっちのセリフよ!」 一方のウィーグラフもいつでも戦えるように間合いを取った。 …しかしどう出るべきか さっきの放送までに読んでいた本によると この黒服―――マティウスは相当の実力者であることがわかった。 そして、実際...
  • 514話
    第514話:クジケヌココロ 「こっちだ、デカブツ!」  わざと注意を引くように声を上げ、ダーツを投げつける。  ダーツの矢は一直線に巨大な的に突き刺さった。  分厚い皮膚の前ではダメージは毛ほども無いだろう。  だが、コチラに注意を引くことはできた。  魔物の瞳に捕えられると同時に、敵に背を向け走り始める。  魔物は地響きを響かせながら、目の前の獲物を逃すまいとその後を追ってくる。  ここまではコチラの思惑通り。  まずは敵を誘導して、戦場をこの場から遠ざける。  宿屋を巻き込まない為、という理由もあるが。  何より、すぐ側で横たわる彼女の体をこれ以上傷つけたくなかった。  敵の間合いギリギリ外、付かず離れずの距離を保ちながら敵を誘導する。  地を揺らしながら進む魔物の動きは、巨体に見合って遅い。  だが、歩幅の大きさがコチラとは違いすぎる。  総じて進む早...
  • 547話
    第547話:紛れ込んだ不純物 みんなの話が終わったのが多分一時間ほど前だから、あの二人はもう一時間近く喧嘩しているのか。 森が燃える音と風の音、そしてサイファーとスコールの殴り合ってる音を聞きながら、僕らは怪我人の治療をしている。 マッシュは魔石の召喚獣のおかげで、命は取り留めているものの、いつ誰が襲ってくるかも分からない。 バッツなど、魔法があまり得意ではないのに白魔道士にジョブチェンジして治療を行っている。 魔法を装備しなくても使えるのが、少し羨ましい。 生き返りの泉、回復の泉が使えれば一瞬だが、伏せておいた。そんな便利な泉を魔女が残すはずがない。 まあ、元々の世界でもリヴァイアサンを倒したことで効力は失われてしまっていたのだが。 道具の数も限りがある。この村にはポイゾナしか売っていなかったし、道具屋の回復薬は昼間にほとんど使ったらしい。 頼れる...
  • 511話
    第511話:走る風 巡る炎 村北部の森を抜けたところで、2人は少しの間、呆然と立ち尽くしていた。 目前で村を燃やす炎を吐く者のあまりの大きさに圧倒されたのである。 「こ…こんなモンスターも参加してるのか…」 「…バッツさん…まずは宿屋を…」 互いに、元いた世界で同じくらいの大きさの敵も相手にしてきた。 だがこの世界に来てから、モンスターではなく、人間ばかりを相手にしてきた2人にとって、 村で咆哮を上げているブオーンの姿はあまりに非現実的だった。 そもそもこの世界自体が、非現実の元に成り立つものなのだが。 バッツとソロの2人は、村の北の森で行方不明となったヘンリーを探していた。 そこで村の中央部の異変に気づいた。凄まじい地響きが伝わり、モンスターの咆哮が聞こえたのだ。 2人は、宿屋に残っているエリアたちの危機を感じ、村へ戻ることを決めた。 ヘンリー...
  • 89話
    第89話:理由 「無残ね…」 赤いマントに身を包んだ女性、アイラは、吐き捨てるように言った。 スタートからずっと歩いてきて、見つけたのは二つの死体だけ。 金髪の少女、そしてこの男。 …おそらく殺したのは同一犯だろう。 切り口の鋭さは違えど、おそらくは同じ剣で斬られていた。 男の開いたままの瞼を閉じようとして身を屈めたとき、彼女は気づいた。 「…?」 死体の傍に、剣が無造作に捨ててある。 切れ味はよさそうだけど。 …少女や男の道具を全て持ち去った人間が、どうしてあの剣だけを置いて行った? アイラはそれを拾い上げた。 「…重い…」 これまで持ったどの剣よりも、重かった。 しかし、アイラはそれをまた捨てるような事はしなかった。 武器らしい武器は一つも持っていなかったから、それを捨てるのは少し恐ろしかったのだ。 アイラは再び立ち上がった。 ...
  • 427話
    第427話:疑惑交差 フリオニールはマッシュとスコールが村の入り口に向かってきているのに気付いた。 二人ともかなりの実力者だと一目で見抜いたが、マシンガンもラグナロクがあるため、さほど恐れてはいない。 だが、まったく別の方向より、さらに数人やってきたのを見て、再考。 どちらかの組でも、ゲームに乗っていれば彼には好都合だが、さすがに自分に有利な前提条件で考えるわけにもいかないのだ。 子供の存在や人数から考えても、絶対ではないが向こうの三人組がゲームに乗っている可能性は低い。 さらに、大男は雲に乗っていて機動力は高そうだし、子供の方は銃をくるくると回している。 目の前の二人組を相手にすれば、上空から近づかれたり、撃たれたりする可能性がある。 三人組を相手にするのはダメだ。さっきは不意打ち(といっても断末魔をあげられてしまったが)だったのにもかかわらず、 マシンガンでは...
  • 61話
    第61話:道を踏み外した赤魔道士 (…自分と同い年ぐらいの男の人…こっちに来る?) 呑気にあくびをしていたフィンだが、ふと数十メートル先の人影に気がついた。 (…あの人の剣、赤い!まさか血の色…!?) 「…アルカート、誰か来る!」 「えっ?」 丁度ギルダーに背を向ける状態になっていたアルカートは、フィンの言葉でようやくその存在に気付き振り向いた。 そして目を見開く。…あの赤魔道士、魔力を高めて…!いけない、完全にこちらに仕掛ける気になってる! 「フィンさん、あの人…!」 アルカートが魔石をローブのポケットに入れながら叫ぶ。 フィンもそこでようやく明らかな殺気を感じ、一瞬で立ち上がり陸奥守を抜いたがしかし、遅かった。 「ブライン!」 「ッ!?うわッ」「きゃあっ!」 ブライン。二人の視界が暗闇に飲まれた。ギルダーはライトブリンガーを握り、一気にフィンとの間合いを詰め...
  • 377話
    第377話:撒かれた災いへの前奏曲 村には誰も居なかった。 道具屋や武器にも大したアイテムは置いておらず、民家にも使えそうな道具は無い。 何の収穫も無いまま探索を終えた六人は、武器の分配や今までの情報交換も兼ねて、宿屋で早めの昼食を取ることにした。 ソロとヘンリーが知ったのは、フリオニールがかつての親友と再会したということ。 ターニアが知ったのは、ティーダがロックと一緒にいたということ。 ロックが知ったのは、アーヴァインがティナを殺した張本人だったということ。 「あいつのこと……恨むか?」 ヘンリーの言葉に、ロックは少しだけ顔を伏せた。 「わからないな。言われても実感が湧かないんだ」 器代わりのコップに入ったスープが、彼の手の動きに合わせてさざなみを立てる。 「あんな気弱そうな奴にティナが殺せるだなんて思えない。  あのガキが言ってた、ティナが人殺しだ...
  • 304話
    第304話:復讐の炎は消えず 焼け焦げた地面と木々。飛び散った血痕。突き立ったままの矢。穿たれた弾痕。 あまりの惨状に、オレは思わず呟いた。 「なんつーか……この村って、前からこんな感じだったんッスか?」 「んなわけないだろ」 ロックが答える。その声にはやはり元気が感じられない。 それがこの光景のせいなのか、セリスという人のことを引き摺っているせいなのかはわからないが…… 「長居は無用みたいッスね」 オレはそう言って、旅の扉を探して歩き出した。 「あれ、ロックさん?」 大きな家の前を通り過ぎようとしたとき、誰かがロックを呼び止める。 振り向くと、見覚えのない妙な二人組が立っていた。 片方は、全体的に田舎っぽい雰囲気を漂わせた、少々目つきの悪い緑髪。 もう片方はいかにも外見に気を使っていそうなタイプの、背の高い茶髪。 どちらも、年齢はオレと同じぐらいだろう...
  • 539話
    第539話:雷鳴が止むとき 【マッシュVSブオーン・前】 「こいつは、骨だな」 ダメージから判断するなら、虫の息。 けれど何か。そう、執念とも言うべき精神力がこの獣の命を繋ぎとめている。 ほとんど身じろぎさえしなくなった肉の塊に連撃を叩き込み、離れる。 ただひたすらにマッシュが繰り返す攻撃も、まるで効を奏しているように見えない。 「……先に俺の拳の方が音を上げそうだ」 いかづち降り止まぬ空を一瞬だけ見上げ、地面を蹴る。 わずかに逃げ遅れ、マッシュの身体を大電流が駆け抜けていく。 「っ!!」 苦痛は歯を食いしばって飲み込み、声に出さない。 バッツはソロを背負って助けを求める誰かのもとへたどり着けただろうか。 救いの手を、届けられただろうか。 俺達は同じ戦場で共通した敵、そう、理不尽な不幸、そしてとんでもない悪意と戦っている。 ...
  • 90話
    第90話:平穏は束の間に過ぎず 五人とも満腹になったところで、支給品を確かめてみようということになった。 ラグナもピクニックセット以外、何が入っているのか探していないという。 ――果たして、自分の袋にマトモな武器は入っているのか? 期待と不安に胸の鼓動を高鳴らせつつ、最初にエーコが袋を開けた。 「何これ、金の髪飾りかな? エーコのとはデザインが違うけど」 取り出されたアクセサリを見て、マッシュが口を開く。 「俺の仲間が使ってた物と同じだ」 彼によると、その髪飾りには魔法を使うときに消費される魔力を抑える力があるらしい。 白魔法が得意なエーコにとっては、当たりアイテムといっていいだろう。 それから銀色のお盆も出てきた。これは盾代わりに使えそうだ。 最後に出てきたのは竪琴だった。 精緻な細工が施してあり、一目で高級なものだとわかるが、武器にはなりそうにない。 エー...
  • 520話
    第520話:殺意の欠片と眠れない夜 息を吸い込んで、胸に手を当てる。 冷静になれと自分に命じ、感覚を研ぎ澄ますことに集中する。 逃げる、戦う、交渉する。全てに共通して重要なのは、先手を打つこと。 そのために、存在を感じ、相手を捉え、動向を読み、思考を見透かす。 武器も魔法も扱えない以上、僕にできることはそれだけなんだ。 「近づくな」 立ち上がるティーダと、闇の向こうに立つ人影に声をかけた。 一見したところ、大型銃器の類は持っていない。 けど、油断は禁物だ。 こんな道を外れた山の中に、好き好んでやってくる人間がどれほどいる? 大抵は戦闘を見かけたお人よしか、クソッタレの殺人者か。 今の状況で前者は有り得ない。 緑のぷよぷよピエールや、ストーカー女アリーナの襲撃から時間経ち過ぎてる……と思われるし。 だいたい、今の状況で単独行動を行ってる時点で十分疑うに値す...
  • 148話
    第148話:虚空の彼方から あれからどれだけの時間がたっただろう。 日は沈み、悪夢のようなあの声も聞こえなくなって、今はただ、薄暗い草原の中を佇んでいる。 ここにいるのは俺とフリオニール、二人だけだ。 レーベの村に戻る理由は、もうない。 俺は決めた。こいつと、フリオニールと共にここを生きると。 もちろん、それは俺なりにいろいろ考えて決めたことだ。 フリオニールが飛び出したとき、咄嗟に後を追った。追わなければならないような気がした。 いや、そんなことを考えるまでもなく、俺の体は動いていた。 あいつ足の速さには、トレジャーハンターの俺も驚かされる程で、追いついた時にはレーベの村からだいぶ離れていたと思う。 でもそれも、実はあまり自信がない。 もしかすると、追いついたのは案外レーベの近くだったのかもしれない。 どちらにしても、今となってはそれも関係がないこと。 ...
  • 554話
    第554話:騎士達の計略 放送が流れ、そして知った。 仲間として一日を過ごし、そして自分達を見捨て裏切った男の死を。 「……ゼルも、死んだのか」 ふう、と息を吐く。 悲しいという気持ちはあまりなく、むしろざまあみろという笑いを抑えるので精一杯。 じゃあ今のため息は何なんだと言えば、人の死を喜べるようになった自分への驚きと呆れだ。 周囲を見る。 四度目の放送となれば覚悟やら耐性やらがついてしまうのだろうか、泣き出す者は予想より少なく、黙り込む者の方が多かった。 そんな、数少ない泣いている人間――ターニアの傍らに、サイファーの姿があった。 舌を打ちながら、小声で何か囁いている。 もしかしたら慰めているのかもしれないが、遠目で見る限りでは少女を脅しているチンピラそのもの。 見た目と態度で損をするタイプ、という奴だ。 「サイファー! あ...
  • 492話
    第492話:Dual Moon 天に輝くは紅玉のような月。投げかけられるは血の色彩。時はただ尽きるのみ。 ウルの村、その北に外れた場所に位置する建物の前。 木々の向こう、およそ不釣合いに煌々と輝く灯を遠目にサイファーは不釣合いに考え込んでいた。 ヒーローの定義。 弱きを助け、巨悪を挫く。シンプルかつロマンティック、皆に頼られ称えられる存在。 なのに、自分はどうだ。 目前にした殺人も止められず、守るべき存在とも切り離され。 なお自分が選んできた側が正しいのだという絶対の自信はあるがあげられた成果を考えるだけ悔しさと苛立たしさがこみ上げる。 これでヒーローと言えるのか、いやとても。 遠い光を背景にした闇から紅が浮かび上がったのはそんな中であった。 無言で現れた上背ある影は表情の見えない距離をおいて立ち止まる。 武器の類は不所持のようではあるが明らか...
  • 318話
    第318話:覚醒と決意、再会と邂逅 打ち出される空気の玉を、ラケットを振るう少年を、 それを阻もうとする天空の盾を、少年を止めようとするソロを―― 壁のように広がる炎や盾に弾かれた衝撃の余波を避けながら、ロックは虚ろに見つめていた。 避け続ける。その行動に意思が関わっているのかどうか、ロック自身にもわからない。 意思が命じずとも身体は勝手に動くものだ。 かつて感情を無くした青年が、剣士相手にそうしていたように。 何を避けようとも、戦おうとも、生きたいという思考すらなくとも、長きに渡る戦闘経験が身体を突き動かす。 あるいは経験などという込み入った物ではなく、もっと純粋にして単純な、生物としての本能なのかもしれない。 あらゆる生命が持つ欲望、己の意思とは別に存在する強烈な衝動。 無意識の領域よりもさらに奥底に刻み込まれた命令に従い、身体は勝手に動く。 『ロッ...
  • 369話
    第369話:魔女の力 サラマンダーとロランの戦いを見つめながら、バーバラは建物の影に身を隠していた。 (イクサス…大丈夫かな…) 洞窟を見つめ、その中に入っていった少年の身をを案じる。 『…ねが…い』 突然、バーバラの頭の中に、声が響いた。 (なに…!?) バーバラは驚き辺りを見渡すが、声の主の姿は見えない。 『…お、願い…の…力を…受け…取っ…』 再度声が響く、気のせいなどではない。 (力? 受け取るって…) 『魔…の…からを…手を、伸ば…て』 その声は、今にも事切れてしまいそうなほどか細く弱い。 (こ、こう?) その声に哀れみを感じたのか。彼女は言われるがまま、頭の中に直接送られてくるイメージに向かって手を伸ばした。 『ありが…う、…れと…彼に伝え…愛…てる…て』 そう言うと、頭の中のその声は、煙のように掻き消えた。 バーバラの手がそれに...
  • 229話
    第229話:レナの葛藤――勇者と魔王 騒ぎから数十分後。 ソロたちは、アーヴァインには当たり障りの無い事情を説明し、怪我を理由に兎に角今は休む事を勧めた。 アーヴァインも最初は戸惑っており、納得させるのに難儀するかと思われたが、 最後は明日色々と話すと説明したソロの言葉に首肯した。 その後ヘンリーとエリアはレナと見張りを交代し、ソロもまた起きたピサロと今起きた事の討議と打ち合わせを済ませた後、交代で眠りに就いている。 レナは見張りをしながらも、じっと今は眠っているアーヴァインを見ていた。 「……アーヴァインを殺すつもりか」 微かに耳朶を打つ音を響かせるのは、銀色の魔王であった。 レナはちらり、とピサロに視線を走らせる。 この、恐るべき力を持つ男。それでも、レナとてクリスタルの戦士だ。落ち着きを取り戻せば、 眼前にいるのが例え圧倒的な力を持つ魔王であ...
  • 152話
    第152話:彼の失敗、彼女のミス 僕、疲れてたんだよね。 何せ四回もバトルして、山を走り抜けてこの村までやってきたんだ。 おなかは空いたし、息は上がるし、足もガクガクするし…… 最悪のコンディションで、当然のことながら注意力も散漫になっていた。 だから、その赤い草のような物が何なのか、一目ではわからなかったんだよね。 (ナニ、コレ?) 家の影からにょきっと伸びたそれに気を取られ、僕は反射的に近づいてしまった。 今から思えば、さっさとボウガンを撃ち込むべきだったんだよ。 でも、僕が武器を構えることを思い出した時には、もう遅かった。 「ラリホーマ!」 その不思議な言葉を聞いた途端、僕をものすごい睡魔が襲った。 口を開く間もなく、視界はフェードアウト。僕の意識もブラックアウト。 ちょこっとだけ、悪戯っぽく微笑む赤髪の女の子の姿が見えて……それで、おしまい。...
  • 103話
    第103話:錯乱 「指笛?」 「そうッス。こうやって指を口に入れて…吹く!」 シューッ、と空気の抜けた音だけがする。 「うーん、出来ない」 蒼い髪の少女は、既に笑顔を取り戻していた。 「諦めちゃ駄目ッスよ」 ティーダとターニアが、まるで兄妹のように、指笛を練習している。 あんな妹がいたら良かったと、エアリスは思った。 平和、だった。彼女が現れるまで。 森を行く一つの影。 ティファは、森の暗がりの中を歩いていた。 右手には銃。 ――何を狩る訳でも無く。防衛手段だと、自分に言い聞かせて。 レーベを出て、何時間か歩いた。 鬱蒼と生い茂る森。ここで何を見つけることになるだろう。 その時はまだ、あまりの緊張感からか、近くにいる三人には気づいていなかった。 「誰か近づいてくる…?」 エアリスが、何者かの気配を感じた。 その方向を見やると、タンクトップ...
  • 263話
    第263話:壊れた音の直し方 ミッドガルの七番街スラムで経営していたBAR「セブンスヘブン」。 そこに置いてあった骨董屋から手に入れたジュークボックス。 デザインが気に入って、お値段もお手頃で、思わず視聴もせずに購入してしまったオンボロボックス。 17曲入りでお気に入りの曲は最後の方なんだけど最初は必ず一曲目の途中で最初に戻っちゃう。 何度も何度も一曲目の頭から繰り返す。そんな時は軽く蹴ってやると直るのだ。 なんとなくそんなことを思い出した。 あのジュークボックスは蹴っ飛ばして直ったけれど、今回のこれはどうやったら直るのだろう。 「夜が明けた。定刻だ…夜の闇に魂を彷徨わせた者達の名を告げる。  「アレフ」「ゴルベーザ」「デュラン」「メルビン」「ミレーユ」  「ラグナ」「エーコ」「マリア」「ギルバート」「パイン」  「ハイン」「セリス」「クラウド」…」 「夜が...
  • 491話
    第491話:三者の集う場所で なんなんっすかこの金髪はぁ!いや、俺も金髪だけどさ。 ことあるごとにユウナに絡んで…ああっ!ユウナもなんでそんなまんざらでもない顔してるんッスか!? くそっ!早くアーヴィン達に合流して話題を変えないと!…じゃなくて!皆が無事かどうか確かめないと! それにしても…首輪の話で盛り上がってさ、俺完全に蚊帳の外じゃないッスか。 もういいッス、一人で寂しく…ってそうだ、首輪。俺についてるのも何とかして外せないッスかね~。 ちょっと手をかけてみたその時、エドガーさんの一言。 「あ、ユウナ君、首輪はあまりいじらないように。ヘタに手を加えると爆発してしまうからね」 …やっぱやめとこっと… そんなこんなで数分。待ち合わせの場所も大分近づいてきた頃、俺の耳に聞こえたのは聞いたことのない声。 まさか…おい、まさかゼルがこっちに来たのは…嘘だ、嘘だ!...
  • 301話
    第301話:生まれ出たソレは 確かに彼女の頭上に現れた小さな太陽は。 術者の手を離れ制御を失った。 方向を変え明後日の方向へそれた太陽は。 大きく砂を巻き上げあたり一面を飲み込んだ。 直撃は避けられた、だが、その破壊の被害は逃れることはできなかった。 大きく積もった砂の山が、ゆっくりと崩れてゆく。 その中から何かが立ち上がる。 片腕を失い、全身を焼かれながら。 だが、それでも、確かにソレは生きていた。 もはや痛みなどという感覚は無い。 もはや苦痛などという感情も無い。 あるのはただ、生への渇望のみ。 生き残る。 何をしても。 誰を殺しても。 その始まりはなんだったか。 大切な人への誓いだった気がする。 大切な人への償いだった気もする。 今はもう、そんなことすら思い出せない。 感情をなくしたはずのソレは。 血に濡れ焼け焦げた口元で...
  • 行動履歴
    各参加者の行動履歴 アルカート ジオ ガーランド ビッケ フリオニール マリア(FF2) レオンハルト ミンウ リチャード マティウス サックス ギルダー デッシュ エリア ドーガ ウネ ハイン ザンデ セシル ローザ カイン ギルバート リディア エッジ ゴルベーザ バッツ レナ ファリス クルル ギルガメッシュ ギード リヴァイアサンに瞬殺された奴 ティナ ロック エドガー マッシュ セリス シャドウ リルム ゴゴ レオ ジークフリート ケフカ トンベリ クラウド ティファ エアリス バレット ユフィ ケット・シー シド ザックス 宝条 セフィロス スコール リノア ゼル アーヴァイン サイファー ラグナ ジタン ガーネット ビビ フライヤ エーコ ...
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