FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki内検索 / 「【鉄の盾】」で検索した結果

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  • 【鉄の盾】
    29話 393話
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  • 【鉄の杖】
    28話 417話 419話 480話
  • 【天空の盾】
    16話 69話 79話 101話 108話 178話 184話 304話 313話 318話 380話 461話 487話 492話 511話 514話
  • 【ロトの盾】
    212話 368話 447話
  • 【嘆きの盾】
    77話 256話 332話 362話
  • 【英雄の盾】
    1話 50話 517話
  • 【青銅の盾】
    41話 103話
  • 【水鏡の盾】
    22話 50話 367話 392話 415話 427話
  • 29話
    第29話:背負うもの 「見つけたぞ、ケフカ」 レーべからすぐ南にある森の一画で重々しいその声が響いた。 支給品の袋をあさっていたケフカは声がした方へゆっくりと振り返る。 「これはなつかしい、レオ将軍ですか。イヤなときにイヤな旧友と出会うものだな」 「お前が友であったことなど、かつて一度もない」 ケフカの言葉に対し、茂みの奥から堂々たる足取りであらわれたレオ・クリストフは断固として言った。 道化師を真似て見せているのか派手な化粧を施している顔で、レオを舐めるように見つめる。 その眼差しは、笑っているようにも、嘲っているようにも見えた。 レオは、喉の奥で低く獰猛に唸った。 「…ケフカ、お前はこのゲームに乗るつもりなのか?自分ひとりが生き残る気か?」 疑問というよりも確信に彩られたレオの質問にケフカは答えなかったが、 ...
  • 309話
    第309話:ケフカを探して 「クソッ! 見つからん!」 パパス等との戦闘を離れ、レオは一晩中森を駆けずり回っていた。 しかし、今だその目的は果たされない。 放送に名を呼ばれてはいないということは、まだあの男は生きている。 いや、あの男の事だ、おそらく人々を惑わし、誑かし、陥れ、上手く生き遂せる事だろう。 そんなことを許すわけにはいかない。 あの男だけは、野放しにしておくことはできない。 この手で息の根を止めねばならないだろう。 そう強い決意と共に森を駆け回るレオだったが。 崩壊までの時間は残り僅かと迫っていた。 もちろんそういうことも考えながら移動していたが、少し熱くなりすぎていたようだ。 思いのほか時間がない、おそらく到着はギリギリになるだろう。 これで扉探しに手間取ればアウトだ。 一刻も早く奴を探し出したいところだが、今は仕方あるまい。 レオ...
  • 312話
    第312話:この暗い空の下で ひとまず次のフィールドへ移動するためレーベ南部の森を歩くリュックとわたぼう。 後ろを歩いていたわたぼうが立ち止まる。 何事か、と振り向いたリュックは、空を見上げるわたぼうの姿を眼にした。 「わたぼう、どしたん?」 リュックが声をかけ、わたぼうと同じように空を見上げる。 雲一つない、澄み切った青い空。 「空、きれいだな、と思って…」 「ほんとだねえ」 しかし突如、空を見上げていたリュックの眉がひそめられる。 ー綺麗な、空…? 目を閉じ、もう一度目を開けた視線の先では、今度は空がどす黒く染まって見えた。 この島で行われている殺し合いの結果生じた、生者のものとも、死者のものとも知れない負の感情。 怨嗟、無念、後悔、苦痛、恐怖、狂気ーそんなものが渦巻いて、綺麗なはずの空を暗くしている。 しかし、そのことをわたぼうには告げない。わざわざ刺激...
  • 126話
    第126話:共通認識 「く、クルルが…ッ!?」 静寂に包まれた薄暮の森の空気を、意図せずともファリスは乱した。 金髪の少女の、あどけない笑顔、時折見せる寂しい表情。 そのどちらもが失われた、と感じたから。 ふらふらと一人胡坐で座り込み、参加者リストを開く。 目に入ったのはクルルの輝く金髪ではなく、その名の上に引かれた朱色の線だった。 レナの髪のような薄明るい桃色でも、カルナックの勇気の炎のような鮮やかな赤でもなく。 ただ滲んだ血のようなその色が。 呆然としたままリストを眺めていたファリスは、先程の男の写真を見つけた。 素顔を晒す事は無く、黒装束に身を包んだ姿を。 そして、その名前にも違わずに朱色の線が引かれていたのを。 (何故だ?) あの男はただで死ぬ男ではないと思っていた。 だが、彼は死んだのか。 数時間前に自分に忠告をした男が。 パタンと力...
  • 315話
    第315話:Helpless 「大丈夫か!?返事をするのだ!!」 レオは、リュック達にも気づかず倒れている2人にそう呼びかけていた。 先程見つけた人影、それは間違いなく瀕死の重傷を負った参加者だった。 既に2人とも意識が無い。できれば両方を救ってやりたい。 だが、 「私の力では……くそッ!」 そう、どうすることも出来ない。回復の手立てが一切見つからないのだ。 自分の至急品に回復アイテムなどは存在しない。 このままこの2人は死を待つのか……。 「む?」 その時、彼は気が付いた。2人分の支給品袋があったのだ。 そしてその隣には、謎の生物が死んでいた。恐らく参加者だったのだろう。 しかしそれには目もくれず、支給品袋を拝借して中身を全てぶちまけた。 だがその中身は散々なものであった。 一つの袋からは鍛冶セットらしき物と鎧、 もう...
  • 128話
    第128話:企み 中年の剣士が二人、闇に包まれようとしている森の中を歩いていた。 言うまでも無く、パパスとオルテガである。 放送直後は、二人とも何事も無かったかのように振舞っていた。 だが、オルテガはパパスの表情の変化に気づいていた。 パパスが自分からそれを話すまでの間、オルテガも黙って歩いていたのだった。 そうして十分くらいだろうか。パパスが口を開く。 「サンチョは有能な召使だった。息子を任せても大丈夫な唯一の存在だったのだが…惜しいことで亡くしたものだ」 静かに嘆く。 オルテガはその言葉を受け取ると、話題を転換する。 自ら人に話せるようになれば、覚悟はついたのだと捉えることが出来たから。 「息子さんは確か…」 「ああ、未だ五歳の子供だった筈なのだが…」 パパスは参加者リストを回想した。 マーサと同じ澄んだ瞳をして、其処に載せられていたリュカの写真を思...
  • 503話
    第503話:EYES ON ME 暗い井戸の底、ひとりの男が、目の前の瀕死の緑髪の男を見て苦悩していた。 「…緑色の髪の男に遠くから射撃された……  ……リノアとかいう連れがいたそうだが、彼女は助からなかったらしい…」 数時間前に、カインから聞いた言葉が呼び起こされる。 目の前にいる男が、リノアを殺したのか?そうであれば、この男を許すことはできない。 男が手に持っている銃、これがリノアを殺した凶器なのかもしれない。 だが、もしこの男がリノアの死と何の関係もないとしたら? 彼の傷の具合からして、早急な治療がなければ、そのまま帰らぬ人となるだろう。 そして今、彼を助けられるのは自分たちしかいない。 スコールは苦悩していた。自分が選ぶべき選択肢に。 上の方から、自分の名前を呼ぶ、マッシュの声が聞こえる。 ふと上空を見ると、赤い光が目に...
  • 【鉄兜】
    44話 325話
  • 514話
    第514話:クジケヌココロ 「こっちだ、デカブツ!」  わざと注意を引くように声を上げ、ダーツを投げつける。  ダーツの矢は一直線に巨大な的に突き刺さった。  分厚い皮膚の前ではダメージは毛ほども無いだろう。  だが、コチラに注意を引くことはできた。  魔物の瞳に捕えられると同時に、敵に背を向け走り始める。  魔物は地響きを響かせながら、目の前の獲物を逃すまいとその後を追ってくる。  ここまではコチラの思惑通り。  まずは敵を誘導して、戦場をこの場から遠ざける。  宿屋を巻き込まない為、という理由もあるが。  何より、すぐ側で横たわる彼女の体をこれ以上傷つけたくなかった。  敵の間合いギリギリ外、付かず離れずの距離を保ちながら敵を誘導する。  地を揺らしながら進む魔物の動きは、巨体に見合って遅い。  だが、歩幅の大きさがコチラとは違いすぎる。  総じて進む早...
  • 459話
    第459話:光が導く地へ 炎を思わせる黄昏の光は消えた。 天井に輝くは紅玉のような月。投げかけられるは血の色彩。 右手に聳え立つ山脈を臨み、スコールとマッシュは歩き続ける。 兄弟。仲間。脱出の手掛かり。 白魔道士に扮したかつての友。緑のバンダナを巻いた金髪の男。彼らとは別に存在しているのかもしれない緑髪の男。 探さねばならない相手は数多く、けれども、彼らは一点を目指す。 偽りの情報に導かれたまま。 (兄貴――どうか無事でいてくれ!) ケフカの企み。それは可能性として有り得る話。 だが、ウルに向かったという男は、現実に人を殺めている存在。 しかも敬愛する兄の命が掛かっているとなれば、どちらを追うかなど決まっている。 微塵の迷いもなく、マッシュは歩き続ける。 (……殺すのか、あいつを) 倒さなくてはいけない敵。死なせるべきではない仲間。 マリベ...
  • 523話
    第523話:カーネイジ(NO FUTURE) 咆哮と稲妻。 それがマッシュとブオーンの開戦の合図。 手負いの獣、そんなありふれた表現がぴたりとはまる相手。 降り注ぐ雷の第一波を覚悟を決めて弾丸のように突き抜け、巨体へと肉迫しながら格闘家の目は冷静に相手のダメージを見定める。 ヤツの左眼は見えていない。全身はあちらこちらが火傷、そうでなければ裂傷、あるいはその両方。 とりわけ右肩には深い傷がある。 重傷を負っている巨体には似つかわしくない反応速度で叩きつけられる右腕を紙一重にすり抜け飛び上がる。 スピードと体重を乗せた拳は遠慮なくモンスターの顎を下から叩いた。 鋼鉄の感触と相反する弾力。 分厚い肉が可能とする防御力に臆することなく続けざまに数発の打撃を打ち込んで地面に降りる。 こんな化け物をよくここまで追い詰めたもんだ、と感心するマッシュの目の前で緩慢に口が開か...
  • 547話
    第547話:紛れ込んだ不純物 みんなの話が終わったのが多分一時間ほど前だから、あの二人はもう一時間近く喧嘩しているのか。 森が燃える音と風の音、そしてサイファーとスコールの殴り合ってる音を聞きながら、僕らは怪我人の治療をしている。 マッシュは魔石の召喚獣のおかげで、命は取り留めているものの、いつ誰が襲ってくるかも分からない。 バッツなど、魔法があまり得意ではないのに白魔道士にジョブチェンジして治療を行っている。 魔法を装備しなくても使えるのが、少し羨ましい。 生き返りの泉、回復の泉が使えれば一瞬だが、伏せておいた。そんな便利な泉を魔女が残すはずがない。 まあ、元々の世界でもリヴァイアサンを倒したことで効力は失われてしまっていたのだが。 道具の数も限りがある。この村にはポイゾナしか売っていなかったし、道具屋の回復薬は昼間にほとんど使ったらしい。 頼れる...
  • 546話
    第546話:惨害の痕で寄り添って 《1》 「ピアスが鳴ったんだが、赤い奴は逃げたしって少し油断してたのかもしれない。  俺は振り返れたと思うんだがな、暗いもんで顔が見えなかったんだ。  だから、本当に振り返れたのかどうかはわからないな。  どっちにしたって、あっというまに腕を捻り上げられて地面に押し付けられたよ。  あれは兵士とか傭兵とか、とにかく軍人のやり方だ。  初めて本物を体験したんだけど、なんていうか、痛いってモンじゃないね。辛い、だな。  こんな痛いなら肩なんて外れてしまえー、あーすいません降伏しますギブギブ、って感じ。  それで『いぃぃぃぃっ!?』みたいな声あげちまってなあ……恥ずかしいのなんの。  確かに、あの状況じゃ俺がエリアを襲った敵だと勘違いされても仕方ないんだが、  一言くらい謝って欲しいもんだぜ。なあ?」 ...
  • 163話
    第163話:信じる理由 オルテガの振り下ろした斧をレオは軽く飛び跳ねて避け、哮った。 「何故邪魔をする!」 パパスは剣を構えていった。 「そなたは、自分のしようとしていることがわかっているのか?」 レオは、吹雪の剣を二人に向けて叫んだ。 「ああ、よくわかっているとも、だから、邪魔をしてくれるな!」 それをきき、パパスは唇を噛み締めて嘆く。 「事情はわからぬが、そなたほどの者が…その行為、止めねばなるまい」 パパスは瞬時にして間合いに入り、その剣をおろす。 レオはそれを受け止め、腰をかがめてパパスを抜きさる。 その先に待ち受けるオルテガの斧を、間一髪で避ける。 しかし、攻撃を連続してかわしたためか、足が縺れ体勢を崩してしまった。 捕らえようとオルテガが襲いにかかる。 レオは刹那、眼をつぶったかと思うと、次の瞬間に剣を振り上げて飛び出した。 「ぬぉぉッ!?...
  • 511話
    第511話:走る風 巡る炎 村北部の森を抜けたところで、2人は少しの間、呆然と立ち尽くしていた。 目前で村を燃やす炎を吐く者のあまりの大きさに圧倒されたのである。 「こ…こんなモンスターも参加してるのか…」 「…バッツさん…まずは宿屋を…」 互いに、元いた世界で同じくらいの大きさの敵も相手にしてきた。 だがこの世界に来てから、モンスターではなく、人間ばかりを相手にしてきた2人にとって、 村で咆哮を上げているブオーンの姿はあまりに非現実的だった。 そもそもこの世界自体が、非現実の元に成り立つものなのだが。 バッツとソロの2人は、村の北の森で行方不明となったヘンリーを探していた。 そこで村の中央部の異変に気づいた。凄まじい地響きが伝わり、モンスターの咆哮が聞こえたのだ。 2人は、宿屋に残っているエリアたちの危機を感じ、村へ戻ることを決めた。 ヘンリー...
  • 427話
    第427話:疑惑交差 フリオニールはマッシュとスコールが村の入り口に向かってきているのに気付いた。 二人ともかなりの実力者だと一目で見抜いたが、マシンガンもラグナロクがあるため、さほど恐れてはいない。 だが、まったく別の方向より、さらに数人やってきたのを見て、再考。 どちらかの組でも、ゲームに乗っていれば彼には好都合だが、さすがに自分に有利な前提条件で考えるわけにもいかないのだ。 子供の存在や人数から考えても、絶対ではないが向こうの三人組がゲームに乗っている可能性は低い。 さらに、大男は雲に乗っていて機動力は高そうだし、子供の方は銃をくるくると回している。 目の前の二人組を相手にすれば、上空から近づかれたり、撃たれたりする可能性がある。 三人組を相手にするのはダメだ。さっきは不意打ち(といっても断末魔をあげられてしまったが)だったのにもかかわらず、 マシンガンでは...
  • 554話
    第554話:騎士達の計略 放送が流れ、そして知った。 仲間として一日を過ごし、そして自分達を見捨て裏切った男の死を。 「……ゼルも、死んだのか」 ふう、と息を吐く。 悲しいという気持ちはあまりなく、むしろざまあみろという笑いを抑えるので精一杯。 じゃあ今のため息は何なんだと言えば、人の死を喜べるようになった自分への驚きと呆れだ。 周囲を見る。 四度目の放送となれば覚悟やら耐性やらがついてしまうのだろうか、泣き出す者は予想より少なく、黙り込む者の方が多かった。 そんな、数少ない泣いている人間――ターニアの傍らに、サイファーの姿があった。 舌を打ちながら、小声で何か囁いている。 もしかしたら慰めているのかもしれないが、遠目で見る限りでは少女を脅しているチンピラそのもの。 見た目と態度で損をするタイプ、という奴だ。 「サイファー! あ...
  • 434話(後編)
    434話:誰彼誘う闇、残照の光 「遅かったな。他の連中とスミスはどうしたんだ?」 フリオニールはカインに駆け寄り、声をかける。 カインは彼を一瞥すると、小さな声で何事かを囁いた。 サックスには聞き取れなかったが、フリオニールがかすかに肯いたことだけは見逃さない。 しかし二人は何事もなかったように、話を始めた。 「用事を頼んだからな。何もなければ直に戻ってくるはずだ。  それより、そこにいる連中は誰だ?」 「……ああ、スコールとマッシュのことか?  良く知らないが、お前と一緒にいるケフカとかいう奴に会いたいんだとよ」 「スコールにマッシュ……!?」 カインはどことなくわざとらしい仕草で目を見開き、高い声で叫ぶ。 名を呼ばれた二人は、きょとんとした表情でカインを見た。 「俺達のことを知っているのか?」 スコールの問いかけに、カインはゆっくり肯く。 「ああ。数時間...
  • 79話
    第79話:どこかに残るなにか ――なぜ、自分は死のうとしなかったのだろう。 なぜ、この女性は自分を助け、剣士を止めようとしたのだろう。 数時間前のフリオニールなら、きっと即答できたはずだ。 けれども今の彼にはわからない。それを哀しいとすら思えない。そういった情動を感じる『何か』が、凍り付いてしまった。 「……」 ただ、頭の中にある記憶と経験が。 そしてほんの少しだけ凍らずに残された『何か』が告げる。 フリオニールの身体は、それに従った。 眠るミレーユを揺さぶり、簡単には目覚めそうにないとわかると、彼女の身体を担いで気付かれぬよう戦場を離れる。飛ばされた盾を拾うことも忘れない。 そしてしばらく歩いていると、突然目の前の建物から一人の男が飛び出した。 「おい、大丈夫か!?」 バンダナを巻いた男――ロックが、フリオニールに話し掛ける。 フリオニールは、背中に持たれかか...
  • 【鋼鉄の剣】
    25話 80話 81話 129話 141話 277話 342話 411話
  • 393話
    第393話:ある日の授業風景と、生徒の現実 はい、みなさん。P.156、『擬似魔法の確立以前に行われた呪術・第2章』ですよ。 ほらそこ、寝てないでちゃんと開いて。テキストを忘れたなら隣の人に見せてもらいなさいね。 コホン。……えー、太古の昔から、強い願いは現実を変えることができると信じられていました。 『生贄の儀式』も、一般的には、願いの強さを示すためのものであると考えられています。 「何を犠牲にしてでも叶えたい願いなんです、だから神様叶えてください!」というわけですね。 けれども、古代における呪術の中には、他の意図や意味から生贄を用いていたケースもあったようです。 ある遺跡から発掘された石版にはこう記されています。 『時を残すは人の歴史、歴史を紡ぐは人の意志、意志を生み出すは魂なり。  魂こそは時の源、大いなるハインに頼らずして、現世を変える唯一の力。  数多...
  • 313話
    第313話:レーベの村 「…遅いな」 腕を組み壁にもたれかかっていたピサロが呟いた。 アーヴァインが記憶を失い、その説明の際 すぐ近くにギルバートの死体があることを知ったアーヴァインが、それを弔いたいというので、 ソロを護衛兼見張りに付けることを条件に行かせたのだが、少し帰りが遅い。 「そうか? 墓を作って時間がかかってるんだろ」 たしかにそうかもしれない。 だがこんな状況だ、もしもを考えて行動するほうがいいだろう。 「少し様子を見てくる」 そう言うとピサロは壁を離れ出口に向けて歩き始めた。 「ちょ…おい、ちょっと待てよ」 「なんだ」 「一人じゃ危ないだろ、あんた怪我も治りきってないんだし…俺も行くよ」 そういって道具屋のカウンターに座っていたヘンリーは腰を上げた。 「この程度の怪我ならどうと言うことはない、私一人で十分だ、それに女子供だけをほおっておく訳に...
  • 492話
    第492話:Dual Moon 天に輝くは紅玉のような月。投げかけられるは血の色彩。時はただ尽きるのみ。 ウルの村、その北に外れた場所に位置する建物の前。 木々の向こう、およそ不釣合いに煌々と輝く灯を遠目にサイファーは不釣合いに考え込んでいた。 ヒーローの定義。 弱きを助け、巨悪を挫く。シンプルかつロマンティック、皆に頼られ称えられる存在。 なのに、自分はどうだ。 目前にした殺人も止められず、守るべき存在とも切り離され。 なお自分が選んできた側が正しいのだという絶対の自信はあるがあげられた成果を考えるだけ悔しさと苛立たしさがこみ上げる。 これでヒーローと言えるのか、いやとても。 遠い光を背景にした闇から紅が浮かび上がったのはそんな中であった。 無言で現れた上背ある影は表情の見えない距離をおいて立ち止まる。 武器の類は不所持のようではあるが明らか...
  • 281話
    第281話:Adrenaline Rush!! えらい事になった。 いや、本当にこれは凄い。 「最初から支給品は確認しとけっての!こんな良いモン入ってたんだろ!?」 「いやぁ、うっかりといいますか。まさかこんな奇妙なものが入っているとは」 ゼル達は目標を変え、アリアハンではなく砂漠の旅の扉へと爆走していた。 文字通り、爆・走! きっかけはアリアハンに向かおうと意気込んでいた最中。 ユウナがプサンの支給品が未だに謎な事に気が付いたのだ。 もしかしたらとても凄いアイテムが眠っているかもしれない。 そう期待する彼らを尻目に、袋から無造作に放り出したそれはなんと!! 「はっはっはァ!!まぁでも確かに軽トラが入ってるなんて思うわけ無いぜ!!」 軽トラでした。 鉄で作られたそれは大体の障害にも耐えられる。 そうそう時間が無いこともあってか、彼らはそれ...
  • 539話
    第539話:雷鳴が止むとき 【マッシュVSブオーン・前】 「こいつは、骨だな」 ダメージから判断するなら、虫の息。 けれど何か。そう、執念とも言うべき精神力がこの獣の命を繋ぎとめている。 ほとんど身じろぎさえしなくなった肉の塊に連撃を叩き込み、離れる。 ただひたすらにマッシュが繰り返す攻撃も、まるで効を奏しているように見えない。 「……先に俺の拳の方が音を上げそうだ」 いかづち降り止まぬ空を一瞬だけ見上げ、地面を蹴る。 わずかに逃げ遅れ、マッシュの身体を大電流が駆け抜けていく。 「っ!!」 苦痛は歯を食いしばって飲み込み、声に出さない。 バッツはソロを背負って助けを求める誰かのもとへたどり着けただろうか。 救いの手を、届けられただろうか。 俺達は同じ戦場で共通した敵、そう、理不尽な不幸、そしてとんでもない悪意と戦っている。 ...
  • 314話
    第314話:Removing danger (さて、どうしたものかね) ラムザ=ベオルブは思考する。 無駄に多弁になってしまうのは話術士の副作用のようなものだ。 本来の彼はあのような性格ではない。 それとは別の冷静なラムザ=ベオルブが現状を分析する。 まずは今行動をともにしているこの姉弟。 どうも言動がチグハグというか、どこか会話がかみ合っていないところがある。 弟の目つきもどこか危ない、訳ありなのは見て取れる。 この弟、姉を異常なまでに溺愛している、姉の言うことには逆らわないようだ。 その分、姉の脅威、危険に対しては敏感だ、姉の敵に対しては容赦はしないだろう。 今のところ姉に敵意は見られない、ならばとりあえずこの二人と行動しても危険はないだろう。 何より仲間はほしいし、こんなゲームだ、初対面の者同士疑い出したらきりがない。 信じるに足るかどうかはまだわか...
  • 50話
    第50話:戦いの火蓋 ゴォッ! 竜王の吐く火炎がその場に居る人間たちを襲う! 「危ないッ!」 間一髪、サックスが一同の前に立ちはだかり、水鏡の盾で炎を弾き散らした。 「フバーハ!」 フルートの呪文が光の衣を生み、ロランがガイアの剣で竜王に斬りかかる。 リルムも盾をかざして身を守り、ゼルは一瞬の躊躇の後、徒手空拳ながらも立ち向かっていく。 竜王の咆哮が、岬の洞窟の壁を、ナジミの塔を揺るがした。 【サックス 所持品:水鏡の盾 チョコボの怒り 【フルート 所持品:草薙の剣 スノーマフラー 【リルム 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪 【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート 【ゼル  所持品:レッドキャップ ミラージュベスト  行動方針:竜王と戦う】 【現在位置:ナジミの塔入口】 【竜王 所持品:裁きの杖 魔法の法衣  行動方針:目の前の人間...
  • 420話
    第420話:Rose,Wild rose 空の一端を掠めていく青い影にも気付かずに、フリオニールは走る。 彼方に見える緑、その向こうにあるはずの村――カズスを目指して。 度重ねた戦闘のせいか、走った距離のせいだろうか。 息は上がり、足は鉛のように重い。 だが、疲労や痛覚をごまかすためか、高揚した神経は無意味な全能感を脳に吹き込み続けている。 どこまでも走れそうな感覚、しかし限界が近いことを訴える筋肉。 その二つを取り持とうとするかのように、心は繰り返し、繰り返し一つのフレーズを流し続ける。 (俺は、野ばらだ……誰にも摘まれない……手折らせない……フィンの野ばらだ……) フィン王国の紋章、反乱軍の合言葉たる野ばら。 可憐な花を咲かせながらも、決して屈さず、媚びず、みだりに摘もうとする者の指を鋭い棘で貫く。 強大な帝国に対抗する者達の象徴としては、これ...
  • 487話
    第487話:迷走と覚悟と現実 「…誰です?」 誰何の声が殺気を帯びたその背を引き留める。 サラマンダーはゆっくりとその声に振り返った。 眼前には少年というには逞しく、青年というには幼げな影があった。やけに重そうな華美な盾を肩にかけ、剣は抜き身だが垂れたその切っ先に殺気はない。 「お前は?」 「僕はソロ。誰かを捜しているのですか?」 「捜す…そうだな、誰かを捜しているんだろうな。俺は」 言う唇が歪み、低い嗤いが漏れた。 あからさまに吹き出すその邪気をソロは無言で見つめている。 「この下らない茶番劇、だが俺が今ここにあるのは事実…」 閃光一閃、道の両脇でゆらめく仄明かりを映し、金属の鈍い光がソロの胸元に躍りかかった。 が、既にそこにソロの影はない。跳躍して飛びすさった彼は舌打ちするサラマンダーの面前、4、5歩先で盾と剣を構えている。 「あなたもか!茶番と言いながら魔...
  • 485話
    第485話:輝きと曇りと自嘲の輪舞 悪を逃してしまった。 仲間も未だに見つけられず、そして――― 仲間を守れなかった。 後悔と怒りが混ざる心の内を乱暴に足並みで表現しながら、アルスは消えた影を追って走り続けた。 (許せない――逃がさない―――) 手にした武具を力強く握り廃墟のガレキを踏み荒らし進むアルスの頭の中を守れなかった友の姿が去来する。 遠くへは行っていない。確実にいるのだ、この廃墟のどこかに。 そう確信を持ちつつ駆け続ける。二度も戦友の命を奪った憎き悪を追って。 アルスは叫んだ。友と同じセリフを。 「そこにいるのだろう、フリオニール! 姿を現せ! 剣を抜け! 尋常に、勝負しろ!」 一方でフリオニールはその足音を静かに聞きながら機を待っていた。 だが、先刻のレオンハルトとのやりとりがもやもやと蠢いているのを否定しきれず、彼もまた...
  • 367話
    第367話:Wrath again 唸る拳、放たれる斬撃、人を護り続ける盾。 そしてそれらを打ち倒すために起こる拳と、もう一つ……突風。 それら全てがカズスの街を支配していた。 「ッッらああぁぁあぁああぁぁぁあああぁぁぁあぁ!!」 相変わらずフルートは拳をサラマンダーに叩き込もうとする。 だがそれはイクサスの風に邪魔され、成功させることは出来ない。 また同じようにサラマンダーも、フルートに上手く攻撃をすることが出来ない。サックスの盾に塞がれ、思うように動けないのだ。 また、イクサスもラケットの突風で援護をするのだが、ロランの攻撃が自分に向かってくるが故に集中出来ない。 そしてロランも、その風によってイクサスへの攻撃が思うように出来ない。 そういう泥沼の状況だった。 しかしロランは、先程から言いたかったことをフルートに話す事にした。 「さっき...
  • 500話
    第500話:夜空に星を 昨日に続いてその晩も、ラインハットは騒がしかった。 一夜のうちに失踪した王と、その兄夫婦を探し、兵士達が国中を駆け回っているためだ。 けれども、彼らの働きを嘲笑うかのように、一向に手掛かりは見つからず。 皇太后がいくら怒鳴ろうとも、三人の足取りは掴めずにいる。 「ええい、誰も彼も怠けおって!  よいか! 王が見つかるまで兵には休息も睡眠も取らせるな!  これは我が国の存亡が掛かった一大事! 身を投げ打ち、死ぬ気で探せと伝えるのじゃ!」 無茶苦茶な命令にも、反論できる者はいなかった。 実際問題として、一国の王と、王位継承者が居なくなっているのだ。 デール王とヘンリー夫妻が見つからなければ、ラインハットを継ぐ者は幼いコリンズただ一人。 彼を王の座に立てるとすれば、皇太后が実権を握る形になるだろう。 だが、皇太后は…… 魔物に誑かされたと...
  • 542話
    第542話:A point in the dark 彼女は、背を向けてひたすらに走っていた。 表向きの理由をあげるなら、それは仲間の魔物を殺した男から逃げるため。 だから、進むルートどころか足元さえ闇に覆われた森の中を振り返りもせず、 小さな身体で樹や土に何度もぶつかって小さな傷を作りながら、ひたすら進める方どこまでも背を向けて走っていた。 けれど足を止められないのは後ろから男が追ってきている気がするから、だけではない。 彼女が本当に恐れているのは、殺人鬼なんかではなく答え――真実――だ。  ピエールはどうして戦いを止めてくれなかったのか?  どうしてお父さんはああならなければいけなかったのか?  自分は一体何から逃げ続けているのか? 止まったら、考えてしまったら答えに追いつかれてしまいそうで、少女はただひたすら背を向けて走っていた。 どれ...
  • 320話
    第320話:誰もいなくなった村 「……レナの姉か?」 隣でその言葉を聞いていたソロは、ファリスの顔を見つめ、 「ああ、そういえば」と間の抜けた声を上げる。 「あんた等、レナとあったのか? もしかして今一緒に行動してるとか?」 期待を込めた瞳がピサロを見つめる。 「いや、一時的に行動を共にしていただけだ。今は別だ」 「そう、か…」 その言葉に、ファリスは残念そうに目を伏せた。 「ファリス、レナって言うのは俺たちの妹のレナのことか?」 そこに、後ろでその話を聞いていたテリーが声をかけた。 「違う、オレの妹のレナだ」 「ハハッ、なに言ってるんだよファリス、ファリスの妹ということは、俺の妹って事だろ?」 楽しそうに笑うテリー、その顔に邪気も偽りもない。 まったくの本気でそう言っているのだ。 ソロはその顔を見つめる、そしてその顔には見覚えがあった。 目の前の男は間違...
  • 512話
    第512話:沸騰と冷却の間 「そこアンタっ! まだなんかする気!?」 サラマンダーがそこにいたのは、はっきりいって偶然だ。 と、思いたかったのは、他でもないサラマンダー自身だった。 「言っとくけど、ジャマするんならアタシ容赦しないよ!」 何を思ってここに来たのか。そもそもどこへと向かうつもりでいたのか。 今となっては、彼方へと素っ飛んだ感情なので判りやしない。 追求する気もさらさら無い。 けれど目の前の存在が怒鳴り散らしてる内容を考慮すれば、自分が何をしようとしていたのか、推測できてしまうのが、つらい。 「宿屋へは行かせないんだからね!!」 できることならば、げんなりしたかった。もちろん自分に対して。 生き残ってゲームに勝利する、と決めたというのに、実際には今、正反対の行動をしようとしていたではないか。 倉庫の屋根からモンスター...
  • 318話
    第318話:覚醒と決意、再会と邂逅 打ち出される空気の玉を、ラケットを振るう少年を、 それを阻もうとする天空の盾を、少年を止めようとするソロを―― 壁のように広がる炎や盾に弾かれた衝撃の余波を避けながら、ロックは虚ろに見つめていた。 避け続ける。その行動に意思が関わっているのかどうか、ロック自身にもわからない。 意思が命じずとも身体は勝手に動くものだ。 かつて感情を無くした青年が、剣士相手にそうしていたように。 何を避けようとも、戦おうとも、生きたいという思考すらなくとも、長きに渡る戦闘経験が身体を突き動かす。 あるいは経験などという込み入った物ではなく、もっと純粋にして単純な、生物としての本能なのかもしれない。 あらゆる生命が持つ欲望、己の意思とは別に存在する強烈な衝動。 無意識の領域よりもさらに奥底に刻み込まれた命令に従い、身体は勝手に動く。 『ロッ...
  • 331話
    第331話:ニアミス 「どけどけー邪魔だ邪魔だー!ひき殺されてぇのか、バカ野郎この野郎オメー!!」 背後からの罵声とクラクションに驚いてティーダは振り返る。 軽トラが猛スピードでこちらに突進しようとしていた。 運転席と助手席、そして荷台に誰か居るのが見える。 気絶したアーヴァインを抱えたまま慌ててその場から横っ飛びすると、ティーダ達の体のすぐ前を軽トラが走りぬけていった。 タイヤが地面を巻き上げ、跳ね上がった土がティーダの全身にかかる。 ティーダはあっけに取られて、その軽トラを見送った。 荷台の上には何人かが振り落とされないように必死へばりついている。 何だよ、あれはー!?何であんなのが走ってんの?? この世界の車?それとも誰か支給品が軽トラだったとか? それにしても乱暴な運転だなぁ。もー、誰だよー!! さっき軽トラが通り過ぎるときに一瞬見えた荷...
  • 101話
    第101話:レーベ村宿屋にて 「どうなんだ?助かりそうか?」 「…なぜか、回復魔法の効きが悪くて…でも、とりあえず傷はふさがりました。  まだ目は覚まさないだろうけど、死ぬ事はないと思います」 「そうか、よかった…」 ほっと息をつくロックに、ソロも、汗を拭いながら笑った。 テリーとの戦いで重傷を負ったヘンリーは今、宿屋のベットに寝かされている。 ここに担ぎ込んだとき、ヘンリーは完全に意識を失い――もう先程のような悪態をつくこともなく、顔色も真っ青だった。 それを見たロックはほんの一瞬だけ、もう駄目なんじゃないかとも思ってしまったが。 ソロが汗を流しながら必死で回復魔法を重ねがけしていくうちに、少しずつ顔色がよくなっていった。 苦しげだった表情も今は緩んでいる。ひとまずは助かったのだ。 「というか、アンタも大丈夫か?休みなしで魔法を…」 「さすがにちょっ...
  • 69話
    第69話:戦いを求める者 ハイテンションを通り越して躁状態になっていたヘンリーだったが、ようやく落ち着きを取り戻したようだ。 「思ってたより遠かったな」 平原の向こうに目的地である村の影を認めて、ヘンリーは小さくつぶやく。 記憶の混乱も治まったらしく(G.F.の効果ばかりでなく、頭を打ったことによる面も大きかったのだろう)、 あれから妙なことは言っていない。 こうして普通にしていれば、王族に相応しい理性と威厳を感じないこともないのだが…… 第一印象を拭い去り、ソロの評価を改めるには到底及ばない。 それどころかギャップが激しすぎて、『ちょっとアレな人』という確信を高めるだけで終わっている。 「気をつけてくださいね。どこに敵がいるかわからないんですから」 「どうせ会うなら、敵よりも妻や弟や親友に会いたいんだけどな」 「あれ、奥さんなんているんですか? そんなこと一言も…...
  • 80話
    第80話:魔物の戦い方 地獄の業火にも似た火柱を目撃し、ピエールはその場に近づいた。 もしそこで戦闘が行われているのなら、物陰から不意をついて殺すことも出来るし、 戦闘が終わっていたとしても、勝者の隙をつくことが出来る。 リュカ以外の参加者を倒す。 そう決意したとはいえ、ピエール単体では、その強さは常識を超えるほどではない。 故に、移動するときも細心の注意を払った。 近くまで行くと、火柱の明かりは不意に消えた。 そこには男一人と女一人(男装しているが、魔物のピエールには匂いでわかる)、 そして炭化した、多分もとは人型であったものがころがっていた。 彼らは戦いの勝者なのだろうと、ピエールは理解した。 一対二である。無策には飛び込めない。 ピエールは慎重に二人の隙をうかがった。 しかし、ピエールの推測は実は半分も当たっていない。 シャドウとファリスは別...
  • 342話
    第342話:血の涙 「…レックス、さ…ま」 その死体を見つけたピエールは、その場に立ち尽くした。 何故アリアハンで亡くなられたはずのレックス様の死体がここにある? これは全て殺そうとした私への、天からの当てつけなのだろうか? とめどない考えがピエールを襲う。 いや、考えるな。 リュカ様のため、レックス様も殺す覚悟をしたではないか。 何を戸惑うことがある。 目の前にはただ、誰かに殺されたレックス様の死体があるだけの話。 この程度のことは乗り越えねばならない。 その考えとは裏腹に、死体を見つめるその体は動かない。 彼がもし泣けたのならば、その瞳は涙をこぼしていただろう。 「…レックス様」 死体に近づき、その頬に触れる。 冷たく固まったその頬は何の反応も返さない。 ピエールはその死体を見つめる。 どれほどの時間、そうしていただろう。 ...
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