| モノローグ | とある、気持ちのいい午後のこと。ゆっくりするのには最高のひと時だと思ったのに…… |
| モノローグ | 断りもなしに、ネコちゃんコンビが押しかけてきた。 |
| アメショー | 船長さん船長さん!何かいい案はあった? |
| アメショー | ねえねえ!「何も考えてない」っていうのはダメだからね! |
| モノローグ | この活発な妖精はアメショーだ。なぜかがわからないけれど、彼女はずっと私のことを「船長さん」と呼んでいる。 |
| ブリショー | はあ…… |
| モノローグ | そして隣にいる眠そうな妖精は、ブリショーだ。 |
| アメショー | 約束したじゃにゃいの! |
| アメショー | 船長さんは行き先、私は行き方、そしてブリショーは食べ物を決めるにゃ! |
| ブリショー | 食べ物?食べ物があるのか? |
| ブリショー | ……おや、確かに。魔法使いの部屋には食べ物がたくさんあるようだな…… |
| ブリショー | これは食べられるのか? |
| アメショー | なになに?なにが食べられるの? |
| アメショー | あ~、このビスケットのことかにゃ? |
| アメショー | もぐもぐ……っぺ!まずいにゃ! |
| アメショー | 全然味がしなかった!船の中にも、こんな食べ物は持ち込まないよ! |
| アメショー | 下っぱ船乗りの非常食の方がまだマシって感じ…… |
| ブリショー | そうなのか? |
| ブリショー | それは気になるな…… |
| アメショー | そうにゃそうにゃ、比べてみるといいにゃ! |
| アメショー | ……って、違う!お茶会の話をしに来たんだにゃ! |
| アメショー | あたしの体重、一週間も健康に保てたから~ |
| アメショー | それを祝うためのお茶会をやろうって話にゃ! |
| アメショー | 美味しいスイーツと紅茶で、自分を祝ってあげるのにゃ。 |
| 魔法使い | そんなことしたら、ダイエットした一週間が無駄になっちゃうじゃない…… |
| アメショー | 違うにゃん。 |
| アメショー | この一週間、あたしはデザートを何も食べなかったにゃ。 |
| アメショー | 甘いケーキとか、全部我慢してたよ…… |
| アメショー | 我慢したからこそ、これから食べるスイーツがもっと美味しくなるハズにゃ。 |
| アメショー | そんな風に膨らんでいく期待を込めて、にゃ! |
| ブリショー | でも美味しい食べ物って、いつ食べても美味しいんじゃないのか? |
| アメショー | 分かってにゃいにゃ~ |
| アメショー | 美味しい食べ物でも、毎日食べちゃうと味もしなくなるにゃ。 |
| アメショー | 船乗りでも、たまにはちゃんと岸に上がって休まないといけないにゃ。 |
| アメショー | 美食についても、それと同じことにゃ! |
| アメショー | いつも贅沢に食べていたら、幸福感も段々少なくなっちゃうにゃ。 |
| アメショー | だから、たまにはあたしのように…… |
| アメショー | 食べるのを我慢して…… |
| アメショー | 耐え抜いた末に、自由気ままに食べるんだにゃ! |
| アメショー | で、もう結論は出たかにゃ? |
| アメショー | 今回のお茶会は、どこでやるの~? |
| ブリショー | 魔法使いの工房がいいんじゃないか? |
| ブリショー | 慣れた場所だし、遠い場所までいく必要もない。 |
| ブリショー | 食べるために、わざわざ遠い場所に行くのは…… |
| モノローグ | ブリショーは少し躊躇っている。どうやら美食と行動との価値を天秤にかけているようだ。 |
| アメショー | でも船長さんの工房って、なんか汚れているし…… |
| アメショー | お茶会を開くような雰囲気ではにゃい…… |
| アメショー | 違う場所でお茶を飲みたいにゃ。 |
| アメショー | 例えば…… |
| 魔法使い | 船とかじゃないよね? |
| アメショー | 船だよ! |
| アメショー | ダメかにゃ? |
| ブリショー | 船? |
| アメショー | 船! |
| ブリショー | 楽じゃないな…… |
| アメショー | お茶会は楽にする必要があるのかにゃ? |
| ブリショー | ご飯は楽じゃないと。 |
| アメショー | お茶会はご飯じゃにゃい! |
| アメショー | お茶会は……おやつ? |
| アメショー | いや、そんなにお菓子を食べることもないか。 |
| ブリショー | 船でやるんだったら、行かないよ…… |
| アメショー | 分かった分かった! |
| アメショー | じゃあ砂浜はどうかにゃ? |
| アメショー | 海辺のお茶会って、素敵じゃにゃい? |
| アメショー | ほら、澄み渡る空と海を満喫しながらのお茶会にゃんて…… |
| アメショー | とてもとてもロマンチックじゃにゃいか? |
| ブリショー | とてもとても遠いと思うけど…… |
| ブリショー | そして、とてもとても面倒くさいな…… |
| ブリショー | やっぱり、魔法使いの工房にしよう。 |
| アメショー | うん…… |
| アメショー | しょうがにゃい。 |
| アメショー | 船長さん、お願いにゃ! |
| 魔法使い | な、なにを? |
| アメショー | 船長さんの家でお茶会をやることに決めたにゃ。 |
| アメショー | もっと喜ばにゃきゃ! |
| アメショー | 美味しいお菓子も用意しといてにゃ。 |
| アメショー | さぁて、お茶会のためにもっと運動しようかにゃ…… |
| ブリショー | じゃあ決まりだな。よろしく、魔法使い。 |
| 魔法使い | ね、ねえ!勝手に決めないでよ! |
| モノローグ | ネコちゃんコンビは私の反論なんて聞かず、とっくに出ていってしまった。 |