夢でみた話

(夢の中の原文まま)
「パパがくれたともだち」

「ぼく」は5歳。
クリスマスに、サンタさんがおもちゃをくれたんだ!
ボタンを押すとしゃべるブリキのロボットだ!
すごく、かっこいいぞ!

ひゅーう、どどどう!
ワルイヤツラメ、カクゴシロ!
ぼくは嬉しくて、すぐにパパとママに見せに行った。

パパはいなかった。
ママは、すごく悲しそうな顔をした。

パパ、お仕事かな?


パパは家に帰ってこなかった。
ママはお出かけ。
でも、寂しくない!
ロボットがいるもん!


次の日も、その次の日も、パパは帰ってこなかった。
毎日ママはお出かけ。
つまんない。
ロボット、同じことしか言わないんだもん。



怪獣ごっこしてたら、急に、ロボットがしゃべらなくなった。
ぼく、ロボット壊しちゃった……
ママに怒られるのが怖くて、押し入れのおもちゃ箱の底に、こっそり隠した。


何年かたって大人になって、いろいろなことがわかった。
父は、クリスマスの夜に、母と喧嘩して、家を出ていったらしい。
そして、タバコの自販機の横で、車にはねられた。
即死だったらしい。
あのロボットは、父の最後のプレゼントだったんだ。

母は仕事を始めて、なんとかぼくを育ててきたけど、
体を壊して、祖母の家に行くことになった。

引っ越しの荷物をまとめていたら、おもちゃ箱の中から、
あのロボットが出てきた。
よく見たら、電池が逆さまに入ってた。
あぁ、あのときのぼくは、電池の向きがわからなかったんだ。

入れ替えて、ボタンを押してみた。


「マケルナ!」


子供の頃、飽きるほど聞いた言葉なのに。
なのに。

ぼくは泣いた。


ロボットは、今もおもちゃ箱の中にいる。
でも、クリスマス……父の命日には出してやるんだ。

父さん、プレゼントありがとうって。
最終更新:2007年12月09日 11:32