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麻酔」を以下のとおり復元します。
*術中高血圧
-浅麻酔 よく見られる 痛み刺激による交感神経興奮 麻酔深度を深める
-低酸素血症 酸素濃度上げる
-高炭酸血症 換気条件変える
-手術操作 腹部大動脈手術の大動脈遮断、整形外科の下肢駆血などで末梢血管抵抗↑ あらかじめ血圧を下げておく
-薬剤 ケタミン、パンクロニウム
-内分泌疾患 褐色細胞腫 甲状腺機能亢進症 あらかじめコントロール
-頭蓋内圧亢進 
-その他
術中降圧薬
|Ca拮抗薬|ニフェジピン ニカルジピン|多用|
|プロスタグランジンE1||血圧低下時も肝腎に血流が行く|
|ニトログリセリン||末梢静脈拡張で心負担↓|
|節遮断薬|トリメタファン(アルフォナード)|以前は低血圧手術に使用|
|αブロッカー|フェントラミン(レギチン)|血圧降下と頻脈(α2ブロック) 最近は使用しない|
|βブロッカー|プロプラノロール(インデラル)|心拍数↓|
*右方シフト
慢性貧血では 2,3-DPG ※ 増加により酸素解離曲線の右方シフトが起こるため,末梢組織における血液から組織への酸素受け渡しは促進される 33) 。MAP 加赤血球濃厚液中の2,3-DPG量は減少しているため,多量の輸血を行いヘモグロビン濃度を上昇させ血液酸素含有量を増加させても,組織への酸素供給量は増加しないため,直ちに期待すべき効果がみられないことがあることに注意する 34) 。 ※2,3-DPG:2,3-ジホスホグリセリン酸参考 12 手術を安全に施行するのに必要と考えられる Ht 値や Hb 値の最低値 全身状態が良好な高齢者の整形外科手術において,Ht値を 41%から 28%に減少させても,心拍出量増加が起きなかったという報告 35) はあるが,Ht 値を 27〜29%としても若年者と手術死亡率は変わらなかったという報告もある 36) 。循環血液量が保たれるならば,Ht 値を 45%から 30%まで,あるいは 40%から 28%に減少させても,酸素運搬量は減少しないと報告されている 37) 。 正常な状態では全身酸素供給量は全身酸素消費量を上回っている。しかし,全身酸素供給量が減少してくると,全身酸素消費量も減少してくる。このような状態では嫌気的代謝が起こっている。この時点での酸素供給量を critical oxygen delivery(DO2crit)という。冠動脈疾患患者では DO2crit は 330mL/min であると報告されている 38) 。手術時に 500〜2,000mL 出血し Ht 値が 24%以下になった患者では,死亡率が高かったという報告もある 39) 。急性心筋梗塞を起こした高齢者では Ht 値が 30%未満で死亡率が上昇するが,輸血によりHt 値を 30〜33%に上昇させると死亡率が改善するという報告がある。また,根治的前立腺切除術において,術中の心筋虚血発作は,術後頻脈や Ht 値が 28%未満では多かったという報告がある 40) 。しかし,急性冠症候群において輸血を受けた患者では,心筋梗塞に移行した率や 30 日死亡率が高いことが報告されている 41) 。 冠動脈疾患患者においては,高度の貧血は避けるべきであるが,一方,Ht 値を上昇させすぎるのも危険である可能性がある。Hb 値 10g/dL,Ht 値 30%程度を目標に輸血を行うのが適当であると考えられる 42) 。 全身状態が良好な若年者では循環血液量が正常に保たれていれば,Ht 値が 24〜27%,Hbが 8.0〜9.0g/dL であっても問題がないと考えられる 43,44,45) 。生理学的には Hb が 6.0〜7.0g/dL であっても生体は耐えられると考えられるが,出血や心機能低下などが起きた場合に対処できる予備能は,非常に少なくなっていると考えるべきである。周術期の輸血における指標やガイドラインについては,米国病理学会や米国麻酔科学会(ASA)も輸血に対するガイドラインを定めている 46,47,48) 。実際,Hb 値が 10g/dL で輸血することは少なくなっている 49) 。

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