臨床症状 1. 幼児から青年期に発症する。 2. 脂漏部位や間擦部(頸部、腋窩、胸背部、腹部、鼠径部)に、痂皮に覆われる褐色の角化性丘疹が多発する。 3. 夏季に発汗により増悪する。 4. その他の症状として、掌蹠の点状陥凹、爪甲の変化(白色線状)が特徴的。 粘膜疹(口腔内、咽頭、食道、女性の外陰部)も起こり得る。 病因 1. ケラチノサイトの小胞体にあるカルシウムポンプ(SERCA2)をコードする、ATP2A2遺伝子の変異により発症する。 カルシウムは細胞間接着や表皮細胞の分化を調整する役目があるため、異常角化や棘融解が起こる。 2. 常染色体優性遺伝。 病理所見 Darier病に特徴的なのは1~3 1. 異常角化 (1)円形体:顆粒層に位置し、濃縮核と核周囲明庭を有する大型の円形細胞。 (2)顆粒:角質層に位置し、細長く暗い核を有する扁平な細胞。 2. 基底層上部での棘融解による裂隙形成。 3. 絨毛形成:一層の表皮細胞に覆われた真皮乳頭が、裂隙内に突出する。 4. 過角化 5. 表皮過形成、まれに偽上皮性増殖。 6. 真皮上層の軽度の血管周囲性リンパ球浸潤。 鑑別診断 円形体と顆粒はDarier病に特徴的な所見だが、以下の疾患でも出現することがある。 1. 疣贅状異常角化症:単発の病変で、中央が嚢胞状に陥凹する。 2. ヘイリー・ヘイリー病:棘融解が表皮全層にみられる。 3. グローバー病:小さな病変。組織学的に海綿状態と棘融解の組み合わせ、または棘融解性疾患の組織学的特徴を2つ以上合わせ持つ。