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第1 書面による意思表示ができる年齢等に関する事項 第2 遺族及び家族の範囲に関する事項 第3 臓器提供施設に関する事項 第4 脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳死判定を行うまでの標準的な手順に関する事項 第5 臓器移植にかかわらない一般の脳死判定に関する事項 第6 角膜及び腎臓の移植の取扱いに関する事項 第7 臓器摘出に係る脳死判定に関する事項 1 脳死判定の方法 2 脳死の判定以後に本人の書面による意思が確認された場合の取扱い 3 診療録への記載 第8 死亡時刻に関する事項 第9 臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定の取扱いに関する事項 第10 移植施設に関する事項 第11 その他の事項 1 公平・公正な臓器移植の実施 2 法令に規定されていない臓器の取扱い 3 個人情報の保護 4 摘出記録の保存 5 検視等 6 組織移植の取扱い 第1 書面による意思表示ができる年齢等に関する事項  臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号。以下「法」という。)における 臓器提供に係る意思表示の有効性について、年齢等により画一的に判断することは難しいと考えるが、民法上の遺言可能年齢等を参考として、法の運用に当たっては、15歳以上の者の意思表示を有効なものとして取り扱うこと。  知的障害者等の意思表示については、一律にその意思表示を有効と取り扱わない運用は適当ではないが、これらの者の意思表示の取扱いについては、今後さらに検討すべきものであることから、主治医等が家族等に対して病状や治療方針の説明を行う中で、患者が知的障害者等であることが判明した場合においては、当面、法に基づく脳死判定は見合わせること。 第2 遺族及び家族の範囲に関する事項1 臓器の摘出の承諾に関して法に規定する「遺族」の範囲については、一般的、類型的に決まるものではなく、死亡した者の近親者の中から、個々の事案に即し、慣習や家族構成等に応じて判断すべきものであるが、原則として、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び同居の親族の承諾を得るものとし、喪主又は祭祀主宰者となるべき者において、前記の「遺族」の総意を取りまとめるものとすることが適当であること。ただし、前記の範囲以外の親族から臓器提供に対する異論が出された場合には、その状況等を把握し、慎重に判断すること。 2 脳死の判定を行うことの承諾に関して法に規定する「家族」の範囲についても、上記「遺族」についての考え方に準じた取扱いを行うこと。 第7 臓器摘出に係る脳死判定に関する事項1 脳死判定の方法 法に規定する脳死判定の具体的な方法については、施行規則において定められているところであるが、さらに個々の検査の手法については、「厚生科学研究費特別研究事業脳死に関する研究班昭和60年度研究報告書」、及び平成3年2月に公表された「厚生省『脳死に関する研究班』による脳死判定基準の補遺」に準拠して行うこと。 なお、以下の項目については、特に留意すること。 (1)瞳孔の固定  従来の竹内基準で用いられてきた「瞳孔固定」の意味は、刺激に対する反応の欠如であり、長時間観察を行った結果としての「固定」として捉えていないこと。  したがって、脳死判定時において、あらゆる中枢性刺激に対する反応が欠如していれば、施行規則第2条第2項第2号に規定されている「瞳孔が固定し」として取扱うことが適切であること。 (2)無呼吸テスト  自発呼吸の消失の確認は、無呼吸テストによって行うこととなるが、当該テストは、動脈血二酸化炭素分圧が適切な値まで上昇するか否かが重要な点であって、呼吸器を外す時間経過に必ずしもとらわれるものではない点に留意すること。具体的には、血液ガス分析を適時行い、無呼吸テスト開始前に二酸化炭素分圧がおおよそ基準値の範囲(35水銀柱ミリメートル以上45水銀柱ミリメートル以下)にあることを確かめた上で、二酸化炭素分圧が60水銀柱ミリメートル以上(80水銀柱ミリメートル以下が望ましい)に上昇したことの確認を行うこと。  無呼吸テスト中は、血圧計、心電計及びパルスオキシメーターにより循環動態の把握を行い、低血圧、不整脈等の反応が表れた場合には適切な処置を採ることとし、当該テストを継続することについての危険性があると判断された場合には、直ちに当該テストを中止すること。   炭酸ガスでなく低酸素刺激によって呼吸中枢が刺激されているような重症呼吸不全の患者に対しては無呼吸テストの実施を見合わせること。  なお、臓器提供施設においては、無呼吸テストの実施に当たって、呼吸管理に習熟した専門医師が関与するよう努めること。 (3)補助検査  補助検査については、家族等に対して脳死判定結果についてより理解を得るためのものとして意義が認められるが、簡便性や非侵襲性などの観点から、聴性脳幹誘発反応(上記報告書における聴性脳幹誘発電位検査法)が有用であり、施行規則第2条第5項に規定されているように、できるだけ実施するよう努めること。 (4)判定医  脳死判定は、脳神経外科医、神経内科医、救急医又は麻酔・蘇生科・集中治療医であって、それぞれの学会専門医又は学会認定医の資格を持ち、かつ脳死判定に関して豊富な経験を有し、しかも臓器移植にかかわらない医師が2名以上で行うこと。  臓器提供施設においては、脳死判定を行う者について、あらかじめ倫理委員会等の委員会において選定を行うとともに、選定された者の氏名、診療科目、専門医等の資格、経験年数等について、その情報の開示を求められた場合には、提示できるようにするものとすること。 (5)観察時間  第2回目の検査は、第1回目の検査終了時から6時間を経過した時点において行うこと。  ただし、脳死判定を受ける者の年齢、脳死に至った原疾患、経過等を考慮し、二次性脳障害等医学的な必要があると判断される特段の理由がある場合には、更に長時間観察すること。観察時間を延長した場合、その理由を脳死判定の記録における「その他判定を行った医師が必要と認めた事項」の欄に記載するとともに、事後、臓器提供施設の倫理委員会等の委員会に報告を行うこと。 (6)その他  いわゆる脳低温療法については、脳卒中や頭部外傷等の脳障害の患者に対する新しい治療法の一つであり、脳死した者を蘇生させる治療法ではないこと。  また、脳死判定を開始するに当たっては、それ以前に原疾患に対して行い得るすべての適切な治療が行われたことが当然の前提となるが、脳低温療法の適応については、主治医が患者の病状等に応じて判断するべきものであり、当該治療法を行うことを脳死判定の実施の条件とはしていないことに留意すること。 2 脳死の判定以後に本人の書面による意思が確認された場合の取扱い 第7の1の脳死判定基準と同じ基準により一般の脳死判定がされた後に、本人の書面による意思や家族の承諾が確認された場合については、その時点で初めて法に規定する脳死判定を行う要件が備わると考えられることから、改めて、法に規定する脳死判定を行うこと。 3 診療録への記載 法に規定する脳死判定を行った医師は、法第10条第1項に規定する記録を作成しなければならないことは当然であるが、当該記録とは別に、脳死判定の検査結果について患者の診療録に記載し、又は当該記録の写しを貼付すること。 第8 死亡時刻に関する事項  法の規定に基づき脳死判定を行った場合の脳死した者の死亡時刻については、脳死判定の観察時間経過後の不可逆性の確認時(第2回目の検査終了時)とすること。  また、死亡診断書の記載に際しては、脳死判定により死亡診断がなされた場合には、死亡時刻の記載の他に、脳死判定に係る第1回目の検査終了時の時刻についても、死亡診断書の「その他特に付言すべきことがら」の欄に併せて記載すること。 第9 臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定の取扱いに関する事項  法の規定に基づき、臓器摘出に係る脳死判定を行い、その後移植に適さない等の理由により臓器が提供されない場合においても、当該脳死が判定された時点(第2回目の検査終了時)をもって「死亡」とすること。 第10 移植施設に関する事項1 脳死した者の身体から摘出された臓器の移植の実施については、移植関係学会合同委員会において選定された施設に限定すること。 2 移植関係学会合同委員会における選定施設が臓器移植ネットワークにおける移植施設として登録され、その施設だけに臓器が配分されること。 3 移植施設の見直し・追加については、移植関係学会合同委員会における選定を踏まえて適宜行われること。
第1 書面による意思表示ができる年齢等に関する事項 第2 遺族及び家族の範囲に関する事項 第3 臓器提供施設に関する事項 第4 脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳死判定を行うまでの標準的な手順に関する事項 第5 臓器移植にかかわらない一般の脳死判定に関する事項 第6 角膜及び腎臓の移植の取扱いに関する事項 第7 臓器摘出に係る脳死判定に関する事項 1 脳死判定の方法 2 脳死の判定以後に本人の書面による意思が確認された場合の取扱い 3 診療録への記載 第8 死亡時刻に関する事項 第9 臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定の取扱いに関する事項 第10 移植施設に関する事項 第11 その他の事項 1 公平・公正な臓器移植の実施 2 法令に規定されていない臓器の取扱い 3 個人情報の保護 4 摘出記録の保存 5 検視等 6 組織移植の取扱い 第1 書面による意思表示ができる年齢等に関する事項  臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号。以下「法」という。)における 臓器提供に係る意思表示の有効性について、年齢等により画一的に判断することは難しいと考えるが、民法上の遺言可能年齢等を参考として、法の運用に当たっては、15歳以上の者の意思表示を有効なものとして取り扱うこと。  知的障害者等の意思表示については、一律にその意思表示を有効と取り扱わない運用は適当ではないが、これらの者の意思表示の取扱いについては、今後さらに検討すべきものであることから、主治医等が家族等に対して病状や治療方針の説明を行う中で、患者が知的障害者等であることが判明した場合においては、当面、法に基づく脳死判定は見合わせること。 第2 遺族及び家族の範囲に関する事項1 臓器の摘出の承諾に関して法に規定する「遺族」の範囲については、一般的、類型的に決まるものではなく、死亡した者の近親者の中から、個々の事案に即し、慣習や家族構成等に応じて判断すべきものであるが、原則として、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び同居の親族の承諾を得るものとし、喪主又は祭祀主宰者となるべき者において、前記の「遺族」の総意を取りまとめるものとすることが適当であること。ただし、前記の範囲以外の親族から臓器提供に対する異論が出された場合には、その状況等を把握し、慎重に判断すること。 2 脳死の判定を行うことの承諾に関して法に規定する「家族」の範囲についても、上記「遺族」についての考え方に準じた取扱いを行うこと。 第5 臓器移植にかかわらない一般の脳死判定に関する事項  法は、臓器移植の適正な実施に関して必要な事項を定めているものであり、臓器移植にかかわらない一般の脳死判定について定めているものではないこと。このため、治療方針の決定等のために行われる一般の脳死判定については、従来どおりの取扱いで差し支えないこと。 第6 角膜及び腎臓の移植の取扱いに関する事項  角膜及び腎臓の移植に関する法律(昭和54年法律第63号)は、法の施行に伴い廃止されるが、いわゆる心停止後に行われる角膜及び腎臓の移植については、法附則第4条により、本人が生存中に眼球又は腎臓を移植のために提供する意思を書面により表示していない場合(本人が眼球又は腎臓を提供する意思がないことを表示している場合を除く。)においても、従来どおり、当該眼球又は腎臓の摘出について、遺族から書面により承諾を得た上で、摘出することができること。  また、いわゆる心停止後に行われる腎臓摘出の場合においても、通例、心停止前に脳死判定が行われているが、この場合の脳死判定は治療方針の決定等のために行われる5の一般の脳死判定に該当するものであり、法第6条第2項に定められた脳死判定には該当しないものであること。したがって、この場合においては、従来どおりの取扱いで差し支えなく、法に規定する脳死判定を行うに先だって求められる本人の脳死判定に従う等の意思表示及びそれを家族が拒まない等の条件は必要でないこと。 第7 臓器摘出に係る脳死判定に関する事項1 脳死判定の方法 法に規定する脳死判定の具体的な方法については、施行規則において定められているところであるが、さらに個々の検査の手法については、「厚生科学研究費特別研究事業脳死に関する研究班昭和60年度研究報告書」、及び平成3年2月に公表された「厚生省『脳死に関する研究班』による脳死判定基準の補遺」に準拠して行うこと。 なお、以下の項目については、特に留意すること。 (1)瞳孔の固定  従来の竹内基準で用いられてきた「瞳孔固定」の意味は、刺激に対する反応の欠如であり、長時間観察を行った結果としての「固定」として捉えていないこと。  したがって、脳死判定時において、あらゆる中枢性刺激に対する反応が欠如していれば、施行規則第2条第2項第2号に規定されている「瞳孔が固定し」として取扱うことが適切であること。 (2)無呼吸テスト  自発呼吸の消失の確認は、無呼吸テストによって行うこととなるが、当該テストは、動脈血二酸化炭素分圧が適切な値まで上昇するか否かが重要な点であって、呼吸器を外す時間経過に必ずしもとらわれるものではない点に留意すること。具体的には、血液ガス分析を適時行い、無呼吸テスト開始前に二酸化炭素分圧がおおよそ基準値の範囲(35水銀柱ミリメートル以上45水銀柱ミリメートル以下)にあることを確かめた上で、二酸化炭素分圧が60水銀柱ミリメートル以上(80水銀柱ミリメートル以下が望ましい)に上昇したことの確認を行うこと。  無呼吸テスト中は、血圧計、心電計及びパルスオキシメーターにより循環動態の把握を行い、低血圧、不整脈等の反応が表れた場合には適切な処置を採ることとし、当該テストを継続することについての危険性があると判断された場合には、直ちに当該テストを中止すること。   炭酸ガスでなく低酸素刺激によって呼吸中枢が刺激されているような重症呼吸不全の患者に対しては無呼吸テストの実施を見合わせること。  なお、臓器提供施設においては、無呼吸テストの実施に当たって、呼吸管理に習熟した専門医師が関与するよう努めること。 (3)補助検査  補助検査については、家族等に対して脳死判定結果についてより理解を得るためのものとして意義が認められるが、簡便性や非侵襲性などの観点から、聴性脳幹誘発反応(上記報告書における聴性脳幹誘発電位検査法)が有用であり、施行規則第2条第5項に規定されているように、できるだけ実施するよう努めること。 (4)判定医  脳死判定は、脳神経外科医、神経内科医、救急医又は麻酔・蘇生科・集中治療医であって、それぞれの学会専門医又は学会認定医の資格を持ち、かつ脳死判定に関して豊富な経験を有し、しかも臓器移植にかかわらない医師が2名以上で行うこと。  臓器提供施設においては、脳死判定を行う者について、あらかじめ倫理委員会等の委員会において選定を行うとともに、選定された者の氏名、診療科目、専門医等の資格、経験年数等について、その情報の開示を求められた場合には、提示できるようにするものとすること。 (5)観察時間  第2回目の検査は、第1回目の検査終了時から6時間を経過した時点において行うこと。  ただし、脳死判定を受ける者の年齢、脳死に至った原疾患、経過等を考慮し、二次性脳障害等医学的な必要があると判断される特段の理由がある場合には、更に長時間観察すること。観察時間を延長した場合、その理由を脳死判定の記録における「その他判定を行った医師が必要と認めた事項」の欄に記載するとともに、事後、臓器提供施設の倫理委員会等の委員会に報告を行うこと。 (6)その他  いわゆる脳低温療法については、脳卒中や頭部外傷等の脳障害の患者に対する新しい治療法の一つであり、脳死した者を蘇生させる治療法ではないこと。  また、脳死判定を開始するに当たっては、それ以前に原疾患に対して行い得るすべての適切な治療が行われたことが当然の前提となるが、脳低温療法の適応については、主治医が患者の病状等に応じて判断するべきものであり、当該治療法を行うことを脳死判定の実施の条件とはしていないことに留意すること。 2 脳死の判定以後に本人の書面による意思が確認された場合の取扱い 第7の1の脳死判定基準と同じ基準により一般の脳死判定がされた後に、本人の書面による意思や家族の承諾が確認された場合については、その時点で初めて法に規定する脳死判定を行う要件が備わると考えられることから、改めて、法に規定する脳死判定を行うこと。 3 診療録への記載 法に規定する脳死判定を行った医師は、法第10条第1項に規定する記録を作成しなければならないことは当然であるが、当該記録とは別に、脳死判定の検査結果について患者の診療録に記載し、又は当該記録の写しを貼付すること。 第8 死亡時刻に関する事項  法の規定に基づき脳死判定を行った場合の脳死した者の死亡時刻については、脳死判定の観察時間経過後の不可逆性の確認時(第2回目の検査終了時)とすること。  また、死亡診断書の記載に際しては、脳死判定により死亡診断がなされた場合には、死亡時刻の記載の他に、脳死判定に係る第1回目の検査終了時の時刻についても、死亡診断書の「その他特に付言すべきことがら」の欄に併せて記載すること。 第9 臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定の取扱いに関する事項  法の規定に基づき、臓器摘出に係る脳死判定を行い、その後移植に適さない等の理由により臓器が提供されない場合においても、当該脳死が判定された時点(第2回目の検査終了時)をもって「死亡」とすること。 第10 移植施設に関する事項1 脳死した者の身体から摘出された臓器の移植の実施については、移植関係学会合同委員会において選定された施設に限定すること。 2 移植関係学会合同委員会における選定施設が臓器移植ネットワークにおける移植施設として登録され、その施設だけに臓器が配分されること。 3 移植施設の見直し・追加については、移植関係学会合同委員会における選定を踏まえて適宜行われること。

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