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MQ ~時空の覇者~ - (2023/07/09 (日) 18:22:19) のソース

*MQ ~時空の覇者~
【えむきゅー じくうのはしゃ】
|ジャンル|>|多次元踏破・伝奇ADV|CENTER:&amazon(B0026ZP9UI)|CENTER:&amazon(B0026ZP9TY)|
|対応機種|>|Windows 2000/XP/Vista|~|~|
|発売元|>|アーベルソフトウェア|~|~|
|発売日|>|2009年7月31日|~|~|
|定価|通常版|8,800円|~|~|
|~|限定版|9,800円|~|~|
|レーティング|>|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|
|判定|>|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~|
|ポイント|>|&color(blue){''2009年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板次点''}&br俺達の戦いはこれからだ!&brでも戦ったら負けかなと思ってる&br()''だから彼女と引き籠るのさ''|~|~|
|>|>|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
05年に発表され公式サイトも作られていたのだが、長らく更新が無く、09年になって「そろそろ出します」とアナウンスされ、発売されたという経緯を持つソフト。~
「様々なパラレルワールドを旅する」という設定から、メーカーの社長たる菅野ひろゆき氏のかつて手掛けた人気作『[[この世の果てで恋を唄う少女YU-NO]]』を連想し、期待を抱いた人々もいたが、その実態は…。

「エムキュー」と読むことから、「''m9''」((「プギャー」のアスキーアートの指部分。人を指差して嘲笑する様子を表した罵倒目的のアスキーアート。))の蔑称が付けられている。

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**問題点
***システム面
-ストーリーは一本道で、ただ画面に表示されるテキストを読み進めるだけ。選択肢はおろか好感度システムやミニゲームなども一切無い。''つまり実質「ゲーム」ではない''。道理で公式サイトや前宣伝に「ゲームシステム」の紹介が無いわけである…。
--公式では「''デジタルコミックではない''」「プレイヤーは自らの意思で様々な世界をまわり」とわざわざ明言されていたのだが…?
--文字入力を求められるシーンが初期に2回出てくるが、単に「言われた通りに入力しろ」というだけのものなのでクイズでも暗号でもなく、それどころか''間違って入力しても何事も無く物語は進行する''。そもそもなぜ入力させられるのかもわからない。
--ヒロインは8人いるが、分岐も何もないので単に順番に出てきてHするだけ。

-このメーカーのソフトでは恒例なのだが、ボイスは存在しない。歌も無い。しかし同梱のアンケートハガキには''声優を評価する項目がある''。どう書けと?

-テキストのスキップ機能は有るが、未読・既読の判定はできず、全て飛ばしてしまう。''とはいえ分岐も隠しイベントも無い為''、これはさほど問題ではない。
--問題は、スキップスピードが遅めなのにも拘らず、''スキップすると5分で終了するシナリオの短さ''である。

-テキストには誤字脱字や、文法のおかしい所が多々存在する。酷い時は「オレンジ」という単語を3回連続で「''俺ンジ''」と表記している。
--後に配布されたパッチは誤字を修正できるという触れ込みだったが、''修正し切れていない誤字も多い''。

***シナリオ面
-主人公は、殺された母親からアミュレットを渡されており、「これと同じものを持つ者しか信じるな」と言い遺されているのだが、''同じアミュレットを持つ者など誰1人出てこない''。
--それどころか「アミュレット」という単語自体、それきり殆ど出てこなくなる。主人公も逢う人物にアミュレットを持っているのかを尋ねるどころか、それを気にかける描写すらない。

-「各パラレルワールドには3日までしか滞在できない」と設定されており、「その世界に行く→その世界のヒロインに出会い、惚れられる→Hする→''相手が死ぬ''」の繰り返しとなっている。
--「主人公に惚れる理由」に関しては、端的ながらもヒロイン毎に描かれてはいる。しかし上記の設定に加えてシナリオの分量自体が少ない為、展開が急なものばかり。惚れるのはともかくHまで行くのは抜きゲーもびっくりな超展開としか思えない例も多い。''ほぼ全員処女だというのに''。
---しかも後に登場するヒロインほど尺が短くなって行く。まともに描かれるのは最初の3人くらい。
---通常版・限定版双方のパッケージに描かれている刀を持ったヒロインは、設定的に重要キャラであるかの様に見えるが、実際は''ラスト近くで戦闘に参加してあっさり撃ち殺されて終わる''。
---果ては''当人との戦闘中に、エロCGだけがフラッシュバックとして挿入される''キャラまでいる。
---公式サイトで1人だけ名前が「謎の女性」となっているヒロインがいるが、''何者なのかは登場してすぐに明かされる''。ゲーム内でも他のヒロインと比べて特別扱いされているわけでもなく、わざわざ名前を隠す意味がわからない。
--各世界のエピソードも特に繋がりが有るわけでもない。

-主人公の性格も一定していない。「母親を殺され、復讐だけの為に生きてきた」という重い背景を持ち相応に冷たく尖った性格かと思いきや、''ヒロインの前で急にエロオヤジ化したりする''。
--さすがにヒロインと死別した時は悲しむものの、次の世界では''何事も無かったかのように再びエロオヤジ化する''驚異のトリ頭っぷり。喉元過ぎればなんとやらか。

#region(そしてその旅の果ては…)
-母親の同志だったという人物から''母親の遺言は嘘だったと知らされる''。なぜ彼女が嘘をついたのかは不明。''アミュレット云々どころか母親さえ信用できなかった''。
--しかも母親を殺した相手とは決着が付かずに終わる。

-事件の黒幕に関しては判明し、主人公は「そんな事の為に彼女達は死んだのか!」と激怒し詰め寄る。そして黒幕との戦いに身を投じてゆく…のかと思いきや突然場面が変わり、''主人公が生き残ったヒロインと2人でどこかの異次元に引き籠るというシーンに移行する''。
--「''奴らと戦う事も考えたが、このまま2人で過ごした方がいい''」というモノローグが流れ、そのまま「Fin」と表示され、スタッフロールすら無くタイトル画面に戻ってしまう。無論、それを補完するアナザーストーリーの類や2周目も何もない。ただの思考停止か現実逃避である。
--パッケージには「たったひとつの真実の愛を見付けた時、貴方は…」とあるが、引き籠りの相方にしても''他のヒロインは死んだか敵だったかで、手近に残っているのがこいつだけだった''に過ぎず、「真実の愛」も何もない。
---公式ブログでは、このラストシーンの一枚絵まで載っており''「このまま次元を漂うのか、それとも、もとの次元に戻ることができるのか…」と白々しいキャプションが付いている''。

#endregion

-パッケージ裏に描かれているキャラの内4人は本編にまったく登場せず、公式サイトにも載っていない。またイベントCGが不自然なタイミングで挿入される事も度々ある。これらの事から本作が''未完成品''である事は明白である。

-タイトルの「MQ」の意味は終始まったく不明のまま。公式ブログには''「『ミスティック・クエスト』の略」と書かれており''、「それは正解の1つではあるが、全てではない。クリアすれば意味がわかる」ともある。''しかしクリアしてもやっぱり意味はわからない''。
--サブタイトルの「時空の覇者」についても、実際のところは''「覇者」どころか「逃避者」である。''

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**評価点
-パッケージデザインやオープニングムービーは比較的まともな出来である。

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**総評
本作を一言で言い表すなら「''未完成品''」、これに尽きるだろう。~

ミニゲームや各種システムといったプレイヤーが介入できる余地が無い以上、評価すべき点は必然的にほぼシナリオ一点に集約されてしまうが、そのシナリオですら重々しい上っ面の背景だけがハリボテの如く突っ立っているのみで、蓋を開ければ典型的な矛盾や登場しないキャラクターや描写不足による超展開といった放棄された設定の数々、エンディングすら製作者側のやる気を感じさせない適当な代物である。~
その様はまるで不出来なツギハギであり、タイトル発表から約4年もの間スタッフは何をしていたのか、と疑わずにはいられない。~
はっきり言って''商品失格すれすれの出来''である。

他のクソゲーから一歩抜きん出た出来から2009年のエロゲーKOTYでは大賞も狙える器と言われ、他の候補と熾烈な争いを繰り広げた。~
しかし最終的には[[「超展開シナリオ」>神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア]]、[[「仕様通りに作られているのにクソ」>プロゴルファー猿]]という大きな武器を持った『[[りんかねーしょん☆新撰組っ!]]』に敗れ、次点へと落ち着いた。~
だがKOTYでは敗れ次点の座に甘んじたものの、''本作も十分『りんかね』に匹敵しうる弩級のクソゲーである''。

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**その他
-かつてスクウェア大阪が製作したRPG『[[FFUSA ミスティッククエスト>ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト]]』と『[[時空の覇者 Sa・Ga3>時空の覇者 Sa・Ga3 完結編]]』をそれぞれ連想させるようなゲームタイトルである(しかも上記のように「MQはミスティッククエストの略」と公式に明言されている)が、もちろんタイトルが類似しているだけで、制作スタッフも内容も全く関係が無い。
//スクウェア大阪に恨みでもあるのか?

-「世界を崩壊から防ぐためという名目で、パラレルワールドを渡り歩く」「主人公自身が世界の破壊者と呼ばれる」という、''同年に放送された[[某特撮ヒーロー>仮面ライダー クライマックスヒーローズ]]の様な設定''だが、実はこの設定は2005年の時点で公式サイトに載っていたので、別にパクッたわけではない。

-続編・アドオン・小説版などといったフォローの類は一切無く、全ては投げっぱなしのまま終わってしまった。
--エロゲー雑誌『PUSH』の記事で、''広報担当者が「こんなはずではなかった」とコメントしているので、メーカー公認の失敗作ということなのだろう''。