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ナノノート - (2022/08/22 (月) 22:36:09) のソース

//『カルキュレーター』の時に議論されたことですが、ハードがGBだから持ち込みできない云々は評価項目に記載することが禁止の事項なので余談に移動しました。
*ナノノート
【なののーと】
|ジャンル|電子手帳|&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/165000323.jpg,height=180)|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|発売・開発元|コナミ|~|
|発売日|1992年8月7日|~|
|定価|4,500円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|ゲームボーイを手帳に&brしかし手帳としての機能や操作性に難有り&br;|~|
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#contents(fromhere)
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#center(){{
 &big(){''ぼくの、わたしの電子手帳は、ゲームボーイ。''}
 }}
~
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**概要
「ゲームボーイを手帳として使おう!」という試みで作られた実用ソフト。当時はスケジュールやアドレス帳を管理できる子供向けの電子手帳が各メーカーから発売されており、本作も広い意味でその一形態といえる。

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**手帳機能
-文字入力
--文字入力のキーパッドは左側が数字入力、中央が日本語入力、右側がアルファベットという構成になっている。カーソル移動はB+十字ボタン、キャンセルはセレクトボタン。
--日本語入力は物理電子手帳でもしばしば見かける清音ローマ字+濁点半濁点キー方式。~
例えば、「か」と打ちたければ[K][A]と入力。「が」と入力するときには[K][A]で打った「か」の後に[゛/゜]キーを押す。~
少々独特で慣れるまで大変かもしれないが、AIUEO・KSTNHMYRW・[゛/゜]の15キーで仮名文字が入力できるのはスペース面で大きな利点である。

-パスワード
--4桁の数字で設定する。ON・OFFが可能。パスワード機能はあらかじめオフにしておくこともできる。デフォルト設定はオフ。
--ちなみに、パスワードは数字4桁、1万通りである。

-カレンダー・スケジューラ
--予定入力と休日設定ができる。発売当時は1992年だが、2000年以降にも対応している。
--分刻みでスケジュールが設定できる。

-こづかい帳
--収入・支出の設定、金額集計ができる。
--金額集計は1、6、12ヶ月ごとの集計を表示させることができる。

-電卓
--普通の計算は8桁まで。形や円の面積といった公式を入力して計算させることもできる。

-成績表
--算数、英語、国語、理科、社会、図工、保健、体育、音楽、家庭科の10科目についてテストの得点と平均点を入力する。年間成績をグラフ化して表示できる。

-時間割
--成績表にある10科目のほか、成績表にない道徳、生活、ホームルームも設定できる。

-アドレス帳 
--住所、氏名、電話番号、血液型、生年月日を入力する。検索も可能。
--オートダイアラー機能((電話機の送話するほうにゲームボーイのスピーカー部分を当て、登録した電話番号を指定するとモデムが発する音をたてて、電話をかけられるというもの。))対応。2P通信機能でデータの送信ができる。

-カードメモ
--文章などを記憶してメモを作成する。2P通信機能で相手に送れる。検索も可能。

-パーソナルデータ
--名前、郵便番号、住所、電話番号、血液型、誕生日を入力する。~
2P通信機能で名刺交換ができる。既に入力してあるアドレス帳データを交換できる。

-占い
--データ内にある人物同士を相性診断できる。血液型と誕生日はここで使用する。~
誕生日から12星座を割り出し、血液型と合わせて、相性占いができる。

-オールクリア、オールコピー
--オールクリアと同じ手順でオールコピーという操作もできるのだが、ソフトと本体が2個ずつ必要で、それぞれの本体でこの操作をし、受信側はデータがすべて消えるかわりに送信側のデータをコピー。

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**問題点
-「ゲームボーイを手帳として使おう!」ということだが、手帳機能が使いにくい。このカートリッジはRTCに対応していないため、カレンダーの日付は''毎日わざわざ自分で設定しなおさなければならない''。
//現在はレトロフリークと相殺する形で解決した

//-サウンドはカーソル移動の「ピッピッ」などの効果音のみ。音楽と言えるような曲はジングルすら用意されておらず操作していて寂しい。
//GBの実用ソフトなら取り立てて書くべき点でもないかと。

-文字入力の面倒さ
--物理キーの存在する単体の電子手帳と比べて十字ボタンで文字を選択するゲームボーイのUIはどうしても操作性が数段劣る。
--清音ローマ字+濁点半濁点方式は、物理キーの電子手帳では打鍵数が少なくて済むものの、十字ボタンでカーソルを動かす本作のUIには向かない。打鍵数は多いがカーソルの移動が少なくて済むかなめくり入力の方が望ましかっただろう。
--普通は用意される「小文字」キーが存在せず、これによって「ツァ」「トゥ」「ウォ」などが打てなかったり「ファ」を「HWA」という一風変わったローマ字で入力する必要があるなど問題が多い。
//ツァはTSAで、トゥはTWU・THU・TYUで、ウォはWHO・WO・WYOで打てないことを確認済み

-操作のレスポンスが悪い。

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**評価点
-当時の子供向け電子手帳に比べ解像度の高いディスプレイによる表示文字数の多さ
--ゲームボーイの画面の160×144ピクセルに対し、例えば1993年頃発売のカシオのスーパー電子手帳シリーズの解像度は96×48である。

-上述した日付設定の問題こそあれ機能自体はかなり充実しているほうであり、[[10年以上後の電子手帳ソフト>スタイルブック ~シナモロール~]]と比べても遜色ないレベル。
--成績をビジュアライズしてくれる機能、公式を使って簡単に計算できる電卓機能など、現代でスマホアプリになるような凝ったツールも多く収録されている。%%後者は家の電卓で計算すればいいだけの話じゃん…ってのは内緒の話%%
--パスワードによる内容の保護やデータの引っ越しなど、データベースソフトとしての使いやすさもそれなりに揃っている。

//-相性診断もできる占い機能も便利ではある。

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**総評
小中学生向けにターゲットを絞り、詰めが甘い部分もあるが普通の電子手帳の機能を網羅し、成績表や相性診断など独自性も盛り込んだ一品。~
ただし子供向けの電子手帳は当時から数千円程度の価格帯で存在しており、基本は「普通の電子手帳」である本作では、それらより高価なゲームボーイに手帳機能を持たせる優位性を十分に提示できているとは言い難い。~
//むしろゲームボーイというハードに起因する使い辛さが目立ち、アイディア倒れといえる結果となっている。~
//まして高性能な電子手帳や携帯電話が多く出回っている現代ではとても扱いづらい代物だが、~
//↑1992年のものと現代のガジェットを比べるのはナンセンス
とはいえゲーム専用機にゲーム以外のソフトとして本作を世に送り出した点においては、時代を先取りしていたといえよう。

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**余談
-そもそもの問題であるが、主なターゲットとなる小中学生は''学校へのゲーム機の持ち込みが禁止されていることがほとんどである。''隠れて学校にGBを持ち込む様子が懐古的に示されることはあるが、当然大多数の子供たちはルールを守っていた。

-説明書はA6サイズで小さいとはいえ''82ページ''に達しており、かなりの分量。文章入力の仕方など、説明を読まないと難しい部分が多いゆえに増えてしまったのだろう。

-中古で売られているものはパスワード紛失によるゲーム進行不能状態である可能性があり、おそらくそれはそのままでは使用できない状態になっているので、下記画像の説明書の手順にのっとりデータの初期化が必要なので注意。~
(説明書画像:[[説明書転載1>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/2963/1106/F1000070.JPG]] [[説明書転載2>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/2963/1107/F1000071.JPG]])

-当時のコナミはゲームソフトだけでなく、ファミコンのRF出力をAV出力に変換できるAVセレクタ・各種連射コントローラなどの周辺機器や、テレビお絵かき玩具「ピクノ」などゲーム寄りの玩具も手がけていた。
--玩具市場では各社よりキャラクター付きの電子手帳が販売されていた。とはいっても当然機能は大人用のそれには及ばす、電卓やLSIゲームに毛が生えた程度のものだった。