「フォトカノ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

フォトカノ - (2014/02/14 (金) 21:39:50) のソース

*フォトカノ
【ふぉとかの】

|ジャンル|恋愛シミュレーション|&amazon(B004GCI93S)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚|~|
|発売元|角川ゲームス|~|
|開発元|ディンゴ|~|
|発売日|パッケージ版:2012年2月2日&br;DL版:2012年2月29日|~|
|定価|パッケージ版:7,140円&br;DL版:5,800円|~|
|レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
『[[トゥルー・ラブストーリー]]』シリーズの系譜を受け継ぐ[[エンターブレイン恋愛シミュレーションシリーズ]]の一作。~
とはいってもシステムの一部を継承している程度で製作陣はほぼ異なっており、『キミキス』以前の製作総指揮だった杉山イチロウ氏がプロデューサーであることと音楽が岩垂徳行氏であること以外は全く異なるチーム。~
本作の開発は『[[初音ミク -Project DIVA-]]』のディンゴが担当しており、グラフィックは全面3Dである。~
キャラクターデザインもTLSシリーズのグラフィックを担当し『キミキス』以降の作品のデザインを担当してきた高山箕犀氏ではなく、ディンゴのヤマザキマサハル氏が担当。~
//また前作『[[アマガミ]]』と前々作『キミキス』は世界観が同一だったが、本作では繋がりはない。←前者も後者も公式ソースを確認してからの方が無難

発表自体は2010年末で当初は2011年夏発売予定だったが、延期を繰り返し2012年2月発売という結果になった((お詫びとして初回特典にはヒロインの一人・大谷桃子が描かれたお風呂ポスターが付属された。))。

**内容
-夏休み最後の日、父が新しいカメラを買うために旧式のデジタル一眼レフカメラを押し付けられた主人公は色々な写真を撮りたいと思い、翌日学校にカメラを持ち込んだ。学校中で女子の写真を撮影し、多くの女性と知り合った主人公はその様子を見ていたフォト部の部長と写真部の部長からどちらかの部に入るよう呼びかけられる。来月末に控えた学園祭までにヒロインと親密になり、思い入れのある写真を展示してヒロインに見せ、自分の思いを伝えるのが目的。

-ゲームが始まると主人公の名前(デフォルト名は「前田一也」)と性格を設定することになる。
--性格はイベントには関与しないが、会話のシステムで選べる話題に関わってくる。

-プロローグで所属する部活によってメインストーリーが変化する。フォト部に所属するとストーリーLove(以下ストーリーL)、写真部はストーリーHappy(以下ストーリーH)になる。
--ストーリーLはヒロインの内面に踏み込んだ純愛もののストーリーとなる(エロ展開が全く無いわけではないが)。シリアスな雰囲気が強い。
--ストーリーHはヒロインの内面描写も少しは見せつつも、どこかエッチな展開も見せギャグ要素が強いコメディ的なストーリーとなる。
--ヒロインはメイン6人+隠し3人。隠し3人は部活でストーリーの変化は無し。なので基本的に6×2+3=15のストーリーがあることになる。
---また、部室で発生するイベントを1週間に3回見ると、日曜にイベントが発生。全て見ればバッドエンドとはまた別のEDとなる。
--さらに好感度の状況によりヒロインの心情が「スキ」「ヒタムキ」「ナカヨシ」の3種類に分かれ、それにともない発生するフリーイベント(サブイベント)の内容も変化する。そのためイベントの数は非常に多い。

-1日の流れは起床→登校(ヒロインとのエンカウント)→学校生活(行動選択)→下校(下校会話)→夜(日数進行・好感度チェック)
--学校での行動時間は休み時間1・昼休み・休み時間2・放課後となっている。
---登校時、ランダムでヒロインとエンカウントすることがあり、好感度が上がる。恋愛レベルによっては確実にエンカウントし、好感度とは関係ないイベントが起きる。
---ヒロインとはランダムエンカウントで遭遇し会話する。部室のみイベントが発生する可能性があるもののヒロインとのエンカウント・会話になることはない。
---後述の「うさパワー」を使用して強制的に選んだヒロインとエンカウント可能。
---行動時に「?」の吹き出しを浮かべたキャラがいる場所を選ぶとそのキャラのフリーイベントが発生。好感度が上がる。
---好感度のポイントが最大の状態だとハートの吹き出しを浮かべたキャラが行動時に登場、その場所を選ぶとストーリーイベントが発生(キャラによっては登校時に発生)してストーリーが進む。この時好感度の最大値が上昇、再び最大まで上げてストーリーイベントを見れば夜に恋愛レベルが上昇する。
---共通して恋愛レベル5の2度目のストーリーイベント後に日曜デートに誘うことになるので、最低一週は日曜をあける必要あり。
---恋愛レベルの最大は7(6の状態で2度目のストーリーイベントを見ると学園祭に誘える)。
--行動可能日数は表示上は56日だが、土曜は行動なし、日曜はイベントだけなので実質的に行動可能なのは40日。
--セーブ・ロードは行動選択時ならばいつでも可能。ランダムエンカウントで目的のヒロインと遭遇しなかったらロードして移動場所選択からもう一度、ということも可能である。
--帰宅後、妹の「果音」の部屋に訪れることで、好感度をチェックすることができる。好感度は長方形が横に6つ並んだ図で、好感度と恋愛レベルが上昇するとキャラの位置が右に動く。上下には3つ(レベル1は1つ、2は2つのみ)分かれており、上から順に「スキ」「ヒタムキ」「ナカヨシ」となる。
---果音との会話イベントでは「うさパワー」が1つ(スキルがあればたまに2つになる)もらえ、最大5つストック可能。行動時に△ボタンでこれを使うことで確実にヒロインとエンカウントできる。消費量によって内容は変わり、1つや2つだとヒロインはシャッフルで選ぶことになるが、3つ使うと自分の意思で選べる。さらにスキル追加で使用する数を増やすことができ、好感度の調整や服装の変化などの特殊効果も追加される。

**特徴
-従来作から引き継いだ「マッチング会話」が洗練され、「&b(){バイオリズムマッチング会話}」という独自のシステムになっている。
--会話時は画面右上に「バイオリズムライン」が表示される。バイオリズムラインは波型で、直線を中心にうねうねと変化する。話題は6種類に色分けされており、色分けされた?マークがバイオリズムラインの上を右から左へ流れていく。中央の直線より上に?マークが来たときにそのマークに対応した色の会話を選ぶことで会話が成立し、好感度とテンションゲージが増加。下にある時や対応する色が無い時に選ぶと会話が不成立、好感度とテンションゲージが減少する。同じ色が二つ以上ある場合左側が優先なので、上の位置にある?があってもその左側に下の位置にある同じ色の?があればそちらが優先されテンションと好感度が下がってしまう。
--話題の選択には制限時間があり、それを過ぎるとテンションが下がって仕切り直し。
--2回連続で話題選択に成功すると一度だけ直前に上がった好感度ポイントと同じポイントが一つ追加され、テンションが増加する。
--テンションゲージが最大に近い時に「アタック」を選べば写真撮影を頼むことができ、フォトセッションに移行。断られると会話終了。
--話題は5回まで選べるが、アタックも一度の話題として扱われる(選ぶと会話は強制終了)ので、実質的に4回まで選ぶことになる。
---写真撮影の目的が無いのであれば5回とも話題を選択して終了させることや「やめる」の選択肢で強制終了も可能。
--右上にはドキドキハートゲージも用意されており、恥ずかしい話題を選ぶと上昇、最大になると相手が緊張し過ぎて終了する。テンションが一定値以下になっても場が白けて終了。ハートゲージの最大は隠し要素やカラオケイベント、好感度の状況や写真を見せることで上昇する。
--テンプレ会話だけでなく、イベントに応じた会話をするので会話の内容は多彩。
--?が上半分に来た時を見極める必要があり、さらに現れる?の色はランダムなので狙った話題を選ぶのは難しい。ひたすら好感度を上げるだけなら(ドキドキハートにさえ気をつければ)楽だが、狙ったルートや見たい会話を目指すにはなかなか骨が折れる。意外と戦略性の高いシステムとなっている。
---しかもテンションが上昇すると?が流れる速度が上がる(=早く消える、下に向かうようになる)。
--逆に言うと、バイオリズムラインとハートゲージに気を配れば会話に失敗することは絶対に無いと言ってよい。
---ただし、「行動(灰色)」の選択肢のみターン数や成功した会話数が少ないと成功してもテンションと好感度を落としてしまう。
--最初に選んだ性格で色ごとの話題の数(選択肢の数)は変わるが、会話を繰り返せばレベルアップして増やすことも可能。
--下校会話時も同じシステムで会話することになるが、最後の「アタック」がデートに誘うものとなり、フォトセッションには移行しない。
---デートに誘う場所も恋愛レベルによって変化する。

-本作の肝と言うべきシステム「フォトセッション」。
--まずヒロインにポーズをとらせ、それに対して主人公が移動。場所とアングルを決めた後ファインダーモードに移行して角度やズームの調整をし、Rボタンを押すことで撮影する。
--撮影した写真にはポイントが付く(最大1000P)。ヒロインの写り方によって「Beautiful」「Erotic」の2種類に評価が分かれ、それぞれにポイントが別個で加算される。
---ポイントの類型が一定以上になるとフォト部と写真部の部長からご褒美がもらえ、隠し要素が解放される。
--できるだけヒロインを大きく映すことでポイントは高くなるのだが、恋愛レベルが低いと近づいたときに困った表情になりポイントが下がってしまう。どうすればポイントの高い写真が撮れるのかを考えるのも一つの楽しみ。ポーズの種類も恋愛レベルによって増えていく。
--こちらもドキドキハートゲージがあり、状況次第ではポーズを断られる。表示はされないがテンションもあり、写りが悪い写真を撮り続けると強制終了。
--ヒロイン以外にも劇中のキャラクター「アホ毛あっぴ~」が学園内に隠されており、これを撮影すると「Duck」ポイントが追加され、一定値以上で隠し要素が解放される。
--写真はカメラにデータを残しておき、後でヒロインに見せることが可能(撮影可能な最大数ポーズを依頼するか、エンカウント時会話の代わりに見せることが可能)。「Beautiful」だと好感度とハートゲージの最大値が上昇するが「Erotic」だと好感度が落ちる。写真のポイントで反応と上昇数が変わる。
--以上のフリーフォトセッションの他、イベントでは強制的に撮影することになったり「シャッターチャンス」として特別な状況の写真も撮影可能。これらの場合にはカメラの機能を制限されることがある。

-リズムフォトセッション
--下校デートでカラオケに誘うと発生する。
--いわゆる「音ゲー」になる。中央に示される方向に方向キーを押しながら、中央の輪に光の輪が重なる瞬間をねらってRボタンを押す。
--ポイント数によって最大3つまで好感度を上昇させることが可能(割り振りは自分で決められる)、ハートゲージの最大値も増加する。
--フォトセッションと名がついているものの、カメラに写真データは保存されない。

-その他特徴
--本作のグラフィックは全面3DCGとなっている。PSPというハードの制約ゆえローポリだがキャラの特徴はしっかりとらえており、表情や動きも豊か。
--イベントシーンのCGのようなものは本作には1枚もない。主人公が撮影する写真がその代わりになると言うべきか。
---このため、全て主人公の視点で話が動き主人公の姿は一切登場しない。顔がはっきり描かれないのはともかく、髪型や他の人物との身長の比率すらもよくわからない。
---主人公の容姿については一応の設定はあるようで、アンソロジーや4コマなどでは作家ごとに違う容姿(解釈)ではあるもののある程度固定されている。
---ちなみにイベントでの撮影では主人公が明らかに無理な体勢で撮っているようなシーン((自転車にヒロインと二人乗りして、主人公が漕いでいる状態で後ろに座っているヒロインを撮影するなど))があることなどから「主人公は実はサイボーグではないか」などとネタにされている。
--いわゆる「涙イベント」のデメリットが緩くなった。
---下校イベントでのデメリットは目撃された際に好感度が2つ下がるだけ。
---日曜デートでは発生前の週に好感度ポイントが落ちると断られる。ダブルブッキングだと断られた方は好感度ポイントは完全に消滅するが恋愛レベルは落ちない。2回断られると関係は修復不可能になるものの前作のような「テキタイ」状態にはならない。
---厳しかった前作『アマガミ』のものが前々作『キミキス』のものに近づいた(戻った)と言うべきか。

**評価点
-個性的なキャラクター
--前作『アマガミ』のキャラの個性に比べると癖は強くないように見えるが、やっぱりどこか変わっているキャラが多い。
--特にパッケージヒロイン「新見遙佳」の行動がその設定に対してあまりにも意外過ぎて、初見プレイヤーなら確実に驚かされるはず。
---『アマガミ』パッケージヒロインの絢辻詞とはまた別の方向で強い印象((序盤からTLS系ゲームとしては異常とも取れるほど積極的かつ露骨に主人公にアタックを仕掛けてくる。例えば下校時のお誘いは他のヒロインは主人公が誘うor挨拶だけで見送るなのに対し、彼女の場合『遠くからわざわざ駆け寄ってきて』主人公を『一緒に帰ろうとヒロインの方から誘う』のである。当然、彼女狙いで無い場合断らなければならないのだが、それが出来ないプレイヤーが続出。彼女のルートは『新見さんに攻略されるルート』とすら言われた。))を残し、「さすがパッケージヒロインは格が違った」とネタにされている。ファミ通人気投票では断トツの1位を記録しており、ファンからは主人公のよそよそしい態度と合わせ「新見…さん」とさん付けで呼ばれることが多い。
--前作主人公が「変態紳士」と称される強烈なキャラクターだったのに対し、本作の主人公はところどころエロい考えに至る場面やとんでもない選択肢を見せつつも割とまとも。&s(){代わりに変態成分は写真部の部員二名に移行した。}
--「女の子が普通すぎる」と賛否の分かれたTLSシリーズと、逆に強烈過ぎて賛否が分かれた『アマガミ』の中間の程よいところを取れたと言えなくもない。
--登場人物はフルボイスで、声優陣も豪華である。
---パッケージヒロインの新見遙佳役は伊藤かな恵氏。他にも室戸亜岐役に中原麻衣氏、実原氷里役に水橋かおり氏と『キミキス』のメインヒロインの声優が参加((中原麻衣氏は栗生恵役、水橋かおり氏は里仲なるみ役だった。なお、実原氷里には一部イベントで里仲なるみの設定を思わせるネタが入っている。))していたり、金元寿子氏や大亀あすか氏など若手の声優も起用。
---写真部の部長・九堂博道を演じるのは緑川光氏。イケメンボイスとそこそこかっこいい見た目でエロスと芸術を語る姿は爆笑ものである。

-ヒロインに合わせて、ストーリー自体の評価も高い。
--ベタな展開やギャグなども割と詰まっているものの、ストーリーイベントだけでなくフリーイベントなどにも数々の伏線や設定が押し出されかなり濃密。
--ストーリーLとHで全く違う展開が見られるのも良い。ヒロインの意外な一面が見られてびっくりすることも。
---たとえば、同じ新見遙佳のストーリーでも、ストーリーLでは積極的に接近してくる遙佳に対する主人公の心情と過去がメインになるのに対し、ストーリーHでは遙佳を撮影するためにさまざまな策略を練る写真部とその中での主人公の活動がメインとなる。

-フォトセッションが楽しい。
--自分の好きなアングルを探すことやポイントの高い写真を撮るための方法の模索など、撮影の自由度が高い。
--ポイント獲得による隠し要素解放やDuckの探索など、やりこみ要素も十分にある。
--撮影した写真はスクリーンショットとしてPSPにデータを残すこともでき、お気に入りの写真を壁紙にしたりできる。
--特にクリアすると解放されるフリーフォトセッションでは様々な衣装やポーズの他に、ストーリーではイベント以外で行くことができない場所(非常階段や体育倉庫など)を指定することが可能で、より多彩な写真撮影を楽しめる。
--普通のゲームプレイだと大抵はスカートを抑えるなどして隠されてしまうが、アングルによっては下着なども見えないことはない((なおイベント撮影で下着が映ることはまずない。風が吹いてスカートが捲れたかと思いきや中身はブルマやレオタードだったりジャージだったということばかりである。))。下着についてもヒロインごとに細かい設定がされていたりする。

-会話のシステムが変わったことで、うまく扱えばヒロインに関係なく好きなジャンルの話題を振ることが可能。
--前述通りヒロインやストーリーの進行度、フリーイベントに応じて会話が変化するため多彩な会話を楽しめる。
--普通に学校生活や趣味・食事などの会話をすることもできるし、会話のたびにエッチな話題を振り続けることだってできる。
--成功した話題によってヒロインにつく好感度ポイントが変化するため、決まったルートに進みたければ話題に対応した好感度を覚える必要もある。

-ボリュームがかなりある。
--一周だけEDを見るなら普通に攻略すると7~8時間、一人だけに集中していれば5時間、複数に手を出すと12時間位とそこまで時間はかからないが、何しろメインヒロインの数の倍以上のストーリーがある上に、好感度によってフリーイベントも変化するため全て見るには何周も必要となる。
--隠し要素も多いため、全て回収するには100時間以上かかる。

-BGMも従来通り岩垂氏が担当しており良質。
--泣かせるメロディのメインテーマからエロティックな雰囲気のプライベートフォトセッションのBGMに思わず笑ってしまいそうな失敗時のテーマなど曲の種類も多彩。
--劇中劇「プリティラビィ」のテーマソング「ムーンライト スターライト」がカラオケでヒロインごとに用意されているなど、手が込んでいる。

**問題点
-グラフィックが荒い。
--ポリゴンモデルの質はともかく、グラフィックのジャギーがとてもひどい。写真撮影が題材なのでどうしても見栄えは気になってしまう。
--PVの開発環境は非常に滑らかに表示されているのでタチが悪い。
---これに関しては開発中PVのPC画面と違い、PSPにアンチエイリアス((大雑把に言うと画像の境界のギザギザを目立たなくするために輪郭を背景と融合するように、色を滑らかに変化させる処理を行う機能。2Dにおいては邪魔になる事もあるが、3DゲームのCGモデルの描画においてはほぼ必須といえる))処理の能力が無い事が原因である。
---ぶっちゃけてしまうとこの機能が無いPSPは解像度の関係もあって細かい3Dの描画機能が壊滅的。つまりちょっと考えればPVのような綺麗で細かい描画なんぞ出来るわけがないのは分かりきっているのだが…まさに"画面は開発中のものです"表記を逆手に取ったユーザーに期待を持たせる巧妙な罠である。

-全体的にテンポが非常に悪い。
--場面転換ごとのロードが長い。データインストールで少しは解消される(たとえば下校デート時誰ともエンカウントしなかった場合などロードが全く入らない)ものの、それでも数秒のロードが入って長い。
--撮影のたびに写真データのセーブが入り、セーブの時間も結構かかる。
--フォトセッションで写真撮影すると、そのたびに次の行動(ポーズ指示)選択に戻される。同じポーズで撮りたい場合でも選びなおす必要がある。
--後述するように時間スキップができないので、何もしたくない場合でも時間をつぶすのが面倒である。
--ボリュームはあるのだが、このようにテンポの悪さがネックとなってすべての要素をコンプリートする前にだれてしまうことも。

-写真撮影は「被写体ができるだけ大きく、かつ嫌がっていない状態で撮影すると高いポイントで撮影可能」というシステムのため、高得点を得ようとするとどうしてもカメラを縦に構えて目一杯ズームし画面いっぱいに写るよう接近して撮影という形になりやすく、構図が似通ったものになりがち。
--自分の好みの構図で撮影してもポイントが上がらず、不満を漏らしたプレイヤーも多いのではないだろうか。全ての隠し要素が解禁された後など、写真撮影のポイントを無視するのであれば特に問題ではないのだが…。
--要所のイベントで撮影する写真が1000Pで撮れないのに、なんとなく撮影した写真が最大のポイントを獲得してしまう。しかし文化祭で展示されるのはイベント撮影した写真。ここにはどうしても違和感を覚えてしまうが、もし展示条件がポイント最優先主義だと好きな写真を展示できないという不満が生まれてしまうので仕方ない。
--判定についても若干怪しく、説明書には「顔が写るとBeautiful、写らないとErotic」と説明されているが、実際に顔を入れずに撮影してもBeautifulになることがあったり、顔を入れて普通に撮影してもEroticになったりする。
---特に柚ノ木梨奈、大谷桃子の両名についてはErotic判定がやけに出やすく、プレイヤーから「エロスの権化」「存在自体が女神」とネタにされる。まあこの二人は作中最大の巨乳キャラなのであまり違和感はないが。
--ちなみに被写体がスカートや胸を隠している状態で撮影すると強制的に200ポイント以下(Bad判定)になる。

-「アホ毛あっぴ~」が置かれている場所は固定(一つの場所につき4つ)で、一度撮影するとそのシステムデータではその場所に出現しなくなるのだが、どこのあっぴ~を撮影したのかは記録されない。数が多いのでメモが必須になる。

-イベント収集の要素が非常に面倒なものがある。単純にメインのストーリーを見るだけなら楽なのだが、イベントを制覇するには道のりが非常に長い。
--下校デートは好感度レベルによって内容が変化するが、同じ好感度レベルでも回数ごとに違う内容で、しかもイベント回想にはしっかり「○回目」と記録される。が、下校エンカウントも完全ランダムなので目当てのヒロインを出すまでロードを繰り返すことになる場合も。前述通りロードは長いので苦痛である。せめてうさパワーが下校にも使えたらよかったのだが。
--ルート「ヒタムキ」に進むための好感度調整がかなり厳しい。ハートと音符の好感度マークが同じになるように調整する必要があるが、どの話題がどのマークに対応しているのか調べないとまず狙って出すことはできないだろう(しかも話題と対応するマークはヒロインや好感度レベルで変動するため、ヒロインとレベルごとに調べなければならない)。
--隠しヒロインは最初の1人を出すのは1周クリアだけでいいのだが、2人目はその隠しヒロインを含めた7人のED(それぞれ片方ずつでいい)を見なければ攻略不可能。さらにその2人目をクリアすることでようやく最後の隠しヒロインが攻略可能になる、と、全てのヒロインを開放するだけでもかなり時間がかかる。
--中でもバッドエンド(ヒロインと親密にならない)を見るのが一番面倒。
---ランダムエンカウントの本作だが、裏を返せば絶対にエンカウントしない方法はない。ヒロインを見るとそのたびに選択肢が入るので邪魔。なるべく会話を避けても登下校時のエンカウントを回避する方法はない。部室に行けば別のイベントが発生し、全て見れば別のEDルートに向かってしまう。
---期間も40日と長く、時間をつぶすのはかなり面倒である。時間をスキップする方法はない。
---バイオリズムマッチングはうまく使えば好感度を下げることはほぼないので、長い期間も合わせてうまく攻略できずにバッドエンドへということはまずないと言っていい。
---ちなみに『アマガミ』における「スキBAD」のようなEDはなく、涙イベントもイベントとしてアルバムのイベント回想には登録されないので二股をする意味はほぼない。それどころか学園祭をダブルブッキングすると約束を破られたヒロインから罵倒されるイベントが見られる(イベント回想では見れない)ぐらいで、イベント制覇に必須なED後の後日談は無くなるのでデメリットしかない。しかもこの罵倒の台詞はキャラによって異なるがかなり辛辣である。人にもよるが、あまり聞いて気分がよくなるものではないだろう。
---バッドエンドを見るのはイベント制覇には必須である。尤も、ストーリーLとHの二度見てしまえばそれっきりだが。

-撮影時シャッターを切ると同時にフリーズして電源が落ちるバグがある。
--原因は不明で、発生頻度は稀だがセーブをせずに長い時間続けて遭遇すると悲惨。こまめにセーブするしか対処法はない。

-キャラクターの評価やストーリーの大筋の評価は高いが、ツッコミどころがないわけではない。
--言及されてはいないものの、『アマガミ』と違って本作の舞台は現代(2011年ごろ)のはずなのだが、エロ本のことを「エッチ本」と表現したりするなど、ところどころ古臭かったり妙な表現がある。
--距離ができた幼馴染にはうまく接することができないのに、他のヒロインでは特にそのような描写がないなど、ヒロインごとに主人公の態度が変わるように見える。
---フリーイベントの多さや会話でしっかり描かれるヒロイン像などでツッコミどころについてもある程度補われるため、ファンにはこれらをネタとして受け止める部分もあり、批判的な意見はあまりないが。
--特に柚ノ木梨奈ストーリーLの終盤に発生するストーリーイベントは賛否両論。
---伏線などなく、唐突に発生する。そしてストーリーイベントのため回避不可能。イベントの内容を考えるとそれ自体は特に問題はないと言えるが。
---本作のシナリオを書いたプロデューサー・杉山イチロウ氏は「写真を題材にしたゲームとして入れておくべきだと思い、スタッフ全員と相談し、賛否も分かれることを承知の上で入れた」と語っている。しかしゲームの都合と恋愛レベル終盤で発生することもあってイベント自体はあっさり解決し、終了後は何事もないかのように普通にゲームが進むので違和感がある。意図したことは理解できるが上手く消化できていない感じが強い。
---さらに言うとイベントの内容的に「柚ノ木梨奈のストーリーで」やる意味は全くない。どのヒロインでも通用するイベントだが、他のヒロインのシナリオに組み込む隙がなかったため強引に組み込んだ感じがぬぐえない。
---しかも柚ノ木ストーリーLは過去の問題や主人公との関与がほぼなく、また現状で抱えている深刻な悩みといった部分も希薄で、他のヒロインのストーリーLと比較すると割と落ち着いた雰囲気である。そこに唐突にこのイベントが挟まれるということも大きい。

-人によるものの、バイオリズムマッチング会話で流れてくる話題マークは色以外全く同じ形なので、色覚障害がある人にはプレイに支障が出てくる。

-メモリースティックの推奨容量が他のゲームに比べてとんでもなく多い。&bold(){なんと4Gである。しかもデータインストールを除いての量。}
--これは写真データの情報量が1枚辺り結構かかってしまうためである。((ゲームで使用する写真データは画像データでなく、キャラの配置やポーズなどのポリゴンデータ情報として保存しているためだと思われる。なお、写真データを実際の画像にすることも可能なので画像化したら使うもの以外消すのも有り。))
--発売当時は32Gのメモステが十分流通しているとはいえ高く16Gや8Gの人も多く、持っていたとしてもDLソフトで圧迫されてることもあるためデータ整理が大変な人も少なくなかった。

----
**総評
グラフィックやテンポの悪さなど不満は残るものの、ヒロインやシナリオの評価は高く恋愛シミュレーションとしては文句なしに良作。~
また、カメラ撮影やバイオリズムマッチング、リズムフォトセッション等ゲームとしての楽しさも取り入れている。~
単純に従来のTLSシリーズから続く型にはまった恋愛シミュレーションとせず、新たな要素を取り入れようとしている姿勢も評価すべきだろう。

----
*フォトカノKiss
【ふぉとかのきす】

|ジャンル|恋愛シミュレーション|&amazon(B00AFS2XBG)|
|対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~|
|メディア|PlayStation Vitaカード 1枚|~|
|発売元|角川ゲームス|~|
|開発元|ディンゴ|~|
|発売日|2013年4月25日|~|
|定価|パッケージ版:7,140円&br;DL版:5,800円|~|
|レーティング|CERO:D(17歳以上対象)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**概要(Kiss)
PSVitaにハードを移した移植版。ハードの性能向上により、追加要素が多く用意されている。~
なお、CEROレーティングは1段階上がっている。

**変更点
-グラフィックの質が向上
--ヒロインの3Dモデルは新規作成され高解像度へ対応、さらにアンチエイリアス機能が実装(ON、OFF可)され、ジャギーがだいぶん目立たなくなった。
--さらにFPSがPSP版の30FPS(秒間30フレーム)から倍の60フレームに上昇、キャラの動きも非常に滑らかになった。
--画面に一度に映し出せるキャラの数も増えたため、一部イベントでの演出が変更されている。

-全体的なテンポの向上
--ロード時間が短くなり、写真データのセーブは(自動セーブの場合)会話などと並行して行われるようになったため、待たされる時間が減少した。
--写真撮影後、同じポーズで撮影続行(または途中で終了)が可能になった。
--時間スキップが追加、登下校のエンカウント発生以外の全ての時間を飛ばせるようになった。
---スキップの選択をする際にクラスごとの時間割確認ができる。ヒロインがどこにいるかある程度目星をつけることも可能。

-あっぴ~の撮影難度が低下し、カメラの機能拡張がない状態でもほとんどのあっぴ~が撮影できるようになった。
--また撮影済みのあっぴ~がステータス画面で確認可能となっている。

-うさパワーの使い勝手が向上した。
--果音に一日にもらえるうさパワーが常に最大値までとなり、デフォルトで4消費により任意エンカウント+特殊効果任意選択が使える。
---特殊効果にパワー回復があり、これも最大まで回復する。このためランダムエンカウントは事実上形骸化している。
--下校エンカウントでうさパワーが使用可能になった。

-ルート調整やイベント達成の面倒さもやや修正された。
--隠しキャラの出現条件が緩和。全員1周攻略で攻略可能となる。
--ヒタムキルートに進むための好感度ポイントが新しく作られた。
--得られる好感度ポイントはPSP版だと話題ごとに決まっていて、しかも恋愛レベルで変化する仕様だったが、本作は同じ色の話題は全て同じ好感度が得られるようになり、恋愛レベルでも2以上でヒタムキに変化するものを除き変化しない。

-カメラ周りも調整が入った。
--フォトポイント獲得基準が調整され、ひたすらアップではPSP版ほど高い点数が撮れなくなった。代わりに恋愛レベルが低くてもそれなりの点数が取れるようになっている。
--ポーズの種類も追加されている。
--フォトセッションでの移動範囲が増え、Vitaの特性上スティックを2本使えることなどからカメラアングルの自由度も向上している。さらにタッチパネルによる操作をするモードやジャイロセンサーを使い実際のカメラに見立てて動かしながら撮影するモードも追加。
--その他、カラーレンズの設定やライトの設定など多くの要素が追加されている。

-追加シナリオ「ラブラブデイズ」の追加。告白後の1週間のシナリオとなる(このため人物の服装はすべて冬服に変化)。
--会話して好感度を上げてシナリオを進め、日曜日のデートに誘うのが大まかな目的。サブイベントを除き選択したヒロインとしかエンカウントせず、確実にエンカウントする。
--フォトセッションが仕様変更され、被写体のヒロインにタッチパネルで触れることが可能。
--まれにヒロインの行動をこっそり撮影する「シークレットラブアルバム」というイベントが発生。一定数撮影するとそのヒロインのラブラブデイズ仕様フリーフォトセッションが追加される。
--部室では選択した部活の部長からミッションを言い渡される。全てこなすとフリーフォトセッションの衣装が増える。

-フリーフォトセッションの被写体増加。
--条件を満たせば、劇中に登場する女性キャラが被写体として追加される。ポーズや衣装に制限はあるが、最終的に全ての女性キャラが撮影可能になる。

-ver1.02以降にアップデートしていれば、バイオリズムマッチング会話で流れてくる話題マークの色が現在選択している話題の色以外暗くなるようにできる(ON、OFF可)。色がわかりづらい人でもプレイしやすくなった。

-オンラインでのアップデートやダウンロードコンテンツ(DLC)に対応。
--初期版は進行不能になるものを含め不具合が多かったが、アップデートで不具合の修正や細かい仕様の調整が行われている。
--有料DLC(一律600円)では衣装が追加され、その衣装が作中時間の木曜と金曜の「私服デー」で反映される。さらに私服デーでは恋愛レベル6の下校デートが設定してあるものに変化する(いずれも「郊外のスパリゾートに向かう」というもの)。
---フリーフォトセッションでも購入したDLCの場所と衣装を選択可能。
--初回特典や雑誌特典、アニメ版ディスク購入特典などの衣装追加もある。

-BGMが追加された。ラブラブデイズ用の新規BGMはもちろん、通常のシナリオでも一部BGMが変更されている。追加BGMも岩垂氏によるもの。
--間咲ののかが「恋の果し合い」を挑む際のBGMや、柚ノ木梨奈ストーリーHでの写真部員2名によるDX合体のBGMはRPGの戦闘BGMのようで、無駄にかっこいい。
--タイトル画面のBGMも微妙に変更されている。

**問題点(Kiss)

-人物は修正されたが背景グラフィックは粗いまま。キャラが浮いて見える。

-調整は入ったが、やはりイベント回収はかなり面倒。
--下校デートが回数で変化するのは同様である。
--トロフィーに対応しているが、中にはヒロイン4人の恋愛レベルを6にするというものがある。
---時間的にかなり厳しく、このトロフィーの獲得にはイベント回収はほぼ犠牲となる。
--なお、涙イベントを達成する意味は相変わらずまったくと言っていいほどない。しかもラブラブデイズは文化祭ダブルブッキングをすると解放されないのでデメリットはむしろ増えた。
---しかも、アップデート前の初期版では文化祭ダブルブッキングをすると高確率でフリーズしたため、「誠実になれなかった罰」だとネタにされたことも。

-PSP版のシナリオはほぼ完全に同一内容で収録されているため、ストーリーのツッコミどころもほぼそのまま。
--追加シナリオであるラブラブデイズも同様である。さらに、一部キャラのラブラブデイズ導入はかなり強引。

-ボイスの音質がやや劣化しており、一部こもったように聞こえる。
--体験版時点でこの問題は指摘されており、公式ツイッターで「圧縮率はPSPと同様であり、音が違って聞こえるならハードの違いとしか答えようがない」「ゲーム自体の容量が既にVitaのメモリの限界に近く、これ以上低圧縮率の音声を使うことはできない」と解説された。
--前述したように追加要素の全てがプラスに働いているため、これについては目を瞑ったファンも多い。

-DLCなどを導入すると処理落ちが頻繁に発生するようになる。テンポが悪化。
--前述したようにメモリを使えるギリギリまで詰め込んでいたので、そこにさらに追加すればこうなるのは当然と言える。
--スローになるためバイオリズムマッチングのタイミングを計りやすくなるという利点もある。

-ヒロインやシナリオの分岐の数に対して作れるセーブデータの数は少なめ。
--ヒロイン全ての個別ルートを攻略したデータを残すことはできないので、セーブデータの管理も考える必要がある。
--公式では「中盤まで同時攻略し、ある程度進んだら一人に絞って攻略、クリアしたら中盤のデータをロード」という攻略が推奨されている。

-やはりメモリースティックの推奨容量はとんでもなく多い。写真データ管理のためには仕方がないが。
--できるだけ大容量で空きのあるメモリースティックを入れて遊ぶことをお勧めする。

**総評(Kiss)
問題点の全てを修正したわけではないが、すでに指摘されていた問題はほぼ改善された。~
PSP版での面白さをそのままに、全体の自由度・クオリティは向上した、まぎれもない良移植。まさに「完全版」と言えるだろう。~

……もっとも、その分PSP版の存在意義がほとんどなくなってしまったのは否めないが。~
Vitaを所持しているのであれば、現在購入するならこちら一択である。

**余談
-『キミキス』『アマガミ』と同様に複数の出版社からコミカライズ作品が発表されている。
--コミカライズは全部で5つ。各作品が二人分のシナリオを漫画化(Love AlbumとHappy Albumは同一ヒロインで、それぞれ原作のストーリーLとストーリーHを担当)。
--全ヒロイン中、深角友恵のシナリオだけコミカライズされていない。

-2011年7月6日から2013年12月25日まで『音泉』でインターネットラジオ番組を配信。毎週水曜更新でメインパーソナリティは伊瀬茉莉也氏(果音役)と金元寿子氏(早倉舞衣役)。一時期隔週になったが、アニメ放送開始と『フォトカノKiss』発売に合わせ毎週更新に戻し、白石稔氏(中川行太役)がメインパーソナリティに昇格した。

-2013年4月からTBS系列でTVアニメを放送。全13話。
--第1話では主人公が写真部を選択(フォト部選択だと写真部のキャラが登場しないという事情もあると思われる)しており、第4話まですべてのヒロインとのエピソードが描かれる共通シナリオだが、第5話以降は『アマガミ』のアニメ版と同じくオムニバス。第4話まではゲーム版におけるストーリーH準拠だが、個別シナリオはストーリーL準拠になっている。主人公・前田一也は島﨑信長氏が演じる。
--が、原作とは違い主人公の言動に変態的な部分が多く、特に劇中のあるイベントからゲスな性格のような描写を見せており、しかもそれをその後の話でより強く押し出していることなどから賛否が分かれる作品となっている。一部イベントやセリフの改変・カットなどもあり、キャラクター(特に主人公)の印象はゲームとはかなり異なる。