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注意:このページは、AC版『チェルノブ』と、同MD版、同X68版を紹介する。判定は全て「判定なし」。


チェルノブ

【ちぇるのぶ】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 アーケード
販売・開発元 データイースト
稼動開始日 1988年
判定 なし
ポイント あまりに不謹慎な設定
バッドエンド
しかしゲームとしては普通に出来が良い

概要

独特なセンスで持って迷作・奇作を連発してきたことで有名なゲーム会社データイーストがアーケード向けにリリースした横スクロールアクションゲーム。
独特なプレイ感覚を帯びたゲーム性が特徴だが、それ以上に設定面の不謹慎さで有名となってしまった。

ゲーム内容

  • 即死制の強制横スクロール2Dアクション。ショットをメインに進んでいく。
    • 攻撃/ジャンプ/振り返り の3ボタン式。最大の特徴は「ボス戦以外、チェルノブは強制横スクロールにしたがって走っており、後退することができない」点である。振り返ることと立ち止まることはできるが、画面端に行くとスクロールに押し出されて走り出す。
    • 攻撃は射撃武器と踏みつけで、射撃はアイテムを入手することで何種類かに切り替わり、角度調節も可能。敵を踏みつけることで攻撃することもでき、後半面では踏みつけで空中を渡るシーンもある。
    • ジャンプ(空中制御可)はレバー未入力で垂直ジャンプ、レバー左右入力と同時押しで左右宙返り。宙返り中にショットで回転射撃。垂直ジャンプ中か、宙返り終了時に着地してなければ敵を踏みつけ可能。

アイテム

  • 「UP」という文字アイテム3種はショット性能のパワーアップで、赤が火力、青が連射数、黄が射程。各3段階まで上がる。
  • 黄色くぶっとい「J」のロゴが入っている、赤い五角形のアイテムはジャンプ力アップ。1段階のみ。
  • 武器のアイコンが付いたアイテムで武器チェンジ(カッコ内はアイコン説明)。同種を複数取っても性能は上がらない。
    • 暗赤(銃):デフォルト武器の光線銃。弾速が速い。
    • 青緑(巴型):火輪。火力が上がると飛距離に応じて弾径が拡大していく。但し、かなり画面端近くから逆側に撃たないと最大径にまでならず、チェルノブが画面端にいる機会が少ないので拡大される利点も特に無い。威力は弱目らしい。
    • 青紫(へ):ブーメラン。射程分飛んで戻って来る。
    • 赤紫(棘球):重力分銅。複数の弾が円運動しながらゆっくり射線上を飛んで行く。青UPでショット1回で撃てる弾が最大4発一組まで増え、2回分(計8発)まで画面に滞在出来る。
      張り付き撃ち出来る敵には強いが、それ以外の時は常に弾切れの危険が付き纏う。円運動のせいで障害物に吸収されまくって肝心の的に当たらない事も。
    • 緑(鞭):鎖鞭。伸び切った状態がいきなり表示され*1、表示範囲に当たった敵にダメージを与える。青UPで表示本数が3本まで増え、黄UPで長さが伸びる。
      障害物を貫通し連射装置併用だとかなり強いが、鞭同士の隙間にいる敵に当たらなかったり、生えてる手とか1面ボスといった耐久力の高い相手に弱かったりする。
    • 灰(ミサイル):赤城山ミサイル。誘導弾で弾速と威力は低目だがサーチ性能は高く*2、当たった時の爆風にも範囲攻撃力がある。黄UPで弾速が上がる。
      ボタン押し1回で連射可能数の分が一気に全部重なって発射される為、最初に撃った時はショボく見える。
  • コインはボーナス得点。¥が円高で$がドル安。

評価点

  • 他のACTではあまり見られない独特のゲーム性。
    • 独自の操作系のため、地上にいても狙いが変えられる、後退しながら前方に撃てるなど本作ならではのものがある。
    • STG要素の強いACTでは直接攻撃がない事が多いが、本作では踏む攻撃が可能。また相手を踏むという攻撃は、要所要所で攻略のカギとなる。
    • 非常にクセの強いシステムではあるが操作性は良好であり、システム面やゲーム性そのものに著しい不備、重大なバグ等もないので普通に楽しめる。
  • BGMは数は少ないがいい曲がそろっている。
    • 1面から流れるBGM「チェルノブ・テーマ」は本作を象徴する曲であり、ノリよく熱い曲調が人気。大半のステージはこれが流れる。
  • パワーアップアイテムが豊富で、復帰は比較的楽。
    • だからと言って最強状態が無双になるというほどの強さもない、絶妙なさじ加減。

問題点

  • やはり操作性が独特で、慣れるのに時間がかかる。
    • 向きの変更がボタンという他のゲームにはあまり見ない操作系のため難物。背後の敵に対応するのに是非慣れないといけないが。
    • また攻撃方向の変更も重要な操作。これもまた他のゲームにはあまり見ない操作系。

とんでもない設定に NATTE SHIMATTA

本作を有名作にして最大の問題作たらしめているのが、発売から時代が下った今現在となっては不謹慎にすぎる設定面と演出の数々である。

  • 正式名称は『ATOMIC RUNNER CHELNOV 戦う人間発電所 *3。とにかくタイトルで勝負をかけた危ないゲーム。折しもアーケード版が発売される 二年前(1986年)、歴史的事件である「チェルノブイリ原発事故」が発生。 だが物騒なタイトルのまま開発されてしまったこのゲームは、稼働と同時に色々な意味で伝説になった。
    • ただし、当時の時代性が現代とは大きく異なっていることには留意する必要がある。
      • まず当時はまだ東西冷戦の只中でソ連が明確に敵視されていた事。事故後の対応が非常に悪く、各国に放射能被害をもたらしておきながら誠実さに欠けていた事。被害を隠蔽したため、あまり同情を引かなかった事。これらの理由から、敵の大国を小バカにする危険なネタと思われても、不謹慎だとはあまり思われていなかった。
  • ストーリー(アーケード版)も中々ぶっ飛んでいる。いくら冷戦が完全に終結したとは言えない時代とは言え、これは…。

    ある日、原子力発電所の爆発事故に巻き込まれた、炭鉱夫チェルノブ*4
    九死に一生を得た彼ではあるが、その体には、放射線の影響で異状能力(原文ママ)が身に付いてしまっていた
    そして謎の組織デスタリアンが、その能力を狙って魔手を伸ばしてきた。
    チェルノブとデスタリアンの死闘が、今ここに始まる。

  • 衝撃のエンディング
    • ラストは自由の女神像の上での死闘となる。最後を飾るラスボスは、かの映画「エイリアン」によく似た姿。しかし何故だか上半身しかない。しかも棒のようなものを手に、振り回して攻撃してくるという、ラスボスにしてはシュールな相手。
    • ラスボスの消滅を見届けその場を走り去っていくチェルノブの背後から軍用ヘリと思しき飛行機が追いかけてきて、チェルノブと共に画面外に消えていく。その直後、銃声と悲鳴が響き渡り、そのままゲーム終了。…まさかの バッドエンド である。
    • 理由は異状能力ゆえに有害因子扱いされた、原発事故の口封じ、女神像破壊というテロに対するアメリカの報復…など諸説あるがそもそもゲーム内で何のフォローもないため不明。
      • そしてなぜか英文ではなくローマ字表記でかかれるエンディングメッセージの最初の一文「 OWATTE SHIMATTA 」と、締めにデカデカと黄色のカタカナで表示される 「エンド」 がなんとも味わい深い。

総合評価に LET'S GO GO GO

全てがタイトルに集約されたゲーム。DECOセンスの極みといえる。強制スクロール制や妙に浮遊感のあるジャンプなどシステム面での癖が強く、設定面の不謹慎さからも人を選んでしまう点は否めないが、プレイを著しく阻害するような欠点はなく、ゲームそのものを見れば出来の良い作品にはなっている。
下記の家庭用移植版もあるにはあるが変更点がいろいろと多く、全編に漂う独特なノリはやはりAC版ならではのものといえる。

しかしながら、日本国内で原発事故が発生してしまった今、AC版が完全な形で改めて日の目を見ることはまずないであろう。


チェルノブ(MD版)

対応機種 メガドライブ
発売元 データイースト
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売日 1992年10月16日
価格 7,800円(税抜)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年9月11日/600Wiiポイント
判定 なし
ポイント 設定からアクが抜けた無難な作品に
微妙な変更有り

無難(?)な設定に なってしまった…(MD版)

  • このままでは反社会的集団に認定されかねないことにデータイーストもようやく感づいたのか、家庭用移植に当たってストーリー*5やキャラデザインを無難なモノに修正したのがメガドライブ版である。
  • メガドライブ版ストーリー

    デスタリアンに父が殺され、そしてさらわれた妹を助けるために、

    科学者であるチェルノブが父が開発したコンバットスーツで戦う。

    始めからこうしとけ

  • AC版から大いに世界観が変わったが、怪しげな古代文明の混ざったステージ(この関係でオリジナル版だと違和感のあった土偶のボスがステージとマッチしている)やBGMがこれまた素敵なテイストを放っている。
  • タイトルも「アトミックランナー」は削られて『CHELNOV』のみとなっている。(海外版ではアトミックランナーと副題があるが)
  • エンディングも変更されており、女神像は爆発炎上せず、チェルノブを攻撃してくるヘリ(ステージ3ボスの同型)の形状が普通の軍用ヘリ風だったオリジナルと異なり未来風の飛行メカになっている他、炎上している(恐らくデスタリアンの生き残り)。チェルノブが画面外に逃げた後に死亡音が流れるのは同じ(さらにMD版ではヘルメットが画面内に飛んでくる)
    だが、この後に後日談が流れる。夢とも現とも取れる内容で、一応は救いがある(最後は受け手次第だが)。
  • しかし相変わらず おわってしまった… である。それ以外にも文字のフォントがわざわざ世界観ガン無視で根岸流(大相撲などで使われる筆で力強く書いたようなぶっとい字)になってたり、 「LET'S GO GO」(MD版ではGOが一つ抜けている) といった珍妙な言い回しも相変わらずである。さすがデコゲー恐るべし。
  • AC版ではBGMがステージごとに変わらなかったのに対し、MD版は1ステージごとにちゃんとBGMが用意されている。コンティニューは可能だがクレジット制になっている。オプションで回数増やすことが出来る。
  • グラフィックも全体的にリニューアルされてて、AC版を見慣れてるとちょっと新鮮。
  • 配置やら何やらあちこち微妙な変更がされて難度も変に上がっている。
    • 初っ端のアイテム地帯からいきなり取り逃しを促す敵配置。どうしてこうなった…。
    • 2面から出て来る盾持ちのザコが死ぬと、残った盾が吹っ飛んで来る。当たるとミス。どうしてこうなった…。
    • 2面ボスの土偶が腕を振る。当然プレイヤーへの当たり判定が広がる。弾も遮られる。どうしてこうなった…。
    • 鞭が変に伸び縮みする連鉄球みたいになっている。射程のすごく短い3ウェイブーメランという感じ。
      • 重力分銅は軌道が螺旋ぽく、弾速も連射数も増して使用感はマシになった。

チェルノブ(X68K版)

対応機種 X68000
開発元 ゲームのるつぼ
発売元 電波新聞社
発売日 1993年1月29日
価格 4,900円
判定 なし

特徴

  • MD版の三か月後に発売されたPC移植版。電波新聞社のX68000向け移植シリーズ「ビデオゲーム・アンソロジー」の第2弾として発売された。
    • 画面構成、ゲーム内容共に完全移植を実現している。
      • X68kの標準コントローラはATARI仕様の2ボタンだったため、メガドライブ用のコントローラを使用できるアダプタが付属している。
      • ちなみに、メガドライブのコントローラはコネクタ形状自体、ATARI仕様と同じだが一箇所配線が入れ替わっているだけなので部品があれば自作も簡単だった*6

余談

  • DECOのお茶目な言い訳
    • チェルノブはカルノフ(同名のアクションゲーの主人公)の従兄弟であり、原発事故とは何の関係もない」 「(ソ連の国旗もしくは共産主義のマークがタイトル画面にあることに)あれはチェルノブ家の家紋だ」
    • ただし前記の言い訳に関しては、スラブ神話に実際にカルノフとチェルノブという 兄弟神 が存在する。(データイーストが知っていたかは定かではないが)
      • 確かにChernobogというスラブ神話の闇の神は存在するが、カルノフとの関係については、とあるスラブ神話紹介サイトが事実を確認せず兄弟神だと書いてしまったのがいつの間にWikipediaなどに広まったのが真相らしいが、詳細は不明。
      • さらにこうした勘違いを某雑誌や某書でクソゲー紹介の際に掲載したのも、事実誤認が公に広まった原因となった。
      • 事実がどうあれ、『カルノフ』の時代設定は中世アラビア、本作は1980年代前後、どう考えても(ry
    • 2019年1月31日に配信されたOBSLiveにて企画者の伊井俊一氏*7がゲスト出演した際、本作の裏話について語っている。
      + その内容
    • そもそもの始まりは彼の上司である権藤氏*8から「スピード感のあるゲームを作ってくれ」という話を持ち込まれたところからである。そこから色々考えた結果「強制スクロールにしてみよう」というアイデアが想起され、「他社と内容が被らないことを大前提に考えたら、まず宇宙船や戦闘機は使えない。じゃスピード感をどう表現するかとなったら、「アクションゲームに見えてて速いと思えるものは”人を走らせる”」ということになったので、それを土台にした」とのこと。
    • また、「自分は元々アメコミのアニメが好きで昔は「電子鳥人Uバード」や「宇宙怪人ゴースト」、さらに「スパイダーマン」も見ていた。そこでスパイダーマンの誕生の経緯が「放射能を浴びた蜘蛛に噛まれたことで超人的能力を得た」という点を、自分の中でのヒーローの誕生に見立てて、”それ(放射能を浴びたこと)が元で力を得たプレイヤーが戦う”と言う設定になった」。また、手からビーム等の武器を発射するのは「「宇宙怪人ゴースト」から思いついたもの」とも述べている。ちなみに、まだこの時点では「チェルノブ」って名前すら構想にはなかった。
    • そして、タイトルについてはまず「「RUN」という言葉を付けたかったところ」から膨らませていったと述べている。1つは伊井氏自身がプロレスファンで、ブルーノ・サンマルチノのニックネームが「人間発電所」であったことをネタに、「この時点では「戦う」と「人間」は入れることがアイデアとして既にあったけど、キャラの設定に「放射能を浴びている人間」という要素があってそこから「戦う人間発電所」の部分は決まった。2つめは~RUNはタイトルを口にするとき言いづらいいので「~RUNNER」にしてみようと思い、「~RUNNER 〇〇〇 戦う人間発電所」というところまで固まった。
    • 「〇〇〇」の部分は名前を入れるしかなくなったのだが、既に発電所の名称があるからか最初の部分が「ATOMIC RUNNER」になり、更に開発中に起きたチェルノブイリ原発事故の話題が出て、その際に「名前の響きが気に入ったから」という理由で名前の部分は「チェルノブ」になった。あくまで、最初から狙ったのではなく「偶然の一致」でしかないことは既知のとおりである。
      • ちなみに伊井氏いわく「仮にチェルノブイリとは関係なくてもロシア生まれのヒーローという立ち位置なのは自分の中で決まっていた。また、どのみち別のタイトルにしたところで同じバッシングは浴びるだろうから、あのまま避けて通すことはダメだと思った。」と。なお、社内会議等でも「少なくとも開発中止を命じられるような話は出なかった」と述懐している。*9
      • もっとも事故が起きてなかろうと「原発事故の影響で異状能力が身についた」という設定自体が不謹慎なのは変わりなく、
        原発要素を抜いて「炭鉱夫が事故に遭った」というシナリオにしたところで、85年に北海道夕張市の炭鉱で死者62人が出るガス爆発事故が起きているので十分ヤバかったのだが…
  • その後、チェルノブはデータイーストの他作品でも敵キャラとして活躍。『ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!』( スーパーファミコン )ではなんとラスボスに大出世した。
    • 通常のストーリーでは謎の主催者「C」として三度目のグレートグラップルを開催するが、主人公の溝口誠のストーリーではなぜか世界を股にかける窃盗犯になっており、更にはぐにゃぐにゃのタコの張りぼてが大嫌いだからという個人的な理由で大阪のたこ焼き屋の看板を盗むという奇行まで行っている*10
    • 溝口編での登場シーンでは「あるときは正義のロウドウシャ あるときは科学のギセイシャ!」と上記のAC版とMD版の設定にかけているセリフを言う。
      だがその時の背景は無数の「タコギライ」の文字と 放射能のマーク
      • なお、「チェルノブイリ」はウクライナの地名だが、この作品ではチェルノブの出身が「ロシア?」になっている(同シリーズではカルノフもロシア出身)。
  • セガサターンで完全移植版の発売が予定されていたがお蔵入りになった*11
  • 2011年に、とあるニュースサイト内にあるテレビゲーム関連のコラムコーナーにて、本作が取り上げられた。
    • しかも記事の掲載は、 福島原発事故発生からわずか半年後 である。
  • 不謹慎すぎる設定で顰蹙を買ってしまった本作だが、当のチェルノブイリでは、年月が過ぎ事故当時を知らない若い世代に原発事故のことを知ってもらおうという意図のもと、事故後のチェルノブイリ原発を舞台にしたSFアクションシューティングゲーム「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズが開発されており、人気を博している。

参考動画

+ アーケード版