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*魔法少女まどか☆マギカ ポータブル
【まほうしょうじょまどかまぎか ぽーたぶる】
|ジャンル|RPG|&amazon(B005GT2AX0)|
//全く同じ画像なので1つに統合
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|バンダイナムコゲームス&br()ニトロプラス(開発協力)|~|
|発売日|2012年3月15日|~|
|価格|通常版:6,400円&br()限定版:11,990円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|概ね原作重視のシナリオは及第点&br()バランスは高難度ながら程よい&br()一部オススメできないシナリオ&br()調整不足で評価を落とす|~|
|>|>|CENTER:''魔法少女まどか☆マギカシリーズ''&br()''ポータブル'' / [[The Battle Pentagram>劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram]] / MAGICARD BATTLE|
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#contents(fromhere)
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#center{&size(20){''※本記事には、原作アニメのネタバレが含まれます。''}}
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**概要
2011年にTV放送され、その可愛らしいキャラクターからは想像できないストーリーで話題になったアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の初ゲーム化作品。~
通称『まどマギポータブル』『まどポ』。キャラクターの詳細などの作品概要は非常に長くなるので外部サイトも参照されたし。~
ゲームはADVパートと、ローグライクなダンジョンRPGパートの2面構成。
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**ゲームシステム
***ADVパート
-ルートによって、少女を魔法少女へ契約させる「キュゥべえ」、または魔法少女の1人である「暁美ほむら」を操る。
--「日」と「時間帯」が決まっており、マップ上に散らばった少女たちから1人を選んで会話を進めていく。
-魔法少女でないキャラクターには「因果値」の、魔法少女には「感情値」「ソウルジェム」のパラメータが設定されている。
--因果値が高いと(下がることはない)魔法少女になった後の「MP」が高くなり、強力な魔法少女になる。
--感情値の高低はRPGパートに影響する。一応下げることはできるが、高くなるイベントの方が多い。
--ルート後半から「ソウルジェムが穢れる」イベントが発生することがある。詳細はRPGパートで後述。
-特定のタイミングで、キュゥべえは「Qボタン」を、ほむらは「ほむボタン」を使用して、会話に介入することができる。
--使用を強制させられる箇所では、重要な選択を迫られることもある。
--使用を強制されない場面では隠されており、原作をよく見ていれば気付く・突っ込みたくなるもの、隠されていることに普通は気付かないであろうものまで様々。
-特定の日・時間帯を迎えると、RPGパートへ突入する。
***RPGパート
-「不思議なダンジョン」などに見られる、ローグライクのダンジョンRPG。ダンジョン最深部の魔女を倒すため、魔法少女たちを操る。
--マップの移動・攻撃はスクエア型(四方)。行動は敵味方同時に1マス移動=1ターン単位で進行。
-魔法少女の「魔法」は、「格闘攻撃」「射撃攻撃」「補助」「自動」に分けられる。
--「格闘」の中で最も威力の低いものと、常に発動する「自動」以外の魔法は、全てMPを消費し、一部の魔法には1ターンの「チャージ」も要求される。
--「スペルブック」というアイテムを道中で拾い、条件を満たしてから使用することで、新しい魔法を習得できる。
---魔法の習得は、レベル上げ・アイテム使用による一定以上のステータスの上昇と、特定の魔法の事前習得が条件となっている。これは「マジックツリー」というシステムで管理される。
--キャラクターと攻撃魔法には「斬」「衝」「貫」「無」の4属性が設定されている。
---斬は衝に強く、衝は貫に強く、貫は斬に強い…という3すくみの関係。キャラクターの弱点を突くと大ダメージを与え((「同じ威力の別属性の攻撃と比べれば」大ダメージ。「属性が変わる=魔法が変わる=威力が変わる」なので、実際の上下幅にはブレがある。))、チャージが解除される。敵の属性はもちろん、自分の属性も重要になる。
---無属性は常に一定のダメージを与えるが、チャージを解除できない。
---攻撃魔法には、感情値に比例した倍率補正がかかる。
-HP/MPはターン経過と同時に自動で回復するが、その度に「ソウルジェム」が感情値の高さに比例するスピードで穢れていく。
--他ローグライクゲームにおける「空腹度」のような存在であり、プレイヤーはソウルジェムの管理にも気を配らねばならない。
--魔女を倒すと手に入る「グリーフシード」を使用することで、ソウルジェムの穢れを浄化できる。
---ソウルジェムが完全に穢れてしまうと「HP/MP除く基礎ステータスの低下」「MP消費魔法の使用不可」というデメリットを課される。
---更にルート次第では''「以後のグリーフシード使用不可」「魔法少女の魔女化」(バッド寄りエンド)''が確定する。
***魔法少女
-&color(pink){''鹿目まどか''}(貫)
--射撃寄りで、縦4マス貫通攻撃から始まり、広範囲の貫通攻撃を中心に覚える。射撃系の他2人と比べれば、格闘攻撃のクセも少ない。
---技名も「マジカルアロー」「マジカルスコール」「スターライトアロー」など、格好を付けているがまあまあ普通…と思いきや''「パニエロケット」''だけは思いっきりネタ((オープニングアニメにもある、パニエ(スカートの中身)が膨んで飛んでいくアレ。なお、性能はまあまあ良い。))。
--補助魔法の中でも回復能力が凄まじく、蘇生魔法や''原作本編最終回のまどかを意識したと思われる「天上の祈り」という名称の魔法''((この魔法はソウルジェムの穢れを少し浄化する効果がある。))まである。
--その反面、状態異常に耐性を持たないため、油断すると回復力を発揮できないまま力尽きてしまう。
--魔法少女にならないままエンディングを迎えるルートが多く、因果値を上げるイベントは非常に多い=魔法少女になっているルートではMPが多いのだが、初期レベルの低さ、MP以外のステータスの低さから、早期の活躍は見込めない。
-&color(purple){''暁美ほむら''}(衝)
--射撃寄りで、無属性が多い。安定したダメージを与えられる反面、チャージ解除はできない。格闘攻撃は1マス攻撃2種の他には広範囲型1種しか持たない。
---技名はそのまんま「時間停止」「鈍器」''「鈍器そして鈍器」''、タンクローリー突撃が''「危険物第四類」''など、他の魔法少女のような華やかさの無い淡々としたもので、これもこれで笑いを誘う。そんな彼女も、最後の最後に''「侵食する黒き翼」((TV最終回のラストシーンに登場するアレ。))''を使う。
---他の魔法少女より魔法を一つ多く覚えられる。要求されるステータスの高さに反して派手なものではなく、マジックツリーにも影響しない終端部で、やりこみ要素兼ファンサービス。
--5ターンに及ぶ「時間停止」、2回行動が可能な「倍速状態」を付与する「クロックアップ」という2つの強力な補助魔法を扱える。
--状態異常の耐性も多く安定性はあるが、回復魔法は一切覚えられない。
--ほぼ高レベルで参入し参入ルートも多いが、使い方を覚えるには、やや時間を要するかもしれない。
-&color(orange){''巴マミ''}(衝)
--射撃寄りで、高威力・広範囲・''要チャージ・大消費''の巨砲主義。
---技名はおなじみ「ティロ・フィナーレ」に始まりほぼイタリア語で統一、日本語の技名も「黄金の美脚」「無限の魔弾((カットインのボイスでは「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ」というイタリア語読みで叫ぶ。))」と派手なもので、ファン界隈で散々ネタにされる中二病テイストが満載。((原作者の虚淵玄は「厨二病ではない」と公言しており、ドラマCDや本作でも「恐怖で怯えそうになる自身を鼓舞するために、昔憧れた魔法少女のよう格好良く戦いたい」という意思を表明しているが…。))
--行動を数ターン封じる状態異常「バインド」を補助魔法で敵に付与、自動魔法で''攻撃時にも低確率で付与''できる。足場への攻撃を5ターン無効化する補助魔法「絶対領域」を覚えれば、名実ともに砲台になる。
--格闘も含めればチャージ無しで三属性全てを扱えるが、威力の高い攻撃は格闘も含むほぼ全てが要チャージ。状態異常にも弱く、絶対領域・バインド付与で隙に付け込まれない戦い方を求められる。
--高レベルで参入するが、ルートの展開によっては序盤で退場してしまうので、頼りすぎは禁物。退場しないルートでもMP大量消費後のソウルジェムに注意。
-&color(blue){''美樹さやか''}(斬)
--格闘寄りで、極めて攻撃力が高いが、ほとんどの射程が1マスで被弾率が高い。
---「エッジ」「コラテラルエッジ」などカッコイイ感じのもの、「アレグロ」など音楽用語にちなんだもの、「スクワルタトーレ」「ローレライの旋律」などマミに影響されていそうな中二病チックなものと、技の由来がバラバラなのもノリの良いさやからしい。
--3マス先へ突撃する「スティンガー」、2倍行動できる特殊状態「倍速」を付与できる「アレグロ」で機動性を確保できる。
--自動回復を強化する自動魔法を覚えれば、生存率は高められる。広範囲射撃も覚えるが、主火力とするには大幅な強化を要する。
--因果値を上げるイベントの多さよりも、まどか同様の初期の低レベルと、本作の展開上感情値を上げるイベントの多さが気になる。RPGパートの役割は単純で強力だが、ADVパートも含めて管理するのはやや難しい。
---ADVパートの悪影響を受けない「謎の魔女結界」では、''圧倒的な火力で魔女を瞬殺していく強キャラ''と化している。
-&color(red){''佐倉杏子''}(貫)
--格闘寄りで、縦2マスの貫通攻撃が最初から使えるので、威力・範囲ともにまずまず。一方で、射撃は普通の4マス単体射撃以外だと「自分から縦3マス先を中心にした×の字5マスを攻撃」というクセの強いものだったり、最後に覚える魔法は単発威力だけの''自爆特攻''((戦闘を継続できるなら、他の技の方がダメージを稼げる。))だったり、大技・広範囲攻撃技には恵まれていない。
---序盤こそ「突き」「打突」「飛槍」など普通の技名だが、ドラマCDで明かされた「ロッソ・ファンタズマ」だけでなく、''「断罪の磔柱」「浄罪の大炎」''と段々と格好をつけた感じになってくる。
--さやかと同じ3マス突撃「打突」が使えるので機動性もあり、自分の前方横3マスに壁を作る補助魔法「縛鎖結界」で敵の流れを変えることもできる。
--全体回復の補助魔法「食うかい?」は効果こそランダムだが、どの効果も強力((「小回復」「中回復」「全回復+蘇生」「MP回復」「感情値減少」の5つがランダムで、偏らずに出る。MP回復はこれ限定、感情値減少も実質これ限定のようなもの。))。回避力の高さ、状態異常への耐性、自身が付与できる状態異常「幻覚」、敵への攻撃時にランダムでアイテムを奪う自動魔法「盗む」などに恵まれていることもあり、ソロプレイでもパーティの補助でも立ち回れる。
--総じて高い性能を持ち、参入も高レベルだが、本格的な参入ルートの開放は後半。
***次周引継ぎ
-各ルートでエンディングを迎えるか、ギブアップすると、リザルト画面「成績表」へ進み、「感情エネルギー」を獲得する。
--感情エネルギーは、見たエンディングの種類による上下以外にも、魔法少女の感情値、魔女化した魔法少女の元々の因果値も加算される。
--感情エネルギーは「まどか☆マギカショップ」で、ギャラリーモード用のイベントCG、ADVパートの隠しQボタン・ほむボタン開放、RPGパートの攻略を助けるアイテムなどと交換できる。
-因果値はルート内で上がったもの、魔法少女であればレベルもボーナスとして精算し、次回以降プレイするルートでも引き継ぐ。
-エンディング次第で新ルートが追加される。
***収録ルート
ループものの原作をアレンジして個別ルートとして収録しており、ストーリー内容、魔法少女として登場・操作可能なキャラクターが大きく異なる。
-&color(pink){「''夢の中で逢った、ような……''」} (まどかルート)
--操作可能キャラクター:巴マミ、美樹さやか、暁美ほむら、佐倉杏子
--鹿目まどかを主役としたストーリー。強制1周目。
--チュートリアルを兼ねた「ほぼ」原作に沿ったストーリーであり、プレイヤーが介入できる部分は少ない。
-&color(orange){「''あなたが側にいてくれるなら''」} (マミルート)
--操作可能キャラクター:巴マミ、鹿目まどか、佐倉杏子
--巴マミを主役としたストーリー。2周目から解放。
--シナリオ分岐、魔法少女の魔女化など重要な要素が入り、ここからが本番となる。
--ほむらによるループが起こる前の時間軸(1周目)であり、BD1巻付属ドラマCD「メモリーズオブユー」の流れをくんでいる。
--マミの初心者時代や、まどかとの邂逅が描かれる。
以下ルートは一定のエンディング後に追加。
-&color(blue){「''私が願った、奇跡''」}(さやかルート)
--操作可能キャラクター:美樹さやか、鹿目まどか、暁美ほむら(眼鏡)、巴マミ、佐倉杏子
--美樹さやかを主役としたストーリー。マミルートの特定エンド後(最短3周目)に解放される。
--原作3周目をモチーフにした、ほぼオリジナルのストーリー。ほむらのループが開始された後の時間軸(2周目以降のどこか)における物語。
--上条恭介の手を治すために契約したさやかの戦い、そして葛藤が描かれる。
-&color(red){「''残された最後の希望だったんだ''」}(杏子ルート)
--操作可能キャラクター:佐倉杏子、美樹さやか、暁美ほむら
--佐倉杏子を主役としたストーリー。さやかルートの特定エンド後(最短4周目)に解放される。
--ほむらがメガネを外した後、原作とほぼ同じ時間軸における物語。
--マミの死を聞きつけて見滝原に現れた杏子が、さやかと衝突する中で、魔法少女としての生き方、本来の願いを思い出していく。
--単なる回想シーンに留まらない「過去編パート」が挟まれ、BD5巻付属ドラマCD「フェアウェル・ストーリー」を元にした、杏子の更なる掘り下げも行われる。
以下ルートは同じく一定エンディング後に追加。視点がキュゥべえではなくほむらになるため、「Qボタン」は「ほむボタン」になる。
-&color(purple){「''運命はきっと変えられる''」} (ほむらルート)
--操作可能キャラクター:暁美ほむら、巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子
--暁美ほむらを主役としたストーリー。早ければ3周目から解放される。
--原作時間軸のほむら視点プレイ。多数の分岐を経て様々なエンディングが描かれる、本作の集大成となるルート。
---グッドエンド達成に必須の選択肢は、杏子ルートの特定エンド達成まで未解放となる。そのため、本作は最低でも5周が必要。
-「''想いは現実を超える''」(番外編)
--一応、暁美ほむらを主役としたストーリー。ほむらルートのエンドをどれでも1つ見ると解放される。
--ほむらの思いつきで始まる、原作とは全く異なる悪乗りギャグ全開のルート。
***謎の魔女結界
-まどかルートエンディング後から、RPGパート専用モード「謎の魔女結界」が追加される。
--魔法少女は全てレベル1から、魔法は「本編で習得→ショップで購入→結界内でスペルブックを入手→再習得」させなければならない。
---レベル・習得魔法は、謎の魔女結界モード内で引き継がれる。
--各ルートのエンディングを見る度にダンジョンが追加されていき、ダンジョン内で複数体の魔女が登場するようになる。ラストダンジョンは50階層にも及ぶ。
--ダンジョンをクリアすると、こちらでも感情エネルギーが獲得でき、ショップにもアイテムが追加される。
----
**評価点
-因果値・感情値のシステム
--幾つものルートで因果値を溜め、徐々に強力な魔法少女になっていくのは、「ループもの」である原作を再現できているし、周回プレイ前提のゲーム性にもかみ合っている。
--感情値が高すぎると、攻撃力の増加というメリットよりも、ソウルジェムを穢し魔女化へ近づけていくデメリットの方が目立ってしまうので、感情値をコントロールする必要が出てくる。
---しかし、思い切って魔女化させれば、感情エネルギーを獲得でき、次周への引き継ぎや、ギャラリーの開放などのメリットがある。
---と言うより、''感情エネルギーの回収こそがインキュベーターの本当の目的である。''実際、Qボタン発動中のキュゥべえも、その目的を全く隠していない。
--総じて、ゲームの遊び甲斐と設定の落とし込みがバランス良く両立されている。
-ADVパート
--原作のシナリオライターである虚淵氏が監修しており、原作の世界観・雰囲気を大きく崩さない範疇で、原作補完や心温まる描写、''心をへし折る展開''が織り交ぜられている。~
「賛否両論点」「問題点」にて後述する箇所もあるが、シナリオ全体を通して見れば好評と言える。
---魔法少女になりたてのマミが「銃」を武器に選ぶまでのエピソード、本編開始前のマミ・杏子の馴れ初めから決別など、原作の補完は序の口。~
「恭介の父がバイオリンを捨てないように引き止めるまどか」「タツヤ(まどかの弟)を邪険にしつつも放っておけない杏子」のような、原作で接点のない組み合わせも、違和感は少ない。
--ADVパートの台詞はフルボイスで、口パク会話の完成度も高い。声優はほぼ全て原作通りのキャスティングで、演技力の低さや違和感に悩まされることは少ない。
---本作オリジナルのキャラクターおよびキャスティングは「魔女に襲われる子供と母親」「町のチンピラ」などモブ数人程度。
---数少ない代役が当てられているキャラは「電車のホスト」(飛田展男氏と三木眞一郎氏の2名)。印象的なシーンに登場した人物だが、1シーンしか登場しない割に大御所であるため、差し替えは仕方ないか。
---その一方、杏子の父は、ドラマCDから引き続き''銀河万丈氏''が努め、過去編に色を添えている。ホスト役以上のビッグネームだが、重要なキャラクター故、代役にならなかったのは幸運。
#region(ゲーム本編ネタバレ込み)
-魔女デザインを担当していた劇団イヌカレーが、''魔法少女5人全員の魔女化''、設定だけ存在していた魔女を新たに描き起こして協力している。
--シナリオにどの程度まで協力していたかは不明だが((原作の時点でも、魔女の裏設定的な「魔女図鑑」で見られる背景・パーソナリティを担当していたことから、影響を与えていた可能性が考えられる。))、既存の魔女も新設定で強敵として描かれるなど、大幅に補強されている。
--ほむらは原作アニメでも「魔女化の条件」が仄めかされていたが、マミ・杏子は魔女化に至る展開も含め、完全に新規の設定。
-各ルートの分岐は「魔女化に直結するイベントを回避できるorできない」のみだが、ほむらルートの分岐は圧倒的に多く、良い意味で別物のようになっていく。
--マミを助けるor見殺しにする。
---「3話」の退場でおなじみのマミを生存させることで、ほむらの世話を焼く微笑ましい一面や、劇場版以前の当時では珍しかった魔法少女同士のやり取りが多く見られるようになる。
--さやかを契約させるorさせない。
---同じく原作では魔女化してしまう悲劇に見舞われるさやかも、そもそも契約させないでおくことができる。
--さやかが魔女化してしまうor回避できる。
--さやかの魔女化後に真実を明かすor隠す。
--さやかの魔女を杏子たちに任せるor先回りして倒す。
---さやか魔女化の真実を隠した場合は、仇討ちとしてワルプルギスの夜の打倒を固く誓う、原作からすれば予想外の展開を見せる。
---ところが真実を明かした場合は''せっかくマミをここまで生存させていても、絶望して自殺する可能性のある選択肢が出現する''という、シナリオでも''ゲーム難易度でも''ハードな展開が待ち受けている。
---あるエンディングでは「もう誰にも頼らない」という宣言通り、ほむら1人での勝利を相打ちながら達成する。その結末はプレイヤー自身の目で確かめてほしい。
#endregion
-RPGパート
--原作のハードな内容のせいか、キャラゲーの割にかなりの高難度で、初見殺しも少なくない。
---例えばアニメ第3話に相当する「お菓子の魔女」とほむらの戦闘は、戦闘開始前に「噛み付き攻撃を溜めている間に、次の足場まで避難しろ」というアドバイスが出る。~
ところが実際は(原作再現とはいえ)避難には膨大なMPを消費する時間停止が必須な上に、避難先では使い魔の増援が補充されており、闇雲に逃げるだけではジリ貧に陥ってしまう。
---しかし、ここから「誰を、どう動かすか」をきちんと考えればクリアできる、''決して理不尽ではない絶妙なバランス。''~
時間停止からクロックアップを併用して''10ターン連続行動''という他のゲームではあり得ない状態を作り出し、逃げずに立ち向かえば、鈍器で撲殺できる。
--この他、キャラクター性能の個性化・差別化が非常にしっかりとしている。
---例えばほむらの場合、前述の時間停止&クロックアップが非常に強力だが、無属性攻撃が主で、厄介なチャージ攻撃を解除できない。~
そこで、時間停止発動後に他のキャラへ交代したり、また交代先のキャラも時間停止中にあり得ない量の攻撃を行える…といった具合。
---HPは自動で回復すると言っても、ソウルジェムの濁りがあるのはもちろん、敵の攻撃に対しては微々たるものである。~
そもそも''HPがゼロになれば戦闘不能になる''ので、まどか・杏子の回復(蘇生)は、結局のところ必須となる。
---どのキャラにも「自分にしかできないこと」があり、パーティの役割分担が重要性となる。没個性で空気扱いされるキャラはいない。
--「謎の魔女結界」では、感情値とレベル差による優劣といった事情に悩まされることなくRPGのみに没頭でき、やり応えもある。
---ここでしか見られない魔女・使い魔には'''キュゥべえの姿をしたもの'''もいるので、原作での鬱憤を晴らすのも一興。
--魔法も必見。ゲームということもあり全員の魔法に名前が付いていて、カットインとボイスの挿入も多い。
--2Dと3Dを組み合わせて再現された魔女結界も原作のイメージを損なっておらず、なかなかの見ごたえ。
-音楽
--ニトロプラスと縁の深いZIZZ STUDIOが楽曲を製作しており、(梶浦由記氏ではない事情や先入観を抜きにすれば)作風と合っていて好評。
---タイトル画面曲からして「incipit in prece」(ラテン語の意訳で「祈りから始まる」)など、原作と同様に曲名をラテン語で名付ける拘りようである。
---原作曲のない本作オリジナルの魔女にも、違和感の無い楽曲が用意されている。
----
**賛否両論点
-シナリオの不可解・消化不良な点
#region(ゲーム本編ネタバレ)
-まどかルート
--アニメ第8話:まどかの契約を阻止するため、キュゥべえがほむらに銃殺されるシーンから分岐。''間に合わずまどかが契約してしまい、その後数回の会話でゲームが終了する。''
---後々振り返れば、このルートはチュートリアルの位置付けだったと捉えることができ、分岐がないのもうなずける。
---とはいえ、このルート''だけ''が分岐しない上に、「次はこうはいかない」という旨のほむらの台詞で''打ち切り同然に終わってしまう。''
---事前情報なしで面食らい、「本編通り進むはずなのでは」と疑ったり、眉をひそめてしまった人も多かっただろう。
---シナリオ選択画面にクリアマークと「エンディングパターン全回収の有無」を見分けるマーク(車輪が銀or金)が付いており、ゲームを進行させればその意味は理解できるようになっている。
-さやかルート
--このルートで起きる事件とその顛末について、賛否両論あり。
---さやか・杏子・マミが、3人がかりでも苦戦する魔女と遭遇。~
マミはまどか・ほむらへの救援要請を提案し、そのためにさやか・杏子を逃がす殿を買って出る。
しかし、さやかはマミを放っておけずに戦闘を続行。マミの指示に従うべきとする杏子と口論を始める。~
そして、さやかは口論による不注意の隙を突かれ、魔女に攻撃されてしまう――と思われたその時に、''マミがさやかをかばい死亡。''~
さやか・杏子は逃亡に成功するものの、マミを殺してしまった罪悪感から、さやかは魔法少女をやめると宣言。~
さやかはマミへの謝罪と手向けのために、閉じていく結界に向けて、''自分のソウルジェムを投げ捨てる。''そして、結界が閉じると共に意識を失う。
---原作では偶然起きてしまった「ソウルジェムの投げ捨て」が、さやかの強情が原因で起きるようになってしまった。言っていること・やっていることが「さやからしくない」というわけではないのだが…。
--バッドエンドの1つは「''ゾンビ化''」という原作以上の鬱展開。
---「ソウルジェムの投げ捨て」の後、それをまどか・ほむらが魔女結界で捜索する展開になるが、これには日数の制限が設けられている。
---一定の日数を過ぎてしまった場合、杏子が町中の魔女を狩り、ソウルジェムを見つけてくる。~
杏子は帰ってすぐ疲れて眠ってしまい、ソウルジェムと意識が戻ったさやかは、恭介に会いに行こうとする。
---ところが恭介には''「く、来るな!化け物!!」「お前はさやかなんかじゃない!」''と拒絶されてしまい、さやかもガラスに映り込んだ自分の体を見て悲鳴を上げる。
---このときイベントCGが挿入されるが、''顔を含む左半身が真っ黒に塗り潰されている。''レーティングや作画の都合からか、はっきりとは描かれていないが、ソウルジェムの離れていた時間が長すぎた、''肉体が腐敗している''ことは疑いようも無い。
---まどか・ほむら・杏子が駆けつけるが、時既に遅し。さやかは後悔や苦悩の数々を口にしながら絶望、魔女化する。
---魔法少女として身体を作り替えられていたことについて「ゾンビにされたようなもんじゃないか」という杏子の台詞がアニメ本編にもあったが、''正真正銘のゾンビ、動く腐乱死体になってしまうとは、誰が予想していただろうか。''
--個別ルートにもかかわらず、足を引っ張り、凄惨な目に遭わされていることについて、不満の声は大きい。~
その一方で、''ゲームだからこそと言えるアニメ以上の展開''として評価する声も、確実にある。~
原作で特に酷い目に遭っていたさやかにとっては、仕方ない役回りとも言える。
---ちなみに、虚淵氏ならやりかねないとファンに思わせるこの凄惨な展開だが、''これでも逆に手加減されたものではないか''と噂されている。詳しくは「余談」にて後述。
-さやか・杏子ルート共通
--「ワルプルギスの夜」との戦闘は、''ADVパートのイベント数行で強制的に敗北した扱いになっている。''
---こうでなければほむらルートに繋がらないし、ワルプルギスの夜と実際に何度も戦うのも苦行だが、この描写の少なさはいかがなものか。
-ほむらルート
--エンディングは4つあるが、その結果から考えると「ワルプルギスの夜」の強さが曖昧。
---ほむら・杏子・マミ・さやかの4人で勝つ。
---ほむらと杏子・マミ・さやかのうち3人で挑むが勝てず、まどかが契約する。
---ほむら・杏子の2人で勝つ。
---ほむら1人で相打ち。
--3人では勝てないのに、''2人でも1人でも''勝てる。
---「ほむらルート」と銘打ってはいても、並行世界の考え方としては違う世界、強さの水準にもブレがある…と強引な解釈をするぐらいしかない。
--「まどかを契約させたくない」というほむらが主人公のルートなので仕方ないのだが、このルートではまどか一人だけが契約できない。
--4人で勝利するグッドエンドは、その都合上さやかの魔女化が回避される→''魔女の正体が伏せられたまま''であるため、見方を変えるとかなり後味が悪い。
-番外編
--前述した通りギャグルートであるため、&color(blue){「(褒め言葉として)どうしてこうならなかった」}&color(red){「同人臭くて受け付けられない」}と''存在自体が賛否両論である。''
--全体的にキャラ崩壊が見られ、特に主人公を務めるほむらが、''毒舌で押しの強いキャラクター''になっている。
---同じ斎藤千和氏が演じている、アニメ『化物語』のヒロイン「戦場ヶ原ひたぎ」を連想させることから、ファンから''「戦場ヶ原ほむら」''とも呼ばれていた。
--当ルートの発案やマミがアイドルになるなどの一部の展開は、''虚淵氏自身の発案によるもの''だという。本編の陰鬱な展開に対するガス抜きだと考えれば、多少は受け入れられるだろうか?
--このルートのみ、原因不明だが「魔女が(これまでほむらが辿ってきた時間軸と比べ)異常なほど大量発生している」という設定が存在するのだが、その理由については最後まで明かされないまま。
-まどか・ほむら魔女について
--まどかはあるルートで原作と同じく魔女化するが、戦闘は発生しない。
---その上、魔女化した姿は''グリーフシードに手足が生えた珍妙な物体''。攻略ガイドによれば「魔女化する中途の姿」とされているが、説明不足であり、見栄えも悪い。
--ほむらの魔女化には厳しい条件を要し、こちらも戦闘も無い。
---「ほむらルートのラストダンジョンを''最下層まで降りてからゲームオーバーになる''(=ワルプルギスの夜に敗北する)」というもので、直前にミニイベントが発生する&font(red){特殊なゲームオーバー}で、ついに魔女が登場する。
---ワルプルギスの夜に敗北する、原作通りの発生条件とほむらの絶望を真に味わうことができるが、''条件が条件なので面倒くさい''との意見も上がった。
---ついでに、あくまでゲームオーバーの演出ということで、シーン回想やCGギャラリーで見ることもできない((特典ディスクには「此岸の魔女」という名前付きでイラストが収録されている。))。
--どちらの魔女も、戦闘は無い。
---まどかの魔女は「ワルプルギスの夜を一撃で倒す」「地球を10日ほどで壊滅できる」と非常に強力な上、ほむらの目的は「時間を巻き戻してまどかを救う」ことなので、戦う必要は全く無い。
---ほむらの魔女も、その時点ではほむら1人しか生き残っておらず、戦える魔法少女がいないように描写されている。
---しかし、初報とほぼ同時に「全員魔女化」が発表されていたため、2人の魔女が顔見せで終わってしまったことには、肩透かしを食らわされた感はある。謎の魔女結界でオリジナルの遊び要素として出すだけでも出来なかったのだろうか。
#endregion
-引継ぎ要素の強制
--因果値や謎の魔女結界の引継ぎ要素はシステムデータとして記録されており、「引き継がない」ことができない。''いわゆる「つよくてニューゲーム」しかできない。''
--開始直後からギブアップしても因果値ボーナスを獲得できるので、どうしてもクリアできる自信がなければ、ギブアップを繰り返して因果値を溜め込んでからスタートすることもできる。
---しかしこの救済措置を過剰に使用したり、やり込んだ結果これに等しい因果値を溜め込んでしまうと、''やり込めばやり込むほどヌルくなっていく''と感じさせかねない。
---「謎の魔女結界」はやりこみ系のダンジョンであるという事もあり、因果値やレベルのリセットがあればもっと長く遊べたのでは…という声もある。
----
**問題点
-バグ・フリーズ
--''「さやかルートで特定の選択肢を選ばないとフリーズする((シーン分岐フラグの設定ミスと思われる。))」「ほむらルート、ワルプルギス戦で一度に大量のダメージを与えるとフリーズする((ダメージが一定以上に達する毎に会話イベントが発生するのだが、その一定値を一回の攻撃で二度以上超えた場合に発生する。イベント発生フラグの管理ミス。))」''というバグがあった。
---この2点については再現性が非常に高かったが、発売1ヶ月後のアップデートにより回避された。
--結界内での戦闘中にオーバーフローを起こしフリーズする事がある。特に佐倉杏子が「盗む」「幻覚」を同時に習得している時に顕著。
---「一度も起こった事がない」という報告もあり、本体との相性によるものではないかという話もある。
--Qボタン・ほむボタンを開示するアイテムをショップで買えるが、たまに購入してないのに開示されることがある。
これらのバグの存在を''「凍結の魔女 その性質は空転」「納期の魔女」''などと揶揄される事もあった。
-不親切・不自然な仕様
--Qボタン・ほむボタンは重要な分岐で強制的に出現して取りこぼさない仕様になっているのだが、逆に''「使用を強制されないボタンは重要ではない」''ということでもある。
---ショップでは隠しボタンを開示するアイテムを購入できるが、開示しても背景が僅かに明滅するだけで、スキップも止まらない。~
そしてこの隠しボタンは、若干の会話の差分と感情値の上下が発生する程度で、分岐に影響することはない。~
--アドベンチャーパートに「既読スキップ」が無い。
---使えるのは「オートモード」「ボタン押してる間スキップ」''「クリア済みシナリオの既読・未読問わない最速スキップ」''の3種。クリア済みシナリオの別エンディングを見ようとしてもスキップされてしまう。
---スキップ起動中でもテキスト送りのSEが鳴り続けるため、気になる人には気になる。
---「ムービーのスキップ」に最速スキップと同じボタン(START)が割り当てられている上、ムービースキップすると''その後のテキストもスキップ扱いになってしまう。''
--感情値≒ソウルジェムは絶望によって穢される…はずなのだが、割とどうでもいい一喜一憂の勢いで上下したり、悲しんで下がったりと、設定を鑑みると不自然な点がある。
---かといってゲーム上設けられたパラメータが微動だにしない死に要素にされるのも考え物であり、ここは難しいところ。
-シナリオの不自然な点
--マミルートでキャストを無闇に節約していて、演出が不自然になってしまっている箇所が見受けられる。
---冒頭に「マミの両親」が登場するが、立ち絵もボイスも、文字としての台詞すらもない''エア両親。''見方を間違えるとホラーのようでもある。
--ほむら過去編1周目もこのルートに含まれているのは先述の通りで、ほむらは「芸術家の魔女」の声に同調して結界に引き寄せられるのだが…
---本作では魔女の声は無く、ほむらが自分で自分に魔女の台詞を語りかけていく。''一人でつぶやき続けるだけなので、一人芝居のようでもある。''([[参考動画>http://dic.nicovideo.jp/v/sm18610908]])
//問題点といえるのかわかりません。この場合は声優の使い回しが問題なのでしょうか?もうひとりの自分が語りかけるような演出も魔女の能力上問題はないはずです。
//↑冒頭で問題点を明記し、参考動画も貼ってみました。「語りかけるような演出」と言うには問題があるのでは。
//確認して見ました。コレだと導かれているように見えなくもないかもしれません。変…かどうかは魔女の先導の仕方の一つとも取れますしおかしいとも言い切れません。
-ソウルジェムのシビアな仕様
--ADVパートのイベントは感情値を上げるものがほとんどで、お気に入りのキャラのイベントを読みたくても読めないジレンマに悩まされやすい。計画的に濁りを管理しないと、必要以上に厳しいプレイを強いられる。
---複数の敵を同時に倒すと感情値を下げられるのだが、減少値は「敵の数マイナス1」。ADVパートでは20程度の上昇が当たり前なので焼け石に水。杏子の回復能力が評価できるのは、これに起因するところもある。
--ソウルジェムが完全に穢れた時のデメリットは先にも述べたが、中でも致命的なのは「攻撃力の大幅低下」「MP消費魔法の使用不能による単調化」。
---マミは魔女化寸前だと''リボンで殴り続けるしかない。''キャラの戦闘特性は活かせていないし、キャラ再現としても微妙。
---魔女化の回避が確定した時点で感情値が大幅に低下するイベントが挟まれるが、意図的に魔女化させたい場合、当然この恩恵は受けられない。
--マミ・杏子ルートの回想シーンでは、レベル下げ・技忘れという制約がある一方で、ソウルジェムの状態も過去・未来でそのまま引き継がれてしまう。
---回想シーンで上げた分の能力値は能力値増強アイテムで払い戻されるので、救済が全くない訳ではない。
--重ねて言うが、これらの条件が重なってもクリア不能なほどの難易度ではない。しかし、プレイヤーの感情に釈然としない物は残る。
//シビアだから良いって意見が多いわけでもないしこれはフォローのある問題点だろう
-OPの「コネクト」とEDの「Magia」を除くと原作曲が一切ない。
--原作で高い評価を得ていた梶浦由記氏の劇伴がゲームで聴けない、という点を惜しむ声は多い。
---数々のキャラゲー同様、著作権をクリアするための使用料による制作費の高騰を避けるという事情は容易に推察できるものの、評価の高い楽曲も多数あるため残念だとの声もある。
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**総評
キュゥべえの正体、魔法少女と魔女の関係など「本編の核心まで網羅している事」を前提に作られており、原作未見では恐らくついていけず、あまりお勧めできない。~
その上で、ゲームバランスは原作のような「ループ」もとい周回プレイ前提のような高難易度、バグの発生やUIの調整不足など、評価を落とすポイントの多さが目立つ。~
そしてシナリオは「あの」原作以上に凄惨なエンディングも待ち受けており、''かなり人を選ぶ、ゲーム中~上級者向けの作品''と言わざるを得ない。~
これらを苦としなければ、(ある一線を越えるまで)手応えのあるゲームバランス、原作を補完しつつもひと味違う展開で、ファン向けゲームの及第点として楽しめるだろう。~
社会現象的なヒットから1年という旬の時期にこのような仕上がりで発売されたためか、声高な酷評が先行しがちだが、決して悪いだけのものではなく、まだ稼働するPSPが手元にあれば是非プレイしてもらいたいところ。~
強いて言うなら、ユーザー層に対して間口の狭すぎるゲームデザイン、原作のダークな雰囲気・ループものの世界観を再現・追究''しすぎてしまった''ことは失敗だったかもしれない。
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**余談
-2011年10月のイベント「マチ★アソビvol.7」にて、スタッフ・キャスト陣によるトークショーが開かれている([[参照>https://gigazine.net/news/20111010-madomagi-psp-machiasobi7/]])。
--この場で原作脚本の虚淵氏が、本作のシナリオ監修について''「さやかといい杏子といい、他人がいじめているのを見るとかわいそうになる」「今までこれほどさやかに優しくしたことはない」''と発言している。
---''本作さやかルートは監修を経てなおこの有様だった、COLOR(red){この展開は逆に手加減されたものではないか}''と噂されている。
---ただ、どの箇所にどのようなリライトが行われたのか?までは定かではない。「さやかに優しくしたはずなのに、こんな展開だった」というギャップがウケているが、拡大解釈されている節があることには留意したい。
---噂の真相はさておき、2011年3月の放送終了から半年後~2012年3月の本作発売の半年前という、タイトでスピーディなキャラゲーの開発スケジュールが垣間見える、興味深い内容である。~
また「本人監修」が、名ばかりのものだけではないこともハッキリとわかる。
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**その後の展開
-劇場版新作アニメ『[新編]叛逆の物語』の公開直前、PSVitaにてアクションゲーム[[『まどか☆マギカ The Battle Pentagram』>劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram]]が発売されている。
--RPGの本作に対し、ACTという全くの別ジャンルで、ストーリーにも繋がりはない。
---しかし、本作からプロデューサーなどのスタッフの続投、本作の反省を盛り込んだシナリオ作風の変化など、実質的に続編として位置づけられている。
---こちらもこちらでバランス・シナリオ共にクセが強い≒難のある作品だが、本作とは違うプレイ感覚やシナリオは、ファンなら一見の余地あり。
-本作オリジナルのある魔女が『新編』にも登場するが、本作とはシナリオ展開が大きく違うため、同一人物でも姿が変わっている。
*魔法少女まどか☆マギカ ポータブル
【まほうしょうじょまどかまぎか ぽーたぶる】
|ジャンル|RPG|&amazon(B005GT2AX0)|
//全く同じ画像なので1つに統合
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|バンダイナムコゲームス&br()ニトロプラス(開発協力)|~|
|発売日|2012年3月15日|~|
|価格|通常版:6,400円&br()限定版:11,990円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|概ね原作重視のシナリオは及第点&br()バランスは高難度ながら程よい&br()一部オススメできないシナリオ&br()調整不足で評価を落とす|~|
|>|>|CENTER:''魔法少女まどか☆マギカシリーズ''&br()''ポータブル'' / [[The Battle Pentagram>劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram]] / MAGICARD BATTLE|
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#contents(fromhere)
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~
#center{&size(20){''※本記事には、原作アニメのネタバレが含まれます。''}}
~
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**概要
2011年にTV放送され、その可愛らしいキャラクターからは想像できないストーリーで話題になったアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の初ゲーム化作品。~
通称『まどマギポータブル』『まどポ』。キャラクターの詳細などの作品概要は非常に長くなるので外部サイトも参照されたし。~
ゲームはADVパートと、ローグライクなダンジョンRPGパートの2面構成。
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**ゲームシステム
***ADVパート
-ルートによって、少女を魔法少女へ契約させる「キュゥべえ」、または魔法少女の1人である「暁美ほむら」を操る。
--「日」と「時間帯」が決まっており、マップ上に散らばった少女たちから1人を選んで会話を進めていく。
-魔法少女でないキャラクターには「因果値」の、魔法少女には「感情値」「ソウルジェム」のパラメータが設定されている。
--因果値が高いと(下がることはない)魔法少女になった後の「MP」が高くなり、強力な魔法少女になる。
--感情値の高低はRPGパートに影響する。一応下げることはできるが、高くなるイベントの方が多い。
--ルート後半から「ソウルジェムが穢れる」イベントが発生することがある。詳細はRPGパートで後述。
-特定のタイミングで、キュゥべえは「Qボタン」を、ほむらは「ほむボタン」を使用して、会話に介入することができる。
--使用を強制させられる箇所では、重要な選択を迫られることもある。
--使用を強制されない場面では隠されており、原作をよく見ていれば気付く・突っ込みたくなるもの、隠されていることに普通は気付かないであろうものまで様々。
-特定の日・時間帯を迎えると、RPGパートへ突入する。
***RPGパート
-「不思議なダンジョン」などに見られる、ローグライクのダンジョンRPG。ダンジョン最深部の魔女を倒すため、魔法少女たちを操る。
--マップの移動・攻撃はスクエア型(四方)。行動は敵味方同時に1マス移動=1ターン単位で進行。
-魔法少女の「魔法」は、「格闘攻撃」「射撃攻撃」「補助」「自動」に分けられる。
--「格闘」の中で最も威力の低いものと、常に発動する「自動」以外の魔法は、全てMPを消費し、一部の魔法には1ターンの「チャージ」も要求される。
--「スペルブック」というアイテムを道中で拾い、条件を満たしてから使用することで、新しい魔法を習得できる。
---魔法の習得は、レベル上げ・アイテム使用による一定以上のステータスの上昇と、特定の魔法の事前習得が条件となっている。これは「マジックツリー」というシステムで管理される。
--キャラクターと攻撃魔法には「斬」「衝」「貫」「無」の4属性が設定されている。
---斬は衝に強く、衝は貫に強く、貫は斬に強い…という3すくみの関係。キャラクターの弱点を突くと大ダメージを与え((「同じ威力の別属性の攻撃と比べれば」大ダメージ。「属性が変わる=魔法が変わる=威力が変わる」なので、実際の上下幅にはブレがある。))、チャージが解除される。敵の属性はもちろん、自分の属性も重要になる。
---無属性は常に一定のダメージを与えるが、チャージを解除できない。
---攻撃魔法には、感情値に比例した倍率補正がかかる。
-HP/MPはターン経過と同時に自動で回復するが、その度に「ソウルジェム」が感情値の高さに比例するスピードで穢れていく。
--他ローグライクゲームにおける「空腹度」のような存在であり、プレイヤーはソウルジェムの管理にも気を配らねばならない。
--魔女を倒すと手に入る「グリーフシード」を使用することで、ソウルジェムの穢れを浄化できる。
---ソウルジェムが完全に穢れてしまうと「HP/MP除く基礎ステータスの低下」「MP消費魔法の使用不可」というデメリットを課される。
---更にルート次第では''「以後のグリーフシード使用不可」「魔法少女の魔女化」(バッド寄りエンド)''が確定する。
***魔法少女
-&color(pink){''鹿目まどか''}(貫)
--射撃寄りで、縦4マス貫通攻撃から始まり、広範囲の貫通攻撃を中心に覚える。射撃系の他2人と比べれば、格闘攻撃のクセも少ない。
---技名も「マジカルアロー」「マジカルスコール」「スターライトアロー」など、格好を付けているがまあまあ普通…と思いきや''「パニエロケット」''だけは思いっきりネタ((オープニングアニメにもある、パニエ(スカートの中身)が膨んで飛んでいくアレ。なお、性能はまあまあ良い。))。
--補助魔法の中でも回復能力が凄まじく、蘇生魔法や''原作本編最終回のまどかを意識したと思われる「天上の祈り」という名称の魔法''((この魔法はソウルジェムの穢れを少し浄化する効果がある。))まである。
--その反面、状態異常に耐性を持たないため、油断すると回復力を発揮できないまま力尽きてしまう。
--魔法少女にならないままエンディングを迎えるルートが多く、因果値を上げるイベントは非常に多い=魔法少女になっているルートではMPが多いのだが、初期レベルの低さ、MP以外のステータスの低さから、早期の活躍は見込めない。
-&color(purple){''暁美ほむら''}(衝)
--射撃寄りで、無属性が多い。安定したダメージを与えられる反面、チャージ解除はできない。格闘攻撃は1マス攻撃2種の他には広範囲型1種しか持たない。
---技名はそのまんま「時間停止」「鈍器」''「鈍器そして鈍器」''、タンクローリー突撃が''「危険物第四類」''など、他の魔法少女のような華やかさの無い淡々としたもので、これもこれで笑いを誘う。そんな彼女も、最後の最後に''「侵食する黒き翼」((TV最終回のラストシーンに登場するアレ。))''を使う。
---他の魔法少女より魔法を一つ多く覚えられる。要求されるステータスの高さに反して派手なものではなく、マジックツリーにも影響しない終端部で、やりこみ要素兼ファンサービス。
--5ターンに及ぶ「時間停止」、2回行動が可能な「倍速状態」を付与する「クロックアップ」という2つの強力な補助魔法を扱える。
--状態異常の耐性も多く安定性はあるが、回復魔法は一切覚えられない。
--ほぼ高レベルで参入し参入ルートも多いが、使い方を覚えるには、やや時間を要するかもしれない。
-&color(orange){''巴マミ''}(衝)
--射撃寄りで、高威力・広範囲・''要チャージ・大消費''の巨砲主義。
---技名はおなじみ「ティロ・フィナーレ」に始まりほぼイタリア語で統一、日本語の技名も「黄金の美脚」「無限の魔弾((カットインのボイスでは「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ」というイタリア語読みで叫ぶ。))」と派手なもので、ファン界隈で散々ネタにされる中二病テイストが満載。((原作者の虚淵玄は「厨二病ではない」と公言しており、ドラマCDや本作でも「恐怖で怯えそうになる自身を鼓舞するために、昔憧れた魔法少女のよう格好良く戦いたい」という意思を表明しているが…。))
--行動を数ターン封じる状態異常「バインド」を補助魔法で敵に付与、自動魔法で''攻撃時にも低確率で付与''できる。足場への攻撃を5ターン無効化する補助魔法「絶対領域」を覚えれば、名実ともに砲台になる。
--格闘も含めればチャージ無しで三属性全てを扱えるが、威力の高い攻撃は格闘も含むほぼ全てが要チャージ。状態異常にも弱く、絶対領域・バインド付与で隙に付け込まれない戦い方を求められる。
--高レベルで参入するが、ルートの展開によっては序盤で退場してしまうので、頼りすぎは禁物。退場しないルートでもMP大量消費後のソウルジェムに注意。
-&color(blue){''美樹さやか''}(斬)
--格闘寄りで、極めて攻撃力が高いが、ほとんどの射程が1マスで被弾率が高い。
---「エッジ」「コラテラルエッジ」などカッコイイ感じのもの、「アレグロ」など音楽用語にちなんだもの、「スクワルタトーレ」「ローレライの旋律」などマミに影響されていそうな中二病チックなものと、技の由来がバラバラなのもノリの良いさやからしい。
--3マス先へ突撃する「スティンガー」、2倍行動できる特殊状態「倍速」を付与できる「アレグロ」で機動性を確保できる。
--自動回復を強化する自動魔法を覚えれば、生存率は高められる。広範囲射撃も覚えるが、主火力とするには大幅な強化を要する。
--因果値を上げるイベントの多さよりも、まどか同様の初期の低レベルと、本作の展開上感情値を上げるイベントの多さが気になる。RPGパートの役割は単純で強力だが、ADVパートも含めて管理するのはやや難しい。
---ADVパートの悪影響を受けない「謎の魔女結界」では、''圧倒的な火力で魔女を瞬殺していく強キャラ''と化している。
-&color(red){''佐倉杏子''}(貫)
--格闘寄りで、縦2マスの貫通攻撃が最初から使えるので、威力・範囲ともにまずまず。一方で、射撃は普通の4マス単体射撃以外だと「自分から縦3マス先を中心にした×の字5マスを攻撃」というクセの強いものだったり、最後に覚える魔法は単発威力だけの''自爆特攻''((戦闘を継続できるなら、他の技の方がダメージを稼げる。))だったり、大技・広範囲攻撃技には恵まれていない。
---序盤こそ「突き」「打突」「飛槍」など普通の技名だが、ドラマCDで明かされた「ロッソ・ファンタズマ」だけでなく、''「断罪の磔柱」「浄罪の大炎」''と段々と格好をつけた感じになってくる。
--さやかと同じ3マス突撃「打突」が使えるので機動性もあり、自分の前方横3マスに壁を作る補助魔法「縛鎖結界」で敵の流れを変えることもできる。
--全体回復の補助魔法「食うかい?」は効果こそランダムだが、どの効果も強力((「小回復」「中回復」「全回復+蘇生」「MP回復」「感情値減少」の5つがランダムで、偏らずに出る。MP回復はこれ限定、感情値減少も実質これ限定のようなもの。))。回避力の高さ、状態異常への耐性、自身が付与できる状態異常「幻覚」、敵への攻撃時にランダムでアイテムを奪う自動魔法「盗む」などに恵まれていることもあり、ソロプレイでもパーティの補助でも立ち回れる。
--総じて高い性能を持ち、参入も高レベルだが、本格的な参入ルートの開放は後半。
***次周引継ぎ
-各ルートでエンディングを迎えるか、ギブアップすると、リザルト画面「成績表」へ進み、「感情エネルギー」を獲得する。
--感情エネルギーは、見たエンディングの種類による上下以外にも、魔法少女の感情値、魔女化した魔法少女の元々の因果値も加算される。
--感情エネルギーは「まどか☆マギカショップ」で、ギャラリーモード用のイベントCG、ADVパートの隠しQボタン・ほむボタン開放、RPGパートの攻略を助けるアイテムなどと交換できる。
-因果値はルート内で上がったもの、魔法少女であればレベルもボーナスとして精算し、次回以降プレイするルートでも引き継ぐ。
-エンディング次第で新ルートが追加される。
***収録ルート
ループものの原作をアレンジして個別ルートとして収録しており、ストーリー内容、魔法少女として登場・操作可能なキャラクターが大きく異なる。
-&color(pink){「''夢の中で逢った、ような……''」} (まどかルート)
--操作可能キャラクター:巴マミ、美樹さやか、暁美ほむら、佐倉杏子
--鹿目まどかを主役としたストーリー。強制1周目。
--チュートリアルを兼ねた「ほぼ」原作に沿ったストーリーであり、プレイヤーが介入できる部分は少ない。
-&color(orange){「''あなたが側にいてくれるなら''」} (マミルート)
--操作可能キャラクター:巴マミ、鹿目まどか、佐倉杏子
--巴マミを主役としたストーリー。2周目から解放。
--魔法少女の魔女化によるシナリオ分岐が発生するようになる、このゲームの本番。
--ほむらによるループが起こる前の時間軸(1周目)であり、BD1巻付属ドラマCD「メモリーズオブユー」の流れをくんでいる。
--マミの初心者時代や、まどかとの邂逅が描かれる。
以下ルートは一定のエンディング後に追加。
-&color(blue){「''私が願った、奇跡''」}(さやかルート)
--操作可能キャラクター:美樹さやか、鹿目まどか、暁美ほむら(眼鏡)、巴マミ、佐倉杏子
--美樹さやかを主役としたストーリー。マミルートの特定エンド後(最短3周目)に解放される。
--原作3周目をモチーフにした、ほぼオリジナルのストーリー。ほむらのループが開始された後の時間軸(2周目以降のどこか)における物語。
--上条恭介の手を治すために契約したさやかの戦い、そして葛藤が描かれる。
-&color(red){「''残された最後の希望だったんだ''」}(杏子ルート)
--操作可能キャラクター:佐倉杏子、美樹さやか、暁美ほむら
--佐倉杏子を主役としたストーリー。さやかルートの特定エンド後(最短4周目)に解放される。
--ほむらがメガネを外した後、原作とほぼ同じ時間軸における物語。
--マミの死を聞きつけて見滝原に現れた杏子が、さやかと衝突する中で、魔法少女としての生き方、本来の願いを思い出していく。
--単なる回想シーンに留まらない「過去編パート」が挟まれ、BD5巻付属ドラマCD「フェアウェル・ストーリー」を元にした、杏子の更なる掘り下げも行われる。
以下ルートは同じく一定エンディング後に追加。視点がキュゥべえではなくほむらになるため、「Qボタン」は「ほむボタン」になる。
-&color(purple){「''運命はきっと変えられる''」} (ほむらルート)
--操作可能キャラクター:暁美ほむら、巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子
--暁美ほむらを主役としたストーリー。早ければ3周目から解放される。
--原作時間軸のほむら視点プレイ。多数の分岐を経て様々なエンディングが描かれる、本作の集大成となるルート。
---グッドエンド達成に必須の選択肢は、杏子ルートの特定エンド達成まで未解放となる。そのため、本作は最低でも5周が必要。
-「''想いは現実を超える''」(番外編)
--一応、暁美ほむらを主役としたストーリー。ほむらルートのエンドをどれでも1つ見ると解放される。
--ほむらの思いつきで始まる、原作とは全く異なる悪乗りギャグ全開のルート。
***謎の魔女結界
-まどかルートエンディング後から、RPGパート専用モード「謎の魔女結界」が追加される。
--魔法少女は全てレベル1から、魔法は「本編で習得→ショップで購入→結界内でスペルブックを入手→再習得」させなければならない。
---レベル・習得魔法は、謎の魔女結界モード内で引き継がれる。
--各ルートのエンディングを見る度にダンジョンが追加されていき、ダンジョン内で複数体の魔女が登場するようになる。ラストダンジョンは50階層にも及ぶ。
--ダンジョンをクリアすると、こちらでも感情エネルギーが獲得でき、ショップにもアイテムが追加される。
----
**評価点
-因果値・感情値のシステム
--各々のルートで因果値を溜め、徐々に強力な魔法少女になっていくのは、「ループもの」である原作を再現できているし、周回プレイ前提のゲーム性にもかみ合っている。
--感情値が高すぎると、攻撃力の増加というメリットよりも、ソウルジェムを穢し魔女化へ近づけていくデメリットの方が目立ってしまうので、感情値をコントロールする必要が出てくる。
---しかし、思い切って魔女化させれば、感情エネルギーを獲得でき、次周への引き継ぎや、ギャラリーの開放などのメリットがある。
---と言うより、''感情エネルギーの回収こそがインキュベーターの本当の目的である。''実際、Qボタン発動中のキュゥべえも、その目的を全く隠していない。
--総じて、ゲームの遊び甲斐と設定の落とし込みがバランス良く両立されている。
-ADVパート
--原作のシナリオライターである虚淵氏が監修しており、原作の世界観・雰囲気を大きく崩さない範疇で、原作補完や心温まる描写、''心をへし折る展開''が織り交ぜられている。~
「賛否両論点」「問題点」にて後述する箇所もあるが、シナリオ全体を通して見れば好評と言える。
---魔法少女になりたてのマミが「銃」を武器に選ぶまでのエピソード、本編開始前のマミ・杏子の馴れ初めから決別など、原作の補完は序の口。~
「恭介の父がバイオリンを捨てないように引き止めるまどか」「タツヤ(まどかの弟)を邪険にしつつも放っておけない杏子」のような、原作で接点のない組み合わせも、違和感は少ない。
--ADVパートの台詞はフルボイスで、口パク会話の完成度も高い。声優はほぼ全て原作通りのキャスティングで、演技力の低さや違和感に悩まされることは少ない。
---本作オリジナルのキャラクターおよびキャスティングは「魔女に襲われる子供と母親」「町のチンピラ」などモブ数人程度。
---数少ない代役が当てられているキャラは「電車のホスト」(飛田展男氏と三木眞一郎氏の2名)。印象的なシーンに登場した人物だが、1シーンしか登場しない割に大御所であるため、差し替えは仕方ないか。
---その一方、杏子の父は、ドラマCDから引き続き''銀河万丈氏''が努め、過去編に色を添えている。ホスト役以上のビッグネームだが、重要なキャラクター故、代役にならなかったのは幸運。
#region(ゲーム本編ネタバレ込み)
-''魔法少女5人全員の魔女化がある。''
--まどか・さやかは言わずもがな。
--ほむらも「魔女化の条件」は仄めかされていたが、肝心なその姿は未登場だった。
--マミ・杏子は、本作の新規シナリオだからこそ絶望し変化する魔女となっている。~
原作では儚く散っていった二人が絶望に沈む姿と、そこで起きる悲劇は、まさにゲームならではのif展開である。
-各ルートの分岐は「魔女化に直結するイベントを回避できるorできない」のみだが、ほむらルートの分岐は圧倒的に多く、良い意味で別物のようになっていく。
--マミを助けるor見殺しにする。
---「3話」の退場でおなじみのマミを生存させることで、ほむらの世話を焼く微笑ましい一面や、劇場版以前の当時では珍しかった魔法少女同士のやり取りが多く見られるようになる。
--さやかを契約させるorさせない。
---同じく原作では魔女化してしまう悲劇に見舞われるさやかも、そもそも契約させないでおくことができる。
--さやかが魔女化してしまうor回避できる。
--さやかの魔女化後に真実を明かすor隠す。
--さやかの魔女を杏子たちに任せるor先回りして倒す。
---さやか魔女化の真実を隠した場合は、仇討ちとしてワルプルギスの夜の打倒を固く誓う、原作からすれば予想外の展開を見せる。
---ところが真実を明かした場合は''せっかくマミをここまで生存させていても、絶望して自殺する可能性のある選択肢が出現する''という、シナリオでも''ゲーム難易度でも''ハードな展開が待ち受けている。
---あるエンディングでは「もう誰にも頼らない」という宣言通り、ほむら1人での勝利を相打ちながら達成する。その結末はプレイヤー自身の目で確かめてほしい。
-原作のダークな雰囲気に欠かせない「魔女」たちも、魅力的に描かれている。
--本作で新たに登場する魔女は、原作でもデザインを担当していた劇団イヌカレーの描き下ろし。
---前述の元・魔法少女の魔女とその使い魔、原作に設定だけ存在していた「落書きの魔女((杏子が逃がした使い魔の親玉の魔女。原作放送当時にデザイン画なし。))」、謎の魔女結界モード専用のボス魔女と、10体近く新規に登場する。
--原作でわずかに登場しただけの魔女(銀の魔女((杏子の回想シーンでやられ役になっていた、バイクの部品で装飾された魔女。)))が新設定で強敵として描かれ、ゲームでは新たな姿で攻撃を仕掛けてくる。
--図鑑モードでは原作にもあった「魔女図鑑」のテキストも再現されている。
#endregion
-RPGパート
--原作のハードな内容のせいか、キャラゲーの割にかなりの高難度で、初見殺しも少なくない。
---例えばアニメ第3話に相当する「お菓子の魔女」とほむらの戦闘は、戦闘開始前に「噛み付き攻撃を溜めている間に、次の足場まで避難しろ」というアドバイスが出る。~
ところが実際は(原作再現とはいえ)避難には膨大なMPを消費する時間停止が必須な上に、避難先では使い魔の増援が補充されており、闇雲に逃げるだけではジリ貧に陥ってしまう。
---しかし、ここから「誰を、どう動かすか」をきちんと考えればクリアできる、''決して理不尽ではない絶妙なバランス。''~
時間停止からクロックアップを併用して''10ターン連続行動''という他のゲームではあり得ない状態を作り出し、逃げずに立ち向かえば、鈍器で撲殺できる。
--この他、キャラクター性能の個性化・差別化が非常にしっかりとしている。
---例えばほむらの場合、前述の時間停止&クロックアップが非常に強力だが、無属性攻撃が主で、厄介なチャージ攻撃を解除できない。~
そこで、時間停止発動後に他のキャラへ交代したり、また交代先のキャラも時間停止中にあり得ない量の攻撃を行える…といった具合。
---HPは自動で回復すると言っても、ソウルジェムの濁りがあるのはもちろん、敵の攻撃に対しては微々たるものである。~
そもそも''HPがゼロになれば戦闘不能になる''ので、まどか・杏子の回復(蘇生)は、結局のところ必須となる。
---どのキャラにも「自分にしかできないこと」があり、パーティの役割分担が重要性となる。没個性で空気扱いされるキャラはいない。
--「謎の魔女結界」では、感情値とレベル差による優劣といった事情に悩まされることなくRPGのみに没頭でき、やり応えもある。
---ここでしか見られない魔女・使い魔には'''キュゥべえの姿をしたもの'''もいるので、原作での鬱憤を晴らすのも一興。
--魔法も必見。ゲームということもあり全員の魔法に名前が付いていて、カットインとボイスの挿入も多い。
--2Dと3Dを組み合わせて再現された魔女結界も原作のイメージを損なっておらず、なかなかの見ごたえ。
-音楽
--ニトロプラスと縁の深いZIZZ STUDIOが楽曲を製作しており、(梶浦由記氏ではない事情や先入観を抜きにすれば)作風と合っていて好評。
---タイトル画面曲からして「incipit in prece」(ラテン語の意訳で「祈りから始まる」)など、原作と同様に曲名をラテン語で名付ける拘りようである。
---原作曲のない本作オリジナルの魔女にも、違和感の無い楽曲が用意されている。
----
**賛否両論点
-シナリオの不可解・消化不良な点
#region(ゲーム本編ネタバレ)
-まどかルート
--アニメ第8話:まどかの契約を阻止するため、ほむらがキュゥべえを銃殺するシーンから分岐。''間に合わずまどかが契約してしまい、その後数回の会話でゲームが終了する。''
---後々振り返れば、このルートはチュートリアルの位置付けだったと捉えることができ、分岐がないのもうなずける。~
また、シナリオ選択画面にクリアマークと「エンディングパターン全回収の有無」を見分けるマーク(車輪が銀or金)が付いており、ゲームを進行させればその意味は理解できるようになっている。
---とはいえ、このルート''だけ''が分岐しない上に、「次はこうはいかない」という旨のほむらの台詞で''打ち切り同然に終わってしまう。''~
事前情報なしで面食らい、「本編通り進むはずなのでは」と疑ったり、眉をひそめてしまったプレイヤーも多かっただろう。
-さやかルート
--このルートで起きる事件とその顛末について、賛否両論あり。
---さやか・杏子・マミが、3人がかりでも苦戦する強力な魔女(お菓子の魔女((シャルロッテ。「3話」「マミる」でおなじみ、黒くて細長いあいつ。)))と遭遇。~
マミはまどか・ほむらへの救援要請を提案し、さやか・杏子を逃がす殿を買って出る。
しかし、さやかはマミを放っておけずに戦闘を続行。マミの提案に従うべきとする杏子と口論を始める。~
そして、さやかは口論による不注意の隙を突かれ、魔女に攻撃されてしまう――と思われたその時に、''マミがさやかをかばい死亡。''~
さやか・杏子は逃亡に成功するものの、マミを殺してしまった罪悪感から、さやかは魔法少女をやめると宣言。~
さやかはマミへの謝罪と手向けのために、閉じていく結界に向けて''自分のソウルジェムを投げ捨て''、結界が閉じると共に意識を失う。
---原作では偶然起きてしまった「ソウルジェムの投げ捨て」が、さやかの強情が原因で起きるようになってしまった。言っていること・やっていることが「さやからしくない」というわけではないのだが…。
--バッドエンドの1つは「''ゾンビ化''」という原作以上の鬱展開。
---「ソウルジェムの投げ捨て」の後、それをまどか・ほむらが魔女結界で捜索する展開になるが、これには日数の制限が設けられている。
---一定の日数を過ぎてしまった場合、杏子が町中の魔女を狩り、ソウルジェムを見つけてくる。~
杏子は帰ってすぐ疲れて眠ってしまい、ソウルジェムと意識が戻ったさやかは、恭介に会いに行こうとする。
---ところが恭介には''「く、来るな!化け物!!」「お前はさやかなんかじゃない!」''と拒絶されてしまい、さやかもガラスに映り込んだ自分の体を見て悲鳴を上げる。
---このときイベントCGが挿入されるが、''顔を含む左半身が真っ黒に塗り潰されている。''レーティングや作画の都合からか、はっきりとは描かれていないが、ソウルジェムの離れていた時間が長すぎた、''肉体が腐敗している''ことは疑いようも無い。
---まどか・ほむら・杏子が駆けつけるが、時既に遅し。さやかは後悔や苦悩の数々を口にしながら絶望、魔女化する。
---魔法少女として身体を作り替えられていたことについて「ゾンビにされたようなもんじゃないか」という杏子の台詞がアニメ本編にもあったが、''正真正銘のゾンビ、動く腐乱死体になってしまうとは、誰が予想していただろうか。''
--個別ルートにもかかわらず、足を引っ張り、凄惨な目に遭わされていることについて、不満の声は大きい。~
その一方で、''ゲームだからこそと言えるアニメ以上の展開''として評価する声も、確実にある。~
原作で特に酷い目に遭っていたさやかにとっては、仕方ない役回りとも言える。
---ちなみに、一見では虚淵氏ならやりかねないと思わせるこの展開だが、インタビューの発言より''逆に手加減されたものではないか''と噂されている。詳しくは「余談」にて後述。
-さやか・杏子ルート共通
--「ワルプルギスの夜」との戦闘は、''ADVパートのイベント数行で強制的に敗北した扱いになっている。''
---こうでなければほむらルートに繋がらないし、ワルプルギスの夜と実際に何度も戦うのも苦行だが、この描写の少なさはいかがなものか。
-ほむらルート
--エンディングは4つあるが、その結果から考えると「ワルプルギスの夜」の強さが曖昧。
---ほむら・杏子・マミ・さやかの4人で勝つ。
---ほむらと杏子・マミ・さやかのうち3人で挑むが勝てず、まどかが契約する。
---ほむら・杏子の2人で勝つ。
---ほむら1人で相打ち。
--3人では勝てないのに、''2人でも1人でも''勝てる。
---「ほむらルート」と銘打ってはいても、並行世界の考え方としては違う世界、強さの水準にもブレがある…と強引な解釈をするぐらいしかない。
--「まどかを契約させたくない」というほむらが主人公のルートなので仕方ないのだが、このルートではまどか一人だけが契約できない。
--4人で勝利するグッドエンドは、その都合上さやかの魔女化が回避される→''魔女の正体が伏せられたまま''であるため、見方を変えるとかなり後味が悪い。
-番外編
--前述した通りギャグルートであるため、&color(blue){「(褒め言葉として)どうしてこうならなかった」}&color(red){「同人臭くて受け付けられない」}と''存在自体が賛否両論である。''
--全体的にキャラ崩壊が見られ、特に主人公を務めるほむらが、''毒舌で押しの強いキャラクター''になっている。
---同じ斎藤千和氏が演じている、アニメ『化物語』のヒロイン「戦場ヶ原ひたぎ」を連想させることから、ファンから''「戦場ヶ原ほむら」''とも呼ばれていた。
--当ルートの発案やマミがアイドルになるなどの一部の展開は、''虚淵氏自身の発案によるもの''だという。本編の陰鬱な展開に対するガス抜きだと考えれば、多少は受け入れられるだろうか?
--このルートのみ、原因不明だが「魔女が(これまでほむらが辿ってきた時間軸と比べ)異常なほど大量発生している」という設定が存在するのだが、その理由については最後まで明かされないまま。
-まどか・ほむら魔女について
--まどかはあるルートで原作と同じく魔女化するが、戦闘は発生しない。
---その上、魔女化した姿は''グリーフシードに手足が生えた珍妙な物体''。攻略ガイドによれば「魔女化する中途の姿」とされているが、説明不足であり、見栄えも悪い。
--ほむらの魔女化には厳しい条件を要し、こちらも戦闘も無い。
---「ほむらルートのラストダンジョンを''最下層まで降りてからゲームオーバーになる''(=ワルプルギスの夜に敗北する)」というもので、直前にミニイベントが発生する&font(red){特殊なゲームオーバー}で、ついに魔女が登場する。
---ワルプルギスの夜に敗北する、原作通りの発生条件とほむらの絶望を真に味わうことができるが、''条件が条件なので面倒くさい''との意見も上がった。
---ついでに、あくまでゲームオーバーの演出ということで、シーン回想やCGギャラリーで見ることもできない((特典ディスクには「此岸の魔女」という名前付きでイラストが収録されている。))。
--どちらの魔女も、戦闘は無い。
---まどかの魔女は「ワルプルギスの夜を一撃で倒す」「地球を10日ほどで壊滅できる」と非常に強力な上、ほむらの目的は「時間を巻き戻してまどかを救う」ことなので、戦う必要は全く無い。
---ほむらの魔女も、その時点ではほむら1人しか生き残っておらず、戦える魔法少女がいないように描写されている。
---しかし、初報とほぼ同時に「全員魔女化」が発表されていたため、2人の魔女が顔見せで終わってしまったことには、肩透かしを食らわされた感はある。謎の魔女結界でオリジナルの遊び要素として出すだけでも出来なかったのだろうか。
#endregion
-引継ぎ要素の強制
--因果値や謎の魔女結界の引継ぎ要素はシステムデータとして記録されており、「引き継がない」ことができない。''いわゆる「つよくてニューゲーム」しかできない。''
--開始直後からギブアップしても因果値ボーナスを獲得できるので、どうしてもクリアできる自信がなければ、ギブアップを繰り返して因果値を溜め込んでからスタートすることもできる。
---しかしこの救済措置を過剰に使用したり、やり込んだ結果これに等しい因果値を溜め込んでしまうと、''やり込めばやり込むほどヌルくなっていく''と感じさせかねない。
---「謎の魔女結界」はやりこみ系のダンジョンであるという事もあり、因果値やレベルのリセットがあればもっと長く遊べたのでは…という声もある。
----
**問題点
-バグ・フリーズ
--''「さやかルートで特定の選択肢を選ばないとフリーズする((シーン分岐フラグの設定ミスと思われる。))」「ほむらルート、ワルプルギス戦で一度に大量のダメージを与えるとフリーズする((ダメージが一定以上に達する毎に会話イベントが発生するのだが、その一定値を一回の攻撃で二度以上超えた場合に発生する。イベント発生フラグの管理ミス。))」''というバグがあった。
---この2点については再現性が非常に高かったが、発売1ヶ月後のアップデートにより回避された。
--結界内での戦闘中にオーバーフローを起こしフリーズする事がある。特に佐倉杏子が「盗む」「幻覚」を同時に習得している時に顕著。
---「一度も起こった事がない」という報告もあり、本体との相性によるものではないかという話もある。
--Qボタン・ほむボタンを開示するアイテムをショップで買えるが、たまに購入してないのに開示されることがある。
これらのバグの存在を''「凍結の魔女 その性質は空転」「納期の魔女」''などと揶揄される事もあった。
-不親切・不自然な仕様
--Qボタン・ほむボタンは重要な分岐で強制的に出現して取りこぼさない仕様になっているのだが、逆に''「使用を強制されないボタンは重要ではない」''ということでもある。
---ショップでは隠しボタンを開示するアイテムを購入できるが、開示しても背景が僅かに明滅するだけで、スキップも止まらない。~
そしてこの隠しボタンは、若干の会話の差分と感情値の上下が発生する程度で、分岐に影響することはない。~
--アドベンチャーパートに「既読スキップ」が無い。
---使えるのは「オートモード」「ボタン押してる間スキップ」''「クリア済みシナリオの既読・未読問わない最速スキップ」''の3種。クリア済みシナリオの別エンディングを見ようとしてもスキップされてしまう。
---スキップ起動中でもテキスト送りのSEが鳴り続けるため、気になる人には気になる。
---「ムービーのスキップ」に最速スキップと同じボタン(START)が割り当てられている上、ムービースキップすると''その後のテキストもスキップ扱いになってしまう。''
--感情値≒ソウルジェムは絶望によって穢される…はずなのだが、割とどうでもいい一喜一憂の勢いで上下したり、悲しんで下がったりと、設定を鑑みると不自然な点がある。
---かといってゲーム上設けられたパラメータが微動だにしない死に要素にされるのも考え物であり、ここは難しいところ。
-シナリオの不自然な点
--マミルートでキャストを無闇に節約していて、演出が不自然になってしまっている箇所が見受けられる。
---冒頭に「マミの両親」が登場するが、立ち絵もボイスも、文字としての台詞すらもない''エア両親。''見方を間違えるとホラーのようでもある。
--ほむら過去編1周目もこのルートに含まれているのは先述の通りで、ほむらは「芸術家の魔女」の声に同調して結界に引き寄せられるのだが…
---本作では魔女の声は無く、ほむらが自分で自分に魔女の台詞を語りかけていく。''一人でつぶやき続けるだけなので、一人芝居のようでもある。''([[参考動画>http://dic.nicovideo.jp/v/sm18610908]])
//問題点といえるのかわかりません。この場合は声優の使い回しが問題なのでしょうか?もうひとりの自分が語りかけるような演出も魔女の能力上問題はないはずです。
//↑冒頭で問題点を明記し、参考動画も貼ってみました。「語りかけるような演出」と言うには問題があるのでは。
//確認して見ました。コレだと導かれているように見えなくもないかもしれません。変…かどうかは魔女の先導の仕方の一つとも取れますしおかしいとも言い切れません。
-ソウルジェムのシビアな仕様
--ADVパートのイベントは感情値を上げるものがほとんどで、お気に入りのキャラのイベントを読みたくても読めないジレンマに悩まされやすい。計画的に濁りを管理しないと、必要以上に厳しいプレイを強いられる。
---複数の敵を同時に倒すと感情値を下げられるのだが、減少値は「敵の数マイナス1」。ADVパートでは20程度の上昇が当たり前なので焼け石に水。杏子の回復能力が評価できるのは、これに起因するところもある。
--ソウルジェムが完全に穢れた時のデメリットは先にも述べたが、中でも致命的なのは「攻撃力の大幅低下」「MP消費魔法の使用不能による単調化」。
---マミは魔女化寸前だと''リボンで殴り続けるしかない。''キャラの戦闘特性は活かせていないし、キャラ再現としても微妙。
---魔女化の回避が確定した時点で感情値が大幅に低下するイベントが挟まれるが、意図的に魔女化させたい場合、当然この恩恵は受けられない。
--マミ・杏子ルートの回想シーンでは、レベル下げ・技忘れという制約がある一方で、ソウルジェムの状態も過去・未来でそのまま引き継がれてしまう。
---回想シーンで上げた分の能力値は能力値増強アイテムで払い戻されるので、救済が全くない訳ではない。
--重ねて言うが、これらの条件が重なってもクリア不能なほどの難易度ではない。しかし、プレイヤーの感情に釈然としない物は残る。
//シビアだから良いって意見が多いわけでもないしこれはフォローのある問題点だろう
-OPの「コネクト」とEDの「Magia」を除くと原作曲が一切ない。
--原作で高い評価を得ていた梶浦由記氏の劇伴がゲームで聴けない、という点を惜しむ声は多い。
---数々のキャラゲー同様、著作権をクリアするための使用料による制作費の高騰を避けるという事情は容易に推察できるものの、評価の高い楽曲も多数あるため残念だとの声もある。
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**総評
キュゥべえの正体、魔法少女と魔女の関係など「本編の核心まで網羅している事」を前提に作られており、原作未見では恐らくついていけず、あまりお勧めできない。~
その上で、ゲームバランスは原作のような「ループ」もとい周回プレイ前提のような高難易度、バグの発生やUIの調整不足など、評価を落とすポイントの多さが目立つ。~
そしてシナリオは「あの」原作以上に凄惨なエンディングも待ち受けており、''かなり人を選ぶ、ゲーム中~上級者向けの作品''と言わざるを得ない。~
これらを苦としなければ、(ある一線を越えるまで)手応えのあるゲームバランス、原作を補完しつつもひと味違う展開で、ファン向けゲームの及第点として楽しめるだろう。~
社会現象的なヒットから1年という旬の時期にこのような仕上がりで発売されたためか、声高な酷評が先行しがちだが、決して悪いだけのものではなく、まだ稼働するPSPが手元にあれば是非プレイしてもらいたいところ。~
強いて言うなら、ユーザー層に対して間口の狭すぎるゲームデザイン、原作のダークな雰囲気・ループものの世界観を再現・追究''しすぎてしまった''ことは失敗だったかもしれない。
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**余談
-2011年10月のイベント「マチ★アソビvol.7」にて、スタッフ・キャスト陣によるトークショーが開かれている([[参照>https://gigazine.net/news/20111010-madomagi-psp-machiasobi7/]])。
--この場で原作脚本の虚淵氏が、本作のシナリオ監修について''「さやかといい杏子といい、他人がいじめているのを見るとかわいそうになる」「今までこれほどさやかに優しくしたことはない」''と発言している。
---''本作さやかルートは監修を経てなおこの有様だった、COLOR(red){この展開は逆に手加減されたものではないか}''と噂されている。
---ただ、どの箇所にどのようなリライトが行われたのか?までは定かではない。「さやかに優しくしたはずなのに、こんな展開だった」というギャップがウケているが、拡大解釈されている節があることには留意したい。
---噂の真相はさておき、2011年3月の放送終了から半年後~2012年3月の本作発売の半年前という、タイトでスピーディなキャラゲーの開発スケジュールが垣間見える、興味深い内容である。~
また「本人監修」が、名ばかりのものだけではないこともハッキリとわかる。
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**その後の展開
-劇場版新作アニメ『[新編]叛逆の物語』の公開直前、PSVitaにてアクションゲーム[[『まどか☆マギカ The Battle Pentagram』>劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram]]が発売されている。
--RPGの本作に対し、ACTという全くの別ジャンルで、ストーリーにも繋がりはない。
---しかし、本作からプロデューサーなどのスタッフの続投、本作の反省を盛り込んだシナリオ作風の変化など、実質的に続編として位置づけられている。
---こちらもこちらでバランス・シナリオ共にクセが強い≒難のある作品だが、本作とは違うプレイ感覚やシナリオは、ファンなら一見の余地あり。
-本作オリジナルのある魔女が『新編』にも登場するが、本作とはシナリオ展開が大きく違うため、同一人物でも姿が変わっている。