「infinity」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

infinity」(2024/01/06 (土) 09:32:21) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

注意:このページでは、『infinity』『INFINITY cure.』(''判定なし'')と、『Never7 -the end of infinty-』(''良作'')を扱っています。 ---- -&bold(){infinity}:シリーズの原点。しかし最終シナリオが全てを台無しに…。 -&bold(){INFINITY cure.}:補完シナリオ集。 -&bold(){Never7 -the end of infinity-} :『infinity』に『cure.』の補完シナリオを加えた完全版。無印の汚名を返上し、シリーズの路線を確立。 ---- #contents ---- #areaedit() *infinity 【いんふぃにてぃー】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B00005OVT5)[[裏を見る>https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61E24QYQNRL._SX342_.jpg]]| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|KID|~| |発売日|2000年3月23日|~| |定価|7,140円|~| |備考|修正版ディスクが存在|~| |判定|なし|~| |ポイント|最終シナリオ進行不可能バグ&br()最終シナリオの酷いオチのせいで&br()それまでの展開が全部台無し|~| |>|>|CENTER:''[[infinityシリーズ]]''| ---- **概要 『[[メモリーズオフ]]』に続くKIDオリジナルの恋愛アドベンチャー。~ オーソドックスな恋愛ものである『メモリーズオフ』に対し、こちらは時間のループを始めとするSF要素を含んだミステリアスなストーリーとなっている。~ 原案は『メモリーズオフ』でシナリオデビューし、後に次回作『[[Ever17>Ever17 -the out of infinity-]]』や[[極限脱出シリーズ>極限脱出 9時間9人9の扉]]などで名を馳せる打越鋼太郎。中澤工の初監督作品でもある。 **ストーリー 大学のゼミの合宿に参加することになった主人公・石原誠は、目の前で大切な女性が死ぬという悪夢で目覚める。 その直後、合宿班長の川島優夏が部屋に飛び込んでくるが、誠の姿を確認するとすぐに出て行った。 そんな事があった翌日、「地震が来る」と思った直後に本当に地震が起こってしまう。 誠は自分に予知能力があるのではないか? と考えるが…。 #region(登場人物) -石原誠(CV:なし) --主人公。大学3年生だが、大学にはほとんど行っていない。 -川島優夏(CV:川上とも子) --ヒロイン候補。大学3年生で、誠のゼミの班長。活発で明るく人当たりの良い性格だが、料理は壊滅的に下手。相当な酒乱で、酒を飲むと手が付けられない。 -樋口遙(CV:???((伏せられている事にはストーリー上の意味があり、プレイヤーがある事実が明らかになった後に担当声優を知る事で、納得と驚きを得るという演出になっている。))) --ヒロイン候補。ゼミ生の1人で、飛び級で3年生になった優等生。しかし一般常識には疎い不思議ちゃんで、性格も内向的で口数が少ない。 -朝倉沙紀(CV:山崎和佳奈) --ヒロイン候補。ゼミの合宿所の近くにある別荘に滞在していたお嬢様で、優夏の中学時代の友人。美人だが感情の起伏が激しく我が儘。 -守野くるみ(CV:松岡由貴) --ヒロイン候補。高校3年生だが、外見的にも精神的にも中学生くらいにしか見えない。 -守野いづみ(CV:井上喜久子) --ヒロイン候補。くるみの姉で、喫茶店の店長代理(アルバイト)。温厚で面倒見が良いが、ややズレた面がある。 -飯田億彦(CV:千葉進歩) --ゼミ生の1人。金持ちの御曹司で、キザな女たらし。遙にちょっかいを出している。 #endregion **特徴 -選択肢で展開が変化するアドベンチャーゲーム。 --ある程度仲良くなったキャラクターとエンディングを迎えられる。 **評価点 -最終シナリオを除くキャラ別シナリオ --「特定のヒロインを選択してそのヒロインとの物語を描く」といういわゆるギャルゲー形式をとっているが、「ループもの」などのSF設定をうまく絡めヒロインとそのまわりの問題や悲劇を解決していく形をとっており、本作独自の雰囲気を醸し出している。 // ループものだということはネタバレにはならないと思います。 ---後述の他ヒロインのEDを見た後に解放される最終シナリオには難があるものの、それまでのキャラ別のシナリオに関してはよくできている。 #region(ループについて(以下ネタバレあり)) -本作は1ルートにつき合宿で過ごす一週間をループによって2周する事になる。1周目は所謂「共通ルート」にあたり、その途中から各ヒロインのルートに分岐していき、ルートに応じた2周目に突入する。 --基本的には1周目は最後に起きた悲劇によってヒロインが死んでしまい、最終日を迎える事なく終わってしまう。2周目ではその悲劇を回避するために行動し、その末にハッピーエンドを迎えるという形を採っている。 ---一度悲劇を迎える事でより強く「ヒロインを助けたい」と思わせ、それを経験してのハッピーエンドは感慨深い。 #endregion --また、当時のギャルゲーはルート内では主人公と当該ヒロイン以外が殆ど登場しない作品が多かったが、本作はルート突入後も他のキャラにそれなりの出番が与えられている。また、ルートをクリアしていく事で徐々に物語の全貌が明かされたりなど、ルート間にもある程度の関連性を持たせている。 -豊富な立ち絵 --本作は発売時期としては珍しく、顔だけの表情差分ではなく表情ごとに立ち絵も変化する。 ---後に原画家の影崎夕那が同人誌で出した原画集によると「スタッフは表情差分のつもりで依頼を出したが、勘違いして全身描いてしまった。」との事。結果としてゲームの表現力は上がった。 **問題点 -最終シナリオの内容 --一通り他のヒロインルートを攻略することで解放される最終シナリオ「いづみルート」であるが、他のキャラクター編におけるそれまでの積み重ねを全部台無しにするシナリオになっており、拍子抜けするか呆れるか、とにかく肩透かしを食う。 #region(以下ネタバレあり) --「ループしているというのは予知ができるというのは嘘で、実は自分以外のみんながグルになって自分を騙していた茶番劇でした」 ---しかし、「2周目」最終日の前日から日付の表記がなくなり、ループしていないなら起こる確率は低い「地震」と「大雨」が発生しているため新たな謎を生んでいる。 #endregion --単純に「オチとしてそれはどうなんだ」という事もあるが、それでは説明のつかない矛盾点や他のヒロインのシナリオで発生していた現象の正体も不明なまま等、色々と問題のある終わり方だった。 ---「いづみシナリオ」が他のヒロインたちを攻略し終えないと解放されないとはいえ、他のルートと同じ世界の出来事とは説明されていないためパラレルと擁護することはできる。 --また、それまでに攻略してきたヒロインたちの性格からしてそのような行動をとるようには思えず、いづみを含めたヒロインたち全員に醒めかねない。 -初期ロット版のバグ --初期ロットでは最終シナリオにバグの為に入る事が出来なかった。 ---[[セーブデータのバグ修正や初期ロット版と修正版CD-ROMの無償交換で対応が行われた。>http://5pb.jp/records/sp/kid/special/interview/]]) **総評 一見すると当時、粗製乱造・大量生産されていたギャルゲーの一つにしか見えないが、「ループもの」などのSF設定を絡めた各シナリオはよくできている。~ とはいえ、最終シナリオが、拍子抜けし、それまでのシナリオにも萎えかねないすべてを台無しにする残念な出来だった事で、今一つ盛り上がらずに終わりを迎える。~ また、「ループ」などの世界設定の種明かしが十分になされておらず、結果として「恋愛メインなギャルゲー」にとどまっている。 しかし後に補完シナリオや、完全版が登場した事で評価は見直され、「SFアドベンチャーゲーム」路線のシリーズ化への礎を築いた。~ 新規にプレイするなら、本作でなく下記の完全版をプレイすることをおすすめする。 **その後の展開 -2000年11月に補完シナリオ(優夏キュア・いづみキュア)''のみ''を収録したNGP用ソフト『INFINITY cure.』が発売。 --さらに、同年12月にはNGP版のシナリオを盛り込んだ完全版『Never7 -the end of infinity-』がDCで発売され、後にPS2/Win/PSP/にも移植された。 #areaedit(end) ---- #areaedit() *INFINITY cure. 【いんふぃにてぃー きゅあ】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|&amazon(B00014ARUS)| |対応機種|ネオジオポケットカラー|~| |メディア|8MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|KID|~| |発売日|2000年11月23日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|真の最終シナリオを収録|~| |>|>|CENTER:''[[infinityシリーズ]]''| ---- **概要(cure.) 『infinity』の優夏シナリオを優夏の視点から描いた「優夏cure.」と、最終シナリオをリメイクした「いづみcure.」の2つの新シナリオのみを収録した携帯機用ソフト。~ タイトルの「cure. (キュア)」とは、作中に登場する用語に関連した意味を持つのと同時に、『メモリーズオフ』の外伝『メモリーズオフ ピュア』との対比になっている。~ ネオポケでの発売である為、音声は収録されていない。 **評価点(cure.) -真の完結編「いづみcure.」。 --原作において最後の謎解きが拍子抜けする残念なシナリオだったが、それを元に作り直された本シナリオは緻密なSF考証による真の種明かしが行われる。更には他のルートも巻き込んだ伏線回収と真相解明による驚きのカタルシス、ミスリードなど、これらを活かしたミステリアスな展開によって引き込まれる内容になっている。 --このシナリオは無印の悪評を見事に覆す高評価を獲得し、その後の『[[Ever17>Ever17 -the out of infinity-]]』『[[Remember11>Remember11 -the age of infinity-]]』へと繋がるKIDのSFアドベンチャーゲーム路線を確立することになる。 **問題点(cure.) -ボリューム --携帯機である以上容量の問題で仕方ないが、シナリオが二つのみ、音声なし、と、ADVとして物足りない。 **総評(cure.) 原作での最大の問題点、「残念な最終シナリオ」をリメイクして非常に読み応えのあるシナリオにしている。~ ただし携帯機ゆえに容量の問題から二つのシナリオのみの収録となっているのは残念である。~ 翌月にはこれらも同梱された『Never7』が発売される事もあり、実質的に先行限定収録、といった方が正しいだろう。 #areaedit(end) ---- #areaedit() *Never7 -the end of infinty- 【ねばーせぶん じ えんど おぶ いんふぃにてぃー】 |ジャンル|>|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B000094FX1)&amazon(B001N2LYZY)&amazon(B001N2LYZO)| |対応機種|>|ドリームキャスト&br;Windows 98/Me/2000&br;プレイステーション2&br;プレイステーション・ポータブル|~| |開発元|>|KID|~| |発売元|DC/Win/PS2|KID|~| |~|PS2廉価版|サクセス|~| |~|Win/PS2/PSP|サイバーフロント|~| |~|Win DL|5pb.|~| |発売日|DC|2000年12月21日|~| |~|Win|2001年10月26日|~| |~|PS2|2003年6月26日|~| |~|PS2廉価版|2004年9月2日|~| |~|Win 4作同梱|2008年4月4日|~| |~|PS2 4作同梱|2008年10月9日|~| |~|PSP|2009年3月12日|~| |~|PSP 4作同梱|2009年8月13日|~| |~|Win DL版|2015年12月25日|~| |判定|>|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|>|『infinity』の集大成|~| |>|>|>|CENTER:''[[infinityシリーズ]]''| ----- ~ #center{&size(18){'''……永劫の哀しみにピリオドを。'''}} ~ ----- **概要(Never7) 『infinity』に『INFINITY cure.』の2シナリオなどを加えた完全版。~ タイトルの「ネバー7」とは「7日目が決して訪れない」「7人が決して無事にそろわない」という意味が込められている。 **特徴(Never7) -一般公募のアペンドストーリーが収録されている。 --シリアス部門・ギャグ部門などに分けた一般投票において上位の作品が収録されており、本編の出来事を別の登場人物視点で見たり、ループものであることを使い違った世界へと誘ったり、荒唐無稽なギャグシナリオがあったりと内容は多岐にわたる。シナリオの長さはマチマチ。 ---こちらは台詞に音声が付いていない。 -「優夏キュアシナリオ」は監督の中澤工氏の作品と言う形でこちらに収録されている。 -「いづみキュアシナリオ」 --いづみキュアシナリオは『INFINITY cure.』収録のA(トゥルーエンド)に加え、ノーマルエンドのBが用意されている。Bエンディングは映画『シックスセンス』の結末を意識して作られたと言う。 --無印の最終シナリオも別に収録されている。 **評価点(Never7) -ようやく完成したシナリオ --『infinity』及び『INFINITY cure.』の全シナリオが収録されており、ようやく一つのソフトとして完成した。 **問題点(Never7) -一部シナリオに残る謎 --「いづみキュアシナリオ」において、ゲーム全体に関わる謎は明かされるものの、それでは説明のつかない事もある為、一部には謎が残ってしまっている。 ---KID時代に存在した公式サイトのネタバレQ&Aにおいても「ご想像にお任せします。」と濁していた。 ---後年、中澤氏は「本作の各シナリオにはそれぞれの真実があり、全体としての明確な解答は存在しない」とも語っている。 -誤字・脱字 --最後に追加された所為で校正が足りなかったのか、よりにもよって最終シナリオの「いづみキュアシナリオ」に他のシナリオよりも脱字が多い。せっかくの最終シナリオなのに気が散ってしまう。 -くるみの立ち絵の一部にゴミが映る。 --立ち絵以外の部分を透明にする段階でゴミを取り除けていない。 -追加シナリオの音声 --「いづみキュア」は他のシナリオ同様に音声が収録されているのだが、「優夏キュア」はアペンドストーリーと言う位置付け上、音声が無い。 **総評(Never7) 最初に発売された『infinity』は各シナリオこそ出来はいいものの、物語を締めくくる最終シナリオがそれまでの話を締めるには問題のあるシナリオだった。~ 本作の直前に発売された『INFINITY cure.』で作られた新シナリオでもって締めるにふさわしいシナリオが搭載されたが、携帯機ゆえにシナリオ構成は変更。~ そして本作でもってようやく全シナリオが収録された『Never7』として完成した。~ 他のシリーズ作品に比べるとギャルゲー色が強い辺りは少々人を選ぶかもしれないが、後に『infinityシリーズ』として展開されていく基礎は本作の時点で出来上がっていると言っていいだろう。 #areaedit(end)
注意:このページでは、『infinity』『INFINITY cure.』(''判定なし'')と、『Never7 -the end of infinty-』(''良作'')を扱っています。 ---- -&bold(){infinity}:シリーズの原点。しかし最終シナリオが全てを台無しに…。 -&bold(){INFINITY cure.}:補完シナリオ集。 -&bold(){Never7 -the end of infinity-} :『infinity』に『cure.』の補完シナリオを加えた完全版。無印の汚名を返上し、シリーズの路線を確立。 ---- #contents ---- #areaedit() *infinity 【いんふぃにてぃー】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B00005OVT5)[[裏を見る>https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61E24QYQNRL._SX342_.jpg]]| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|KID|~| |発売日|2000年3月23日|~| |定価|7,140円|~| |備考|修正版ディスクが存在|~| |判定|なし|~| |ポイント|最終シナリオ進行不可能バグ&br()最終シナリオの酷いオチのせいで&br()それまでの展開が全部台無し|~| |>|>|CENTER:''[[infinityシリーズ]]''| ---- **概要 『[[メモリーズオフ]]』に続くKIDオリジナルの恋愛アドベンチャー。~ オーソドックスな恋愛ものである『メモリーズオフ』に対し、こちらは時間のループを始めとするSF要素を含んだミステリアスなストーリーとなっている。~ 原案は『メモリーズオフ』でシナリオデビューし、後に次回作『[[Ever17>Ever17 -the out of infinity-]]』や[[極限脱出シリーズ>極限脱出 9時間9人9の扉]]などで名を馳せる打越鋼太郎。中澤工の初監督作品でもある。 **ストーリー 大学のゼミの合宿に参加することになった主人公・石原誠は、目の前で大切な女性が死ぬという悪夢で目覚める。 その直後、合宿班長の川島優夏が部屋に飛び込んでくるが、誠の姿を確認するとすぐに出て行った。 そんな事があった翌日、「地震が来る」と思った直後に本当に地震が起こってしまう。 誠は自分に予知能力があるのではないか? と考えるが…。 #region(登場人物) -石原誠(CV:なし) --主人公。大学3年生だが、大学にはほとんど行っていない。 -川島優夏(CV:川上とも子) --ヒロイン候補。大学3年生で、誠のゼミの班長。活発で明るく人当たりの良い性格だが、料理は壊滅的に下手。相当な酒乱で、酒を飲むと手が付けられない。 -樋口遙(CV:???((伏せられている事にはストーリー上の意味があり、プレイヤーがある事実が明らかになった後に担当声優を知る事で、納得と驚きを得るという演出になっている。))) --ヒロイン候補。ゼミ生の1人で、飛び級で3年生になった優等生。しかし一般常識には疎い不思議ちゃんで、性格も内向的で口数が少ない。 -朝倉沙紀(CV:山崎和佳奈) --ヒロイン候補。ゼミの合宿所の近くにある別荘に滞在していたお嬢様で、優夏の中学時代の友人。美人だが感情の起伏が激しく我が儘。 -守野くるみ(CV:松岡由貴) --ヒロイン候補。高校3年生だが、外見的にも精神的にも中学生くらいにしか見えない。 -守野いづみ(CV:井上喜久子) --ヒロイン候補。くるみの姉で、喫茶店の店長代理(アルバイト)。温厚で面倒見が良いが、ややズレた面がある。 -飯田億彦(CV:千葉進歩) --ゼミ生の1人。金持ちの御曹司で、キザな女たらし。遙にちょっかいを出している。 #endregion **特徴 -選択肢で展開が変化するアドベンチャーゲーム。 --ある程度仲良くなったキャラクターとエンディングを迎えられる。 **評価点 -最終シナリオを除くキャラ別シナリオ --「特定のヒロインを選択してそのヒロインとの物語を描く」といういわゆるギャルゲー形式をとっているが、「ループもの」などのSF設定をうまく絡めヒロインとそのまわりの問題や悲劇を解決していく形をとっており、本作独自の雰囲気を醸し出している。 // ループものだということはネタバレにはならないと思います。 ---後述の他ヒロインのEDを見た後に解放される最終シナリオには難があるものの、それまでのキャラ別のシナリオに関してはよくできている。 #region(ループについて(以下ネタバレあり)) -本作は1ルートにつき合宿で過ごす一週間をループによって2周する事になる。1周目は所謂「共通ルート」にあたり、その途中から各ヒロインのルートに分岐していき、ルートに応じた2周目に突入する。 --基本的には1周目は最後に起きた悲劇によってヒロインが死んでしまい、最終日を迎える事なく終わってしまう。2周目ではその悲劇を回避するために行動し、その末にハッピーエンドを迎えるという形を採っている。 ---一度悲劇を迎える事でより強く「ヒロインを助けたい」と思わせ、それを経験してのハッピーエンドは感慨深い。 #endregion --また、当時のギャルゲーはルート内では主人公と当該ヒロイン以外が殆ど登場しない作品が多かったが、本作はルート突入後も他のキャラにそれなりの出番が与えられている。また、ルートをクリアしていく事で徐々に物語の全貌が明かされたりなど、ルート間にもある程度の関連性を持たせている。 -豊富な立ち絵 --本作は発売時期としては珍しく、顔だけの表情差分ではなく表情ごとに立ち絵も変化する。 ---後に原画家の影崎夕那が同人誌で出した原画集によると「スタッフは表情差分のつもりで依頼を出したが、勘違いして全身描いてしまった。」との事。結果としてゲームの表現力は上がった。 **問題点 -最終シナリオの内容 --一通り他のヒロインルートを攻略することで解放される最終シナリオ「いづみルート」であるが、他のキャラクター編におけるそれまでの積み重ねを全部台無しにするシナリオになっており、拍子抜けするか呆れるか、とにかく肩透かしを食う。 #region(以下ネタバレあり) --「ループしているというのは予知ができるというのは嘘で、実は自分以外のみんながグルになって自分を騙していた茶番劇でした」 ---しかし、「2周目」最終日の前日から日付の表記がなくなり、ループしていないなら起こる確率は低い「地震」と「大雨」が発生しているため新たな謎を生んでいる。 #endregion --単純に「オチとしてそれはどうなんだ」という事もあるが、それでは説明のつかない矛盾点や他のヒロインのシナリオで発生していた現象の正体も不明なまま等、色々と問題のある終わり方だった。 ---「いづみシナリオ」が他のヒロインたちを攻略し終えないと解放されないとはいえ、他のルートと同じ世界の出来事とは説明されていないためパラレルと擁護することはできる。 --また、それまでに攻略してきたヒロインたちの性格からしてそのような行動をとるようには思えず、いづみを含めたヒロインたち全員に醒めかねない。 -初期ロット版のバグ --初期ロットでは最終シナリオにバグの為に入る事が出来なかった。 ---セーブデータのバグ修正や初期ロット版と修正版CD-ROMの無償交換で対応が行われた。([[詳細>http://5pb.jp/records/sp/kid/special/interview/]]) **総評 一見すると当時、粗製乱造・大量生産されていたギャルゲーの一つにしか見えないが、「ループもの」などのSF設定を絡めた各シナリオはよくできている。~ とはいえ、最終シナリオが、拍子抜けし、それまでのシナリオにも萎えかねないすべてを台無しにする残念な出来だった事で、今一つ盛り上がらずに終わりを迎える。~ また、「ループ」などの世界設定の種明かしが十分になされておらず、結果として「恋愛メインなギャルゲー」にとどまっている。 しかし後に補完シナリオや、完全版が登場した事で評価は見直され、「SFアドベンチャーゲーム」路線のシリーズ化への礎を築いた。~ 新規にプレイするなら、本作でなく下記の完全版をプレイすることをおすすめする。 **その後の展開 -2000年11月に補完シナリオ(優夏キュア・いづみキュア)''のみ''を収録したNGP用ソフト『INFINITY cure.』が発売。 --さらに、同年12月にはNGP版のシナリオを盛り込んだ完全版『Never7 -the end of infinity-』がDCで発売され、後にPS2/Win/PSP/にも移植された。 #areaedit(end) ---- #areaedit() *INFINITY cure. 【いんふぃにてぃー きゅあ】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|&amazon(B00014ARUS)| |対応機種|ネオジオポケットカラー|~| |メディア|8MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|KID|~| |発売日|2000年11月23日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|真の最終シナリオを収録|~| |>|>|CENTER:''[[infinityシリーズ]]''| ---- **概要(cure.) 『infinity』の優夏シナリオを優夏の視点から描いた「優夏cure.」と、最終シナリオをリメイクした「いづみcure.」の2つの新シナリオのみを収録した携帯機用ソフト。~ タイトルの「cure. (キュア)」とは、作中に登場する用語に関連した意味を持つのと同時に、『メモリーズオフ』の外伝『メモリーズオフ ピュア』との対比になっている。~ ネオポケでの発売である為、音声は収録されていない。 **評価点(cure.) -真の完結編「いづみcure.」。 --原作において最後の謎解きが拍子抜けする残念なシナリオだったが、それを元に作り直された本シナリオは緻密なSF考証による真の種明かしが行われる。更には他のルートも巻き込んだ伏線回収と真相解明による驚きのカタルシス、ミスリードなど、これらを活かしたミステリアスな展開によって引き込まれる内容になっている。 --このシナリオは無印の悪評を見事に覆す高評価を獲得し、その後の『[[Ever17>Ever17 -the out of infinity-]]』『[[Remember11>Remember11 -the age of infinity-]]』へと繋がるKIDのSFアドベンチャーゲーム路線を確立することになる。 **問題点(cure.) -ボリューム --携帯機である以上容量の問題で仕方ないが、シナリオが二つのみ、音声なし、と、ADVとして物足りない。 **総評(cure.) 原作での最大の問題点、「残念な最終シナリオ」をリメイクして非常に読み応えのあるシナリオにしている。~ ただし携帯機ゆえに容量の問題から二つのシナリオのみの収録となっているのは残念である。~ 翌月にはこれらも同梱された『Never7』が発売される事もあり、実質的に先行限定収録、といった方が正しいだろう。 #areaedit(end) ---- #areaedit() *Never7 -the end of infinty- 【ねばーせぶん じ えんど おぶ いんふぃにてぃー】 |ジャンル|>|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B000094FX1)&amazon(B001N2LYZY)&amazon(B001N2LYZO)| |対応機種|>|ドリームキャスト&br;Windows 98/Me/2000&br;プレイステーション2&br;プレイステーション・ポータブル|~| |開発元|>|KID|~| |発売元|DC/Win/PS2|KID|~| |~|PS2廉価版|サクセス|~| |~|Win/PS2/PSP|サイバーフロント|~| |~|Win DL|5pb.|~| |発売日|DC|2000年12月21日|~| |~|Win|2001年10月26日|~| |~|PS2|2003年6月26日|~| |~|PS2廉価版|2004年9月2日|~| |~|Win 4作同梱|2008年4月4日|~| |~|PS2 4作同梱|2008年10月9日|~| |~|PSP|2009年3月12日|~| |~|PSP 4作同梱|2009年8月13日|~| |~|Win DL版|2015年12月25日|~| |判定|>|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|>|『infinity』の集大成|~| |>|>|>|CENTER:''[[infinityシリーズ]]''| ----- ~ #center{&size(18){'''……永劫の哀しみにピリオドを。'''}} ~ ----- **概要(Never7) 『infinity』に『INFINITY cure.』の2シナリオなどを加えた完全版。~ タイトルの「ネバー7」とは「7日目が決して訪れない」「7人が決して無事にそろわない」という意味が込められている。 **特徴(Never7) -一般公募のアペンドストーリーが収録されている。 --シリアス部門・ギャグ部門などに分けた一般投票において上位の作品が収録されており、本編の出来事を別の登場人物視点で見たり、ループものであることを使い違った世界へと誘ったり、荒唐無稽なギャグシナリオがあったりと内容は多岐にわたる。シナリオの長さはマチマチ。 ---こちらは台詞に音声が付いていない。 -「優夏キュアシナリオ」は監督の中澤工氏の作品と言う形でこちらに収録されている。 -「いづみキュアシナリオ」 --いづみキュアシナリオは『INFINITY cure.』収録のA(トゥルーエンド)に加え、ノーマルエンドのBが用意されている。Bエンディングは映画『シックスセンス』の結末を意識して作られたと言う。 --無印の最終シナリオも別に収録されている。 **評価点(Never7) -ようやく完成したシナリオ --『infinity』及び『INFINITY cure.』の全シナリオが収録されており、ようやく一つのソフトとして完成した。 **問題点(Never7) -一部シナリオに残る謎 --「いづみキュアシナリオ」において、ゲーム全体に関わる謎は明かされるものの、それでは説明のつかない事もある為、一部には謎が残ってしまっている。 ---KID時代に存在した公式サイトのネタバレQ&Aにおいても「ご想像にお任せします。」と濁していた。 ---後年、中澤氏は「本作の各シナリオにはそれぞれの真実があり、全体としての明確な解答は存在しない」とも語っている。 -誤字・脱字 --最後に追加された所為で校正が足りなかったのか、よりにもよって最終シナリオの「いづみキュアシナリオ」に他のシナリオよりも脱字が多い。せっかくの最終シナリオなのに気が散ってしまう。 -くるみの立ち絵の一部にゴミが映る。 --立ち絵以外の部分を透明にする段階でゴミを取り除けていない。 -追加シナリオの音声 --「いづみキュア」は他のシナリオ同様に音声が収録されているのだが、「優夏キュア」はアペンドストーリーと言う位置付け上、音声が無い。 **総評(Never7) 最初に発売された『infinity』は各シナリオこそ出来はいいものの、物語を締めくくる最終シナリオがそれまでの話を締めるには問題のあるシナリオだった。~ 本作の直前に発売された『INFINITY cure.』で作られた新シナリオでもって締めるにふさわしいシナリオが搭載されたが、携帯機ゆえにシナリオ構成は変更。~ そして本作でもってようやく全シナリオが収録された『Never7』として完成した。~ 他のシリーズ作品に比べるとギャルゲー色が強い辺りは少々人を選ぶかもしれないが、後に『infinityシリーズ』として展開されていく基礎は本作の時点で出来上がっていると言っていいだろう。 #areaedit(end)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: