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//2つ前の編集において「問題点」の項がCOされたことにより「記事作成のガイドライン」に違反した体裁となってしまっているため、「問題点」の項は元に戻しました。 *アウトラン 【あうとらん】 |ジャンル|レース|CENTER:&amazon(B000148C0A)|&amazon(B000148J3A)|&amazon(B000148J3K)| |対応機種|アーケード|~|~|~| |発売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~|~|~| |稼働開始日|1986年9月25日|~|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|~| |ポイント|多様性のある情景&br;ゲーム史に刻まれたBGM&br;レースと名ばかりのドライブ|~|~|~| //AGES版は当wikiでは別物として独立記事が作成されており判定も異なっていますので、アーケード版の記事である本稿の画像としては使用しないでください。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 擬似3D表示のレースゲーム。当時セガが注力していた「体感ゲーム」の一環として発表された。~ リアルで美しいグラフィック、印象的な音楽、そして可動する大型筐体が大きな特徴。~ タイトルの英字表記は『OutRun』。 ---- **システム -ヨーロッパ全土を舞台に、フェラーリ・テスタロッサ風の赤いオープンカー((フェラーリ社とのライセンスを締結していないため、あくまで「よく似た車」である。移植版では権利関係の問題からデザインが変更されている場合が多い。))((また、テスタロッサにはオープン仕様の量産車は存在しないが、特注品が1986年2月に生産されていて、フェラーリ生産品が数台、チューニングショップがクローズボディベースに屋根を切った物が20台ほど存在したようである。))を運転する。 --操作はステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、そしてHI-LOW二段のシフトノブ。 --コースは5ステージに分かれ、制限時間内にチェックポイントを通過すると持ち時間が追加されるオーソドックスなシステム。間に合わないとゲームオーバー。~ またコース外の障害物や他車に接触するとスピンして停車(当たりどころが悪いと大クラッシュ)して大きなタイムロスとなる。 --ルートマップは樹形図状になっており、1~4ステージの最後には分岐点が現れ、左右いずれかのルートを選ぶ。~ 1ステージ目は1種類、2ステージ目は左右2種類…と最終5ステージ目は5種類のステージが存在しており、ある程度好きな順路を選んで走れる。 -ゲーム筐体は、機構とサイズが異なる4種類が存在する。 --''デラックス'':車そのものを模した、可動機構を備えた大型筐体。ハンドル操作に応じて筐体が左右に大きく傾き、クラッシュやコースアウトの際にはガタガタと激しく揺れる。 --''スタンダード'':デラックスよりもやや小さめながら、同様の可動機構を備えた普及型。 --''コクピット'':非可動のボックス型筐体。 --''アップライト'':立ってプレイする省スペース筐体(後の『[[クレイジータクシー]]』と似た筐体)。輸出用でありシフトノブが右に付いている。日本国内ではほとんど出回らず。 -ソフトウェアにも先にリリースされた日本向け版と後からリリースされた海外向け版があり、ステージ構成が一部入れ替わっている。日本では両バージョンが流通した。このため「海外版」を新Ver.と呼ぶこともある。 ---- **評価点 -美しいグラフィック --ポリゴンという技術が実用化される前の作品であり、グラフィックはドット絵の重ね描きとラスタースクロールによる擬似3Dで表現されているが、非常にリアルで美しい。~ ステージごとに海岸、遺跡地帯、夕暮れなどわかりやすい特徴もあり、色々なコースを見てみたい、走ってみたいと思わずにはいられない。 -ゲーム史に残る名曲群 --ゲーム開始時にBGMを「MAGICAL SOUND SHOWER」「SPLASH WAVE」「PASSING BREEZE」の3曲から選ぶ。いずれも素晴らしい名曲揃いであり、今なお多くの人に愛されている。~ ゴールインまでの実質プレイ時間は約5分となるが、これらの曲は短いフレーズのループではなく''約5分の長さをフルに活かした構成が組まれている''。当時としては前例のないことであり衝撃的だった。 ---続編である『アウトランナーズ』『アウトラン2』にも、この3曲は新曲と肩を並べて収録されている。 ---筐体では「PASSING BREEZE」と「SPLASH WAVE」の曲名が逆になっていて、サントラで修正されたと言うエピソードがある。媒体によって筐体準拠とサントラ準拠が混ざっているので注意。 //---アウトランのこの「車のゲームで選曲」が後々の『[[リッジレーサー]]』や『[[デイトナUSA]]』等に活かされている((ただし、デイトナUSAの選曲出来るというのは裏技扱いである。リッジレーサーはゲーム上表記はしていないが選曲する方法は発売後すぐにアナウンスされた。))。これまでの車のゲームではエンジン音程度であったのでかなり画期的である。 -「ドライブゲーム」という方向性を打ち出したこと --本作ではプレイヤー車の順位を計測していない。つまり順番を競う「レースゲーム」ではなく、制限時間にさえ間に合えばとりあえずは良い。 ---コースの構成はサーキットを周回する形ではなく、いろいろな地域を巡り長距離を走破する形となっている。 --このようなシステムと美しく雄大なグラフィックが相まって、「ドライブゲーム」というコンセプトを確立した。 ---続編の『アウトランナーズ』も対戦プレイで競うシステムだが、基本的にはドライブゲームである。 **賛否両論点 -裏技「ギアガチャ」の存在 --コース外のダート部分に突っ込むと大幅に減速してしまう。しかしコースアウトの瞬間にギアチェンジを行うと、なぜか減速が起こらない。これを利用してダート部分も含めたショートカットを行い走行タイムを縮められる。~ 更には特定の条件でもう一度ギアをHi-Low-Hiと切り替えると、約1秒の減速が起こらない時間を約7秒まで延長出来る。~ 正確に操作すればギアガチャはこの2回で済むのだが、実践では確実性を高めるために、2度どころではなく何度も連続的に激しくギアチェンジを行うことが多かった。~ また、上級者のプレイを見て「とにかくギアをガチャガチャやればいいんだ」と思い込んだ人が、ずっとレバーを動かし続けていたのも目撃されていた。~ 他にもギアの短時間入れ替えを要するテクニックが存在するため、本作の筐体はシフトレバーが酷使されすぎて故障が多発した。~ 補修部品が出ていた時期であればまだしも、現在では故障させてしまうと修理が難しいため、大阪のザリガニ始め、設置している多くの店舗で「ギアガチャ禁止」と明記されている。 ---今作のプログラマーの三舩敏氏曰く、「想定外の使われ方をした」と書籍『セガ3D復刻アーカイブスMANIAX』にて述懐している((「高速域でギアをLowに入れると現実ではギアやエンジンが壊れるが、ゲーム内で壊すわけにはいかないので、いきなりスピードが落ちるのもなんだから、しばらく空転しているような状態を作ってみたら、市場に出てから『ありえないタイムが出ている』となってしまった」「結果的に製品寿命が延びたんじゃないかという事でお咎めは無かったが、筐体の寿命が…」との事。))。 ---ただ、やはりギアガチャに関しては当時から不快に感じるゲーマーもおり、「ハイスコアを出したいがための勝手なエゴで機器を壊すようなことが許されるのか?」とゲーメストやマイコンBasicマガジンの読者コーナーでは度々論争になることもあった((別のゲームの話にもなるが電源パターンでハイスコア狙いをするためにいきなり電源を切り、間を置かず即座に電源を再度入れるという「電プチ」も基板故障を引き起こすトリガーになりやすいということで論争の火種になった。))。 //-難易度が高め //--当時のアーケード作品故に仕方がない部分もあるがデフォルトの制限時間設定(ゲーム開始時75秒)がシビア。前述の「ギアガチャ」を使わないプレイで完走を狙う場合、接触やクラッシュはほぼ許されない。 //---ルートやプレイ内容にもよるがアザーカーとの接触"単体"は1~3回、車が停止する軽いクラッシュは1回程度なら許容範囲。ただし、車が派手に吹っ飛ぶ大クラッシュは1度でもやらかすと完走はほぼ絶望的といっていいだろう。~ //厄介なのはアザーカーとの接触で弾かれた勢いでそのままコース外の障害物へ激突して停止クラッシュのコンボで、これも内容次第では1回でもかなり厳しくなってしまう。 -アザーカーの挙動 --本作のアザーカーの挙動は全体的に嫌らしく、突然の車線変更でこちらの進路を塞いできたり、横からの幅寄せをしてきたり、道幅が狭い場面で車線の殆どがアザーカーで塞がるような状況になり中々加速できない、なんて事がある。 ---アザーカーの配置はパターン自体は決まっているようだが、タイムが少し変わるだけでパターンが崩れるため、大まかな走行ラインを構築しても、その時に応じたアドリブ対処能力が必要となる。 **問題点 -制限時間に関連するバグがある --本作の制限時間には3桁目(百の値)というものが存在せず、チェックポイント追加でのタイム加算で99秒を超えると百の値が切り捨てられる((例としてタイム加算で制限時間が102秒になった場合、100秒差し引かれてゲーム上での実際の制限時間はたった2秒となってしまう))。~ こうなると次のステージが始まった直後に時間切れという極めて理不尽な事態が発生する。ただし、普通にプレイする分ではこのバグに遭遇する事はまずない。 ---問題になるのはギアガチャを駆使したプレイ。最終ステージでこのバグを発生させてしまい、せっかくの苦労が水の泡…なんてことが起こりうる((それを防ぐため制限時間設定をデフォルトよりも厳しい設定にした店もあったようだ。))。 ---後述の家庭用移植版ではタイム加算で99秒を超えると数値がカンストされるように修正された。 ---- **総評 現実的ながら色彩豊かなグラフィックやサウンドなどの圧倒的な表現力と、臨場感と迫力たっぷりの大型可動筐体により、全世界で高い評価と大きな人気を獲得した名作である。~ 『フェラーリに乗って欧州をドライブする』という「お洒落さ」と「スピード感」に満ちたゲーム内容は、以後のアーケードレースゲームに大きな影響を残したのは勿論のこと、~ セガとしても「爽快な青空が似合うゲームを作る会社」という現在まで続くブランドイメージの1つが定着した偉大な作品。何処かで見かけたらぜひ1度は遊んでみて頂きたい。 ---- **余談 //-元祖ゲーマーアイドル・千葉麗子がゲーム関連の仕事をするきっかけとなったのは『サムライスピリッツ』ではなく、今作であった。~ //当時のアイドルは「手の届かない遠い存在、夢の世界の人」だった所、千葉氏はガチゲーマーぶり((ギアガチャの存在を知っていた他、腕前自体もなかなかのものであった。))を披露、濃いファンを獲得する事に。 -2019年現在現役稼働しているDX筐体は3台。「趣味と維持の延長」で運営されている大阪新世界「ザリガニ」等。 -2023年現在では青森県十和田市の「レトロゲーム秘密基地」に海外仕様の右シフトレバーの完動状態のDX筐体がある。 --残念な事に2024年2月24日に、店舗隣からの商店から発生した火災が延焼し、お店ごと焼失してしまった。 ---- **続編 -ターボアウトラン(1989年) --前作と同じ基板を使用し、実質4ヶ月で作られた続編。舞台は前作の欧州から、アメリカを舞台としたニューヨークからロサンゼルスへの大陸横断レースとなった。~ 自車はフェラーリ・F40風の赤いオープンカーに変更((なお、本作稼働の前年にフェラーリの創立者でありF40が最後に手掛けた車種となったエンツォ・フェラーリ氏が死去しており、本作の非可動小型筐体には彼を追悼するメッセージが記されている。))され、コース分岐の無い4ステージ毎のチェックポイント通過を白いライバルカーと競うシステムに変更。~ シフトノブのターボボタンを押すと一時的に加速できるシステムが追加(下記の『アウトラン』筐体版ではターボボタンはスタートボタンで代用されている)。((このシステムは現代的な言い方をすれば「ターボ」よりも「ニトロ」と言ったほうが現実でのそれに近い。三舩氏曰く「あれはニトロだけど『ニトロアウトラン』じゃしっくりこない、しかし続編を作る事をよしとしない当時の社風から『2』とつけてはならなかったので『ターボ』にした」と書籍『セガ3D復刻アーカイブスMANIAX』にて述懐している。))((ターボでも、一時的にブースト圧を上げて高馬力を出す「スクランブルブースト」という物が無いことは無いが、本作のターボ並の加速を得られる訳ではない。))、ゲーム開始時にオートマチックシフトも選択可能となった。 ---当初は非稼動の小型筐体のみだったが、後に『アウトラン』筐体を流用した稼動版も登場した。それぞれの版で下記のBGMの再生順が異なる((三舩氏は『RUSH A DIFFICULTY』を夜のイメージに合うので2曲目にしようとしていたが、AM本部長の鈴木久司氏がこの曲を気に入って「これを最初に流さないのはどういう事だ」と何度も揉めたとの事。結局鈴木氏が味方のつもりで連れてきたAM3研の小口久雄氏が三舩氏の意を汲んで味方をしてくれてコクピット版は三舩氏の希望通りになった。だが後日、稼働筐体仕様の製作時に「またこの問題を蒸し返された」結果、「ここまで思ってくれているんだから」と最後は三舩氏が折れたそうである。))。 --BGMも再生順が固定で選択出来ず、4ステージ毎に切り替わる。ロック色の強いものが多いが何れも評価は高く、下記の『アウトラン2 SP』で復活収録されている物も。 ---チェックポイントではS.S.T.バンドが登場する小ネタがある。 --ポルシェ・959風((テスタロッサ同様に実車はクローズボディのみ。一応911カブリオレを959ルックにするという改造はあった。))の白いオープンカーに乗ったライバル((4ステージ毎のチェックポイント通過がライバルよりも遅いと、助手席の女性がライバル車に移り、ボーナス点を失ってしまう。ただしエンディングではプレイヤーの勝敗にかかわらず、ライバルが女性を主人公に取られたことを悔しがる演出が入る。))、進路妨害を行ってくるパトカーやターボ状態でなければ失速するオイルだまりなどの障害物が実装。 --4ステージ毎にチューンショップでエンジン・ターボ・タイヤの何れかを強化できるという独自の要素もあり、この場面では各種小ネタ((三舩氏が『ロック調にアレンジしてください』と依頼して作られた『ファンタジーゾーン』のショップBGMのアレンジ版が使われており、パーツ決定時に特定の操作をすると通常とは違ったパーツ装着アニメーションが行われるとやけに凝っている。))が仕込まれている。 --難易度が高い事でも知られ、特にステージ14はゲーメストで「ドライブゲーム史上に残る陰険なコース」とまで書かれた。 --メガドライブ、FM-TOWNS、3DS(『[[セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE>セガ3D復刻プロジェクトシリーズ]]』に収録)に移植されている。 -アウトランナーズ(1993年) --シリーズでは唯一、開発元がAM1研の作品。使用基板は本作を含め4作品でしか使われなかった、「セガ・システムマルチ32」。~ 舞台は地球そのものとなり、各大陸の横断レースという設定でコース分岐・BGMセレクトが『アウトラン』から復活した。 ---今作から店内同時対戦プレイが可能となった。筐体は可動ギミックなしのツインタイプのみ。導入筐体数に応じて、最大で8人のプレイヤーが対戦可能となった。 --自車(オープンカー)も性能の異なる8台から選択可能となった。助手席に同乗者がいるのは他と同じだが、今作は男女一組だけでなく男同士、女同士のコンビもいる。~ 車種はお馴染みの赤いフェラーリ風や、黄色いランボルギーニ風、ピンクのキャデラック風、銀色のホンダ・NSX風、緑色のバギー((「コース外のオフロードを走っていると最高速度が増す」という、レースゲームでは非常に珍しい特性の車。他では『クールライダーズ』でも同じ特性を持ったオフロードバイクが選択可能。))など各国の車がモデルになっている。 ---ラウンド1前のプレステージに地球を左回りか右回りかを選ぶ最初のコース分岐があり、以降は1作目に似た樹形図状のルートが用意されている。 --BGMも凝っておりシリーズ最多の新曲数を誇る。車ごとに初期BGMは決まっているが、筐体に装着されているラジオ風のボタンを押すとBGMを変更することが可能。~ 作曲は光吉猛修・中村隆之の両氏が担当。ステージごとに専用のBGMがあり、それらをラジオ番組風にメドレーで繋ぐ「MEGA RADIO STATION」も用意されている。((このBGMモードでステージ間に流れるジングルは同作と同じ使用基板の過去作である『スタジアムクロス』で使用されていたものである。)) --基板の性能を活かし、「コース脇の巨大な障害物」「特定ステージでの大量のアザーカー」「クラッシュ時のドライバーのコミカルなリアクション」等の描写も増えた。 ---アザーカーが「押し寄せる大群」となって進路を妨害し、中国ステージでは自転車・アフリカステージでは野生動物にプレイヤーカーが吹っ飛ばされる…なんて事も。~ このような描写類は、事実上の続編であるバイクレースの『クールライダーズ』でも引き継がれ、そちらではバカゲー並みに悪化している。 --1994年5月13日にメガドライブ版が発売。北米ではデータイーストから発売された。上下二段表示で対戦プレイができ、一人プレイでもCPUとの対戦で二段表示になる。 ---『メガドライブミニ2』の海外版に収録されている。 //しかし、グラフィック描写の限界と対戦仕様の為に1人プレイでも分割画面となったのが賛否両論。 -OutRun2019(1993年) --メガドライブオリジナルゲーム。開発・発売はシムスだが、実際の開発は下請けのヘルツ。サイバーパンク風の近未来の街を疾走するというコンセプト。 ---操作感覚やスピード感・立体交差などの表現は十分な出来だが、背景が全体的に薄暗く地味で、ステージごとの印象が似通ってしまっていることは否めない。 ---開発中は『ジャンカーズ・ハイ(Junker's High)』というタイトルで雑誌にも紹介されたが((その前は『サイバーロード』というタイトルであったことが後に判明している。))、最終的にはタイトルを変更して「アウトラン」のシリーズ作とされた。~ だがその結果、出来は悪くないがアウトランの大看板を背負うには名前負けしているという評価を下されている…、にもかかわらず、『メガドライブミニ』の海外版に本作が収録されている。 -アウトラン2(2003年) --「跳馬・美女・絶景」のキャッチコピーのもと17年ぶりに登場した正当続編。Xbox互換のChihiro基板を採用し各グラフィックは完全3D化。~ 舞台は『アウトラン』と同じく欧州に戻ったが、『アウトランナーズ』のような大きな建造物がよく目立つ美しいコースが用意されている。 --通常モードの「アウトランモード」の他、各ルートでミッションをこなす「ハートアタックモード」((なお、ハートアタックは英語で「心臓発作」という意味だが、海外版でも名称は変わっていない))、「タイムアタックモード」が追加。モード毎に助手席の女性も異なる。 --フェラーリ社から正式な許諾を得ており、筐体やゲーム内に同社のロゴがあるほか、自車も精巧に再現された8車種が実名で登場、計4タイプの性能差が存在する。 ---車の挙動は『[[デイトナUSA2]]』と同じく容易に発動できるドリフトを多用してコースを高速で走り抜ける、非常にカジュアルで爽快感の高いものとなっている。 --Xboxに移植されている。オマケとして『アウトラン』もアザーカーや看板類のグラフィックを変更したうえで収録されている((101のミッションを全てクリアするか、プレイ時間が50時間以上で解禁される。))。Xbox360でもプレイ可能。 -アウトラン2 SP((厳密な正式名は『アウトラン2 スペシャルツアーズ』だが、一般的には『アウトラン2SP』や『2SP』と短縮表記される。))(2004年) --『アウトラン2』のバージョンアップ作。新たに「アメリカ周辺が舞台のコース」「他車の後に着くと速度が増す『スリップストリーム』」「全15ステージ走破モード((筐体の設定により「選択不能」「選択に追加クレジットが必要」の場合もあり。))」が追加。~ 自車に「250GTO」「512BB」の2台、BGMに『アウトラン』『ターボアウトラン』のアーケード版BGMが追加((一部要素はXbox版『アウトラン2』で追加・やりこみで解禁できた要素だった。))され、今シリーズや実車のファンにはより楽しめる作品となった。 ---他にも「車種による性能差がギア数を除き撤廃」「ドリフト時に他車と接触してもクラッシュしない」「コースアウト時の減速率の低下」などの低難度化もなされている。 ---なお、「テスタロッサ」の外見は『アウトラン2』ではフィアット社会長の為に1台だけ製作された特別車両((フェラーリ公式で販売された「テスタロッサ」はクーペモデルのみで、オープンモデルは存在していない。))だったが、本作では『アウトラン』のと同じ外見に変更されている。 --まず海外でXbox、PS2、PSP、PCに『OutRun2006 Coast 2 Coast』として移植され、日本ではPS2版が『アウトラン2 SP』として発売された。 ---オリジナルモード(海外版ではCoast 2 Coastモード)が追加。マシンの性能差が復活、オリジナル曲、逆走コースなどが追加されている。 ---日本版(PS2)では海外版において移植ミスで削除されていた一部エンディングでの演出が復活している。 --2009年より『OutRun Online Arcade』というタイトルで、PS3/Xbox360向けに2011年12月まで海外限定で配信されていた(上述コンシューマ版よりいくつか削られた要素あり。日本ではいずれも配信されず)。 ---2011年12月を以って、フェラーリとのライセンス契約終了により配信終了([[参照>https://web.archive.org/web/20110722213451/http://www.choke-point.com/?p=8605]])。 -アウトラン2 SP SDX(2006年)/アウトラン2 SP DX(2007) --『アウトラン2 SP』をベースに画面比率16:9の62インチワイドモニターと、2人が横に座って乗り込める大型可動筐体を採用した、大規模店舗でのアトラクション用途が強いバージョン。~ まず2006年12月に4台/最大8人プレイ可能の『SDX』がリリースされ、2か月後に2台/4人プレイになって省サイズ化した『DX』がリリースされた。 ---筐体は店内対戦時に用いるフェラーリの後部が再現されており、1Pが赤のF50、2Pが黄のディーノ246、3Pが青の360スパイダー、4Pが銀の512BBとなっている。 ---なお、使用基板は『2SP』のChihiro基板から、当時のセガの最新基板であったPCベースのLINDBERGH基板へアップデートされている。 --2人同時プレイ時の独自要素として「ドライバーチェンジ」が追加。接触やステージクリアなどの特定のタイミングでドライバーが入れ替わる。~ 1人プレイも可能で、その場合はプレイ人数決定後にどちら側のハンドルでプレイするかを選択し、その後は『2SP』と全く同じルールでプレイ可能。 --2020年3月時点では、イオンモール浦和美園店の宝島・浦和美園店(埼玉県)で2SPSDXが2台稼働中。 ---- **移植 -本作には多数の移植版が存在する。中には海外のみで発売された物もある。詳細は[[Wikipedia>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3]]の「他機種版」の項を参照されたし。 -PS2版(SEGA AGES)については、[[独立記事>SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.13 アウトラン]]が存在するのでそちらを参照。 -セガサターン版『SEGA AGES アウトラン』 --良移植として度々話題に挙がるバージョン。''名前は似ているがPS2版やNintendo Switch版とは別物''。移植担当は当時ゲーム移植の高い技術力で知られた『ゲームのるつぼ有限会社』((今作の移植スタッフは後に『有限会社ゴッチテクノロジー』にて、アーケード版『パックマン』などの各機種への移植を担当することとなる。))。~ 2Dグラフィックに強いセガサターンの能力によって、アーケード版稼動から十年を経て家庭用では初めて「完全移植」と言って差し支えないレベルの高い再現度の移植を実現した。~ 後のインタビューで「ギアガチャプレイでインカットするパターンのうち、1箇所だけインカット出来ない場所がある」と、完全では無い事が明かされてはいるがその程度である。 #region(セガサターン版の詳細) --BGMはアーケード版のものと、アーケード版の作曲者である川口 博史氏(Hiro師匠)自ら手がけたシンセサイザー音源のアレンジ版の2つがオプションから切り替え可能((ただ、取扱説明書の作曲者コメントでもHiro氏が発言しているように「かなり大胆なアレンジ」となっている為、原曲を知る人には好みは分かれるかもしれない。))。 --セガサターン用の別売りコントローラーである セガマルチコントローラー(マルコン)やレーシングコントローラーにも対応((マルコンにはアナログトリガーのLRとアナログスティックが搭載されているため、ハンドル操作とアクセル・ブレーキをアナログ入力で微妙に調整して操作することができる。))。 --''クルマのグラフィックがアーケードと全く同じ''。現時点ではこのセガサターン版がもっともアーケード版に近いグラフィックの移植版である、といえる。 //((「フェラーリ社などがゲームにおける自社プロダクトの使用を厳しく取り締まる前だった」「今作と同年にセガAM2研がレース団体に許諾を得てフェラーリ・ポルシェを実名で収録した『スカッドレース』を開発・リリースした」ことが影響した可能性も否定できない。))。 ~ これ以前の移植版では性能の問題で同じグラフィックを使用することができず、またこれ以降の移植版では版権の問題でグラフィックに変更が加えられている。 --ただし、''本作は末期に発売された一部のSS本体では正常に動作しない((起動時にセガのロゴが出る場面でフリーズしてしまう。白いSSでは正常に動作しないと記述しているところも多いがこれは正確ではなく、実際は白サターンであっても、未修正版が問題なく動作する個体の方が多い。))。''コストダウンのため内部構造が変更された事が原因である。~ 当時はメーカーに問い合わせると修正版ソフトへ交換が出来た。現在は終了している。修正版の出回りは少なく、パッケージの外見で見分けることが出来ない((ディスクの型番に「A」が追加されているのが修正版である。))ため、現在は入手困難。 //---恐らく初期型のグレーのセガサターン本体を入手するほうが遥かに手っ取り早いだろう。 ---同様の問題は同シリーズの『[[スペースハリアー]]』でも発生し、同様の対応がとられていた。また『[[海底大戦争]]』でも発生しているが、こちらは修正版が存在するか不明。 --また隠しコマンドにより「スムーズモード」と「イージーコーナーリングモード」と「アーケード再現モード」が使用できる。~ この項目の選択はセーブデータに保存されるので一度選ぶと以後は設定せずとも同じモードでプレイでき、他の隠しモードとの併用も可能である。 ---''スムーズモード''は秒間60フレーム描写=60fpsで動作するモードで、元々の30fps描写より滑らかに動く。オプション内の『GAME MODE』((アーケード版に存在する二種類のバージョンである『JAPAN』と『OVERSEAS』を選択する項目。後の移植版ではそれぞれ『OLD』と『NEW』という表記になっている。))で「A+C+方向キー横」を押すと追加。 ---''イージーコーナーリングモード''は自車のコーナリング性能が大幅に向上するモード。タイトル画面で「A+C+スタート」を押しながらオプションに入ると追加。~ 元々は曲がるのにブレーキが必須なコーナーのほぼ全てをブレーキなしの全速力で曲がることが出来るようになる。~ なお、オプションの中でこの項目だけは変更が保存されないので電源を入れるたびに変更する必要がある。 ---''アーケード再現モード''はアーケード版の内容を権利表記などを除いて出来る限り再現するモード。解禁にはコントローラーを2つ接続する必要がある((このモードを選択するにはソフト起動時のロード後の『SEGA』ロゴの表示画面、もしくはその後の『SEGA AGES』ロゴの表示画面で2Pコントローラーで「A+C+スタート」のコマンドを入力すると『GET READY?』というボイスが流れ、このモードに切り替わる。2Pポートだけにコントローラーを接続してもコマンドを受け付けないので要注意。))。~ 家庭用移植の関係で変更された各種画面表示もアーケード版と同じになり、タイトル画面のBGMやゴール後のスタッフロールも無くなる。~ タイトル画面も『PRESS START BUTTON』から『INSERT COINS!』になるので、タイトル画面でLボタンを押すとコインを投入できる。~ この状態でもオプションの設定項目は適用されるので、アーケード再現モードを60fpsやアレンジBGMでプレイすることも可能((イージーコーナーリングモードと併用する場合は、まず普通に起動してオプションでイージーコーナーリングモードに設定後、タイトル画面でしばらく放置してアーケード再現モードのコマンド入力可能な画面が再び表示されるまで待つ必要がある。))である。 #endregion(詳細) -3DS版『3D アウトラン』 //--移植作品群の中では比較的最近に発売され、3DS/2DSシリーズでダウンロード購入することで現時点では比較的手軽に入手できるのでこちらに簡潔に記す。 --他の「3D復刻アーカイブス」シリーズと同じく、移植担当はこちらもゲーム移植のプロとして名高い『有限会社エムツー』。 アーケード版を元に拡張エミュレーションを行い、60fps動作・ワイド画面・3D立体視を実現。ただしSS版にもあった「1箇所インカット不能」は残っている。 #region(3DS版の詳細) --ワイド画面は「ワイド化にあたって従来描画されていなかった部分を新たに描画した」もので、ワイド画面設定にした場合アーケード版より左右の視野が広くなっている。~ 立体視も3D復刻アーカイブス後期の作品だけあって見やすく迫力のある良好な調整。興味のある方はeショップの3D動画をチェックされたし。 --他の3D復刻プロジェクトの作品同様、難易度や操作方法だけでなく画面表示スタイル((オリジナル(10:7) / ワイド(約16:9) / オリジナルを拡大して上下カット / ムービング筐体を再現するか否か…など。))など、オプションが豊富に用意されている。 --アーケード版のBGMに加えて、新規楽曲として''並木学''氏やかつてアマチュアでのチップチューン音楽製作で注目を集めた''Chibi-Tech''氏が''アーケード版アウトランの音源を用いた新曲''を各名一曲ずつ製作。 ---サウンド周りもエンジン音の三段階調節やアーケード筐体を再現した環境音、FM音源の音色を自分好みに調整できるイコライザーやサウンドテストなど完備。 --車のデザインはフェラーリ社のライセンスを得ていないのでアーケード版とは異なる。ドリームキャスト版のドット絵を元に、一部のデザインや色味をアーケード版のイメージに近づけている。 --5つ存在するゴールそれぞれに初到達するたびにカスタマイズアイテムが手に入り、スタート前に下画面のアイコンをタッチして装備すると対応した能力が上がり、装備パターンに応じて車の色や形が変わる。 ---アイテムは全四種で、好きなものを数種類重ねて使うこともでき、それぞれの組み合わせに固有のカラーパターンが用意されている。~ 『ハンドル』を選択するとコーナーリング能力が向上する、といったようなゲーム的なパワーアップ要素で、実際のクルマのチューンナップを模したものではない。 ---''車をカスタマイズすると必ず色が変わる''ので、セガサターン版とは異なり「赤い車に乗ったままコーナーリング性能を上げる」といったことは出来ない。 --5つのゴール全てにたどり着くと、30fps描写や制限時間バグなどを再現した『オリジナルモード』も解禁される。 --3DS版はセガ3D復刻プロジェクトのシリーズ作品を多数まとめたパッケージ / ダウンロードソフトである『セガ3D復刻アーカイブス』(セガ3D復刻アーカイブス1)にも収録されている。~ HOMEメニューでの3Dポリゴンモデルで再現された当時のアーケード筐体のグラフィックと『3D アウトラン』単体でのスタッフクレジットが収録されていない他は単体配信版とおおよそ同じ内容である。~ 一番の変更点はSS版と3DSダウンロード版にあった「1箇所だけインカット出来ない」という相違点がやっと解決された事。 ---『セガ3D復刻アーカイブス』(セガ3D復刻アーカイブス1)限定の収録特典として、海外のマスターシステムのみでの発売となった''『OutRun 3D』''も移植されている。~ こちらはマスターシステムの3Dグラスでの立体視ソフトだったものを3DSの裸眼立体視に対応させており、従来品で起こっていた左目右目交互の点滅はないので他の3DSソフト同様の感覚で楽しめる。~ 内容もアーケード版に劣る家庭用ながら''独自の曲が三曲収録''されていたり、高速道路などに見られるような長いトンネルがあったり、FM音源とPSG音源が選択できたりと独自要素もそれなりにある。 #endregion -2018年にはNintendo Switchへの移植版である『SEGA AGES アウトラン』も発売された。 --3DS版の移植開発元である有限会社エムツーが3DSパッケージ版をベースに更なる追加要素などを加えたもの。 『復刻アーカイブス』版ベースなので、インカットパターンも完全に利用可能。 --3DS版のBGMに加えてメガドライブ版から「STEP ON BEAT」、『アウトラン2006 Coast 2 Coast((海外版の『アウトラン2 SP』の移植作。これを国内向けに移植して追加要素を加えたのがPS2版『アウトラン2 SP』である。))』から「RADIATION」のアレンジを追加。~ それに加えマスターシステム版の『アウトラン3D』から「MIDNIGHT HIGHWAY」と、アーケード版3曲メドレーアレンジ「DRIVER'S MEGAMIX Vol.1」と4曲追加されている。 ---この内前者2つに関してはアウトランボード上で鳴らすようにアレンジされているが、後者2つはアウトラン音源に縛られないアレンジという理由でストリーム再生となっている((この2曲については選曲画面にてラジオではなくカセットテープを再生する形になっている。))。 --それ以外にはオンラインランキングへの対応。Joy-Conを使ったジャイロ操作((なお、この操作方式を選んでいる間はシフトはATに固定される))の実装等の追加要素が存在する。 //---一方で3DS版ではあった環境音や筐体ムービング機能は廃止された。各筐体を再現した壁紙は収録されているものの、先に3DS版を体験していると少し寂しさを感じるかもしれない。 -本wikiの取り扱い範疇からは外れるが、ミニチュア筐体ゲーム「Arcade 1UP」シリーズの1作として2021年8月に発売された。『アウトラン』+『ターボアウトラン』+『アウトランナーズ』+『[[パワードリフト]]』の4本がプレイ可能(さらにアップデートにより『ラッドラリー』が追加)。~ ミニチュアとは言えど、「アップライト筐体をベースにベンチを追加((なのでシフトレバーは右にある。))」というちゃんとしたコクピット筐体スタイルであり、価格はなんと96,800円(税込)、~ 高さや前後長((画面やハンドルなどゲームに必要な一切を収めた「本体」と、椅子部分「ベンチシート」の2パーツ構成である。))は1mを超えるため、購入・設置にはかなりの覚悟とスペースが必要であろう。 --『アウトランナーズ』はMDにしか移植されておらず、移植には恵まれていないタイトルであるので「中身だけ欲しい」という意見がある。 **参考プレイ動画 #region ギアガチャ不使用 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=WiWiTXq4yYY) ギアガチャ使用 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=UpUf1n1aGgM) #endregion
//2つ前の編集において「問題点」の項がCOされたことにより「記事作成のガイドライン」に違反した体裁となってしまっているため、「問題点」の項は元に戻しました。 *アウトラン 【あうとらん】 |ジャンル|レース|CENTER:&amazon(B000148C0A)|&amazon(B000148J3A)|&amazon(B000148J3K)| |対応機種|アーケード|~|~|~| |発売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~|~|~| |稼働開始日|1986年9月25日|~|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|~| |ポイント|多様性のある情景&br;ゲーム史に刻まれたBGM&br;レースと名ばかりのドライブ|~|~|~| //AGES版は当wikiでは別物として独立記事が作成されており判定も異なっていますので、アーケード版の記事である本稿の画像としては使用しないでください。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 擬似3D表示のレースゲーム。当時セガが注力していた「体感ゲーム」の一環として発表された。~ リアルで美しいグラフィック、印象的な音楽、そして可動する大型筐体が大きな特徴。~ タイトルの英字表記は『OutRun』。 ---- **システム -ヨーロッパ全土を舞台に、フェラーリ・テスタロッサ風の赤いオープンカー((フェラーリ社とのライセンスを締結していないため、あくまで「よく似た車」である。移植版では権利関係の問題からデザインが変更されている場合が多い。))((また、テスタロッサにはオープン仕様の量産車は存在しないが、特注品が1986年2月に生産されていて、フェラーリ生産品が数台、チューニングショップがクローズボディベースに屋根を切った物が20台ほど存在したようである。))を運転する。 --操作はステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、そしてHI-LOW二段のシフトノブ。 --コースは5ステージに分かれ、制限時間内にチェックポイントを通過すると持ち時間が追加されるオーソドックスなシステム。間に合わないとゲームオーバー。~ またコース外の障害物や他車に接触するとスピンして停車(当たりどころが悪いと大クラッシュ)して大きなタイムロスとなる。 --ルートマップは樹形図状になっており、1~4ステージの最後には分岐点が現れ、左右いずれかのルートを選ぶ。~ 1ステージ目は1種類、2ステージ目は左右2種類…と最終5ステージ目は5種類のステージが存在しており、ある程度好きな順路を選んで走れる。 -ゲーム筐体は、機構とサイズが異なる4種類が存在する。 --''デラックス'':車そのものを模した、可動機構を備えた大型筐体。ハンドル操作に応じて筐体が左右に大きく傾き、クラッシュやコースアウトの際にはガタガタと激しく揺れる。 --''スタンダード'':デラックスよりもやや小さめながら、同様の可動機構を備えた普及型。 --''コクピット'':非可動のボックス型筐体。 --''アップライト'':立ってプレイする省スペース筐体(後の『[[クレイジータクシー]]』と似た筐体)。輸出用でありシフトノブが右に付いている。日本国内ではほとんど出回らず。 -ソフトウェアにも先にリリースされた日本向け版と後からリリースされた海外向け版があり、ステージ構成が一部入れ替わっている。日本では両バージョンが流通した。このため「海外版」を新Ver.と呼ぶこともある。 ---- **評価点 -美しいグラフィック --ポリゴンという技術が実用化される前の作品であり、グラフィックはドット絵の重ね描きとラスタースクロールによる擬似3Dで表現されているが、非常にリアルで美しい。~ ステージごとに海岸、遺跡地帯、夕暮れなどわかりやすい特徴もあり、色々なコースを見てみたい、走ってみたいと思わずにはいられない。 -ゲーム史に残る名曲群 --ゲーム開始時にBGMを「MAGICAL SOUND SHOWER」「SPLASH WAVE」「PASSING BREEZE」の3曲から選ぶ。いずれも素晴らしい名曲揃いであり、今なお多くの人に愛されている。~ ゴールインまでの実質プレイ時間は約5分となるが、これらの曲は短いフレーズのループではなく''約5分の長さをフルに活かした構成が組まれている''。当時としては前例のないことであり衝撃的だった。 ---続編である『アウトランナーズ』『アウトラン2』にも、この3曲は新曲と肩を並べて収録されている。 ---筐体では「PASSING BREEZE」と「SPLASH WAVE」の曲名が逆になっていて、サントラで修正されたと言うエピソードがある。媒体によって筐体準拠とサントラ準拠が混ざっているので注意。 //---アウトランのこの「車のゲームで選曲」が後々の『[[リッジレーサー]]』や『[[デイトナUSA]]』等に活かされている((ただし、デイトナUSAの選曲出来るというのは裏技扱いである。リッジレーサーはゲーム上表記はしていないが選曲する方法は発売後すぐにアナウンスされた。))。これまでの車のゲームではエンジン音程度であったのでかなり画期的である。 -「ドライブゲーム」という方向性を打ち出したこと --本作ではプレイヤー車の順位を計測していない。つまり順番を競う「レースゲーム」ではなく、制限時間にさえ間に合えばとりあえずは良い。 ---コースの構成はサーキットを周回する形ではなく、いろいろな地域を巡り長距離を走破する形となっている。 --このようなシステムと美しく雄大なグラフィックが相まって、「ドライブゲーム」というコンセプトを確立した。 ---続編の『アウトランナーズ』も対戦プレイで競うシステムだが、基本的にはドライブゲームである。 **賛否両論点 -裏技「ギアガチャ」の存在 --コース外のダート部分に突っ込むと大幅に減速してしまう。しかしコースアウトの瞬間にギアチェンジを行うと、なぜか減速が起こらない。これを利用してダート部分も含めたショートカットを行い走行タイムを縮められる。~ 更には特定の条件でもう一度ギアをHi-Low-Hiと切り替えると、約1秒の減速が起こらない時間を約7秒まで延長出来る。~ 正確に操作すればギアガチャはこの2回で済むのだが、実践では確実性を高めるために、2度どころではなく何度も連続的に激しくギアチェンジを行うことが多かった。~ また、上級者のプレイを見て「とにかくギアをガチャガチャやればいいんだ」と思い込んだ人が、ずっとレバーを動かし続けていたのも目撃されていた。~ 他にもギアの短時間入れ替えを要するテクニックが存在するため、本作の筐体はシフトレバーが酷使されすぎて故障が多発した。~ 補修部品が出ていた時期であればまだしも、現在では故障させてしまうと修理が難しいため、大阪のザリガニ始め、設置している多くの店舗で「ギアガチャ禁止」と明記されている。 ---今作のプログラマーの三舩敏氏曰く、「想定外の使われ方をした」と書籍『セガ3D復刻アーカイブスMANIAX』にて述懐している((「高速域でギアをLowに入れると現実ではギアやエンジンが壊れるが、ゲーム内で壊すわけにはいかないので、いきなりスピードが落ちるのもなんだから、しばらく空転しているような状態を作ってみたら、市場に出てから『ありえないタイムが出ている』となってしまった」「結果的に製品寿命が延びたんじゃないかという事でお咎めは無かったが、筐体の寿命が…」との事。))。 ---ただ、やはりギアガチャに関しては当時から不快に感じるゲーマーもおり、「ハイスコアを出したいがための勝手なエゴで機器を壊すようなことが許されるのか?」とゲーメストやマイコンBasicマガジンの読者コーナーでは度々論争になることもあった((別のゲームの話にもなるが電源パターンでハイスコア狙いをするためにいきなり電源を切り、間を置かず即座に電源を再度入れるという「電プチ」も基板故障を引き起こすトリガーになりやすいということで論争の火種になった。))。 //-難易度が高め //--当時のアーケード作品故に仕方がない部分もあるがデフォルトの制限時間設定(ゲーム開始時75秒)がシビア。前述の「ギアガチャ」を使わないプレイで完走を狙う場合、接触やクラッシュはほぼ許されない。 //---ルートやプレイ内容にもよるがアザーカーとの接触"単体"は1~3回、車が停止する軽いクラッシュは1回程度なら許容範囲。ただし、車が派手に吹っ飛ぶ大クラッシュは1度でもやらかすと完走はほぼ絶望的といっていいだろう。~ //厄介なのはアザーカーとの接触で弾かれた勢いでそのままコース外の障害物へ激突して停止クラッシュのコンボで、これも内容次第では1回でもかなり厳しくなってしまう。 -アザーカーの挙動 --本作のアザーカーの挙動は全体的に嫌らしく、突然の車線変更でこちらの進路を塞いできたり、横からの幅寄せをしてきたり、道幅が狭い場面で車線の殆どがアザーカーで塞がるような状況になり中々加速できない、なんて事がある。 ---アザーカーの配置はパターン自体は決まっているようだが、タイムが少し変わるだけでパターンが崩れるため、大まかな走行ラインを構築しても、その時に応じたアドリブ対処能力が必要となる。 **問題点 -制限時間に関連するバグがある --本作の制限時間には3桁目(百の値)というものが存在せず、チェックポイント追加でのタイム加算で99秒を超えると百の値が切り捨てられる((例としてタイム加算で制限時間が102秒になった場合、100秒差し引かれてゲーム上での実際の制限時間はたった2秒となってしまう))。~ こうなると次のステージが始まった直後に時間切れという極めて理不尽な事態が発生する。ただし、普通にプレイする分ではこのバグに遭遇する事はまずない。 ---問題になるのはギアガチャを駆使したプレイ。最終ステージでこのバグを発生させてしまい、せっかくの苦労が水の泡…なんてことが起こりうる((それを防ぐため制限時間設定をデフォルトよりも厳しい設定にした店もあったようだ。))。 ---後述の家庭用移植版ではタイム加算で99秒を超えると数値がカンストされるように修正された。 ---- **総評 現実的ながら色彩豊かなグラフィックやサウンドなどの圧倒的な表現力と、臨場感と迫力たっぷりの大型可動筐体により、全世界で高い評価と大きな人気を獲得した名作である。~ 『フェラーリに乗って欧州をドライブする』という「お洒落さ」と「スピード感」に満ちたゲーム内容は、以後のアーケードレースゲームに大きな影響を残したのは勿論のこと、~ セガとしても「爽快な青空が似合うゲームを作る会社」という現在まで続くブランドイメージの1つが定着した偉大な作品。何処かで見かけたらぜひ1度は遊んでみて頂きたい。 ---- **余談 //-元祖ゲーマーアイドル・千葉麗子がゲーム関連の仕事をするきっかけとなったのは『サムライスピリッツ』ではなく、今作であった。~ //当時のアイドルは「手の届かない遠い存在、夢の世界の人」だった所、千葉氏はガチゲーマーぶり((ギアガチャの存在を知っていた他、腕前自体もなかなかのものであった。))を披露、濃いファンを獲得する事に。 -2019年現在現役稼働しているDX筐体は3台。「趣味と維持の延長」で運営されている大阪新世界「ザリガニ」等。 -2023年現在では青森県十和田市の「レトロゲーム秘密基地」に海外仕様の右シフトレバーの完動状態のDX筐体がある。 --残念な事に2024年2月24日に、店舗隣からの商店から発生した火災が延焼し、お店ごと焼失してしまった。 ---- **続編 -ターボアウトラン(1989年) --前作と同じ基板を使用し、実質4ヶ月で作られた続編。舞台は前作の欧州から、アメリカを舞台としたニューヨークからロサンゼルスへの大陸横断レースとなった。~ 自車はフェラーリ・F40風の赤いオープンカーに変更((なお、本作稼働の前年にフェラーリの創立者でありF40が最後に手掛けた車種となったエンツォ・フェラーリ氏が死去しており、本作の非可動小型筐体には彼を追悼するメッセージが記されている。))され、コース分岐の無い4ステージ毎のチェックポイント通過を白いライバルカーと競うシステムに変更。~ シフトノブのターボボタンを押すと一時的に加速できるシステムが追加(下記の『アウトラン』筐体版ではターボボタンはスタートボタンで代用されている)。((このシステムは現代的な言い方をすれば「ターボ」よりも「ニトロ」と言ったほうが現実でのそれに近い。三舩氏曰く「あれはニトロだけど『ニトロアウトラン』じゃしっくりこない、しかし続編を作る事をよしとしない当時の社風から『2』とつけてはならなかったので『ターボ』にした」と書籍『セガ3D復刻アーカイブスMANIAX』にて述懐している。))((ターボでも、一時的にブースト圧を上げて高馬力を出す「スクランブルブースト」という物が無いことは無いが、本作のターボ並の加速を得られる訳ではない。))、ゲーム開始時にオートマチックシフトも選択可能となった。 ---当初は非稼動の小型筐体のみだったが、後に『アウトラン』筐体を流用した稼動版も登場した。それぞれの版で下記のBGMの再生順が異なる((三舩氏は『RUSH A DIFFICULTY』を夜のイメージに合うので2曲目にしようとしていたが、AM本部長の鈴木久司氏がこの曲を気に入って「これを最初に流さないのはどういう事だ」と何度も揉めたとの事。結局鈴木氏が味方のつもりで連れてきたAM3研の小口久雄氏が三舩氏の意を汲んで味方をしてくれてコクピット版は三舩氏の希望通りになった。だが後日、稼働筐体仕様の製作時に「またこの問題を蒸し返された」結果、「ここまで思ってくれているんだから」と最後は三舩氏が折れたそうである。))。 --BGMも再生順が固定で選択出来ず、4ステージ毎に切り替わる。ロック色の強いものが多いが何れも評価は高く、下記の『アウトラン2 SP』で復活収録されている物も。 ---チェックポイントではS.S.T.バンドが登場する小ネタがある。 --ポルシェ・959風((テスタロッサ同様に実車はクローズボディのみ。一応911カブリオレを959ルックにするという改造はあった。))の白いオープンカーに乗ったライバル((4ステージ毎のチェックポイント通過がライバルよりも遅いと、助手席の女性がライバル車に移り、ボーナス点を失ってしまう。ただしエンディングではプレイヤーの勝敗にかかわらず、ライバルが女性を主人公に取られたことを悔しがる演出が入る。))、進路妨害を行ってくるパトカーやターボ状態でなければ失速するオイルだまりなどの障害物が実装。 --4ステージ毎にチューンショップでエンジン・ターボ・タイヤの何れかを強化できるという独自の要素もあり、この場面では各種小ネタ((三舩氏が『ロック調にアレンジしてください』と依頼して作られた『ファンタジーゾーン』のショップBGMのアレンジ版が使われており、パーツ決定時に特定の操作をすると通常とは違ったパーツ装着アニメーションが行われるとやけに凝っている。))が仕込まれている。 --難易度が高い事でも知られ、特にステージ14はゲーメストで「ドライブゲーム史上に残る陰険なコース」とまで書かれた。 --メガドライブ、FM-TOWNS、3DS(『[[セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE>セガ3D復刻プロジェクトシリーズ]]』に収録)に移植されている。 -アウトランナーズ(1993年) --シリーズでは唯一、開発元がAM1研の作品。使用基板は本作を含め4作品でしか使われなかった、「セガ・システムマルチ32」。~ 舞台は地球そのものとなり、各大陸の横断レースという設定でコース分岐・BGMセレクトが『アウトラン』から復活した。 ---今作から店内同時対戦プレイが可能となった。筐体は可動ギミックなしのツインタイプのみ。導入筐体数に応じて、最大で8人のプレイヤーが対戦可能となった。 --自車(オープンカー)も性能の異なる8台から選択可能となった。助手席に同乗者がいるのは他と同じだが、今作は男女一組だけでなく男同士、女同士のコンビもいる。~ 車種はお馴染みの赤いフェラーリ風や、黄色いランボルギーニ風、ピンクのキャデラック風、銀色のホンダ・NSX風、緑色のバギー((「コース外のオフロードを走っていると最高速度が増す」という、レースゲームでは非常に珍しい特性の車。他では『クールライダーズ』でも同じ特性を持ったオフロードバイクが選択可能。))など各国の車がモデルになっている。 ---ラウンド1前のプレステージに地球を左回りか右回りかを選ぶ最初のコース分岐があり、以降は1作目に似た樹形図状のルートが用意されている。 --BGMも凝っておりシリーズ最多の新曲数を誇る。車ごとに初期BGMは決まっているが、筐体に装着されているラジオ風のボタンを押すとBGMを変更することが可能。~ 作曲は光吉猛修・中村隆之の両氏が担当。ステージごとに専用のBGMがあり、それらをラジオ番組風にメドレーで繋ぐ「MEGA RADIO STATION」も用意されている。((このBGMモードでステージ間に流れるジングルは同作と同じ使用基板の過去作である『スタジアムクロス』で使用されていたものである。)) --基板の性能を活かし、「コース脇の巨大な障害物」「特定ステージでの大量のアザーカー」「クラッシュ時のドライバーのコミカルなリアクション」等の描写も増えた。 ---アザーカーが「押し寄せる大群」となって進路を妨害し、中国ステージでは自転車・アフリカステージでは野生動物にプレイヤーカーが吹っ飛ばされる…なんて事も。~ このような描写類は、事実上の続編であるバイクレースの『クールライダーズ』でも引き継がれ、そちらではバカゲー並みに悪化している。 --1994年5月13日にメガドライブ版が発売。北米ではデータイーストから発売された。上下二段表示で対戦プレイができ、一人プレイでもCPUとの対戦で二段表示になる。 ---『メガドライブミニ2』の海外版に収録されている。 //しかし、グラフィック描写の限界と対戦仕様の為に1人プレイでも分割画面となったのが賛否両論。 -OutRun2019(1993年) --メガドライブオリジナルゲーム。開発・発売はシムスだが、実際の開発は下請けのヘルツ。サイバーパンク風の近未来の街を疾走するというコンセプト。 ---操作感覚やスピード感・立体交差などの表現は十分な出来だが、背景が全体的に薄暗く地味で、ステージごとの印象が似通ってしまっていることは否めない。 ---開発中は『ジャンカーズ・ハイ(Junker's High)』というタイトルで雑誌にも紹介されたが((その前は『サイバーロード』というタイトルであったことが後に判明している。))、最終的にはタイトルを変更して「アウトラン」のシリーズ作とされた。~ だがその結果、出来は悪くないがアウトランの大看板を背負うには名前負けしているという評価を下されている…、にもかかわらず、『メガドライブミニ』の海外版に本作が収録されている。 -アウトラン2(2003年) --「跳馬・美女・絶景」のキャッチコピーのもと17年ぶりに登場した正当続編。Xbox互換のChihiro基板を採用し各グラフィックは完全3D化。~ 舞台は『アウトラン』と同じく欧州に戻ったが、『アウトランナーズ』のような大きな建造物がよく目立つ美しいコースが用意されている。 --通常モードの「アウトランモード」の他、各ルートでミッションをこなす「ハートアタックモード」((なお、ハートアタックは英語で「心臓発作」という意味だが、海外版でも名称は変わっていない))、「タイムアタックモード」が追加。モード毎に助手席の女性も異なる。 --フェラーリ社から正式な許諾を得ており、筐体やゲーム内に同社のロゴがあるほか、自車も精巧に再現された8車種が実名で登場、計4タイプの性能差が存在する。 ---車の挙動は『[[デイトナUSA2]]』と同じく容易に発動できるドリフトを多用してコースを高速で走り抜ける、非常にカジュアルで爽快感の高いものとなっている。 --Xboxに移植されている。オマケとして『アウトラン』もアザーカーや看板類のグラフィックを変更したうえで収録されている((101のミッションを全てクリアするか、プレイ時間が50時間以上で解禁される。))。Xbox360でもプレイ可能。 -アウトラン2 SP((厳密な正式名は『アウトラン2 スペシャルツアーズ』だが、一般的には『アウトラン2SP』や『2SP』と短縮表記される。))(2004年) --『アウトラン2』のバージョンアップ作。新たに「アメリカ周辺が舞台のコース」「他車の後に着くと速度が増す『スリップストリーム』」「全15ステージ走破モード((筐体の設定により「選択不能」「選択に追加クレジットが必要」の場合もあり。))」が追加。~ 自車に「250GTO」「512BB」の2台、BGMに『アウトラン』『ターボアウトラン』のアーケード版BGMが追加((一部要素はXbox版『アウトラン2』で追加・やりこみで解禁できた要素だった。))され、今シリーズや実車のファンにはより楽しめる作品となった。 ---他にも「車種による性能差がギア数を除き撤廃」「ドリフト時に他車と接触してもクラッシュしない」「コースアウト時の減速率の低下」などの低難度化もなされている。 ---なお、「テスタロッサ」の外見は『アウトラン2』ではフィアット社会長の為に1台だけ製作された特別車両((フェラーリ公式で販売された「テスタロッサ」はクーペモデルのみで、オープンモデルは存在していない。))だったが、本作では『アウトラン』のと同じ外見に変更されている。 --まず海外でXbox、PS2、PSP、PCに『OutRun2006 Coast 2 Coast』として移植され、日本ではPS2版が『アウトラン2 SP』として発売された。 ---オリジナルモード(海外版ではCoast 2 Coastモード)が追加。マシンの性能差が復活、オリジナル曲、逆走コースなどが追加されている。 ---日本版(PS2)では海外版において移植ミスで削除されていた一部エンディングでの演出が復活している。 --2009年より『OutRun Online Arcade』というタイトルで、PS3/Xbox360向けに2011年12月まで海外限定で配信されていた(上述コンシューマ版よりいくつか削られた要素あり。日本ではいずれも配信されず)。 ---2011年12月を以って、フェラーリとのライセンス契約終了により配信終了([[参照>https://web.archive.org/web/20110722213451/http://www.choke-point.com/?p=8605]])。 -アウトラン2 SP SDX(2006年)/アウトラン2 SP DX(2007) --『アウトラン2 SP』をベースに画面比率16:9の62インチワイドモニターと、2人が横に座って乗り込める大型可動筐体を採用した、大規模店舗でのアトラクション用途が強いバージョン。~ まず2006年12月に4台/最大8人プレイ可能の『SDX』がリリースされ、2か月後に2台/4人プレイになって省サイズ化した『DX』がリリースされた。 ---筐体は店内対戦時に用いるフェラーリの後部が再現されており、1Pが赤のF50、2Pが黄のディーノ246、3Pが青の360スパイダー、4Pが銀の512BBとなっている。 ---なお、使用基板は『2SP』のChihiro基板から、当時のセガの最新基板であったPCベースのLINDBERGH基板へアップデートされている。 --2人同時プレイ時の独自要素として「ドライバーチェンジ」が追加。接触やステージクリアなどの特定のタイミングでドライバーが入れ替わる。~ 1人プレイも可能で、その場合はプレイ人数決定後にどちら側のハンドルでプレイするかを選択し、その後は『2SP』と全く同じルールでプレイ可能。 --2020年3月時点では、イオンモール浦和美園店の宝島・浦和美園店(埼玉県)で2SPSDXが2台稼働中。 ---- **移植 -本作には多数の移植版が存在する。中には海外のみで発売された物もある。詳細は[[Wikipedia>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3]]の「他機種版」の項を参照されたし。 -PS2版(SEGA AGES)については、[[独立記事>SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.13 アウトラン]]が存在するのでそちらを参照。 -セガサターン版『SEGA AGES アウトラン』 --良移植として度々話題に挙がるバージョン。''名前は似ているがPS2版やNintendo Switch版とは別物''。移植担当は当時ゲーム移植の高い技術力で知られた『ゲームのるつぼ有限会社』((今作の移植スタッフは後に『有限会社ゴッチテクノロジー』にて、アーケード版『パックマン』などの各機種への移植を担当することとなる。))。~ 2Dグラフィックに強いセガサターンの能力によって、アーケード版稼動から十年を経て家庭用では初めて「完全移植」と言って差し支えないレベルの高い再現度の移植を実現した。~ 後のインタビューで「ギアガチャプレイでインカットするパターンのうち、1箇所だけインカット出来ない場所がある」と、完全では無い事が明かされてはいるがその程度である。 #region(セガサターン版の詳細) --BGMはアーケード版のものと、アーケード版の作曲者である川口 博史氏(Hiro師匠)自ら手がけたシンセサイザー音源のアレンジ版の2つがオプションから切り替え可能((ただ、取扱説明書の作曲者コメントでもHiro氏が発言しているように「かなり大胆なアレンジ」となっている為、原曲を知る人には好みは分かれるかもしれない。))。 --セガサターン用の別売りコントローラーである セガマルチコントローラー(マルコン)やレーシングコントローラーにも対応((マルコンにはアナログトリガーのLRとアナログスティックが搭載されているため、ハンドル操作とアクセル・ブレーキをアナログ入力で微妙に調整して操作することができる。))。 --''クルマのグラフィックがアーケードと全く同じ''。現時点ではこのセガサターン版がもっともアーケード版に近いグラフィックの移植版である、といえる。 //((「フェラーリ社などがゲームにおける自社プロダクトの使用を厳しく取り締まる前だった」「今作と同年にセガAM2研がレース団体に許諾を得てフェラーリ・ポルシェを実名で収録した『スカッドレース』を開発・リリースした」ことが影響した可能性も否定できない。))。 ~ これ以前の移植版では性能の問題で同じグラフィックを使用することができず、またこれ以降の移植版では版権の問題でグラフィックに変更が加えられている。 --ただし、''本作は末期に発売された一部のSS本体では正常に動作しない((起動時にセガのロゴが出る場面でフリーズしてしまう。白いSSでは正常に動作しないと記述しているところも多いがこれは正確ではなく、実際は白サターンであっても、未修正版が問題なく動作する個体の方が多い。))。''コストダウンのため内部構造が変更された事が原因である。~ 当時はメーカーに問い合わせると修正版ソフトへ交換が出来た。現在は終了している。修正版の出回りは少なく、パッケージの外見で見分けることが出来ない((ディスクの型番に「A」が追加されているのが修正版である。))ため、現在は入手困難。 //---恐らく初期型のグレーのセガサターン本体を入手するほうが遥かに手っ取り早いだろう。 ---同様の問題は同シリーズの『[[スペースハリアー]]』でも発生し、同様の対応がとられていた。また『[[海底大戦争]]』でも発生しているが、こちらは修正版が存在するか不明。 --また隠しコマンドにより「スムーズモード」と「イージーコーナーリングモード」と「アーケード再現モード」が使用できる。~ この項目の選択はセーブデータに保存されるので一度選ぶと以後は設定せずとも同じモードでプレイでき、他の隠しモードとの併用も可能である。 ---''スムーズモード''は秒間60フレーム描写=60fpsで動作するモードで、元々の30fps描写より滑らかに動く。オプション内の『GAME MODE』((アーケード版に存在する二種類のバージョンである『JAPAN』と『OVERSEAS』を選択する項目。後の移植版ではそれぞれ『OLD』と『NEW』という表記になっている。))で「A+C+方向キー横」を押すと追加。 ---''イージーコーナーリングモード''は自車のコーナリング性能が大幅に向上するモード。タイトル画面で「A+C+スタート」を押しながらオプションに入ると追加。~ 元々は曲がるのにブレーキが必須なコーナーのほぼ全てをブレーキなしの全速力で曲がることが出来るようになる。~ なお、オプションの中でこの項目だけは変更が保存されないので電源を入れるたびに変更する必要がある。 ---''アーケード再現モード''はアーケード版の内容を権利表記などを除いて出来る限り再現するモード。解禁にはコントローラーを2つ接続する必要がある((このモードを選択するにはソフト起動時のロード後の『SEGA』ロゴの表示画面、もしくはその後の『SEGA AGES』ロゴの表示画面で2Pコントローラーで「A+C+スタート」のコマンドを入力すると『GET READY?』というボイスが流れ、このモードに切り替わる。2Pポートだけにコントローラーを接続してもコマンドを受け付けないので要注意。))。~ 家庭用移植の関係で変更された各種画面表示もアーケード版と同じになり、タイトル画面のBGMやゴール後のスタッフロールも無くなる。~ タイトル画面も『PRESS START BUTTON』から『INSERT COINS!』になるので、タイトル画面でLボタンを押すとコインを投入できる。~ この状態でもオプションの設定項目は適用されるので、アーケード再現モードを60fpsやアレンジBGMでプレイすることも可能((イージーコーナーリングモードと併用する場合は、まず普通に起動してオプションでイージーコーナーリングモードに設定後、タイトル画面でしばらく放置してアーケード再現モードのコマンド入力可能な画面が再び表示されるまで待つ必要がある。))である。 #endregion(詳細) -3DS版『3D アウトラン』 //--移植作品群の中では比較的最近に発売され、3DS/2DSシリーズでダウンロード購入することで現時点では比較的手軽に入手できるのでこちらに簡潔に記す。 --他の「3D復刻アーカイブス」シリーズと同じく、移植担当はこちらもゲーム移植のプロとして名高い『有限会社エムツー』。 アーケード版を元に拡張エミュレーションを行い、60fps動作・ワイド画面・3D立体視を実現。ただしSS版にもあった「1箇所インカット不能」は残っている。 #region(3DS版の詳細) --ワイド画面は「ワイド化にあたって従来描画されていなかった部分を新たに描画した」もので、ワイド画面設定にした場合アーケード版より左右の視野が広くなっている。~ 立体視も3D復刻アーカイブス後期の作品だけあって見やすく迫力のある良好な調整。興味のある方はeショップの3D動画をチェックされたし。 --他の3D復刻プロジェクトの作品同様、難易度や操作方法だけでなく画面表示スタイル((オリジナル(10:7) / ワイド(約16:9) / オリジナルを拡大して上下カット / ムービング筐体を再現するか否か…など。))など、オプションが豊富に用意されている。 --アーケード版のBGMに加えて、新規楽曲として''並木学''氏やかつてアマチュアでのチップチューン音楽製作で注目を集めた''Chibi-Tech''氏が''アーケード版アウトランの音源を用いた新曲''を各名一曲ずつ製作。 ---サウンド周りもエンジン音の三段階調節やアーケード筐体を再現した環境音、FM音源の音色を自分好みに調整できるイコライザーやサウンドテストなど完備。 --車のデザインはフェラーリ社のライセンスを得ていないのでアーケード版とは異なる。ドリームキャスト版のドット絵を元に、一部のデザインや色味をアーケード版のイメージに近づけている。 --5つ存在するゴールそれぞれに初到達するたびにカスタマイズアイテムが手に入り、スタート前に下画面のアイコンをタッチして装備すると対応した能力が上がり、装備パターンに応じて車の色や形が変わる。 ---アイテムは全四種で、好きなものを数種類重ねて使うこともでき、それぞれの組み合わせに固有のカラーパターンが用意されている。~ 『ハンドル』を選択するとコーナーリング能力が向上する、といったようなゲーム的なパワーアップ要素で、実際のクルマのチューンナップを模したものではない。 ---''車をカスタマイズすると必ず色が変わる''ので、セガサターン版とは異なり「赤い車に乗ったままコーナーリング性能を上げる」といったことは出来ない。 --5つのゴール全てにたどり着くと、30fps描写や制限時間バグなどを再現した『オリジナルモード』も解禁される。 --3DS版はセガ3D復刻プロジェクトのシリーズ作品を多数まとめたパッケージ / ダウンロードソフトである『セガ3D復刻アーカイブス』(セガ3D復刻アーカイブス1)にも収録されている。~ HOMEメニューでの3Dポリゴンモデルで再現された当時のアーケード筐体のグラフィックと『3D アウトラン』単体でのスタッフクレジットが収録されていない他は単体配信版とおおよそ同じ内容である。~ 一番の変更点はSS版と3DSダウンロード版にあった「1箇所だけインカット出来ない」という相違点がやっと解決された事。 ---『セガ3D復刻アーカイブス』(セガ3D復刻アーカイブス1)限定の収録特典として、海外のマスターシステムのみでの発売となった''『OutRun 3D』''も移植されている。~ こちらはマスターシステムの3Dグラスでの立体視ソフトだったものを3DSの裸眼立体視に対応させており、従来品で起こっていた左目右目交互の点滅はないので他の3DSソフト同様の感覚で楽しめる。~ 内容もアーケード版に劣る家庭用ながら''独自の曲が三曲収録''されていたり、高速道路などに見られるような長いトンネルがあったり、FM音源とPSG音源が選択できたりと独自要素もそれなりにある。 #endregion -2018年にはNintendo Switchへの移植版である『SEGA AGES アウトラン』も発売された。 --3DS版の移植開発元である有限会社エムツーが3DSパッケージ版をベースに更なる追加要素などを加えたもの。 『復刻アーカイブス』版ベースなので、インカットパターンも完全に利用可能。 --3DS版のBGMに加えてメガドライブ版から「STEP ON BEAT」、『アウトラン2006 Coast 2 Coast((海外版の『アウトラン2 SP』の移植作。これを国内向けに移植して追加要素を加えたのがPS2版『アウトラン2 SP』である。))』から「RADIATION」のアレンジを追加。~ それに加えマスターシステム版の『アウトラン3D』から「MIDNIGHT HIGHWAY」と、アーケード版3曲メドレーアレンジ「DRIVER'S MEGAMIX Vol.1」と4曲追加されている。 ---この内前者2つに関してはアウトランボード上で鳴らすようにアレンジされているが、後者2つはアウトラン音源に縛られないアレンジという理由でストリーム再生となっている((この2曲については選曲画面にてラジオではなくカセットテープを再生する形になっている。))。 --それ以外にはオンラインランキングへの対応。Joy-Conを使ったジャイロ操作((なお、この操作方式を選んでいる間はシフトはATに固定される))の実装等の追加要素が存在する。 //---一方で3DS版ではあった環境音や筐体ムービング機能は廃止された。各筐体を再現した壁紙は収録されているものの、先に3DS版を体験していると少し寂しさを感じるかもしれない。 -本wikiの取り扱い範疇からは外れるが、ミニチュア筐体ゲーム「Arcade 1UP」シリーズの1作として2021年8月に発売された。『アウトラン』+『ターボアウトラン』+『アウトランナーズ』+『[[パワードリフト]]』の4本がプレイ可能(さらにアップデートにより『ラッドラリー』が追加)。~ ミニチュアとは言えど、「アップライト筐体をベースにベンチを追加((なのでシフトレバーは右にある。))」というちゃんとしたコクピット筐体スタイルであり、価格はなんと96,800円(税込)、~ 高さや前後長((画面やハンドルなどゲームに必要な一切を収めた「本体」と、椅子部分「ベンチシート」の2パーツ構成である。))は1mを超えるため、購入・設置にはかなりの覚悟とスペースが必要であろう。 --『アウトランナーズ』はMDにしか移植されておらず、移植には恵まれていないタイトルであるので「中身だけ欲しい」という意見がある。 **参考プレイ動画 #region ギアガチャ不使用 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=WiWiTXq4yYY) ギアガチャ使用 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=UpUf1n1aGgM) #endregion

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