「世界樹と不思議のダンジョン2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

世界樹と不思議のダンジョン2」(2022/04/21 (木) 22:07:08) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*世界樹と不思議のダンジョン2 【せかいじゅとふしぎのだんじょんつー】 |ジャンル|ダンジョンRPG|&amazon(B06XTS1N18)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|スパイク・チュンソフト|~| |発売日|2017年8月31日|~| |定価|6,480円(税別)&br();限定版:9,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|システム面に改善が見られるが未だ問題は山積み&br()あらゆるテキストが商品未満&br()BGMとグラフィックは良好|~| |>|>|CENTER:''[[世界樹の迷宮シリーズ]]''&br;''[[不思議のダンジョンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アトラスの人気RPG『世界樹の迷宮』シリーズ(以下SQ)とチュンソフトの看板シリーズ「不思議のダンジョン」シリーズ(以下ふしダン)のコラボレーション、『[[世界樹と不思議のダンジョン]]』の続編。 湖畔の街オーベルフェを舞台に、不思議な少女ナディカや他の冒険者ギルドの面々と出会い、世界樹到達を目指してダンジョンに挑む。 前作の問題点が改善されて遊びやすくなることをファンは期待していたが……。 **前作からの変更点 基本のシステムは前作を踏襲しているため、変更点に留める。前作の記事も参照。 -舞台の刷新 --前作の舞台であるアスラーガは本作では関わらず、ストーリー上の繋がりも無い。 -新職業の追加 --ケンカクが初登場。[[SQ1>世界樹の迷宮]]・[[SQ2>世界樹の迷宮II 諸王の聖杯]]からアルケミスト、[[SQ3>世界樹の迷宮III 星海の来訪者]]からパイレーツ・モンク・ファーマーが参戦し、合計で15職に。 -サブクラスの追加 --本家ではSQ3・SQ4で登場したシステムで、キャラクターにもう一つの職業に就かせられるというもの。 --武器や盾はサブクラスのものも装備可能になるが、防具はメインクラスと変わらない。 --サブクラスのスキルでも振れるポイントの最大値は変わらないため、転職に近い振り方も可能。 --本作では休養(スキルポイント・サブクラスのリセット)がレベルの減少無しに行えるため、気軽に試行錯誤出来る。 ---ダンジョンに潜る際にオートセーブされる仕様を考えると、休養がノーリスクなのは妥当な処置だろう。 -特殊なフロア・部屋の追加 --素材や宝箱が多数落ちているお宝フロア、危険度が増すドクロフロア、結晶を壊すとTPが回復し宝箱が出現するが敵に壊されるとその敵が強化されてしまう結晶スポット(普通のフロアと、1つの中部屋のみのフロアの2種類がある。)が登場。お宝フロアかドクロフロアのどちらになるか入ってみないと分からない部屋もある。 --これらの位置はダンジョンのアリの巣構造で視認出来るため、どの下り階段を選ぶかの選択に影響する。 --また、モンスターハウスの強化版である希少個体ハウス、アイテムが獲得出来る財宝ハウス・素材ハウスなどが追加された。 -街システムの簡略化 --前作におけるミッションを受ける施設、図鑑や世界観に関するテキストを閲覧する施設が削除された。 ---図鑑は宿屋で閲覧出来る。ミッションと設定テキストは丸ごとオミットされた。 --住人との会話システム、及び街への投資システムも削除された。 -琥珀床が結晶床に変更され、FP回復効果が無くなった。 ---- **評価点 ''グラフィック'' -プレイヤーキャラや各種装備の3Dモデル、細かい仕草は前作から健在。 --武器と盾は多少の性能差を覆してでも好みの物を選びたくなる程に良いコレクション要素となっている。 --今作ではサブクラスにより全職業・装備・スキルの動作を組み合わせて楽しめるようになった。 ---銃を撃つソードマンやボクシンググローブを装着したガンナーなど何でもあり。 ---前作では本職で不可能な装備だと、図鑑で通常攻撃を行う動作しか見られなかったのを考えると嬉しいところ。 --追加されたモンスターの動きも最低限かつシンプルながら十分に個性が出ている。 -一枚絵のクオリティも高い。 --新職業の立ち絵やケンカクのデザインは好評。なお本作の新職業及びキャラクターデザインはアトラスの笹津啓志氏が手掛けている。笹津氏は世界樹シリーズで長い間アートディレクションを務めていることもあり、前作の長谷川氏のキャラデザとも上手くマッチしている。 --ダンジョン突入時の一枚絵も美麗なものが揃う。特にオーベルフェの水面に映る世界樹の姿は圧巻で、ゲーム起動時のワクワクを盛り上げる。 ''BGM'' -前作と同じくSQのアレンジを中心としたBGMが揃う。 --人気の高い「翠緑ノ樹海」や「戦場 己が信念を杖に」等の正統派アレンジの他、元々神殿用のBGMだった「深洋祭祀殿」がダンジョンの風景に合わせて砂漠風になる等の変化球も。 --新曲も聞きたいという期待に応えたのか、第一迷宮、特別なボス戦、ラストダンジョンに専用の曲が用意された。 --変わったところではSQ3の先着購入者特典でしか聞けなかった未使用曲のアレンジが入っている。 -前作で使用されたBGMも小迷宮やクリア後ダンジョン等で使用されており、曲に関してはかなり充実している。 ''スキルツリーの刷新'' -基本的に出身作でのスキルのみだった前作から大きく見直され、ローグライクという舞台に合わせて一新された。 --本作で初登場したスキルも多く、特に切り札となり得るスキルが多い。名称もイメージに良く合っている。 --本来は別の職業が使うスキル、敵専用だったスキル、元々非戦闘用だったスキルの名前を借りた攻撃スキル等、シリーズファンなら最初にスキルツリーを眺めただけでニヤリとするだろう。 -新規職業についても同様。 --ケンカクはフーライと同じくシレンシリーズを元ネタとしており、また世界樹シリーズ伝統の刀装備の攻撃特化職でもある。状態異常の追加効果があるスキルすら持たず、多種多様な範囲・多段攻撃を振り回す。 --アルケミストはルーンマスターと異なり多方向に拡散する貫通攻撃魔法を持ち、またそれらを一方向にまとめて放つ事も可能。位置取りが重要な魔法職という個性やヒット数に応じた追加ダメージを与えるバフスキル等は玄人向けながらも楽しい。 --パイレーツは択一だった片手銃と突剣を両手に装備するガンソドが可能になり、遠近対応のアタッカーになった。突属性しか持たないものの追撃スキルや状態異常付与など攻撃手段も豊富。 --モンクは素手ではなくバンテージや爪といった拳装備になった。またメディックと比べるとHP回復に劣るが状態異常回復で優れ、またステータスに穴が少ないので潰しが効く。 --ファーマーは低レベル帯では戦力になれないが、レベルが上がると様々な植物を用いたトリッキーな援護が可能になる。燃費向上や素材集めを始め、様々な側面から快適な冒険をサポートする。 -サブクラスを含むスキル振りとパーティ編成に拘る事で試行錯誤を楽しめる。 --休養のノーリスク化や、スキルポイントがLv99かつメインクラスに絞っても網羅出来なくなり振り方に個性を出せるようになった事も大きい。 ''「もっと不思議のダンジョン」の実装'' -開始時にスキルポイントがリセットされるようになり、本当の意味でレベルリセットダンジョンが楽しめるようになった。 -長さの異なる3つのダンジョンが存在する。 -サブクラスの導入により、人選や人数の組み合わせを工夫して遊べる。 --人数が少ない方がブラストゲージが溜まりやすく、経験値が集中し、行動を制御しやすく、進行が早い。人数が多い方が罠や状態異常による死亡事故が減り、対応力も高く、空腹のリスクが減る。いずれにもメリットがある。 -結晶床に紛れてスキルポイントが増加するSP床がまれに生成される。 --このためレベルの数値以上にメンバーの強化が早く、前提が重いスキルを選ぶ余地もある。レベルが上がってもスキルポイントが頭打ちになりにくい。 -出現するモンスターの都合上、クリア出来れば解禁時点での持ち込みダンジョンよりも数段上の武具が購入可能になる。 --同時期に持ち込みダンジョンの難易度が急激に増す事もあり、救済措置やご褒美として機能している。 ''AIの改善'' -前作の大きな問題だったAIの挙動が一部改善されている。 --通路から銃を撃ってくれるようになった。 --残りTPの割合が一番低いキャラが結晶床を踏んでくれる。また、各採集マスは該当する採集スキルが最も振られたキャラが踏んでくれる。そうでないキャラは遠慮してくれる。 --リーダーが麻痺になった時に場所交代で治してくれるようになった。 -他のキャラがいるマスに向かって移動すると、そのキャラを「押す」ようにして移動するようになった。 --前作では場所入れ替えしか出来なかったが、本作ではBボタン(高速移動用)を押しながらで場所入れ替え、と使い分けられる。 --押された、あるいは場所を入れ替えられたキャラはそのターンに移動をしない。また自分で移動したAIはそのターンに行動したと見なされるが、リーダーの移動により動かされたAIはそのターン中に行動してくれる。 --通路で先頭にいるキャラを後退させて全員で撤退する、通路を退却しながら他のキャラに銃で攻撃してもらう、といった戦略が可能に。 --工夫次第で自ら殴られに行くAIに先手を取らせる、直後のリーダー交代も駆使すれば2手先手を取るなんて芸当すら可能である。 --AIの介護が必要なのは相変わらずだが、この辺りの仕様を理解するとAIの挙動を多少なりとも制御する事が出来るため、選択肢がグッと増えた事は間違いない。 ''システムの改善'' -最初から全職業を選択出来るようになった。 --少し冒険を進めれば登録枠が増え、最終的に全職業を複数人用意出来るようになる。 -条件や確率に依らず素材を全部ドロップするようになる消費アイテムが登場した。 --前作ではバグを含め一切救済措置が無かっただけに嬉しいところ。 -クリア後の長いダンジョンでは一階毎に雰囲気が変わるようになった。 --背景とBGMのバリエーションは前作を含む全ダンジョンの組み合わせからランダムで決まる。 --手抜きとも取れるが、ずっと同じ状態で何十階と下り続けた前作よりはありがたい。 -一部のクリア後ダンジョンに徘徊冒険者が登場するようになった。 -鈍足状態の扱いが弱体化から状態異常に変更された。 --大型DOEのバリアを毒一つで剥がせるようになったり、毒状態をリフレッシュ一つで完治出来るようになったりと、プレイヤー側の利点として働いている。 -印石をダンジョン内の店限定で合成出来るようになった。 --街でいつでもとはいかないものの、これで印石の使用回数をまとめた上でストック出来るようになった。 -無属性攻撃がDOEに通るようになった。 -プリンス/プリンセスの味方対象のバフスキルの自身への失敗率がスキルレベルを上げると減少し、特化すれば自身にも確実に付与出来る仕様になった。 -武具の購入・強化に必要な素材が簡略化された。 --低確率ランダムドロップを大量に要求といった事がなくなったため、強い装備の入手が現実的に。 --やたら複雑だった鍛冶素材は採集素材のみを使う形で一本化された。 --このため、その時点での最高装備を失ってもリカバリーしやすく、一回のロストが致命傷になりにくくなった。 ---武具の強化値は戻ってこないものの、クリア後に+99の武器を複数用意出来る程度には稼げるためフォローが効く。 -壁に囲まれたお宝部屋の削除。 --侵入にはつるはしかフーライのスキルが必須だった。新登場の財宝ハウスでは職業等の制限無く入手出来るため、嬉しい変更。 ---- **賛否両論点 ''極端な敵の強さのバランス'' -催眠状態は相変わらず5ターン持続する。 --弱体化どころか、本作では複数のメンバーを催眠状態にしてくる敵が登場する。 -部屋対象のランダム複数回攻撃により入室直後に集中砲火される問題も継続。 --同じ系統の技を使ってくる敵がかなり増えた。ダンジョンによっては部屋に入ること自体が悪手になってしまう。 --一応、最初のダンジョンに出てくる「森ウサギ」だけは同じ対象に複数回命中しなくなった。 -扇形の範囲攻撃、射程の長い貫通攻撃の登場。 --通路と部屋という位置関係でも安心出来ず、通路にいるメンバーをまとめて薙ぎ払われてしまう。 --部屋対象攻撃を恐れて部屋に入る直前で待機してモンスターを通路におびき出そうとすると、こういったスキルで被害を受ける。 -大型DOEと同じサイズの雑魚モンスターの登場。 --大型DOEと同様に通常攻撃が広範囲になっており、耐久力や厄介さも見かけ通り。 --正面から戦うのは骨が折れる強敵ばかりで、印石等で対策する前提の強さといったところ。 --通路を破壊しながら進む性質も持つが、敵対しない限り部屋から出ることは無いのが幸い。 -凶悪な雑魚敵の登場。 --さまよう魔眼というモンスターは大半の攻撃をミスにしてしまう異常な回避率、高い物理攻撃耐性、飛び道具をランダムで跳ね返すスキルを所持しており隙が無い。ごく一部のスキルがなければ泥仕合は免れない。 --ずばり、即死攻撃を使用してくる雑魚がいる。成功率はかなり低めながら遠距離即死攻撃さえも存在する。 --鍛冶効果損失や武器破壊など、ある意味では大ダメージより厄介な攻撃も登場する。後者については発動前の溜め動作の時点でシステムメッセージが警告してくれるため「喰らう方が悪い」と言いたい所だが、AIはそれを把握出来ないため……。 --部屋対象の睡眠と毒の同時付与で操作不能のまま殺しきる、部屋対象の全部位封じ、状態異常にすると回復しつつ強烈なカウンター攻撃を発動してくるなど、本家のクリア後ボス級の芸当をしてくる敵も。雑魚とは一体。 -DOEが弱い。 --状態異常にしてバリアを剥がさなければ倒せないという仕様は前作から批判されていたが変更は無し。 --全状態異常をランダムに付与するスキルが登場したため、前作以上にDOE戦が終始タコ殴りで終わってしまう。 --前述の通り毒状態で大型DOEのバリアを一発で剥がせるようになった他、追い打ちのように何故か睡眠が有効になってしまった。 --加えて、ランダムで周囲の敵を行動不能にする新登場のパッシブスキルが雑魚並に効いてしまう。 --前述のような後半の雑魚敵のインフレの結果、DOEの方が低火力で対処がしやすい事も珍しくない。 -ボスの強さが極端。 --チュートリアルのボスがとても強い。初心者はおろか前作経験者ですら間違いなく苦戦し、全滅も十分にあり得る程。撃破するまでセーブも出来ない。 --後半のボスも治療不能の状態異常を使って来たり、強化や弱体化を掛けてから即死級の範囲攻撃を仕掛けてくるボス等がおり、油断できない。 --その一方で道中の雑魚より火力が弱いボスや、自分で仕掛けたトラップに嵌り機能停止するボス等もおり、気が抜ける。 --攻撃性能に差異はあるが総じてHPが低く、パーティ次第では初見でもボスが本気で掛かってくる前に殴り倒せてしまう事もしばしば。 -その他 --ひっかきモグラ系統の石投げは一度使用するとしばらく使用してこなくなった。明確な改善点。 --角抜け出来る位置で角抜け可能な攻撃を連発してくる問題は相変わらず。 --逃げ回る浮遊系のモンスターが壁の代わりに崖があるダンジョンに出現した際、画面の隅まで移動して討伐不可能になる問題は相変わらず。 -総じて、味方も敵も取れる手段が強すぎる事により、さらに大味になってしまった感がある。 --前述のモンスターが詰め込まれたモンスターハウスに出会っても、確実に敵全員を12ターンもの間機能停止させる壊れアイテム・睡眠の巻物があれば余裕で対処出来てしまう。ダンジョン内での入手も容易。 --クリア後に解禁される即死鍛冶の発動率も高く、道中の攻撃面はこれだけでも何とかなってしまう。 --通常攻撃しか出来なくさせるスキル封じの印石、所持していれば自動で蘇生してくれる世界樹の葉、即座に街に帰還するアリアドネの糸や階段に移動する全力逃走など、救済措置や対抗手段が多く存在するため、全滅まで行きつく事は意外と無い。 ---一切無いという訳ではなく、リーダーが行動不能状態に陥って操作出来ないまま全滅、という事態は起こりうる。 --何より、そういった高性能なアイテムを以前のダンジョンでかき集め、しっかり持ち込んだ状態でスタート出来る事も一因である。倉庫機能により中盤以降は消費アイテムが潤沢な状態を容易に維持出来る。 --そういったプレイヤー側に対抗してインフレした雑魚敵は最終的に「''行動させる方が悪い''」レベルに行きつく。それこそ数が揃えば全体攻撃の連発で1ターン経過する間に手持ちの世界樹の葉を消費させ尽くして全滅させてくる勢いになる。 ---部屋で真正面から乱戦などしていられなくなり、通路に誘い込んで攻撃させずに各個撃破するのが最善手になる。 ---これらに不満の残るAI、階層が深くなる際の敵の強化によるステータスでの圧倒、露骨に悪い命中率が合わさり、イライラに繋がりがち。 ---- **問題点 ''出来の悪いストーリー'' -脚本が寒い。 --ノリが軽すぎる、イベントが場当たり的、テキストの量自体もかなり少ない、とプレイヤーが感情移入するには程遠い。 --「な、なんだってー!?」((NPCでなくナレーション側の台詞。))「らんぱーい!」((酒場で酔っ払ったNPCの呂律が回っていない乾杯の掛け声。))等、悪い意味で印象に残る台詞もちらほら。 --特に酒場のクエストで発生する会話の適当さは群を抜いており、ワンパターンな上に「施設のレベルが上がる気がするのでお願い」「経験値を稼げてお得」といった言い回し''しか''しない。メタ要素が強かった前作から更に悪化を遂げている。 ---酒場の客と会話するシステムも削除されたのだが、その出来が前作での批判点の一つだった事と上記の有様もあってか、消えた事を残念がられる事は少ない。 ---酒場の料理すら例外ではなく、料理名がシステムの名称をそのまま含むオヤジギャグが大半、DLCで「そういえばハンバーグがメニューに無かったのは盲点だった」と言い出す、最後に開放される料理が高級料理どころかフィッシュ&チップス(しかも序盤から存在する攻撃フィッシュと防御チップスを足しただけと店主が明言している)等、徹底して寒い。 --世界樹シリーズ恒例の「君は○○しても良いし、しなくても良い」という言い回しがどうでも良い場所で一回だけ使われるのも白ける所。 ---それでいて本家では委ねるスタイルだった筈のプレイヤー側の思考をナレーションが勝手に決め付けて語りだすのは致命的。 --各ボスに関する設定も会話で一言二言触れられるだけで終わり、特にゲーム中で内容が反映される事も無い。 --発売前から強調されていた少女ナディカとの冒険ストーリーを期待していたプレイヤーは漏れなく期待外れを味わう。 --「冒険者の武器が不可解な状況で盗まれる」という、序盤から繰り返し話題になる事件の真相が最後まで触れられずに終わる。 --ストーリー中に選択肢が表示される事があるが、多少会話が変わる以外の影響が無い。 ---世界樹シリーズにおいてEDに関わる超重要な選択肢や、明確な正解が設定されている依頼の選択肢などを除けば、ストーリー中にプレイヤーが行う返答は「主人公達はどのようなキャラなのか?」((他人の頼みは何でも二つ返事で引き受けてしまうお人好しだったり、誰に対してもそっけなく応対する無愛想な性格だったり))というゲームに没頭し易くする為の所謂フレーバーの為でしかない。これに関しては世界樹シリーズの仕様そのままなので、本作の問題点ではなく世界樹シリーズの賛否両論点というべきである。 --悪役についても、はっきりと敵対したかと思えば勝ち目が無いと判断した直後に取って付けたように改心したような台詞を述べるため威厳が感じられない。さらにプレイヤーがこの悪役を寛大に見逃す事を強制される流れになるので楽しいものではない。 --なおテキストのノリが「ポケモン不思議のダンジョンっぽい」という意見が多いがそれもそのはず今回のシナリオライターは『風来のシレンシリーズ』や『ポケダンシリーズ』のシナリオを手がける冨江慎一郎氏である。過去作では問題なかっただけにどうしてこうなったと言わざるをえない。 -NPCの扱いが雑。 --酒場店主とギルド長の立ち絵がただの''色違い''。見る機会が最も多いNPCの一人をコンパチにするという手抜きぶりは、双子の兄弟(ギルド長が兄)だからで済ませられたものではない。 --他の冒険者の立ち絵は基本的にプレイヤー側の''流用''。プレイヤーが登録したキャラと全く同じ姿のNPCが会話してくる確率は低くない。 --女パイレーツだけ立ち絵が新規、新規参戦であるケンカクの姿が見当たらないのにガンナーは二人登場する、立ち絵で出てくるNPCに無名のキャラが混ざっている、立ち絵が無い台詞だけのモブも会話に混ざる等、統一感も無い。 --冒険者達の扱いもプレイヤーがダンジョンの奥に辿り着いた時に既にボスにやられている等''かませ''同然((それでも依頼で登場する「歩け、大工!と揶揄されるアルケダイクさん」などよりは余程マシなのが笑えない。))。 ---このためデザインを流用しているにもかかわらず、実際に共闘が行えるシーンはごく一部に限られる。この点は勿体ない所。 --とどめに各施設でNPCの話を聞ける機能が削除されたため、本作のNPCの設定の薄さはシリーズ随一。思い入れの持ちようがない。 ---ごく一部の依頼で登場する他は数パターンの会話しか無かった初代SQのNPCの方が情報が多いと言えば分かるだろうか。 ---酒場の娘のムッコランなど立ち絵が好評なNPCもいたのだが、本当に立ち絵だけしか語る物が残らなければどうしようもない。 --ダンジョンをうろついているNPCのしゃべり方も男女共に前作よりバリエーションが少なく、テキストもメインストーリー同様寒い。 ---ダンジョンの店主もグラフィックは固有のものだが前作とは違い名無しになっている。また多少ストーリーに顔を出した前作と違い、本作では本編と一切関係が無い。さらにBGMが前作の流用のため、ダークな雰囲気の店主に楽し気なワルツが噛み合わない。 #region(少しネタバレ) -魔族と敵対している精霊族という異種族が登場するが、彼らの立ち絵さえも''プレイヤーキャラの流用''である。 --当然、本家シリーズではこういったケースにおいて別の立ち絵が用意されていた。人間でないのだから当たり前である。 --会話に出てくる精霊族の里もゲーム中に登場しないし、種族独自の技も立ち絵の会話イベントで処理されるため、ゲーム中ではプレイヤー達と同じような性能でしかない。 --人前で正体を明かす事が禁じられている割に、クリア後のイベントで堂々と顔を出して依頼を頼みに来る。設定が悪い意味でいい加減。 --過去作品で馴染みのある、場合によっては本作でパーティ入りさせているキャラの立ち絵を勝手に設定上異種族にされたプレイヤーのやるせなさは言うまでもない。 #endregion -設定と仕様に違和感がある。 --中盤に「ここからは他のギルドが建てた足掛かりとなる砦も無い未知のダンジョンだ」と言われるが、それまでのダンジョンにも最初から砦が建設されていた事など一度もない。 --DOEが地上に出ると全滅扱いなのに、船でダンジョンへ向かう必要がある程にダンジョンと街との物理的な距離があるのも相変わらず。 --何の前触れやイベントどころか一言の会話すらなくサブクラスが解禁されるのは最早細事か。 -こうしてSQあるいは前作の雰囲気への期待や、プレイヤーが各職業の立ち絵に込めた思い出さえも壊されてしまうことになる。 --前作と比べても雰囲気が一変して薄い文章となった上で説明不足が目立ち、それでいて相変わらず設定倒れのままと全体的に悪化している。 --見知った立ち絵で気が削がれる話が繰り広げられるのは致命的であり、言葉を選ばず言えば出来の悪い二次創作を読まされている気分になる。 --擁護しておくと、冒険を終えた後に温泉旅館で休息する等の雰囲気作り、ダンジョンの途中でミニイベントが挟まる点、世界樹に辿り着くためのトリックの真相等、評価点自体はある。 ''前作の課題点は殆どが未解決'' -前作でプレイの妨げとなった数多くの問題点は上記の改善点を除き基本的に手付かずである。詳細は前作の記事を参照。 -相変わらず頭の悪いAI。前述の通り改善点は見られるが、煩わしさに悩まされる事は変わりない。 --とにかく突っ込むせいでチュートリアルの「素振りして待てば先制攻撃が出来る」をAIが実践出来ていない。 --敵の種類によって行動パターンを変えることもない。カースメーカーはDOEに状態異常を決めてバリアを剥がすという仕事を放棄しがち。 --結晶床を同じキャラが10歩以上連続で踏むとTP回復値にボーナスが付く仕様上、AIに結晶床を踏んで欲しくないケースもしばしば。 --通路でAIが勝手に並び方を変える事があり、しかも後衛職を敵の矢面に立たせたり細かい並び替えが不可能になったりと逆効果でしかない。 --AIの細かな挙動を設定出来るようにしてほしかったという希望は少なくなかったが、結局叶わずじまい。 --AIに指示出来る号令に必要なブラストゲージは人数が多いほど溜まりにくいので尚更不便が目立つ。 -リーダーが状態異常になった際に治るまで操作不能になる。 --その対策となる筈の仲間への割り込み指示の仕様が全く改善されておらず、死にシステムなのも相変わらず。 -ちぐはぐなダンジョン周りの仕様。 --8人防衛戦や倉庫砦などの死にシステム、経験値が種類毎に一定なので敵が強化されるにつれ釣り合わなくなる、出現するモンスターがずっと同じ、泥棒する程ダンジョン店の品ぞろえが魅力的でない等。 --倉庫砦にはダンジョン内にアイテムを置いておける機能があるが、置いた場所に階段が出来た場合に置いたアイテムが消失するバグがある。 --長い一本道の先に生成される行き止まり、DOEがダンジョンに出現しなくなる現象(通称・枯れる)など、前作で大顰蹙を買った仕様すら改善されていない。 -ダンジョン毎の差異が無い事による水増し感。 --一応「呪いの洞窟」という呪われた装備を投擲すると即死効果が付くダンジョンがあるが、おあつらえ向きな呪われたアイテムを投擲してくる敵は登場せず、DOEには結局即死は無効、とイマイチ個性が薄い。特殊なダンジョンも結局これしかない。 -マップの生成パターンが規則的なので下り階段の位置が推測出来てしまう。 -FP周りの仕様の問題や違和感。 --ダンジョン内で入手可能な食糧が大小2種類のパンだけで、『シレン』の「草」にあたる飲み薬にもFP回復効果が付かないまま。 --それでいて無料で貰える弁当は4つに増加。持ち込み可能な通常ダンジョンでは増々FPが飾りになった。 --一方で結晶床の仕様変更によりほぼ食料でしかFPを稼げなくなったため、リセットダンジョンの少人数プレイでは前以上に運次第で飢餓に悩まされる。 --リーダーは負担が大きいので一人だけ腹が減るという設定なのに人数が多くてもFPの減少量が同じな結果、人数が多い方が食料不足に悩みにくい、という違和感は相変わらず。 -基本的に命中率が低い。終盤になるにつれて目に見えて当たり辛くなる。 --AGIに関する補正の設定をミスしたのではないかと推測されている。 --各種状態異常で必中に出来ないのも相変わらず。導入すれば明確な対策になったのだが……。 -睡眠が強すぎる。 --行動不能かつ殴っても解除されないため、毒以外の状態異常の上位置換と言って差し支えない。 --さらに何故かDOEが共通して持っていた睡眠耐性が削除されてしまった。 -毒ダメージで倒れた敵や自爆した敵から経験値が貰えない。 --毒ダメージが有効な敵が実際に存在し、またAIは敵の自爆条件を考慮せずに刺激してしまうので尚更気になる。 -ゲームのテンポが悪い。 --露骨に処理落ちする。少人数では問題無いが、4人パーティで通路をダッシュすると処理落ちが良く分かる。 ---お宝フロアでは確実に処理落ちする上、通常フロアで常に処理落ちしているとモンスターハウスがあると分かってしまう。 --単純に動くキャラの数が多い上、効果を一個ずつ表示する等スキル毎に掛かる時間が長く、見ている時間が長い。 --本作の新技の中では、地面を揺らして部屋のメンバーを打ち上げて移動させる敵のスキルのテンポが悪い。着地→倒れる→起き上がる、を人数分繰り返す。 --リーダーの画面外での攻防は一瞬で処理される、攻撃の号令等は効果をまとめて表示してくれる等、これらの問題に付随する技術的な問題や拘りも無いので尚更気になってしまう。 ''鍛冶バグの存在'' --装備中の武器や盾に鍛冶を行うと、''キャラの攻撃力が永続的に増減してしまうバグ''が存在する。 ---攻撃力の値は本来はキャラのSTRと武具の攻撃力及び鍛冶枠のSTRやATKを合算したものが表示され、装備を全て外せばキャラのSTRと同じ値になるが、バグが起きたキャラクターは装備を外した状態でもSTRと表示される攻撃力が異なってしまう。 ---Lv1のキャラに一、二回攻撃力減少バグを起こすと攻撃力の表示は0だが処理上はマイナスになり、ゲームの再起動後に999になってしまう。 ---ただしレベルアップにより実数値がプラスになった後で再起動すると戻ってしまう、リセットダンジョンでは値が修正される、そもそも999という数値でもクリア後ダンジョンの無双には程遠い((クリア後ダンジョンを攻略するパーティは攻撃力が軽く500程度に到達するため、スケールで言えば精々2倍でしかない。))、と悪用出来る場面が限られるのが救いか。 ---勿論、攻撃力増加バグに関しては言うまでもない。前作に引き続きバグで宝典集めの意義が消滅してしまっているのはいかがなものか。 ---攻撃力に留まらず、ステータスの変化は見られないにも拘わらず受けるダメージが永続的に増加したとの報告もある。 ---攻撃力に関してはバグを逆に起こす事で増減値を戻せるものの0に出来るとは限らず、耐性面ともなればバグの発生の有無すら確認が難しい。 ---装備から外した状態での鍛冶を徹底すれば回避出来るが、この仕様が判明した時点で既にバグが発生していたプレイヤーは多く、完治させる方法も見つかっていない。自分のキャラが信じられなくなるという点では深刻。 --現在のレベルや装備等からステータスや耐性を計算せず、逐一キャラクター自体に上書き処理を行っているせいで発生したという意味では前作と同じ失敗と言える。 ''ステータスの扱いの格差'' -TECが回復スキルの回復量に関与しない。属性攻撃で受けるダメージにも関与しない。 --ソードマン等の前衛職でもTPがさほど低くなく、またTP回復薬のアムリタが安価で持ち込み可能なため、問題無くサブクラスで回復役を任せられてしまう。 --属性攻撃を使わない職業のTECは飾りになってしまう。 -LUCが影響しそうな状態異常付与率やランダム要素がLUCに無関係な事が検証で明らかになった。 --武器に鍛冶で付与した追加効果の成功率には影響があるが、スキルで状態異常を与える職業にとってLUCが不要となってしまった。 --TEC同様、TP以外は前衛職でも問題無く補助役が務まってしまう。 -VITの影響が大きい。物理攻撃に限らず属性攻撃で受けるダメージにも影響し、また少しの値の差異が大きく影響する。 --キャラのSTRやTEC・武器の攻撃力は平然と200~300になる一方、VITや防具の防御力はLv99・最高級防具でも70前後。『シレン』式のダメージ計算では防御力1あたりの影響が大きいゆえの調整だろうが、''並んだステータスのスケール感が統一されていない''のはいかがなものか。 ---VIT特化職のパラディンですら、VITよりも他のステータスのほうが高い。シリーズ経験者にとっては非常に違和感が強い。 --結果、装備品や鍛冶で同じ値だけ伸ばすなら重要性はVITが圧倒的である。 -過去作品の感覚と過不足の無い仕様で扱えるのはHP、TP、AGI、STR位しかない。 --AGIについては、リーダーはターンの最初に行動出来る点、AIとの連携が取り辛い点、命中率のカバーにはHIT鍛冶や必中技など他の手段の方が有効、などの理由により本家ほどの重要性は無い。 --STRに関しても、クリア後には敵ステータスのインフレのため、即死鍛冶を付けた通常攻撃で即死させるのが一番手っ取り早いという有様。 --クリア後ダンジョンに鍵を持ち込む事でステータスを上げる宝典が稼げるようになるが、限界を超えたステータスが意義を持つ程に強いボスも存在せず、自己満足の領域。鍛冶バグの存在も白ける所。 ''素材関連の杜撰な設定'' -大半の条件ドロップが''名前に反して''「雷属性で撃破」になっているという信じられないミスがある。 --具体的には「斬られた前翅」「呪われた後足」といった素材が該当する。「落とさない素材があったらとりあえず雷で倒せ」というアドバイスが有用になる有様。 --それでいて文章通りの条件で落とす素材や、意味深な名前なのに普通にドロップする素材も存在するため、プレイヤーは疑心暗鬼に陥ることに。 ---素材の名称は基本的にシリーズ過去作から流用しており、そちらでは名前通りの条件でドロップするものであった(「切断された角鹿」は「斬属性で撃破」、「封じられた黒爪」は「腕封じ状態にして撃破」など)。これらが名前だけ流用されたために違和感が生じている。後述の図鑑の文章の矛盾と併せて、雑な仕事と言わざるを得ない。 -売却しても商品が販売されない素材が大量に存在する。 --種類が多いドロップ素材や採集素材の殆ど、本作で新規にたくさん追加された採集素材の全て、本編クリア前に出現するDOEの素材の全て、これらが実質''ただの換金アイテム''である。 ---当然ながら過去作では換金しか用途が無い素材は数えるほどしかなく、採集やモンスターから入手する素材はほぼ全てが武具や消費アイテムの販売解禁に結びついていた。特にFOEの素材で作れる武具は概ね優秀であり、FOE打倒に挑戦する意義の一つであった。 --対照的にごく一部の素材が多数の武具の作成に使われるため、重要度の差が歴然としている。配分が悪過ぎる。 --最終装備も大抵は隠しダンジョンの通常モンスターの素材から作れてしまう。しかもシリーズ伝統の強敵、三竜の素材の武具よりも強いものが。 --その一方でクリア後に多数登場する再戦可能なボスの殆どはそもそも素材を落とさない。再戦出来る意味が無い。 --貴重な武具の入手がメリットの薄い苦行だった前作、そもそも貴重な武具を殆ど売り出さなくなった本作と、もう少しまともな調整は出来なかったのだろうか。 -以上の要因による弊害は無意味な素材の大量追加による水増しに留まらず、条件ドロップ獲得への試行錯誤の過程が否定され、本編攻略上でDOEを撃破するメリットが消滅し、素材を売った際のワクワク感の無さがシリーズ随一となる惨事を引き起こした。 ''矛盾だらけの説明文'' -モンスター図鑑の解説文にシリーズ過去作のものをそのまま流用しているものが多い。 --条件ドロップを示唆した文章も当然そのままで、前述の条件ドロップのミスリードに拍車を掛けている。 --本作で新規に書かれた文章も「スキルを封じないと倒すことは難しい」などとメタな説明で世界観を壊してくる。そしてその文章を流用。 ---この点、ゲームシステム中の用語をそのまま使わないように徹底されていた本家とは雲泥の差である。 -武具の説明文と必要素材がまるで噛み合わない。 --例えば「獣の角から作る」と書かれた武器に必要な素材が虫の殻と動物の皮であるなど、数えきれないほどの矛盾がある。必要素材が変更されたのに出典の文章をコピペしているのが原因。 --素材と対応する商品の種類と説明文を絡めて雰囲気作りのフレーバーとする拘りは世界樹シリーズの定番だっただけにかなり残念。そうでなくともやっつけ仕事である。 -スキルの効果が説明文と食い違う。 --「状態異常を確実に付与する(ただし敵に耐性が無いという前提)」「部屋のメンバーを回復する(実際は周囲3マスまで)」「敵を倒すと効果がある(隣接している時のみ)」「物理防御ブースト(仕様上属性攻撃も軽減出来る)」など。 ---バグが少なからずあったりプレイヤー側の意欲的な検証が求められたりするのは世界樹シリーズには珍しくないが、本作では不親切を通り越した説明ミスも散見される。 ''各職業の作り込みが甘い'' -ガンナーが弱い。 --前作では銃による遠距離攻撃が可能というメリットによりステータスの低さをカバーしていた職業であり、それでいて本作でもステータスのテコ入れがされなかった結果、当然ステータスで勝る他の職業のサブクラスにガンナーを付けた方が強いという事態になり、''ガンナーをメインクラスに据える意義が存在しない''とさえ言われた。 --出身作で非戦闘員で本作でも援護要因であるファーマーあるいは後衛専門の術師職のサブガンナーにすら攻撃性能で劣ると言えば、そのステータスの貧弱さが伝わるだろうか。 --追い打ちのように職業間で異なるレベルアップの速度も遅い、腹持ちは前作から悪化して最低クラス、後述のように専用ブラストスキルが死に技など逆の意味で隙が無い。 -ステータスの設定がおかしい。 --シノビより速いパイレーツ、妨害専門なのに属性攻撃職よりTECが高いカースメーカー、殴りスキルがあるのにSTRが底辺レベルのメディックなど、経験者ほど違和感が残る。 --何故かレベル帯による成長曲線がある。特にアルケミストは要となるTECが晩成型で、中盤ではフーライ等の前衛職にすら劣るという意味不明な調整のため、クリア後まで不遇とされる。勿論リセットダンジョンにも不向き。 --ステータスだけで言えばほぼ上位置換にある職業の関係も前述を含めいくつかある。サブクラスでもスキルを十全に使用出来るため影響が大きい。 ---具体的にはケンカク<ソードマン、ルーンマスター<カースメーカー、ガンナー<パイレーツ等で、いずれも一つ以外は全て上回る。 --中でもソードマンは前述の理由により飾りであるTECとLUC以外が全て高水準、STRはトップクラス、本家では底辺クラスだったTPすら平均以上なため、前衛としては満場一致で最強候補という扱い。何かがおかしい。 ---ソードマンがパッシブスキルを取ると攻撃力でも攻撃特化の筈のケンカクを上回ってしまい、劣るのはLUCだけという状態に。 -本家にあった、メインクラスでのみ取得可能な〇〇の心得系のスキルが削除された。 --ちなみに前作には同名のスキルが存在した。サブクラスが導入された本作にこそ必要だったのではないだろうか。 --それでいてダンサーの「フロアに敵がいるとたまに倍速状態になる」性質はメインクラス限定。当然の様に強い職業として扱われている。 -スキル同士を組み合わせ辛い。 --パッシブスキルが少なく、ステータスを底上げする各種ブーストスキルですらごく一部の職業しか持っていない。 --装備武器依存のスキルが多く、9割以上を占めるクラスが4つ程ある。 --サブクラスの方が使いこなせるスキルはともかく、メインクラスでの運用が難しいスキルがあるのも問題点。 --ケンカクは二刀流だと一刀流のスキルが使えないのに一刀流と盾は併用可能(つまり一刀流が両手持ち扱いという訳でもない)、シノビの刀が不要に見えるスキルが刀専用など、余計な制限が目立つ。 --細かい所では、プリンセスのとあるパッシブスキルを習得していると一部職業のチャージ動作があるスキルが不発に終わるというバグも存在。 --結果として、スキルポイントが少ないためやりくりが厳しそうに見えて、実際は選択肢が限られるという事も。 -一部の武器種が弱い。 --拳装備では両手を使うために性能の高い盾が持てないにもかかわらず、ガンソドや二刀流のような攻撃性能も持たない。そもそも刀に攻撃力で劣る。 --槌は攻撃力がイマイチで空きスロットも少なく、鍛冶で攻撃力に特化した杖にすら攻撃力で劣りかねないほど弱い。ちなみにこれは前作と同じ。 -誰がどう見ても死んでいるスキルが存在する。 --ソードマンのリンクスキルはあらゆる攻撃に追加ダメージが発生するようになる状態異常という扱いであり、DOEやボスには効き辛い。攻撃技なので本作の命中率の低さも響く。 ---リンクの追撃ダメージを伸ばすパッシブスキルが、リンクスキル使用者でなく追撃したキャラが所持していないと発揮されないという嘘のような仕様があり、真価を発揮するために専用パーティが要る。 ---そもそもボスのHPが低い傾向にあるため、お膳立てに成功してもその火力を発揮しきる前に倒せてしまう。大型モンスター特攻の攻撃スキルで最初からガンガン殴った方が早くて確実。 ---しかも何故か威力がTEC依存になっており、本職を含む剣・突剣装備の前衛では使い辛い。一部サブで雑魚戦の属性攻撃として用いるのがやっとで、リンク特化職の居場所が無い。 --フーライの一部スキルが物理攻撃ツリーの最後にあるのにTEC依存、しかも高いコストに威力と攻撃範囲が見合わないと散々たる性能。 --前述の通り倍速化はメインダンサーのみの特権にもかかわらず倍速化する確率を上げるパッシブスキルが存在し、当然サブで取っても何の意味も持たない。倍速化するようになる効果を持たせてもよかったのではないだろうか。 -各職業専用のブラストスキルの格差が大きい。 --効果がランダムな上にデメリットも混じるパイレーツ、たった一体しか無力化出来ないガンナー、部屋対象攻撃だが威力が通常攻撃より弱いケンカク((無属性攻撃のためか威力がTEC依存なのにケンカクはTECが全職中最低。そもそもケンカクは高威力かつ即死効果のある部屋全体攻撃スキルが自前で使え、こちらは勿論STR依存。))等の死にっぷりが深刻。 --他の職業のブラストスキルならば部屋中の敵全員を対象とした大ダメージ攻撃や無力化、あるいはパーティ全員の大幅な強化が行えるため、比べるまでもない。 -総じて、サブクラスが初めて導入されたSQ3よりも調整が甘いと言わざるを得ない。 --「考えている時が一番楽しい。実際に試すと仕様に裏切られる」とはプレイヤーの言。 --上記の問題点の多くはサブクラスがあることによるものなので、サブクラスがあること前提で職業構成がなされていないということである。 ''クリア後の徹底した水増し'' #region(ややネタバレ注意) -クリア直後に挑めるダンジョンのボスがラスボスの色違い。 --説明文を読む限りラスボスと同等の脅威のように思えるが、NPCの反応は一切無い。ここでも設定倒れ。 -かつてのボスから「何故か自分の分身が出現したので倒しておいてほしい」と手紙が届くという意味不明なシチュエーション。 --これならまだ本人がリベンジしに来た方がマシに思える。勿論ボス戦は使いまわし。 --そして撃破後に特に連絡は来ない。分身した原因等も一切判明しない。色々と放り投げすぎである。 -以前のダンジョンから再登場するモンスターの割合がどんどん増えていき、新鮮味が薄れる。 --中でも厄介な雑魚の代表格であるライデンジュウはクリア後ダンジョンの殆どに顔を見せる程。 -途中からダンジョンの雰囲気が過去作を含むそれまでのダンジョンのランダムな使いまわしで構成されるようになる。当然のように突入時の一枚絵も存在しない。 -クリア後からしばらくダンジョン攻略を進めていくと、モンスター図鑑のボスの項目の最後が早い段階で埋まる。ストーリー中のボスの間に不自然な空白が残っているのと合わさり、「残りのダンジョンにはもう使いまわしかコンパチのボスしかいないんだな」と推測出来てしまい、実際にその通りになる。最後の最後のボスですらストーリーの道中ボスの使いまわしとはいかがなものか。 --裏ボスに当たる強敵がこのコンパチボスラッシュの手前で既に登場してしまっている事も蛇足っぷりを加速させる。 --前作のボスを全てリストラした上で水増しをするという選択は理解に苦しむ。 #endregion ''リセットダンジョンの作り込みの甘さ'' -敵のバランス面に関して。 --1Fに初期装備での殴り合いでは太刀打ちできない程の強さの敵が登場するため、開幕が運ゲーと呼ばれる始末。別な意味でリセットダンジョンと化している。 ---職業次第で倒す手段はあるものの、その特定の職業を入れなければ運ゲーを強いられる事実に変わりはない。 --前述の「ランダム対象多段スキルが集中して出合い頭に即死」がここでも襲い掛かる。これは対象が前衛なのでまだマシで、「出合い頭の貫通突進攻撃で後衛がまとめて即死」も十分にあり得る。 ---十分な耐久力を確保出来ていない場合は通路の高速移動すらリスクが伴ってしまう。 --モンスターが強化される旨のメッセージの表示が無く、より深い階層で以前と同じ種類のモンスターに出会っても強さを測り間違えやすい。 --容赦なく即死攻撃持ちの敵が出現する。というかリセダン限定の敵が即死攻撃持ち。 --経験値がモンスターの強さと割に合わない。 ---持ち込みありダンジョンと登場順(≒強さ)が異なるのに経験値がそのまま。深層での強化も経験値に反映されない。 --最長にして最難関である99Fダンジョンの終盤は苛烈を極め、十分に装備とレベルを整えた後衛が即死しかねない威力の範囲攻撃を持つ敵が大量に出現する。 ---いくら即降り推奨としても数値調整を放り投げ過ぎである。 -一度出会ったDOEから逃げられない。 --3つある内の最初のリセットダンジョンだけはDOEが出現するのだが、同じ階層で遭遇した後は階段の上り下りに着いて来る仕様上、一度出会ったら倒さない限り延々とDOEに追い回され続ける。そしてアリの巣構造の先を見通せないためにDOEとの接触を完全に避ける事は不可能。 -武具に関する問題。 --剣が多く手に入る一方で銃、刀、盾がとにかく出辛い。数十階降り続けて1個手に入れば御の字というレベルで、ある程度強い物となると滅多に出ない。 ---職業によって使える武器の種類は限られているのに、パーティ編成に依らず出現率も変わらないので、余計に出にくく感じる。 --リセットダンジョン内での鍛冶が不可能で武具の空きスロットを埋められない問題もそのまま。 ---せっかく鍛冶に必要な素材を採集素材に一本化したのなら、リセットダンジョン内でも採集スキルに意義を持たせられたと思うのだが……。 --逆に二刀流や盾装備の有用性が薄れ、拳装備が普通に頼りになる等、持ち込みダンジョンと違った活躍の場が与えられているとも言える。 -道具に関する問題。 --ブラストスキルで所持品の呪いを全て解除しても呪いの有無を示す「?」表記はそのままなため、後から同じ種類のアイテムを手に入れた際にお祓い済みかの区別が付かなくなる。 --使用対象を選ぶ系統の巻物を読む前に「読む」のボタンが灰色になっている事があり、押すと「呪われているので読めない」と表示されるため、判別も使用もしていないのに呪われていると分かってしまう。 --最下層にある宝物庫から宝箱を得るための鍵の入手も運次第。眼前の報酬をむざむざ逃す事で踏破の喜びに水を差されて誰が楽しいのか。 -容赦無く行き止まりが生成される誰得仕様も相変わらずで、十階以上の逆走を強いられる事態が平然と起こる。 --先を見通せないアリの巣構造の都合上、対策は無い。実質的な深さはランダム生成のご機嫌次第と割り切るしか無い。 --二度目以降に訪れるフロアは結晶床やアイテムが全て消滅する上に敵が少ないため、落ちているパンからのFPや交戦でのブラストゲージも得られず、ソロプレイでは餓死に直結しかねない。 -SPに関するバグ。 --前述の通りSP床を踏む事でスキルポイントを入手出来るのだが、現在のレベルと比べて多すぎるスキルポイントがレベルアップで減ってしまうバグが存在する。 --スキルポイントを溜めておき、一定のレベルに達すると解禁されるスキルに多く振りたい場合に影響が出てしまう。 -ローグライクでは運も実力の内とは言うものの、その言葉ではカバーしきれない作り込みの甘さがあるのもまた事実。 --テンポの悪さも合わさり挑戦に掛かる時間は本家ふしダンより格段に長く、「運が悪かったのは仕方ないから次は上手くやろう」と思わせるには至っていない。 ''その他問題点'' -UIが悪い。 --状態変化(効果を発揮しているバフデバフを示す)を見るまでに項目選択を3回経由する手間が掛かる。シリーズを通じて肝となる要素だけに煩わしい。 --ページ送りが上下とstartの同時押しで使い辛い。使用頻度が高いのに気軽に押せない配置になっている。 --ギルドの冒険者の並びが登録順でなく職業順で、並び替えも出来ない。後から冒険者を追加すると強さがバラバラに並んでしまう。 --B+Yでメッセージ閲覧するにはBから押す必要がある等、ショートカットで同時押しする際の押す順番が決まっている。単発では動作しないボタンでもこの仕様になっており、慣れないと戸惑う。 --攻撃力が上昇する防具の場合、防御力と攻撃力の数値が交互に点滅して表示される。一定時間待機しないと確認出来ないため不便。 --文字入力の際に漢字が予め用意された100種類程度からしか使用出来ない。本家では新世界樹の時点で変換機能は搭載されている。 -防具に武器のものと同じ属性付与の鍛冶効果が付いている事があるが、何の意味も無い。 --また、行動キャンセル耐性、武具外し耐性、爆破耐性などのアクセサリーが役に立つシチュエーションが限定的過ぎる。 -DOEが結晶スポットに向かって移動し、結晶を食べてマップ上で凶暴化するようになった。これ自体は新要素に伴う変更点でしかないが…… --DOEが一つのフロアに集まり過ぎるとフリーズする現象が前作と比べて現実的な確率で起こるようになった。4体集まると確実に止まる。 --DOEがプレイヤーと接触する機会が減ったため、時間経過により次々と自然消滅してしまい、DOEが枯れてしまう速度が相対的に早くなった。特にクリア後のフロア数が多く深いダンジョンで顕著。 ---そもそも砦でDOEを防ぐというゲームデザインにもかかわらず自然消滅する、DOEが枯れるといった仕様がそのままなのがおかしいのだが。 -モンスターの登場順に違和感がある。 --色違いのモンスターのうち過去作で上位種だった方が先に登場する事がしばしばあり、経験者ほど印象とのズレが生じる。 ---単に使用技が違うといった差ではなく、ボールアニマルとアーマービーストといった配色や外見、ドロップする素材の名前で明らかに格付けが意識されているモンスター間で起こっている。 ---本家では通常モンスターとFOEの命名に傾向を持たせて強敵感を演出していた事をスタッフが理解していなかったのではないかとさえ思えてしまう。 --あの赤獅子が単なる序盤の雑魚に成り下がっている。出身作では通常モンスター中最強を誇り、前作では店で泥棒した時に登場するという破格の扱いを受けていただけに、この没落ぶりには違和感が強い。 ---同じ名前の敵でも作品ごとに強さが異なるというケース自体は世界樹シリーズでは珍しくなく、ある作品で地味だった雑魚が後の作品で凶悪な難敵に変貌するパターンも存在する。当ケースはその逆パターンによるサプライズを狙っている可能性も考えられるが、結局のところプレイヤーにとっては驚きよりも違和感が勝る結果となった。 --図鑑にクリア後ダンジョンのDOEが序盤のDOEに挟まれて2番目に載っているという妙な配置がある。 --それでいて強い違和感を抱かせる事に付随する意味が特に無いため、良い印象が持てない。 -発売から約一年が経過している[[SQ5>世界樹の迷宮V 長き神話の果て]]の職業やモンスターが登場しない。 --ちなみに出身作の武器は一部が採用されており、その説明文に前述の通りSQ5のモンスターの情報がコピペされているので世界観が異なるという言い訳も通じない。 -お金のバランスが極端。 --消費するお金のスケールの伸びが非常に緩やかであり、一度余り出したら足りなくなる事はまずない。 ---料理も最初こそ高めに感じるが最後までさほど値段が変わらず、印石の合成に掛かる価格は個数に依らずまとめて一律800enのまま。TP回復薬のアムリタが個数無制限で75enなのを筆頭に前述の世界樹の葉が250en、睡眠の巻物はダンジョン内の店限定とはいえたった40enなど値段設定が道具の価値と対応していない。 ---初期に売り出される武具こそ1000en台と高いが値段の上昇する幅が何故かどんどん緩くなっていき、最高でも9999enしかない。刀に至っては7割近くの種類が9000en台という適当極まりない設定。 ---入手する金額のスケールの伸びも本家より緩やかなのだが、それにしても価格の上限を付けた意味はあったのだろうか。 ---これらは前作とも共通だが、前作での大きなお金の使い所だった街の発展要素がお金を使わないクエストに変更されたのも大きい。 --逆にリセットダンジョンでは武具のプラス値の合成と印石合成のために金欠に悩まされることも。 -サブクラスはレベル20以上でないと活用できないため、リセットダンジョンに新しい冒険者を登録してすぐにサブクラスを付けて挑む事が出来ない。 --普通のダンジョンとは異なるパーティを組む事が求められるため、不便である。 --あらかじめ登録だけしておけば一部の経験値が入ってくるので用意は可能。 -図鑑コンプリートが難しい。 --特にリセットダンジョン限定のDOEと巻物に関しては祈るしかなく、かなりの試行回数を要する。デメリット効果の巻物を求めて延々とリセダンを彷徨う事に……。 --モンスター図鑑のドロップする素材の項は入手していなくても一度倒せば全て記録されてしまうので、どのモンスターの素材が未入手かは宿でアイテム一覧を''外部の攻略情報と照らし合わせないと確認出来ない''。 ---この点、スキルで未知の敵の情報だけを得ても戦闘後にリセットされるよう配慮されたSQ5どころか、特に工夫の無いSQ1等よりも悪化している。 --これでも素材を全てドロップさせる消耗品があるため前作よりはマシだが、リセットダンジョンはどうしようもない。 -武具のデザインは前述の通り概ね評価点ではあるのだが、ダイコンと揶揄される世界樹の剣、まんま丸太な世界樹の戦槌、三竜の頭部を模したためお楽しみ武器寄りのキャラクターグッズに見える三竜の武器など、最強格の武器に格好悪いデザインが集中している。 -DLCクエストの敵「ニジプーカ」のドロップ素材から購入可能な筈のレベル上げ用アイテムが設定ミスで店に売り出されない。前作に引き続きあんまりである。 --同様に、購入に必要な素材が図鑑で確認出来るが店で売り出されない道具が何個か存在する。 -ギルドカードの保存枚数が20枚までと前作の40枚より半減している。 ---- **総評 フルプライスどころか商品としての最低限の作り込みすらなされなかった手抜き作品。~ プレイヤーが抱いた疑問は全て「仕様。制作側が何も考えていなかった」で返され、数々の期待は漏れなく悪い意味で裏切られる。~ ストーリーの主題は王道と言うより積極的にどんでん返しを狙ったものであるが前作のほうがマシだと感じるほどテキストの質は悪く、むしろ作中のあらゆる説明文が信じられない完成度の低さの方が体現しているという皮肉な結果になってしまった。~ ふしダンと世界樹の相性の悪さに対する新たな解答を示せず、本家はおろか前作を含む過去作品の反省を殆ど生かしていない点も落胆する所。~ 一方でゲーム性は粗過ぎた前作から進歩しており、味方を押す操作の追加による選択肢の増加、~ 新モンスターに伴う難易度の上昇、サブクラスによる可能性の広がり、そして待望のリセットダンジョンと、~ 長時間ハマってしまう要素はあるが、それも前述の数多の欠点を全て許容出来るという前提が付く。~ その上で真面目にやりこもうとした分だけ作りの雑さが次々と分かってしまう、正に罠ダンジョンのような作品。~ //「正に腐食されたダンジョン」って書こうとしたけど直球ネタバレなので流石に自重 ---- **余談 -発売二か月後に修正パッチが配布された。 --放置された前作よりはありがたいが対応は早いとは言えず、また問題点はパッチだけで改善するような量では収まっていなかったというのが正直な所。 --主に前述の鍛冶バグやDOEの集合によるフリーズ、スキル説明文の誤植に手が加えられた。 --しかし鍛冶バグがこれ以上起きなくなるだけで既に発生済みのバグが修正される訳でなく、むしろ永遠に直せなくなってしまう。根本的な解決は出来なかった模様。 -前作に引き続き、発売一か月前に「M.S.S Project」による実況プレイ動画がニコニコ動画に投稿された。 --揃って前作経験者かつ然程バランスが悪くないパーティ構成だったにもかかわらず、前述のチュートリアルのボス戦では長考の末にあわや全滅という所まで苦戦していた。動画的には盛り上がる展開かもしれないが、発売前から調整不足を露呈したともいえる。 -先着購入特典はシリーズ10周年楽曲人気投票で選ばれた30曲を収録したベストアルバム。 -初回生産限定版の限定デザインBOXにはシリーズ総集の240Pという大ボリュームのキャラクターアート集が入っている。資料集が発売されなかったSQ5のキャラアートはここが初登場。 --前作及び発売後の悪評もあり、限定版は売れ残った上で発売一か月後には半額以下に値崩れした。通常版も3か月後には通販で2000円を切る有様であり、最早ゲームはCDとアート集のおまけといった扱いである。 -ガンナーは性能面に留まらずストーリー中でも不遇。 --加えて「リセットダンジョンにガンナーを連れ込み、初期装備の銃を他のサブガンナーの職業に渡した後に死んでもらう」という血も涙も無いが有用な戦略が提唱された際、これが「銃を盗まれる、最終的に病院送り」という作中でのイベントと一致し、妙な笑いと悲しみを生んだ。 ---- //タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。) //アトラス,世界樹の迷宮シリーズ,3DS,スパイク・チュンソフト,不思議のダンジョン,ローグライク,2017年
*世界樹と不思議のダンジョン2 【せかいじゅとふしぎのだんじょんつー】 |ジャンル|ダンジョンRPG|&amazon(B06XTS1N18)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|スパイク・チュンソフト|~| |発売日|2017年8月31日|~| |定価|6,480円(税別)&br();限定版:9,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|システム面に改善が見られるが未だ問題は山積み&br()あらゆるテキストが商品未満&br()BGMとグラフィックは良好|~| |>|>|CENTER:''[[世界樹の迷宮シリーズ]]''&br;''[[不思議のダンジョンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アトラスの人気RPG『世界樹の迷宮』シリーズ(以下SQ)とチュンソフトの看板シリーズ「不思議のダンジョン」シリーズ(以下ふしダン)のコラボレーション、『[[世界樹と不思議のダンジョン]]』の続編。 湖畔の街オーベルフェを舞台に、不思議な少女ナディカや他の冒険者ギルドの面々と出会い、世界樹到達を目指してダンジョンに挑む。 前作の問題点が改善されて遊びやすくなることをファンは期待していたが……。 **前作からの変更点 基本のシステムは前作を踏襲しているため、変更点に留める。前作の記事も参照。 -舞台の刷新 --前作の舞台であるアスラーガは本作では関わらず、ストーリー上の繋がりも無い。 -新職業の追加 --ケンカクが初登場。[[SQ1>世界樹の迷宮]]・[[SQ2>世界樹の迷宮II 諸王の聖杯]]からアルケミスト、[[SQ3>世界樹の迷宮III 星海の来訪者]]からパイレーツ・モンク・ファーマーが参戦し、合計で15職に。 -サブクラスの追加 --本家ではSQ3・SQ4で登場したシステムで、キャラクターにもう一つの職業に就かせられるというもの。 --武器や盾はサブクラスのものも装備可能になるが、防具はメインクラスと変わらない。 --サブクラスのスキルでも振れるポイントの最大値は変わらないため、転職に近い振り方も可能。 --本作では休養(スキルポイント・サブクラスのリセット)がレベルの減少無しに行えるため、気軽に試行錯誤出来る。 ---ダンジョンに潜る際にオートセーブされる仕様を考えると、休養がノーリスクなのは妥当な処置だろう。 -特殊なフロア・部屋の追加 --素材や宝箱が多数落ちているお宝フロア、危険度が増すドクロフロア、結晶を壊すとTPが回復し宝箱が出現するが敵に壊されるとその敵が強化されてしまう結晶スポット(普通のフロアと、1つの中部屋のみのフロアの2種類がある。)が登場。お宝フロアかドクロフロアのどちらになるか入ってみないと分からない部屋もある。 --これらの位置はダンジョンのアリの巣構造で視認出来るため、どの下り階段を選ぶかの選択に影響する。 --また、モンスターハウスの強化版である希少個体ハウス、アイテムが獲得出来る財宝ハウス・素材ハウスなどが追加された。 -街システムの簡略化 --前作におけるミッションを受ける施設、図鑑や世界観に関するテキストを閲覧する施設が削除された。 ---図鑑は宿屋で閲覧出来る。ミッションと設定テキストは丸ごとオミットされた。 --住人との会話システム、及び街への投資システムも削除された。 -琥珀床が結晶床に変更され、FP回復効果が無くなった。 ---- **評価点 ''グラフィック'' -プレイヤーキャラや各種装備の3Dモデル、細かい仕草は前作から健在。 --武器と盾は多少の性能差を覆してでも好みの物を選びたくなる程に良いコレクション要素となっている。 --今作ではサブクラスにより全職業・装備・スキルの動作を組み合わせて楽しめるようになった。 ---銃を撃つソードマンやボクシンググローブを装着したガンナーなど何でもあり。 ---前作では本職で不可能な装備だと、図鑑で通常攻撃を行う動作しか見られなかったのを考えると嬉しいところ。 --追加されたモンスターの動きも最低限かつシンプルながら十分に個性が出ている。 -一枚絵のクオリティも高い。 --新職業の立ち絵やケンカクのデザインは好評。なお本作の新職業及びキャラクターデザインはアトラスの笹津啓志氏が手掛けている。笹津氏は世界樹シリーズで長い間アートディレクションを務めていることもあり、前作の長谷川氏のキャラデザとも上手くマッチしている。 --ダンジョン突入時の一枚絵も美麗なものが揃う。特にオーベルフェの水面に映る世界樹の姿は圧巻で、ゲーム起動時のワクワクを盛り上げる。 ''BGM'' -前作と同じくSQのアレンジを中心としたBGMが揃う。 --人気の高い「翠緑ノ樹海」や「戦場 己が信念を杖に」等の正統派アレンジの他、元々神殿用のBGMだった「深洋祭祀殿」がダンジョンの風景に合わせて砂漠風になる等の変化球も。 --新曲も聞きたいという期待に応えたのか、第一迷宮、特別なボス戦、ラストダンジョンに専用の曲が用意された。 --変わったところではSQ3の先着購入者特典でしか聞けなかった未使用曲のアレンジが入っている。 -前作で使用されたBGMも小迷宮やクリア後ダンジョン等で使用されており、曲に関してはかなり充実している。 ''スキルツリーの刷新'' -基本的に出身作でのスキルのみだった前作から大きく見直され、ローグライクという舞台に合わせて一新された。 --本作で初登場したスキルも多く、特に切り札となり得るスキルが多い。名称もイメージに良く合っている。 --本来は別の職業が使うスキル、敵専用だったスキル、元々非戦闘用だったスキルの名前を借りた攻撃スキル等、シリーズファンなら最初にスキルツリーを眺めただけでニヤリとするだろう。 -新規職業についても同様。 --ケンカクはフーライと同じくシレンシリーズを元ネタとしており、また世界樹シリーズ伝統の刀装備の攻撃特化職でもある。状態異常の追加効果があるスキルすら持たず、多種多様な範囲・多段攻撃を振り回す。 --アルケミストはルーンマスターと異なり多方向に拡散する貫通攻撃魔法を持ち、またそれらを一方向にまとめて放つ事も可能。位置取りが重要な魔法職という個性やヒット数に応じた追加ダメージを与えるバフスキル等は玄人向けながらも楽しい。 --パイレーツは択一だった片手銃と突剣を両手に装備するガンソドが可能になり、遠近対応のアタッカーになった。突属性しか持たないものの追撃スキルや状態異常付与など攻撃手段も豊富。 --モンクは素手ではなくバンテージや爪といった拳装備になった。またメディックと比べるとHP回復に劣るが状態異常回復で優れ、またステータスに穴が少ないので潰しが効く。 --ファーマーは低レベル帯では戦力になれないが、レベルが上がると様々な植物を用いたトリッキーな援護が可能になる。燃費向上や素材集めを始め、様々な側面から快適な冒険をサポートする。 -サブクラスを含むスキル振りとパーティ編成に拘る事で試行錯誤を楽しめる。 --休養のノーリスク化や、スキルポイントがLv99かつメインクラスに絞っても網羅出来なくなり振り方に個性を出せるようになった事も大きい。 ''「もっと不思議のダンジョン」の実装'' -開始時にスキルポイントがリセットされるようになり、本当の意味でレベルリセットダンジョンが楽しめるようになった。 -長さの異なる3つのダンジョンが存在する。 -サブクラスの導入により、人選や人数の組み合わせを工夫して遊べる。 --人数が少ない方がブラストゲージが溜まりやすく、経験値が集中し、行動を制御しやすく、進行が早い。人数が多い方が罠や状態異常による死亡事故が減り、対応力も高く、空腹のリスクが減る。いずれにもメリットがある。 -結晶床に紛れてスキルポイントが増加するSP床がまれに生成される。 --このためレベルの数値以上にメンバーの強化が早く、前提が重いスキルを選ぶ余地もある。レベルが上がってもスキルポイントが頭打ちになりにくい。 -出現するモンスターの都合上、クリア出来れば解禁時点での持ち込みダンジョンよりも数段上の武具が購入可能になる。 --同時期に持ち込みダンジョンの難易度が急激に増す事もあり、救済措置やご褒美として機能している。 ''AIの改善'' -前作の大きな問題だったAIの挙動が一部改善されている。 --通路から銃を撃ってくれるようになった。 --残りTPの割合が一番低いキャラが結晶床を踏んでくれる。また、各採集マスは該当する採集スキルが最も振られたキャラが踏んでくれる。そうでないキャラは遠慮してくれる。 --リーダーが麻痺になった時に場所交代で治してくれるようになった。 -他のキャラがいるマスに向かって移動すると、そのキャラを「押す」ようにして移動するようになった。 --前作では場所入れ替えしか出来なかったが、本作ではBボタン(高速移動用)を押しながらで場所入れ替え、と使い分けられる。 --押された、あるいは場所を入れ替えられたキャラはそのターンに移動をしない。また自分で移動したAIはそのターンに行動したと見なされるが、リーダーの移動により動かされたAIはそのターン中に行動してくれる。 --通路で先頭にいるキャラを後退させて全員で撤退する、通路を退却しながら他のキャラに銃で攻撃してもらう、といった戦略が可能に。 --工夫次第で自ら殴られに行くAIに先手を取らせる、直後のリーダー交代も駆使すれば2手先手を取るなんて芸当すら可能である。 --AIの介護が必要なのは相変わらずだが、この辺りの仕様を理解するとAIの挙動を多少なりとも制御する事が出来るため、選択肢がグッと増えた事は間違いない。 ''システムの改善'' -最初から全職業を選択出来るようになった。 --少し冒険を進めれば登録枠が増え、最終的に全職業を複数人用意出来るようになる。 -条件や確率に依らず素材を全部ドロップするようになる消費アイテムが登場した。 --前作ではバグを含め一切救済措置が無かっただけに嬉しいところ。 -クリア後の長いダンジョンでは一階毎に雰囲気が変わるようになった。 --背景とBGMのバリエーションは前作を含む全ダンジョンの組み合わせからランダムで決まる。 --手抜きとも取れるが、ずっと同じ状態で何十階と下り続けた前作よりはありがたい。 -一部のクリア後ダンジョンに徘徊冒険者が登場するようになった。 -鈍足状態の扱いが弱体化から状態異常に変更された。 --大型DOEのバリアを毒一つで剥がせるようになったり、毒状態をリフレッシュ一つで完治出来るようになったりと、プレイヤー側の利点として働いている。 -印石をダンジョン内の店限定で合成出来るようになった。 --街でいつでもとはいかないものの、これで印石の使用回数をまとめた上でストック出来るようになった。 -無属性攻撃がDOEに通るようになった。 -プリンス/プリンセスの味方対象のバフスキルの自身への失敗率がスキルレベルを上げると減少し、特化すれば自身にも確実に付与出来る仕様になった。 -武具の購入・強化に必要な素材が簡略化された。 --低確率ランダムドロップを大量に要求といった事がなくなったため、強い装備の入手が現実的に。 --やたら複雑だった鍛冶素材は採集素材のみを使う形で一本化された。 --このため、その時点での最高装備を失ってもリカバリーしやすく、一回のロストが致命傷になりにくくなった。 ---武具の強化値は戻ってこないものの、クリア後に+99の武器を複数用意出来る程度には稼げるためフォローが効く。 -壁に囲まれたお宝部屋の削除。 --侵入にはつるはしかフーライのスキルが必須だった。新登場の財宝ハウスでは職業等の制限無く入手出来るため、嬉しい変更。 ---- **賛否両論点 ''極端な敵の強さのバランス'' -催眠状態は相変わらず5ターン持続する。 --弱体化どころか、本作では複数のメンバーを催眠状態にしてくる敵が登場する。 -部屋対象のランダム複数回攻撃により入室直後に集中砲火される問題も継続。 --同じ系統の技を使ってくる敵がかなり増えた。ダンジョンによっては部屋に入ること自体が悪手になってしまう。 --一応、最初のダンジョンに出てくる「森ウサギ」だけは同じ対象に複数回命中しなくなった。 -扇形の範囲攻撃、射程の長い貫通攻撃の登場。 --通路と部屋という位置関係でも安心出来ず、通路にいるメンバーをまとめて薙ぎ払われてしまう。 --部屋対象攻撃を恐れて部屋に入る直前で待機してモンスターを通路におびき出そうとすると、こういったスキルで被害を受ける。 -大型DOEと同じサイズの雑魚モンスターの登場。 --大型DOEと同様に通常攻撃が広範囲になっており、耐久力や厄介さも見かけ通り。 --正面から戦うのは骨が折れる強敵ばかりで、印石等で対策する前提の強さといったところ。 --通路を破壊しながら進む性質も持つが、敵対しない限り部屋から出ることは無いのが幸い。 -凶悪な雑魚敵の登場。 --さまよう魔眼というモンスターは大半の攻撃をミスにしてしまう異常な回避率、高い物理攻撃耐性、飛び道具をランダムで跳ね返すスキルを所持しており隙が無い。ごく一部のスキルがなければ泥仕合は免れない。 --ずばり、即死攻撃を使用してくる雑魚がいる。成功率はかなり低めながら遠距離即死攻撃さえも存在する。 --鍛冶効果損失や武器破壊など、ある意味では大ダメージより厄介な攻撃も登場する。後者については発動前の溜め動作の時点でシステムメッセージが警告してくれるため「喰らう方が悪い」と言いたい所だが、AIはそれを把握出来ないため……。 --部屋対象の睡眠と毒の同時付与で操作不能のまま殺しきる、部屋対象の全部位封じ、状態異常にすると回復しつつ強烈なカウンター攻撃を発動してくるなど、本家のクリア後ボス級の芸当をしてくる敵も。雑魚とは一体。 -DOEが弱い。 --状態異常にしてバリアを剥がさなければ倒せないという仕様は前作から批判されていたが変更は無し。 --全状態異常をランダムに付与するスキルが登場したため、前作以上にDOE戦が終始タコ殴りで終わってしまう。 --前述の通り毒状態で大型DOEのバリアを一発で剥がせるようになった他、追い打ちのように何故か睡眠が有効になってしまった。 --加えて、ランダムで周囲の敵を行動不能にする新登場のパッシブスキルが雑魚並に効いてしまう。 --前述のような後半の雑魚敵のインフレの結果、DOEの方が低火力で対処がしやすい事も珍しくない。 -ボスの強さが極端。 --チュートリアルのボスがとても強い。初心者はおろか前作経験者ですら間違いなく苦戦し、全滅も十分にあり得る程。撃破するまでセーブも出来ない。 --後半のボスも治療不能の状態異常を使って来たり、強化や弱体化を掛けてから即死級の範囲攻撃を仕掛けてくるボス等がおり、油断できない。 --その一方で道中の雑魚より火力が弱いボスや、自分で仕掛けたトラップに嵌り機能停止するボス等もおり、気が抜ける。 --攻撃性能に差異はあるが総じてHPが低く、パーティ次第では初見でもボスが本気で掛かってくる前に殴り倒せてしまう事もしばしば。 -その他 --ひっかきモグラ系統の石投げは一度使用するとしばらく使用してこなくなった。明確な改善点。 --角抜け出来る位置で角抜け可能な攻撃を連発してくる問題は相変わらず。 --逃げ回る浮遊系のモンスターが壁の代わりに崖があるダンジョンに出現した際、画面の隅まで移動して討伐不可能になる問題は相変わらず。 -総じて、味方も敵も取れる手段が強すぎる事により、さらに大味になってしまった感がある。 --前述のモンスターが詰め込まれたモンスターハウスに出会っても、確実に敵全員を12ターンもの間機能停止させる壊れアイテム・睡眠の巻物があれば余裕で対処出来てしまう。ダンジョン内での入手も容易。 --クリア後に解禁される即死鍛冶の発動率も高く、道中の攻撃面はこれだけでも何とかなってしまう。 --通常攻撃しか出来なくさせるスキル封じの印石、所持していれば自動で蘇生してくれる世界樹の葉、即座に街に帰還するアリアドネの糸や階段に移動する全力逃走など、救済措置や対抗手段が多く存在するため、全滅まで行きつく事は意外と無い。 ---一切無いという訳ではなく、リーダーが行動不能状態に陥って操作出来ないまま全滅、という事態は起こりうる。 --何より、そういった高性能なアイテムを以前のダンジョンでかき集め、しっかり持ち込んだ状態でスタート出来る事も一因である。倉庫機能により中盤以降は消費アイテムが潤沢な状態を容易に維持出来る。 --そういったプレイヤー側に対抗してインフレした雑魚敵は最終的に「''行動させる方が悪い''」レベルに行きつく。それこそ数が揃えば全体攻撃の連発で1ターン経過する間に手持ちの世界樹の葉を消費させ尽くして全滅させてくる勢いになる。 ---部屋で真正面から乱戦などしていられなくなり、通路に誘い込んで攻撃させずに各個撃破するのが最善手になる。 ---これらに不満の残るAI、階層が深くなる際の敵の強化によるステータスでの圧倒、露骨に悪い命中率が合わさり、イライラに繋がりがち。 ---- **問題点 ''出来の悪いストーリー'' -脚本が寒い。 --ノリが軽すぎる、イベントが場当たり的、テキストの量自体もかなり少ない、とプレイヤーが感情移入するには程遠い。 --「な、なんだってー!?」((NPCでなくナレーション側の台詞。))「らんぱーい!」((酒場で酔っ払ったNPCの呂律が回っていない乾杯の掛け声。))等、悪い意味で印象に残る台詞もちらほら。 --特に酒場のクエストで発生する会話の適当さは群を抜いており、ワンパターンな上に「施設のレベルが上がる気がするのでお願い」「経験値を稼げてお得」といった言い回し''しか''しない。メタ要素が強かった前作から更に悪化を遂げている。 ---酒場の客と会話するシステムも削除されたのだが、その出来が前作での批判点の一つだった事と上記の有様もあってか、消えた事を残念がられる事は少ない。 ---酒場の料理すら例外ではなく、料理名がシステムの名称をそのまま含むオヤジギャグが大半、DLCで「そういえばハンバーグがメニューに無かったのは盲点だった」と言い出す、最後に開放される料理が高級料理どころかフィッシュ&チップス(しかも序盤から存在する攻撃フィッシュと防御チップスを足しただけと店主が明言している)等、徹底して寒い。 --世界樹シリーズ恒例の「君は○○しても良いし、しなくても良い」という言い回しがどうでも良い場所で一回だけ使われるのも白ける所。 ---それでいて本家では委ねるスタイルだった筈のプレイヤー側の思考をナレーションが勝手に決め付けて語りだすのは致命的。 --各ボスに関する設定も会話で一言二言触れられるだけで終わり、特にゲーム中で内容が反映される事も無い。 --発売前から強調されていた少女ナディカとの冒険ストーリーを期待していたプレイヤーは漏れなく期待外れを味わう。 --「冒険者の武器が不可解な状況で盗まれる」という、序盤から繰り返し話題になる事件の真相が最後まで触れられずに終わる。 --ストーリー中に選択肢が表示される事があるが、多少会話が変わる以外の影響が無い。 ---世界樹シリーズにおいてEDに関わる超重要な選択肢や、明確な正解が設定されている依頼の選択肢などを除けば、ストーリー中にプレイヤーが行う返答は「主人公達はどのようなキャラなのか?」((他人の頼みは何でも二つ返事で引き受けてしまうお人好しだったり、誰に対してもそっけなく応対する無愛想な性格だったり))というゲームに没頭し易くする為の所謂フレーバーの為でしかない。これに関しては世界樹シリーズの仕様そのままなので、本作の問題点ではなく世界樹シリーズの賛否両論点というべきである。 --悪役についても、はっきりと敵対したかと思えば勝ち目が無いと判断した直後に取って付けたように改心したような台詞を述べるため威厳が感じられない。さらにプレイヤーがこの悪役を寛大に見逃す事を強制される流れになるので楽しいものではない。 --なおテキストのノリが「ポケモン不思議のダンジョンっぽい」という意見が多いがそれもそのはず今回のシナリオライターは『風来のシレンシリーズ』や『ポケダンシリーズ』のシナリオを手がける冨江慎一郎氏である。過去作では問題なかっただけにどうしてこうなったと言わざるをえない。 -NPCの扱いが雑。 --酒場店主とギルド長の立ち絵がただの''色違い''。見る機会が最も多いNPCの一人をコンパチにするという手抜きぶりは、双子の兄弟(ギルド長が兄)だからで済ませられたものではない。 --他の冒険者の立ち絵は基本的にプレイヤー側の''流用''。プレイヤーが登録したキャラと全く同じ姿のNPCが会話してくる確率は低くない。 --女パイレーツだけ立ち絵が新規、新規参戦であるケンカクの姿が見当たらないのにガンナーは二人登場する、立ち絵で出てくるNPCに無名のキャラが混ざっている、立ち絵が無い台詞だけのモブも会話に混ざる等、統一感も無い。 --冒険者達の扱いもプレイヤーがダンジョンの奥に辿り着いた時に既にボスにやられている等''かませ''同然((それでも依頼で登場する「歩け、大工!と揶揄されるアルケダイクさん」などよりは余程マシなのが笑えない。))。 ---このためデザインを流用しているにもかかわらず、実際に共闘が行えるシーンはごく一部に限られる。この点は勿体ない所。 --とどめに各施設でNPCの話を聞ける機能が削除されたため、本作のNPCの設定の薄さはシリーズ随一。思い入れの持ちようがない。 ---ごく一部の依頼で登場する他は数パターンの会話しか無かった初代SQのNPCの方が情報が多いと言えば分かるだろうか。 ---酒場の娘のムッコランなど立ち絵が好評なNPCもいたのだが、本当に立ち絵だけしか語る物が残らなければどうしようもない。 --ダンジョンをうろついているNPCのしゃべり方も男女共に前作よりバリエーションが少なく、テキストもメインストーリー同様寒い。 ---ダンジョンの店主もグラフィックは固有のものだが前作とは違い名無しになっている。また多少ストーリーに顔を出した前作と違い、本作では本編と一切関係が無い。さらにBGMが前作の流用のため、ダークな雰囲気の店主に楽し気なワルツが噛み合わない。 #region(少しネタバレ) -魔族と敵対している精霊族という異種族が登場するが、彼らの立ち絵さえも''プレイヤーキャラの流用''である。 --当然、本家シリーズではこういったケースにおいて別の立ち絵が用意されていた。人間でないのだから当たり前である。 --会話に出てくる精霊族の里もゲーム中に登場しないし、種族独自の技も立ち絵の会話イベントで処理されるため、ゲーム中ではプレイヤー達と同じような性能でしかない。 --人前で正体を明かす事が禁じられている割に、クリア後のイベントで堂々と顔を出して依頼を頼みに来る。設定が悪い意味でいい加減。 --過去作品で馴染みのある、場合によっては本作でパーティ入りさせているキャラの立ち絵を勝手に設定上異種族にされたプレイヤーのやるせなさは言うまでもない。 #endregion -設定と仕様に違和感がある。 --中盤に「ここからは他のギルドが建てた足掛かりとなる砦も無い未知のダンジョンだ」と言われるが、それまでのダンジョンにも最初から砦が建設されていた事など一度もない。 --DOEが地上に出ると全滅扱いなのに、船でダンジョンへ向かう必要がある程にダンジョンと街との物理的な距離があるのも相変わらず。 --何の前触れやイベントどころか一言の会話すらなくサブクラスが解禁されるのは最早細事か。 -こうしてSQあるいは前作の雰囲気への期待や、プレイヤーが各職業の立ち絵に込めた思い出さえも壊されてしまうことになる。 --前作と比べても雰囲気が一変して薄い文章となった上で説明不足が目立ち、それでいて相変わらず設定倒れのままと全体的に悪化している。 --見知った立ち絵で気が削がれる話が繰り広げられるのは致命的であり、言葉を選ばず言えば出来の悪い二次創作を読まされている気分になる。 --擁護しておくと、冒険を終えた後に温泉旅館で休息する等の雰囲気作り、ダンジョンの途中でミニイベントが挟まる点、世界樹に辿り着くためのトリックの真相等、評価点自体はある。 ''前作の課題点は殆どが未解決'' -前作でプレイの妨げとなった数多くの問題点は上記の改善点を除き基本的に手付かずである。詳細は前作の記事を参照。 -相変わらず頭の悪いAI。前述の通り改善点は見られるが、煩わしさに悩まされる事は変わりない。 --とにかく突っ込むせいでチュートリアルの「素振りして待てば先制攻撃が出来る」をAIが実践出来ていない。 --敵の種類によって行動パターンを変えることもない。カースメーカーはDOEに状態異常を決めてバリアを剥がすという仕事を放棄しがち。 --結晶床を同じキャラが10歩以上連続で踏むとTP回復値にボーナスが付く仕様上、AIに結晶床を踏んで欲しくないケースもしばしば。 --通路でAIが勝手に並び方を変える事があり、しかも後衛職を敵の矢面に立たせたり細かい並び替えが不可能になったりと逆効果でしかない。 --AIの細かな挙動を設定出来るようにしてほしかったという希望は少なくなかったが、結局叶わずじまい。 --AIに指示出来る号令に必要なブラストゲージは人数が多いほど溜まりにくいので尚更不便が目立つ。 -リーダーが状態異常になった際に治るまで操作不能になる。 --その対策となる筈の仲間への割り込み指示の仕様が全く改善されておらず、死にシステムなのも相変わらず。 -ちぐはぐなダンジョン周りの仕様。 --8人防衛戦や倉庫砦などの死にシステム、経験値が種類毎に一定なので敵が強化されるにつれ釣り合わなくなる、出現するモンスターがずっと同じ、泥棒する程ダンジョン店の品ぞろえが魅力的でない等。 --倉庫砦にはダンジョン内にアイテムを置いておける機能があるが、置いた場所に階段が出来た場合に置いたアイテムが消失するバグがある。 --長い一本道の先に生成される行き止まり、DOEがダンジョンに出現しなくなる現象(通称・枯れる)など、前作で大顰蹙を買った仕様すら改善されていない。 -ダンジョン毎の差異が無い事による水増し感。 --一応「呪いの洞窟」という呪われた装備を投擲すると即死効果が付くダンジョンがあるが、おあつらえ向きな呪われたアイテムを投擲してくる敵は登場せず、DOEには結局即死は無効、とイマイチ個性が薄い。特殊なダンジョンも結局これしかない。 -マップの生成パターンが規則的なので下り階段の位置が推測出来てしまう。 -FP周りの仕様の問題や違和感。 --ダンジョン内で入手可能な食糧が大小2種類のパンだけで、『シレン』の「草」にあたる飲み薬にもFP回復効果が付かないまま。 --それでいて無料で貰える弁当は4つに増加。持ち込み可能な通常ダンジョンでは増々FPが飾りになった。 --一方で結晶床の仕様変更によりほぼ食料でしかFPを稼げなくなったため、リセットダンジョンの少人数プレイでは前以上に運次第で飢餓に悩まされる。 --リーダーは負担が大きいので一人だけ腹が減るという設定なのに人数が多くてもFPの減少量が同じな結果、人数が多い方が食料不足に悩みにくい、という違和感は相変わらず。 -基本的に命中率が低い。終盤になるにつれて目に見えて当たり辛くなる。 --AGIに関する補正の設定をミスしたのではないかと推測されている。 --各種状態異常で必中に出来ないのも相変わらず。導入すれば明確な対策になったのだが……。 -睡眠が強すぎる。 --行動不能かつ殴っても解除されないため、毒以外の状態異常の上位置換と言って差し支えない。 --さらに何故かDOEが共通して持っていた睡眠耐性が削除されてしまった。 -毒ダメージで倒れた敵や自爆した敵から経験値が貰えない。 --毒ダメージが有効な敵が実際に存在し、またAIは敵の自爆条件を考慮せずに刺激してしまうので尚更気になる。 -ゲームのテンポが悪い。 --露骨に処理落ちする。少人数では問題無いが、4人パーティで通路をダッシュすると処理落ちが良く分かる。 ---お宝フロアでは確実に処理落ちする上、通常フロアで常に処理落ちしているとモンスターハウスがあると分かってしまう。 --単純に動くキャラの数が多い上、効果を一個ずつ表示する等スキル毎に掛かる時間が長く、見ている時間が長い。 --本作の新技の中では、地面を揺らして部屋のメンバーを打ち上げて移動させる敵のスキルのテンポが悪い。着地→倒れる→起き上がる、を人数分繰り返す。 --リーダーの画面外での攻防は一瞬で処理される、攻撃の号令等は効果をまとめて表示してくれる等、これらの問題に付随する技術的な問題や拘りも無いので尚更気になってしまう。 ''鍛冶バグの存在'' --装備中の武器や盾に鍛冶を行うと、''キャラの攻撃力が永続的に増減してしまうバグ''が存在する。 ---攻撃力の値は本来はキャラのSTRと武具の攻撃力及び鍛冶枠のSTRやATKを合算したものが表示され、装備を全て外せばキャラのSTRと同じ値になるが、バグが起きたキャラクターは装備を外した状態でもSTRと表示される攻撃力が異なってしまう。 ---Lv1のキャラに一、二回攻撃力減少バグを起こすと攻撃力の表示は0だが処理上はマイナスになり、ゲームの再起動後に999になってしまう。 ---ただしレベルアップにより実数値がプラスになった後で再起動すると戻ってしまう、リセットダンジョンでは値が修正される、そもそも999という数値でもクリア後ダンジョンの無双には程遠い((クリア後ダンジョンを攻略するパーティは攻撃力が軽く500程度に到達するため、スケールで言えば精々2倍でしかない。))、と悪用出来る場面が限られるのが救いか。 ---勿論、攻撃力増加バグに関しては言うまでもない。前作に引き続きバグで宝典集めの意義が消滅してしまっているのはいかがなものか。 ---攻撃力に留まらず、ステータスの変化は見られないにも拘わらず受けるダメージが永続的に増加したとの報告もある。 ---攻撃力に関してはバグを逆に起こす事で増減値を戻せるものの0に出来るとは限らず、耐性面ともなればバグの発生の有無すら確認が難しい。 ---装備から外した状態での鍛冶を徹底すれば回避出来るが、この仕様が判明した時点で既にバグが発生していたプレイヤーは多く、完治させる方法も見つかっていない。自分のキャラが信じられなくなるという点では深刻。 --現在のレベルや装備等からステータスや耐性を計算せず、逐一キャラクター自体に上書き処理を行っているせいで発生したという意味では前作と同じ失敗と言える。 ''ステータスの扱いの格差'' -TECが回復スキルの回復量に関与しない。属性攻撃で受けるダメージにも関与しない。 --ソードマン等の前衛職でもTPがさほど低くなく、またTP回復薬のアムリタが安価で持ち込み可能なため、問題無くサブクラスで回復役を任せられてしまう。 --属性攻撃を使わない職業のTECは飾りになってしまう。 -LUCが影響しそうな状態異常付与率やランダム要素がLUCに無関係な事が検証で明らかになった。 --武器に鍛冶で付与した追加効果の成功率には影響があるが、スキルで状態異常を与える職業にとってLUCが不要となってしまった。 --TEC同様、TP以外は前衛職でも問題無く補助役が務まってしまう。 -VITの影響が大きい。物理攻撃に限らず属性攻撃で受けるダメージにも影響し、また少しの値の差異が大きく影響する。 --キャラのSTRやTEC・武器の攻撃力は平然と200~300になる一方、VITや防具の防御力はLv99・最高級防具でも70前後。『シレン』式のダメージ計算では防御力1あたりの影響が大きいゆえの調整だろうが、''並んだステータスのスケール感が統一されていない''のはいかがなものか。 ---VIT特化職のパラディンですら、VITよりも他のステータスのほうが高い。シリーズ経験者にとっては非常に違和感が強い。 --結果、装備品や鍛冶で同じ値だけ伸ばすなら重要性はVITが圧倒的である。 -過去作品の感覚と過不足の無い仕様で扱えるのはHP、TP、AGI、STR位しかない。 --AGIについては、リーダーはターンの最初に行動出来る点、AIとの連携が取り辛い点、命中率のカバーにはHIT鍛冶や必中技など他の手段の方が有効、などの理由により本家ほどの重要性は無い。 --STRに関しても、クリア後には敵ステータスのインフレのため、即死鍛冶を付けた通常攻撃で即死させるのが一番手っ取り早いという有様。 --クリア後ダンジョンに鍵を持ち込む事でステータスを上げる宝典が稼げるようになるが、限界を超えたステータスが意義を持つ程に強いボスも存在せず、自己満足の領域。鍛冶バグの存在も白ける所。 ''素材関連の杜撰な設定'' -大半の条件ドロップが''名前に反して''「雷属性で撃破」になっているという信じられないミスがある。 --具体的には「斬られた前翅」「呪われた後足」といった素材が該当する。「落とさない素材があったらとりあえず雷で倒せ」というアドバイスが有用になる有様。 --それでいて文章通りの条件で落とす素材や、意味深な名前なのに普通にドロップする素材も存在するため、プレイヤーは疑心暗鬼に陥ることに。 ---素材の名称は基本的にシリーズ過去作から流用しており、そちらでは名前通りの条件でドロップするものであった(「切断された角鹿」は「斬属性で撃破」、「封じられた黒爪」は「腕封じ状態にして撃破」など)。これらが名前だけ流用されたために違和感が生じている。後述の図鑑の文章の矛盾と併せて、雑な仕事と言わざるを得ない。 -売却しても商品が販売されない素材が大量に存在する。 --種類が多いドロップ素材や採集素材の殆ど、本作で新規にたくさん追加された採集素材の全て、本編クリア前に出現するDOEの素材の全て、これらが実質''ただの換金アイテム''である。 ---当然ながら過去作では換金しか用途が無い素材は数えるほどしかなく、採集やモンスターから入手する素材はほぼ全てが武具や消費アイテムの販売解禁に結びついていた。特にFOEの素材で作れる武具は概ね優秀であり、FOE打倒に挑戦する意義の一つであった。 --対照的にごく一部の素材が多数の武具の作成に使われるため、重要度の差が歴然としている。配分が悪過ぎる。 --最終装備も大抵は隠しダンジョンの通常モンスターの素材から作れてしまう。しかもシリーズ伝統の強敵、三竜の素材の武具よりも強いものが。 --その一方でクリア後に多数登場する再戦可能なボスの殆どはそもそも素材を落とさない。再戦出来る意味が無い。 --貴重な武具の入手がメリットの薄い苦行だった前作、そもそも貴重な武具を殆ど売り出さなくなった本作と、もう少しまともな調整は出来なかったのだろうか。 -以上の要因による弊害は無意味な素材の大量追加による水増しに留まらず、条件ドロップ獲得への試行錯誤の過程が否定され、本編攻略上でDOEを撃破するメリットが消滅し、素材を売った際のワクワク感の無さがシリーズ随一となる惨事を引き起こした。 ''矛盾だらけの説明文'' -モンスター図鑑の解説文にシリーズ過去作のものをそのまま流用しているものが多い。 --条件ドロップを示唆した文章も当然そのままで、前述の条件ドロップのミスリードに拍車を掛けている。 --本作で新規に書かれた文章も「スキルを封じないと倒すことは難しい」などとメタな説明で世界観を壊してくる。そしてその文章を流用。 ---この点、ゲームシステム中の用語をそのまま使わないように徹底されていた本家とは雲泥の差である。 -武具の説明文と必要素材がまるで噛み合わない。 --例えば「獣の角から作る」と書かれた武器に必要な素材が虫の殻と動物の皮であるなど、数えきれないほどの矛盾がある。必要素材が変更されたのに出典の文章をコピペしているのが原因。 --素材と対応する商品の種類と説明文を絡めて雰囲気作りのフレーバーとする拘りは世界樹シリーズの定番だっただけにかなり残念。そうでなくともやっつけ仕事である。 -スキルの効果が説明文と食い違う。 --「状態異常を確実に付与する(ただし敵に耐性が無いという前提)」「部屋のメンバーを回復する(実際は周囲3マスまで)」「敵を倒すと効果がある(隣接している時のみ)」「物理防御ブースト(仕様上属性攻撃も軽減出来る)」など。 ---バグが少なからずあったりプレイヤー側の意欲的な検証が求められたりするのは世界樹シリーズには珍しくないが、本作では不親切を通り越した説明ミスも散見される。 ''各職業の作り込みが甘い'' -ガンナーが弱い。 --前作では銃による遠距離攻撃が可能というメリットによりステータスの低さをカバーしていた職業であり、それでいて本作でもステータスのテコ入れがされなかった結果、当然ステータスで勝る他の職業のサブクラスにガンナーを付けた方が強いという事態になり、''ガンナーをメインクラスに据える意義が存在しない''とさえ言われた。 --出身作で非戦闘員で本作でも援護要因であるファーマーあるいは後衛専門の術師職のサブガンナーにすら攻撃性能で劣ると言えば、そのステータスの貧弱さが伝わるだろうか。 --追い打ちのように職業間で異なるレベルアップの速度も遅い、腹持ちは前作から悪化して最低クラス、後述のように専用ブラストスキルが死に技など逆の意味で隙が無い。 -ステータスの設定がおかしい。 --シノビより速いパイレーツ、妨害専門なのに属性攻撃職よりTECが高いカースメーカー、殴りスキルがあるのにSTRが底辺レベルのメディックなど、経験者ほど違和感が残る。 --何故かレベル帯による成長曲線がある。特にアルケミストは要となるTECが晩成型で、中盤ではフーライ等の前衛職にすら劣るという意味不明な調整のため、クリア後まで不遇とされる。勿論リセットダンジョンにも不向き。 --ステータスだけで言えばほぼ上位置換にある職業の関係も前述を含めいくつかある。サブクラスでもスキルを十全に使用出来るため影響が大きい。 ---具体的にはケンカク<ソードマン、ルーンマスター<カースメーカー、ガンナー<パイレーツ等で、いずれも一つ以外は全て上回る。 --中でもソードマンは前述の理由により飾りであるTECとLUC以外が全て高水準、STRはトップクラス、本家では底辺クラスだったTPすら平均以上なため、前衛としては満場一致で最強候補という扱い。何かがおかしい。 ---ソードマンがパッシブスキルを取ると攻撃力でも攻撃特化の筈のケンカクを上回ってしまい、劣るのはLUCだけという状態に。 -本家にあった、メインクラスでのみ取得可能な〇〇の心得系のスキルが削除された。 --ちなみに前作には同名のスキルが存在した。サブクラスが導入された本作にこそ必要だったのではないだろうか。 --それでいてダンサーの「フロアに敵がいるとたまに倍速状態になる」性質はメインクラス限定。当然の様に強い職業として扱われている。 -スキル同士を組み合わせ辛い。 --パッシブスキルが少なく、ステータスを底上げする各種ブーストスキルですらごく一部の職業しか持っていない。 --装備武器依存のスキルが多く、9割以上を占めるクラスが4つ程ある。 --サブクラスの方が使いこなせるスキルはともかく、メインクラスでの運用が難しいスキルがあるのも問題点。 --ケンカクは二刀流だと一刀流のスキルが使えないのに一刀流と盾は併用可能(つまり一刀流が両手持ち扱いという訳でもない)、シノビの刀が不要に見えるスキルが刀専用など、余計な制限が目立つ。 --細かい所では、プリンセスのとあるパッシブスキルを習得していると一部職業のチャージ動作があるスキルが不発に終わるというバグも存在。 --結果として、スキルポイントが少ないためやりくりが厳しそうに見えて、実際は選択肢が限られるという事も。 -一部の武器種が弱い。 --拳装備では両手を使うために性能の高い盾が持てないにもかかわらず、ガンソドや二刀流のような攻撃性能も持たない。そもそも刀に攻撃力で劣る。 --槌は攻撃力がイマイチで空きスロットも少なく、鍛冶で攻撃力に特化した杖にすら攻撃力で劣りかねないほど弱い。ちなみにこれは前作と同じ。 -誰がどう見ても死んでいるスキルが存在する。 --ソードマンのリンクスキルはあらゆる攻撃に追加ダメージが発生するようになる状態異常という扱いであり、DOEやボスには効き辛い。攻撃技なので本作の命中率の低さも響く。 ---リンクの追撃ダメージを伸ばすパッシブスキルが、リンクスキル使用者でなく追撃したキャラが所持していないと発揮されないという嘘のような仕様があり、真価を発揮するために専用パーティが要る。 ---そもそもボスのHPが低い傾向にあるため、お膳立てに成功してもその火力を発揮しきる前に倒せてしまう。大型モンスター特攻の攻撃スキルで最初からガンガン殴った方が早くて確実。 ---しかも何故か威力がTEC依存になっており、本職を含む剣・突剣装備の前衛では使い辛い。一部サブで雑魚戦の属性攻撃として用いるのがやっとで、リンク特化職の居場所が無い。 --フーライの一部スキルが物理攻撃ツリーの最後にあるのにTEC依存、しかも高いコストに威力と攻撃範囲が見合わないと散々たる性能。 --前述の通り倍速化はメインダンサーのみの特権にもかかわらず倍速化する確率を上げるパッシブスキルが存在し、当然サブで取っても何の意味も持たない。倍速化するようになる効果を持たせてもよかったのではないだろうか。 -各職業専用のブラストスキルの格差が大きい。 --効果がランダムな上にデメリットも混じるパイレーツ、たった一体しか無力化出来ないガンナー、部屋対象攻撃だが威力が通常攻撃より弱いケンカク((無属性攻撃のためか威力がTEC依存なのにケンカクはTECが全職中最低。そもそもケンカクは高威力かつ即死効果のある部屋全体攻撃スキルが自前で使え、こちらは勿論STR依存。))等の死にっぷりが深刻。 --他の職業のブラストスキルならば部屋中の敵全員を対象とした大ダメージ攻撃や無力化、あるいはパーティ全員の大幅な強化が行えるため、比べるまでもない。 -総じて、サブクラスが初めて導入されたSQ3よりも調整が甘いと言わざるを得ない。 --「考えている時が一番楽しい。実際に試すと仕様に裏切られる」とはプレイヤーの言。 --上記の問題点の多くはサブクラスがあることによるものなので、サブクラスがあること前提で職業構成がなされていないということである。 ''クリア後の徹底した水増し'' #region(ややネタバレ注意) -クリア直後に挑めるダンジョンのボスがラスボスの色違い。 --説明文を読む限りラスボスと同等の脅威のように思えるが、NPCの反応は一切無い。ここでも設定倒れ。 -かつてのボスから「何故か自分の分身が出現したので倒しておいてほしい」と手紙が届くという意味不明なシチュエーション。 --これならまだ本人がリベンジしに来た方がマシに思える。勿論ボス戦は使いまわし。 --そして撃破後に特に連絡は来ない。分身した原因等も一切判明しない。色々と放り投げすぎである。 -以前のダンジョンから再登場するモンスターの割合がどんどん増えていき、新鮮味が薄れる。 --中でも厄介な雑魚の代表格であるライデンジュウはクリア後ダンジョンの殆どに顔を見せる程。 -途中からダンジョンの雰囲気が過去作を含むそれまでのダンジョンのランダムな使いまわしで構成されるようになる。当然のように突入時の一枚絵も存在しない。 -クリア後からしばらくダンジョン攻略を進めていくと、モンスター図鑑のボスの項目の最後が早い段階で埋まる。ストーリー中のボスの間に不自然な空白が残っているのと合わさり、「残りのダンジョンにはもう使いまわしかコンパチのボスしかいないんだな」と推測出来てしまい、実際にその通りになる。最後の最後のボスですらストーリーの道中ボスの使いまわしとはいかがなものか。 --裏ボスに当たる強敵がこのコンパチボスラッシュの手前で既に登場してしまっている事も蛇足っぷりを加速させる。 --前作のボスを全てリストラした上で水増しをするという選択は理解に苦しむ。 #endregion ''リセットダンジョンの作り込みの甘さ'' -敵のバランス面に関して。 --1Fに初期装備での殴り合いでは太刀打ちできない程の強さの敵が登場するため、開幕が運ゲーと呼ばれる始末。別な意味でリセットダンジョンと化している。 ---職業次第で倒す手段はあるものの、その特定の職業を入れなければ運ゲーを強いられる事実に変わりはない。 --前述の「ランダム対象多段スキルが集中して出合い頭に即死」がここでも襲い掛かる。これは対象が前衛なのでまだマシで、「出合い頭の貫通突進攻撃で後衛がまとめて即死」も十分にあり得る。 ---十分な耐久力を確保出来ていない場合は通路の高速移動すらリスクが伴ってしまう。 --モンスターが強化される旨のメッセージの表示が無く、より深い階層で以前と同じ種類のモンスターに出会っても強さを測り間違えやすい。 --容赦なく即死攻撃持ちの敵が出現する。というかリセダン限定の敵が即死攻撃持ち。 --経験値がモンスターの強さと割に合わない。 ---持ち込みありダンジョンと登場順(≒強さ)が異なるのに経験値がそのまま。深層での強化も経験値に反映されない。 --最長にして最難関である99Fダンジョンの終盤は苛烈を極め、十分に装備とレベルを整えた後衛が即死しかねない威力の範囲攻撃を持つ敵が大量に出現する。 ---いくら即降り推奨としても数値調整を放り投げ過ぎである。 -一度出会ったDOEから逃げられない。 --3つある内の最初のリセットダンジョンだけはDOEが出現するのだが、同じ階層で遭遇した後は階段の上り下りに着いて来る仕様上、一度出会ったら倒さない限り延々とDOEに追い回され続ける。そしてアリの巣構造の先を見通せないためにDOEとの接触を完全に避ける事は不可能。 -武具に関する問題。 --剣が多く手に入る一方で銃、刀、盾がとにかく出辛い。数十階降り続けて1個手に入れば御の字というレベルで、ある程度強い物となると滅多に出ない。 ---職業によって使える武器の種類は限られているのに、パーティ編成に依らず出現率も変わらないので、余計に出にくく感じる。 --リセットダンジョン内での鍛冶が不可能で武具の空きスロットを埋められない問題もそのまま。 ---せっかく鍛冶に必要な素材を採集素材に一本化したのなら、リセットダンジョン内でも採集スキルに意義を持たせられたと思うのだが……。 --逆に二刀流や盾装備の有用性が薄れ、拳装備が普通に頼りになる等、持ち込みダンジョンと違った活躍の場が与えられているとも言える。 -道具に関する問題。 --ブラストスキルで所持品の呪いを全て解除しても呪いの有無を示す「?」表記はそのままなため、後から同じ種類のアイテムを手に入れた際にお祓い済みかの区別が付かなくなる。 --使用対象を選ぶ系統の巻物を読む前に「読む」のボタンが灰色になっている事があり、押すと「呪われているので読めない」と表示されるため、判別も使用もしていないのに呪われていると分かってしまう。 --最下層にある宝物庫から宝箱を得るための鍵の入手も運次第。眼前の報酬をむざむざ逃す事で踏破の喜びに水を差されて誰が楽しいのか。 -容赦無く行き止まりが生成される誰得仕様も相変わらずで、十階以上の逆走を強いられる事態が平然と起こる。 --先を見通せないアリの巣構造の都合上、対策は無い。実質的な深さはランダム生成のご機嫌次第と割り切るしか無い。 --二度目以降に訪れるフロアは結晶床やアイテムが全て消滅する上に敵が少ないため、落ちているパンからのFPや交戦でのブラストゲージも得られず、ソロプレイでは餓死に直結しかねない。 -SPに関するバグ。 --前述の通りSP床を踏む事でスキルポイントを入手出来るのだが、現在のレベルと比べて多すぎるスキルポイントがレベルアップで減ってしまうバグが存在する。 --スキルポイントを溜めておき、一定のレベルに達すると解禁されるスキルに多く振りたい場合に影響が出てしまう。 -ローグライクでは運も実力の内とは言うものの、その言葉ではカバーしきれない作り込みの甘さがあるのもまた事実。 --テンポの悪さも合わさり挑戦に掛かる時間は本家ふしダンより格段に長く、「運が悪かったのは仕方ないから次は上手くやろう」と思わせるには至っていない。 ''その他問題点'' -UIが悪い。 --状態変化(効果を発揮しているバフデバフを示す)を見るまでに項目選択を3回経由する手間が掛かる。シリーズを通じて肝となる要素だけに煩わしい。 --ページ送りが上下とstartの同時押しで使い辛い。使用頻度が高いのに気軽に押せない配置になっている。 --ギルドの冒険者の並びが登録順でなく職業順で、並び替えも出来ない。後から冒険者を追加すると強さがバラバラに並んでしまう。 --B+Yでメッセージ閲覧するにはBから押す必要がある等、ショートカットで同時押しする際の押す順番が決まっている。単発では動作しないボタンでもこの仕様になっており、慣れないと戸惑う。 --攻撃力が上昇する防具の場合、防御力と攻撃力の数値が交互に点滅して表示される。一定時間待機しないと確認出来ないため不便。 --文字入力の際に漢字が予め用意された100種類程度からしか使用出来ない。本家では新世界樹の時点で変換機能は搭載されている。 -防具に武器のものと同じ属性付与の鍛冶効果が付いている事があるが、何の意味も無い。 --また、行動キャンセル耐性、武具外し耐性、爆破耐性などのアクセサリーが役に立つシチュエーションが限定的過ぎる。 -DOEが結晶スポットに向かって移動し、結晶を食べてマップ上で凶暴化するようになった。これ自体は新要素に伴う変更点でしかないが…… --DOEが一つのフロアに集まり過ぎるとフリーズする現象が前作と比べて現実的な確率で起こるようになった。4体集まると確実に止まる。 --DOEがプレイヤーと接触する機会が減ったため、時間経過により次々と自然消滅してしまい、DOEが枯れてしまう速度が相対的に早くなった。特にクリア後のフロア数が多く深いダンジョンで顕著。 ---そもそも砦でDOEを防ぐというゲームデザインにもかかわらず自然消滅する、DOEが枯れるといった仕様がそのままなのがおかしいのだが。 -モンスターの登場順に違和感がある。 --色違いのモンスターのうち過去作で上位種だった方が先に登場する事がしばしばあり、経験者ほど印象とのズレが生じる。 ---単に使用技が違うといった差ではなく、ボールアニマルとアーマービーストといった配色や外見、ドロップする素材の名前で明らかに格付けが意識されているモンスター間で起こっている。 ---本家では通常モンスターとFOEの命名に傾向を持たせて強敵感を演出していた事をスタッフが理解していなかったのではないかとさえ思えてしまう。 --あの赤獅子が単なる序盤の雑魚に成り下がっている。出身作では通常モンスター中最強を誇り、前作では店で泥棒した時に登場するという破格の扱いを受けていただけに、この没落ぶりには違和感が強い。 ---同じ名前の敵でも作品ごとに強さが異なるというケース自体は世界樹シリーズでは珍しくなく、ある作品で地味だった雑魚が後の作品で凶悪な難敵に変貌するパターンも存在する。当ケースはその逆パターンによるサプライズを狙っている可能性も考えられるが、結局のところプレイヤーにとっては驚きよりも違和感が勝る結果となった。 --図鑑にクリア後ダンジョンのDOEが序盤のDOEに挟まれて2番目に載っているという妙な配置がある。 --それでいて強い違和感を抱かせる事に付随する意味が特に無いため、良い印象が持てない。 -発売から約一年が経過している[[SQ5>世界樹の迷宮V 長き神話の果て]]の職業やモンスターが登場しない。 --ちなみに出身作の武器は一部が採用されており、その説明文に前述の通りSQ5のモンスターの情報がコピペされているので世界観が異なるという言い訳も通じない。 -お金のバランスが極端。 --消費するお金のスケールの伸びが非常に緩やかであり、一度余り出したら足りなくなる事はまずない。 ---料理も最初こそ高めに感じるが最後までさほど値段が変わらず、印石の合成に掛かる価格は個数に依らずまとめて一律800enのまま。TP回復薬のアムリタが個数無制限で75enなのを筆頭に前述の世界樹の葉が250en、睡眠の巻物はダンジョン内の店限定とはいえたった40enなど値段設定が道具の価値と対応していない。 ---初期に売り出される武具こそ1000en台と高いが値段の上昇する幅が何故かどんどん緩くなっていき、最高でも9999enしかない。刀に至っては7割近くの種類が9000en台という適当極まりない設定。 ---入手する金額のスケールの伸びも本家より緩やかなのだが、それにしても価格の上限を付けた意味はあったのだろうか。 ---これらは前作とも共通だが、前作での大きなお金の使い所だった街の発展要素がお金を使わないクエストに変更されたのも大きい。 --逆にリセットダンジョンでは武具のプラス値の合成と印石合成のために金欠に悩まされることも。 -サブクラスはレベル20以上でないと活用できないため、リセットダンジョンに新しい冒険者を登録してすぐにサブクラスを付けて挑む事が出来ない。 --普通のダンジョンとは異なるパーティを組む事が求められるため、不便である。 --あらかじめ登録だけしておけば一部の経験値が入ってくるので用意は可能。 -図鑑コンプリートが難しい。 --特にリセットダンジョン限定のDOEと巻物に関しては祈るしかなく、かなりの試行回数を要する。デメリット効果の巻物を求めて延々とリセダンを彷徨う事に……。 --モンスター図鑑のドロップする素材の項は入手していなくても一度倒せば全て記録されてしまうので、どのモンスターの素材が未入手かは宿でアイテム一覧を''外部の攻略情報と照らし合わせないと確認出来ない''。 ---この点、スキルで未知の敵の情報だけを得ても戦闘後にリセットされるよう配慮されたSQ5どころか、特に工夫の無いSQ1等よりも悪化している。 --これでも素材を全てドロップさせる消耗品があるため前作よりはマシだが、リセットダンジョンはどうしようもない。 -武具のデザインは前述の通り概ね評価点ではあるのだが、ダイコンと揶揄される世界樹の剣、まんま丸太な世界樹の戦槌、三竜の頭部を模したためお楽しみ武器寄りのキャラクターグッズに見える三竜の武器など、最強格の武器に格好悪いデザインが集中している。 -DLCクエストの敵「ニジプーカ」のドロップ素材から購入可能な筈のレベル上げ用アイテムが設定ミスで店に売り出されない。前作に引き続きあんまりである。 --同様に、購入に必要な素材が図鑑で確認出来るが店で売り出されない道具が何個か存在する。 -ギルドカードの保存枚数が20枚までと前作の40枚より半減している。 ---- **総評 フルプライスどころか商品としての最低限の作り込みすらなされなかった手抜き作品。~ プレイヤーが抱いた疑問は全て「仕様。制作側が何も考えていなかった」で返され、数々の期待は漏れなく悪い意味で裏切られる。~ ストーリーの主題は王道と言うより積極的にどんでん返しを狙ったものであるが前作のほうがマシだと感じるほどテキストの質は悪く、むしろ作中のあらゆる説明文が信じられない完成度の低さの方が体現しているという皮肉な結果になってしまった。~ ふしダンと世界樹の相性の悪さに対する新たな解答を示せず、本家はおろか前作を含む過去作品の反省を殆ど生かしていない点も落胆する所。~ 一方でゲーム性は粗過ぎた前作から進歩しており、味方を押す操作の追加による選択肢の増加、~ 新モンスターに伴う難易度の上昇、サブクラスによる可能性の広がり、そして待望のリセットダンジョンと、~ 長時間ハマってしまう要素はあるが、それも前述の数多の欠点を全て許容出来るという前提が付く。~ その上で真面目にやりこもうとした分だけ作りの雑さが次々と分かってしまう、正に罠ダンジョンのような作品。~ //「正に腐食されたダンジョン」って書こうとしたけど直球ネタバレなので流石に自重 ---- **余談 -発売二か月後に修正パッチが配布された。 --放置された前作よりはありがたいが対応は早いとは言えず、また問題点はパッチだけで改善するような量では収まっていなかったというのが正直な所。 --主に前述の鍛冶バグやDOEの集合によるフリーズ、スキル説明文の誤植に手が加えられた。 --しかし鍛冶バグがこれ以上起きなくなるだけで既に発生済みのバグが修正される訳でなく、むしろ永遠に直せなくなってしまう。根本的な解決は出来なかった模様。 -前作に引き続き、発売一か月前に「M.S.S Project」による実況プレイ動画がニコニコ動画に投稿された。 --揃って前作経験者かつ然程バランスが悪くないパーティ構成だったにもかかわらず、前述のチュートリアルのボス戦では長考の末にあわや全滅という所まで苦戦していた。動画的には盛り上がる展開かもしれないが、発売前から調整不足を露呈したともいえる。 -先着購入特典はシリーズ10周年楽曲人気投票で選ばれた30曲を収録したベストアルバム。 -初回生産限定版の限定デザインBOXにはシリーズ総集の240Pという大ボリュームのキャラクターアート集が入っている。資料集が発売されなかったSQ5のキャラアートはここが初登場。 --前作及び発売後の悪評もあり、限定版は売れ残った上で発売一か月後には半額以下に値崩れした。通常版も3か月後には通販で2000円を切る有様であり、最早ゲームはCDとアート集のおまけといった扱いである。 -ガンナーは性能面に留まらずストーリー中でも不遇。 --加えて「リセットダンジョンにガンナーを連れ込み、初期装備の銃を他のサブガンナーの職業に渡した後に死んでもらう」という血も涙も無いが有用な戦略が提唱された際、これが「銃を盗まれる、最終的に病院送り」という作中でのイベントと一致し、妙な笑いと悲しみを生んだ。 ---- //タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。) //アトラス,世界樹の迷宮シリーズ,スパイク・チュンソフト,不思議のダンジョン,ローグライク

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: