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#contents ----- *信長の野望 大志 【のぶながのやぼう たいし】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|CENTER:&amazon(B074G2VSY4)&amazon(B074G31LY4)|&amazon(B074G1WHMK)| |対応機種|Nintendo Switch&br()プレイステーション4&br()Windows 7/8.1/10|~|~| |発売・開発元|コーエーテクモゲームス|~|~| |発売日|2017年11月30日|~|~| |定価|通常版 / TREASURE BOX&br()【Switch/PS4】8,800円 / 12,800円&br()【Win】9,800円 / 13,800円(各税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|~| |ポイント|''全ての戦国好きに捧げる、最低の戦国体験''&br()やる気を削ぐ劣悪なUI&br()あらゆる要素がことごとく薄く面倒くさい&br()謀略家&内政家涙目&br()ゆすり外交&br()発売当初と比べ改善されたがクソの域は出ず&br()BGM・一部武将の顔グラは好評|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズ]]''| ----- **概要 『信長の野望』シリーズ第15作目でシリーズ35周年作品。~ 「''全ての戦国好きに捧げる、最高の戦国体験''」をテーマとし、「志システム」を目玉システムとし、各種新要素を取り入れた。~ 発売前には各メディアにて大々的に宣伝をし、実質的な前作『[[創造>信長の野望 創造]]』のパワーアップキット(以下PK)が好評だったため、大きな期待が持たれていたが……。 **特徴 ''志システム'' -本作は各武将に内政、軍事、外交等に対する考え方「志」を持っており、それに従い行動する。その数は50を超える。 --織田信長をはじめ、武田信玄、上杉謙信等有名武将には固有の「志」が存在する。 --志には特性(スキル)が存在し、条件を満たすと追加の特性も獲得できる。 --基本的には前作の政策を発展させたものであり、大名の志に応じて外交や内政、戦闘等に複数の補正が得られるがデメリットも存在する。 ---例えば織田信長の場合は「兵農分離((足軽を安く雇える、農兵を0にすると収入が上がる、農兵の兵糧収入が減るデメリットが存在))」と「楽市楽座((商圏の成長速度が速まる、領内の商圏の影響力が自然上昇するが、独占が出来ない))」が特性となる為、自然と、領内の商圏が発展しやすく、足軽を扱いやすいバランスとなる。 ---補正はかなりの影響を及ぼすため、大名の志によって大きくプレイ感覚は大きく変わる。補正以外にも、合戦に敗北すると配下の忠誠心が下がってしまうといった志を持つ大名もいる。 --CPU担当時のAIの賢さに相当する、「格付け」の補完でもある。基本的に、強い大名武将は格が高く、勢力を拡大しやすいのだが、「守備的な賢さ」は表現し切れていなかった。「格」と「志」を組み合わせることで、その武将の性質をより浮き彫りにすることに成功している。過去作品では「野望」「主戦」などのパラメータや、「天下統一」「地方統一」などの方向性の設定で武将の好戦度を表現していた。両者をベースに、より幅を持たせた発展形といえる。 ---もっとも、後述するゲームシステムの性質上、CPUは軍事系の「志」を持つ大名が、単純に勢力を拡大しやすいのだが。 ''全体の流れ'' -「創造PK」と同様に政略フェイズと進行フェイズに分かれ、政略フェイズで決定した命令を進行フェイズにて実行する。 --前作と同様に条件を満たして惣無事令を発するか、全国を統一する事でクリアとなる。 ''評定と方策'' -季節毎に「評定」が行われ、参加した武将の提案を受け入れる事で4つの「施政力(農業、商業、軍事、論議)」を獲得し、施政力を消費する事で様々なメリットが得られる「方策」を開放していく。 --施政力を消費する事で4つのツリーからを方策を開放していく。農業の方策ならば「指出検地(兵糧収入増加)」、軍事なら「足軽重用(足軽募兵速度上昇)」等 ---方策のツリーは大名の志によって変化する為、代替わりによって大名の志が変わり、実行出来なくなった方策が出た場合は施政力に戻される。 --評定に参加する武将は選べず((方策により、新参を優遇したり、古参を優遇したりする事が可能))、また、発言する施政力の種類もランダムであるため、種類が気に入らなければ一度だけ振りなおす事が可能。 ---武将の能力に応じて施政力の上昇に補正がかかる。「統率」が高ければ「軍議」が、内政が高ければ「農業、商業」が、「知略」が高ければ「論議」が上がりやすくなる。 --また、特定の武将を登用する事で固有の方策を開放する事が可能となる。「佐々成政のさらさら越え」や「山県昌景の赤備え」等が該当。 ''商業'' -今作では主に支配地の「商圏」に「進出」ないし「投資」を行うことで金銭収入を得る。 --これまでのシリーズの内政とは異なり、商人に命令する為、ひと月に決められた回数しか投資ないし進出する事は出来ない。 --地方によっては特殊な商圏(伊勢神宮等)も存在する。特定の商圏は鉄砲等物資も得られる場合がある。 --親善関係(通交条約あるいは同盟関係)にある他国の商圏に進出することも可能。逆に他国が自支配地域の商圏に進出してくる場合もあり、その場合は収入は影響力に応じて変化する。 ---他家を招き入れる事で商圏内で競争が行われる為、商圏の成長速度が速まる。自家だけでは投資できる回数が少ない為、他家を利用するのも重要な手段となる。 ---商圏を独占する事で他家を一方的に締め出すことも可能。当然、独り占めをする以上は外交でも悪印象を持たれる。また、市場競争がないため発展も見込めなくなる。 ---地方のすべての商圏を支配し、一定の規模まで発展させる事で商圏が合併し、「大商圏」へと成長する事が可能であるが、他家が進出していた場合は不可能であるため、大商圏を作る場合は独占するか、他家の影響が及ばない範囲まで領地を広げる必要がある。 ''軍事'' -今までの作品とは異なり、「兵農分離」が肝となっている。農業に従事している民は「農民」として、従事していない民は「流民」として扱われ、農民は「農兵」に、流民は「足軽」として募兵する事が可能。 --農兵は兵糧収入が減る((農兵も兵糧を納めるが、農民ほどではないために納める兵糧が減ってしまうという表現。従軍するため生産性も下がってしまう。))が金銭の維持費がかからず、お手軽に揃える事が可能。ただし、足軽に比べると弱く、戦に不慣れであるため、決戦が長引いたり、不利な状況になると士気が落ちるといった特徴がある。 --足軽は金銭の維持費が必要となるが、戦専門の兵であるため、農兵よりも士気が下がりにくく、有利な状況になると手柄を立てんと士気が上がる。 ---また、農兵と足軽にはそれぞれ強さのレベルが存在し、方策などで上昇する。織田家では足軽が強く、長宗我部家では農兵が強いといった特徴が表現されている。 ''農業'' -今作では開墾や肥料を撒く等リアルに沿ったコマンドが用意されている。 --命令できるのは3、6、9、12月の4回のみとなり、実行には領内の人口から割り出される「労力」を使用する。 --農業を行う事で兵糧収入を増やす事が可能であるが、農地が増えてしまうと流民が農民になってしまうため、足軽を重視する城では開墾ではなく労働を免除する等の状況に則した指示が求められる。 ''外交'' -ベースは「創造PK」と同じで、親善行動により「心証」というポイントを貯め、心証に応じて援軍要請や同盟等が可能となる。 --前作では信用度を消費して同盟等のコマンドを実行していたが、心証は条件を満たしていれば消費せずにコマンドを実行できる。 --これまでの作品では攻め入る国の同盟国の援軍を防ぐためにその国とも同盟を結ぶ事で同盟国の介入を防ぐという常套手段があったが、本作ではそれを行うと不義理な行為とみなされ即座に同盟を破棄されるばかりか盟を軽んじたとして心証が悪化するようになった。 ---この為、前作以上に同盟勢力に気を使わなければあっという間に敵が増える。この他、同盟国が戦をした際に参戦しなかった場合などの不義を働いても心証が悪化するのでどの国とも手を結ぶといった八方美人な外交は通じにくくなった。 --「創造PK」では合戦を仕掛けて断絶状態にさえなっていなければ交渉が可能だったが、本作では様々な要因によって敵視されてしまうと心象の上限値が低くなったり、「交渉を望んでいない」として交渉を持ちかけることが出来なくなり、ハードルが上がった。 --本作では合戦を行うには外交で「宣戦布告」をする必要があり、交戦状態を解除するには相手を滅ぼすか、自分か相手かのどちらかが「講和」を持ちかける必要がある。この際に条件を飲む事で交戦状態を解除する事が可能。 ---自家が不利な状況での講和の場合は大量の物資を要求されたりするが、有利な状態になると逆に相手から臣従や物資を条件に講和を持ちかけられる事がある。一度講和をすると一定期間は同じ勢力に宣戦できなくなる。 ---本作では戦で消費する兵糧が増えた他、戦が長引くと厭戦状態となり、住民感情が悪化するリスクにより戦の長期化が難しくなった為、講和で痛み分けに持ち込む事も重要な要素となる。 ''開発'' -発売当初は存在せず、アップデートにより追加された要素。前作の箱庭内政に相当する。 --武将に命じる事によって領内に施設を設置する事が可能、施設によって収入を増やしたり人口を増やす事が可能となった。 ---特に投資も出来ずに手持ち無沙汰になっている状態で商人街を作って金銭収入を増やす。流民を増やしたいので宿場町を作るといった痒い所に手が届く要素となっている。 --設置した施設は発展を命じる事でレベルアップするが、付近で戦闘が起こった際などに破壊されてしまう事もある。 --『[[天下創世>信長の野望 天下創世]]』で見られた、塾の施設も存在する為、武将を塾で囲んだ領地に配置する事で能力値をあげる事が可能となった。 ''合戦'' -マップ上で味方と敵がぶつかると、「決戦」に突入する。「創造PK」で言う「会戦」であり、各武将を操作して敵軍の壊滅を目指す。 -リアルタイム制だった前作までとは異なり、フェイズ制となった。命令フェイズと進行フェイズを繰り返しつつ戦を行う。 --命令フェイズでは、部隊の移動などの指示を行う。斥侯より敵部隊の位置が判明したり、状況に応じて武将が献策してくることがあり、指示する事で突撃や砲撃といった戦法を行うことが可能。 --進行フェイズでは命令フェイズに従った行動が行われる。リアルタイム制ではないので行動を終えるまで戦況を見守る事となる。 -決戦の勝利条件は、「敵部隊全滅」「敵総大将の壊滅」「戦況ゲージを青一色にする」の三点 --戦の前に軍議が開かれ、武将から提案された「作戦」を決める。「本陣斬り込み((斬り込み部隊が特定の時間までに本陣を見つけると強攻状態となり能力が大きく上がる))」「囮挑発((囮部隊を作り、一定時間ごとに周囲の敵部隊を引き付ける))」「全軍突撃((一定時間一切操作不能になるが、攻撃力が大幅に上がった状態になる))」等の種類があり、作戦によって戦い方が大きく変わる。 ---「釣り野伏」や「車懸り」などの専用の作戦も存在する。 -また、戦場の規模が存在し、決戦を行った場所によっては狭所である為、''ほとんど兵がいない''状態で戦わなければならないこともある。合戦開始後に徐々に合流する形で兵が増えていくが、一歩でも動かすと兵は増えなくなる。 --極端に狭い戦場の場合は数万の兵力を率いていようが数百程度しか参加できず、合流速度も雀の涙であるため、ほぼ増援はないに等しく、互いに同等の兵力で戦う事を強いられる。 --この為、ゲーム終盤に大兵力でごり押す戦法が非常にやりづらくなった。裏を返せば弱小勢力でも対抗することが可能になったとみるべきか。 -部隊ごとに「士気」が存在し、戦闘を続けると減少し、なくなると潰走状態となって操作できなくなるほか、被害が出やすくなり、戦況ゲージの悪化にもつながる。 --これまでのシリーズと異なるのは''優勢であっても戦闘状態が続くと士気が下がっていく''という点。そのため、戦闘が長引けば長引くほど潰走の危険が出る。潰走部隊があればみるみる戦況ゲージが下がっていくため、あと一歩で勝利という場面からひっくり返されることもありうる。~ 戦わなければ回復していくため、士気が下がった場合は安全な場所に逃がす必要がある。 ''言行録'' -前作の戦国伝が形を変えて継承されたもの。条件を満たすことで歴史イベントを発生させるのは同じだが、大きな違いは勢力のイベントではなく武将個人のイベントとなっており、蒲生氏郷や黒田官兵衛等の大名ではない有名武将にもスポットがあてられるようになった。 ---- **問題点 -劣悪なUI --一番の不評点がこれである。そもそもがスマートフォンとの同時発売を前提としていた為、UIもスマートフォン向けに調整されているのだが、それを他機種にまで持ち込んだ事が足枷となっている。 ---もっと言えばスマートフォンに対応と銘打っていながら、肝心のスマートフォン版の出来はPCやコンシューマ未満である。具体的に言うと、PC版を無理矢理スマートフォンに適用させた形となったため、ゲーム用に作られたスマートフォンであっても''決戦はとてつもなく重く下手をすると操作すらできない。''''スリープモードに入るとリセットされる''といった致命的な欠点がある上に、''コーエーは意見をガン無視して根本的なアプデすらしていない'' --極力''文字による表現を排してアイコンで表現''しようとしている節が随所に見られるが、かえってわかりづらさに拍車をかけてしまった。更に各種情報ウィンドウが大きすぎて、視認性が劣悪である。まるで初期の信長の野望シリーズの家庭用移植版のようである。 ---よく使う命令コマンドは文字ではなく''全てがアイコン''であるため、直感的ではない(例えば兜に「+」が重なったアイコンが武将の登用、「-」ならば武将の追放)。さすがに、アイコンにカーソルを合わせれば横にコマンド名が表示される仕様にはなっているが… --それまでのシリーズとは異なり、大名を選んだ後に難易度などの各種設定が表示されない為、シナリオ選択し、大名を選択するといきなりゲームが始まってしまう。 ---各種設定はシナリオ選択時に''目立たない箇所にあるアイコンを選ぶ''ことで呼び出す事が可能。 ---初心者が各種設定に気付かずに中級難易度でゲームを開始してしまったり、チュートリアルを切りそびれて延々と説明を受けるといった不親切な設計になっている。 --また、大名選択は個性を重視した演出なのか、まるで''格闘ゲームのようなUI''となっている。大名の顔グラフィックから選択する形になるので、&bold(){コアなファン以外はどれが目当ての大名かわからない}。一応、地図から選択する形式に切替は可能ではあるが、その切替方法も非常にわかりづらい。 ---同様に合戦の際の部隊の表示もスペースの都合上か、''武将の目の部分だけ''が表示されるので、一見しただけでは誰の部隊かわかりづらい。前作『創造』では武将の顔全体が、前々作『[[天道>信長の野望 天道]]』では武将名が表示されるので改悪点となっている。) --武将を移動させる際に一覧からソートができない。 -意味のない内政 --パラメータを上げたことによる効果は発展した、強くなった&bold(){ような気がする}程度の効果であり、軍備強化してさっさと攻め込んだほうがいい。 ---「[[天翔記>信長の野望 天翔記]]」と似ているように思えるが、あちらは内政自体は重要なコマンドであり、特に民忠は定期的に上げていかないと、内部から崩壊してしまう原因となってしまう。またCPUが非常に好戦的であり、こちらから攻め込まないとあっという間に滅亡してしまうので仕方ないと言える。 ---規模が小さな勢力だと、金がない→内政をする→効果が雀の涙→金が貯まらない→軍備増強できない→そのうち攻め込まれるのパターンに陥り、''もれなく詰む。'' -決戦を回避できない --スキップすることは可能だが、勝敗および兵力の損害の計算は単純に数字だけで判断する模様で、結果敵味方双方とも損害が大きく出てしまう。結局損害を減らすために、決戦をするはめになる。弱小勢力だと尚更。 -朝廷の存在が無意味かつ邪魔 --たまに金銭を要求してきて、その見返りに官位を貰えるが、今作の官位は外交にほとんど影響を及ぼさない。なお、断ると当然の権利のように心証が悪くなる。 -またもやカットされた調略と軍団。 --今作では引き抜きや暗殺等の調略が存在しない。忠誠度が低い武将は自ら出奔していなくなるだけであり、引き抜かれたり寝返ったりはしない。前作の無印と同様に''クリーンな戦国''となっている。 ---よって、過去作で重要な意味を持った「知略」のパラメーターがほぼ無意味なものに。(今作の「知略」は決戦時の部隊の防御力と評定時の施政力の上昇に影響するだけ) --軍団の要素もカットされてしまい、すべての合戦を自分で行う必要がある。 ---宣戦布告して後は軍団に委任といった事は出来ない。 --そもそも前作の時点で調略や軍団をカットしたことによって非難を浴び、PKにて実装されたのだが、再びカットしてしまっては元の木阿弥である。 -操作に統一性がない(CS版) --今作はコマンドの決定/拒否の表記が「はい/いいえ」「YES/NO」等ではなく、「○/×」のアイコンとなっている。PS4版ではなんと決定が''△ボタン''であり、「○」のアイコンを見てついつい○ボタンを押してしまいがち。さすがに拒否は×ボタンだが……。 ---これだけならまだマシなのだが、○ボタンで決定するコマンドも存在しており、操作に統一性が全くない。一応○アイコンの上に小さく△と表記されてはいるが……。 ---Switch版にて決定がXボタンになっているため、そこまで機種間で統一してしまったものと思われる。 -外交 --金品を他国に要求しようとすると、なんと相手から条件として同盟締結を提示される。前作までは同盟を結ぶために金品や人質を渡したりしなければならなかったのだが……。 ---つまり同盟を結びたければ、''相手に金品を要求すればいい。'' --外交可能勢力の制限 ---隣接している勢力としか外交ができない。標的の向こう隣の勢力と共同で攻め込む、つまり「挟み撃ち作戦」をすることができない。 --リアルにしすぎた外交関係 ---特に「同盟国の同盟国」の扱いが非常に厄介。攻め込もうとすると、同盟国の心証だけではなく、無関係の周辺国にも「不義理な奴」と判断され、外交関係が一気に悪化する。 ---また、自勢力が大きくなる等で警戒されると同盟等の交渉が一切不可能になる。なぜ警戒されているのかは明言されず、同盟したくとも出来ないという局面に陥りやすい。 ---大名によっては狙っている城や地方が存在し、そこを支配していた場合は問答無用で敵視されて交渉すらできなくなる。尾張を狙う今川家といった史実の再現にもなりうるのだが、それを回避する為に心証を良くしたところで全く意味が無い。 --同盟の延長は''不可能''。一度結んだ同盟は期限が切れた後に結び直す形になるが、それまでに勢力が拡大する等で相手勢力に警戒されると経緯とは無関係に交渉を拒否されるため、結局戦う羽目になる。 ---前作『創造(無印)』でも発売当初は同じ問題を抱えており、アップデートにより同盟の延長が可能となったが、本作では無印では''同盟の延長が出来ないのは仕様''となり、PKにて実装される事となった。 --革新や天道で存在した「降伏勧告」のコマンドがない。一応、従属という形で従えることによる戦争の終結は可能であるが、徳川家や毛利家と言った有名な家は''何故か絶対に従属しない''ので結局攻め滅ぼさなければいけない。史実で秀吉がやった、従属という形での統一はほぼ不可能 -家宝入手がランダムイベントに --本作では[[家宝を自発的に購入することができず>信長の野望 覇王伝]]、家宝を入手するには献上品として家宝をくれる商人を待つしかない。 --ランダムイベントになったため、家宝のコンプリートが非常に困難となっている。 --他にも家宝を入手する方法は他大名が持っている家宝を交渉で譲ってもらうといった手段もある。 -プレイヤー以外の志の感じにくさ --プレイヤーとなる大名以外はセリフぐらいしか志システムによる変化を感じにくい。 ---志によってCPUのAIが変化するという触れ込みではあるが、それを感じさせる部分が少なく、結局は同じような勢力が同じような速度で勢力を伸ばしていく。 ---CPUの織田信長や大友宗麟のように、志によって商圏の独占を禁止する大名の場合はしっかりと反映されている為、独占を恐れずに通商を持ちかける事が出来るといった程度。 --配下武将にも志が設定されているが特に意味はない。大名ではない一部の有名武将も専用の志を持つが、無理やり大名を隠居させる等をしなければ志を感じられない。 -BGMの種類が少ない --政略フェイズ時のBGMは今作でも勢力の規模の大きさによって変わる仕様だが、特定の大名専用BGMは存在しない。それどころか&bold(){主人公である信長ですら専用BGMが存在しない。} -発売当初の惨状 --「創造」「創造戦国立志伝」と同様に発売当初は様々な要素が欠けており、アップデートによって対応されたものの大きく評判を落とす事になってしまった。 --決戦をスキップ不可能。どんな小さな決戦でも必ず操作する必要があり、ゲーム時間の大半が決戦で費やされる事になった。 --「開発」コマンドが無かったため、武将を集めた所でやる事が無く、ニートと化してしまう。能力が高い武将が居ても評定で発言しなければ宝の持ち腐れとなってしまうのも痛い所。 ---それまでのシリーズとは異なり、政治力の高い武将を奉行にして素早く領地を発展させるというものではなく、あくまで商人や農民に指示をするだけなので((農業は民の労力で、商業は商人に指示できる回数(方策で変化)までとなっている))、武将が多くなっても命令できる回数に変化がない。''評定と合戦と外交の使者以外に武将がいる意味はほぼなく''、せっかくのシリーズ最大数の武将数が生かされていない ---「内政」の高い武将が居ても商業や農業に影響を及ぼさないので、評定で発言しなければ死にパラメーターと化しており、先述の「知略」と並んで内政家及び謀略家として名を馳せた武将の影が非常に薄くなる結果となってしまった。 ---ある程度発展するまでは「''商圏に一回投資してターン終了''」といった、''まるでシリーズ初期のようなシンプル過ぎる内政''を強いられることもあった。 ---開発コマンドの追加によって、従来のシリーズのように武将を奉行に命じることが出来るようになり、内政家にようやく出番が出てきたという所か。 --商圏の一括進出、一括投資といったコマンドがなかったために、一つ一つの商圏を調べながら投資する必要があり、煩わしかった。 --本作では全国マップが前作の100倍高精細になったことをウリとしているが、発売当初は最大に拡大した上で特殊操作を挟まなければ高精細のマップを見られず、''売りにしていた割には誰も気づかない''という事態が発生していた。 ---アップデートで通常の操作でも高精細のマップを見る事が可能となったが、公式ページで紹介されている画面ほど奇麗なものではない上にさほど話題に上らないため、微妙な要素となってしまっている。 --絶対に滅ぼされない「''無敵講和''仕様」 ---こちらから講和を持ちかけるとその時点で要求される物資の基本量が決定されるが、なんと''敵には講和の拒否権が存在しない''。つまり状況によって決定された物資の量をこちらが所持していない場合、''必ず無償で許される''というバランス崩壊要素が放置されていた。 ---試しに夢幻シナリオの鈴木家で織田家から宣戦された直後に講和の使者を出して見ると、決戦もやらずにあっさりと無償講和が成立する。&br()また本能寺の変イベント後の明智でプレイすると、羽柴家からは大量の物資を取られることによって講和が成立(これ自体もおかしいことなのだが)するが、もう片方の柴田家との講和は、先ほど羽柴に物資を多く取られてしまっているので物資が払えず、今度は無償で講和が成立する。&br()敵に拒否権が無いことによる歪さである。 ---さすがに問題視されたのか、アップデートにより講和を断られるようになった。当然ながら宣戦直後や自家が不利な状態だと講和を持ち掛けてもはねつけられる。 -その他 --外交における「商圏の独占の解除を要請」等、一部死にコマンドが存在する。 --農地が人口を上回っている場合、流民はすべて農民になるという仕様であるため、戦争で大幅に人口が減ると農地が余ってしまい、流民が全く増えなくなる事が多々ある。 特に農兵を重視する長宗我部家などの大名家が徹底抗戦した場合、流民が増えるくらい回復するまでに''数年単位の時間がかかる''ようになってしまい、足軽を重視する大名家でプレイする場合の足かせになってしまう。 -行軍と兵糧消費、敵AIとのミスマッチ --今作は兵糧の消費が激しいデザインであるにもかかわらず行軍で無駄を強いられる場面が非常に多い。 集結地点に近い城から出た部隊は遠方から来る味方部隊を兵糧を消費しながら待ち続けるため、敵の領地に入り込むまでで既に大きな消耗をする上、軍勢に切り離しも存在しないため一度集結を完了するとその軍勢を用いて多方面の牽制に対応しなければならなくなる。 さらには敵はプレイヤーの出陣時の軍勢兵力しか見ていないため、大兵力で釣り出す→小兵力の別働隊を出し大兵力を解散する→''敵の大軍勢がこちらの小軍勢に延々と釘付けになり睨み合う''という笑える兵糧攻めが可能になる。普通、大兵力を動員していると数ヶ月で兵糧が底をつくため、あっさり敵を無力化できる。 さらに農兵の動員により保持兵力だけなら数倍の規模の相手と並ぶことが出来るため、上記の釣り出し兵糧攻めは格上にも十分可能。もう真面目に決戦やるのも馬鹿らしくなってきます。 -限定版商法 --『戦国立志伝』で味を占めてしまったか、またも限定版だけのシナリオを同梱するという展開をしている。 --前作は既にパワーアップキットもリリースされており「もう『創造』も最後」という見解で一致していたのに対し、今作はまだPK版発売とそれによる補完の可能性があった事から下手に手を出せず、一方で当初からシナリオの別途配信もしないと決定していたため、購入を迷うユーザーも存在していた。 ---そもそもシナリオの内容に関して、''一切の告知がなされていなかった。''これまでの様子から、全武将が結集する内容だろうと予想するユーザーも多かったが推測の域に過ぎず、かといってゲームにしか興味のないユーザーにしてみれば、シナリオ1本で4~5,000円の追加支出をする事となり、とにかく不安や不信感を煽る事になってしまった。 ---- **賛否両論点 -「決戦」の仕様 --ほとんどの決戦の勝利要因が「戦況ゲージを青一色にする」ことであるため、精鋭部隊を編制するより、烏合の衆で奇襲し、一気に戦況ゲージを振り切らせたほうが早い。 --さらには兵数による攻撃力や防御力の増減が全く無く、それでいて士気や戦況の変化まで同じであるため、大軍がまるで大軍の機能を有していない。ただの大飯食らいの部隊になっているだけである。~ おそらく兵力差を翻す、弱小でも耐えられる等のコンセプトによって設定されているのだろうが、それは不利側が出来る手が多いということで表現すべきあって、大軍と寡兵の戦闘力が同じという富国強兵の内政もへったくれもないただの接待プレイと化してしまっている。 ---潰走状態を攻撃されても兵力が減る量はそこまで多くないので大軍を完全に殲滅する事が難しく、攻撃をし続ける部隊を釘付けに出来るといったメリットはある。もっとも、挟撃され続けるとそれだけで戦況ゲージがみるみる悪化して決着がついてしまうので過信は禁物。 ---そもそもシリーズで初となる狭所による兵力の制限(兵力の同数化)、不利側が勝利すると戦意の大幅上昇(有利側は大幅減少)、勝利すると被害を与えた上で相手の参加部隊が全て解体、と不利側が優遇される要素がいくつもあるので、大兵力であることのアドバンテージが少なすぎる。 -攻城戦が存在しない --『創造 戦国立志伝』では存在していたにもかかわらず、今作ではオミットされている。包囲された城での戦いは守備側が打って出るという形になる為に野戦と変わらない。こちらもPKにて攻城戦が実装された。 -武将の顔グラフィック --『[[三國志13]]』と同様に有名武将には平時と合戦時の2種類のグラフィックが用意された。さらには前作の年齢による顔CGの変化にも対応している。 ---戦場では鎧を着る上杉謙信や北条氏康といった今までのシリーズでは描かれなかった点が表現されており、好評である。 --しかし、これにより織田信長等の有名武将ですら前作の使いまわしCGが存在するようになってしまったため、無理に用意する必要があったかどうかは微妙である。((信長は壮年期、武田信玄、上杉謙信は青年期が、北条氏康は平常時が前作の使いまわしになってしまっている。)) --また、マイナー武将に至っては相変わらず『天下創世』からの使いまわしである。 -チグハグな武将数とシナリオ --シリーズ最大となる2190人の武将が登場し、一条内政((一条兼定の嫡男。長宗我部元親に擁立された傀儡当主だったが、後に長宗我部家臣・波川清宗の謀叛に加担したため追放された。))や小野政次((井伊氏に家老として仕えるも、当主の井伊直親を謀殺し断絶寸前に追い込んだ。))など本作が初登場となった武将も存在する。 --前作の「創造立志伝」を引き継ぎつつさらに登場武将が増えた為、シリーズ最大数の武将が登場するが、シナリオは前作の「1535年信長の誕生」~「1615年大坂の陣」から「1545年川越夜戦」~「1582年夢幻の如く」と縮まってしまったため、1545年以前に死亡した「信長の誕生」シナリオに登場する武将は''「群雄集結」シナリオ専用の特殊武将扱い''。 --また、本能寺の変までしかシナリオが無い為、関ヶ原や大坂の陣で活躍する武将もほとんど出番がない。 ---もちろん、後年のシナリオでも武将不足になる事が無いという点でありがたいのだが、用意されているシナリオと登場する武将の範囲がちぐはぐである為、''武将は存在するのにシナリオが用意されていない''という印象を受ける。 --後に「1534年 信長の誕生」は有料DLCとして配信されたが、鉄砲伝来を除いて歴史イベントは一切なく、一部の武将は特定の時期になると''唐突に死亡ないし行方不明になる''((従来のシリーズでは歴史イベントが発生して、特定の武将が死亡する事等があるのだが、本作ではイベントそのものはないものの死亡だけはする。松平清康や今川氏輝等が該当))上にアップデートで修正されるまでは''鉄砲伝来前に鉄砲を生成、購入できる''((1534年シナリオ初登場の『覇王伝PK』ですら鉄砲伝来前だと鉄砲を購入できない仕様になっていた。))((修正後も、鉄砲伝来前に鉄砲に関する方策を思いついたり、台詞に鉄砲の事が出てくる事がある。この辺りも鉄砲が伝来するまでは徹底して存在を隠していた他の作品とは異なり、手抜き感が感じられる。))というという手抜き仕様。 ---後にPKにて歴史イベントが実装されたものの、無印には反映されず、唐突に大名が死ぬ現象は放置された。''同じDLCを購入しているのにもかかわらず''である。 --また、武将が必要となる場面が大きく減った為に存在感が薄くなり、先述のアップデートによる「開発」コマンド追加までは武将数が多いのにそれを生かすゲームデザインになっていなかった。 ---むしろ人数が増えた為に、寿命が近づいた武将(病臥に伏せるのと回復とを何度も繰り返すようになる)の病気の報告ばかりが来て煩わしさすら感じてしまうほどになる。 --歴史的イベントの詰めが甘く、PKになっても関ヶ原の戦いに島津のイベントが無い(そもそもいない扱い)になっていたり、大坂夏の陣でなぜか後藤又兵衛は生き残っていたりと非常にガバい。 ---- **評価点 -BGM --%%クソゲーのお約束というべきか%%BGMは良い。 --今作のBGMは引き続いて大塚正子氏が担当しており、壮大で聞きごたえがある。 -決戦の作り込み --『[[革新>信長の野望 革新]]』以降、合戦要素に関しては軽視される事が多かったが、本作では久しぶりに作り込まれた合戦システムとなっており、完成度は高め。 --これまでのリアルタイム制から、かつてのようなターン制に半ば回帰したようなシステムに好感を持つユーザーも意外と多い。 ---フェイズ制の採用は「合戦で指示を出しても、それをすぐに反映できるはずはない」という理にかなった考えによるものであり、ゲームとしてもきちんと先を読んで手を打つという戦略性の向上にも大きく作用している。 ---リアルタイム制による操作の煩雑さ、単純にアクション要素が出てしまい忙しいといった、近年のシリーズに付いていけないユーザーが主にフェイズ制を支持していた。 ---それぞれの作戦によって戦い方が大きく変わる為、敵の作戦を見破ったり、虚を突かれたりと遊びごたえがある。 ---「車懸かりの陣」「啄木鳥戦法」「釣り野伏」といった有名な戦法が作戦によって、その動きまで再現できるのも高評価といえる。 ---武将によっては専用の戦法が用意されている事もあって、かなり個性を感じられる。 -着眼点は非常に良かった。 --合戦を継続する事のリスクが大きくなった為、おいそれと武力統一は出来ず、惣無事令を目指すようなバランスとなっており史実に則している。 ---戦に勝ち続ける事で気勢が上がり、有利になる。講和する際も優勢だといい条件を引き出しやすくなるといった点が見られる。 ---兵糧の消費量が非常に多い為、勢力が小さい内は合戦は一年に一度しか行えないほどの一大事業となっている。 ---戦争を続ける事で流民が周辺の国へ逃げ込んだり、厭戦状態になり、民忠誠度が下がるといった表現がみられるようになった。厭戦状態になると敵国にもデメリットが発生する為にこちらからの講和を飲むようになるといったリアルな設定。 --武将の「政治」パラメータも「内政」と「外政」に分化されている。例えば足利義昭は各大名に信長包囲網を働きかけた事から外政が特に高いといった評価がなされている。これにより、優秀な外交官が表現できるようになった。 --『[[覇王伝>信長の野望 覇王伝]]』で見られた農兵と足軽の概念に着目している。『覇王伝』では戦争開始時にただ弱い兵を雇えるだけという表現だったが、本作では大名の志や方策によってうまく味付けされており、一領具足のような強い農兵も実現可能。 ---足軽の維持費は高い為、序盤ではほとんど農兵に頼る事になるが、商圏の発達により収入に余裕が出来るようになると自然と兵農分離を心がけるようになるといったバランス調整。 --商圏や外交の思惑についても、他家との関係性をより重要視したものとなっており、それも先を考えて行動するというシミュレーションゲームに適したものである。 ---他家との同盟を切り取っても、過去作では不可侵条約という意味合いが強かったが、本作では強制的に通商関係になる為、同盟を結ぶ事によって商圏に進出されるようになる。そうなれば収入は減るが、一方で市場競争による発展もあるため将来性も見据えなければならない。この為ただ単純に結べばいいというわけにはいかず、きちんと今後の動きも考えて適切な外交を取らなければならない((例えば他家の商圏において自家の影響力をのばす事で他家の収入を掠めるといった事が出来るが、あまりに投資し続けると、商圏の発展完了と共に独占されてしまい、収入源を失う事になる等))。逆に大大名家と手を結んで収入をあてにしてしまうといったように、場に応じてプレイヤーの手腕が問われるようになっている。 --大名の固有の志は史実に則した効果に加えて詳細な説明文が用意されており、説得力がある上に純粋に歴史の勉強にもなる。 ---志によってあらゆる台詞が変化する為、固有の志を持つ大名はかなり個性的。 ---- **総評 近年の信長の野望シリーズは「創造」「創造立志伝」とPKやアップデートなしでは散々な評価を受ける事が多かったが、残念ながら本作においても同様で、もはや''無印を発売日に定価で買うのは見えている地雷を踏みぬくようなもの''と思わせるような完成度である。~ 一歩進歩したもののその何倍も後退したゲームデザインはPKを前提とした未完成品にしか映らず、~ スマートフォン版の発売を意識した結果、''その全てが中途半端で薄い内容''となってしまい、[[三國志12]]と同じ轍を踏む結果となってしまった。~ 後に積極的なアップデートで多少は改善されたものの、またもやユーザーの不信を買ってしまった点は否めない。 しかしながら、コンセプトや着眼点は確かに光るものがあった。~ 実際、発表の場でのデモプレイなどに対する反応は良く、歴史表現としても純粋な戦略性としても、ジャンルの完成度をより高めるものだった。~ 即ち、新要素に限って言えば練り込みや配慮不足であった可能性も否定はできない。~ 発売を焦らずきちんと調整していれば…もしかすれば大きな志を成し遂げていたのかもしれない。 ---- **余談 -Amazonでのレビューの平均スコアはどのハードも約2と散々な結果となっている。 -信長の野望シリーズは廉価版が発売するまで値段が下落しないことで有名だったが、Switch版は5,000円前後、PS4版に至っては''発売から半年足らずで新品で3,000円前後''と投げ売り同様の状態となっている。オンライン認証が必須で中古品として売れないWindows版ですら、6,000円を切っている。 -本作の攻略本はコーエーテクモゲームス出版部ではなく、週刊ファミ通編集部から発売されている。 -オープニング前のovertureでの「信長の野望」ロゴが光るタイミングが前作までと比べて変更されている。 -本作の完成度が低くなった要因として、開発者が上記の通りスマートフォン版の発売を意識しすぎた結果、ゲーム性やUI等がスマーフォン向けソーシャルゲームに近い仕様になるという、CSのシステムと相性の悪い内容になった事が影響してるのではないかと推定されている。 ---- *信長の野望 大志 with パワーアップキット 【のぶながのやぼう たいし うぃず ぱわーあっぷきっと】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|&amazon(B07GWZJ3B5)|&amazon(B07GX4K2QY)| |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;Windows Vista/7/8/8.1/10|~|~| |発売・開発元|コーエーテクモゲームス|~|~| |発売日|【Win/Switch/PS4】2019年2月14日|~|~| |定価|【Win】11,880円&br;【Switch/PS4】10,780円(全て税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|~| |ポイント|改善点もあるが改悪点も多い&br;やっぱり劣悪なUI&br;シリーズ屈指の委任ゲー|~|~| ---- **概要(PK) 新たなシステムを引っ提げたものの、少なくない問題点からユーザーから批判が噴出し、クソゲーとしての汚点をつけてしまった『信長の野望 大志』(以降、無印)。~ それを経て、従来と同様にパワーアップキット(PK)が発表。コンセプトに「戦略ファースト」を掲げ、様々な要素の追加や既存の要素の変更等が行われた。~ 無印が最悪に近い評判だったために、半ば諦める声も多かったのだが… **追加要素(PK) ''地方モードの追加'' -『[[革新>信長の野望 革新]]』の同名のモードとほぼ同じであり、好きなシナリオを選び地方を限定してプレイするモード。 --同盟関係はリセットされており、一部の方策の条件も緩和されている為、単純なスケールダウンではない。特に外交関係のリセットにより思わぬ勢力が伸びる事もある。 --地方をクリアするごとに仮想シナリオや新武将用の顔CGが解放されていく。 ''初志言行録の追加'' -どの大名でも発生する「言行録」で、「〇個以上の商圏に進出する」といったクエストを達成する事で金銭や感状といった報酬が貰えるよになった。 -初心者向けのチュートリアルであると同様に、資源の厳しい序盤にはありがたい要素でもある。 ''調略要素の追加'' -密使を放って忠誠度の低い敵武将の心を揺さぶって密会を行い、様々な条件を提示して内応を試みることが出来るようになった。 --密会では話題を振って敵武将の心証を良くし、成功率を高めるか、いきなり本題に持ち掛けるかを選べる。 --武将によっては「金銭」や「家宝」の他、「城主確約」や「お家再興」といった事を条件にしてくる。当然ながら内容によって成功率が変わる。 --内応を約束した武将は6ヶ月以内に引き抜けるが、放置する事で情報を横流しして「施政力」を高めてくれたり、他の武将にも話を持ち掛けるといった事もしてくれる。~ 戦場にいる際も、所属部隊の混乱や潰走させつつこちらに着くのでかなり強力な効果となる。 ''感状の追加'' -領地を広げる、初志言行録を達成する等で、「感状」が手に入り、恩賞として配下に渡す事が出来る。 --これにより忠誠が上がる為、調略での引き抜き防止にもなるが、しばし''古参が活躍して手に入れた感状を新入りに渡して忠誠心を高める''という意味不明な絵面になる。 ''チュートリアルの独立'' -無印ではゲームの進行と同時にチュートリアルを行う形式だったが、旧作と同様に独立したモードになり、真田親子の寸劇を交えて様々な要素の解説を見る事が出来るようになった。 -基本的に変更は少ないものの、決戦の仕様などPKで変更された部分も解説してくれるので一見の価値はあり。 ''大命の追加'' -施政力に新たに「大命」の要素が追加され、大命の施政力と他の施政力を使うことで、任意のタイミングで大名の志に応じた「大命」を使える。 --一時的に兵士のLvを上げる、「足軽(農兵)精錬」や募兵の速度を上げる「徴兵号令」等、大命を発する事で一定の期間、戦争や政略のいずれにも有利になる効果が得られる。 --固有の志を持つ武将の場合は専用の大命を持つ。本願寺家の「一向一揆」や足利義昭の「合従の御内書」で強制的に指定大名に包囲網を張るといった事も出来る。 ''シナリオの追加'' -本能寺の変後のシナリオである「小田原征伐」「関ヶ原の戦い」「大坂の陣」が追加され、歴史イベントも多数追加された。 --無印からのDLCシナリオである「信長の誕生」にも専用のイベントが追加されており、従来のシリーズに近くなった。 ''攻城戦の追加'' -城攻めの際に攻城戦になり、方針や配備を決めて戦闘を行うようになった --主に「攻撃」「強攻」「兵糧攻め」の三つの方針で戦闘を行う。条件が整えば金銭を使う事で「水攻め」や「土竜攻め」を行って落城を速める事も出来る。 --また、戦況に応じて降伏を持ちかける事が可能となり、武将を「全面解放」して城を明け渡したり、「城主降伏」等を持ち掛ける事が可能。条件に応じて成功率が変わる。 --政略画面でも城に様々な改修を行う事が出来るようになった。包囲されても安全に脱出が出来る抜け穴など、用途に応じて改修を行う必要がある。 --操作する場面は少なく、攻め方を指示して後は自動で進む形になっている。 ''演出面の追加'' -老年の北条氏康や氏政等の複数の武将に新たに書き下ろしCGが追加された。 -BGMの追加。 --無印では主人公の信長にすら専用BGMが無かったが、織田家、武田家、真田家に専用BGMが追加された。 -包囲網の強化 --今までのシリーズでは終盤に発生する事が多かった包囲網だが、今作の場合は序盤でも勢力が突出すると包囲網を敷かれる事が多々あり、兵糧不足と相まってかなり苦しくなる。 -シナリオの編集 --『革新』や『天道』で見られた全国の大名の配置換えを行う「国替」機能の追加、開始時の大名を配下武将から選択する「大名変更」、新武将による新勢力の作成といったシナリオカスタマイズ機能が新たに実装された。 **変更点(PK) ''評定の変更'' -無印では「評定に参加する武将はランダム」「何を提案するかもランダム」と使いにくい仕様だったが、~ 参加する武将を選べるようになった上に重視する項目を二つ選ぶ事も出来る。~ これによって、上げたい施政力を狙って溜めやすくなった為に非常に使い勝手が格段に良くなった。 --この仕様変更により、一部の方策の効果も変更されている(新参や古参が出やすくなる方策はそれぞれの発言力が高まるという効果に変更) --方策も、「特定の武将の登用」が条件となっている固有の方策の条件が緩和され、特定の個性や能力を持つ武将を複数集める事でも解放可能となったので自由度が高まった。 ''決戦の変更'' -『[[創造>信長の野望 創造]]』と同じく、無印とPKで''新たに戦闘システムが作り直された''と言ってもいいほどに変更されている。 --最も大きな変更点として「フェイズ制」から「リアルタイム制」になった。 --戦闘開始の際に「軍議力」を消費して「罠」や「軍施設」に加え、無印でも存在した「作戦」を決める。「作戦」は条件が整っていれば任意のタイミングで発動が可能。 ---無印では移動しない事で未配備の兵が合流するシステムだったが、PKでは「狼煙台」が健在ならば徐々に兵が合流するようになる等のルールの変更もある。 --武将の「戦法」は合戦中に溜まる「戦法ゲージ」を消費して行う。勢力内で共通するゲージを使用するので『[[三國志13]]』の戦闘システムと同様。 --勝敗の条件が「戦況ゲージ振り切り」から「総大将の壊滅」のみに変更された。戦況ゲージはあるものの、振り切っても戦法ゲージが伸びやすくなる効果にとどまっている。 --また、フェイズ制に切り替える事も可能だが、一定時間毎に停止して操作を決める事が出来るだけで、''無印のシステムのフェイズ制の決戦に戻す事は出来ない''。 ''委任の改良'' --委任コマンドが改良されており、あらゆる要素の部分委任が可能となり、また、特定の金額を下回らない様に委任するといった融通が利くようになったので非常に使いやすくなった。 ---足軽を重視したり、商人街だけを建てたい、特定の国だけは直轄で配備を行いたいといった痒い所に手が届く仕様になり、利便性が高い。 **評価点(PK) -委任が優秀 --委任コマンドが強化された事と、無印にも存在した決戦のスキップ機能が改良されており、自動戦闘での損害が実用に耐えうるレベルまで改善されているのでCPUに任せる事で大分楽が出来る。~ 特に「指揮なさらずとも勝てる」と判断された場合は戦わなくともいいので、極端な話、負けない程度に兵をそろえて決戦をひたすらスキップするプレイでもクリアが可能。 --方針や部分委任の追加により、融通が利くようになったので、ある程度の方針を定めて大半をCPUに任せるだけでプレイヤーの負担はかなり軽減される。~ 特に農業や開発コマンドは勢力が大きくなると手間がかかり過ぎるのでひたすら委任に任せた方が楽である。 -後期シナリオが追加された --無印のように武将は用意されているのにシナリオが無いといったチグハグな点が改善されている。 ---ただし、「1534年 信長誕生」は無印と同様にDLCなので、何も導入しなければ「1545年川越野戦~1614年大坂の陣」までとなる。 -評定や施政力システムの改善 --内政家がちゃんと自分の分野で活躍できるようになり、大命の為に施政力を残しておく選択肢も生まれた。 -大命の追加 --一大決戦を前に戦力を底上げする、闇商人から安く米を仕入れる事で序盤の兵糧難を乗り越えるといった工夫が可能になり、施政力の使い道が増えた。 **問題点(PK) -一部の大命が凶悪 --特に強制的に講和を結ぶ今川義元の「雪斎の教え」や、本願寺家の「一向一揆」、特定の勢力を包囲網の対象にする足利義昭の「合従の御内書」が凶悪。 ---「雪斎の教え」は必要施政力の少なさの割に効果が強烈なので、CPUの今川家を少しでも追いつめると、即「雪斎(ry」で半年を無駄にされるのでテンポが悪い。無印に存在した土下座講和のようないやらしさがある。 ---「一向一揆」は本願寺家に領地が隣接していると定期的に発動され、領内の施設や内政値、兵数がぼろぼろにされる。「一向一揆」自体は従来の作品でもあるが、本作の場合はかなり強力。~ 防ぐためには本願寺家と同盟を結ぶなどの友好勢力になるか一気に滅ぼすしかないのだが、攻めると本願寺家の友好勢力から一斉に目の敵にされるので殊更つらい状況になる。 --効果自体はそれぞれの大名の個性が出て良いのだが、払うコストが安すぎるので連発できてしまうのが問題。 ---一向一揆は「農業:5 軍議:5 大命:60」で、「雪斎の教え」は「論議:20 大命:80」で発動可能。大命の施政力は大命以外では使用しない上に評定の意見を取り入れていれば自然と溜まるのでほぼ無視できるレベル。 -シナリオのボリューム不足 --無印に存在するシナリオの追加DLCは導入されていないので買う必要がある。前作のPKや『創造 戦国立志伝』では、発売時に配信されたDLCによるシナリオが全て入っていただけにボリューム不足が否めない。 -決戦の仕様変更 --勝利条件が「総大将の殲滅」のみになってしまった為に寡兵で大軍に勝つ難易度が跳ね上がり、かつ兵力の消耗がより激しくなった為に弱小勢力の生き残りの難易度も跳ね上がった。 --戦法を使用するのに戦法ゲージが全武将で共通化された事により、コストが高い戦法がほとんど使えなくなってしまった。無印ではランダムではあるものの状況に則した戦法が出る事が多く、ドラマが生まれる事が多かっただけに残念な点でもある。 ---弱小大名プレイの場合、そもそも北条家や武田家等の強国は交渉を受けて入れてすらくれないので従属も出来ずに決戦の仕様変更により勝つ事も難しいので無理ゲーになりつつある。 ---戦法ゲージが溜まる速度が異様に遅いので色々と戦法を使って戦局をひっくり返しづらくなったのも難点。様々な軍施設や大命でテコ入れしなければ有名武将の固有戦法はほとんど使えずに終わってしまう。 --新たに追加された「罠」は''こちらが仕掛けた罠はまるで見えているかのように避けられ、敵の罠は狙いすましたかのようなタイミングで発動する''為、ただストレスが溜まるだけの要素になっている。 ---『三國志13』といった、似た戦闘システムで罠を採用した作品はあるが、そちらではちゃんと敵を罠にはめれるのでシステムとして機能している。ほぼこちらしか喰らわないような要素を追加された所で苦痛なだけである。 --『[[創造PK>信長の野望 創造]]』と同様に合戦がPKで作り直されているが、評判の悪かった『創造』の会戦を一から作り直したのとは異なり、無印の決戦は新たなシステムに挑戦して一定の評価を得ていた部分もあったが、そのほとんどが切り捨てられてしまった。 ---結局のところ、『[[嵐世記>信長の野望 嵐世記]]』『天下創世』といったこれまでのシリーズのリアルタイム合戦に近くなり、無印での色々と目新しかった要素は埋没してしまった。 ---''時間制限もなければ退却も出来ない''ので負けるとほぼ壊滅状態になり、被害が大きすぎる。加えて総大将をひたすら追いかけっこするといった戦いになる事も多い。 -攻城戦 --基本的にプレイヤーがやる事は最初に指示を出して落城するまで待ち、たまに降伏勧告をかけて落城を速めるぐらいなので、最初の数回城を落としたら後は委任するような要素になっている。 ---城主や武将を登用出来るチャンスでもあるのだが、前作からの仕様で大名を滅ぼせば問答無用で全員が降るのでありがたみが薄い。 --攻城戦から通常マップに戻る際にカメラの向きがメチャクチャになり、何故か地図が上下反転する等、不快に感じやすい要素がある。 -無印から引き継いでしまった問題点 --内政の変更点はほぼ無し。建設出来る施設が増えるといった追加点もないので、無印の時点で内政が物足りないプレイヤーには相変わらず不評である。 --決戦の際は「多数の城から軍が集結してから移動する」が、相変わらずプレイヤーが多方面から出陣すると対応しきれずに軍を解散したり、一方に釣られている間に手薄になった城を落とし放題になったりと問題が多いままになっている。 --''劣悪なUIはほぼ据え置き''。困った事に新たに追加された画面や機能も、アイコンでしか表示されないので気付き辛い。 -エディット要素が物足りない --よく言われるのが「志」や「戦法」の編集が出来ず、新武将に個性を持たせ辛い。 ---同社の『三國志13』ではPKにて既存の戦法をベースに新たな戦法を作成し、新武将に固有の戦法を持たせる事も可能だったのでこういった事が出来ない点が惜しまれる。 ---特に「志」も特性を自由に組み替えたり、説明文を変えるといった事が出来れば新たな楽しみ方を見出せるのだが… **総評(PK) 前作のPKは「無印でユーザーから不評だった部分を徹底的に直してパワーアップ」といったデザインだったが、本作のPKは過去作のPKの要素の焼き直しをつけ足し、ただただ『創造』に戻ろうとしてしまった印象が強い。~ 新要素や改変要素によるゲームバランスの悪化も見られるばかりか、本来の「戦略ファースト」に合致していた部分さえもが、その煽りで土台を揺らがせる格好となってしまった。~ なまじ委任の使い勝手が改善された事も相まって、ゲームの大半部分を委任に任せて進めればテンポ自体はよく、 全国モードであっても一日でクリアする事も難しくはないのだが、達成感そのものが薄い。~ かといって、委任に頼らなければ施設の開発や開墾、ひたすらストレスが溜まる決戦など、面白くない要素を延々とやり続ける事になる為、苦痛である。 無印の評価が最悪であった為、パワーアップキットで盛り返した前作のように期待される声もあったが、残念ながらPKをもってしても無印の悪評を覆せたとは言い難い作品になってしまった。 **余談(PK) -実は当初は2018年11月発売予定だったが、現在の発売日に延期されている。 --これまでの本シリーズは、無印版の発売から約1年後にパワーアップキットが発売されていたが、それが叶わなくなったのも無印版の問題点の多さ故か。 -発表に際したプロデューサーへのインタビューにおいて、「パワーアップキットの役割」という話題が挙がっている。 --その中でプロデューサーは「アップデートは『改善』、パワーアップキットは『追加』と目的は異なる」と述べ、更にインタビュアーが”PK待ち”というワードで鋭く切り込むと、~ 「PKありきで企画をしているわけではなく、待つのはもちろんユーザーの自由」~ 「PKの役割をアップデートで担うという時代の変遷もあり、その形が続くかは分からないと個人的に思う」~ と答えている。 ---無印版での調略要素などのカットに対する反応や開発コマンドの追加を見ても、既にパワーアップキットがアップデートに取って変わりつつある現状は否定のし様がないものである。
#contents ----- *信長の野望 大志 【のぶながのやぼう たいし】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|CENTER:&amazon(B074G2VSY4)&amazon(B074G31LY4)|&amazon(B074G1WHMK)| |対応機種|Nintendo Switch&br()プレイステーション4&br()Windows 7/8.1/10|~|~| |発売・開発元|コーエーテクモゲームス|~|~| |発売日|2017年11月30日|~|~| |定価|通常版 / TREASURE BOX&br()【Switch/PS4】8,800円 / 12,800円&br()【Win】9,800円 / 13,800円(各税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|~| |ポイント|''全ての戦国好きに捧げる、最低の戦国体験''&br()やる気を削ぐ劣悪なUI&br()あらゆる要素がことごとく薄く面倒くさい&br()謀略家&内政家涙目&br()ゆすり外交&br()発売当初と比べ改善されたがクソの域は出ず&br()BGM・一部武将の顔グラは好評|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズ]]''| ----- **概要 『信長の野望』シリーズ第15作目でシリーズ35周年作品。~ 「''全ての戦国好きに捧げる、最高の戦国体験''」をテーマとし、「志システム」を目玉システムとし、各種新要素を取り入れた。~ 発売前には各メディアにて大々的に宣伝をし、実質的な前作『[[創造>信長の野望 創造]]』のパワーアップキット(以下PK)が好評だったため、大きな期待が持たれていたが……。 **特徴 ''志システム'' -本作は各武将に内政、軍事、外交等に対する考え方「志」を持っており、それに従い行動する。その数は50を超える。 --織田信長をはじめ、武田信玄、上杉謙信等有名武将には固有の「志」が存在する。 --志には特性(スキル)が存在し、条件を満たすと追加の特性も獲得できる。 --基本的には前作の政策を発展させたものであり、大名の志に応じて外交や内政、戦闘等に複数の補正が得られるがデメリットも存在する。 ---例えば織田信長の場合は「兵農分離((足軽を安く雇える、農兵を0にすると収入が上がる、農兵の兵糧収入が減るデメリットが存在))」と「楽市楽座((商圏の成長速度が速まる、領内の商圏の影響力が自然上昇するが、独占が出来ない))」が特性となる為、自然と、領内の商圏が発展しやすく、足軽を扱いやすいバランスとなる。 ---補正はかなりの影響を及ぼすため、大名の志によって大きくプレイ感覚は大きく変わる。補正以外にも、合戦に敗北すると配下の忠誠心が下がってしまうといった志を持つ大名もいる。 --CPU担当時のAIの賢さに相当する、「格付け」の補完でもある。基本的に、強い大名武将は格が高く、勢力を拡大しやすいのだが、「守備的な賢さ」は表現し切れていなかった。「格」と「志」を組み合わせることで、その武将の性質をより浮き彫りにすることに成功している。過去作品では「野望」「主戦」などのパラメータや、「天下統一」「地方統一」などの方向性の設定で武将の好戦度を表現していた。両者をベースに、より幅を持たせた発展形といえる。 ---もっとも、後述するゲームシステムの性質上、CPUは軍事系の「志」を持つ大名が、単純に勢力を拡大しやすいのだが。 ''全体の流れ'' -「創造PK」と同様に政略フェイズと進行フェイズに分かれ、政略フェイズで決定した命令を進行フェイズにて実行する。 --前作と同様に条件を満たして惣無事令を発するか、全国を統一する事でクリアとなる。 ''評定と方策'' -季節毎に「評定」が行われ、参加した武将の提案を受け入れる事で4つの「施政力(農業、商業、軍事、論議)」を獲得し、施政力を消費する事で様々なメリットが得られる「方策」を開放していく。 --施政力を消費する事で4つのツリーからを方策を開放していく。農業の方策ならば「指出検地(兵糧収入増加)」、軍事なら「足軽重用(足軽募兵速度上昇)」等 ---方策のツリーは大名の志によって変化する為、代替わりによって大名の志が変わり、実行出来なくなった方策が出た場合は施政力に戻される。 --評定に参加する武将は選べず((方策により、新参を優遇したり、古参を優遇したりする事が可能))、また、発言する施政力の種類もランダムであるため、種類が気に入らなければ一度だけ振りなおす事が可能。 ---武将の能力に応じて施政力の上昇に補正がかかる。「統率」が高ければ「軍議」が、内政が高ければ「農業、商業」が、「知略」が高ければ「論議」が上がりやすくなる。 --また、特定の武将を登用する事で固有の方策を開放する事が可能となる。「佐々成政のさらさら越え」や「山県昌景の赤備え」等が該当。 ''商業'' -今作では主に支配地の「商圏」に「進出」ないし「投資」を行うことで金銭収入を得る。 --これまでのシリーズの内政とは異なり、商人に命令する為、ひと月に決められた回数しか投資ないし進出する事は出来ない。 --地方によっては特殊な商圏(伊勢神宮等)も存在する。特定の商圏は鉄砲等物資も得られる場合がある。 --親善関係(通交条約あるいは同盟関係)にある他国の商圏に進出することも可能。逆に他国が自支配地域の商圏に進出してくる場合もあり、その場合は収入は影響力に応じて変化する。 ---他家を招き入れる事で商圏内で競争が行われる為、商圏の成長速度が速まる。自家だけでは投資できる回数が少ない為、他家を利用するのも重要な手段となる。 ---商圏を独占する事で他家を一方的に締め出すことも可能。当然、独り占めをする以上は外交でも悪印象を持たれる。また、市場競争がないため発展も見込めなくなる。 ---地方のすべての商圏を支配し、一定の規模まで発展させる事で商圏が合併し、「大商圏」へと成長する事が可能であるが、他家が進出していた場合は不可能であるため、大商圏を作る場合は独占するか、他家の影響が及ばない範囲まで領地を広げる必要がある。 ''軍事'' -今までの作品とは異なり、「兵農分離」が肝となっている。農業に従事している民は「農民」として、従事していない民は「流民」として扱われ、農民は「農兵」に、流民は「足軽」として募兵する事が可能。 --農兵は兵糧収入が減る((農兵も兵糧を納めるが、農民ほどではないために納める兵糧が減ってしまうという表現。従軍するため生産性も下がってしまう。))が金銭の維持費がかからず、お手軽に揃える事が可能。ただし、足軽に比べると弱く、戦に不慣れであるため、決戦が長引いたり、不利な状況になると士気が落ちるといった特徴がある。 --足軽は金銭の維持費が必要となるが、戦専門の兵であるため、農兵よりも士気が下がりにくく、有利な状況になると手柄を立てんと士気が上がる。 ---また、農兵と足軽にはそれぞれ強さのレベルが存在し、方策などで上昇する。織田家では足軽が強く、長宗我部家では農兵が強いといった特徴が表現されている。 ''農業'' -今作では開墾や肥料を撒く等リアルに沿ったコマンドが用意されている。 --命令できるのは3、6、9、12月の4回のみとなり、実行には領内の人口から割り出される「労力」を使用する。 --農業を行う事で兵糧収入を増やす事が可能であるが、農地が増えてしまうと流民が農民になってしまうため、足軽を重視する城では開墾ではなく労働を免除する等の状況に則した指示が求められる。 ''外交'' -ベースは「創造PK」と同じで、親善行動により「心証」というポイントを貯め、心証に応じて援軍要請や同盟等が可能となる。 --前作では信用度を消費して同盟等のコマンドを実行していたが、心証は条件を満たしていれば消費せずにコマンドを実行できる。 --これまでの作品では攻め入る国の同盟国の援軍を防ぐためにその国とも同盟を結ぶ事で同盟国の介入を防ぐという常套手段があったが、本作ではそれを行うと不義理な行為とみなされ即座に同盟を破棄されるばかりか盟を軽んじたとして心証が悪化するようになった。 ---この為、前作以上に同盟勢力に気を使わなければあっという間に敵が増える。この他、同盟国が戦をした際に参戦しなかった場合などの不義を働いても心証が悪化するのでどの国とも手を結ぶといった八方美人な外交は通じにくくなった。 --「創造PK」では合戦を仕掛けて断絶状態にさえなっていなければ交渉が可能だったが、本作では様々な要因によって敵視されてしまうと心象の上限値が低くなったり、「交渉を望んでいない」として交渉を持ちかけることが出来なくなり、ハードルが上がった。 --本作では合戦を行うには外交で「宣戦布告」をする必要があり、交戦状態を解除するには相手を滅ぼすか、自分か相手かのどちらかが「講和」を持ちかける必要がある。この際に条件を飲む事で交戦状態を解除する事が可能。 ---自家が不利な状況での講和の場合は大量の物資を要求されたりするが、有利な状態になると逆に相手から臣従や物資を条件に講和を持ちかけられる事がある。一度講和をすると一定期間は同じ勢力に宣戦できなくなる。 ---本作では戦で消費する兵糧が増えた他、戦が長引くと厭戦状態となり、住民感情が悪化するリスクにより戦の長期化が難しくなった為、講和で痛み分けに持ち込む事も重要な要素となる。 ''開発'' -発売当初は存在せず、アップデートにより追加された要素。前作の箱庭内政に相当する。 --武将に命じる事によって領内に施設を設置する事が可能、施設によって収入を増やしたり人口を増やす事が可能となった。 ---特に投資も出来ずに手持ち無沙汰になっている状態で商人街を作って金銭収入を増やす。流民を増やしたいので宿場町を作るといった痒い所に手が届く要素となっている。 --設置した施設は発展を命じる事でレベルアップするが、付近で戦闘が起こった際などに破壊されてしまう事もある。 --『[[天下創世>信長の野望 天下創世]]』で見られた、塾の施設も存在する為、武将を塾で囲んだ領地に配置する事で能力値をあげる事が可能となった。 ''合戦'' -マップ上で味方と敵がぶつかると、「決戦」に突入する。「創造PK」で言う「会戦」であり、各武将を操作して敵軍の壊滅を目指す。 -リアルタイム制だった前作までとは異なり、フェイズ制となった。命令フェイズと進行フェイズを繰り返しつつ戦を行う。 --命令フェイズでは、部隊の移動などの指示を行う。斥侯より敵部隊の位置が判明したり、状況に応じて武将が献策してくることがあり、指示する事で突撃や砲撃といった戦法を行うことが可能。 --進行フェイズでは命令フェイズに従った行動が行われる。リアルタイム制ではないので行動を終えるまで戦況を見守る事となる。 -決戦の勝利条件は、「敵部隊全滅」「敵総大将の壊滅」「戦況ゲージを青一色にする」の三点 --戦の前に軍議が開かれ、武将から提案された「作戦」を決める。「本陣斬り込み((斬り込み部隊が特定の時間までに本陣を見つけると強攻状態となり能力が大きく上がる))」「囮挑発((囮部隊を作り、一定時間ごとに周囲の敵部隊を引き付ける))」「全軍突撃((一定時間一切操作不能になるが、攻撃力が大幅に上がった状態になる))」等の種類があり、作戦によって戦い方が大きく変わる。 ---「釣り野伏」や「車懸り」などの専用の作戦も存在する。 -また、戦場の規模が存在し、決戦を行った場所によっては狭所である為、''ほとんど兵がいない''状態で戦わなければならないこともある。合戦開始後に徐々に合流する形で兵が増えていくが、一歩でも動かすと兵は増えなくなる。 --極端に狭い戦場の場合は数万の兵力を率いていようが数百程度しか参加できず、合流速度も雀の涙であるため、ほぼ増援はないに等しく、互いに同等の兵力で戦う事を強いられる。 --この為、ゲーム終盤に大兵力でごり押す戦法が非常にやりづらくなった。裏を返せば弱小勢力でも対抗することが可能になったとみるべきか。 -部隊ごとに「士気」が存在し、戦闘を続けると減少し、なくなると潰走状態となって操作できなくなるほか、被害が出やすくなり、戦況ゲージの悪化にもつながる。 --これまでのシリーズと異なるのは''優勢であっても戦闘状態が続くと士気が下がっていく''という点。そのため、戦闘が長引けば長引くほど潰走の危険が出る。潰走部隊があればみるみる戦況ゲージが下がっていくため、あと一歩で勝利という場面からひっくり返されることもありうる。~ 戦わなければ回復していくため、士気が下がった場合は安全な場所に逃がす必要がある。 ''言行録'' -前作の戦国伝が形を変えて継承されたもの。条件を満たすことで歴史イベントを発生させるのは同じだが、大きな違いは勢力のイベントではなく武将個人のイベントとなっており、蒲生氏郷や黒田官兵衛等の大名ではない有名武将にもスポットがあてられるようになった。 ---- **問題点 -劣悪なUI --一番の不評点がこれである。そもそもがスマートフォンとの同時発売を前提としていた為、UIもスマートフォン向けに調整されているのだが、それを他機種にまで持ち込んだ事が足枷となっている。 ---もっと言えばスマートフォンに対応と銘打っていながら、肝心のスマートフォン版の出来はPCやコンシューマ未満である。具体的に言うと、PC版を無理矢理スマートフォンに適用させた形となったため、ゲーム用に作られたスマートフォンであっても''決戦はとてつもなく重く下手をすると操作すらできない。''''スリープモードに入るとリセットされる''といった致命的な欠点がある上に、''コーエーは意見をガン無視して根本的なアプデすらしていない'' --極力''文字による表現を排してアイコンで表現''しようとしている節が随所に見られるが、かえってわかりづらさに拍車をかけてしまった。更に各種情報ウィンドウが大きすぎて、視認性が劣悪である。まるで初期の信長の野望シリーズの家庭用移植版のようである。 ---よく使う命令コマンドは文字ではなく''全てがアイコン''であるため、直感的ではない(例えば兜に「+」が重なったアイコンが武将の登用、「-」ならば武将の追放)。さすがに、アイコンにカーソルを合わせれば横にコマンド名が表示される仕様にはなっているが… --それまでのシリーズとは異なり、大名を選んだ後に難易度などの各種設定が表示されない為、シナリオ選択し、大名を選択するといきなりゲームが始まってしまう。 ---各種設定はシナリオ選択時に''目立たない箇所にあるアイコンを選ぶ''ことで呼び出す事が可能。 ---初心者が各種設定に気付かずに中級難易度でゲームを開始してしまったり、チュートリアルを切りそびれて延々と説明を受けるといった不親切な設計になっている。 --また、大名選択は個性を重視した演出なのか、まるで''格闘ゲームのようなUI''となっている。大名の顔グラフィックから選択する形になるので、&bold(){コアなファン以外はどれが目当ての大名かわからない}。一応、地図から選択する形式に切替は可能ではあるが、その切替方法も非常にわかりづらい。 ---同様に合戦の際の部隊の表示もスペースの都合上か、''武将の目の部分だけ''が表示されるので、一見しただけでは誰の部隊かわかりづらい。前作『創造』では武将の顔全体が、前々作『[[天道>信長の野望 天道]]』では武将名が表示されるので改悪点となっている。) --武将を移動させる際に一覧からソートができない。 -意味のない内政 --パラメータを上げたことによる効果は発展した、強くなった&bold(){ような気がする}程度の効果であり、軍備強化してさっさと攻め込んだほうがいい。 ---「[[天翔記>信長の野望 天翔記]]」と似ているように思えるが、あちらは内政自体は重要なコマンドであり、特に民忠は定期的に上げていかないと、内部から崩壊してしまう原因となってしまう。またCPUが非常に好戦的であり、こちらから攻め込まないとあっという間に滅亡してしまうので仕方ないと言える。 ---規模が小さな勢力だと、金がない→内政をする→効果が雀の涙→金が貯まらない→軍備増強できない→そのうち攻め込まれるのパターンに陥り、''もれなく詰む。'' -決戦を回避できない --スキップすることは可能だが、勝敗および兵力の損害の計算は単純に数字だけで判断する模様で、結果敵味方双方とも損害が大きく出てしまう。結局損害を減らすために、決戦をするはめになる。弱小勢力だと尚更。 -朝廷の存在が無意味かつ邪魔 --たまに金銭を要求してきて、その見返りに官位を貰えるが、今作の官位は外交にほとんど影響を及ぼさない。なお、断ると当然の権利のように心証が悪くなる。 -またもやカットされた調略と軍団。 --今作では引き抜きや暗殺等の調略が存在しない。忠誠度が低い武将は自ら出奔していなくなるだけであり、引き抜かれたり寝返ったりはしない。前作の無印と同様に''クリーンな戦国''となっている。 ---よって、過去作で重要な意味を持った「知略」のパラメーターがほぼ無意味なものに。(今作の「知略」は決戦時の部隊の防御力と評定時の施政力の上昇に影響するだけ) --軍団の要素もカットされてしまい、すべての合戦を自分で行う必要がある。 ---宣戦布告して後は軍団に委任といった事は出来ない。 --そもそも前作の時点で調略や軍団をカットしたことによって非難を浴び、PKにて実装されたのだが、再びカットしてしまっては元の木阿弥である。 -操作に統一性がない(CS版) --今作はコマンドの決定/拒否の表記が「はい/いいえ」「YES/NO」等ではなく、「○/×」のアイコンとなっている。PS4版ではなんと決定が''△ボタン''であり、「○」のアイコンを見てついつい○ボタンを押してしまいがち。さすがに拒否は×ボタンだが……。 ---これだけならまだマシなのだが、○ボタンで決定するコマンドも存在しており、操作に統一性が全くない。一応○アイコンの上に小さく△と表記されてはいるが……。 ---Switch版にて決定がXボタンになっているため、そこまで機種間で統一してしまったものと思われる。 -外交 --金品を他国に要求しようとすると、なんと相手から条件として同盟締結を提示される。前作までは同盟を結ぶために金品や人質を渡したりしなければならなかったのだが……。 ---つまり同盟を結びたければ、''相手に金品を要求すればいい。'' --外交可能勢力の制限 ---隣接している勢力としか外交ができない。標的の向こう隣の勢力と共同で攻め込む、つまり「挟み撃ち作戦」をすることができない。 --リアルにしすぎた外交関係 ---特に「同盟国の同盟国」の扱いが非常に厄介。攻め込もうとすると、同盟国の心証だけではなく、無関係の周辺国にも「不義理な奴」と判断され、外交関係が一気に悪化する。 ---また、自勢力が大きくなる等で警戒されると同盟等の交渉が一切不可能になる。なぜ警戒されているのかは明言されず、同盟したくとも出来ないという局面に陥りやすい。 ---大名によっては狙っている城や地方が存在し、そこを支配していた場合は問答無用で敵視されて交渉すらできなくなる。尾張を狙う今川家といった史実の再現にもなりうるのだが、それを回避する為に心証を良くしたところで全く意味が無い。 --同盟の延長は''不可能''。一度結んだ同盟は期限が切れた後に結び直す形になるが、それまでに勢力が拡大する等で相手勢力に警戒されると経緯とは無関係に交渉を拒否されるため、結局戦う羽目になる。 ---前作『創造(無印)』でも発売当初は同じ問題を抱えており、アップデートにより同盟の延長が可能となったが、本作では無印では''同盟の延長が出来ないのは仕様''となり、PKにて実装される事となった。 --革新や天道で存在した「降伏勧告」のコマンドがない。一応、従属という形で従えることによる戦争の終結は可能であるが、徳川家や毛利家と言った有名な家は''何故か絶対に従属しない''ので結局攻め滅ぼさなければいけない。史実で秀吉がやった、従属という形での統一はほぼ不可能 -家宝入手がランダムイベントに --本作では[[家宝を自発的に購入することができず>信長の野望 覇王伝]]、家宝を入手するには献上品として家宝をくれる商人を待つしかない。 --ランダムイベントになったため、家宝のコンプリートが非常に困難となっている。 --他にも家宝を入手する方法は他大名が持っている家宝を交渉で譲ってもらうといった手段もある。 -プレイヤー以外の志の感じにくさ --プレイヤーとなる大名以外はセリフぐらいしか志システムによる変化を感じにくい。 ---志によってCPUのAIが変化するという触れ込みではあるが、それを感じさせる部分が少なく、結局は同じような勢力が同じような速度で勢力を伸ばしていく。 ---CPUの織田信長や大友宗麟のように、志によって商圏の独占を禁止する大名の場合はしっかりと反映されている為、独占を恐れずに通商を持ちかける事が出来るといった程度。 --配下武将にも志が設定されているが特に意味はない。大名ではない一部の有名武将も専用の志を持つが、無理やり大名を隠居させる等をしなければ志を感じられない。 -BGMの種類が少ない --政略フェイズ時のBGMは今作でも勢力の規模の大きさによって変わる仕様だが、特定の大名専用BGMは存在しない。それどころか&bold(){主人公である信長ですら専用BGMが存在しない。} -発売当初の惨状 --「創造」「創造戦国立志伝」と同様に発売当初は様々な要素が欠けており、アップデートによって対応されたものの大きく評判を落とす事になってしまった。 --決戦をスキップ不可能。どんな小さな決戦でも必ず操作する必要があり、ゲーム時間の大半が決戦で費やされる事になった。 --「開発」コマンドが無かったため、武将を集めた所でやる事が無く、ニートと化してしまう。能力が高い武将が居ても評定で発言しなければ宝の持ち腐れとなってしまうのも痛い所。 ---それまでのシリーズとは異なり、政治力の高い武将を奉行にして素早く領地を発展させるというものではなく、あくまで商人や農民に指示をするだけなので((農業は民の労力で、商業は商人に指示できる回数(方策で変化)までとなっている))、武将が多くなっても命令できる回数に変化がない。''評定と合戦と外交の使者以外に武将がいる意味はほぼなく''、せっかくのシリーズ最大数の武将数が生かされていない ---「内政」の高い武将が居ても商業や農業に影響を及ぼさないので、評定で発言しなければ死にパラメーターと化しており、先述の「知略」と並んで内政家及び謀略家として名を馳せた武将の影が非常に薄くなる結果となってしまった。 ---ある程度発展するまでは「''商圏に一回投資してターン終了''」といった、''まるでシリーズ初期のようなシンプル過ぎる内政''を強いられることもあった。 ---開発コマンドの追加によって、従来のシリーズのように武将を奉行に命じることが出来るようになり、内政家にようやく出番が出てきたという所か。 --商圏の一括進出、一括投資といったコマンドがなかったために、一つ一つの商圏を調べながら投資する必要があり、煩わしかった。 --本作では全国マップが前作の100倍高精細になったことをウリとしているが、発売当初は最大に拡大した上で特殊操作を挟まなければ高精細のマップを見られず、''売りにしていた割には誰も気づかない''という事態が発生していた。 ---アップデートで通常の操作でも高精細のマップを見る事が可能となったが、公式ページで紹介されている画面ほど奇麗なものではない上にさほど話題に上らないため、微妙な要素となってしまっている。 --絶対に滅ぼされない「''無敵講和''仕様」 ---こちらから講和を持ちかけるとその時点で要求される物資の基本量が決定されるが、なんと''敵には講和の拒否権が存在しない''。つまり状況によって決定された物資の量をこちらが所持していない場合、''必ず無償で許される''というバランス崩壊要素が放置されていた。 ---試しに夢幻シナリオの鈴木家で織田家から宣戦された直後に講和の使者を出して見ると、決戦もやらずにあっさりと無償講和が成立する。&br()また本能寺の変イベント後の明智でプレイすると、羽柴家からは大量の物資を取られることによって講和が成立(これ自体もおかしいことなのだが)するが、もう片方の柴田家との講和は、先ほど羽柴に物資を多く取られてしまっているので物資が払えず、今度は無償で講和が成立する。&br()敵に拒否権が無いことによる歪さである。 ---さすがに問題視されたのか、アップデートにより講和を断られるようになった。当然ながら宣戦直後や自家が不利な状態だと講和を持ち掛けてもはねつけられる。 -その他 --外交における「商圏の独占の解除を要請」等、一部死にコマンドが存在する。 --農地が人口を上回っている場合、流民はすべて農民になるという仕様であるため、戦争で大幅に人口が減ると農地が余ってしまい、流民が全く増えなくなる事が多々ある。 特に農兵を重視する長宗我部家などの大名家が徹底抗戦した場合、流民が増えるくらい回復するまでに''数年単位の時間がかかる''ようになってしまい、足軽を重視する大名家でプレイする場合の足かせになってしまう。 -行軍と兵糧消費、敵AIとのミスマッチ --今作は兵糧の消費が激しいデザインであるにもかかわらず行軍で無駄を強いられる場面が非常に多い。 集結地点に近い城から出た部隊は遠方から来る味方部隊を兵糧を消費しながら待ち続けるため、敵の領地に入り込むまでで既に大きな消耗をする上、軍勢に切り離しも存在しないため一度集結を完了するとその軍勢を用いて多方面の牽制に対応しなければならなくなる。 さらには敵はプレイヤーの出陣時の軍勢兵力しか見ていないため、大兵力で釣り出す→小兵力の別働隊を出し大兵力を解散する→''敵の大軍勢がこちらの小軍勢に延々と釘付けになり睨み合う''という笑える兵糧攻めが可能になる。普通、大兵力を動員していると数ヶ月で兵糧が底をつくため、あっさり敵を無力化できる。 さらに農兵の動員により保持兵力だけなら数倍の規模の相手と並ぶことが出来るため、上記の釣り出し兵糧攻めは格上にも十分可能。もう真面目に決戦やるのも馬鹿らしくなってきます。 -限定版商法 --『戦国立志伝』で味を占めてしまったか、またも限定版だけのシナリオを同梱するという展開をしている。 --前作は既にパワーアップキットもリリースされており「もう『創造』も最後」という見解で一致していたのに対し、今作はまだPK版発売とそれによる補完の可能性があった事から下手に手を出せず、一方で当初からシナリオの別途配信もしないと決定していたため、購入を迷うユーザーも存在していた。 ---そもそもシナリオの内容に関して、''一切の告知がなされていなかった。''これまでの様子から、全武将が結集する内容だろうと予想するユーザーも多かったが推測の域に過ぎず、かといってゲームにしか興味のないユーザーにしてみれば、シナリオ1本で4~5,000円の追加支出をする事となり、とにかく不安や不信感を煽る事になってしまった。 ---- **賛否両論点 -「決戦」の仕様 --ほとんどの決戦の勝利要因が「戦況ゲージを青一色にする」ことであるため、精鋭部隊を編制するより、烏合の衆で奇襲し、一気に戦況ゲージを振り切らせたほうが早い。 --さらには兵数による攻撃力や防御力の増減が全く無く、それでいて士気や戦況の変化まで同じであるため、大軍がまるで大軍の機能を有していない。ただの大飯食らいの部隊になっているだけである。~ おそらく兵力差を翻す、弱小でも耐えられる等のコンセプトによって設定されているのだろうが、それは不利側が出来る手が多いということで表現すべきあって、大軍と寡兵の戦闘力が同じという富国強兵の内政もへったくれもないただの接待プレイと化してしまっている。 ---潰走状態を攻撃されても兵力が減る量はそこまで多くないので大軍を完全に殲滅する事が難しく、攻撃をし続ける部隊を釘付けに出来るといったメリットはある。もっとも、挟撃され続けるとそれだけで戦況ゲージがみるみる悪化して決着がついてしまうので過信は禁物。 ---そもそもシリーズで初となる狭所による兵力の制限(兵力の同数化)、不利側が勝利すると戦意の大幅上昇(有利側は大幅減少)、勝利すると被害を与えた上で相手の参加部隊が全て解体、と不利側が優遇される要素がいくつもあるので、大兵力であることのアドバンテージが少なすぎる。 -攻城戦が存在しない --『創造 戦国立志伝』では存在していたにもかかわらず、今作ではオミットされている。包囲された城での戦いは守備側が打って出るという形になる為に野戦と変わらない。こちらもPKにて攻城戦が実装された。 -武将の顔グラフィック --『[[三國志13]]』と同様に有名武将には平時と合戦時の2種類のグラフィックが用意された。さらには前作の年齢による顔CGの変化にも対応している。 ---戦場では鎧を着る上杉謙信や北条氏康といった今までのシリーズでは描かれなかった点が表現されており、好評である。 --しかし、これにより織田信長等の有名武将ですら前作の使いまわしCGが存在するようになってしまったため、無理に用意する必要があったかどうかは微妙である。((信長は壮年期、武田信玄、上杉謙信は青年期が、北条氏康は平常時が前作の使いまわしになってしまっている。)) --また、マイナー武将に至っては相変わらず『天下創世』からの使いまわしである。 -チグハグな武将数とシナリオ --シリーズ最大となる2190人の武将が登場し、一条内政((一条兼定の嫡男。長宗我部元親に擁立された傀儡当主だったが、後に長宗我部家臣・波川清宗の謀叛に加担したため追放された。))や小野政次((井伊氏に家老として仕えるも、当主の井伊直親を謀殺し断絶寸前に追い込んだ。))など本作が初登場となった武将も存在する。 --前作の「創造立志伝」を引き継ぎつつさらに登場武将が増えた為、シリーズ最大数の武将が登場するが、シナリオは前作の「1535年信長の誕生」~「1615年大坂の陣」から「1545年川越夜戦」~「1582年夢幻の如く」と縮まってしまったため、1545年以前に死亡した「信長の誕生」シナリオに登場する武将は''「群雄集結」シナリオ専用の特殊武将扱い''。 --また、本能寺の変までしかシナリオが無い為、関ヶ原や大坂の陣で活躍する武将もほとんど出番がない。 ---もちろん、後年のシナリオでも武将不足になる事が無いという点でありがたいのだが、用意されているシナリオと登場する武将の範囲がちぐはぐである為、''武将は存在するのにシナリオが用意されていない''という印象を受ける。 --後に「1534年 信長の誕生」は有料DLCとして配信されたが、鉄砲伝来を除いて歴史イベントは一切なく、一部の武将は特定の時期になると''唐突に死亡ないし行方不明になる''((従来のシリーズでは歴史イベントが発生して、特定の武将が死亡する事等があるのだが、本作ではイベントそのものはないものの死亡だけはする。松平清康や今川氏輝等が該当))上にアップデートで修正されるまでは''鉄砲伝来前に鉄砲を生成、購入できる''((1534年シナリオ初登場の『覇王伝PK』ですら鉄砲伝来前だと鉄砲を購入できない仕様になっていた。))((修正後も、鉄砲伝来前に鉄砲に関する方策を思いついたり、台詞に鉄砲の事が出てくる事がある。この辺りも鉄砲が伝来するまでは徹底して存在を隠していた他の作品とは異なり、手抜き感が感じられる。))というという手抜き仕様。 ---後にPKにて歴史イベントが実装されたものの、無印には反映されず、唐突に大名が死ぬ現象は放置された。''同じDLCを購入しているのにもかかわらず''である。 --また、武将が必要となる場面が大きく減った為に存在感が薄くなり、先述のアップデートによる「開発」コマンド追加までは武将数が多いのにそれを生かすゲームデザインになっていなかった。 ---むしろ人数が増えた為に、寿命が近づいた武将(病臥に伏せるのと回復とを何度も繰り返すようになる)の病気の報告ばかりが来て煩わしさすら感じてしまうほどになる。 --歴史的イベントの詰めが甘く、PKになっても関ヶ原の戦いに島津のイベントが無い(そもそもいない扱い)になっていたり、大坂夏の陣でなぜか後藤又兵衛は生き残っていたりと非常にガバい。 ---- **評価点 -BGM --%%クソゲーのお約束というべきか%%BGMは良い。 --今作のBGMは引き続いて大塚正子氏が担当しており、壮大で聞きごたえがある。 -決戦の作り込み --『[[革新>信長の野望 革新]]』以降、合戦要素に関しては軽視される事が多かったが、本作では久しぶりに作り込まれた合戦システムとなっており、完成度は高め。 --これまでのリアルタイム制から、かつてのようなターン制に半ば回帰したようなシステムに好感を持つユーザーも意外と多い。 ---フェイズ制の採用は「合戦で指示を出しても、それをすぐに反映できるはずはない」という理にかなった考えによるものであり、ゲームとしてもきちんと先を読んで手を打つという戦略性の向上にも大きく作用している。 ---リアルタイム制による操作の煩雑さ、単純にアクション要素が出てしまい忙しいといった、近年のシリーズに付いていけないユーザーが主にフェイズ制を支持していた。 ---それぞれの作戦によって戦い方が大きく変わる為、敵の作戦を見破ったり、虚を突かれたりと遊びごたえがある。 ---「車懸かりの陣」「啄木鳥戦法」「釣り野伏」といった有名な戦法が作戦によって、その動きまで再現できるのも高評価といえる。 ---武将によっては専用の戦法が用意されている事もあって、かなり個性を感じられる。 -着眼点は非常に良かった。 --合戦を継続する事のリスクが大きくなった為、おいそれと武力統一は出来ず、惣無事令を目指すようなバランスとなっており史実に則している。 ---戦に勝ち続ける事で気勢が上がり、有利になる。講和する際も優勢だといい条件を引き出しやすくなるといった点が見られる。 ---兵糧の消費量が非常に多い為、勢力が小さい内は合戦は一年に一度しか行えないほどの一大事業となっている。 ---戦争を続ける事で流民が周辺の国へ逃げ込んだり、厭戦状態になり、民忠誠度が下がるといった表現がみられるようになった。厭戦状態になると敵国にもデメリットが発生する為にこちらからの講和を飲むようになるといったリアルな設定。 --武将の「政治」パラメータも「内政」と「外政」に分化されている。例えば足利義昭は各大名に信長包囲網を働きかけた事から外政が特に高いといった評価がなされている。これにより、優秀な外交官が表現できるようになった。 --『[[覇王伝>信長の野望 覇王伝]]』で見られた農兵と足軽の概念に着目している。『覇王伝』では戦争開始時にただ弱い兵を雇えるだけという表現だったが、本作では大名の志や方策によってうまく味付けされており、一領具足のような強い農兵も実現可能。 ---足軽の維持費は高い為、序盤ではほとんど農兵に頼る事になるが、商圏の発達により収入に余裕が出来るようになると自然と兵農分離を心がけるようになるといったバランス調整。 --商圏や外交の思惑についても、他家との関係性をより重要視したものとなっており、それも先を考えて行動するというシミュレーションゲームに適したものである。 ---他家との同盟を切り取っても、過去作では不可侵条約という意味合いが強かったが、本作では強制的に通商関係になる為、同盟を結ぶ事によって商圏に進出されるようになる。そうなれば収入は減るが、一方で市場競争による発展もあるため将来性も見据えなければならない。この為ただ単純に結べばいいというわけにはいかず、きちんと今後の動きも考えて適切な外交を取らなければならない((例えば他家の商圏において自家の影響力をのばす事で他家の収入を掠めるといった事が出来るが、あまりに投資し続けると、商圏の発展完了と共に独占されてしまい、収入源を失う事になる等))。逆に大大名家と手を結んで収入をあてにしてしまうといったように、場に応じてプレイヤーの手腕が問われるようになっている。 --大名の固有の志は史実に則した効果に加えて詳細な説明文が用意されており、説得力がある上に純粋に歴史の勉強にもなる。 ---志によってあらゆる台詞が変化する為、固有の志を持つ大名はかなり個性的。 ---- **総評 近年の信長の野望シリーズは「創造」「創造立志伝」とPKやアップデートなしでは散々な評価を受ける事が多かったが、残念ながら本作においても同様で、もはや''無印を発売日に定価で買うのは見えている地雷を踏みぬくようなもの''と思わせるような完成度である。~ 一歩進歩したもののその何倍も後退したゲームデザインはPKを前提とした未完成品にしか映らず、~ スマートフォン版の発売を意識した結果、''その全てが中途半端で薄い内容''となってしまい、[[三國志12]]と同じ轍を踏む結果となってしまった。~ 後に積極的なアップデートで多少は改善されたものの、またもやユーザーの不信を買ってしまった点は否めない。 しかしながら、コンセプトや着眼点は確かに光るものがあった。~ 実際、発表の場でのデモプレイなどに対する反応は良く、歴史表現としても純粋な戦略性としても、ジャンルの完成度をより高めるものだった。~ 即ち、新要素に限って言えば練り込みや配慮不足であった可能性も否定はできない。~ 発売を焦らずきちんと調整していれば…もしかすれば大きな志を成し遂げていたのかもしれない。 ---- **余談 -Amazonでのレビューの平均スコアはどのハードも約2と散々な結果となっている。 -信長の野望シリーズは廉価版が発売するまで値段が下落しないことで有名だったが、Switch版は5,000円前後、PS4版に至っては''発売から半年足らずで新品で3,000円前後''と投げ売り同様の状態となっている。オンライン認証が必須で中古品として売れないWindows版ですら、6,000円を切っている。 -本作の攻略本はコーエーテクモゲームス出版部ではなく、週刊ファミ通編集部から発売されている。 -オープニング前のovertureでの「信長の野望」ロゴが光るタイミングが前作までと比べて変更されている。 -本作の完成度が低くなった要因として、開発者が上記の通りスマートフォン版の発売を意識しすぎた結果、ゲーム性やUI等がスマーフォン向けソーシャルゲームに近い仕様になるという、CSのシステムと相性の悪い内容になった事が影響してるのではないかと推定されている。 ---- *信長の野望 大志 with パワーアップキット 【のぶながのやぼう たいし うぃず ぱわーあっぷきっと】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|&amazon(B07GWZJ3B5)|&amazon(B07GX4K2QY)| |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;Windows Vista/7/8/8.1/10|~|~| |発売・開発元|コーエーテクモゲームス|~|~| |発売日|【Win/Switch/PS4】2019年2月14日|~|~| |定価|【Win】11,880円&br;【Switch/PS4】10,780円(全て税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|~| |ポイント|改善点もあるが改悪点も多い&br;やっぱり劣悪なUI&br;シリーズ屈指の委任ゲー|~|~| ---- **概要(PK) 新たなシステムを引っ提げたものの、少なくない問題点からユーザーから批判が噴出し、クソゲーとしての汚点をつけてしまった『信長の野望 大志』(以降、無印)。~ それを経て、従来と同様にパワーアップキット(PK)が発表。コンセプトに「戦略ファースト」を掲げ、様々な要素の追加や既存の要素の変更等が行われた。~ 無印が最悪に近い評判だったために、半ば諦める声も多かったのだが… **追加要素(PK) ''地方モードの追加'' -『[[革新>信長の野望 革新]]』の同名のモードとほぼ同じであり、好きなシナリオを選び地方を限定してプレイするモード。 --同盟関係はリセットされており、一部の方策の条件も緩和されている為、単純なスケールダウンではない。特に外交関係のリセットにより思わぬ勢力が伸びる事もある。 --地方をクリアするごとに仮想シナリオや新武将用の顔CGが解放されていく。 ''初志言行録の追加'' -どの大名でも発生する「言行録」で、「〇個以上の商圏に進出する」といったクエストを達成する事で金銭や感状といった報酬が貰えるよになった。 -初心者向けのチュートリアルであると同様に、資源の厳しい序盤にはありがたい要素でもある。 ''調略要素の追加'' -密使を放って忠誠度の低い敵武将の心を揺さぶって密会を行い、様々な条件を提示して内応を試みることが出来るようになった。 --密会では話題を振って敵武将の心証を良くし、成功率を高めるか、いきなり本題に持ち掛けるかを選べる。 --武将によっては「金銭」や「家宝」の他、「城主確約」や「お家再興」といった事を条件にしてくる。当然ながら内容によって成功率が変わる。 --内応を約束した武将は6ヶ月以内に引き抜けるが、放置する事で情報を横流しして「施政力」を高めてくれたり、他の武将にも話を持ち掛けるといった事もしてくれる。~ 戦場にいる際も、所属部隊の混乱や潰走させつつこちらに着くのでかなり強力な効果となる。 ''感状の追加'' -領地を広げる、初志言行録を達成する等で、「感状」が手に入り、恩賞として配下に渡す事が出来る。 --これにより忠誠が上がる為、調略での引き抜き防止にもなるが、しばし''古参が活躍して手に入れた感状を新入りに渡して忠誠心を高める''という意味不明な絵面になる。 ''チュートリアルの独立'' -無印ではゲームの進行と同時にチュートリアルを行う形式だったが、旧作と同様に独立したモードになり、真田親子の寸劇を交えて様々な要素の解説を見る事が出来るようになった。 -基本的に変更は少ないものの、決戦の仕様などPKで変更された部分も解説してくれるので一見の価値はあり。 ''大命の追加'' -施政力に新たに「大命」の要素が追加され、大命の施政力と他の施政力を使うことで、任意のタイミングで大名の志に応じた「大命」を使える。 --一時的に兵士のLvを上げる、「足軽(農兵)精錬」や募兵の速度を上げる「徴兵号令」等、大命を発する事で一定の期間、戦争や政略のいずれにも有利になる効果が得られる。 --固有の志を持つ武将の場合は専用の大命を持つ。本願寺家の「一向一揆」や足利義昭の「合従の御内書」で強制的に指定大名に包囲網を張るといった事も出来る。 ''シナリオの追加'' -本能寺の変後のシナリオである「小田原征伐」「関ヶ原の戦い」「大坂の陣」が追加され、歴史イベントも多数追加された。 --無印からのDLCシナリオである「信長の誕生」にも専用のイベントが追加されており、従来のシリーズに近くなった。 ''攻城戦の追加'' -城攻めの際に攻城戦になり、方針や配備を決めて戦闘を行うようになった --主に「攻撃」「強攻」「兵糧攻め」の三つの方針で戦闘を行う。条件が整えば金銭を使う事で「水攻め」や「土竜攻め」を行って落城を速める事も出来る。 --また、戦況に応じて降伏を持ちかける事が可能となり、武将を「全面解放」して城を明け渡したり、「城主降伏」等を持ち掛ける事が可能。条件に応じて成功率が変わる。 --政略画面でも城に様々な改修を行う事が出来るようになった。包囲されても安全に脱出が出来る抜け穴など、用途に応じて改修を行う必要がある。 --操作する場面は少なく、攻め方を指示して後は自動で進む形になっている。 ''演出面の追加'' -老年の北条氏康や氏政等の複数の武将に新たに書き下ろしCGが追加された。 -BGMの追加。 --無印では主人公の信長にすら専用BGMが無かったが、織田家、武田家、真田家に専用BGMが追加された。 -包囲網の強化 --今までのシリーズでは終盤に発生する事が多かった包囲網だが、今作の場合は序盤でも勢力が突出すると包囲網を敷かれる事が多々あり、兵糧不足と相まってかなり苦しくなる。 -シナリオの編集 --『革新』や『天道』で見られた全国の大名の配置換えを行う「国替」機能の追加、開始時の大名を配下武将から選択する「大名変更」、新武将による新勢力の作成といったシナリオカスタマイズ機能が新たに実装された。 **変更点(PK) ''評定の変更'' -無印では「評定に参加する武将はランダム」「何を提案するかもランダム」と使いにくい仕様だったが、~ 参加する武将を選べるようになった上に重視する項目を二つ選ぶ事も出来る。~ これによって、上げたい施政力を狙って溜めやすくなった為に非常に使い勝手が格段に良くなった。 --この仕様変更により、一部の方策の効果も変更されている(新参や古参が出やすくなる方策はそれぞれの発言力が高まるという効果に変更) --方策も、「特定の武将の登用」が条件となっている固有の方策の条件が緩和され、特定の個性や能力を持つ武将を複数集める事でも解放可能となったので自由度が高まった。 ''決戦の変更'' -『[[創造>信長の野望 創造]]』と同じく、無印とPKで''新たに戦闘システムが作り直された''と言ってもいいほどに変更されている。 --最も大きな変更点として「フェイズ制」から「リアルタイム制」になった。 --戦闘開始の際に「軍議力」を消費して「罠」や「軍施設」に加え、無印でも存在した「作戦」を決める。「作戦」は条件が整っていれば任意のタイミングで発動が可能。 ---無印では移動しない事で未配備の兵が合流するシステムだったが、PKでは「狼煙台」が健在ならば徐々に兵が合流するようになる等のルールの変更もある。 --武将の「戦法」は合戦中に溜まる「戦法ゲージ」を消費して行う。勢力内で共通するゲージを使用するので『[[三國志13]]』の戦闘システムと同様。 --勝敗の条件が「戦況ゲージ振り切り」から「総大将の壊滅」のみに変更された。戦況ゲージはあるものの、振り切っても戦法ゲージが伸びやすくなる効果にとどまっている。 --また、フェイズ制に切り替える事も可能だが、一定時間毎に停止して操作を決める事が出来るだけで、''無印のシステムのフェイズ制の決戦に戻す事は出来ない''。 ''委任の改良'' --委任コマンドが改良されており、あらゆる要素の部分委任が可能となり、また、特定の金額を下回らない様に委任するといった融通が利くようになったので非常に使いやすくなった。 ---足軽を重視したり、商人街だけを建てたい、特定の国だけは直轄で配備を行いたいといった痒い所に手が届く仕様になり、利便性が高い。 **評価点(PK) -委任が優秀 --委任コマンドが強化された事と、無印にも存在した決戦のスキップ機能が改良されており、自動戦闘での損害が実用に耐えうるレベルまで改善されているのでCPUに任せる事で大分楽が出来る。~ 特に「指揮なさらずとも勝てる」と判断された場合は戦わなくともいいので、極端な話、負けない程度に兵をそろえて決戦をひたすらスキップするプレイでもクリアが可能。 --方針や部分委任の追加により、融通が利くようになったので、ある程度の方針を定めて大半をCPUに任せるだけでプレイヤーの負担はかなり軽減される。~ 特に農業や開発コマンドは勢力が大きくなると手間がかかり過ぎるのでひたすら委任に任せた方が楽である。 -後期シナリオが追加された --無印のように武将は用意されているのにシナリオが無いといったチグハグな点が改善されている。 ---ただし、「1534年 信長誕生」は無印と同様にDLCなので、何も導入しなければ「1545年川越野戦~1614年大坂の陣」までとなる。 -評定や施政力システムの改善 --内政家がちゃんと自分の分野で活躍できるようになり、大命の為に施政力を残しておく選択肢も生まれた。 -大命の追加 --一大決戦を前に戦力を底上げする、闇商人から安く米を仕入れる事で序盤の兵糧難を乗り越えるといった工夫が可能になり、施政力の使い道が増えた。 **問題点(PK) -一部の大命が凶悪 --特に強制的に講和を結ぶ今川義元の「雪斎の教え」や、本願寺家の「一向一揆」、特定の勢力を包囲網の対象にする足利義昭の「合従の御内書」が凶悪。 ---「雪斎の教え」は必要施政力の少なさの割に効果が強烈なので、CPUの今川家を少しでも追いつめると、即「雪斎(ry」で半年を無駄にされるのでテンポが悪い。無印に存在した土下座講和のようないやらしさがある。 ---「一向一揆」は本願寺家に領地が隣接していると定期的に発動され、領内の施設や内政値、兵数がぼろぼろにされる。「一向一揆」自体は従来の作品でもあるが、本作の場合はかなり強力。~ 防ぐためには本願寺家と同盟を結ぶなどの友好勢力になるか一気に滅ぼすしかないのだが、攻めると本願寺家の友好勢力から一斉に目の敵にされるので殊更つらい状況になる。 --効果自体はそれぞれの大名の個性が出て良いのだが、払うコストが安すぎるので連発できてしまうのが問題。 ---一向一揆は「農業:5 軍議:5 大命:60」で、「雪斎の教え」は「論議:20 大命:80」で発動可能。大命の施政力は大命以外では使用しない上に評定の意見を取り入れていれば自然と溜まるのでほぼ無視できるレベル。 -シナリオのボリューム不足 --無印に存在するシナリオの追加DLCは導入されていないので買う必要がある。前作のPKや『創造 戦国立志伝』では、発売時に配信されたDLCによるシナリオが全て入っていただけにボリューム不足が否めない。 -決戦の仕様変更 --勝利条件が「総大将の殲滅」のみになってしまった為に寡兵で大軍に勝つ難易度が跳ね上がり、かつ兵力の消耗がより激しくなった為に弱小勢力の生き残りの難易度も跳ね上がった。 --戦法を使用するのに戦法ゲージが全武将で共通化された事により、コストが高い戦法がほとんど使えなくなってしまった。無印ではランダムではあるものの状況に則した戦法が出る事が多く、ドラマが生まれる事が多かっただけに残念な点でもある。 ---弱小大名プレイの場合、そもそも北条家や武田家等の強国は交渉を受けて入れてすらくれないので従属も出来ずに決戦の仕様変更により勝つ事も難しいので無理ゲーになりつつある。 ---戦法ゲージが溜まる速度が異様に遅いので色々と戦法を使って戦局をひっくり返しづらくなったのも難点。様々な軍施設や大命でテコ入れしなければ有名武将の固有戦法はほとんど使えずに終わってしまう。 --新たに追加された「罠」は''こちらが仕掛けた罠はまるで見えているかのように避けられ、敵の罠は狙いすましたかのようなタイミングで発動する''為、ただストレスが溜まるだけの要素になっている。 ---『三國志13』といった、似た戦闘システムで罠を採用した作品はあるが、そちらではちゃんと敵を罠にはめれるのでシステムとして機能している。ほぼこちらしか喰らわないような要素を追加された所で苦痛なだけである。 --『[[創造PK>信長の野望 創造]]』と同様に合戦がPKで作り直されているが、評判の悪かった『創造』の会戦を一から作り直したのとは異なり、無印の決戦は新たなシステムに挑戦して一定の評価を得ていた部分もあったが、そのほとんどが切り捨てられてしまった。 ---結局のところ、『[[嵐世記>信長の野望 嵐世記]]』『天下創世』といったこれまでのシリーズのリアルタイム合戦に近くなり、無印での色々と目新しかった要素は埋没してしまった。 ---''時間制限もなければ退却も出来ない''ので負けるとほぼ壊滅状態になり、被害が大きすぎる。加えて総大将をひたすら追いかけっこするといった戦いになる事も多い。 -攻城戦 --基本的にプレイヤーがやる事は最初に指示を出して落城するまで待ち、たまに降伏勧告をかけて落城を速めるぐらいなので、最初の数回城を落としたら後は委任するような要素になっている。 ---城主や武将を登用出来るチャンスでもあるのだが、前作からの仕様で大名を滅ぼせば問答無用で全員が降るのでありがたみが薄い。 --攻城戦から通常マップに戻る際にカメラの向きがメチャクチャになり、何故か地図が上下反転する等、不快に感じやすい要素がある。 -無印から引き継いでしまった問題点 --内政の変更点はほぼ無し。建設出来る施設が増えるといった追加点もないので、無印の時点で内政が物足りないプレイヤーには相変わらず不評である。 --決戦の際は「多数の城から軍が集結してから移動する」が、相変わらずプレイヤーが多方面から出陣すると対応しきれずに軍を解散したり、一方に釣られている間に手薄になった城を落とし放題になったりと問題が多いままになっている。 --''劣悪なUIはほぼ据え置き''。困った事に新たに追加された画面や機能も、アイコンでしか表示されないので気付き辛い。 -エディット要素が物足りない --よく言われるのが「志」や「戦法」の編集が出来ず、新武将に個性を持たせ辛い。 ---同社の『三國志13』ではPKにて既存の戦法をベースに新たな戦法を作成し、新武将に固有の戦法を持たせる事も可能だったのでこういった事が出来ない点が惜しまれる。 ---特に「志」も特性を自由に組み替えたり、説明文を変えるといった事が出来れば新たな楽しみ方を見出せるのだが… **総評(PK) 前作のPKは「無印でユーザーから不評だった部分を徹底的に直してパワーアップ」といったデザインだったが、本作のPKは過去作のPKの要素の焼き直しをつけ足し、ただただ『創造』に戻ろうとしてしまった印象が強い。~ 新要素や改変要素によるゲームバランスの悪化も見られるばかりか、本来の「戦略ファースト」に合致していた部分さえもが、その煽りで土台を揺らがせる格好となってしまった。~ なまじ委任の使い勝手が改善された事も相まって、ゲームの大半部分を委任に任せて進めればテンポ自体はよく、 全国モードであっても一日でクリアする事も難しくはないのだが、達成感そのものが薄い。~ かといって、委任に頼らなければ施設の開発や開墾、ひたすらストレスが溜まる決戦など、面白くない要素を延々とやり続ける事になる為、苦痛である。 無印の評価が最悪であった為、パワーアップキットで盛り返した前作のように期待される声もあったが、残念ながらPKをもってしても無印の悪評を覆せたとは言い難い作品になってしまった。 **余談(PK) -実は当初は2018年11月発売予定だったが、現在の発売日に延期されている。 --これまでの本シリーズは、無印版の発売から約1年後にパワーアップキットが発売されていたが、それが叶わなくなったのも無印版の問題点の多さ故か。 -発表に際したプロデューサーへのインタビューにおいて、「パワーアップキットの役割」という話題が挙がっている。 --その中でプロデューサーは「アップデートは『改善』、パワーアップキットは『追加』と目的は異なる」と述べ、更にインタビュアーが”PK待ち”というワードで鋭く切り込むと、~ 「PKありきで企画をしているわけではなく、待つのはもちろんユーザーの自由」~ 「PKの役割をアップデートで担うという時代の変遷もあり、その形が続くかは分からないと個人的に思う」~ と答えている。 ---無印版での調略要素などのカットに対する反応や開発コマンドの追加を見ても、既にパワーアップキットがアップデートに取って変わりつつある現状は否定のし様がないものである。

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