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*ペルソナQ2 ニュー シネマ ラビリンス 【ぺるそなきゅーつー にゅー しねま らびりんす】 |ジャンル|RPG|#ref(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71eSD4gAXcL._SL1000_._SL160_._SL160_.jpg,,http://www.amazon.co.jp/dp/B07G51YT9X/)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|アトラス&brランカース|~| |発売日|2018年11月29日|~| |定価|6,980円(税別)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|RPGとしての戦略性は前作から大きく向上&br;ワンパターンなシナリオ&br;地図の操作性が悪く、迷宮攻略の楽しさには欠ける|~| |>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズリンク>女神転生シリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[世界樹の迷宮シリーズリンク>世界樹の迷宮シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 [[ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス]]の流れを汲むペルソナシリーズのお祭りゲー第二作。~ 同時に事実上3DS最後の「世界樹」シリーズでもある。 ---- **ストーリー(公式サイトより) 映画の世界に囚われたペルソナ使いたち。~ そのカギを握るのは一人の少女…? メメントスにて突如モルガナカーが制御不能の大暴走!?~ 不思議な空間へ吸い込まれ、たどり着いたのは、見知らぬ敵が闊歩する謎の街。~ その場を間一髪で脱出した怪盗団が、次に迷い込んだのは出口のない映画館だった。~ そして、映画館で出会った、白い服を着た黒髪の女性ナギとうつむきがちな少女ひかりに映画の中から出てきたことを告げられる。~ 迷宮のような映画世界(ラビリンス)。そして映画の中で、導かれるように出会う同じ力(ペルソナ)を持つ者たち。~ 怪盗団は、映画館から抜け出すことができるのか…? ---- **前作からの追加・変更点 -参加作品に[[ペルソナ5]]が追加。 --前作同様、パーティ加入メンバーは全員参戦。 --既存作品からは[[ペルソナ3 ポータブル>ペルソナ3#id_9349dcf0]]の女性主人公が参戦している。オリジナルキャラクターは登場せず、プレイアブルキャラクターは28人(ナビ3人含む)となった。 -拠点での回復方法の変更 --前作では回復する場合、保健室のエリザベスにお金を払う必要があったが、今作では迷宮からの帰還時に自動で全快するようになった。 -前作で不足しがちだったサブペルソナの所持枠は最大24まで増加。 -絶好調状態 --迷宮突入時、たまに誰かが絶好調となり、ダンジョン突入前に話しかけてくる場合がある。同時に複数人が絶好調になることもある。 --該当キャラはサブペルソナによるHP・SP増加ボーナスが更に増加するため、継戦能力が向上する。経験値も増える。 -「特別上映」 --特定のキャラ達によるサブシナリオ形式のミッション。ミッションごとに「メインキャスト」が設定されており、その特別上映のステージに該当キャラを連れていくと確定で絶好調の状態になる((指名が存在する一部の特別上映を除き、メインキャストに設定されたキャラを必ず入れる必要はない。ただし、該当キャラ以外は迷宮突入前の絶好調コメントがあった場合でも状態が普通になる。))。 ---報酬は「協力技」の習得やベルベットルームの住人とのサブイベントの解禁等。 -「協力技」 --メインイベントや「特別上映」で習得する。相手の弱点を突く、またはクリティカルを出した際にランダムで発動し、相手に追加ダメージを与えつつダウンを取る事が出来る。 --協力技発動には誰か一人が戦闘に参加している必要があり、使用可能な協力技が複数ある場合はランダムに選ばれる。 ---また、ナビの協力技として味方全員のSPが大きく回復するものもある。ただし、当然ながら技の開放は終盤となる。 -戦闘関連 --前列後列のダメージ補正が削除。 --協力技は該当メンバーの誰かがパーティに居れば発生する仕様に伴って、追撃は控えのキャラが行うようになった。 --属性が銃撃を除いたペルソナ5準拠のものに変更。物理属性の統合化と核熱・念動属性並びにエイハ・コウハ系の追加。これに伴い、P5以外の一部メンバーもこれらの属性技を習得するようになっている。そのため、キャラクターの使用感は前作と大きく異なる。 --ダウンと総攻撃の仕様が変更。ペルソナQでは弱点を突いた際にランダムでダウンが発生していたが、今作では確定で発生する。総攻撃の条件は「ブースト状態の人数に応じて確率で発生」ではなく、「すべての敵がダウンした時に必ず発生」に変わった。ダウンさせても敵の行動を封じることができなくなった一方、総攻撃を戦略に組み込むことが容易になっている。 --ナビの支援スキルとしてP5の「バトンタッチ」も追加。ナビが誰であっても使用可能であり、パーティゲージを2消費する。使いすぎるとあっという間にゲージが枯渇してしまうので、ガンガン使っていけたP5とは違い、戦略の切り札としてピンポイントで使う必要がある。 ---効果は「対象キャラのブースト状態を他人に譲渡できる」というもの。ブースト状態はスキルの発動コストが0になり行動速度もアップするため、「速が低い味方をすばやく行動させる」「発動に必要なSPが多い万能属性のスキルを使用できる味方に渡す」など、様々な使い方が可能。 --前作で「雑魚はとりあえず直斗でおk」と言われるほどに猛威を振るったハマ系とムド系は、確率の調整と自動発動スキル「不浄の手」の削除により弱体化された。その一方で、今作はF.O.Eが撃破から1週間経過すると復活するという仕様もあってか、即死系が有効なF.O.Eが前作と比べて増加している。 -イケニエ合体 --サブペルソナ1体を消滅させ、そのペルソナの強さに応じた経験値の入手とスキルの継承が出来るシステム。これを用いペルソナ(メイン・サブどちらも)のレベルを一気に上げてスキルを覚えさせたりすることができる。 -音楽 --OPは「ROAD LESS TAKEN」」。EDは「colorful world」。 --通常戦闘BGMは新曲4種であり、ランダム再生かいずれか1曲のみを再生するか選べる。 ---- **評価点 -キャラクターの増加 --特に前作で「どうして居ないんだ」と嘆かれていたP3P女性主人公の参戦発表は、驚きと歓迎の声を持って迎えられた。 --また、原作の設定の都合で「浮かないか」と不安視されていたP5の明智も、探偵王子繋がりで主に直斗と絡んで推理役を担当しており、上手くシナリオに溶け込んでいる。明智自身も思う所がないわけではないような描写もあり、上手くお祭りゲーに落とし込んだと言える。 --パーティーメンバー25人・ナビ3人の大所帯ながら、習得スキルやステータスはしっかり差別化されており、全員に明確な長所がある。誰かの下位互換だったり、明らかに弱いキャラクターは存在しない。 -シナリオ --無視できない問題点こそあるが、謎の少女「ヒカリ」を中心としたシナリオは引き込まれるものがある。最後にペルソナシリーズ恒例の熱い展開も用意されている。 --前作のオリジナルキャラ「善と玲」と異なりヒカリはパーティーメンバーではないが、そのことを活かしたシナリオ上の出番があり、しっかり活躍する。ストーリーを通して大きく成長するため、ゲームを始める前後では印象が変わって見えるだろう。 -デザイン --前作同様デフォルメデザインのペルソナ使い達のキャラデザは好評。イラスト、3Dどちらも違和感のないデザインとなっている。 --UIもP5の路線を受け継ぎ、前作と比較して圧倒的に凝っている。 ---戦闘時の操作方法も少し変わっている。慣れないうちは誤操作を招きやすいが、慣れれば少ないボタン操作でコマンドを選べるようになる。 -以前と変わらない良質なクロスオーバー要素 --現時点でP3Pを含んだペルソナ3~5が共演する唯一の作品であり、作品の枠を越えた会話などお祭りゲー、キャラゲーとして質が高く仕上がっている。本作のみでしか味わえない交流というのも評価の一つである。 ---特別上映では相性が良さそうなものから意外なものまで様々な組み合わせの交流が一本の短編として描かれているほか、本編でも色々なキャラクターが交流する。この点は前作に引き続きしっかりしている。 ---3、4、5主人公同士の大食い対決や4、5主人公の釣り対決など各ゲームのサブ要素を共通の話題として盛り上がることも。 ---仲間達も委員長同士や相棒繋がりなどあるあるネタで盛り上がる。共通点を持つキャラクター同士は「連携技」を習得する場合がほとんどであり、バトルでも息の合った攻撃を見せてくれる。 ---4主人公と5主人公のバトルなど盛り上がる展開も搭載されている。特に5主人公が自己紹介の際に「&bold(){よろしくダホー}」と言って、4主人公が「&bold(){オレサマオマエマルカジリ}」と答える等のワイルドあるある((前作でも3主人公と4主人公で同じようなやりとりを見ることが出来た。))は笑わせてくれる。 --5主人公のジゴロな選択肢もチラホラ。最大9股できる公式で女難とされる5主人公であるが、今作ヒロインのヒカリに「迷惑かけてゴメンネ」という言葉に「&bold(){可愛いからオッケー}」と答え、モナから呆れられ、女性陣からは「&bold(){女の子を泣かせるようなことをしないよね}」と釘を刺される爆笑物の展開もある。その後、3主人公と4主人公から気をつけてアドバイスされるのも笑える。また、自我に目覚めたロボットに「&bold(){べっきぃ}」((『P5』におけるとあるコープキャラのあだ名。))と名付けようとすることも。 --ささやかではあるが、初期作品であるペルソナ1、2を彷彿とさせる要素がある。 -豊富なボリューム --『1』と比べては短いという意見があるが、それでもクリアには50時間〜100時間程度を要し、3DSのRRGとしては中々のボリューム。 -前作に引き続き、良質なオリジナルBGMやOPも健在。 --OPは各メンバーたちが動き、4主人公達が戦う姿はまさに夢の共演、お祭りゲーらしい楽曲と映像となっている。前作同様伏線が張られており、クリア後に見ると理解が深まる。 --更新データを適用することで待望のランダム再生機能が追加された点も好評((実装当初はランダム再生機能が働かない不具合があったが、現在は修正済み。))。 --4種の通常戦闘曲は、それぞれP5・P4・P3・P3Pをイメージした内容で、原作と同じアーティストによる編成となっている。実質的にそれぞれの作品の新曲が追加された形であり、いずれも完成度が高い。 -メインペルソナのスキル編成が自由にいじれるようになった。 --レベルアップ時にはサブペルソナ同様、どのスキルに上書きするかを自分で選べるようになった。前作では勝手に上書きされるため、全体攻撃魔法が上位の単体攻撃魔法に上書きされて実用面で不便になったり、残しておきたい補助スキルが消されてしまったりという事が起きていたが、それらもプレイヤーの判断で対処可能となった。 ---またイケニエ合体を用いて好きなスキルを付けられるようになったため、かなり好き勝手に自分好みのペルソナに育成出来るようになった。 --それだけに、サブペルソナと違って育成しなおしが出来ないのが後述のように問題にもなってしまったが。 -システムの改善点 --拠点の回復は手間が減って便利になった。HPを低くすることで成立する戦法が無かったこともあり好評。 --サブペルソナは枠が増えてかなり取り扱いが自由になった。 ---それでも足りなく感じる時もあるが、そこはプレイ選択の幅だろう。 --ショップにアイテムを預けられる点も非常に好評。ただし、後述の通り問題点も存在する。 --下画面の地図作製UIに、好きなアイコンを6個セットできる自由枠が追加された。これにより、頻繁に使用するアイコンを置くのにいちいち右下アイコンパレットを展開する手間が省けた。 -戦闘システムの変更 --前列後列のダメージ補正の削除や属性の追加、属性の都合上即死技ばかりだったメンバーにも攻撃技が追加、難易度RISKY以外では主人公を隊列から外すことも可能になった等のバランス調整が施され、パーティ構成の自由度が前作よりも増した。 --サブペルソナの入手手段もレアモンスターの撃破が条件に変わり、サブペルソナ収集の面では即死が使いづらくなっていた点も改善された((前作ではサブペルソナの入手確率が「戦闘終了時のブースト状態の味方の数」に比例していたため。))。 --前作で使いづらかったスキルやキャラクターにもテコ入れが図られている。 ---消費SPが見直された攻撃魔法、速の値が大幅に増え使いやすくなったクマ等。 --総攻撃の条件が「敵全体のダウン」となったため、弱点を突く攻撃を1発外すリスクが大きくなった。相対的に命中率の高い攻撃魔法の優位性が上がり、物理偏重のゲームバランスは少し改善している。祝福・呪怨に物理スキルが無いことや、終盤になるとSPを全回復する連携技が解禁されることも追い風。 -レベル格差対策 --順次加入することと参戦キャラが増えた事を考慮してか、ワイルドレベル(全キャラクターの中で最も高いレベル)まで一気にレベルアップできるアイテム「成長の香」がストーリー通して10個ほど手に入る。好きなキャラを一から育てなければならないということは無い。 **賛否両論点 -P3P女性主人公偏重のシナリオ --今回新規参戦でかつ、P3主人公との同時参戦という事で特殊な立ち位置にいるため、その代わりにシナリオ上ではかなり大きな扱いを受けており、サブシナリオを含めてP3P女主人公の出番が非常に多い。これだけ出番があるなら主人公にしても良かったのではという声も。 ---参戦状況的にこれでバランスが取れているとも言えるのだが、そのP3P女主人公が&bold(){元々天然気味で口が悪い}((他の主人公にも言えることだが、原作におけるP3P女主人公の台詞は選択肢で選ぶ方式であるため、原作においての性格は各プレイヤー間で認識の齟齬も存在する。))という少々癖が強い性格をしており、これが苦手な人や他作品をメインに買ったユーザーからは贔屓と取られたりと意見が割れた。 --また、彼女が好きなプレイヤーにも楽しめない部分もある。今回、P3P女性主人公はパラレルワールドから来たペルソナ使いということであり、&bold(){P3の仲間とは面識が無いという設定である。}そのため、なんだかシナリオで彼女だけ浮いているという雰囲気が否めない。また、テオドア以外に彼女と仲間のやりとりや彼女のキャラを知っている人間がいないため、他の新しいメンバーとのやり取りが薄く、クロスオーバーとしてもイマイチになっている。 -属性の増加 --前作から属性が増えた分、シャドウの弱点を探るのに手間がかかるようになってしまった。 --3種に分かれていた物理系の属性は統一されたが、シリーズの伝統として物理弱点の敵は少ないのであまり意味はない。一方で魔法系は念動と核熱が追加、さらに祝福(光)と呪怨(闇)が普通の攻撃属性と同じ扱いに。物理を除く属性相性をすべて開示するには原則8回攻撃せねばならず、なかなか大変。SPを大幅に消耗したり、途中で返り討ちに遭うリスクも大きい。 --ペルソナとシャドウが同じ存在だった「ペルソナ5」本編には「シャドウを仲間にすれば相性全開示」「見た目から多少は弱点の察しがつく」という救済要素があったが、これが丸ごと無くなっているので面倒さだけが残る形に。 ---敵の攻撃を耐えつつ弱点を探る緊張感自体は、人を選ぶものの面白い要素である。今作はダンジョン離脱後の回復が無料になっているので、後先考えずにSPを消費して弱点を探る戦術も取りやすい。 --ダンジョン探索に当たっては5人パーティ(ペルソナ10体)で8属性を網羅し、どんな敵が来ても総攻撃を狙える編成が理想となる。戦略性は高いが、育成・編成の幅を狭めている側面もある。 -前作の「直斗ゲー」を彷彿とさせる要素 --その要素と言うのが「○封じ」系の状態異常3種類全てを中確率で敵一体に付着させる明智の専用スキル「探偵の戒め」。効果こそ「サロメの口づけ((敵一体に高確率で三種類の封じを付与するスキル。))」の下位互換であるものの、これを明智が&bold(){僅かLv15で習得する}ため、前作の「雑魚はとりあえず直斗でいいや」と同じく、ボス戦メンバーに明智が固定化されやすい。そのため「性能に対して習得タイミングが早すぎる」という意見と「中確率である事と本人が封じ強化スキルを覚えない事を考えると救済措置だ」という意見で賛否が分かれている。 **問題点 ''シナリオ面'' -飽きやすいメインシナリオの構成 --&bold(){本作最大の問題点。}「大衆の意見に流されるのではなく、個人の意見をきちんと主張する事が大事」というテーマ自体は悪い物ではないが、メインシナリオは全てその話ばかりで、テーマの掘り下げや話の展開がない。扱う舞台設定や配役こそ違えど、個の主張や個性を否定される似通ったシナリオの繰り返しがラストダンジョン直前の第4シアターまで行われるため、食傷気味になって途中で飽きてしまいやすい。評価点の通り良い点もあるのだが、それ以上にこの点が印象に残りやすく、2周目をプレイする気力が湧きづらくなる要因にもなっている。 ---前作も一貫したシナリオではあったのだが、ダンジョン探索に置いてはほぼシナリオはなく、ボス撃破後に軽くシナリオが入りそれが繋がる形だった。なので、シナリオ面が補強された形ではあるのだが、結果としては悪い方向に補強してしまう形になった。幾多あるRPGの中でも「高い構成力のストーリー」がペルソナシリーズの魅力であっただけに、この点はかなり目立ってしまっている。 -メインテーマの矛盾 --「大衆の意見に流されるのではなく、個人の意見をきちんと主張する事が大事」というテーマだが、見方を変えると大勢のペルソナ使い達が、ヒロインのヒカリにそのテーマを押し付けているだけで、結局のところ「ヒカリが多数の意見に流されてしまう」という本質は変わっていないという指摘もある。 --実際のところ、シナリオの趣旨は「大衆が賛同しているからといって、&bold(){正しくない(と自分が思う)ことに}同調してはならない」というものなので、その主張を受けてヒカリがペルソナ使い達と同様の信念に達すること自体は矛盾ではない。だが、28人もペルソナ使いが集まっておきながら、誰一人として大衆側の心理に共感を示したり、ヒカリの事情を気にしたりする者がいない様子は、同調圧力をかけていると取られても仕方がない。 -主人公がP5のジョーカーで固定 --前作ではP3とP4両方の別シナリオが用意されていたが、本作でのプレイヤーの分身はP5主人公で固定になった。 ---前作での主役がP3とP4だったため、今回P5がメインになるのはおおよそ妥当と言われているが、それでも主人公が一人に減ってしまい、2周目の変化も少なくなってしまったのには残念な声が多い。 --また、あまりシナリオにも関わって来ないので空気になりがちとの声も。 ---主人公にもかかわらず最高難易度の『RISKY』モード以外では戦闘メンバーから外すことが出来てしまうのもそれに拍車をかける。 -P3勢の出番の遅さ --参加作品が増えた関係で、順次登場する都合上どうしても参加が遅れる作品が出るのは仕方ないのだが、その割を食ったのがP3勢。特にP3主人公とアイギスはP3P女主人公との対比もあり、登場が最も遅く、P3主人公は会話イベントなども目立って少ない。 ---ダンジョンの数も前作から増えたわけではないため、P3勢はシナリオ上の出番も少なくなってしまっている。 -キャラクターの増加に対してそれを扱い切れていないシナリオ --前回でもキャラが多すぎて扱いきれていないという意見があったが今回はさらに扱い切れていない。しかも、キャラ増加の弊害で一人一人の出番が縮小気味。好きなキャラの出番が少なくなるのは発売前から予想できたとは言え、やはり残念。加えて今回の周回要素の無さも大きい。 --終盤からは卒業式の呼びかけよろしく、誰が言ってもいいようなセリフを細かく区切って複数人で喋るシーンも見られる。 --細かいところでは、発売前に期待されていた「P3P女性主人公と天城雪子((P3Pで女性主人公を選ぶと、中学生の雪子が働く旅館へ行くイベントが発生したため。))」「ゆかりと双葉((P4Uにてゆかりが作中作『不死鳥戦隊フェザーマン』に出演していて、双葉の自室にはそのフィギュアが飾られているため。ただし時系列を考慮するとこの時点でゆかりとフェザーマンに関わりはない。))」の絡みも存在しない。 -クロスオーバー要素の単調化 --各迷宮に独立したストーリーが付いたことで、迷宮攻略に際しての会話のほとんどがそれに関するものとなっている。そのため、物語の本筋に影響を与えるクロスオーバー要素がきわめて少ない。大部分は飛ばしても問題ないレベル。 --作品をまたいだキャラクター同士の交流は「特別上映」で見られるが、迷宮探索を伴わないタイプのサブイベントはなくなった。結果として、「敵の討伐や採集系ミッションを行う合間に、取って付けたような世間話を繰り返す」といったタイプのクロスオーバー要素が多くを占める。 --前作では学園祭の催しを通してクロスオーバーのシチュエーションを多彩に用意していたことを考えると、退化してしまったと言わざるを得ない。 -細かなミスやテキストの誤字がそれなりにある((アップデートで「P4主人公の"奈々子は姪"発言」等の一部テキストは修正された。))。下記はその一例。 --一番突っ込まれたのは、P3主人公の腕章が総攻撃フィニッシュ時の立ち絵で描き忘れられている点。発売前から公式サイトで確認され、多くのファンから指摘されていたにもかかわらず、修正されることなく発売された。 --他には人物の読み仮名を公式設定と間違えてボイスを収録してしまっているものまであったり、同じキャラが同じキャラを同じシーンで呼んでいるのに呼び方が違う事も。 //-ラヴェンツァの未登場 //--『5』でのジュスティーヌ、カロリーヌの正体であるが、今作は5の時系列がクリア前ということで出演しない。本編の重要なキャラでネタバレになるという意見もあるが、そもそも今作の設定で全て忘れてしまうため矛盾も起こらないし、問題は無かった。 //--ラヴェンツァとエリザベスら姉妹のやりとりも期待されてため残念。 //そもそも前作の時点で「核心に迫る直前の、パーティ加入メンバーが全員揃っている状態で参戦」している状態だったからこれは指摘するほどの事ではない。そもそもP5の記事でネタバレを避けて記載している旨が書かれているので、これは書くべきではない。 //核心が迫るのは単にキャラが揃っているからであって、そのせいでキャラが揃えてないのは問題。ネタバレというのはそもそも三年以上経っており、アニメ化までしているゲームをネタバレするなというのは無理がある。加えてp5dではラヴェンツァが登場しているため公式でもネタバレを許可しているような物 //前作時点でもP3からかなり経ってるけど、荒垣の問題とか遠回しに解決っぽい事してるだけで問題の本質はぼかしたままだったり、原作後半のネタばらしはなしって作り。そもそもキャラ揃ってないから問題とか言い出したら、千鳥とかがいないのも問題になってくるし、イゴールがいないのも前作から問題。 ''ゲーム面'' -単調化した迷宮の構造や「使い切り」のギミック --迷宮のパズル要素の難易度が大きく下がった。迷宮のギミックのほとんどがスイッチを切り替えて進むもので、序盤から終盤にかけて迷宮攻略の難易度に大きな変化がなく、探索が単調になりがち。 --前作に存在していた「一方通行の抜け道」で構成された部屋や、「ごーこんきっさ」のようなお遊び要素のギミックも無くなった。 -演出用のギミックを強要され、面倒さが目立つ迷宮ボス --特にこの問題が顕著になるのは第3シアターのボス。そのギミックの仕様上2周目でもゴリ押し出来ず、撃破するのに20ターン以上かかるため、難易度云々以前に面倒だという意見がほとんどを占めている。 --第4シアター以降のボスは戦略を考えさせるギミックが付随しており、そうでなくてもゴリ押しが通用するのでこの問題は解消する。 -全体的にゲームの動作が遅く、モッサリしている --メニュー画面呼び出しから、画面切り替え、コマンド選択などのあらゆるレスポンスが若干遅めでモッサリとした操作感になっている。 --戦闘速度「VERY FAST」でも、全体攻撃や連鎖スキル発動時に長い「間」が発生することがあり、テンポが悪い。 //--前作でも指摘されていた問題点だが、迷宮突入時の演出が飛ばせない。一、二回見れば十分な演出に毎度5秒ほど待たされるのは頻繁に起きる演出としては長い。 //↑演出中にロードを行っている可能性が高く、問題点と断ずることは難しいと思われます。 --また、成長の香が追加された点は評価されているのだが、レベルアップ演出をスキップできない仕様のせいで非常に時間がかかるという難点がある。終盤に控えメンバーを一斉にレベルアップさせる用途が主であるため、この点は目につきやすい。 -下画面UIの劣化 --下画面の線の認識アルゴリズムが変更されたのか、前作よりも壁線が描きにくく、頻繁に壁線の描き損じが起こってしまう。バージョンアップで多少改良されたものの、依然として前作レベルの精度にすら至っていない。 ---その描きにくさは、『[[世界樹の迷宮Ⅱ>世界樹の迷宮II 諸王の聖杯]]』通常版の方がまだマシと言えるほど。あちらでは特定の状況でのみ左方向に引く横線が描けないというものであったが、こちらでは全ての方向に線を引く時に描き損じが発生する。 --今作では下画面を二回素早くタッチすると地図の全体・部分表示を切り替える機能が追加されているが、この新機能がかえって操作性を悪くしている。 ---この切り替え自体は前作と同様にYボタンや下画面右上のボタンでいつでも可能であるため、この新機能の必要性は皆無。むしろ壁線の描きにくさと相まって、「壁線を二本描いたつもりが認識されず、地図が全体表示になってしまった」といった誤動作の要因となってしまっている。 --上記二点から、地図描きのテンポ、ひいてはダンジョン探索の進行が著しく遅くなってしまう。「自分で地図を作製すること」が売りの一つである世界樹のシステムを踏襲しておいて、しかもある意味では「3DS世界樹シリーズ最後の作品」でこの仕上がりは致命的である。 --謎解き要素が大幅にカットされたため、地図にしっかり書き込んで考えるようなシーンが無いのは救い。 -周回要素の薄さ --主人公が一人で固定された事もあり、わざわざ2周目を始めても新たに楽しめる点がない。 --ゲーム全体の動作が遅めであるため、2周目をサクサクと攻略することができないことも遠因となっている。 -メインペルソナのスキルはやり直しがきかない --サブペルソナのスキル等でいくらでも上書き自体は可能だが、サブペルソナと違いまた最初からレベルアップで覚えるスキルを覚え直すことはできない。 &br;世界樹における休養((レベルを下げてスキルを初期化))のような物もないため、自前で覚える便利なスキルや強力な専用スキルを間違って上書きしてしまった場合等は取り返しがつかなくなってしまい、新しいデータでやり直すかレベルをリセットして周回を開始しない限りお預けとなる。 -レベルカンスト時の問題 --レベル上限に達したペルソナに対してはイケニエ合体が行えず((あくまで経験値とするイケニエがメインであるため))、結果として、メインペルソナがカンストするとスキルの付け替えが不可能になってしまう。 --わざとやらない限りそうそう起こらないが、ペルソナの覚醒条件が「特定の特別上映をクリアした後に一定以上のレベルでレベルアップする」というものであるため、覚醒前にカンストさせてしまっていた場合は覚醒出来なくなってしまう。普通にやっている場合は早々起きないが、入手経験値を3倍にするDLCアクセサリーを使って稼ぎを行う場合は注意が必要となる。 ''その他細かな問題点'' -戦闘中のボイスパターンの減少 --ボイス自体は十分あるが、前作と比べてみると会敵時の相性台詞や状態異常時のボイスパターンなどが減少している。 -戦闘中に味方がボス敵に向かって話す際の演出 --バトル画面の相手の方を向くため、背を向けて喋るシーンが展開される。リアリティはあるが、見栄えはあまり良くない。 -ペルソナ全書登録時とアクセサリー鑑定時の仕様 --ペルソナ全書登録を一斉に実行することが出来なくなった。また、アクセサリーの鑑定も一つ一つ行わなければならず、鑑定自体も1つにつき3秒ほどかかるため、厳選を続けているとストレスに感じる事も。 -預かり所にアクセサリーを預ける場合、同じ枠に纏まらないという仕様が地味に厄介。全員分の複数種のアクセサリーを用意しようとすると枠が埋まってしまうため、厳選を行う場合はこの点がネックになる事がある。 -前作で要望のあったギャラリー機能と衣装変更機能は今作も無し。 //&brまた、前述の協力技によるSP回復の救済措置が追加されたが、解放が終盤であることとそもそも発動するかどうかが運任せである点、それらの要素が相まって結局HPのリカバリーの方が堅実である事などから、物理優遇のスキルバランスを覆すには至っていない。&br絶好調状態の追加によって多少緩和されたものの、前作で指摘されていた短期決戦前提のゲームバランスもほぼそのままである。 //これは書くほどの事じゃない。SP回復は回復アイテム抱えて行けば困らんし、短期決戦のバランスもそれでバランス取れてる ---- **総評 「世界樹形式のペルソナシリーズお祭りゲー」の第二作となった作品であったが、メインシナリオの内容や周回要素の薄さが目につき、ガチのファン程細かな設定ミス等が気になる等、どうにも残念な出来になってしまった。~ クロスオーバー部分の完成度は前作に続き安定しており、前作で問題となっていた戦闘バランスやシステム面の細かい部分も改善されているものの、新要素やシステムの根幹の部分の出来は「今一つ」と言わざるを得ない。~ しかし、様々なキャラクターを使う楽しさやキャラ同士の触れ合いが変わっていない事も確かであるため、単純に「ペルソナシリーズのキャラで、交流し世界樹の戦闘が出来る」という意味ではそれなりに楽しめるゲームには仕上がっている。 ---- **余談 -タイトル発表当初は好意的に迎えられていた本作だったが、各シアターの予告PVが似たり寄ったりなシナリオ内容紹介であったこと等が災いし、結果として評価の様子見に走るユーザーが増加。3DS晩期の作品ということもあって初週の売り上げは振るわず、Amazonレビューの評価は☆1~5が乱立する状態となっている。 -キャラクターの人気投票も開催されたが、&bold(){最下位まで発表された点}に関しては批判の声が上がった。 //-発売時期の都合上、P5Rの追加仲間キャラ「芳澤かすみ」は未参戦となっている。 -ペルソナQは本作以降発売されていないが、本シリーズのSDキャラを引き継いだゲームとして「ペルソナ5 タクティカ」が2023年11月17日に発売された。
*ペルソナQ2 ニュー シネマ ラビリンス 【ぺるそなきゅーつー にゅー しねま らびりんす】 |ジャンル|RPG|#ref(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71eSD4gAXcL._SL1000_._SL160_._SL160_.jpg,,http://www.amazon.co.jp/dp/B07G51YT9X/)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|アトラス&brランカース|~| |発売日|2018年11月29日|~| |定価|6,980円(税別)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|RPGとしての戦略性は前作から大きく向上&br;ワンパターンなシナリオ&br;地図の操作性が悪く、迷宮攻略の楽しさには欠ける|~| |>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズリンク>女神転生シリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[世界樹の迷宮シリーズリンク>世界樹の迷宮シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 [[ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス]]の流れを汲むペルソナシリーズのお祭りゲー第二作。~ 同時に事実上3DS最後の「世界樹」シリーズでもある。 ---- **ストーリー(公式サイトより) 映画の世界に囚われたペルソナ使いたち。~ そのカギを握るのは一人の少女…? メメントスにて突如モルガナカーが制御不能の大暴走!?~ 不思議な空間へ吸い込まれ、たどり着いたのは、見知らぬ敵が闊歩する謎の街。~ その場を間一髪で脱出した怪盗団が、次に迷い込んだのは出口のない映画館だった。~ そして、映画館で出会った、白い服を着た黒髪の女性ナギとうつむきがちな少女ひかりに映画の中から出てきたことを告げられる。~ 迷宮のような映画世界(ラビリンス)。そして映画の中で、導かれるように出会う同じ力(ペルソナ)を持つ者たち。~ 怪盗団は、映画館から抜け出すことができるのか…? ---- **前作からの追加・変更点 -参加作品に[[ペルソナ5]]が追加。 --前作同様、パーティ加入メンバーは全員参戦。 --既存作品からは[[ペルソナ3 ポータブル>ペルソナ3#id_9349dcf0]]の女性主人公が参戦している。オリジナルキャラクターは登場せず、プレイアブルキャラクターは28人(ナビ3人含む)となった。 -拠点での回復方法の変更 --前作では回復する場合、保健室のエリザベスにお金を払う必要があったが、今作では迷宮からの帰還時に自動で全快するようになった。 -前作で不足しがちだったサブペルソナの所持枠は最大24まで増加。 -絶好調状態 --迷宮突入時、たまに誰かが絶好調となり、ダンジョン突入前に話しかけてくる場合がある。同時に複数人が絶好調になることもある。 --該当キャラはサブペルソナによるHP・SP増加ボーナスが更に増加するため、継戦能力が向上する。経験値も増える。 -「特別上映」 --特定のキャラ達によるサブシナリオ形式のミッション。ミッションごとに「メインキャスト」が設定されており、その特別上映のステージに該当キャラを連れていくと確定で絶好調の状態になる((指名が存在する一部の特別上映を除き、メインキャストに設定されたキャラを必ず入れる必要はない。ただし、該当キャラ以外は迷宮突入前の絶好調コメントがあった場合でも状態が普通になる。))。 ---報酬は「協力技」の習得やベルベットルームの住人とのサブイベントの解禁等。 -「協力技」 --メインイベントや「特別上映」で習得する。相手の弱点を突く、またはクリティカルを出した際にランダムで発動し、相手に追加ダメージを与えつつダウンを取る事が出来る。 --協力技発動には誰か一人が戦闘に参加している必要があり、使用可能な協力技が複数ある場合はランダムに選ばれる。 ---また、ナビの協力技として味方全員のSPが大きく回復するものもある。ただし、当然ながら技の開放は終盤となる。 -戦闘関連 --前列後列のダメージ補正が削除。 --協力技は該当メンバーの誰かがパーティに居れば発生する仕様に伴って、追撃は控えのキャラが行うようになった。 --属性が銃撃を除いたペルソナ5準拠のものに変更。物理属性の統合化と核熱・念動属性並びにエイハ・コウハ系の追加。これに伴い、P5以外の一部メンバーもこれらの属性技を習得するようになっている。そのため、キャラクターの使用感は前作と大きく異なる。 --ダウンと総攻撃の仕様が変更。ペルソナQでは弱点を突いた際にランダムでダウンが発生していたが、今作では確定で発生する。総攻撃の条件は「ブースト状態の人数に応じて確率で発生」ではなく、「すべての敵がダウンした時に必ず発生」に変わった。ダウンさせても敵の行動を封じることができなくなった一方、総攻撃を戦略に組み込むことが容易になっている。 --ナビの支援スキルとしてP5の「バトンタッチ」も追加。ナビが誰であっても使用可能であり、パーティゲージを2消費する。使いすぎるとあっという間にゲージが枯渇してしまうので、ガンガン使っていけたP5とは違い、戦略の切り札としてピンポイントで使う必要がある。 ---効果は「対象キャラのブースト状態を他人に譲渡できる」というもの。ブースト状態はスキルの発動コストが0になり行動速度もアップするため、「速が低い味方をすばやく行動させる」「発動に必要なSPが多い万能属性のスキルを使用できる味方に渡す」など、様々な使い方が可能。 --前作で「雑魚はとりあえず直斗でおk」と言われるほどに猛威を振るったハマ系とムド系は、確率の調整と自動発動スキル「不浄の手」の削除により弱体化された。その一方で、今作はF.O.Eが撃破から1週間経過すると復活するという仕様もあってか、即死系が有効なF.O.Eが前作と比べて増加している。 -イケニエ合体 --サブペルソナ1体を消滅させ、そのペルソナの強さに応じた経験値の入手とスキルの継承が出来るシステム。これを用いペルソナ(メイン・サブどちらも)のレベルを一気に上げてスキルを覚えさせたりすることができる。 -音楽 --OPは「ROAD LESS TAKEN」」。EDは「colorful world」。 --通常戦闘BGMは新曲4種であり、ランダム再生かいずれか1曲のみを再生するか選べる。 ---- **評価点 -キャラクターの増加 --特に前作で「どうして居ないんだ」と嘆かれていたP3P女性主人公の参戦発表は、驚きと歓迎の声を持って迎えられた。 --また、原作の設定の都合で「浮かないか」と不安視されていたP5の明智も、探偵王子繋がりで主に直斗と絡んで推理役を担当しており、上手くシナリオに溶け込んでいる。明智自身も思う所がないわけではないような描写もあり、上手くお祭りゲーに落とし込んだと言える。 --パーティーメンバー25人・ナビ3人の大所帯ながら、習得スキルやステータスはしっかり差別化されており、全員に明確な長所がある。誰かの下位互換だったり、明らかに弱いキャラクターは存在しない。 -シナリオ --無視できない問題点こそあるが、謎の少女「ヒカリ」を中心としたシナリオは引き込まれるものがある。最後にペルソナシリーズ恒例の熱い展開も用意されている。 --前作のオリジナルキャラ「善と玲」と異なりヒカリはパーティーメンバーではないが、そのことを活かしたシナリオ上の出番があり、しっかり活躍する。ストーリーを通して大きく成長するため、ゲームを始める前後では印象が変わって見えるだろう。 -デザイン --前作同様デフォルメデザインのペルソナ使い達のキャラデザは好評。イラスト、3Dどちらも違和感のないデザインとなっている。 --UIもP5の路線を受け継ぎ、前作と比較して圧倒的に凝っている。 ---戦闘時の操作方法も少し変わっている。慣れないうちは誤操作を招きやすいが、慣れれば少ないボタン操作でコマンドを選べるようになる。 -以前と変わらない良質なクロスオーバー要素 --現時点でP3Pを含んだペルソナ3~5が共演する唯一の作品であり、作品の枠を越えた会話などお祭りゲー、キャラゲーとして質が高く仕上がっている。本作のみでしか味わえない交流というのも評価の一つである。 ---特別上映では相性が良さそうなものから意外なものまで様々な組み合わせの交流が一本の短編として描かれているほか、本編でも色々なキャラクターが交流する。この点は前作に引き続きしっかりしている。 ---3、4、5主人公同士の大食い対決や4、5主人公の釣り対決など各ゲームのサブ要素を共通の話題として盛り上がることも。 ---仲間達も委員長同士や相棒繋がりなどあるあるネタで盛り上がる。共通点を持つキャラクター同士は「連携技」を習得する場合がほとんどであり、バトルでも息の合った攻撃を見せてくれる。 ---4主人公と5主人公のバトルなど盛り上がる展開も搭載されている。特に5主人公が自己紹介の際に「&bold(){よろしくダホー}」と言って、4主人公が「&bold(){オレサマオマエマルカジリ}」と答える等のワイルドあるある((前作でも3主人公と4主人公で同じようなやりとりを見ることが出来た。))は笑わせてくれる。 --5主人公のジゴロな選択肢もチラホラ。最大9股できる公式で女難とされる5主人公であるが、今作ヒロインのヒカリに「迷惑かけてゴメンネ」という言葉に「&bold(){可愛いからオッケー}」と答え、モナから呆れられ、女性陣からは「&bold(){女の子を泣かせるようなことをしないよね}」と釘を刺される爆笑物の展開もある。その後、3主人公と4主人公から気をつけてアドバイスされるのも笑える。また、自我に目覚めたロボットに「&bold(){べっきぃ}」((『P5』におけるとあるコープキャラのあだ名。))と名付けようとすることも。 --ささやかではあるが、初期作品であるペルソナ1、2を彷彿とさせる要素がある。 -豊富なボリューム --『1』と比べては短いという意見があるが、それでもクリアには50時間〜100時間程度を要し、3DSのRRGとしては中々のボリューム。 -前作に引き続き、良質なオリジナルBGMやOPも健在。 --OPは各メンバーたちが動き、4主人公達が戦う姿はまさに夢の共演、お祭りゲーらしい楽曲と映像となっている。前作同様伏線が張られており、クリア後に見ると理解が深まる。 --更新データを適用することで待望のランダム再生機能が追加された点も好評((実装当初はランダム再生機能が働かない不具合があったが、現在は修正済み。))。 --4種の通常戦闘曲は、それぞれP5・P4・P3・P3Pをイメージした内容で、原作と同じアーティストによる編成となっている。実質的にそれぞれの作品の新曲が追加された形であり、いずれも完成度が高い。 -メインペルソナのスキル編成が自由にいじれるようになった。 --レベルアップ時にはサブペルソナ同様、どのスキルに上書きするかを自分で選べるようになった。前作では勝手に上書きされるため、全体攻撃魔法が上位の単体攻撃魔法に上書きされて実用面で不便になったり、残しておきたい補助スキルが消されてしまったりという事が起きていたが、それらもプレイヤーの判断で対処可能となった。 ---またイケニエ合体を用いて好きなスキルを付けられるようになったため、かなり好き勝手に自分好みのペルソナに育成出来るようになった。 --それだけに、サブペルソナと違って育成しなおしが出来ないのが後述のように問題にもなってしまったが。 -システムの改善点 --拠点の回復は手間が減って便利になった。HPを低くすることで成立する戦法が無かったこともあり好評。 --サブペルソナは枠が増えてかなり取り扱いが自由になった。 ---それでも足りなく感じる時もあるが、そこはプレイ選択の幅だろう。 --ショップにアイテムを預けられる点も非常に好評。ただし、後述の通り問題点も存在する。 --下画面の地図作製UIに、好きなアイコンを6個セットできる自由枠が追加された。これにより、頻繁に使用するアイコンを置くのにいちいち右下アイコンパレットを展開する手間が省けた。 -戦闘システムの変更 --前列後列のダメージ補正の削除や属性の追加、属性の都合上即死技ばかりだったメンバーにも攻撃技が追加、難易度RISKY以外では主人公を隊列から外すことも可能になった等のバランス調整が施され、パーティ構成の自由度が前作よりも増した。 --サブペルソナの入手手段もレアモンスターの撃破が条件に変わり、サブペルソナ収集の面では即死が使いづらくなっていた点も改善された((前作ではサブペルソナの入手確率が「戦闘終了時のブースト状態の味方の数」に比例していたため。))。 --前作で使いづらかったスキルやキャラクターにもテコ入れが図られている。 ---消費SPが見直された攻撃魔法、速の値が大幅に増え使いやすくなったクマ等。 --総攻撃の条件が「敵全体のダウン」となったため、弱点を突く攻撃を1発外すリスクが大きくなった。相対的に命中率の高い攻撃魔法の優位性が上がり、物理偏重のゲームバランスは少し改善している。祝福・呪怨に物理スキルが無いことや、終盤になるとSPを全回復する連携技が解禁されることも追い風。 -レベル格差対策 --順次加入することと参戦キャラが増えた事を考慮してか、ワイルドレベル(全キャラクターの中で最も高いレベル)まで一気にレベルアップできるアイテム「成長の香」がストーリー通して10個ほど手に入る。好きなキャラを一から育てなければならないということは無い。 **賛否両論点 -P3P女性主人公偏重のシナリオ --今回新規参戦でかつ、P3主人公との同時参戦という事で特殊な立ち位置にいるため、その代わりにシナリオ上ではかなり大きな扱いを受けており、サブシナリオを含めてP3P女主人公の出番が非常に多い。これだけ出番があるなら主人公にしても良かったのではという声も。 ---参戦状況的にこれでバランスが取れているとも言えるのだが、そのP3P女主人公が&bold(){元々天然気味で口が悪い}((他の主人公にも言えることだが、原作におけるP3P女主人公の台詞は選択肢で選ぶ方式であるため、原作においての性格は各プレイヤー間で認識の齟齬も存在する。))という少々癖が強い性格をしており、これが苦手な人や他作品をメインに買ったユーザーからは贔屓と取られたりと意見が割れた。 --また、彼女が好きなプレイヤーにも楽しめない部分もある。今回、P3P女性主人公はパラレルワールドから来たペルソナ使いということであり、&bold(){P3の仲間とは面識が無いという設定である。}そのため、なんだかシナリオで彼女だけ浮いているという雰囲気が否めない。また、テオドア以外に彼女と仲間のやりとりや彼女のキャラを知っている人間がいないため、他の新しいメンバーとのやり取りが薄く、クロスオーバーとしてもイマイチになっている。 -属性の増加 --前作から属性が増えた分、シャドウの弱点を探るのに手間がかかるようになってしまった。 --3種に分かれていた物理系の属性は統一されたが、シリーズの伝統として物理弱点の敵は少ないのであまり意味はない。一方で魔法系は念動と核熱が追加、さらに祝福(光)と呪怨(闇)が普通の攻撃属性と同じ扱いに。物理を除く属性相性をすべて開示するには原則8回攻撃せねばならず、なかなか大変。SPを大幅に消耗したり、途中で返り討ちに遭うリスクも大きい。 --ペルソナとシャドウが同じ存在だった「ペルソナ5」本編には「シャドウを仲間にすれば相性全開示」「見た目から多少は弱点の察しがつく」という救済要素があったが、これが丸ごと無くなっているので面倒さだけが残る形に。 ---敵の攻撃を耐えつつ弱点を探る緊張感自体は、人を選ぶものの面白い要素である。今作はダンジョン離脱後の回復が無料になっているので、後先考えずにSPを消費して弱点を探る戦術も取りやすい。 --ダンジョン探索に当たっては5人パーティ(ペルソナ10体)で8属性を網羅し、どんな敵が来ても総攻撃を狙える編成が理想となる。戦略性は高いが、育成・編成の幅を狭めている側面もある。 -固有スキルのバランスブレイカー要素 --各キャラクターが習得する専用スキルの中で、特に強いと言われるのが明智の「探偵の戒め」。「○封じ」系の状態異常3種類全てを中確率で敵一体に付着させるという効果こそ「サロメの口づけ((敵一体に高確率で三種類の封じを付与するスキル。))」の下位互換であるものの、これを明智が&bold(){僅かLv15で習得する}上、消費SPがサロメの口づけよりも劇的に軽いため、前作の「雑魚はとりあえず直斗でいいや」と同じく、ボス戦メンバーに明智が固定化されやすい。そのため「性能に対して習得タイミングが早すぎる」という意見と「中確率・単体対象である事と本人が封じ強化スキルを覚えない事を考えると大したことない」という意見で賛否が分かれている。 **問題点 ''シナリオ面'' -飽きやすいメインシナリオの構成 --&bold(){本作最大の問題点。}「大衆の意見に流されるのではなく、個人の意見をきちんと主張する事が大事」というテーマ自体は悪い物ではないが、メインシナリオは全てその話ばかりで、テーマの掘り下げや話の展開がない。扱う舞台設定や配役こそ違えど、個の主張や個性を否定される似通ったシナリオの繰り返しがラストダンジョン直前の第4シアターまで行われるため、食傷気味になって途中で飽きてしまいやすい。評価点の通り良い点もあるのだが、それ以上にこの点が印象に残りやすく、2周目をプレイする気力が湧きづらくなる要因にもなっている。 ---前作も一貫したシナリオではあったのだが、ダンジョン探索に置いてはほぼシナリオはなく、ボス撃破後に軽くシナリオが入りそれが繋がる形だった。なので、シナリオ面が補強された形ではあるのだが、結果としては悪い方向に補強してしまう形になった。幾多あるRPGの中でも「高い構成力のストーリー」がペルソナシリーズの魅力であっただけに、この点はかなり目立ってしまっている。 -メインテーマの矛盾 --「大衆の意見に流されるのではなく、個人の意見をきちんと主張する事が大事」というテーマだが、見方を変えると大勢のペルソナ使い達が、ヒロインのヒカリにそのテーマを押し付けているだけで、結局のところ「ヒカリが多数の意見に流されてしまう」という本質は変わっていないという指摘もある。 --実際のところ、シナリオの趣旨は「大衆が賛同しているからといって、&bold(){正しくない(と自分が思う)ことに}同調してはならない」というものなので、その主張を受けてヒカリがペルソナ使い達と同様の信念に達すること自体は矛盾ではない。だが、28人もペルソナ使いが集まっておきながら、誰一人として大衆側の心理に共感を示したり、ヒカリの事情を気にしたりする者がいない様子は、同調圧力をかけていると取られても仕方がない。 -主人公がP5のジョーカーで固定 --前作ではP3とP4両方の別シナリオが用意されていたが、本作でのプレイヤーの分身はP5主人公で固定になった。 ---前作での主役がP3とP4だったため、今回P5がメインになるのはおおよそ妥当と言われているが、それでも主人公が一人に減ってしまい、2周目の変化も少なくなってしまったのには残念な声が多い。 --また、あまりシナリオにも関わって来ないので空気になりがちとの声も。 ---主人公にもかかわらず最高難易度の『RISKY』モード以外では戦闘メンバーから外すことが出来てしまうのもそれに拍車をかける。 -P3勢の出番の遅さ --参加作品が増えた関係で、順次登場する都合上どうしても参加が遅れる作品が出るのは仕方ないのだが、その割を食ったのがP3勢。特にP3主人公とアイギスはP3P女主人公との対比もあり、登場が最も遅く、P3主人公は会話イベントなども目立って少ない。 ---ダンジョンの数も前作から増えたわけではないため、P3勢はシナリオ上の出番も少なくなってしまっている。 -キャラクターの増加に対してそれを扱い切れていないシナリオ --前回でもキャラが多すぎて扱いきれていないという意見があったが今回はさらに扱い切れていない。しかも、キャラ増加の弊害で一人一人の出番が縮小気味。好きなキャラの出番が少なくなるのは発売前から予想できたとは言え、やはり残念。加えて今回の周回要素の無さも大きい。 --終盤からは卒業式の呼びかけよろしく、誰が言ってもいいようなセリフを細かく区切って複数人で喋るシーンも見られる。 --細かいところでは、発売前に期待されていた「P3P女性主人公と天城雪子((P3Pで女性主人公を選ぶと、中学生の雪子が働く旅館へ行くイベントが発生したため。))」「ゆかりと双葉((P4Uにてゆかりが作中作『不死鳥戦隊フェザーマン』に出演していて、双葉の自室にはそのフィギュアが飾られているため。ただし時系列を考慮するとこの時点でゆかりとフェザーマンに関わりはない。))」の絡みも存在しない。 -クロスオーバー要素の単調化 --各迷宮に独立したストーリーが付いたことで、迷宮攻略に際しての会話のほとんどがそれに関するものとなっている。そのため、物語の本筋に影響を与えるクロスオーバー要素がきわめて少ない。大部分は飛ばしても問題ないレベル。 --作品をまたいだキャラクター同士の交流は「特別上映」で見られるが、迷宮探索を伴わないタイプのサブイベントはなくなった。結果として、「敵の討伐や採集系ミッションを行う合間に、取って付けたような世間話を繰り返す」といったタイプのクロスオーバー要素が多くを占める。 --前作では学園祭の催しを通してクロスオーバーのシチュエーションを多彩に用意していたことを考えると、退化してしまったと言わざるを得ない。 -細かなミスやテキストの誤字がそれなりにある((アップデートで「P4主人公の"奈々子は姪"発言」等の一部テキストは修正された。))。下記はその一例。 --一番突っ込まれたのは、P3主人公の腕章が総攻撃フィニッシュ時の立ち絵で描き忘れられている点。発売前から公式サイトで確認され、多くのファンから指摘されていたにもかかわらず、修正されることなく発売された。 --他には人物の読み仮名を公式設定と間違えてボイスを収録してしまっているものまであったり、同じキャラが同じキャラを同じシーンで呼んでいるのに呼び方が違う事も。 //-ラヴェンツァの未登場 //--『5』でのジュスティーヌ、カロリーヌの正体であるが、今作は5の時系列がクリア前ということで出演しない。本編の重要なキャラでネタバレになるという意見もあるが、そもそも今作の設定で全て忘れてしまうため矛盾も起こらないし、問題は無かった。 //--ラヴェンツァとエリザベスら姉妹のやりとりも期待されてため残念。 //そもそも前作の時点で「核心に迫る直前の、パーティ加入メンバーが全員揃っている状態で参戦」している状態だったからこれは指摘するほどの事ではない。そもそもP5の記事でネタバレを避けて記載している旨が書かれているので、これは書くべきではない。 //核心が迫るのは単にキャラが揃っているからであって、そのせいでキャラが揃えてないのは問題。ネタバレというのはそもそも三年以上経っており、アニメ化までしているゲームをネタバレするなというのは無理がある。加えてp5dではラヴェンツァが登場しているため公式でもネタバレを許可しているような物 //前作時点でもP3からかなり経ってるけど、荒垣の問題とか遠回しに解決っぽい事してるだけで問題の本質はぼかしたままだったり、原作後半のネタばらしはなしって作り。そもそもキャラ揃ってないから問題とか言い出したら、千鳥とかがいないのも問題になってくるし、イゴールがいないのも前作から問題。 ''ゲーム面'' -単調化した迷宮の構造や「使い切り」のギミック --迷宮のパズル要素の難易度が大きく下がった。迷宮のギミックのほとんどがスイッチを切り替えて進むもので、序盤から終盤にかけて迷宮攻略の難易度に大きな変化がなく、探索が単調になりがち。 --前作に存在していた「一方通行の抜け道」で構成された部屋や、「ごーこんきっさ」のようなお遊び要素のギミックも無くなった。 -演出用のギミックを強要され、面倒さが目立つ迷宮ボス --特にこの問題が顕著になるのは第3シアターのボス。そのギミックの仕様上2周目でもゴリ押し出来ず、撃破するのに20ターン以上かかるため、難易度云々以前に面倒だという意見がほとんどを占めている。 --第4シアター以降のボスは戦略を考えさせるギミックが付随しており、そうでなくてもゴリ押しが通用するのでこの問題は解消する。 -全体的にゲームの動作が遅く、モッサリしている --メニュー画面呼び出しから、画面切り替え、コマンド選択などのあらゆるレスポンスが若干遅めでモッサリとした操作感になっている。 --戦闘速度「VERY FAST」でも、全体攻撃や連鎖スキル発動時に長い「間」が発生することがあり、テンポが悪い。 //--前作でも指摘されていた問題点だが、迷宮突入時の演出が飛ばせない。一、二回見れば十分な演出に毎度5秒ほど待たされるのは頻繁に起きる演出としては長い。 //↑演出中にロードを行っている可能性が高く、問題点と断ずることは難しいと思われます。 --また、成長の香が追加された点は評価されているのだが、レベルアップ演出をスキップできない仕様のせいで非常に時間がかかるという難点がある。終盤に控えメンバーを一斉にレベルアップさせる用途が主であるため、この点は目につきやすい。 -下画面UIの劣化 --下画面の線の認識アルゴリズムが変更されたのか、前作よりも壁線が描きにくく、頻繁に壁線の描き損じが起こってしまう。バージョンアップで多少改良されたものの、依然として前作レベルの精度にすら至っていない。 ---その描きにくさは、『[[世界樹の迷宮Ⅱ>世界樹の迷宮II 諸王の聖杯]]』通常版の方がまだマシと言えるほど。あちらでは特定の状況でのみ左方向に引く横線が描けないというものであったが、こちらでは全ての方向に線を引く時に描き損じが発生する。 --今作では下画面を二回素早くタッチすると地図の全体・部分表示を切り替える機能が追加されているが、この新機能がかえって操作性を悪くしている。 ---この切り替え自体は前作と同様にYボタンや下画面右上のボタンでいつでも可能であるため、この新機能の必要性は皆無。むしろ壁線の描きにくさと相まって、「壁線を二本描いたつもりが認識されず、地図が全体表示になってしまった」といった誤動作の要因となってしまっている。 --上記二点から、地図描きのテンポ、ひいてはダンジョン探索の進行が著しく遅くなってしまう。「自分で地図を作製すること」が売りの一つである世界樹のシステムを踏襲しておいて、しかもある意味では「3DS世界樹シリーズ最後の作品」でこの仕上がりは致命的である。 --謎解き要素が大幅にカットされたため、地図にしっかり書き込んで考えるようなシーンが無いのは救い。 -周回要素の薄さ --主人公が一人で固定された事もあり、わざわざ2周目を始めても新たに楽しめる点がない。 --ゲーム全体の動作が遅めであるため、2周目をサクサクと攻略することができないことも遠因となっている。 -メインペルソナのスキルはやり直しがきかない --サブペルソナのスキル等でいくらでも上書き自体は可能だが、サブペルソナと違いまた最初からレベルアップで覚えるスキルを覚え直すことはできない。 &br;世界樹における休養((レベルを下げてスキルを初期化))のような物もないため、自前で覚える便利なスキルや強力な専用スキルを間違って上書きしてしまった場合等は取り返しがつかなくなってしまい、新しいデータでやり直すかレベルをリセットして周回を開始しない限りお預けとなる。 -レベルカンスト時の問題 --レベル上限に達したペルソナに対してはイケニエ合体が行えず((あくまで経験値とするイケニエがメインであるため))、結果として、メインペルソナがカンストするとスキルの付け替えが不可能になってしまう。 --わざとやらない限りそうそう起こらないが、ペルソナの覚醒条件が「特定の特別上映をクリアした後に一定以上のレベルでレベルアップする」というものであるため、覚醒前にカンストさせてしまっていた場合は覚醒出来なくなってしまう。普通にやっている場合は早々起きないが、入手経験値を3倍にするDLCアクセサリーを使って稼ぎを行う場合は注意が必要となる。 ''その他細かな問題点'' -戦闘中のボイスパターンの減少 --ボイス自体は十分あるが、前作と比べてみると会敵時の相性台詞や状態異常時のボイスパターンなどが減少している。 -戦闘中に味方がボス敵に向かって話す際の演出 --バトル画面の相手の方を向くため、背を向けて喋るシーンが展開される。リアリティはあるが、見栄えはあまり良くない。 -ペルソナ全書登録時とアクセサリー鑑定時の仕様 --ペルソナ全書登録を一斉に実行することが出来なくなった。また、アクセサリーの鑑定も一つ一つ行わなければならず、鑑定自体も1つにつき3秒ほどかかるため、厳選を続けているとストレスに感じる事も。 -預かり所にアクセサリーを預ける場合、同じ枠に纏まらないという仕様が地味に厄介。全員分の複数種のアクセサリーを用意しようとすると枠が埋まってしまうため、厳選を行う場合はこの点がネックになる事がある。 -前作で要望のあったギャラリー機能と衣装変更機能は今作も無し。 //&brまた、前述の協力技によるSP回復の救済措置が追加されたが、解放が終盤であることとそもそも発動するかどうかが運任せである点、それらの要素が相まって結局HPのリカバリーの方が堅実である事などから、物理優遇のスキルバランスを覆すには至っていない。&br絶好調状態の追加によって多少緩和されたものの、前作で指摘されていた短期決戦前提のゲームバランスもほぼそのままである。 //これは書くほどの事じゃない。SP回復は回復アイテム抱えて行けば困らんし、短期決戦のバランスもそれでバランス取れてる ---- **総評 「世界樹形式のペルソナシリーズお祭りゲー」の第二作となった作品であったが、メインシナリオの内容や周回要素の薄さが目につき、ガチのファン程細かな設定ミス等が気になる等、どうにも残念な出来になってしまった。~ クロスオーバー部分の完成度は前作に続き安定しており、前作で問題となっていた戦闘バランスやシステム面の細かい部分も改善されているものの、新要素やシステムの根幹の部分の出来は「今一つ」と言わざるを得ない。~ しかし、様々なキャラクターを使う楽しさやキャラ同士の触れ合いが変わっていない事も確かであるため、単純に「ペルソナシリーズのキャラで、交流し世界樹の戦闘が出来る」という意味ではそれなりに楽しめるゲームには仕上がっている。 ---- **余談 -タイトル発表当初は好意的に迎えられていた本作だったが、各シアターの予告PVが似たり寄ったりなシナリオ内容紹介であったこと等が災いし、結果として評価の様子見に走るユーザーが増加。3DS晩期の作品ということもあって初週の売り上げは振るわず、Amazonレビューの評価は☆1~5が乱立する状態となっている。 -キャラクターの人気投票も開催されたが、&bold(){最下位まで発表された点}に関しては批判の声が上がった。 //-発売時期の都合上、P5Rの追加仲間キャラ「芳澤かすみ」は未参戦となっている。 -ペルソナQは本作以降発売されていないが、本シリーズのSDキャラを引き継いだゲームとして「ペルソナ5 タクティカ」が2023年11月17日に発売された。

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