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*ファイアーエムブレム 風花雪月 【ふぁいあーえむぶれむ ふうかせつげつ】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B07NQGYZSY)| |対応機種|Nintendo Switch|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ&br()コーエーテクモゲームス|~| |発売日|2019年7月26日|~| |定価|6,980円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|本編:25個(('19/11/08のVer.1.1.0アップデート適用後。初期は5個))+1個(オートセーブ専用スロット)&br()サイドストーリー:3個+1個(オートセーブ専用)|~| |レーティング|CERO:B|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|戦乱の悲惨さを生々しく描いた重厚なストーリー&br;緻密な世界観とキャラクター設定&br;「騎士団」「計略」システムを実装し、より戦争らしい内容に&br;独特な育成システムをはじめ、従来から変化した部分も|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 30年以上の歴史を持つ大作SRPG『ファイアーエムブレム』シリーズ第16作((コラボレーションやソーシャルゲームを除く))。据え置き機としては、12年前に発売された『[[暁の女神>ファイアーエムブレム 暁の女神]]』以来となる。~ 本作ならではの大きな特徴として、士官学校を舞台としており、主人公がその教師として活躍するというものがある。 本作は企画内容を任天堂、開発の大部分は『[[ファイアーエムブレム無双]]』でコラボを組んだコーエーテクモゲームスが本編の開発に参加しており、長年戦記物ゲームを手掛け続けてきたシブサワ・コウ ブランドのスタッフなどがシナリオを担当している。 どちらもFEを好きなスタッフを中心で制作しており、[[二部構成について>https://www.ndw.jp/fefuuka-04/]]『[[聖戦の系譜>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の、[[三国の争いについて>https://www.famitsu.com/news/201908/06180699.html]]『[[三國志>三國志シリーズ]]』のイメージを入れたことが語られている。 ---- &font(b,16){ストーリー} >「フォドラ」と呼ばれる大地。~ 世界は突如として現れた邪神によって脅かされるが、立ち上がった解放王「ネメシス」と~ 女神より与えられた「英雄の遺産」を手に戦う十人の英雄「フォドラ十傑」によって危機は退けられた。~ しかし、やがて驕りたかぶったネメシスは、フォドラ十傑とともに女神に対して反旗を翻し、~ 女神が差し向けたとされる聖者「セイロス」と、その仲間である「四聖人」によって討ち果たされる。~ 当時の強国「アドラステア帝国」の建国に携わっていたセイロスは、四聖人と、投降したとされるフォドラ十傑の末裔を束ねて、「ガルグ=マク」を総本山とした「セイロス教」を興す。~ やがてアドラステア帝国から「ファーガス神聖王国」と「レスター諸侯同盟」が分離するが、それぞれの勢力は相争うこともなく、長い平和の日々が続いていた。~ ~ 時は流れ、帝国暦1180年。~ かつて大陸全土にその名をとどろかせた騎士「ジェラルト=アイスナー」は、現在は傭兵として活動していたが、ある日セイロス教の総本山である「ガルグ=マク大修道院」に併設された士官学校に通う3人の若者に助けを求められる。~ ジェラルトは、自らの子供と共に3人に助力し、彼らを襲撃した盗賊を退ける。~ 若者たちはそれぞれ、アドラステア帝国の次期皇帝「エーデルガルト=フォン=フレスベルグ」、ファーガス神聖王国の王子「ディミトリ=アレクサンドル=ブレーダット」、レスター諸侯同盟盟主の孫である「クロード=フォン=リーガン」と名乗り、かつてジェラルトの従者であった騎士「アロイス=ランゲルト」と共に、ジェラルトたちを修道院へと招く。~ 果たしてジェラルトは騎士に復帰し、彼の子供は、「黒鷲の学級(アドラークラッセ)」、「青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)」、「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」のうちの学級の内の一つを受け持ち、彼らが一人前の騎士として育つよう指導する事となる。~ しかしこのことが、7年近くにも及ぶ凄惨な殺戮劇の幕開けであることは、この時は誰一人として気づくことはなかった。 ---- **特徴・変更点など 特に注記がない限り、本項ではゲーム本編のシステムについて解説する。 (Ver.1.2.0にて追加コンテンツとして配信されたサイドストーリーには一部に本編と異なる部分がある) -3つの学級から一つを選択する方式 --序章が終わった後、主人公は担任として3つの学級の内の一つを受け持つことになる。 ---受け持った学級によって加入するユニット(生徒)だけでなく、第一部終盤以降の展開が大きく変化するため、事実上のルート分岐と考えて差し支えない。前々作『if』とは異なり、ルートごとに別売りということはなく、一本のソフトで複数のルートが楽しめるようになっている。 --各学級には級長を含めて8人の生徒がおり、それ以外で自動加入するキャラは僅かである(出撃枠もそれ前提で最大12と少なめ)。 ---選ばなかった他の学級の生徒や教団・修道院への協力者などは「課題協力」でその章だけ使えるようになったり、条件を満たせばスカウトを行う事で加入させる事ができる。ただし、総じて教団所属のキャラや、DLCで追加されたキャラは容易にスカウトできるが、他学級所属のキャラのスカウトには主人公の特定の技能レベルやステータスを高めないといけない厳しい条件が課せられる。さらに、級長と副級長は一部の例外を除いて他の学級では基本的に仲間にならない。なお、これらのシステムは第二部では使用不可能。 ---他学級の生徒もストーリーに絡む、外伝に絡む、散策やイベントでも多くの出番があるので進めていくうちに愛着がわきやすくなっている。「課題協力」で支援レベルをあげればスカウトの敷居も下がるのでお気に入りのキャラをスカウトしやすくなる。 --なお、本作の主人公(デフォルトネーム:ベレト(男性)/ベレス(女性))は外見や得意とする武器などが変更不可・自発的にしゃべることはなく((行動開始時、レベルアップ時、戦闘不能時などに言葉を発することはある))支援会話を含めてプレイヤーの選択肢によって意思表示を行うなど、後述する人物像も含めて、従来のFE主人公とは異彩を放つ内容となっている。 -「騎士団」と「計略」 --本作の新要素として、1ユニットにつき一種類の騎士団を雇用し、配備できる。配備することで命中率や攻撃力など、さまざまなパラメータを上昇させられる((一方で、重装タイプだと回避が下がる、魔法兵だと物理攻撃力が下がるなど、マイナス補正がかかる場合もある。))が、ダメージを受けることで兵力が消耗し、兵力が0になってもロストはしないが、補正を受けられなくなってしまう。 ---騎士団にはランクが存在し、基本的にランクが高い騎士団ほど高い補正値を得られるが、ランクの高い騎士団を配備するには「指揮」の技能レベルを上げる必要がある。 --また、騎士団を配備することで、パラメータに補正をつけるだけではなく、「計略」と呼ばれる特殊行動も発動できる。計略の内容も単純な攻撃だけでなく、魔法や弓矢による範囲攻撃、命中すれば敵を移動させる攻撃、味方ユニットの回復・補助・再行動など多岐に及ぶ。 ---計略は一つのマップで使用できる回数は極めて少ないものの「反撃を受けない」「範囲攻撃」「命中した敵ユニットを動揺させ、次の敵ターン終了まで全ステータスダウン・移動不可・騎士団補正の消滅」と非常に強力。~ 単純に強力なステータスを持つ敵ユニットに有効打を与えられる他、計略に耐性を持つ特殊ボスに対しても、反撃不可を生かして決死の一撃を放つ本命の確殺ラインまで削ったりと、1人では手が出ない強敵への対策になり得る。 ---計略の威力や命中回避にかかわるパラメーターとして新たに「魅力」が追加。通常の成長で上がる他、お茶会で好成績を達成することで主人公とお茶会に誘った相手の魅力を上げることができる。 ---また、計略は一部の敵兵も普通に使用して来る。支援補正のためにユニットを固めて行動するという従来の戦略をとっていると巻き込まれて思わぬピンチを招くこともあるため、敵の騎士団アイコンにも注意する必要がある。 -副官 --覚醒の「ダブル」や、ifの「防陣」を大幅に弱体化させたような要素。主人公の指導レベルが一定を超えると、キャラ1人に副官を1人つける事ができる。編成画面で任命するため出撃枠は取らず、また戦闘中に解除や交代などはできない。 --副官には支援値や経験値等も入るが、騎士団の経験値と指揮経験値は入らない。また指導レベルを上げることで3人まで増やすことが可能。 --効果はクラスによって変わり重装系(拳闘士などの格闘職も含む)は追撃の防御、信仰系はターン開始時回復、それ以外のクラスは低確率で装備中の武器または魔法による追撃が発動する。 ---いずれの種別においても、前衛となるユニットの行動時には追撃の有無にかかわらず連携攻撃に参加するものとして扱われ、命中・回避などに補正を得られる。また、攻撃を行わない効果種別でも装備している武器種の技能経験値は獲得できる。 ---所属するユニットが倒されても副官がロストする事はないので安全に経験値や支援レベルを稼ぐのが主な目的となる。 ---マップを最大にまでズームすると騎士団や副官がユニットに所属しているのが見える。また、戦闘や計略では副官も一緒に攻撃に参加しているのが見られる。 -敵ターンでどのユニットが攻撃されるかの予測表示をよりわかりやすく視覚化するようになった。 --危険範囲の表示だけでなく、ユニットを移動させる際に、''攻撃される可能性がある位置では対象の敵ユニットから赤い波線が飛んでくる''。この表示をきちんと見ていくことで、敵ターンにおける事故死をより防ぎやすくなっている。 -最低2ピン保証 --主人公と士官学校の生徒、そしてフレンとツィリルは、成長率にかかわらずレベルアップの際に必ず二つのパラメータが成長する。ファンの間では、成長の際に「ピン」という音がすることから「最低2ピン保証」あるいは「2ピン保証」と呼ばれている。 -アイテム関連における設定の変更 --『[[if>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』、『[[Echoes>ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王]]』の直近二作でオミットされていた武器の「使用回数」と、『[[新・紋章>ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~]]』以降、省かれがちであった「重さ」の概念が完全新作としては久々に復活した。 ---一方で、『Echoes』で不採用となったすくみの概念は引き続き本作でも存在せず((ただし、槍を装備していると剣を装備した敵に対して命中回避にプラス補正を得られる「剣殺し」などといった相性スキルが擬似的にそれを再現している))、魔法に関しても魔道書や杖などの消費アイテムを介するものではなくなっている。~ ただし魔法は、『Echoes』のようにHPを消費するわけではなく、「1マップに限られた回数だけ使用でき、マップをクリアすると回数が最大値に戻る」という仕様に変更されている。このため従来作では温存されやすかった遠距離魔法や、レスキューといった補助効果のある魔法の使い勝手が相対的に大きく上昇した。 ---また、武器のほかに一つだけアイテムを装備できるようになった。盾なら防御力を上げたり、杖なら魔法の威力や射程の強化などが可能となっている。 -大修道院における指導と自由行動 --本作では、1章につき1か月単位で進行する。平日は指導を行うことで生徒たちの技能レベルを上昇させられ、休日は大修道院の散策やフリーマップへの出撃などといった自由行動が行える。 ---散策では、生徒たちとの絆を深めたり、商人からアイテムを購入できるほか、大修道院で暮らす人々から情報を集めたり、栽培や魚釣りなどのミニゲームを楽しむことも可能。また、「課題協力」を依頼することで、その月のみ自軍のユニットとして使用できるが、経験値や技能レベルは獲得できない。さらに、主人公の能力を高めたり、支援レベルを上げることで、他のクラスの生徒を自分のクラスにスカウトする事もできる。スカウトしたキャラは指導やレベル上げも可能になる。 ---散策で生徒たちとお茶会をすることも出来る。これは「茶葉」という特定のアイテムを消費する事で主人公と生徒(もしくは教師)との1対1での交流が楽しめる。 お茶会中に最大4回の会話のチャンスがありどれも3択の選択肢となっている。正解するごとに好感度が上がり全て正解((好物の茶葉を選択すると3問以上正解に緩和される))するとフリータイムとなりキャラをじっくりと眺めたり贈り物を送ってさらに好感度を上げることも出来る。 1対1の会話ということで『if』のマイキャッスル((一人のキャラを自室に招きタッチペンで顔を触って好感度を上げるという前々作の『if』のシステム。))を連想する人も多いが、あちらと違い顔を触ったりせず会話するだけなので嫌う声は少ない。ただし、相手の嗜好を熟知しなくてはならないため、パーフェクトを狙う難易度は高い。 ---また生徒二人と食事をとる事ができるのだが、特定の組み合わせだと専用の掛け合いとなる。 -「紋章」と「英雄の遺産」 --『[[聖戦の系譜>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の「聖戦士の血」及び「神器」に近い、キャラ個性のシステム。フォドラ十傑や四聖人、さらに出自が不明のものを合わせて実に20種類近くの紋章が存在し、それを身に宿したキャラクターに有利な効果がもたらされる。 ---紋章は、通常の「小紋章」のほか、固有効果が発生しやすい「大紋章」が存在しており、大紋章を所有しているのは一握りのキャラクターのみとなっている。また、基本的に複数の紋章を所有することはないが、例外となる人物も存在する。 ---「英雄の遺産」は、フォドラ十傑が女神から与えられたといわれている伝説の武器だが、その外観は異例なほどに禍々しく、さらに紋章を所有していないユニットが使用すると、戦闘後に10ダメージを受けるというデメリットがある。一方で、遺産には対応する紋章が存在しており、その紋章の持ち主が所有することで、専用の戦技を使用できたり、大盾スキルが発生して低確率で敵からのダメージを半減させるなど、強力な特殊効果が付与される。一方で、過去作のユニークアイテム/固有武器に多々見られたステータス補正効果は存在しない。 -戦技の仕様が変更 --前作『Echoes』にもあった戦技が続投。前作は武器の使用回数の概念が無かったためHPを消費して発動する形式となっていたが、今作は武器の使用回数を複数消費する仕様に変更となった。 ---あちらで猛威を振るった「ハンターボレー」や、過去作品で奥義として扱われていた「流星」・「滅殺」といったスキルも、今作ではやや弱体化し、特定のクラスに紐づけされた専用の戦技として登場している。 ---普通の武器ならば修理が容易であること、威力は低いが使用回数が多い「訓練用武器」が追加された事で『Echoes』に比べて戦技を使う機会が大幅に増えた。弓の射程を伸ばしたり、攻撃後に位置を変える等、計略と並んで攻撃手段の一つとして戦略の幅を広げている。 ---戦技も計略と同様に敵も使用して来る。中には非常に強力な戦技であっても容赦なく使用して来るので、そういったユニットを相手にする時は特に慎重さを要する。 -強力な敵である「魔獣」が登場 --本作で敵対する事になる「魔獣」は、いわゆる過去作における「竜」や「魔物」に相当するのだが、本作ならではの特徴を多数備えている。 ---普通のユニットよりかなりHPが高く、複数のマスを占有する巨体も持つうえに、その1マスごとに「障壁」が張られており、この箇所は攻撃によるダメージを半減((一部の強敵はより軽減率が高いものもある))&種類によって必殺または特定の攻撃を無効化してくる。~ ただし、魔獣は個体ごとに特定の武器種が弱点となって有効扱いになる。~ 障壁は2手分攻撃するか、弱点武器含む有効((本作の一部の武器・戦技に存在する。特効が防御力減算前の威力3倍なのに対し、有効は威力2倍。))・特効・計略で1回攻撃すると対象のマスを破壊でき、混乱して次の攻撃だけ反撃不可になる。~ 連続で障壁を壊せば反撃不可は続く上、全て破壊すると''アーマーブレイク''が発生して次の敵ターンもその魔獣が行動不能になり、希少な錬成素材を入手できる。 ---計略については指定した1マスのみ障壁を即破壊でき、巻き込む範囲部分は1手分のダメージ扱い。また、魔獣は最後に計略を当てたユニットを必ず狙うようになっている・ ---複数のHPゲージをストックしており、すべてのゲージを0にしなければ撃破できない。さらに、HPゲージストックを削るたびにスキルが追加され、より強力になる。~ どれだけ大ダメージを与えてもストックがある限りは絶対に倒れないので一人で倒すのは時間がかかる上にリスクも大きい。計略や弱点武器を駆使して多数で袋叩きにする必要がある。 ---力をためた次のターンにはその場で「猛撃」という強烈な攻撃を繰り出してくる((味方がすべて範囲から逃れた場合、移動して通常攻撃をするが、障壁は復活する。))。これにより広範囲のユニットに纏めて大ダメージを与える上にせっかく破壊した障壁も復活してしまうため、素早く攻撃して障壁を全て破壊するか、安全を優先して攻撃範囲外に退避するかは状況と判断次第。 ---通常の敵ユニットを上回る強敵として設定されているが、すべての障壁を破壊しきることに成功すれば、貴重な武器を修理するための素材を獲得できる。魔獣の種類によっては英雄の遺産を修理するために使える「ダークメタル」も入手できるので、可能な限りアーマーブレイクを狙うのがセオリーとされる。 -新たな武器種「籠手」 --本作では、おなじみとなっている剣、槍、斧、弓のほかに、「籠手」という武器が新たに加わった。 ---威力が低い代わりに軽量で命中率が高く、自分から攻撃を仕掛けた際のみに、必ず2回攻撃(追撃が発生すると4回)を行う、いわゆる勇者系武器の特性を持つ。ただし、後述するように装備できない職業も多く存在する。 -技能レベル --本作では能力値とは別に武器・魔法・兵種などに関する11個の技能レベルがキャラごとに設定されており、技能レベルが上がるごとで従来の「武器レベル」のように強力な武器や騎士団を装備できるようになる、着脱可能なスキルや戦技を覚えるなどのパワーアップの他、後述するクラスチェンジの条件ともなっている。 --指導パートの平日では授業として、教師たる主人公(プレイヤー)は目標の設定と直接指導を行うことで、生徒たちの各種技能レベルを上げていく。 --生徒毎に得意な科目や苦手な科目が設定されており、これと主人公の技能レベルなどによって個人指導の効果が上下する。ただし、一部の生徒は特定の科目に才能を秘めており(3つの星枠が表示されている)、12回指導を行うことで「''才能開花''」が起きて得意科目扱いに上書きされる。 ---もちろん主人公も例外ではなく、戦闘以外にも他の教師達に指導を請うたり講習に参加することでも、自ら技能レベルを上げることが可能。 --本作では''すべての兵種が剣、槍、斧、弓を装備可能''で、籠手は魔法系・騎兵や飛行以外のすべてのクラスで装備できる。一方で、魔法は特定のクラスにつかないと使用できなくなっている。 ---上記の仕様でありながら、兵種ごとに特定の技能について戦闘で獲得できる技能経験値が増加したり、技能レベルに応じて獲得できる「武器術」(剣術なら「剣術Lv.○」、斧術なら「斧術Lv.○」のような着脱可能スキル)を装備することで命中・回避・必殺回避((「幸運」の値+装備中の武器or魔法に対応した「武器術」に応じて5~10が基本的な必殺回避))に補正を得られるという仕組みになっている。~ 特に今作は必殺回避を補正する要素が少なく((外部要素としてはいずれのルートでも加入チャンスのある「マヌエラ=カザグランダ」が持つ個人スキルで隣接しているキャラが10%補正されるのみ。補助装備として必殺そのものを無効化するアイテムも存在するが、入手タイミングが比較的終盤且つ貴重品であり、ルート次第ではそもそも入手機会すらない場合がある))((「回避」が上がる戦技を使用すると必殺回避も同じだけ上がるという隠し仕様も一応存在する))、「武器術」の有無によって必殺率が0になるかならないかを左右するケースが多いため、所持する装備の自由度が高い一方で闇雲に多くの武器種を抱えても有効になるとは限らない設計になっている。~ 他にも、弓の扱いに長けた兵種なら弓の射程が延長される((前作『Echoes』にもあった仕様。ただし距離3以上への攻撃では命中率が段階的に低下するという弱体化はされている))、上位のクラスでは対応した武器種を装備していると攻撃力や必殺率が優遇されるなど、基本的にはクラスに対応した武器種を用いて技能レベルを高めるのが一番有効である点は変わりない。 -クラスチェンジシステム --キャラごとに基本紐付けであった&b(){クラスの概念が大幅に変更}。本作は主人公を含め多くのユニットの初期クラスが「平民」または「貴族」となっており、資格試験をクリアさせることでおなじみのクラスに変更できるようになる。例を挙げるなら[[オウガバトルサーガ]]が近いと言える。 ---各クラスには基準となる技能レベルが設定されており(例えば馬に乗り槍を主に扱うソシアルナイトならば槍術と馬術が必要であるなど)、それらの条件を全て満たしていれば必ず合格できる。技能レベルが不足している項目がある場合は不足分に応じて合格率が大きく低下するが、合格率30%以上ならば受験できる((合格率は受験するキャラクターの幸運パラメータに応じてわずかに上がるという隠し仕様が存在する))。 ---受験できるのは一回の休日((行動できず飛ばされる日は除く))及びストーリー進行日につき各キャラ一回ずつ。成否は休日を迎えた時点で確定されており、失敗した場合にリセットするとしても再挑戦は実質お預けとなる(後述の点によりリセットする意義自体はある)。 --受験には一定以上のキャラレベルを満たし、対応する「試験パス」というアイテムを消費する必要がある(初級ならLv.5以上で初級試験パス、上級ならLv.20以上で上級試験パス、といった具合)。 ---一度合格した兵種には、出撃準備画面などでいつでも・何も消費せず変更が可能。下級のクラスに戻すこともできる。 --『Echoes』と同様に各クラスに基準値となるステータスが設定されており、資格試験に合格した時点で基本能力値(クラスによる補正を含めない値)が基準に満たなかった場合は自動的に底上げされる。 ---この仕様により、守備がヘタれてしまっているキャラクターに重装と斧術を教え込み、守備の基準値が高いアーマーナイトを獲得させて守備を底上げするということも可能である。 --しかし今回はユニットレベルもクラスから独立しており、クラスチェンジしてもレベルが据え置きになる。 ---よって、過去作の「下級職で限界までレベルアップさせてから上位のクラスへ移行する」のではなく「レベル条件を満たした後はできる限り早く上位クラスの資格を獲得し、最低保証ボーナスを獲得する」方が最終的な総合値が高くなりやすい。 ---ただしユニットレベルの限界値は99とそれまでよりはるかに高い数値で、通常のプレイでは終盤でもレベル40台~50程度にしかならないので、完全に取り返しがつかなくなることは一応無い。 --さらに、今作はシリーズ恒例の再行動役「踊り子」も固有ではなくなり、中盤のイベントで任意の自学級に所属する生徒一人を指定して踊り子の資格を獲得させるという形になっている。~ 一応『「魅力」パラメータが一定以上』という条件があり誰でもとはいかないものの、条件そのものは然程厳しくなく(主人公((クラスにこそなれないが、アップデートで衣装のみ着る事は可能になった))を含む先生陣や騎士団員を除いて)全員が「踊り子」になれる可能性がある。 ---今回の踊り子は上級相当にあたり、剣術と指揮が得意である他に貴重な「魔法を使用できる」クラスでもある。そのため補助要員として申し分のない性能である。~ しかしこれらの「ほぼ誰でもなれる」「魔法が使える」という特徴が&bold(){とある重大な罠}に化けてしまうケースが存在し……(賛否両論点を参照のこと) -支援要素 --覚醒など同様にC~Sの四種、またペアによってはC+,B+,A+というように追加の会話イベントが存在する。 ---全員と支援及びSがあるのは主人公のみとなり、最終シナリオ直前にプレイヤーが支援Sになりたいキャラクターを決めてクリア後のイベント、いわゆる後日談でプロポーズするようになっている。 --上記の通り、他キャラ同士のカップリング要素はA、またはA+の組み合わせのみペアエンドが用意されている。(一部例外アリ) また、前述した通り、本作では主人公が自発的にしゃべる事がないため、主人公が関わる支援会話では、基本的に相手がしゃべり、主人公がそれに対してプレイヤーが選択した返答を行うという形式になっている。基本的に、どちらを選んでも得や損をすることはない(ごく一部に選択肢によって支援値が変化するものも存在する)。 ---主人公は支援Sを結んだ相手とペアエンドになるが、それ以外のキャラは支援A(A+が存在するペアはA+)になった相手の中でもっとも支援値を稼いだキャラとペアエンドを迎える。同時に、Bで打ち止めになる相手はペアエンドがない組み合わせということになる。 --基本的に修道院でしかイベントは起こせず((主人公のみ「相手が会いたがっている」「様子が気になる」という形で平日にイベントが起きる事がある))、シナリオの進行や特定のサブイベントをこなさないと支援会話が起きない事もある。 --支援レベルを上げたキャラクターが近くにいると命中率や回避率が上昇するのは従来の作品と同じだが、本作では特別な組み合わせ((主人公と級長、など))に限り、与えるダメージが増加することもある。 -外伝マップ --本作の外伝シナリオは、自由行動中のフリーマップの中から行える。 ---プレイ条件は主に、主人公と特定のユニットの支援レベルが関係しているが、大抵は出現条件として参照されるユニットが主役である事が多い。なお、他のクラスのユニットをスカウトしなければ出現しないものもある。~ 外伝のマップは、特殊なギミックが存在する場合も多いことからメインシナリオと比較して難易度が高い傾向にあり、索敵マップなども殆どがこちらに集中している。~ クリア報酬は豪華な事が多いため、積極的に攻略する価値がある。 -amiibo --修道院にある「amiiboスポット」でamiiboを読み取る事により、修道院に訪れる度にアイテムが出現するようになる。この際FEキャラのamiiboを1度でも読ませればアイテムの質や量がよくなり、更にamiiboに合わせたBGMがフリーバトルに追加される。 -オンライン(Nintendo Switch Onlineへの加入が必要) --留学生 ---修道院内で生徒にアイテムを持たせて((持たせたアイテムは消滅する))、他のプレイヤーに派遣する事ができる。また修道院に訪れる度に一回、他のプレイヤーが留学生に指定したキャラがランダムに4人出現するようになる。 ---留学生が所持しているアイテムを定価より安く購入でき、また派遣した側は次の休日以降に呼び戻した留学生から売り上げを受け取る事ができる。ただしオンラインの都合上、''受け取った後に受け取る前のセーブデータを読み込むと売上の回収はできなくなる。'' ---また留学生と訓練(かくれんぼ)をする事ができ、成果によって報酬が貰える。 --戦死者の魂 ---別のプレイヤーのデータで、ステージ内でキャラが多く死亡したマスに黄色(味方)、紫(敵)の魂が現われるようになる。黄色は経験値と武器や魔法などの回数回復、紫はアイテムが入手できる。 --ランキング ---他のプレイヤーの「使用率の高いキャラ」「お茶会をしたキャラ」等がロード画面でランキング形式で表示され、また「その休日に他のプレイヤーが選んだ行動」がパーセンテージで表示されるようになる。 -マンネリ化しがちだった「お約束」的キャラの存在が見直されたためか、「''お助けパラディン''((所謂ジェイガン役。成長率が低いが高ステータスで序盤の救済役として特に高難易度では重宝される。))」「''キルソード持ち剣士''」「''赤と緑の騎士''」など、シリーズおなじみのポジションが一部登場しない。 --『覚醒』『if』と近作で採用が多かった「''子世代ユニット''」もシステムとしては完全に廃止されている。((前々作にあたる『if』においても「設定・シナリオにおいて導入する必要性がない」「大元のゲームシステムとの擦り合わせが不十分」と疑問視する意見が目立っていた。)) -その他 --クリア後は主人公が習得した技能や支援値など、一部データを名声値消費で引き継いで周回プレイが可能。シリーズ初となる「強くてニューゲーム」の概念が断片的に導入された。 --難易度ノーマル限定で、出撃回数を消費しないフリーマップに出撃可能。これはマップを撤退しても経験値等が入る(撤退した場合は武器や騎士団の消耗、アイテムや支援値がもとに戻る)。~ 『覚醒』や『if白夜』と同様、育成面での敷居を下げる重要なステージとなる。 --今作もゲーム開始後に「修道院パート」及び「進撃準備」のタイミングで難易度を下げることは可能になっている(ルナティック(※Ver.1.0.2以降)→ハード→ノーマル)。一度下げたら戻すことはできない。~ ただし『if』で可能だったゲームモード(クラシック→カジュアル)の変更は不可。よって「クラシック」で始めた場合はユニットロストが発生した後に「カジュアル」に戻して復活させることはできなくなった。 -DLC -従来のものとは異なりコンテンツごとに購入する必要はなく、「エキスパンション・パス」と呼ばれる追加商品を購入することですべてのコンテンツを遊ぶことが可能。特別アイテムや追加マップは廃止し、プレイアブルキャラクターやコスチュームなどの追加が主となっている。 --2020年2月に配信されたVer.1.2において、本編とは独立したサイドストーリーである「煤闇の章」をプレイすることが可能となった。 --ガルグ=マク大修道院の地下に広がる「アビス」を舞台とし、各学級長に加え秘密裏にされていた第四の学級「灰狼の学級」(ヴォルフクラッセ)に属するという4名の生徒とともに謎の敵と戦いながらアビスの謎を追う短編ゲーム。加入キャラクターが固定であるうえ資格試験がなく・技能経験値や兵種経験値も完全に得られないため、あらかじめ与えられた兵種とスキルのみで戦う、従来作に比較的近い仕様となっている。強いて言うならオンラインに加入している場合、戦死者の魂が出現する分多少有利になる。 ---- **評価点 -3つの国が絡み合う、壮大な物語 --本作は「士官学校編」と「戦争編」の二部構成になっており、前述した通り、選んだクラスによって加入キャラやストーリーが分岐する。 ---士官学校編で攻略するマップは全ルートでおおむね共通だが、戦争編においては基本的に選んだ学級の国について戦う事になるため、攻略するマップが大きく変化し、場合によっては修道院や他のクラスのユニットが敵として立ちはだかる。味方ユニットが敵として現れる要素は『if』や『暁の女神』でも見られたが、本作ではなんと、主人公とDLCで加入するキャラクター以外のすべてのユニットに、敵対するシナリオが用意されている。((1部の模擬戦で対決することがあるのみのマリアンヌを除いた全員と戦争で向き合うため、自軍によって殺害される可能性がもれなく生まれる)) ---また、『暁』や『if』では、味方同士の争いに持ち込むために強引な展開を見せることが度々あり、シナリオを重視するプレイヤーからの顰蹙を買っていたが、本作では、すべてのキャラクターや国に綿密な設定が施され、無理のある展開も非常に少なくなっている。 --プレイヤーは、分身たる主人公が選んだ学級に応じて、異なる「戦争の歴史」を追体験することになる。最終的には、プレイヤーが受け持った学級の所属する勢力がフォドラの覇者となる一方で、他の学級の生徒は事前にスカウトしていない限り高い確率で破滅を迎える。~ とりわけ級長となるキャラはその傾向が顕著で、特に戦乱の中心に立つエーデルガルトとディミトリは、対応するルート以外では無惨な死を迎える運命にある。 ---結果として、近年のシリーズ作品に見られた勧善懲悪の傾向は完全に鳴りを潜めており、正義同士が血で血を洗う"戦争"が描き切られている。その中ではかつての教え子たちと刃を交える展開すらも存在する一方で、今までの「お約束」と化していた「戦いの中で説得をすることで自軍に引き入れるケース」が大幅に減少している((第一部でスカウトをせずに、第二部で説得して加入させられるのは一名のみ。キャラとルートによってはスカウトしていても第一部クリア時点で一時離脱し、敵に回ったところを撃破することで、改めて仲間にするか選択することが出来る))。予めスカウトできなかった他クラスのメンバーはほとんど自らの手で殺害せねばならない。 ---他クラスのメンバーを敵として倒した場合でも、クラシックモードで味方がロストした時と同様の演出(散り際のセリフのみ異なる)が行われる。よって、ユニットのロストというFEプレイヤーにとっては最も見たくないシーンとしてユニークキャラクターの死は強調されることとなり、断末魔や散り際セリフにおける声優の迫真の演技もあいまって非常に堪えるものとなっている。 ---ルート選択によって、必ず救われる勢力が出てくることも魅力の一つ。周回プレイで別のルートを遊びなおすことなどで、教え子や仲間たちが滅びの未来から救われるそれぞれの道程を見ることが出来る。 ---「スカウトなどによって転籍したキャラの描写」が濃いのも特徴の一つ。例えば、イングリットは本来は王国に忠実な騎士としての姿勢を貫くが、別のルートでスカウトした場合は、「実家のガラテア家を出奔し、仕えていた王国に刃を向ける」というまったく異なる立場となるため、修道院の会話では「所属していた場所を離れたり、仲の良かった仲間たちと戦わざるを得なくなる」といった状況に対する葛藤などを聞くことになる。 --本作では、最序盤の盗賊討伐からして生徒一人一人に敵ユニット撃破時の台詞が用意されていたり、レベルアップ時の台詞で&b(){明確に相手を殺害している}事を強調しているキャラが居るなど、戦争が命のやり取りである事を意識させる発言が従来よりもかなり多い。殊更に対立が激化する2部ではこの傾向が顕著となり、元生徒が心を擦り減らしながら戦う中で発する、悲痛で凄まじい台詞の割合も増えてくる((例を挙げると、「また生き延びられた。また殺した!」(ベルナデッタ)、「人殺しの経験が私を成長させる……」(ドロテア)、「これだけ殺ってりゃ強くもなるさ……」(クロード)といった具合。))。 ---一方、戦いに対する決意や前向きな展望を語るシーンも多く、決して辛気臭いストーリーにはなっていない。悲痛なセリフの数々は、あくまで生徒たちの強い覚悟からくるものである。 --戦争のみならず、政治劇に関しても従来より作りこまれている。紋章の有無によって人生を狂わされたり、平民と貴族の軋轢に苦しむ者や、他の国出身ゆえにフラットな視線でフォドラを俯瞰する人物など、本作ならではの魅力的な要素も多く見られる。この描写は特に外伝シナリオにおいて顕著となっている。 ---また、従来の作品では高貴な血を引く存在が必然的に王となるケースが多かったが、本作ではそういった血統主義にも疑問を呈する動きを中心としたストーリーが語られ、物語に深みが増している。 #region(close,黒鷲の学級) -主にアドラステア帝国出身の生徒によって構成されている学級。 口より先に手が出るタイプの「カスパル=フォン=ベルグリーズ」や筋金入りの引きこもりである「ベルナデッタ=フォン=ヴァーリ」と言った他の学級と比較するとクセのある生徒が多い。また、生徒の一人である「ペトラ=マクネアリー」は、表向きはフォドラの外にある小国「ブリギット」からの留学生ということになっているが、実際はアドラステア帝国への従属を強いるための人質であったりと、強国ならではの歪みがそこかしこに見え隠れしている。~ ただし、宰相の嫡子である「フェルディナント=フォン=エーギル」がエーデルガルトを一方的にライバル視している以外は諍いらしきものはなく、曲者ぞろいながら、生徒同士の仲そのものは良い。 --このルートは最大の特徴として、''第1部の終盤ある選択によって、第2部のシナリオ、および加入ユニットが全く違ったものとなる''。端的にいえば、敵対を余儀なくされた帝国と教会、どちらにつくかというものであり、そのため本作は3つではなく4ルート分が存在することになる。再分岐は『if』が近く、主人公・プレイヤーに上手く感情移入を促した絶妙なタイミングで発生するため、非常に悩ましい選択となり、そのどちらであっても密に接してきた仲間と相争うことになるという、本作を最も象徴する展開が待ち受ける。 ---このため他のルートでは普通にスカウトできる「ツィリル」や「カトリーヌ」といった特に教会への忠誠心が強い面々は、このルートに限り教会につく「銀雪の章」が確定するまで仲間にならず、級長としても生徒トップクラスの能力を持つエーデルガルト(と従者の「ヒューベルト=フォン=ベストラ」)は逆に離脱、帝国につく「紅花の章」では「イエリッツァ=フォン=フリュム」が加入する。いずれも強力な戦力だけに、攻略面でも悩ましい"選択"を強いられる。 --黒鷲の学級で加入するユニットは魔法を主力とする癖のある性能を持ったキャラが他より多いうえに、英雄の遺産やそれに対応するキャラクターが非常に少ない。それを抜きにしても2部での敵陣容がラスボス((ボス自体は銀雪、紅花で共通しているが、性能が微妙に異なる))含めて3ルートの中で最も強く、特に紅花では短さゆえの育成余地の少なさも相まって他のルートより難易度が高めになっている。 #endregion #region(close,青獅子の学級) -ファーガス神聖王国の出身者が集う学級。女性にだらしない「シルヴァン=ジョゼ=ゴーティエ」や、貴族でありながら戦に自らの価値を見出そうとする「フェリクス=ユーゴ=フラルダリウス」などがいるものの、ドジなところもあるがかなりの努力家の「アネット=ファンティーヌ=ドミニク」や穏やかな性格で生真面目な「アッシュ=デュラン」など、3つの学級の中では比較的模範生も多い。一方で、フェリクスがディミトリに公然と皮肉を言ったり、ディミトリの幼馴染である「イングリット=ブランドル=ガラテア」が「ダスカー」の民であるという理由で「ドゥドゥー=モリナロ」を敬遠しているなど、生徒同士の関係があまりよくない。 --この状況は、数年前に起きた「ダスカーの悲劇」が背景にある。これは当時の国王ランベールなどが死亡した、帝国の関与が疑われる大規模な殺傷事件で、現在の王国の情勢が非常に危うくなっている一因でもある。級長のディミトリは事件の当事者にして数少ない生き残りの一人で、表向きは好青年であるものの、内心では帝国に対し狂気を孕んだ復讐心を抱いている。また、この事件によってフェリクスの兄であり、イングリットの婚約者でもあった「グレン」が命を落としているなど、国と学級の両方に強い悪影響を及ぼしている。 ---一見すると「青が持ち色で、帝国によって窮地に陥り起死回生を狙う王国」というFEシリーズ従来の定番に沿っているように見えるこのルートでは、主に「ダスカーの悲劇」の真相究明の他に、復讐鬼に堕してしまったディミトリの救済が主なテーマとなっている。特にディミトリは、別のルートを選んだ場合は悲惨な最期を遂げるため、助けられた際の感動はひとしおとなっている。 ---このルートでのみ、第1部で顔見せしていた「ギルベルト=プロスニラフ」を加入させられる。加えて彼が青獅子の学級に所属しているある生徒の父親であることが正式に判明し、唯一、最後まで支援を進めることができる。また、フェリクスの父親である「ロドリグ=アシル=フラルダリウス」も一定期間同行((修道院やシナリオデモでの会話のみの登場で、ユニットとして使用はできない。))し、ディミトリの救済に一役買うことになる。 --他、加入キャラはディミトリを含め英雄の遺産の継承者や物理での直接戦闘に秀でているユニットが多く、第2部での敵も比較的に若干弱めの設定となるため、他の二つの学級と比べて攻略難易度が低めとなっている((ただし、ルナティックでは、一部のマップの難易度が極めて高くなる。))。 #endregion #region(close,金鹿の学級) -レスター諸侯同盟の出身者で構成されている学級。好青年を装う傍ら「猜疑心の塊」と自称するクロードや、サボり癖がある「ヒルダ=ヴァレンティン=ゴネリル」、極度なまでの悲観主義に染まっている「マリアンヌ=フォン=エドマンド」など、黒鷲ほどではないにせよ癖の強い生徒もいるが、身分に囚われていない事が多いためか、まとまりの良さは随一。 --このルートは、主にクロードの意向によって、フォドラの歴史の裏に潜む真実を暴くことに主眼が置かれている。そのため、他の学級よりも明らかになる情報量が多く読みごたえがあり、クリアした際の達成感も大きい。また、解放王ネメシスが率いる「フォドラ解放軍」と戦えるのもこのルートのみである。 --初期や他ルートでこそ胡散臭さを見せるクロードも、やがて主人公を「きょうだい」と呼ぶなど無二の相棒となり、第2部では自らの生い立ちを語るシーンが描かれるなど、戦乱の種に独自に立ち向かう路線と相まってますます好青年っぷりに磨きがかかる。他の生徒たちも、2部においても前向きな姿勢をほとんど変えていない((マリアンヌは明らかに1部よりポジティブな性格となっている。))など、他のルートと比較すると明るい面が目立っている。 --攻略に関しては、他ルートと比べて強力な前衛向きのユニットが少なく、弓が得意な生徒が多いなど癖の強めな陣容となる。 #endregion -作り込まれたキャラクター設定 --本作ならではの大きな特徴の一つとして、味方キャラのほとんどにフルネーム((素性が明らかでないなどといった理由で、苗字が明かされてないユニットもいる))と、年齢、身長、経歴などのプロフィールが設定/開示されている。従来のFEでは、支援会話などである程度のバックボーンを理解できるようになっていたが、本作では設定を補強する要素を多数閲覧できる上に、生い立ちや家族構成などもはっきりとわかるように作られている。とりわけプロフィールに記載されている「好きなもの」「嫌いなもの」は、プレゼントの際に参考になるように設定されており、攻略のヒントとしても十分に機能している。 --「お約束」からの脱却を図った結果として、メインキャラも従来とは大きく方向性の異なるキャラ付けが多数登場している。~ 主人公は傭兵団団長の子供という、『蒼炎の軌跡』主人公の「アイク」に似た立場となるが、性格はそれまでのFE主人公とは大きく異なり、寡黙で感情をほぼ現さない。また、他の成長途上の主人公たちと違いストーリー開始時点からフォドラに名を馳せる熟練の傭兵として描かれている。そのため戦闘以外のイベントでも必要であれば敵国の人間を躊躇なく殺害することもある。((かつての教え子はもちろん、ルートによっては自分たちに牙を剥いてきた村の少女(正体は復讐を目的に接近していた暗殺者ではあったが)ですら斬り殺す描写も存在する。))しかし、その確かな剣術と用兵術は教え子たちの信頼を得る最大の武器となり、主人公自身も次第に教え子たちを大切に思う場面が増えていく。また、慣れない修道院生活の中で、どこか天然ともいえる仕草を取る事もあるなど、コミカルな部分もしっかり持ち合わせている。こうしたバランスの取れている性格から主人公キャラとしてプレイヤーがストレスを感じにくく、キャラクターとしても好評である。 ---主人公たちが所属しているセイロス教会の大司教である「レア」は、表向きは慈悲深い聖女のような振る舞いを見せるが、教会に逆らうものは容赦なく処刑しようとする、主人公の父親でありかつては彼女に従っていたジェラルトからも警戒されているなど、明らかに従来では敵側にいるような油断ならない人物として描写される。一方で、単なる腹黒キャラとも全く異なる面も多く見受けられるなど、パターンにはまらないキャラ付けがなされており、これまた癖は強いが、それだけの個性を示している。 ---各学級の級長たちは、主人公に並ぶ主要人物として大いに活躍する((クラシックモードでプレイした場合、彼らがロストすると敗北になる))。彼らは、基本的には主人公に対して友好的だが、3人共「目的のためには手段を択ばない」面が共通している。彼らの腹の内を探り、その内面を深く理解し絆を勝ち取っていく流れが、感情移入を促す要素として機能している。 ---生徒たちも、それぞれに趣味や嗜好があるほか、世界観が緻密に描かれた影響から、全員がメインキャラと呼べるほどの存在感を持っている。実際、選択した学級の生徒は本編中のイベントシーンでも、ロストしていない限り全員ほぼ毎回セリフを発する。「加入章だけ目立った出番がありその後は空気化する」という扱われ方をするキャラは、本作には存在しない。 --また生徒以外も、紋章の研究に命を燃やす教師「ハンネマン=フォン=エッサー」や、可憐ながらも天然な性格が魅力の「フレン」、主人公の父ジェラルトを敬愛する修道院お抱えのセイロス騎士団所属の「アロイス=ランゲルト」、元傭兵上がりで同じくセイロス騎士団に身を置くクールスナイパー「シャミア=ネーヴラント」等、生徒以外にも魅力的なキャラクターたちがストーリーに華を添えている。 --敵キャラもまた例外ではない。第1部の黒幕である炎帝や死神騎士や、「闇に蠢く者」はもちろん、序盤のボス敵で、いかにも簡単にやられそうな山賊と思いきや、部下から人望を集めていたことがあとでわかるようになっている「コスタス」、アッシュの恩人でありながら教会に対して反乱を起こす「ロナート卿」、カスパルの親戚で「家族のために戦う」という大義を持ちつつも視野の狭さが命取りになる「ランドルフ=フォン=ベルグリーズ」など、個性、および魅力あふれるキャラクターが多数揃っており、今までに見られた「マップに出てきてただやられるだけの名有りモブ将」はほぼ存在しない((該当すると思われていたメトジェイやバジャルドも、のちのDLCなどでその背景が補完されている。))。 --名無しのモブキャストすらも、個性あふれる面々が揃っている。 ---本作も、戦闘マップ上で村や民家を訪れることは基本的にできない((特定のマップで、敵に進入されるとアイテムが入手できない、といったものはある。))のだが、その分、修道院内で、騎士団や教会の人物などとの会話が可能となっている。~ 会話内容は月ごとに異なっており、その場面に即した話や、裏話的な要素を楽しむ事ができる。会話できるキャラクターには、戦争で難民になったり家族を失った者、セイロス教の教義と現実との乖離に悩む者など多彩な立場の人間がおり、世界観の深さをアピールするために一役買っている。~ 中でも人気を集めたのは、修道院の門番を務める青年。「先生、お疲れさまです!」から始まる彼の話は、癒し系として多くのプレイヤーから人気を集め、その結果、名前不明にもかかわらずメインキャラクターに匹敵する知名度を獲得した。((余談の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に多数のキャラを押しのけて背景出演を果たしたり、公式ドラマCDでも級長3人と共に「門番」名義で出演していたりと、その根強い人気は窺い知れるだろう。そしてついにはヒーローズの第5回英雄総選挙で、全キャラクター中1位という凄まじい結果を叩き出した結果プレイアブル化されてしまった。))より一層キャラクターの魅力が引き立てるように、やはり彼らモブキャラ達も例外なく全員フルボイスである。 ---また、会話の中にのみ触れられる登場キャラらの関連人物も多いのだが、それらの特徴づけも丁寧に行われており、プレイヤーの話題に挙げられる事が多い。~ 中でも取りざたされやすいのは、カスパルの父親である「ベルグリーズ伯」と、ヒルダの兄である「ホルスト卿」。いずれも尋常でない強さを誇っていることが明かされており、本作中に一切登場しないにもかかわらず人気の高いキャラとなっている。他にも、イングリットの父親で、娘思いながらも婚約を進めようとする「ガラテア伯」や、虐待に近い教育を施したことで娘であるベルナデッタから憎まれている((中でも、仲良くしていた平民が行方不明になったことは、彼女に深いトラウマとして刻まれている。これについてはDLCで核心が補完される。))「ヴァーリ伯」など、良くも悪くもインパクトの強いキャラクターが目白押しとなっている。 -緻密な世界観設定 --本作では、キャラクターのみならず、領地や国の設定も非常に凝っている。たとえば、シルヴァンの実家であるゴーティエ家は、たびたび北方から攻め寄せてくる蛮族の国「スレン」と山を挟んで領土が向かい合っているため、それを撃退するための軍備が不可欠で、それゆえに家に伝わる英雄の遺産「破裂の槍」を使いこなせる紋章がないと家督を継げないという掟がある。 --また、従来の作品は、舞台となる一つ、ないし二つの大陸のみで完結していたものがほとんどだが、本作ではフォドラや上記のスレン以外にも、西方の「ブリギッド」や、南方に位置する「ダグザ」など、複数の国や大陸がある事が明かされており、そういった多数の外部勢力は実際に物語にも絡んでくる。また、実際にフォドラの外からやってきたキャラクターも複数存在する。これらのように、総じて世界観が非常に練られているため、考察のしがいがある。 ---修道院を散策すると、その節で起こった出来事やフォドラの情勢に対して、すべてのキャラクターが異なる角度から意見を述べる。直近のストーリーを理解するために必要な情報はそこで整理されるため、設定の多さや複雑さに圧倒されることはあまりない。 --これらの要素から、「キャラクターの設定や会話がテンプレ的((本作でも女を見れば即座に口説くシルヴァンや、やたら引きこもりを主張するベルナデッタもいるが、それぞれにバックボーンが緻密に用意されているため、進めていくうちに単なるテンプレキャラではない事がわかるようになっている。))、ノリが軽すぎる」「世界観の描写・練り込み不足」と近年のシリーズ作品で批判されていた問題点は解消されたといって良いだろう。 -充実した支援会話やキャラ関連のイベント --本作では、イベントが発生した時期などに応じて、細かく支援会話の内容が変化する。 ---一例として、イングリットが化粧の話を振られた場合、別キャラの支援会話で化粧を勧められていると「少しだけ経験している」と話し、そうでない場合は「未経験」と返すなど。さらに食堂での食事に誘ったキャラ同士が支援会話の内容で反応もその都度変わるという凝りっぷりである。((喧嘩をしている時期に二人を誘うと反応が互いに余所余所しくなったり、逆に支援会話で仲直りをしていると互いに嬉しそうな反応をするといった具合))また、異なる学級の生徒同士でも支援会話を発生させることができるうえに、同じ組み合わせの会話でも、最初に選んだ学級によって内容が変化するなど、緻密かつ丁寧に描かれており、すべての会話を拾うためのプレイを楽しむユーザーなども目立つ結果となった。複数のキャラとの支援会話の内容での矛盾などは過去作から問題視されていたが、本作ではその問題を直接的に解消したともいえる。 ---スカウトシステムの関係で第二部では元は同じ学級だった者同士で戦闘が発生する場合もあるのだが、''そんな組み合わせによる専用の戦闘前会話も多数用意されている。''繰り広げられるやり取りの悲痛さはFEシリーズでも屈指のものである。 ---ただし上記のように時期の違いやスカウトによる所属の変化など、本当に細かい所でも変化するためそのテキスト量は膨大となっており全てを網羅するのは至難どころではない。発売から時間が経過してもなおふとした所から新たな派生会話がどんどん見つかっている程。 ---そしてその細かい差分も含めた膨大なテキストを、前作と同様にフルボイスで楽しめる。豊永利行氏や石川界人氏、悠木碧氏や花守ゆみり氏、長妻樹里氏などといった、豪華声優陣たちの名演をより多く楽しめるようになっている。 --支援Sも含め、支援会話は基本的に特定EP間内で解放可能になる(支援値の蓄積は制限なし)という制限がつくようになった。これによって支援Sまでの過程や交流がきちんと明確に描かれているので『覚醒』と『if』のような戦争中のプロポーズや唐突なシナリオの展開など、過去作で問題視とされていた点が大幅に改善されている。どれも内容は好評で推しだったキャラクターがさらに好きになってしまうプレイヤーも多い。 ---加えて同じキャラの組み合わせでも、選んだルートによっては後日談の内容がガラリと変わるようになった。そのため本作はペアエンドも従来作品と比べても膨大かつ多種多様になっている。 ---『覚醒』と『if』から同性同士のペアエンドは続投しているが、親友や主徒等の結婚だけではない結末も多く、どちらかと言えばGBA三作に近いものとなった。こちらもまた別の信頼の形である、と好評。 --支援会話は従来作のような立ち絵のスチルではなく3Dモデルによって行われる。これによってキャラクターのある程度細かい表情や動きが表現出来るようになった。特にベルナデッタはネタ的にも活用されており、''ヒューベルトに驚いて立ったまま気を失うベルナデッタ''といった迷シーンまで生み出された。 ---内容も第三者が登場したり場面転換が行われるシーンも大量に増えてバリエーションが豊富になった。 --クラシックモードの作りこみも充実しており、それまでのシリーズでは後のイベントで出番があったり、物語上で重要なポジションにあるキャラはクラシックモードであっても負傷撤退(ユニットとしてはロストするがイベントには参加)することが多かったが、本作の第二部では進行役のごく一部のキャラ(基本的に1名、銀雪のみ2名)を除いては戦死するようになっている。 ---戦死したキャラが登場するイベントでは代役が立てられたり、イベントそのものが省略されるなどの調整が図られて物語に矛盾が起こらないようになっている。またキャラの戦死によって別のキャラの支援会話や本編のセリフ、後日談が細かく変化する事もある。 ---第一部でロストしてしまった場合、全員がその場では撤退扱いとなるのだが、第二部には登場しない。この場合、後日談では「第二部までの間に各々の理由(別の戦場で戦死、結婚、行方不明等)で味方に合流できなかった」事が語られる。 ---今までのシリーズで感じられたクラシックモードでプレイしているのに死なないキャラが多いといった点、キャラの生死が関わるので、仲間になった後はほとんどメインイベントに参加しなくなるといった問題点が尋常ではない作り込みにより解消されたといえる。 -章開始時のナレーションが復活 --『[[覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』以降で不採用となっていた、章開始時のナレーションが新作としては久々に復活した。 ---独特の宗教画のようなタッチの一枚絵と共にフォドラの季節や人々の習慣を説明するパートが初登場。もちろん従来の勢力の動向を解説するマップ形式も存在している。((日常的な学園生活を送る第1部の時点では前者のみ。戦火が大陸全土に広がる第2部から後者に変化する流れで、日常→戦争への変化を際立たせる要素ともなっている。))大塚明夫氏(ジェラルトと兼役)の穏やかな声も交え、こちらも高い評価を得ている。 -良質なテキスト --上記の、主にシナリオに関する評価点をさらに上質にしている要素が、テキストである。上述したシナリオ、ナレーション、散策、支援会話など、いずれも読み進めやすいうえに矛盾が少なく、没入感をさらに深めるフレーバーとして機能している。 ---固有名詞を除いて、いわゆる外来語(カタカナ言葉)が一切使用されていないのも、本作ならではと言える特徴の一つ。この要素は、フォドラが他国との交流が上手くいっていない、あるいは意図的に断っていることの証左にもなっている。 -二つの時代をまたぐことで、大きく作風が変わる。 --本作の物語は、第1部(学園編)の「白雲の章」と、第2部(戦争編)に大別される。第1部では、受け持ったクラスを指導しつつ、「課題出撃」と呼ばれる月末のイベントをこなし、フォドラにおける現状を把握していく。その中で、修道院の付近で暗躍する二つの勢力「炎帝軍」「闇に蠢く者」の存在が明らかになり、彼らの陰謀を阻止するために主人公と教え子たちが活躍していく。こちらの章は、立て続けに事件が起こるものの、戦争中というわけではないため表面上の情勢は穏やかである。しかし、終盤でガルグ=マク大修道院が大きな戦に巻き込まれ、その中で主人公は致命傷を負って行方不明となり、内なる存在によって5年にわたって肉体を修復される事となる。 --5年後となる第2部は、前述したルート分岐によって「翠''風''の章」「紅''花''の章」「銀''雪''の章」「蒼''月''の章」の4つに分かれる。見てわかる通り、この4つを組み合わせて、本作のサブタイトルとなる「風花雪月」となる。 ---こちらは、復活を果たした主人公がかつての教え子たちと再会し、彼らと共に戦乱を生き抜くという内容になっている。主人公は生命活動が停止していたため姿は変わらないが、教え子たちは5年の時を経て、外見・精神共に大きく成長しており、中には別人のようにたくましくなる者もいる。 こちらは、1部とは打って変わってハードな展開が終始展開され、本作が「戦争」を描くゲームであることを認識させられる。基本的にストーリーの重点は第2部にあるが、いずれのルートも、比較的平穏であった第1部における展開があってこそ、という内容になっている。 --なお、ギルベルトとイエリッツァ以外は、全て1部と2部の両方で使用可能となっている。 -「ファイアーエムブレム」という概念が、物語と深く関係している。 --本作では、前述した「紋章」の中に、ずばり「炎の紋章(Crest of Flames)」と呼ばれるものが存在する。これは、かつて「解放王」と呼ばれたネメシスが宿していた特別な紋章で、ネメシス没後の現在は主人公以外に宿している者はいないとされる。物語の中でも特に重要な存在として描かれる、「ファイアーエムブレム」である。 ---また、本作以前の紋章((竜族の血などといった、紋章のカギを握る重要な系譜))に関する描写は、ほぼほぼ婚姻による継承のみに絞られていた。しかし本作では、それ以外のケースによって紋章を与えられている事例が存在し、それらの要素がストーリーにも大きく影響している。~ この事情は主人公の「炎の紋章」についても無視できず、素性不明(ネメシスの子孫ではないことが推察できる程度)の主人公が、なぜネメシスと同じ紋章を所有しているのかは本作最大の謎の一つとしてプレイヤーの興味を煽ることになる。 -自由度が高い --本作の技能レベルは、扱える武器の種類などだけでなく、クラスチェンジや魔法、戦技、スキルの修得などありとあらゆる能力育成要素に関わっているため、従来よりも重要になっている。講義や訓練の時間は主にこの要素を伸ばすためにあてがわれるため、どの生徒をどういう風に育てるかを、ある程度自由に調整できる。 ---主人公や級長は、それぞれ専用クラスがいくつか存在するが、あえて他のクラスにつかせる事も可能で、場合によってはそのほうが有利に働く事もある。 ---個人スキルや紋章を変更する事はできないが((紋章は2周目以降に入手できるアイテムで擬似的に与えることが可能))、『聖戦』とは異なり、紋章の有無が性能に直結する事はない。育成を怠らなければ、すべてのユニットを活躍させる余地が十分にある。プレイング次第では意外な適性を見出すことも可能で、同じキャラクターをまったく別のクラスに就かせて活躍させるのも楽しみの一つとなっている。 ---『外伝』と同様にキャラクター毎に習得魔法は異なる。中には意外なキャラが強力な魔法を覚えたりするのであえて魔法職にしてみるというプレイも可能。「戦技」も同様にキャラ毎に個別となるので高い自由度を維持しつつ無個性にならないように配慮されている。 --シナリオにおいても例外ではない。一切スカウトをせずに自学級の生徒のみで攻略したり、好きなキャラのスカウトのために交流を繰り返す、といったプレイのほか、メルセデスとイエリッツァや、アネットとギルベルト、リンハルトとカスパル、フェリクス、イングリッド、シルヴァンの幼馴染トリオなど、あえて仲の良いキャラクター同士を対立させるためにその片方だけをスカウトする、といった&s(){鬼畜}プレイも可能。~ さらに、他学級の生徒同士で支援を結び、独自のペアエンドを見ることもできるうえ、選択した学級によってその内容が変わることもあるため、繰り返し遊ぶモチベーションの増加につながっている。 -良質なグラフィックとBGM --昨今において高い評価を得ていたグラフィックとアニメーションは、本作においても好評。 ---本作では、舞台となるマップの拡大が可能となっており、ユニットが騎士団と共に戦っていたり、マップの中に様々な要素を見ることができる。 ---倉花千夏氏によるキャラクターデザインもおおむね評価が高く、据え置き機ならではの、高クオリティのイベントムービーがそれらを彩ってくれる。前述したナレーションにおける一枚絵も、独特の味があると好まれている。 --BGMも、戦闘曲から日常曲まで優れた出来のものが多数揃っている。 ---戦闘曲に関しては特に評価が高く、勇ましさを前面に押し出した曲調の「天裂く流星」や、戦争の重々しさを体現したかのような「野望の地平」、三つの勢力が相争う「鷲獅子戦」で「鷲獅子たちの蒼穹」や「天と地の境界」、かつての味方同士の戦闘シーンという悲惨なシチュエーションをより強調する「交わらぬ道」、シリーズでも特に異質でメカニカルな雰囲気を放つ「シャンバラEx-エリア017」、そして、最終マップで流れる「花片の葬列」「この世界の頂で」「神を屠る星」などなど、シリーズの中でも名曲が多いことで知られている。~ 「風塵回廊」や「鉑鎖の群狼」などといった、DLCによって追加された曲も高い評価を受けている。 ---また、主題歌である「フレスベルグの少女」も、歌曲自体の美しさや、シチュエーションに即していることなどから人気が高い。 -魔法の使い勝手が向上 --本作の魔法は、魔導書ではなく魔法特有の使用回数を消費することで使用可能。さらに、マップをクリアすることで使用回数が最大値まで回復するため、非常に使い勝手がよくなっている。 --「外伝」「Echoes」で搭載されていた「地形効果無視」も健在で、戦技や射程の面でリードしている弓と差別化が図られている点も魅力。 -DLC『煤闇の章』について --「級長3名が共闘する」という本編では冒頭にしかない希少なシチュエーションを楽しむことが可能。また、自由行動が制限されているが、兵種変更自体はある程度可能なので、攻略するにあたって試行錯誤を楽しむことができる。また、敵のほとんどが剣殺し、槍殺し、斧殺しのいずれかを所有しているため、疑似的に3すくみを体験することも可能。 --戦術マップは、従来の伝統に則ったシビアなシステムを継承した上で、本編よりも一段手強い難易度で組まれている。ノーマルモードでもある程度の歯応えが楽しめ、ハードモードは本編におけるルナティックに匹敵する((そのためかこちらには難易度ルナティックが設定されていない。ただし本編のルナティック程極端ではないとはいえ、敵の兵種に応じてスキルが追加されるなどの強化がされている。))。本編以上に個性的なギミックも多い。 --シナリオそのものも、本編に劣らず優れており、華々しい雰囲気の修道院の暗部である「アビス」の探索や、その住人たちである「灰狼の学級」の生徒をはじめとした個性あふれる面々とのふれあいを楽しめる。さらに、主人公の母親である「シトリー=アイスナー」についての情報を得ることで、彼女とジェラルトの馴れ初めなどもある程度知ることが可能となっている。 ---- **アップデートで改善された点 -難易度「ルナティック」の追加 --発売当初は「ノーマル」と「ハード」のみだったが、Ver.1.0.2最上級難易度「ルナティック」が追加された。 --『Echoes』から引き続き実装された行動巻き戻し機能「天刻の拍動」をはじめとしてプレイヤー側に有利なシステムが多く、「ハード」までの難易度はシリーズの中でも簡単な方だと言われていたため、高難易度の追加は喜びをもって受け入れられた。 ---敵の能力とスキルが飛躍的に強化されており、「手ごわいシミュレーション」に相応しい布陣がプレイヤーを迎え撃つ。システム面でも距離3以上の弓攻撃に対する命中補正がより厳しめ((「ハード」以下では1マス離れる毎に命中率が20低下するが、「ルナティック」では「ハード」時の補正値から更に10低下し、敵の能力上昇の影響からかなり命中させにくくなる。敵軍も同じ条件だが、基本的にはプレイヤー側がより不利を受ける機会が多い。))、レベル帯の近い敵ユニットから得られる経験値が激減、一部を除いた敵増援が出現ターンから即行動に変化するなど、「ハード」以下とは打って変わって大幅にシビアな戦闘バランスへと変化している。その結果、味方の能力値を上昇させる「応援」コマンドや、命中率を上昇させるスキルの重要性が向上しており、ハード以下では活躍させづらかったアネットやイグナーツの使い勝手がよくなり、スタメンとして起用されやすくなっている。 --修道院パートなどの仕様は据え置きなためプレイヤー側が対応する余地も十分に残されており、先述のセーブデータ引継ぎを利用してかなり楽にすることも可能。この点は後の週刊ファミ通による開発者インタビューにて「引継ぎ前提のゲームバランス」であることが本作のディレクターより明言されている。~ セーブデータを引継がずに「ルナティック」をクリアした場合はタイトル画面が変化するというささやかな特典が存在する。 -回想モード --本作の回想モードでは、従来から可能だった支援会話やムービーに加えて、ストーリー上の会話パートに関してもある程度閲覧できるようになっているのだが、当初は第1部中盤で発生する「女神の塔」でのキャラクター別固有イベントは後から見返すことができなかった。 このイベントは主人公と一定以上の支援レベルにあるキャラクターから1人をあらかじめ指定して、それぞれの人物像について少し踏み込んだ会話がされるというもので、性質上発生・回収に手間がかかるため、見返すのに苦労しやすい部分だった。 --Ver.1.0.2以降、発生させたことのあるキャラクターについては再生できるようになった。 -UIまわりの改善 --各キャラクターは最大6個のアイテムを所持でき、ドロップや報酬などで所持数が7個以上になった場合は超過分を輸送隊に預けるか廃棄することになる。 しかし当初は「輸送隊に送るアイテムを選択する」ダイアログと「廃棄するアイテムを選択する」ダイアログが非常に紛らわしく、且つ「Bボタンを押すだけで廃棄と輸送隊が切り替わる」という仕様から、誤操作で預けるべきアイテムを廃棄してしまう事態が起き得る状態であった。 --Ver.1.0.2以降、「輸送隊モードから廃棄モードに切り替える際はその旨をポップアップで通知する」「廃棄モードにて廃棄を赤文字で強調する」改善がなされた。 -支援会話関係 --Ver.1.2.0以降はエキスパンション・パスを導入し「アビス」の「占星術師」という機能を解放することで、ペアエンド成立の条件を満たしていれば1周回につき1組だけ組み合わせを固定することが可能になった。~ ただし消費する名声値が&bold(){10000Pt}と非常に高額であり、クリアデータ引継ぎなしでの周回で利用するのは非現実的。 -当初はセーブデータの最大保存数が5つしかなく、ルート分岐があり内容が細かく変化するゲームとしては物足りない数であった。 --2019年11月に配信されたVer.1.1.0によって、セーブデータの数が大きく増えた。 -新たな仲間の加入 --2019年11月に配信されたVer.1.1.0以降、サイドストーリーによる追加キャラを含めて6名の仲間キャラが追加されている。 --無料(パスなし)で使用できる1名はルート限定キャラで、ストーリー上は加入してもおかしくない流れであったにも拘わらず当初は序盤で姿を消していたため、多くのプレイヤーが加入を喜んだ。 --エキスパンション・パスによる追加キャラ5名は、いずれもクリア後の特典である紋章の付け替えでのみ存在を見ることができた、発売当初の本編には登場しない紋章を持ったキャラである。 ---中には既存のキャラクターに縁が深いキャラもいるが、導入しなくともストーリーには問題がなく、いずれも世界観に深みをもたらす存在になっている。 -サイドストーリーの、本編へのフィードバック --サイドストーリー「煤闇の章」の最初のエピソードをクリアすれば、本編の散策でアビスに行けるようになり、新たに追加されたクラスの資格試験を受けるための「特級試験パス」の入手等をすることができる。また、さらにエピソードを進めると、本編において灰狼の学級のメンバーを主人公の能力にかかわらずスカウトできるようになる。 ---灰狼の学級の生徒にも、主人公や同じ学級のみでなく他の学級の生徒との支援会話も用意されており、散策時のイベント等も遜色なく用意されているため、再度プレイするためのモチベーションの増加にもつながっている。 ---サイドストーリーをクリアしてさえいれば、スカウトが解禁される時期は非常に速い上に技能や能力関係なくスカウトできるので攻略の幅を広めてくれる。得意不得意がはっきりしているキャラが多く、前衛アタッカー・壁役・魔法役とどの学級においても非常にありがたい精鋭が揃っている。 ---- **賛否両論点 -一部シナリオ #region(close,ネタバレ注意) -「銀雪の章」は黒鷲の学級から分岐し、三級長のいずれにもつかず教会に味方するルートとなるが、シナリオの中でやることは「翠風の章」とほとんど変わらない。明確に分岐するのは最終エピソードに入ってからで、銀雪の章ならではの展開は、主人公の出生の秘密が判明することや、あるキャラとのペアエンドくらいと、比較的少ない。 --ただし加入メンバーは大きく異なり、修道院の散策や支援会話、登場するNPCや敵ユニットも変化する。同じ状況であっても同じストーリーではないので、局地的なキャラクター描写やテキストを重視する上では気にならない。 --また、本作最大のキーパーソンであるエーデルガルトを自学級の生徒として接してきたか他学級の級長として接してきたかでは、同じ道のりでも印象は異なるものとなる。また、銀雪の章は教会の中心人物であるセテスが他のルートの級長の役割を担っているので、彼をはじめとした教会関係者を好むプレイヤーには、一見の価値がある。 -「蒼月の章」「翠風の章」ルート((「黒鷲の学級」では、「紅花の章」はほかのルートと流れがまったく異なるため会戦自体が存在せず、「銀雪の章」では自軍が3国の争いと無関係になっているため参加しない。))における第2部に存在するマップ「グロンダーズの会戦」では、帝国、王国、同盟、それぞれの盟主が集い、三つ巴の争いを繰り広げる。この点は、第1部で行われた「鷲獅子戦」の再来として、大いに盛り上がる場面となっている。 --ただし、この段階において王国と同盟は敵対しているわけではない。「翠風の章」では、王国の盟主であるディミトリが帝国への憎しみのみで動いているため、同盟を邪魔ものとみなして攻撃をしかける事も不自然ではないが、「蒼月の章」では、同盟側のクロードが特に王国に敵意を持っていないにもかかわらず((戦闘開始前に、同盟に対して休戦を試みる描写があるが、帝国の工作で失敗している。))、容赦なく攻撃を仕掛けてくる。「霧が濃くて様子が分かりにくい」という旨が語られたり、エーデルガルトが「敵も味方もわからないほどの乱戦に持ち込んであげる」と発言するなど、不自然ではない状況にするための描写は見られるのだが、実際のマップであまり反映されていないのが惜しいところである。もっとも、実際に索敵マップになった場合、もともと高い難易度がさらに激増するため、やむを得ない措置とも言える。 -「闇に蠢く者」について #region(close,複数のルートにまたがるネタバレ) -「闇に蠢く者」は基本的に敵として扱われ、最終的に壊滅させられることになる。それ自体は作中で働いた悪行を考えれば当然であるものの、いずれのルートであっても完全な決着には至らない。 --それぞれ互いの勢力との激突が主軸となっている「紅花の章」および「蒼月の章」では、プレイヤーのあずかり知らぬ所で倒されてしまう((紅花の章では後日談で打倒、蒼月の章では彼らが与する帝国と戦ううちに大損害を負わせている形であり、結果的には自軍の活躍で壊滅している。))一方、他の2ルートで使われる秘密兵器を温存することに成功しているため、残党との戦いにおいて不安要素を抱えた状況で終わっている。 --「翠風の章」「銀雪の章」では直接の総力戦となるが、他の2ルートでは倒すことができていた幹部の一部が登場せず、取り逃がした可能性が残っている。 --いずれにしても、彼らの組織構造や技術の出所、行動理念などの詳細を彼ら自身の口から聞くことはできない。特に「紅花の章」では闇に蠢く者と一時的に共闘する展開が存在する((帝国の主要人物であるエーデルガルトとヒューベルトは彼らを嫌っているが、利用価値があることからやむなく彼らと手を結んでいる。))が、なぜ帝国と彼らの利害が一致するのか、メインストーリーだけを見て理解することは難しい。 --ただし、こうした未決着の部分は、複数のルートの情報を照らし合わせることで初めて浮かび上がってくるものであり、考察に深みを与える要素として意図的に残されている節もある。DLCではこの点が補完されており、かなり核心を突いた手がかりが提示されている。 ---現在有力な考察の中には''作中で描かれる価値観を根底から覆しかねない''ものもあり、味方側から見れば単なる悪党でしかなかった彼らの「正義」らしき側面も示唆されている。それを踏まえると、全ルートで決着がつかず戦いが続く結末にも含蓄を感じられるかもしれない。 --なお、スピンオフ作品にあたる『無双 風花雪月』では、闇に蠢く者に所属しつつも良識的な考えを持つキャラクターも存在するため、こちらをプレイすることでより深く理解することが可能となっている。 #endregion -大団円を迎えるルートは無いため、全ての味方キャラが救われるわけではない。第1部でのスカウトや第2部での行動((元生徒の撃破が勝利条件に含まれていない場合に、交戦を避けてステージクリアする等))で犠牲を減らすこともできるが、それができない他学級の生徒は、紅花の章のリシテアなど、一部の例外を除いて悲惨な結末に至る。 --このことも、「戦争らしくて良い」とする意見と、「仲間になるキャラを殺害するのはきつい」という意見により、賛否が分かれている。 #endregion -修道院での行動について --本作はとにかくできる事が多く、戦闘マップ以外にも様々な事柄に挑戦できる。 --それだけに手間も大きいため、面倒に感じるという声も存在する。 --戦闘マップ以外の行動をスキップすることもできるが、その場合は技能レベル・指導レベルやアイテムの面で不自由することになる。 -兵種関連 --本作の兵種は、「特殊職」「初級職」「中級職」「上級職」「特級職」「最上級職」とわかれているが、特級職と最上級職は「複数の技能を組み合わせた兵種」という、やや癖の強い性能をしている事が多く、今まで全く触れてこなかった技能を高レベルで要求されてしまうことがある。また、「馬術」「飛行」「重装」は、対応するユニットでなければ戦闘で経験値が入らないため、そちらの資格試験を受験する必要も生じる。そのうえ、最上級職になるために必要な技能は1周目ではある程度レベルを上げなければ確認すらできない。そのため、ルートによってはクリアまでに最上級職にチェンジできないユニットが多くなりがち。 ---ただし、一芸特化のユニットは、最上級職より上級職の方が十二分に実用化できることがある。~ たとえば、剣使いとして運用するならば魔法も扱える最上級職の「エピタフ」よりも上級職の「ソードマスター」が力,速さ,必殺率などの攻撃性能が優れており((特に速さの成長率ではソードマスター+20%、エピタフ-10%と30%も差があるので無視できない))、理学が苦手なカトリーヌなどは、剣と格闘を鍛えた方が強くなりやすい。弓兵の最上級職は騎乗による高移動力と弓射程+2の兵種スキルにより強力な移動砲台となる「ボウナイト」だが、クラス成長率がほぼ無くなるという弱点もある。上級職「スナイパー」では成長率の補正はボウナイトよりも高く、加えての専用戦技「ハンターボレー」はそれらの長所と比肩する強力な攻撃である。あらゆる魔法の使用回数を2倍にできる最上級職「グレモリィ」も、使用するのが白魔法のみ且つ回復量を重視するのであれば使用回数が2倍かつ「白魔法回復+10」を持った上級職「ビショップ」のほうが有利となる((今作の回復量10は魔力30に相当するのに対し、「ビショップ」と「グレモリィ」の魔力差は3と回復量は目に見えて変わる。ただし射程が魔力の大きさに依存する「リブロー」など魔力自体が高い方が都合がよいこともある))。 ---一方、上級職の「勇者」は、男性限定であるうえ適性武器が一致する最上級職が存在しない((剣と斧の両方が条件となるクラスがない。))ため、スキル以外の面ではクラスを獲得する意義を見出しづらい。さらには「斧の達人」を持っていないため、斧を装備する意義が薄い事や、すべてのクラスがあらゆる武器を装備可能になった事で、剣と斧を使い分けて戦うという従来の優位性が無くなった事も向かい風となる。 --闇魔法を得意とする「ダークメイジ」・「ダークビショップ」の資格を獲得するには「闇魔法試験パス」という専用アイテムが必要((ダークビショップに就く際は二つ必要。))になるのだが、この入手が初見だとかなり難しい((強敵である死神騎士のドロップアイテムとして複数入手可能である程度。他はイエリッツァが加入時に一つ所持しているのみ。))。また、これらは男性のみしか資格を得られない。 ---「闇魔法試験パス」という名前の割に闇魔法に直接影響があるスキルはドーラΔのみ。その他のスキルも弱くはないものの、ウォーロックやビショップと異なり「魔法回数×2」がない分それらよりやや使いづらい。 --格闘系の最上級職「ウォーマスター」が男性限定、理学・信仰を統合した最上級職「グレモリィ」が女性限定のため、逆の性別でそれらが得意武器の場合最終目標にできないためやや勿体ない事になる。 ---女性は、格闘技能ボーナスが2以上ある兵種が、女主人公の専用職「ニルヴァーナ」とエキスパンション・パス導入後に追加される特級職「バトルシスター」の二種類と少なく、戦闘で技能値を上げづらい傾向にある((「天才」持ちのリシテアも格闘が苦手なため、他と変わらない。))。また、グレモリィのほか、エキスパンション・パスで追加された攻撃魔法系の強力なクラス「ダークペガサス」「ヴァルキュリア」も同じく女性専用であり、男性専用の「ダークビショップ」の性能が微妙なことも重なって「魔法系が得意な男性キャラ」が不遇な立場にあると言える。しかしいずれも該当キャラは少なく、実戦的な運用に困るほどではない。 ---性別制限のないクラスのほとんどは「槍術」「馬術」「飛行」のスキルが必要((戦闘で馬術を上げるには、「ソシアルナイト」や「パラディン」になる必要があるため、重装職や魔法職から上がる場合は指導で技能ポイントを稼ぐ必要がある))となる。魔法職の「ホーリーナイト」「ダークナイト」や重装職の「グレートナイト」も例外ではない。 --これらの点は、さまざまな育成方法を模索する楽しみを与えてくれる反面、終着点を定めにくいという難点があり賛否両論となっている。 -回避有利、受け不利のバランス --本作では回避を高める方法が豊富であり、敵の命中率を比較的容易に0%にできる。そのため、いわゆる「回避盾」のユニットが非常に強力。 ---特に手軽に回避を上げるスキルに「警戒姿勢((行動せずに待機したとき、次の敵ターン終了まで回避が15アップ。30アップする上位版「警戒姿勢+」も存在))」があり、敵の真っ只中に待機させて反撃する地雷戦術が通用しやすく、最高難易度「ルナティック」の最適解とされることも多い。このスキルは飛行技能の育成で習得できるため、後述する飛行と騎馬のクラス格差にも繋がっている。 ---「計略」の命中率は魅力に依存するため、騎士団持ちが相手の場合は回避地雷を破られることもある。逆に言えば、魅力さえ上げればあまり脅威にならなくなる。 --一方、アーマー系など、攻撃を喰らうことが前提の盾役ユニットはやや不遇気味。 ---最大のデメリットは、ダメージを受けると騎士団の戦力が削られてしまうこと。騎士団の戦力はマップ内で回復する手段が限られており、いったん壊滅してしまうとユニットの性能がガタ落ちする。このシステム上、長丁場のマップでは細かな被弾すら避けて進むのが本作のセオリーであり、それが難しい受けユニットは活躍させにくい。広大なマップが多いのも逆風で、移動力の低さが足を引っ張りがち。ただし、グレートナイトになればこの点は克服できる。 ---反面、新要素の「副官」として起用した場合の能力は強力であり、デメリットも無視できる。少数ながら回避盾が苦手とする状況で代打を務められるポテンシャルもあり、総じて過去作の常識が通用しない、玄人向けに仕上がっていると言える。 ---前述した通り、アーマー系はクラスチェンジ資格を得るだけで(実際にそのクラスにならなくても)守備の最低値にボーナスが付くことも無視できない。特に、リシテアのように守備の成長率が低いユニットにとっては無視できないメリットとなる。~ このほか、速さが低いというデメリットは、ウォーマスターのマスタースキル「切り返し」である程度相殺できる。そのため、ドゥドゥーのような、守備に特化した性能を持つ男性ユニットは、アーマー系の方が役立つことも多い。 //聖戦、封印でも同じ記述があったけど、賛否両論点だったので揃えました。 -魔法武器関連 --「サンダーソード」や「ボルトアクス」などの「魔法武器」は、鍛冶屋で鍛えることで射程が1-3となる。そのため、普通に魔法を使うより、魔法武器を使ったほうが有利なこともあり、魔法を修得する意味が薄いのでは、と考えるプレイヤーもいる。 ---ただし、魔法の方も、特殊な装備やスキルによって射程を伸ばすことが可能となっている。 -第2部のキャラクターボイス --第2部では第1部から5年が経過したことで、主人公や士官学校の生徒たち、ツィリルのあらゆるボイスが差し代わり、雰囲気も大きく変わる。~ これはシリーズの中でも唯一無二の要素で、5年間でそれぞれに大きな変化が起こったことを物語っている。中でも、主要人物であるディミトリとクロードの変化は著しく、ファンからも好評を得ている。 ---一方で、一部のボイスが第1部と共通なので、場合によっては違和感が感じられる事がある。~ 特にイグナーツは第2部では声変わりで声が低くなるのだが、一部の支援会話、食堂のやりとり、修道院で近づいた時の挨拶、お茶会の選択肢などで声変わり前の第1部のボイスが使われており、突然甲高い声で喋りだすので違和感が激しい。 --なお、セイロス聖教会・士官学校の大人たちも、すべてでこそないが一部のボイスが差し代わる。ただしDLCで加入させられるアンナのみ、第1部と第2部でまったくボイスの変更がない。 ---- **問題点 -騎兵と飛兵の差が激しい。 --評価点において記述した通り、本作では基本的に、兵種問わず全ての武器を使用できる。そのため、兵種を選択する際には、兵種スキルや移動適性、武器技能や成長率などを主眼において選択することになる。歩兵は移動力が低い代わりに成長率が高く、ソシアルナイトやパラディンなどといった「騎兵」は移動力の代わりに成長率が低い傾向にある。 ---騎兵は、移動力そのものは高いものの、地形によって移動を大幅に制限される事が多いうえに、アーマーナイトなどの重装職と同じく重要なステータスである「速さ」の成長率にマイナスの補正が与えられる((重装職と異なり、数値そのものにはマイナス補正がかからない。))。「任意のタイミングで下馬して歩兵になるor乗馬する」コマンド((騎兵はこのコマンドにより最大移動力が下がるが「速さ」が一時的に上がるというメリットがある。ただし成長率に作用する兵種補正値が変わるわけではない))や「再移動((騎乗中に一部を除く各種行動後、未消費の移動力が残っていればその分移動できる兵種スキルで、今作の騎乗/飛行兵種は全て所持している))」が使えることもあり、過去作の不遇クラスほどではないが、レベルを上げる際などには使用を躊躇するプレイヤーも少なくない。 ---本作では他学級の場合、自動的にソシアルナイトのクラスに就く生徒が4人存在する。そのままゲームを進めていくとクラス補正によって「速さ」のステータスが伸び悩んだまま成長することが多く、スカウト時の懸念事項の1つと言える。早期スカウトを狙おうにも、それらの生徒達は全体的にスカウト難易度が高めに設定されているのも嫌らしいところ。 --一方、「ペガサスナイト」「ドラゴンナイト」などの飛行職は騎兵同様の高い移動力を保持していながら従来通り地形に左右されず移動可能。さらに騎兵と同様に「再移動」が使え、速さの成長率もプラスされる。さらに歩兵クラス並かそれ以上の高い成長率を誇る((ペガサスといえば守備の低いユニットが多かったが特に守備にマイナス補正はなく、最上級のファルコンナイトは成長率合計トップタイですらある))。 ---弱点と言えるのは、従来通り弓に弱く地形効果を受けられない点や、副官と雇用できる騎士団に厳しい制限がかかるという点。((飛行タイプ兵種は飛行系の騎士団・副官しか付けられない。逆に飛行タイプの副官や騎士団を歩兵キャラに付けることは可能。))。このうち前者は、過去作にも見られた「降りる」コマンドを使ったり、「アウロラの盾」を装備することで対策できる。ただし飛行に限ったことではないが、降りることでパラメータは多少下降する。 --敵の飛兵も強く、苦戦を強いられることが多い。特に中盤以降に出現する敵ペガサスナイトは明らかに味方のものより優遇されており、ステータスが高いうえに上級職のスキルである「槍の達人」を所持している。 -難易度「ルナティック」の調整の問題 --ルナティックで出現する敵は、強くなりすぎて大味になっている側面がある。それ自体は高難度にするための措置と納得できるが、力と速さ((兵種によっては、追撃がほぼほぼ不可能な敵も多い。))のインフレが凄まじく、速さに特化して育てたエースユニットでもなければ一回の攻撃に耐えることすら難しい。前述した回避狙いに頼らざるを得ない場面が多々あり、HP・守備・魔防が半ば形骸化している。 -一部の戦闘アニメーション --グラフィックの凝りようが評価されている一方で、戦闘デモにおけるモーションのいくつかに、以下のような不自然な点が見受けられる。 ---通常攻撃:近接攻撃では敵との距離が安定せず、明らかに武器が届いていなかったり、逆に近づきすぎて重なるような動きをすることも。反撃を挟まない2回攻撃の際は流れるように攻撃することはあるのだが、攻撃後距離を取り、同じモーションで再攻撃するなどテンポが悪いケースも。 ---戦技:前作『Echoes』ではすべての戦技に固有のモーションが用意されていたが、本作では同じ武器を用いた戦技が同じモーションになっていることが多い。 ---計略:兵士が集団で体当たりを仕掛けたり、敵軍に火薬樽、毒薬樽の乗った荷車がゆっくりと近づいて爆発するなど、「計略?」と首をかしげざるを得ないものとなっている。 -ゲームそのものの動作 --場面が切り替わるときのロードがかなり長く、ストレスの原因となりやすい。 ---途中で挿入されるムービーや章間のイベント会話はそれほど長くはないが、戦闘マップや修道院パートへの導入は読み込みがかなり長い傾向にある。 --第1部ではほとんど処理落ちも起きないのだが、第2部の指導パートでは処理落ちが起きる事が多々あり、カーソル移動などが少し重くなる。 -システム関連 --第2部のオープニングマップとなる「夜明けの追討戦」では、一つ前のシナリオに該当する第1部最終マップのクリア後から当該部分まで2回のオートセーブを挟んで自動進行するため、戦闘開始前に進軍準備(身支度やアイテムの売買など)、難易度の変更が行えない。マップクリアないしキャラ生存に支障が出る事態となった場合、古いセーブデータを残していない限りリカバリーが効かない詰みポイントと化してしまう。 --危険範囲表示(敵ユニット行動予測機能)は、射程が変化する戦技は危険範囲として勘定されず予測線も表示されない。大半の一般兵は戦技を装備しておらず、射程が延長される戦技自体がほぼ弓系統だけなため普段は実害のない要素なのだが、難易度「ルナティック」ではごく一部の敵弓兵が狙撃((武器耐久を5消費する代わりに射程が最大3マス分延長される戦技。))を装備していることがあり、射程外と思っていたエリアから攻撃されるという状況が発生しうる。 --また、ごく一部の外伝では敵が射程2-3の「一斉射撃」が使える騎士団を装備しており、しかもこちらは弓兵に限らず近接物理歩兵も平気で撃ってくる。こちらも危険範囲表示に反映されないため、範囲外ギリギリで待機していたつもりが、表示されていないはずの範囲外から奇襲される、という事態が起こりうる。上述の戦技の件とあわせ、些か不親切とも言える。 -支援会話の問題点 --主人公以外のキャラは支援A(+)で打ち止めという仕様もあって、その時点で好意を匂わせる将来が確定したような会話が行われる事が多い。しかし、本作は支援A(+)は相手がいる限り全て起こせるため、場合によっては複数の相手に好意を持っているような状況に見えてしまう事がある。~ また、好感度が下がることは主人公を除けばないため、主人公以外は支援会話Aを発生させた後で全員の好感度がカンストすると、エンディングの組み合わせがリスト順で固定されてしまう。そのため、エンディングで後日談を自由に見るためには、戦略性を度外視し敢えて支援Bで止めておく事や前述した占星術師の活用が必須となる。 --ごく一部の「キャラクターの外見に言及する」ような内容であったり「特定の第三者の生死が前提」であるものなどは時期を逸すると一定の支援値を満たしても支援会話を発生させられなくなる((発生させようとすると「絆を深める機会を逃してしまったようだ」という専用ダイアログで通知される))。とはいえ、時期を制限しないがために話の辻褄が合わなくなる方がより問題なため致し方ない部分もある。 --支援会話の中には「仲違いし、次の支援会話で関係修復」というものもあるのだが、大抵喧嘩が支援B、修復されるのが支援Aであり、支援Aは第2部でしか起きないため場合によっては5年間喧嘩しっぱなし、という結構な違和感を感じる展開になってしまう((当然、片方しか仲間にしなかった場合は喧嘩別れになってしまう))。特にアネット&メルセデス等仲違い中専用の食事会話があるキャラが複数グループあるため、この違和感が目につきやすい。 --アップデートで加入するようになったアンナは、支援相手が一人もいないという欠点を持つ。レアも主人公とのみ支援が可能だが、支援レベルを高めても攻略上のメリットがない。 --支援Sの相手は最終章の散策で選べるようになるのだが、実際に支援イベントを見られるのは最終戦クリア後となっている。そのため、他の相手との支援を見たい場合は、選びなおしたうえで最終戦をやり直さなくてはならない。 ---この反省から、続編の『[[ファイアーエムブレム エンゲージ]]』では、最終章に入る前に結婚相手を選ぶことが可能となっている。 -修道院のファストトラベル --どこに誰がいるのかはマップに記されているのだが、目当てのキャラの前に直接ファストトラベルをすることができない。また、レアの部屋など、移動できない部屋も存在する。 ---この反省から、スピンオフ作品の『[[ファイアーエムブレム無双 風花雪月]]』では、キャラクターを選択することで直接移動が可能となった。 -永久離脱ユニットの存在 --『蒼炎』や『if』と同様に、本作でも条件次第で加入したキャラクターが永久に離脱するイベントが存在する。 ---黒鷲の学級では、上記の分岐次第で永久離脱するユニットが3人((紅花の章を選ぶとフレンが、銀雪の章を選ぶとエーデルガルトとヒューベルトが離脱。))存在する。いずれも高い性能を誇っているうえに、これらのキャラクターは全て、クラスで一人のみ任命できる「踊り子」の資格者である。とりわけフレンは踊り子に適した性能であるため、彼女を踊り子に任命したものの、離脱されて後悔したというプレイヤーが見られた。 ---ただし、分岐の条件は厳しいものではなく、選択場面においても通常とは異なるエフェクトが見られるため、見落とすことはほとんどない。また、『蒼炎』における「ジル」や、『if』の「スズカゼ」のように、唐突に離脱されるわけでもなく、ストーリーの流れを追っていくとむしろ離脱は自然であることがわかる。そのため、これらほどの批判は見られない。 ---蒼月の章でも、ドゥドゥーが条件次第で永久離脱する。ただしこちらは、代替キャラと呼べる性能のキャラが後に加わるほか、残留の条件を満たすのも難しくはない。 ---- **総評 製作発表時こそ、学園要素というFEらしからぬ概念が賛否をもたらしたが、後に二部構成であることと、かつての味方同士で相争うという要素が明かされると、ファンの期待も一気に高まった。~ そして現実の戦記をもとに、複雑に絡み合う戦争のシナリオを長年扱ってきたコーエーテクモゲームスが開発に携わる事で、今までにないほど、悲愴でリアルな戦争描写がなされている。~ キャラクターや世界観、時代背景の推移などの描写も緻密に描かれており、新規プレイヤーやライトゲーマーと従来からのシリーズファンとの間で賛否両論とする所が多かった『覚醒』『if』から一転してシリーズ屈指の良作と言える優れたシナリオとなった。 難易度も、「ノーマル」「ハード」は従来より易しめだが、「ルナティック」は相応のてごわいシミュレーションとしての歯ごたえを楽しめる。~ これらの要素が絡み合い、シリーズのファンを喜ばせただけにとどまらず、戦記モノを好むユーザーにオススメの一作となっている。 ---- **余談 -今作は、シナリオをはじめとしたゲーム部分のほとんどがコーエーテクモゲームスのスタッフによる製作であり、インテリジェントシステムズはゲーム全体の監修及び世界観の構築、ビジュアルや音楽といった要素の製作という形で関わるにとどまっている。 --このような形になった理由としては、当初は『Echoes』との並行開発となっていたもののスケジュール的に時間が足りないと判断されたため、と明かされている。ゲームの中核部分を外注するというのはIS側にとっても異例の開発体制ではあったものの、コエテク側が気を利かせて''社内からFEシリーズのファンを選抜してくれた''ため、想像以上にスムーズな話し合いが出来たという。 --特に技能育成などの一部のシステムはコーエーから発売されていた『[[Zill O'll]]』に発想のヒントを得たとのこと。 ---「ニルヴァーナ」「打ち砕くもの」など、一部の兵種や武器の名称に『Zill O'll』の要素がちょっとだけ混ざっているのはその痕跡。もちろんコエテクからの許可は得ている。 -『[[TETRIS 99]]』とのコラボ祭を開催していた。 -発売からわずか2か月で、全世界で229万本を売り上げるという記録を残した。 --さらに、2020年1月に、全世界で累計258万本の売り上げを達成。その後も継続的にセールスを伸ばし、任天堂における2020年3月期の決算説明会にて、2020年3月までの累計で287万本(国内58万本/海外229万本)を売り上げたことが発表された。 --そして2022年12月には410万を上回るなど、シリーズ最大の売り上げを達成した。 -「The Game Awards 2019」にて「Best Strategy Game」と「Player's voice」を受賞した。 -日本語版では主人公のデフォルトネームが男女で違うが、英語では男女ともに「Byleth」で統一されている。 --また、剣を得意としていることや、特殊な力を内に秘めていること、覚醒することで髪の毛の色が変わることなど、『[[サモンナイト3]]』のレックス・アティ((ちなみにアティは『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』において、『覚醒』の主役キャラであるクロム・ルキナと共演している。))や『[[英雄伝説 閃の軌跡]]』のリィン・シュバルツァーなど、教師の主人公のお約束を踏襲したものとなっている。 -本作では、過去作に出てきたキャラクターの名前と一致する地名や人名などが多く登場する。 --クロードやヒルダ、物語の中に登場する獅子王ルーグなどの人名をはじめ、アミッド大河やオグマ山脈、ミルディン大橋など。明らかに多数の名称が使用されているため、意図的なものと思われる。 -黒鷲の学級の生徒の一人「フェルディナント=フォン=エーギル」は1部の戦闘での進軍時に「我が名は!フェルディナント=フォン=エーギル!」と高らかに自分の名前を叫ぶ。本作からフルネーム制が導入されたことも相まって一部のプレイヤーから「最初にフルネームを覚えたキャラはフェルディナントだった。」と話題になった。 --担当声優の板泰斗氏もそのことを知っているらしく2020年8月14日に放送された「ファイアーエムブレムシリーズ30周年記念生放送」でゲストとして登壇した際に上記の名乗りを生披露する一幕もあった。 -本作発売前にアプリゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」から級長三人とベレス(ベレト)の出演が決定していた。前作の『Echoes』も同じように発売前から一部のキャラクターは登場していたがほとんどボイス流用だったのに対してこちらは全部新録されている。なお、ベレトに至っては条件が整って本作を購入すれば☆5で無料配布されるが2020年6月29日で配布が終了。それ以降は普通の召喚でのみと従来の入手方法へ。 --第4回英雄総選挙では級長3人とリシテアが上位をもぎ取り、発売から一年後に5年後の姿が早く実装された。 -どのルートも、すべてのキャラを救いきれないことから、プレイヤーからは「『if』の「インビジブルキングダム(透魔王国)」のような大団円ルートが欲しい」という要望もあった((もっとも、インビジブルキングダムにも、仲間に入れられず命を落とすキャラは数名存在する。))。 --しかし、ファミ通のインタビューで今作のディレクター担当の草木原俊行氏によると最初から大団円を作る予定はなかった事を明かしており「''大団円ルートがあると、どうしてもそのルートが正解になってしまう''というのが大きいですね。本作ではどのルートもこのゲームの正史であって、遊んでくれた方それぞれに自分の正史を決めてほしい」とキッパリ発言。氏の発言から遠回しにメインシナリオで関与した追加コンテンツ『if』のインビジブルキングダムの内容とDLC商法がプレイヤーから不評だった評価を耳に入り、理解した上での考慮が窺える。 --その後においてもヒーローズのイベント「想いを集めて」でその可能性を匂わす内容が触れてあるのみで最新作の『エンゲージ』もエンディングは一本道である事からISは今後追加コンテンツでメインストーリーに関与する別エンディングは作らない方針を固めている。 -『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』ではDLCファイターとして「ベレト/ベレス」が参戦した。また、本編の舞台となるガルグ=マク大修道院がステージとして登場。本編のキャラも何人かゲスト出演している。 -高い人気を集めたゆえか、現在もパッケージ版が品薄になりやすく、中古でも定価程の価格となっている。さらに、「amazon」では後述する『無双 風花雪月』や、次回作である『エンゲージ』より高価格を保っているなど、その人気の高さがうかがえる。 -2022年6月24日に、本作を題材にしたFE無双シリーズ第二弾『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』が発売された。 --製作スタッフは本作のメンバーを踏襲しており、世界観はそのままだが、3人の盟主と関わりを持つ主人公が別の人物になっているなど、本作のシナリオと全く違う物語が展開される。ちなみに、サブタイトルの英題が本作だと「Three Houses」なのに対し同作は「Three Hopes」になっている。 //--また、2023年9月28日に発売された『Fate/Samurai Remnant』も[[本作と共通するスタッフによって手掛けられており>https://www.gamecity.ne.jp/fate-sr/special/conversation.html]]、本作を彷彿とさせるシビアなストーリー展開がなされる。 //無双ならともかく、ライターが同じならバディミなんかも該当するし、掲示板でも「キリがない」という意見があるのでCO。
*ファイアーエムブレム 風花雪月 【ふぁいあーえむぶれむ ふうかせつげつ】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B07NQGYZSY)| |対応機種|Nintendo Switch|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ&br()コーエーテクモゲームス|~| |発売日|2019年7月26日|~| |定価|6,980円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|本編:25個(('19/11/08のVer.1.1.0アップデート適用後。初期は5個))+1個(オートセーブ専用スロット)&br()サイドストーリー:3個+1個(オートセーブ専用)|~| |レーティング|CERO:B|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|戦乱の悲惨さを生々しく描いた重厚なストーリー&br;緻密な世界観とキャラクター設定&br;「騎士団」「計略」システムを実装し、より戦争らしい内容に&br;独特な育成システムをはじめ、従来から変化した部分も|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 30年以上の歴史を持つ大作SRPG『ファイアーエムブレム』シリーズ第16作((コラボレーションやソーシャルゲームを除く))。据え置き機としては、12年前に発売された『[[暁の女神>ファイアーエムブレム 暁の女神]]』以来となる。~ 本作ならではの大きな特徴として、士官学校を舞台としており、主人公がその教師として活躍するというものがある。 本作は企画内容を任天堂、開発の大部分は『[[ファイアーエムブレム無双]]』でコラボを組んだコーエーテクモゲームスが本編の開発に参加しており、長年戦記物ゲームを手掛け続けてきたシブサワ・コウ ブランドのスタッフなどがシナリオを担当している。 どちらもFEを好きなスタッフを中心で制作しており、[[二部構成について>https://www.ndw.jp/fefuuka-04/]]『[[聖戦の系譜>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の、[[三国の争いについて>https://www.famitsu.com/news/201908/06180699.html]]『[[三國志>三國志シリーズ]]』のイメージを入れたことが語られている。 ---- &font(b,16){ストーリー} >「フォドラ」と呼ばれる大地。~ 世界は突如として現れた邪神によって脅かされるが、立ち上がった解放王「ネメシス」と~ 女神より与えられた「英雄の遺産」を手に戦う十人の英雄「フォドラ十傑」によって危機は退けられた。~ しかし、やがて驕りたかぶったネメシスは、フォドラ十傑とともに女神に対して反旗を翻し、~ 女神が差し向けたとされる聖者「セイロス」と、その仲間である「四聖人」によって討ち果たされる。~ 当時の強国「アドラステア帝国」の建国に携わっていたセイロスは、四聖人と、投降したとされるフォドラ十傑の末裔を束ねて、「ガルグ=マク」を総本山とした「セイロス教」を興す。~ やがてアドラステア帝国から「ファーガス神聖王国」と「レスター諸侯同盟」が分離するが、それぞれの勢力は相争うこともなく、長い平和の日々が続いていた。~ ~ 時は流れ、帝国暦1180年。~ かつて大陸全土にその名をとどろかせた騎士「ジェラルト=アイスナー」は、現在は傭兵として活動していたが、ある日セイロス教の総本山である「ガルグ=マク大修道院」に併設された士官学校に通う3人の若者に助けを求められる。~ ジェラルトは、自らの子供と共に3人に助力し、彼らを襲撃した盗賊を退ける。~ 若者たちはそれぞれ、アドラステア帝国の次期皇帝「エーデルガルト=フォン=フレスベルグ」、ファーガス神聖王国の王子「ディミトリ=アレクサンドル=ブレーダット」、レスター諸侯同盟盟主の孫である「クロード=フォン=リーガン」と名乗り、かつてジェラルトの従者であった騎士「アロイス=ランゲルト」と共に、ジェラルトたちを修道院へと招く。~ 果たしてジェラルトは騎士に復帰し、彼の子供は、「黒鷲の学級(アドラークラッセ)」、「青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)」、「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」のうちの学級の内の一つを受け持ち、彼らが一人前の騎士として育つよう指導する事となる。~ しかしこのことが、7年近くにも及ぶ凄惨な殺戮劇の幕開けであることは、この時は誰一人として気づくことはなかった。 ---- **特徴・変更点など 特に注記がない限り、本項ではゲーム本編のシステムについて解説する。 (Ver.1.2.0にて追加コンテンツとして配信されたサイドストーリーには一部に本編と異なる部分がある) -3つの学級から一つを選択する方式 --序章が終わった後、主人公は担任として3つの学級の内の一つを受け持つことになる。 ---受け持った学級によって加入するユニット(生徒)だけでなく、第一部終盤以降の展開が大きく変化するため、事実上のルート分岐と考えて差し支えない。前々作『if』とは異なり、ルートごとに別売りということはなく、一本のソフトで複数のルートが楽しめるようになっている。 --各学級には級長を含めて8人の生徒がおり、それ以外で自動加入するキャラは僅かである(出撃枠もそれ前提で最大12と少なめ)。 ---選ばなかった他の学級の生徒や教団・修道院への協力者などは「課題協力」でその章だけ使えるようになったり、条件を満たせばスカウトを行う事で加入させる事ができる。ただし、総じて教団所属のキャラや、DLCで追加されたキャラは容易にスカウトできるが、他学級所属のキャラのスカウトには主人公の特定の技能レベルやステータスを高めないといけない厳しい条件が課せられる。さらに、級長と副級長は一部の例外を除いて他の学級では基本的に仲間にならない。なお、これらのシステムは第二部では使用不可能。 ---他学級の生徒もストーリーに絡む、外伝に絡む、散策やイベントでも多くの出番があるので進めていくうちに愛着がわきやすくなっている。「課題協力」で支援レベルをあげればスカウトの敷居も下がるのでお気に入りのキャラをスカウトしやすくなる。 --なお、本作の主人公(デフォルトネーム:ベレト(男性)/ベレス(女性))は外見や得意とする武器などが変更不可・自発的にしゃべることはなく((行動開始時、レベルアップ時、戦闘不能時などに言葉を発することはある))支援会話を含めてプレイヤーの選択肢によって意思表示を行うなど、後述する人物像も含めて、従来のFE主人公とは異彩を放つ内容となっている。 -「騎士団」と「計略」 --本作の新要素として、1ユニットにつき一種類の騎士団を雇用し、配備できる。配備することで命中率や攻撃力など、さまざまなパラメータを上昇させられる((一方で、重装タイプだと回避が下がる、魔法兵だと物理攻撃力が下がるなど、マイナス補正がかかる場合もある。))が、ダメージを受けることで兵力が消耗し、兵力が0になってもロストはしないが、補正を受けられなくなってしまう。 ---騎士団にはランクが存在し、基本的にランクが高い騎士団ほど高い補正値を得られるが、ランクの高い騎士団を配備するには「指揮」の技能レベルを上げる必要がある。 --また、騎士団を配備することで、パラメータに補正をつけるだけではなく、「計略」と呼ばれる特殊行動も発動できる。計略の内容も単純な攻撃だけでなく、魔法や弓矢による範囲攻撃、命中すれば敵を移動させる攻撃、味方ユニットの回復・補助・再行動など多岐に及ぶ。 ---計略は一つのマップで使用できる回数は極めて少ないものの「反撃を受けない」「範囲攻撃」「命中した敵ユニットを動揺させ、次の敵ターン終了まで全ステータスダウン・移動不可・騎士団補正の消滅」と非常に強力。~ 単純に強力なステータスを持つ敵ユニットに有効打を与えられる他、計略に耐性を持つ特殊ボスに対しても、反撃不可を生かして決死の一撃を放つ本命の確殺ラインまで削ったりと、1人では手が出ない強敵への対策になり得る。 ---計略の威力や命中回避にかかわるパラメーターとして新たに「魅力」が追加。通常の成長で上がる他、お茶会で好成績を達成することで主人公とお茶会に誘った相手の魅力を上げることができる。 ---また、計略は一部の敵兵も普通に使用して来る。支援補正のためにユニットを固めて行動するという従来の戦略をとっていると巻き込まれて思わぬピンチを招くこともあるため、敵の騎士団アイコンにも注意する必要がある。 -副官 --覚醒の「ダブル」や、ifの「防陣」を大幅に弱体化させたような要素。主人公の指導レベルが一定を超えると、キャラ1人に副官を1人つける事ができる。編成画面で任命するため出撃枠は取らず、また戦闘中に解除や交代などはできない。 --副官には支援値や経験値等も入るが、騎士団の経験値と指揮経験値は入らない。また指導レベルを上げることで3人まで増やすことが可能。 --効果はクラスによって変わり重装系(拳闘士などの格闘職も含む)は追撃の防御、信仰系はターン開始時回復、それ以外のクラスは低確率で装備中の武器または魔法による追撃が発動する。 ---いずれの種別においても、前衛となるユニットの行動時には追撃の有無にかかわらず連携攻撃に参加するものとして扱われ、命中・回避などに補正を得られる。また、攻撃を行わない効果種別でも装備している武器種の技能経験値は獲得できる。 ---所属するユニットが倒されても副官がロストする事はないので安全に経験値や支援レベルを稼ぐのが主な目的となる。 ---マップを最大にまでズームすると騎士団や副官がユニットに所属しているのが見える。また、戦闘や計略では副官も一緒に攻撃に参加しているのが見られる。 -敵ターンでどのユニットが攻撃されるかの予測表示をよりわかりやすく視覚化するようになった。 --危険範囲の表示だけでなく、ユニットを移動させる際に、''攻撃される可能性がある位置では対象の敵ユニットから赤い波線が飛んでくる''。この表示をきちんと見ていくことで、敵ターンにおける事故死をより防ぎやすくなっている。 -最低2ピン保証 --主人公と士官学校の生徒、そしてフレンとツィリルは、成長率にかかわらずレベルアップの際に必ず二つのパラメータが成長する。ファンの間では、成長の際に「ピン」という音がすることから「最低2ピン保証」あるいは「2ピン保証」と呼ばれている。 -アイテム関連における設定の変更 --『[[if>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』、『[[Echoes>ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王]]』の直近二作でオミットされていた武器の「使用回数」と、『[[新・紋章>ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~]]』以降、省かれがちであった「重さ」の概念が完全新作としては久々に復活した。 ---一方で、『Echoes』で不採用となったすくみの概念は引き続き本作でも存在せず((ただし、槍を装備していると剣を装備した敵に対して命中回避にプラス補正を得られる「剣殺し」などといった相性スキルが擬似的にそれを再現している))、魔法に関しても魔道書や杖などの消費アイテムを介するものではなくなっている。~ ただし魔法は、『Echoes』のようにHPを消費するわけではなく、「1マップに限られた回数だけ使用でき、マップをクリアすると回数が最大値に戻る」という仕様に変更されている。このため従来作では温存されやすかった遠距離魔法や、レスキューといった補助効果のある魔法の使い勝手が相対的に大きく上昇した。 ---また、武器のほかに一つだけアイテムを装備できるようになった。盾なら防御力を上げたり、杖なら魔法の威力や射程の強化などが可能となっている。 -大修道院における指導と自由行動 --本作では、1章につき1か月単位で進行する。平日は指導を行うことで生徒たちの技能レベルを上昇させられ、休日は大修道院の散策やフリーマップへの出撃などといった自由行動が行える。 ---散策では、生徒たちとの絆を深めたり、商人からアイテムを購入できるほか、大修道院で暮らす人々から情報を集めたり、栽培や魚釣りなどのミニゲームを楽しむことも可能。また、「課題協力」を依頼することで、その月のみ自軍のユニットとして使用できるが、経験値や技能レベルは獲得できない。さらに、主人公の能力を高めたり、支援レベルを上げることで、他のクラスの生徒を自分のクラスにスカウトする事もできる。スカウトしたキャラは指導やレベル上げも可能になる。 ---散策で生徒たちとお茶会をすることも出来る。これは「茶葉」という特定のアイテムを消費する事で主人公と生徒(もしくは教師)との1対1での交流が楽しめる。 お茶会中に最大4回の会話のチャンスがありどれも3択の選択肢となっている。正解するごとに好感度が上がり全て正解((好物の茶葉を選択すると3問以上正解に緩和される))するとフリータイムとなりキャラをじっくりと眺めたり贈り物を送ってさらに好感度を上げることも出来る。 1対1の会話ということで『if』のマイキャッスル((一人のキャラを自室に招きタッチペンで顔を触って好感度を上げるという前々作の『if』のシステム。))を連想する人も多いが、あちらと違い顔を触ったりせず会話するだけなので嫌う声は少ない。ただし、相手の嗜好を熟知しなくてはならないため、パーフェクトを狙う難易度は高い。 ---また生徒二人と食事をとる事ができるのだが、特定の組み合わせだと専用の掛け合いとなる。 -「紋章」と「英雄の遺産」 --『[[聖戦の系譜>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の「聖戦士の血」及び「神器」に近い、キャラ個性のシステム。フォドラ十傑や四聖人、さらに出自が不明のものを合わせて実に20種類近くの紋章が存在し、それを身に宿したキャラクターに有利な効果がもたらされる。 ---紋章は、通常の「小紋章」のほか、固有効果が発生しやすい「大紋章」が存在しており、大紋章を所有しているのは一握りのキャラクターのみとなっている。また、基本的に複数の紋章を所有することはないが、例外となる人物も存在する。 ---「英雄の遺産」は、フォドラ十傑が女神から与えられたといわれている伝説の武器だが、その外観は異例なほどに禍々しく、さらに紋章を所有していないユニットが使用すると、戦闘後に10ダメージを受けるというデメリットがある。一方で、遺産には対応する紋章が存在しており、その紋章の持ち主が所有することで、専用の戦技を使用できたり、大盾スキルが発生して低確率で敵からのダメージを半減させるなど、強力な特殊効果が付与される。一方で、過去作のユニークアイテム/固有武器に多々見られたステータス補正効果は存在しない。 -戦技の仕様が変更 --前作『Echoes』にもあった戦技が続投。前作は武器の使用回数の概念が無かったためHPを消費して発動する形式となっていたが、今作は武器の使用回数を複数消費する仕様に変更となった。 ---あちらで猛威を振るった「ハンターボレー」や、過去作品で奥義として扱われていた「流星」・「滅殺」といったスキルも、今作ではやや弱体化し、特定のクラスに紐づけされた専用の戦技として登場している。 ---普通の武器ならば修理が容易であること、威力は低いが使用回数が多い「訓練用武器」が追加された事で『Echoes』に比べて戦技を使う機会が大幅に増えた。弓の射程を伸ばしたり、攻撃後に位置を変える等、計略と並んで攻撃手段の一つとして戦略の幅を広げている。 ---戦技も計略と同様に敵も使用して来る。中には非常に強力な戦技であっても容赦なく使用して来るので、そういったユニットを相手にする時は特に慎重さを要する。 -強力な敵である「魔獣」が登場 --本作で敵対する事になる「魔獣」は、いわゆる過去作における「竜」や「魔物」に相当するのだが、本作ならではの特徴を多数備えている。 ---普通のユニットよりかなりHPが高く、複数のマスを占有する巨体も持つうえに、その1マスごとに「障壁」が張られており、この箇所は攻撃によるダメージを半減((一部の強敵はより軽減率が高いものもある))&種類によって必殺または特定の攻撃を無効化してくる。~ ただし、魔獣は個体ごとに特定の武器種が弱点となって有効扱いになる。~ 障壁は2手分攻撃するか、弱点武器含む有効((本作の一部の武器・戦技に存在する。特効が防御力減算前の威力3倍なのに対し、有効は威力2倍。))・特効・計略で1回攻撃すると対象のマスを破壊でき、混乱して次の攻撃だけ反撃不可になる。~ 連続で障壁を壊せば反撃不可は続く上、全て破壊すると''アーマーブレイク''が発生して次の敵ターンもその魔獣が行動不能になり、希少な錬成素材を入手できる。 ---計略については指定した1マスのみ障壁を即破壊でき、巻き込む範囲部分は1手分のダメージ扱い。また、魔獣は最後に計略を当てたユニットを必ず狙うようになっている・ ---複数のHPゲージをストックしており、すべてのゲージを0にしなければ撃破できない。さらに、HPゲージストックを削るたびにスキルが追加され、より強力になる。~ どれだけ大ダメージを与えてもストックがある限りは絶対に倒れないので一人で倒すのは時間がかかる上にリスクも大きい。計略や弱点武器を駆使して多数で袋叩きにする必要がある。 ---力をためた次のターンにはその場で「猛撃」という強烈な攻撃を繰り出してくる((味方がすべて範囲から逃れた場合、移動して通常攻撃をするが、障壁は復活する。))。これにより広範囲のユニットに纏めて大ダメージを与える上にせっかく破壊した障壁も復活してしまうため、素早く攻撃して障壁を全て破壊するか、安全を優先して攻撃範囲外に退避するかは状況と判断次第。 ---通常の敵ユニットを上回る強敵として設定されているが、すべての障壁を破壊しきることに成功すれば、貴重な武器を修理するための素材を獲得できる。魔獣の種類によっては英雄の遺産を修理するために使える「ダークメタル」も入手できるので、可能な限りアーマーブレイクを狙うのがセオリーとされる。 -新たな武器種「籠手」 --本作では、おなじみとなっている剣、槍、斧、弓のほかに、「籠手」という武器が新たに加わった。 ---威力が低い代わりに軽量で命中率が高く、自分から攻撃を仕掛けた際のみに、必ず2回攻撃(追撃が発生すると4回)を行う、いわゆる勇者系武器の特性を持つ。ただし、後述するように装備できない職業も多く存在する。 -技能レベル --本作では能力値とは別に武器・魔法・兵種などに関する11個の技能レベルがキャラごとに設定されており、技能レベルが上がるごとで従来の「武器レベル」のように強力な武器や騎士団を装備できるようになる、着脱可能なスキルや戦技を覚えるなどのパワーアップの他、後述するクラスチェンジの条件ともなっている。 --指導パートの平日では授業として、教師たる主人公(プレイヤー)は目標の設定と直接指導を行うことで、生徒たちの各種技能レベルを上げていく。 --生徒毎に得意な科目や苦手な科目が設定されており、これと主人公の技能レベルなどによって個人指導の効果が上下する。ただし、一部の生徒は特定の科目に才能を秘めており(3つの星枠が表示されている)、12回指導を行うことで「''才能開花''」が起きて得意科目扱いに上書きされる。 ---もちろん主人公も例外ではなく、戦闘以外にも他の教師達に指導を請うたり講習に参加することでも、自ら技能レベルを上げることが可能。 --本作では''すべての兵種が剣、槍、斧、弓を装備可能''で、籠手は魔法系・騎兵や飛行以外のすべてのクラスで装備できる。一方で、魔法は特定のクラスにつかないと使用できなくなっている。 ---上記の仕様でありながら、兵種ごとに特定の技能について戦闘で獲得できる技能経験値が増加したり、技能レベルに応じて獲得できる「武器術」(剣術なら「剣術Lv.○」、斧術なら「斧術Lv.○」のような着脱可能スキル)を装備することで命中・回避・必殺回避((「幸運」の値+装備中の武器or魔法に対応した「武器術」に応じて5~10が基本的な必殺回避))に補正を得られるという仕組みになっている。~ 特に今作は必殺回避を補正する要素が少なく((外部要素としてはいずれのルートでも加入チャンスのある「マヌエラ=カザグランダ」が持つ個人スキルで隣接しているキャラが10%補正されるのみ。補助装備として必殺そのものを無効化するアイテムも存在するが、入手タイミングが比較的終盤且つ貴重品であり、ルート次第ではそもそも入手機会すらない場合がある))((「回避」が上がる戦技を使用すると必殺回避も同じだけ上がるという隠し仕様も一応存在する))、「武器術」の有無によって必殺率が0になるかならないかを左右するケースが多いため、所持する装備の自由度が高い一方で闇雲に多くの武器種を抱えても有効になるとは限らない設計になっている。~ 他にも、弓の扱いに長けた兵種なら弓の射程が延長される((前作『Echoes』にもあった仕様。ただし距離3以上への攻撃では命中率が段階的に低下するという弱体化はされている))、上位のクラスでは対応した武器種を装備していると攻撃力や必殺率が優遇されるなど、基本的にはクラスに対応した武器種を用いて技能レベルを高めるのが一番有効である点は変わりない。 -クラスチェンジシステム --キャラごとに基本紐付けであった&b(){クラスの概念が大幅に変更}。本作は主人公を含め多くのユニットの初期クラスが「平民」または「貴族」となっており、資格試験をクリアさせることでおなじみのクラスに変更できるようになる。例を挙げるなら[[オウガバトルサーガ]]が近いと言える。 ---各クラスには基準となる技能レベルが設定されており(例えば馬に乗り槍を主に扱うソシアルナイトならば槍術と馬術が必要であるなど)、それらの条件を全て満たしていれば必ず合格できる。技能レベルが不足している項目がある場合は不足分に応じて合格率が大きく低下するが、合格率30%以上ならば受験できる((合格率は受験するキャラクターの幸運パラメータに応じてわずかに上がるという隠し仕様が存在する))。 ---受験できるのは一回の休日((行動できず飛ばされる日は除く))及びストーリー進行日につき各キャラ一回ずつ。成否は休日を迎えた時点で確定されており、失敗した場合にリセットするとしても再挑戦は実質お預けとなる(後述の点によりリセットする意義自体はある)。 --受験には一定以上のキャラレベルを満たし、対応する「試験パス」というアイテムを消費する必要がある(初級ならLv.5以上で初級試験パス、上級ならLv.20以上で上級試験パス、といった具合)。 ---一度合格した兵種には、出撃準備画面などでいつでも・何も消費せず変更が可能。下級のクラスに戻すこともできる。 --『Echoes』と同様に各クラスに基準値となるステータスが設定されており、資格試験に合格した時点で基本能力値(クラスによる補正を含めない値)が基準に満たなかった場合は自動的に底上げされる。 ---この仕様により、守備がヘタれてしまっているキャラクターに重装と斧術を教え込み、守備の基準値が高いアーマーナイトを獲得させて守備を底上げするということも可能である。 --しかし今回はユニットレベルもクラスから独立しており、クラスチェンジしてもレベルが据え置きになる。 ---よって、過去作の「下級職で限界までレベルアップさせてから上位のクラスへ移行する」のではなく「レベル条件を満たした後はできる限り早く上位クラスの資格を獲得し、最低保証ボーナスを獲得する」方が最終的な総合値が高くなりやすい。 ---ただしユニットレベルの限界値は99とそれまでよりはるかに高い数値で、通常のプレイでは終盤でもレベル40台~50程度にしかならないので、完全に取り返しがつかなくなることは一応無い。 --さらに、今作はシリーズ恒例の再行動役「踊り子」も固有ではなくなり、中盤のイベントで任意の自学級に所属する生徒一人を指定して踊り子の資格を獲得させるという形になっている。~ 一応『「魅力」パラメータが一定以上』という条件があり誰でもとはいかないものの、条件そのものは然程厳しくなく(主人公((クラスにこそなれないが、アップデートで衣装のみ着る事は可能になった))を含む先生陣や騎士団員を除いて)全員が「踊り子」になれる可能性がある。 ---今回の踊り子は上級相当にあたり、剣術と指揮が得意である他に貴重な「魔法を使用できる」クラスでもある。そのため補助要員として申し分のない性能である。~ しかしこれらの「ほぼ誰でもなれる」「魔法が使える」という特徴が&bold(){とある重大な罠}に化けてしまうケースが存在し……(賛否両論点を参照のこと) -支援要素 --覚醒など同様にC~Sの四種、またペアによってはC+,B+,A+というように追加の会話イベントが存在する。 ---全員と支援及びSがあるのは主人公のみとなり、最終シナリオ直前にプレイヤーが支援Sになりたいキャラクターを決めてクリア後のイベント、いわゆる後日談でプロポーズするようになっている。 --上記の通り、他キャラ同士のカップリング要素はA、またはA+の組み合わせのみペアエンドが用意されている。(一部例外アリ) また、前述した通り、本作では主人公が自発的にしゃべる事がないため、主人公が関わる支援会話では、基本的に相手がしゃべり、主人公がそれに対してプレイヤーが選択した返答を行うという形式になっている。基本的に、どちらを選んでも得や損をすることはない(ごく一部に選択肢によって支援値が変化するものも存在する)。 ---主人公は支援Sを結んだ相手とペアエンドになるが、それ以外のキャラは支援A(A+が存在するペアはA+)になった相手の中でもっとも支援値を稼いだキャラとペアエンドを迎える。同時に、Bで打ち止めになる相手はペアエンドがない組み合わせということになる。 --基本的に修道院でしかイベントは起こせず((主人公のみ「相手が会いたがっている」「様子が気になる」という形で平日にイベントが起きる事がある))、シナリオの進行や特定のサブイベントをこなさないと支援会話が起きない事もある。 --支援レベルを上げたキャラクターが近くにいると命中率や回避率が上昇するのは従来の作品と同じだが、本作では特別な組み合わせ((主人公と級長、など))に限り、与えるダメージが増加することもある。 -外伝マップ --本作の外伝シナリオは、自由行動中のフリーマップの中から行える。 ---プレイ条件は主に、主人公と特定のユニットの支援レベルが関係しているが、大抵は出現条件として参照されるユニットが主役である事が多い。なお、他のクラスのユニットをスカウトしなければ出現しないものもある。~ 外伝のマップは、特殊なギミックが存在する場合も多いことからメインシナリオと比較して難易度が高い傾向にあり、索敵マップなども殆どがこちらに集中している。~ クリア報酬は豪華な事が多いため、積極的に攻略する価値がある。 -amiibo --修道院にある「amiiboスポット」でamiiboを読み取る事により、修道院に訪れる度にアイテムが出現するようになる。この際FEキャラのamiiboを1度でも読ませればアイテムの質や量がよくなり、更にamiiboに合わせたBGMがフリーバトルに追加される。 -オンライン(Nintendo Switch Onlineへの加入が必要) --留学生 ---修道院内で生徒にアイテムを持たせて((持たせたアイテムは消滅する))、他のプレイヤーに派遣する事ができる。また修道院に訪れる度に一回、他のプレイヤーが留学生に指定したキャラがランダムに4人出現するようになる。 ---留学生が所持しているアイテムを定価より安く購入でき、また派遣した側は次の休日以降に呼び戻した留学生から売り上げを受け取る事ができる。ただしオンラインの都合上、''受け取った後に受け取る前のセーブデータを読み込むと売上の回収はできなくなる。'' ---また留学生と訓練(かくれんぼ)をする事ができ、成果によって報酬が貰える。 --戦死者の魂 ---別のプレイヤーのデータで、ステージ内でキャラが多く死亡したマスに黄色(味方)、紫(敵)の魂が現われるようになる。黄色は経験値と武器や魔法などの回数回復、紫はアイテムが入手できる。 --ランキング ---他のプレイヤーの「使用率の高いキャラ」「お茶会をしたキャラ」等がロード画面でランキング形式で表示され、また「その休日に他のプレイヤーが選んだ行動」がパーセンテージで表示されるようになる。 -マンネリ化しがちだった「お約束」的キャラの存在が見直されたためか、「''お助けパラディン''((所謂ジェイガン役。成長率が低いが高ステータスで序盤の救済役として特に高難易度では重宝される。))」「''キルソード持ち剣士''」「''赤と緑の騎士''」など、シリーズおなじみのポジションが一部登場しない。 --『覚醒』『if』と近作で採用が多かった「''子世代ユニット''」もシステムとしては完全に廃止されている。((前々作にあたる『if』においても「設定・シナリオにおいて導入する必要性がない」「大元のゲームシステムとの擦り合わせが不十分」と疑問視する意見が目立っていた。)) -その他 --クリア後は主人公が習得した技能や支援値など、一部データを名声値消費で引き継いで周回プレイが可能。シリーズ初となる「強くてニューゲーム」の概念が断片的に導入された。 --難易度ノーマル限定で、出撃回数を消費しないフリーマップに出撃可能。これはマップを撤退しても経験値等が入る(撤退した場合は武器や騎士団の消耗、アイテムや支援値がもとに戻る)。~ 『覚醒』や『if白夜』と同様、育成面での敷居を下げる重要なステージとなる。 --今作もゲーム開始後に「修道院パート」及び「進撃準備」のタイミングで難易度を下げることは可能になっている(ルナティック(※Ver.1.0.2以降)→ハード→ノーマル)。一度下げたら戻すことはできない。~ ただし『if』で可能だったゲームモード(クラシック→カジュアル)の変更は不可。よって「クラシック」で始めた場合はユニットロストが発生した後に「カジュアル」に戻して復活させることはできなくなった。 -DLC -従来のものとは異なりコンテンツごとに購入する必要はなく、「エキスパンション・パス」と呼ばれる追加商品を購入することですべてのコンテンツを遊ぶことが可能。特別アイテムや追加マップは廃止し、プレイアブルキャラクターやコスチュームなどの追加が主となっている。 --2020年2月に配信されたVer.1.2において、本編とは独立したサイドストーリーである「煤闇の章」をプレイすることが可能となった。 --ガルグ=マク大修道院の地下に広がる「アビス」を舞台とし、各学級長に加え秘密裏にされていた第四の学級「灰狼の学級」(ヴォルフクラッセ)に属するという4名の生徒とともに謎の敵と戦いながらアビスの謎を追う短編ゲーム。加入キャラクターが固定であるうえ資格試験がなく・技能経験値や兵種経験値も完全に得られないため、あらかじめ与えられた兵種とスキルのみで戦う、従来作に比較的近い仕様となっている。強いて言うならオンラインに加入している場合、戦死者の魂が出現する分多少有利になる。 ---- **評価点 -3つの国が絡み合う、壮大な物語 --本作は「士官学校編」と「戦争編」の二部構成になっており、前述した通り、選んだクラスによって加入キャラやストーリーが分岐する。 ---士官学校編で攻略するマップは全ルートでおおむね共通だが、戦争編においては基本的に選んだ学級の国について戦う事になるため、攻略するマップが大きく変化し、場合によっては修道院や他のクラスのユニットが敵として立ちはだかる。味方ユニットが敵として現れる要素は『if』や『暁の女神』でも見られたが、本作ではなんと、主人公とDLCで加入するキャラクター以外のすべてのユニットに、敵対するシナリオが用意されている。((1部の模擬戦で対決することがあるのみのマリアンヌを除いた全員と戦争で向き合うため、自軍によって殺害される可能性がもれなく生まれる)) ---また、『暁』や『if』では、味方同士の争いに持ち込むために強引な展開を見せることが度々あり、シナリオを重視するプレイヤーからの顰蹙を買っていたが、本作では、すべてのキャラクターや国に綿密な設定が施され、無理のある展開も非常に少なくなっている。 --プレイヤーは、分身たる主人公が選んだ学級に応じて、異なる「戦争の歴史」を追体験することになる。最終的には、プレイヤーが受け持った学級の所属する勢力がフォドラの覇者となる一方で、他の学級の生徒は事前にスカウトしていない限り高い確率で破滅を迎える。~ とりわけ級長となるキャラはその傾向が顕著で、特に戦乱の中心に立つエーデルガルトとディミトリは、対応するルート以外では無惨な死を迎える運命にある。 ---結果として、近年のシリーズ作品に見られた勧善懲悪の傾向は完全に鳴りを潜めており、正義同士が血で血を洗う"戦争"が描き切られている。その中ではかつての教え子たちと刃を交える展開すらも存在する一方で、今までの「お約束」と化していた「戦いの中で説得をすることで自軍に引き入れるケース」が大幅に減少している((第一部でスカウトをせずに、第二部で説得して加入させられるのは一名のみ。キャラとルートによってはスカウトしていても第一部クリア時点で一時離脱し、敵に回ったところを撃破することで、改めて仲間にするか選択することが出来る))。予めスカウトできなかった他クラスのメンバーはほとんど自らの手で殺害せねばならない。 ---他クラスのメンバーを敵として倒した場合でも、クラシックモードで味方がロストした時と同様の演出(散り際のセリフのみ異なる)が行われる。よって、ユニットのロストというFEプレイヤーにとっては最も見たくないシーンとしてユニークキャラクターの死は強調されることとなり、断末魔や散り際セリフにおける声優の迫真の演技もあいまって非常に堪えるものとなっている。 ---ルート選択によって、必ず救われる勢力が出てくることも魅力の一つ。周回プレイで別のルートを遊びなおすことなどで、教え子や仲間たちが滅びの未来から救われるそれぞれの道程を見ることが出来る。 ---「スカウトなどによって転籍したキャラの描写」が濃いのも特徴の一つ。例えば、イングリットは本来は王国に忠実な騎士としての姿勢を貫くが、別のルートでスカウトした場合は、「実家のガラテア家を出奔し、仕えていた王国に刃を向ける」というまったく異なる立場となるため、修道院の会話では「所属していた場所を離れたり、仲の良かった仲間たちと戦わざるを得なくなる」といった状況に対する葛藤などを聞くことになる。 --本作では、最序盤の盗賊討伐からして生徒一人一人に敵ユニット撃破時の台詞が用意されていたり、レベルアップ時の台詞で&b(){明確に相手を殺害している}事を強調しているキャラが居るなど、戦争が命のやり取りである事を意識させる発言が従来よりもかなり多い。殊更に対立が激化する2部ではこの傾向が顕著となり、元生徒が心を擦り減らしながら戦う中で発する、悲痛で凄まじい台詞の割合も増えてくる((例を挙げると、「また生き延びられた。また殺した!」(ベルナデッタ)、「人殺しの経験が私を成長させる……」(ドロテア)、「これだけ殺ってりゃ強くもなるさ……」(クロード)といった具合。))。 ---一方、戦いに対する決意や前向きな展望を語るシーンも多く、決して辛気臭いストーリーにはなっていない。悲痛なセリフの数々は、あくまで生徒たちの強い覚悟からくるものである。 --戦争のみならず、政治劇に関しても従来より作りこまれている。紋章の有無によって人生を狂わされたり、平民と貴族の軋轢に苦しむ者や、他の国出身ゆえにフラットな視線でフォドラを俯瞰する人物など、本作ならではの魅力的な要素も多く見られる。この描写は特に外伝シナリオにおいて顕著となっている。 ---また、従来の作品では高貴な血を引く存在が必然的に王となるケースが多かったが、本作ではそういった血統主義にも疑問を呈する動きを中心としたストーリーが語られ、物語に深みが増している。 #region(close,黒鷲の学級) -主にアドラステア帝国出身の生徒によって構成されている学級。 口より先に手が出るタイプの「カスパル=フォン=ベルグリーズ」や筋金入りの引きこもりである「ベルナデッタ=フォン=ヴァーリ」と言った他の学級と比較するとクセのある生徒が多い。また、生徒の一人である「ペトラ=マクネアリー」は、表向きはフォドラの外にある小国「ブリギット」からの留学生ということになっているが、実際はアドラステア帝国への従属を強いるための人質であったりと、強国ならではの歪みがそこかしこに見え隠れしている。~ ただし、宰相の嫡子である「フェルディナント=フォン=エーギル」がエーデルガルトを一方的にライバル視している以外は諍いらしきものはなく、曲者ぞろいながら、生徒同士の仲そのものは良い。 --このルートは最大の特徴として、''第1部の終盤ある選択によって、第2部のシナリオ、および加入ユニットが全く違ったものとなる''。端的にいえば、敵対を余儀なくされた帝国と教会、どちらにつくかというものであり、そのため本作は3つではなく4ルート分が存在することになる。再分岐は『if』が近く、主人公・プレイヤーに上手く感情移入を促した絶妙なタイミングで発生するため、非常に悩ましい選択となり、そのどちらであっても密に接してきた仲間と相争うことになるという、本作を最も象徴する展開が待ち受ける。 ---このため他のルートでは普通にスカウトできる「ツィリル」や「カトリーヌ」といった特に教会への忠誠心が強い面々は、このルートに限り教会につく「銀雪の章」が確定するまで仲間にならず、級長としても生徒トップクラスの能力を持つエーデルガルト(と従者の「ヒューベルト=フォン=ベストラ」)は逆に離脱、帝国につく「紅花の章」では「イエリッツァ=フォン=フリュム」が加入する。いずれも強力な戦力だけに、攻略面でも悩ましい"選択"を強いられる。 --黒鷲の学級で加入するユニットは魔法を主力とする癖のある性能を持ったキャラが他より多いうえに、英雄の遺産やそれに対応するキャラクターが非常に少ない。それを抜きにしても2部での敵陣容がラスボス((ボス自体は銀雪、紅花で共通しているが、性能が微妙に異なる))含めて3ルートの中で最も強く、特に紅花では短さゆえの育成余地の少なさも相まって他のルートより難易度が高めになっている。 #endregion #region(close,青獅子の学級) -ファーガス神聖王国の出身者が集う学級。女性にだらしない「シルヴァン=ジョゼ=ゴーティエ」や、貴族でありながら戦に自らの価値を見出そうとする「フェリクス=ユーゴ=フラルダリウス」などがいるものの、ドジなところもあるがかなりの努力家の「アネット=ファンティーヌ=ドミニク」や穏やかな性格で生真面目な「アッシュ=デュラン」など、3つの学級の中では比較的模範生も多い。一方で、フェリクスがディミトリに公然と皮肉を言ったり、ディミトリの幼馴染である「イングリット=ブランドル=ガラテア」が「ダスカー」の民であるという理由で「ドゥドゥー=モリナロ」を敬遠しているなど、生徒同士の関係があまりよくない。 --この状況は、数年前に起きた「ダスカーの悲劇」が背景にある。これは当時の国王ランベールなどが死亡した、帝国の関与が疑われる大規模な殺傷事件で、現在の王国の情勢が非常に危うくなっている一因でもある。級長のディミトリは事件の当事者にして数少ない生き残りの一人で、表向きは好青年であるものの、内心では帝国に対し狂気を孕んだ復讐心を抱いている。また、この事件によってフェリクスの兄であり、イングリットの婚約者でもあった「グレン」が命を落としているなど、国と学級の両方に強い悪影響を及ぼしている。 ---一見すると「青が持ち色で、帝国によって窮地に陥り起死回生を狙う王国」というFEシリーズ従来の定番に沿っているように見えるこのルートでは、主に「ダスカーの悲劇」の真相究明の他に、復讐鬼に堕してしまったディミトリの救済が主なテーマとなっている。特にディミトリは、別のルートを選んだ場合は悲惨な最期を遂げるため、助けられた際の感動はひとしおとなっている。 ---このルートでのみ、第1部で顔見せしていた「ギルベルト=プロスニラフ」を加入させられる。加えて彼が青獅子の学級に所属しているある生徒の父親であることが正式に判明し、唯一、最後まで支援を進めることができる。また、フェリクスの父親である「ロドリグ=アシル=フラルダリウス」も一定期間同行((修道院やシナリオデモでの会話のみの登場で、ユニットとして使用はできない。))し、ディミトリの救済に一役買うことになる。 --他、加入キャラはディミトリを含め英雄の遺産の継承者や物理での直接戦闘に秀でているユニットが多く、第2部での敵も比較的に若干弱めの設定となるため、他の二つの学級と比べて攻略難易度が低めとなっている((ただし、ルナティックでは、一部のマップの難易度が極めて高くなる。))。 #endregion #region(close,金鹿の学級) -レスター諸侯同盟の出身者で構成されている学級。好青年を装う傍ら「猜疑心の塊」と自称するクロードや、サボり癖がある「ヒルダ=ヴァレンティン=ゴネリル」、極度なまでの悲観主義に染まっている「マリアンヌ=フォン=エドマンド」など、黒鷲ほどではないにせよ癖の強い生徒もいるが、身分に囚われていない事が多いためか、まとまりの良さは随一。 --このルートは、主にクロードの意向によって、フォドラの歴史の裏に潜む真実を暴くことに主眼が置かれている。そのため、他の学級よりも明らかになる情報量が多く読みごたえがあり、クリアした際の達成感も大きい。また、解放王ネメシスが率いる「フォドラ解放軍」と戦えるのもこのルートのみである。 --初期や他ルートでこそ胡散臭さを見せるクロードも、やがて主人公を「きょうだい」と呼ぶなど無二の相棒となり、第2部では自らの生い立ちを語るシーンが描かれるなど、戦乱の種に独自に立ち向かう路線と相まってますます好青年っぷりに磨きがかかる。他の生徒たちも、2部においても前向きな姿勢をほとんど変えていない((マリアンヌは明らかに1部よりポジティブな性格となっている。))など、他のルートと比較すると明るい面が目立っている。 --攻略に関しては、他ルートと比べて強力な前衛向きのユニットが少なく、弓が得意な生徒が多いなど癖の強めな陣容となる。 #endregion -作り込まれたキャラクター設定 --本作ならではの大きな特徴の一つとして、味方キャラのほとんどにフルネーム((素性が明らかでないなどといった理由で、苗字が明かされてないユニットもいる))と、年齢、身長、経歴などのプロフィールが設定/開示されている。従来のFEでは、支援会話などである程度のバックボーンを理解できるようになっていたが、本作では設定を補強する要素を多数閲覧できる上に、生い立ちや家族構成などもはっきりとわかるように作られている。とりわけプロフィールに記載されている「好きなもの」「嫌いなもの」は、プレゼントの際に参考になるように設定されており、攻略のヒントとしても十分に機能している。 --「お約束」からの脱却を図った結果として、メインキャラも従来とは大きく方向性の異なるキャラ付けが多数登場している。~ 主人公は傭兵団団長の子供という、『蒼炎の軌跡』主人公の「アイク」に似た立場となるが、性格はそれまでのFE主人公とは大きく異なり、寡黙で感情をほぼ現さない。また、他の成長途上の主人公たちと違いストーリー開始時点からフォドラに名を馳せる熟練の傭兵として描かれている。そのため戦闘以外のイベントでも必要であれば敵国の人間を躊躇なく殺害することもある。((かつての教え子はもちろん、ルートによっては自分たちに牙を剥いてきた村の少女(正体は復讐を目的に接近していた暗殺者ではあったが)ですら斬り殺す描写も存在する。))しかし、その確かな剣術と用兵術は教え子たちの信頼を得る最大の武器となり、主人公自身も次第に教え子たちを大切に思う場面が増えていく。また、慣れない修道院生活の中で、どこか天然ともいえる仕草を取る事もあるなど、コミカルな部分もしっかり持ち合わせている。こうしたバランスの取れている性格から主人公キャラとしてプレイヤーがストレスを感じにくく、キャラクターとしても好評である。 ---主人公たちが所属しているセイロス教会の大司教である「レア」は、表向きは慈悲深い聖女のような振る舞いを見せるが、教会に逆らうものは容赦なく処刑しようとする、主人公の父親でありかつては彼女に従っていたジェラルトからも警戒されているなど、明らかに従来では敵側にいるような油断ならない人物として描写される。一方で、単なる腹黒キャラとも全く異なる面も多く見受けられるなど、パターンにはまらないキャラ付けがなされており、これまた癖は強いが、それだけの個性を示している。 ---各学級の級長たちは、主人公に並ぶ主要人物として大いに活躍する((クラシックモードでプレイした場合、彼らがロストすると敗北になる))。彼らは、基本的には主人公に対して友好的だが、3人共「目的のためには手段を択ばない」面が共通している。彼らの腹の内を探り、その内面を深く理解し絆を勝ち取っていく流れが、感情移入を促す要素として機能している。 ---生徒たちも、それぞれに趣味や嗜好があるほか、世界観が緻密に描かれた影響から、全員がメインキャラと呼べるほどの存在感を持っている。実際、選択した学級の生徒は本編中のイベントシーンでも、ロストしていない限り全員ほぼ毎回セリフを発する。「加入章だけ目立った出番がありその後は空気化する」という扱われ方をするキャラは、本作には存在しない。 --また生徒以外も、紋章の研究に命を燃やす教師「ハンネマン=フォン=エッサー」や、可憐ながらも天然な性格が魅力の「フレン」、主人公の父ジェラルトを敬愛する修道院お抱えのセイロス騎士団所属の「アロイス=ランゲルト」、元傭兵上がりで同じくセイロス騎士団に身を置くクールスナイパー「シャミア=ネーヴラント」等、生徒以外にも魅力的なキャラクターたちがストーリーに華を添えている。 --敵キャラもまた例外ではない。第1部の黒幕である炎帝や死神騎士や、「闇に蠢く者」はもちろん、序盤のボス敵で、いかにも簡単にやられそうな山賊と思いきや、部下から人望を集めていたことがあとでわかるようになっている「コスタス」、アッシュの恩人でありながら教会に対して反乱を起こす「ロナート卿」、カスパルの親戚で「家族のために戦う」という大義を持ちつつも視野の狭さが命取りになる「ランドルフ=フォン=ベルグリーズ」など、個性、および魅力あふれるキャラクターが多数揃っており、今までに見られた「マップに出てきてただやられるだけの名有りモブ将」はほぼ存在しない((該当すると思われていたメトジェイやバジャルドも、のちのDLCなどでその背景が補完されている。))。 --名無しのモブキャストすらも、個性あふれる面々が揃っている。 ---本作も、戦闘マップ上で村や民家を訪れることは基本的にできない((特定のマップで、敵に進入されるとアイテムが入手できない、といったものはある。))のだが、その分、修道院内で、騎士団や教会の人物などとの会話が可能となっている。~ 会話内容は月ごとに異なっており、その場面に即した話や、裏話的な要素を楽しむ事ができる。会話できるキャラクターには、戦争で難民になったり家族を失った者、セイロス教の教義と現実との乖離に悩む者など多彩な立場の人間がおり、世界観の深さをアピールするために一役買っている。~ 中でも人気を集めたのは、修道院の門番を務める青年。「先生、お疲れさまです!」から始まる彼の話は、癒し系として多くのプレイヤーから人気を集め、その結果、名前不明にもかかわらずメインキャラクターに匹敵する知名度を獲得した。((余談の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に多数のキャラを押しのけて背景出演を果たしたり、公式ドラマCDでも級長3人と共に「門番」名義で出演していたりと、その根強い人気は窺い知れるだろう。そしてついにはヒーローズの第5回英雄総選挙で、全キャラクター中1位という凄まじい結果を叩き出した結果プレイアブル化されてしまった。))より一層キャラクターの魅力が引き立てるように、やはり彼らモブキャラ達も例外なく全員フルボイスである。 ---また、会話の中にのみ触れられる登場キャラらの関連人物も多いのだが、それらの特徴づけも丁寧に行われており、プレイヤーの話題に挙げられる事が多い。~ 中でも取りざたされやすいのは、カスパルの父親である「ベルグリーズ伯」と、ヒルダの兄である「ホルスト卿」。いずれも尋常でない強さを誇っていることが明かされており、本作中に一切登場しないにもかかわらず人気の高いキャラとなっている。他にも、イングリットの父親で、娘思いながらも婚約を進めようとする「ガラテア伯」や、虐待に近い教育を施したことで娘であるベルナデッタから憎まれている((中でも、仲良くしていた平民が行方不明になったことは、彼女に深いトラウマとして刻まれている。これについてはDLCで核心が補完される。))「ヴァーリ伯」など、良くも悪くもインパクトの強いキャラクターが目白押しとなっている。 -緻密な世界観設定 --本作では、キャラクターのみならず、領地や国の設定も非常に凝っている。たとえば、シルヴァンの実家であるゴーティエ家は、たびたび北方から攻め寄せてくる蛮族の国「スレン」と山を挟んで領土が向かい合っているため、それを撃退するための軍備が不可欠で、それゆえに家に伝わる英雄の遺産「破裂の槍」を使いこなせる紋章がないと家督を継げないという掟がある。 --また、従来の作品は、舞台となる一つ、ないし二つの大陸のみで完結していたものがほとんどだが、本作ではフォドラや上記のスレン以外にも、西方の「ブリギッド」や、南方に位置する「ダグザ」など、複数の国や大陸がある事が明かされており、そういった多数の外部勢力は実際に物語にも絡んでくる。また、実際にフォドラの外からやってきたキャラクターも複数存在する。これらのように、総じて世界観が非常に練られているため、考察のしがいがある。 ---修道院を散策すると、その節で起こった出来事やフォドラの情勢に対して、すべてのキャラクターが異なる角度から意見を述べる。直近のストーリーを理解するために必要な情報はそこで整理されるため、設定の多さや複雑さに圧倒されることはあまりない。 --これらの要素から、「キャラクターの設定や会話がテンプレ的((本作でも女を見れば即座に口説くシルヴァンや、やたら引きこもりを主張するベルナデッタもいるが、それぞれにバックボーンが緻密に用意されているため、進めていくうちに単なるテンプレキャラではない事がわかるようになっている。))、ノリが軽すぎる」「世界観の描写・練り込み不足」と近年のシリーズ作品で批判されていた問題点は解消されたといって良いだろう。 -充実した支援会話やキャラ関連のイベント --本作では、イベントが発生した時期などに応じて、細かく支援会話の内容が変化する。 ---一例として、イングリットが化粧の話を振られた場合、別キャラの支援会話で化粧を勧められていると「少しだけ経験している」と話し、そうでない場合は「未経験」と返すなど。さらに食堂での食事に誘ったキャラ同士が支援会話の内容で反応もその都度変わるという凝りっぷりである。((喧嘩をしている時期に二人を誘うと反応が互いに余所余所しくなったり、逆に支援会話で仲直りをしていると互いに嬉しそうな反応をするといった具合))また、異なる学級の生徒同士でも支援会話を発生させることができるうえに、同じ組み合わせの会話でも、最初に選んだ学級によって内容が変化するなど、緻密かつ丁寧に描かれており、すべての会話を拾うためのプレイを楽しむユーザーなども目立つ結果となった。複数のキャラとの支援会話の内容での矛盾などは過去作から問題視されていたが、本作ではその問題を直接的に解消したともいえる。 ---スカウトシステムの関係で第二部では元は同じ学級だった者同士で戦闘が発生する場合もあるのだが、''そんな組み合わせによる専用の戦闘前会話も多数用意されている。''繰り広げられるやり取りの悲痛さはFEシリーズでも屈指のものである。 ---ただし上記のように時期の違いやスカウトによる所属の変化など、本当に細かい所でも変化するためそのテキスト量は膨大となっており全てを網羅するのは至難どころではない。発売から時間が経過してもなおふとした所から新たな派生会話がどんどん見つかっている程。 ---そしてその細かい差分も含めた膨大なテキストを、前作と同様にフルボイスで楽しめる。豊永利行氏や石川界人氏、悠木碧氏や花守ゆみり氏、長妻樹里氏などといった、豪華声優陣たちの名演をより多く楽しめるようになっている。 --支援Sも含め、支援会話は基本的に特定EP間内で解放可能になる(支援値の蓄積は制限なし)という制限がつくようになった。これによって支援Sまでの過程や交流がきちんと明確に描かれているので『覚醒』と『if』のような戦争中のプロポーズや唐突なシナリオの展開など、過去作で問題視とされていた点が大幅に改善されている。どれも内容は好評で推しだったキャラクターがさらに好きになってしまうプレイヤーも多い。 ---加えて同じキャラの組み合わせでも、選んだルートによっては後日談の内容がガラリと変わるようになった。そのため本作はペアエンドも従来作品と比べても膨大かつ多種多様になっている。 ---『覚醒』と『if』から同性同士のペアエンドは続投しているが、親友や主徒等の結婚だけではない結末も多く、どちらかと言えばGBA三作に近いものとなった。こちらもまた別の信頼の形である、と好評。 --支援会話は従来作のような立ち絵のスチルではなく3Dモデルによって行われる。これによってキャラクターのある程度細かい表情や動きが表現出来るようになった。特にベルナデッタはネタ的にも活用されており、''ヒューベルトに驚いて立ったまま気を失うベルナデッタ''といった迷シーンまで生み出された。 ---内容も第三者が登場したり場面転換が行われるシーンも大量に増えてバリエーションが豊富になった。 --クラシックモードの作りこみも充実しており、それまでのシリーズでは後のイベントで出番があったり、物語上で重要なポジションにあるキャラはクラシックモードであっても負傷撤退(ユニットとしてはロストするがイベントには参加)することが多かったが、本作の第二部では進行役のごく一部のキャラ(基本的に1名、銀雪のみ2名)を除いては戦死するようになっている。 ---戦死したキャラが登場するイベントでは代役が立てられたり、イベントそのものが省略されるなどの調整が図られて物語に矛盾が起こらないようになっている。またキャラの戦死によって別のキャラの支援会話や本編のセリフ、後日談が細かく変化する事もある。 ---第一部でロストしてしまった場合、全員がその場では撤退扱いとなるのだが、第二部には登場しない。この場合、後日談では「第二部までの間に各々の理由(別の戦場で戦死、結婚、行方不明等)で味方に合流できなかった」事が語られる。 ---今までのシリーズで感じられたクラシックモードでプレイしているのに死なないキャラが多いといった点、キャラの生死が関わるので、仲間になった後はほとんどメインイベントに参加しなくなるといった問題点が尋常ではない作り込みにより解消されたといえる。 -章開始時のナレーションが復活 --『[[覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』以降で不採用となっていた、章開始時のナレーションが新作としては久々に復活した。 ---独特の宗教画のようなタッチの一枚絵と共にフォドラの季節や人々の習慣を説明するパートが初登場。もちろん従来の勢力の動向を解説するマップ形式も存在している。((日常的な学園生活を送る第1部の時点では前者のみ。戦火が大陸全土に広がる第2部から後者に変化する流れで、日常→戦争への変化を際立たせる要素ともなっている。))大塚明夫氏(ジェラルトと兼役)の穏やかな声も交え、こちらも高い評価を得ている。 -良質なテキスト --上記の、主にシナリオに関する評価点をさらに上質にしている要素が、テキストである。上述したシナリオ、ナレーション、散策、支援会話など、いずれも読み進めやすいうえに矛盾が少なく、没入感をさらに深めるフレーバーとして機能している。 ---固有名詞を除いて、いわゆる外来語(カタカナ言葉)が一切使用されていないのも、本作ならではと言える特徴の一つ。この要素は、フォドラが他国との交流が上手くいっていない、あるいは意図的に断っていることの証左にもなっている。 -二つの時代をまたぐことで、大きく作風が変わる。 --本作の物語は、第1部(学園編)の「白雲の章」と、第2部(戦争編)に大別される。第1部では、受け持ったクラスを指導しつつ、「課題出撃」と呼ばれる月末のイベントをこなし、フォドラにおける現状を把握していく。その中で、修道院の付近で暗躍する二つの勢力「炎帝軍」「闇に蠢く者」の存在が明らかになり、彼らの陰謀を阻止するために主人公と教え子たちが活躍していく。こちらの章は、立て続けに事件が起こるものの、戦争中というわけではないため表面上の情勢は穏やかである。しかし、終盤でガルグ=マク大修道院が大きな戦に巻き込まれ、その中で主人公は致命傷を負って行方不明となり、内なる存在によって5年にわたって肉体を修復される事となる。 --5年後となる第2部は、前述したルート分岐によって「翠''風''の章」「紅''花''の章」「銀''雪''の章」「蒼''月''の章」の4つに分かれる。見てわかる通り、この4つを組み合わせて、本作のサブタイトルとなる「風花雪月」となる。 ---こちらは、復活を果たした主人公がかつての教え子たちと再会し、彼らと共に戦乱を生き抜くという内容になっている。主人公は生命活動が停止していたため姿は変わらないが、教え子たちは5年の時を経て、外見・精神共に大きく成長しており、中には別人のようにたくましくなる者もいる。 こちらは、1部とは打って変わってハードな展開が終始展開され、本作が「戦争」を描くゲームであることを認識させられる。基本的にストーリーの重点は第2部にあるが、いずれのルートも、比較的平穏であった第1部における展開があってこそ、という内容になっている。 --なお、ギルベルトとイエリッツァ以外は、全て1部と2部の両方で使用可能となっている。 -「ファイアーエムブレム」という概念が、物語と深く関係している。 --本作では、前述した「紋章」の中に、ずばり「炎の紋章(Crest of Flames)」と呼ばれるものが存在する。これは、かつて「解放王」と呼ばれたネメシスが宿していた特別な紋章で、ネメシス没後の現在は主人公以外に宿している者はいないとされる。物語の中でも特に重要な存在として描かれる、「ファイアーエムブレム」である。 ---また、本作以前の紋章((竜族の血などといった、紋章のカギを握る重要な系譜))に関する描写は、ほぼほぼ婚姻による継承のみに絞られていた。しかし本作では、それ以外のケースによって紋章を与えられている事例が存在し、それらの要素がストーリーにも大きく影響している。~ この事情は主人公の「炎の紋章」についても無視できず、素性不明(ネメシスの子孫ではないことが推察できる程度)の主人公が、なぜネメシスと同じ紋章を所有しているのかは本作最大の謎の一つとしてプレイヤーの興味を煽ることになる。 -自由度が高い --本作の技能レベルは、扱える武器の種類などだけでなく、クラスチェンジや魔法、戦技、スキルの修得などありとあらゆる能力育成要素に関わっているため、従来よりも重要になっている。講義や訓練の時間は主にこの要素を伸ばすためにあてがわれるため、どの生徒をどういう風に育てるかを、ある程度自由に調整できる。 ---主人公や級長は、それぞれ専用クラスがいくつか存在するが、あえて他のクラスにつかせる事も可能で、場合によってはそのほうが有利に働く事もある。 ---個人スキルや紋章を変更する事はできないが((紋章は2周目以降に入手できるアイテムで擬似的に与えることが可能))、『聖戦』とは異なり、紋章の有無が性能に直結する事はない。育成を怠らなければ、すべてのユニットを活躍させる余地が十分にある。プレイング次第では意外な適性を見出すことも可能で、同じキャラクターをまったく別のクラスに就かせて活躍させるのも楽しみの一つとなっている。 ---『外伝』と同様にキャラクター毎に習得魔法は異なる。中には意外なキャラが強力な魔法を覚えたりするのであえて魔法職にしてみるというプレイも可能。「戦技」も同様にキャラ毎に個別となるので高い自由度を維持しつつ無個性にならないように配慮されている。 --シナリオにおいても例外ではない。一切スカウトをせずに自学級の生徒のみで攻略したり、好きなキャラのスカウトのために交流を繰り返す、といったプレイのほか、メルセデスとイエリッツァや、アネットとギルベルト、リンハルトとカスパル、フェリクス、イングリッド、シルヴァンの幼馴染トリオなど、あえて仲の良いキャラクター同士を対立させるためにその片方だけをスカウトする、といった&s(){鬼畜}プレイも可能。~ さらに、他学級の生徒同士で支援を結び、独自のペアエンドを見ることもできるうえ、選択した学級によってその内容が変わることもあるため、繰り返し遊ぶモチベーションの増加につながっている。 -良質なグラフィックとBGM --昨今において高い評価を得ていたグラフィックとアニメーションは、本作においても好評。 ---本作では、舞台となるマップの拡大が可能となっており、ユニットが騎士団と共に戦っていたり、マップの中に様々な要素を見ることができる。 ---倉花千夏氏によるキャラクターデザインもおおむね評価が高く、据え置き機ならではの、高クオリティのイベントムービーがそれらを彩ってくれる。前述したナレーションにおける一枚絵も、独特の味があると好まれている。 --BGMも、戦闘曲から日常曲まで優れた出来のものが多数揃っている。 ---戦闘曲に関しては特に評価が高く、勇ましさを前面に押し出した曲調の「天裂く流星」や、戦争の重々しさを体現したかのような「野望の地平」、三つの勢力が相争う「鷲獅子戦」で「鷲獅子たちの蒼穹」や「天と地の境界」、かつての味方同士の戦闘シーンという悲惨なシチュエーションをより強調する「交わらぬ道」、シリーズでも特に異質でメカニカルな雰囲気を放つ「シャンバラEx-エリア017」、そして、最終マップで流れる「花片の葬列」「この世界の頂で」「神を屠る星」などなど、シリーズの中でも名曲が多いことで知られている。~ 「風塵回廊」や「鉑鎖の群狼」などといった、DLCによって追加された曲も高い評価を受けている。 ---また、主題歌である「フレスベルグの少女」も、歌曲自体の美しさや、シチュエーションに即していることなどから人気が高い。 -魔法の使い勝手が向上 --本作の魔法は、魔導書ではなく魔法特有の使用回数を消費することで使用可能。さらに、マップをクリアすることで使用回数が最大値まで回復するため、非常に使い勝手がよくなっている。 --「外伝」「Echoes」で搭載されていた「地形効果無視」も健在で、戦技や射程の面でリードしている弓と差別化が図られている点も魅力。 -DLC『煤闇の章』について --「級長3名が共闘する」という本編では冒頭にしかない希少なシチュエーションを楽しむことが可能。また、自由行動が制限されているが、兵種変更自体はある程度可能なので、攻略するにあたって試行錯誤を楽しむことができる。また、敵のほとんどが剣殺し、槍殺し、斧殺しのいずれかを所有しているため、疑似的に3すくみを体験することも可能。 --戦術マップは、従来の伝統に則ったシビアなシステムを継承した上で、本編よりも一段手強い難易度で組まれている。ノーマルモードでもある程度の歯応えが楽しめ、ハードモードは本編におけるルナティックに匹敵する((そのためかこちらには難易度ルナティックが設定されていない。ただし本編のルナティック程極端ではないとはいえ、敵の兵種に応じてスキルが追加されるなどの強化がされている。))。本編以上に個性的なギミックも多い。 --シナリオそのものも、本編に劣らず優れており、華々しい雰囲気の修道院の暗部である「アビス」の探索や、その住人たちである「灰狼の学級」の生徒をはじめとした個性あふれる面々とのふれあいを楽しめる。さらに、主人公の母親である「シトリー=アイスナー」についての情報を得ることで、彼女とジェラルトの馴れ初めなどもある程度知ることが可能となっている。 ---- **アップデートで改善された点 -難易度「ルナティック」の追加 --発売当初は「ノーマル」と「ハード」のみだったが、Ver.1.0.2最上級難易度「ルナティック」が追加された。 --『Echoes』から引き続き実装された行動巻き戻し機能「天刻の拍動」をはじめとしてプレイヤー側に有利なシステムが多く、「ハード」までの難易度はシリーズの中でも簡単な方だと言われていたため、高難易度の追加は喜びをもって受け入れられた。 ---敵の能力とスキルが飛躍的に強化されており、「手ごわいシミュレーション」に相応しい布陣がプレイヤーを迎え撃つ。システム面でも距離3以上の弓攻撃に対する命中補正がより厳しめ((「ハード」以下では1マス離れる毎に命中率が20低下するが、「ルナティック」では「ハード」時の補正値から更に10低下し、敵の能力上昇の影響からかなり命中させにくくなる。敵軍も同じ条件だが、基本的にはプレイヤー側がより不利を受ける機会が多い。))、レベル帯の近い敵ユニットから得られる経験値が激減、一部を除いた敵増援が出現ターンから即行動に変化するなど、「ハード」以下とは打って変わって大幅にシビアな戦闘バランスへと変化している。その結果、味方の能力値を上昇させる「応援」コマンドや、命中率を上昇させるスキルの重要性が向上しており、ハード以下では活躍させづらかったアネットやイグナーツの使い勝手がよくなり、スタメンとして起用されやすくなっている。 --修道院パートなどの仕様は据え置きなためプレイヤー側が対応する余地も十分に残されており、先述のセーブデータ引継ぎを利用してかなり楽にすることも可能。この点は後の週刊ファミ通による開発者インタビューにて「引継ぎ前提のゲームバランス」であることが本作のディレクターより明言されている。~ セーブデータを引継がずに「ルナティック」をクリアした場合はタイトル画面が変化するというささやかな特典が存在する。 -回想モード --本作の回想モードでは、従来から可能だった支援会話やムービーに加えて、ストーリー上の会話パートに関してもある程度閲覧できるようになっているのだが、当初は第1部中盤で発生する「女神の塔」でのキャラクター別固有イベントは後から見返すことができなかった。 このイベントは主人公と一定以上の支援レベルにあるキャラクターから1人をあらかじめ指定して、それぞれの人物像について少し踏み込んだ会話がされるというもので、性質上発生・回収に手間がかかるため、見返すのに苦労しやすい部分だった。 --Ver.1.0.2以降、発生させたことのあるキャラクターについては再生できるようになった。 -UIまわりの改善 --各キャラクターは最大6個のアイテムを所持でき、ドロップや報酬などで所持数が7個以上になった場合は超過分を輸送隊に預けるか廃棄することになる。 しかし当初は「輸送隊に送るアイテムを選択する」ダイアログと「廃棄するアイテムを選択する」ダイアログが非常に紛らわしく、且つ「Bボタンを押すだけで廃棄と輸送隊が切り替わる」という仕様から、誤操作で預けるべきアイテムを廃棄してしまう事態が起き得る状態であった。 --Ver.1.0.2以降、「輸送隊モードから廃棄モードに切り替える際はその旨をポップアップで通知する」「廃棄モードにて廃棄を赤文字で強調する」改善がなされた。 -支援会話関係 --Ver.1.2.0以降はエキスパンション・パスを導入し「アビス」の「占星術師」という機能を解放することで、ペアエンド成立の条件を満たしていれば1周回につき1組だけ組み合わせを固定することが可能になった。~ ただし消費する名声値が&bold(){10000Pt}と非常に高額であり、クリアデータ引継ぎなしでの周回で利用するのは非現実的。 -当初はセーブデータの最大保存数が5つしかなく、ルート分岐があり内容が細かく変化するゲームとしては物足りない数であった。 --2019年11月に配信されたVer.1.1.0によって、セーブデータの数が大きく増えた。 -新たな仲間の加入 --2019年11月に配信されたVer.1.1.0以降、サイドストーリーによる追加キャラを含めて6名の仲間キャラが追加されている。 --無料(パスなし)で使用できる1名はルート限定キャラで、ストーリー上は加入してもおかしくない流れであったにも拘わらず当初は序盤で姿を消していたため、多くのプレイヤーが加入を喜んだ。 --エキスパンション・パスによる追加キャラ5名は、いずれもクリア後の特典である紋章の付け替えでのみ存在を見ることができた、発売当初の本編には登場しない紋章を持ったキャラである。 ---中には既存のキャラクターに縁が深いキャラもいるが、導入しなくともストーリーには問題がなく、いずれも世界観に深みをもたらす存在になっている。 -サイドストーリーの、本編へのフィードバック --サイドストーリー「煤闇の章」の最初のエピソードをクリアすれば、本編の散策でアビスに行けるようになり、新たに追加されたクラスの資格試験を受けるための「特級試験パス」の入手等をすることができる。また、さらにエピソードを進めると、本編において灰狼の学級のメンバーを主人公の能力にかかわらずスカウトできるようになる。 ---灰狼の学級の生徒にも、主人公や同じ学級のみでなく他の学級の生徒との支援会話も用意されており、散策時のイベント等も遜色なく用意されているため、再度プレイするためのモチベーションの増加にもつながっている。 ---サイドストーリーをクリアしてさえいれば、スカウトが解禁される時期は非常に速い上に技能や能力関係なくスカウトできるので攻略の幅を広めてくれる。得意不得意がはっきりしているキャラが多く、前衛アタッカー・壁役・魔法役とどの学級においても非常にありがたい精鋭が揃っている。 ---- **賛否両論点 -一部シナリオ #region(close,ネタバレ注意) -「銀雪の章」は黒鷲の学級から分岐し、三級長のいずれにもつかず教会に味方するルートとなるが、シナリオの中でやることは「翠風の章」とほとんど変わらない。明確に分岐するのは最終エピソードに入ってからで、銀雪の章ならではの展開は、主人公の出生の秘密が判明することや、あるキャラとのペアエンドくらいと、比較的少ない。 --ただし加入メンバーは大きく異なり、修道院の散策や支援会話、登場するNPCや敵ユニットも変化する。同じ状況であっても同じストーリーではないので、局地的なキャラクター描写やテキストを重視する上では気にならない。 --また、本作最大のキーパーソンであるエーデルガルトを自学級の生徒として接してきたか他学級の級長として接してきたかでは、同じ道のりでも印象は異なるものとなる。また、銀雪の章は教会の中心人物であるセテスが他のルートの級長の役割を担っているので、彼をはじめとした教会関係者を好むプレイヤーには、一見の価値がある。 -「蒼月の章」「翠風の章」ルート((「黒鷲の学級」では、「紅花の章」はほかのルートと流れがまったく異なるため会戦自体が存在せず、「銀雪の章」では自軍が3国の争いと無関係になっているため参加しない。))における第2部に存在するマップ「グロンダーズの会戦」では、帝国、王国、同盟、それぞれの盟主が集い、三つ巴の争いを繰り広げる。この点は、第1部で行われた「鷲獅子戦」の再来として、大いに盛り上がる場面となっている。 --ただし、この段階において王国と同盟は敵対しているわけではない。「翠風の章」では、王国の盟主であるディミトリが帝国への憎しみのみで動いているため、同盟を邪魔ものとみなして攻撃をしかける事も不自然ではないが、「蒼月の章」では、同盟側のクロードが特に王国に敵意を持っていないにもかかわらず((戦闘開始前に、同盟に対して休戦を試みる描写があるが、帝国の工作で失敗している。))、容赦なく攻撃を仕掛けてくる。「霧が濃くて様子が分かりにくい」という旨が語られたり、エーデルガルトが「敵も味方もわからないほどの乱戦に持ち込んであげる」と発言するなど、不自然ではない状況にするための描写は見られるのだが、実際のマップであまり反映されていないのが惜しいところである。もっとも、実際に索敵マップになった場合、もともと高い難易度がさらに激増するため、やむを得ない措置とも言える。 -「闇に蠢く者」について #region(close,複数のルートにまたがるネタバレ) -「闇に蠢く者」は基本的に敵として扱われ、最終的に壊滅させられることになる。それ自体は作中で働いた悪行を考えれば当然であるものの、いずれのルートであっても完全な決着には至らない。 --それぞれ互いの勢力との激突が主軸となっている「紅花の章」および「蒼月の章」ではプレイヤーのあずかり知らぬ所で倒されてしまう((紅花の章では後日談で打倒、蒼月の章では彼らが与する帝国と戦ううちに大損害を負わせている形であり、結果的には自軍の活躍で壊滅している。))一方、他の2ルートとは違い、彼らが保有する禁術に関する情報を十分に得ることができず((紅花の章では対抗策を知る人物を失ってしまい、蒼月の章では禁術の存在自体が明かされない。))、残党との戦いにおいて不安要素を抱えた状況で終わっている。 --「翠風の章」「銀雪の章」では直接の総力戦となるが、他の2ルートでは倒すことができていた幹部の一部が登場せず、取り逃がした可能性が残っている。 --いずれにしても、彼らの組織構造や技術の出所、行動理念などの詳細を彼ら自身の口から聞くことはできない。特に「紅花の章」では闇に蠢く者と一時的に共闘する展開が存在する((帝国の主要人物であるエーデルガルトとヒューベルトは彼らを嫌っているが、利用価値があることからやむなく彼らと手を結んでいる。))が、なぜ帝国と彼らの利害が一致するのか、メインストーリーだけを見て理解することは難しい。 --ただし、こうした未決着の部分は、複数のルートの情報を照らし合わせることで初めて浮かび上がってくるものであり、考察に深みを与える要素として意図的に残されている節もある。DLCではこの点が補完されており、かなり核心を突いた手がかりが提示されている。 ---現在有力な考察の中には''作中で描かれる価値観を根底から覆しかねない''ものもあり、味方側から見れば単なる悪党でしかなかった彼らの「正義」らしき側面も示唆されている。それを踏まえると、全ルートで決着がつかず戦いが続く結末にも含蓄を感じられるかもしれない。 --なお、スピンオフ作品にあたる『無双 風花雪月』では、闇に蠢く者に所属しつつも良識的な考えを持つキャラクターも存在するため、こちらをプレイすることでより深く理解することが可能となっている。 #endregion -大団円を迎えるルートは無いため、全ての味方キャラが救われるわけではない。第1部でのスカウトや第2部での行動((元生徒の撃破が勝利条件に含まれていない場合に、交戦を避けてステージクリアする等))で犠牲を減らすこともできるが、それができない他学級の生徒は、紅花の章のリシテアなど、一部の例外を除いて悲惨な結末に至る。 --このことも、「戦争らしくて良い」とする意見と、「仲間になるキャラを殺害するのはきつい」という意見により、賛否が分かれている。 #endregion -修道院での行動について --本作はとにかくできる事が多く、戦闘マップ以外にも様々な事柄に挑戦できる。 --それだけに手間も大きいため、面倒に感じるという声も存在する。 --戦闘マップ以外の行動をスキップすることもできるが、その場合は技能レベル・指導レベルやアイテムの面で不自由することになる。 -兵種関連 --本作の兵種は、「特殊職」「初級職」「中級職」「上級職」「特級職」「最上級職」とわかれているが、特級職と最上級職は「複数の技能を組み合わせた兵種」という、やや癖の強い性能をしている事が多く、今まで全く触れてこなかった技能を高レベルで要求されてしまうことがある。また、「馬術」「飛行」「重装」は、対応するユニットでなければ戦闘で経験値が入らないため、そちらの資格試験を受験する必要も生じる。そのうえ、最上級職になるために必要な技能は1周目ではある程度レベルを上げなければ確認すらできない。そのため、ルートによってはクリアまでに最上級職にチェンジできないユニットが多くなりがち。 ---ただし、一芸特化のユニットは、最上級職より上級職の方が十二分に実用化できることがある。~ たとえば、剣使いとして運用するならば魔法も扱える最上級職の「エピタフ」よりも上級職の「ソードマスター」が力,速さ,必殺率などの攻撃性能が優れており((特に速さの成長率ではソードマスター+20%、エピタフ-10%と30%も差があるので無視できない))、理学が苦手なカトリーヌなどは、剣と格闘を鍛えた方が強くなりやすい。弓兵の最上級職は騎乗による高移動力と弓射程+2の兵種スキルにより強力な移動砲台となる「ボウナイト」だが、クラス成長率がほぼ無くなるという弱点もある。上級職「スナイパー」では成長率の補正はボウナイトよりも高く、加えての専用戦技「ハンターボレー」はそれらの長所と比肩する強力な攻撃である。あらゆる魔法の使用回数を2倍にできる最上級職「グレモリィ」も、使用するのが白魔法のみ且つ回復量を重視するのであれば使用回数が2倍かつ「白魔法回復+10」を持った上級職「ビショップ」のほうが有利となる((今作の回復量10は魔力30に相当するのに対し、「ビショップ」と「グレモリィ」の魔力差は3と回復量は目に見えて変わる。ただし射程が魔力の大きさに依存する「リブロー」など魔力自体が高い方が都合がよいこともある))。 ---一方、上級職の「勇者」は、男性限定であるうえ適性武器が一致する最上級職が存在しない((剣と斧の両方が条件となるクラスがない。))ため、スキル以外の面ではクラスを獲得する意義を見出しづらい。さらには「斧の達人」を持っていないため、斧を装備する意義が薄い事や、すべてのクラスがあらゆる武器を装備可能になった事で、剣と斧を使い分けて戦うという従来の優位性が無くなった事も向かい風となる。 --闇魔法を得意とする「ダークメイジ」・「ダークビショップ」の資格を獲得するには「闇魔法試験パス」という専用アイテムが必要((ダークビショップに就く際は二つ必要。))になるのだが、この入手が初見だとかなり難しい((強敵である死神騎士のドロップアイテムとして複数入手可能である程度。他はイエリッツァが加入時に一つ所持しているのみ。))。また、これらは男性のみしか資格を得られない。 ---「闇魔法試験パス」という名前の割に闇魔法に直接影響があるスキルはドーラΔのみ。その他のスキルも弱くはないものの、ウォーロックやビショップと異なり「魔法回数×2」がない分それらよりやや使いづらい。 --格闘系の最上級職「ウォーマスター」が男性限定、理学・信仰を統合した最上級職「グレモリィ」が女性限定のため、逆の性別でそれらが得意武器の場合最終目標にできないためやや勿体ない事になる。 ---女性は、格闘技能ボーナスが2以上ある兵種が、女主人公の専用職「ニルヴァーナ」とエキスパンション・パス導入後に追加される特級職「バトルシスター」の二種類と少なく、戦闘で技能値を上げづらい傾向にある((「天才」持ちのリシテアも格闘が苦手なため、他と変わらない。))。また、グレモリィのほか、エキスパンション・パスで追加された攻撃魔法系の強力なクラス「ダークペガサス」「ヴァルキュリア」も同じく女性専用であり、男性専用の「ダークビショップ」の性能が微妙なことも重なって「魔法系が得意な男性キャラ」が不遇な立場にあると言える。しかしいずれも該当キャラは少なく、実戦的な運用に困るほどではない。 ---性別制限のないクラスのほとんどは「槍術」「馬術」「飛行」のスキルが必要((戦闘で馬術を上げるには、「ソシアルナイト」や「パラディン」になる必要があるため、重装職や魔法職から上がる場合は指導で技能ポイントを稼ぐ必要がある))となる。魔法職の「ホーリーナイト」「ダークナイト」や重装職の「グレートナイト」も例外ではない。 --これらの点は、さまざまな育成方法を模索する楽しみを与えてくれる反面、終着点を定めにくいという難点があり賛否両論となっている。 -回避有利、受け不利のバランス --本作では回避を高める方法が豊富であり、敵の命中率を比較的容易に0%にできる。そのため、いわゆる「回避盾」のユニットが非常に強力。 ---特に手軽に回避を上げるスキルに「警戒姿勢((行動せずに待機したとき、次の敵ターン終了まで回避が15アップ。30アップする上位版「警戒姿勢+」も存在))」があり、敵の真っ只中に待機させて反撃する地雷戦術が通用しやすく、最高難易度「ルナティック」の最適解とされることも多い。このスキルは飛行技能の育成で習得できるため、後述する飛行と騎馬のクラス格差にも繋がっている。 ---「計略」の命中率は魅力に依存するため、騎士団持ちが相手の場合は回避地雷を破られることもある。逆に言えば、魅力さえ上げればあまり脅威にならなくなる。 --一方、アーマー系など、攻撃を喰らうことが前提の盾役ユニットはやや不遇気味。 ---最大のデメリットは、ダメージを受けると騎士団の戦力が削られてしまうこと。騎士団の戦力はマップ内で回復する手段が限られており、いったん壊滅してしまうとユニットの性能がガタ落ちする。このシステム上、長丁場のマップでは細かな被弾すら避けて進むのが本作のセオリーであり、それが難しい受けユニットは活躍させにくい。広大なマップが多いのも逆風で、移動力の低さが足を引っ張りがち。ただし、グレートナイトになればこの点は克服できる。 ---反面、新要素の「副官」として起用した場合の能力は強力であり、デメリットも無視できる。少数ながら回避盾が苦手とする状況で代打を務められるポテンシャルもあり、総じて過去作の常識が通用しない、玄人向けに仕上がっていると言える。 ---前述した通り、アーマー系はクラスチェンジ資格を得るだけで(実際にそのクラスにならなくても)守備の最低値にボーナスが付くことも無視できない。特に、リシテアのように守備の成長率が低いユニットにとっては無視できないメリットとなる。~ このほか、速さが低いというデメリットは、ウォーマスターのマスタースキル「切り返し」である程度相殺できる。そのため、ドゥドゥーのような、守備に特化した性能を持つ男性ユニットは、アーマー系の方が役立つことも多い。 //聖戦、封印でも同じ記述があったけど、賛否両論点だったので揃えました。 -魔法武器関連 --「サンダーソード」や「ボルトアクス」などの「魔法武器」は、鍛冶屋で鍛えることで射程が1-3となる。そのため、普通に魔法を使うより、魔法武器を使ったほうが有利なこともあり、魔法を修得する意味が薄いのでは、と考えるプレイヤーもいる。 ---ただし、魔法の方も、特殊な装備やスキルによって射程を伸ばすことが可能となっている。 -第2部のキャラクターボイス --第2部では第1部から5年が経過したことで、主人公や士官学校の生徒たち、ツィリルのあらゆるボイスが差し代わり、雰囲気も大きく変わる。~ これはシリーズの中でも唯一無二の要素で、5年間でそれぞれに大きな変化が起こったことを物語っている。中でも、主要人物であるディミトリとクロードの変化は著しく、ファンからも好評を得ている。 ---一方で、一部のボイスが第1部と共通なので、場合によっては違和感が感じられる事がある。~ 特にイグナーツは第2部では声変わりで声が低くなるのだが、一部の支援会話、食堂のやりとり、修道院で近づいた時の挨拶、お茶会の選択肢などで声変わり前の第1部のボイスが使われており、突然甲高い声で喋りだすので違和感が激しい。 --なお、セイロス聖教会・士官学校の大人たちも、すべてでこそないが一部のボイスが差し代わる。ただしDLCで加入させられるアンナのみ、第1部と第2部でまったくボイスの変更がない。 ---- **問題点 -騎兵と飛兵の差が激しい。 --評価点において記述した通り、本作では基本的に、兵種問わず全ての武器を使用できる。そのため、兵種を選択する際には、兵種スキルや移動適性、武器技能や成長率などを主眼において選択することになる。歩兵は移動力が低い代わりに成長率が高く、ソシアルナイトやパラディンなどといった「騎兵」は移動力の代わりに成長率が低い傾向にある。 ---騎兵は、移動力そのものは高いものの、地形によって移動を大幅に制限される事が多いうえに、アーマーナイトなどの重装職と同じく重要なステータスである「速さ」の成長率にマイナスの補正が与えられる((重装職と異なり、数値そのものにはマイナス補正がかからない。))。「任意のタイミングで下馬して歩兵になるor乗馬する」コマンド((騎兵はこのコマンドにより最大移動力が下がるが「速さ」が一時的に上がるというメリットがある。ただし成長率に作用する兵種補正値が変わるわけではない))や「再移動((騎乗中に一部を除く各種行動後、未消費の移動力が残っていればその分移動できる兵種スキルで、今作の騎乗/飛行兵種は全て所持している))」が使えることもあり、過去作の不遇クラスほどではないが、レベルを上げる際などには使用を躊躇するプレイヤーも少なくない。 ---本作では他学級の場合、自動的にソシアルナイトのクラスに就く生徒が4人存在する。そのままゲームを進めていくとクラス補正によって「速さ」のステータスが伸び悩んだまま成長することが多く、スカウト時の懸念事項の1つと言える。早期スカウトを狙おうにも、それらの生徒達は全体的にスカウト難易度が高めに設定されているのも嫌らしいところ。 --一方、「ペガサスナイト」「ドラゴンナイト」などの飛行職は騎兵同様の高い移動力を保持していながら従来通り地形に左右されず移動可能。さらに騎兵と同様に「再移動」が使え、速さの成長率もプラスされる。さらに歩兵クラス並かそれ以上の高い成長率を誇る((ペガサスといえば守備の低いユニットが多かったが特に守備にマイナス補正はなく、最上級のファルコンナイトは成長率合計トップタイですらある))。 ---弱点と言えるのは、従来通り弓に弱く地形効果を受けられない点や、副官と雇用できる騎士団に厳しい制限がかかるという点。((飛行タイプ兵種は飛行系の騎士団・副官しか付けられない。逆に飛行タイプの副官や騎士団を歩兵キャラに付けることは可能。))。このうち前者は、過去作にも見られた「降りる」コマンドを使ったり、「アウロラの盾」を装備することで対策できる。ただし飛行に限ったことではないが、降りることでパラメータは多少下降する。 --敵の飛兵も強く、苦戦を強いられることが多い。特に中盤以降に出現する敵ペガサスナイトは明らかに味方のものより優遇されており、ステータスが高いうえに上級職のスキルである「槍の達人」を所持している。 -難易度「ルナティック」の調整の問題 --ルナティックで出現する敵は、強くなりすぎて大味になっている側面がある。それ自体は高難度にするための措置と納得できるが、力と速さ((兵種によっては、追撃がほぼほぼ不可能な敵も多い。))のインフレが凄まじく、速さに特化して育てたエースユニットでもなければ一回の攻撃に耐えることすら難しい。前述した回避狙いに頼らざるを得ない場面が多々あり、HP・守備・魔防が半ば形骸化している。 -一部の戦闘アニメーション --グラフィックの凝りようが評価されている一方で、戦闘デモにおけるモーションのいくつかに、以下のような不自然な点が見受けられる。 ---通常攻撃:近接攻撃では敵との距離が安定せず、明らかに武器が届いていなかったり、逆に近づきすぎて重なるような動きをすることも。反撃を挟まない2回攻撃の際は流れるように攻撃することはあるのだが、攻撃後距離を取り、同じモーションで再攻撃するなどテンポが悪いケースも。 ---戦技:前作『Echoes』ではすべての戦技に固有のモーションが用意されていたが、本作では同じ武器を用いた戦技が同じモーションになっていることが多い。 ---計略:兵士が集団で体当たりを仕掛けたり、敵軍に火薬樽、毒薬樽の乗った荷車がゆっくりと近づいて爆発するなど、「計略?」と首をかしげざるを得ないものとなっている。 -ゲームそのものの動作 --場面が切り替わるときのロードがかなり長く、ストレスの原因となりやすい。 ---途中で挿入されるムービーや章間のイベント会話はそれほど長くはないが、戦闘マップや修道院パートへの導入は読み込みがかなり長い傾向にある。 --第1部ではほとんど処理落ちも起きないのだが、第2部の指導パートでは処理落ちが起きる事が多々あり、カーソル移動などが少し重くなる。 -システム関連 --第2部のオープニングマップとなる「夜明けの追討戦」では、一つ前のシナリオに該当する第1部最終マップのクリア後から当該部分まで2回のオートセーブを挟んで自動進行するため、戦闘開始前に進軍準備(身支度やアイテムの売買など)、難易度の変更が行えない。マップクリアないしキャラ生存に支障が出る事態となった場合、古いセーブデータを残していない限りリカバリーが効かない詰みポイントと化してしまう。 --危険範囲表示(敵ユニット行動予測機能)は、射程が変化する戦技は危険範囲として勘定されず予測線も表示されない。大半の一般兵は戦技を装備しておらず、射程が延長される戦技自体がほぼ弓系統だけなため普段は実害のない要素なのだが、難易度「ルナティック」ではごく一部の敵弓兵が狙撃((武器耐久を5消費する代わりに射程が最大3マス分延長される戦技。))を装備していることがあり、射程外と思っていたエリアから攻撃されるという状況が発生しうる。 --また、ごく一部の外伝では敵が射程2-3の「一斉射撃」が使える騎士団を装備しており、しかもこちらは弓兵に限らず近接物理歩兵も平気で撃ってくる。こちらも危険範囲表示に反映されないため、範囲外ギリギリで待機していたつもりが、表示されていないはずの範囲外から奇襲される、という事態が起こりうる。上述の戦技の件とあわせ、些か不親切とも言える。 -支援会話の問題点 --主人公以外のキャラは支援A(+)で打ち止めという仕様もあって、その時点で好意を匂わせる将来が確定したような会話が行われる事が多い。しかし、本作は支援A(+)は相手がいる限り全て起こせるため、場合によっては複数の相手に好意を持っているような状況に見えてしまう事がある。~ また、好感度が下がることは主人公を除けばないため、主人公以外は支援会話Aを発生させた後で全員の好感度がカンストすると、エンディングの組み合わせがリスト順で固定されてしまう。そのため、エンディングで後日談を自由に見るためには、戦略性を度外視し敢えて支援Bで止めておく事や前述した占星術師の活用が必須となる。 --ごく一部の「キャラクターの外見に言及する」ような内容であったり「特定の第三者の生死が前提」であるものなどは時期を逸すると一定の支援値を満たしても支援会話を発生させられなくなる((発生させようとすると「絆を深める機会を逃してしまったようだ」という専用ダイアログで通知される))。とはいえ、時期を制限しないがために話の辻褄が合わなくなる方がより問題なため致し方ない部分もある。 --支援会話の中には「仲違いし、次の支援会話で関係修復」というものもあるのだが、大抵喧嘩が支援B、修復されるのが支援Aであり、支援Aは第2部でしか起きないため場合によっては5年間喧嘩しっぱなし、という結構な違和感を感じる展開になってしまう((当然、片方しか仲間にしなかった場合は喧嘩別れになってしまう))。特にアネット&メルセデス等仲違い中専用の食事会話があるキャラが複数グループあるため、この違和感が目につきやすい。 --アップデートで加入するようになったアンナは、支援相手が一人もいないという欠点を持つ。レアも主人公とのみ支援が可能だが、支援レベルを高めても攻略上のメリットがない。 --支援Sの相手は最終章の散策で選べるようになるのだが、実際に支援イベントを見られるのは最終戦クリア後となっている。そのため、他の相手との支援を見たい場合は、選びなおしたうえで最終戦をやり直さなくてはならない。 ---この反省から、続編の『[[ファイアーエムブレム エンゲージ]]』では、最終章に入る前に結婚相手を選ぶことが可能となっている。 -修道院のファストトラベル --どこに誰がいるのかはマップに記されているのだが、目当てのキャラの前に直接ファストトラベルをすることができない。また、レアの部屋など、移動できない部屋も存在する。 ---この反省から、スピンオフ作品の『[[ファイアーエムブレム無双 風花雪月]]』では、キャラクターを選択することで直接移動が可能となった。 -永久離脱ユニットの存在 --『蒼炎』や『if』と同様に、本作でも条件次第で加入したキャラクターが永久に離脱するイベントが存在する。 ---黒鷲の学級では、上記の分岐次第で永久離脱するユニットが3人((紅花の章を選ぶとフレンが、銀雪の章を選ぶとエーデルガルトとヒューベルトが離脱。))存在する。いずれも高い性能を誇っているうえに、これらのキャラクターは全て、クラスで一人のみ任命できる「踊り子」の資格者である。とりわけフレンは踊り子に適した性能であるため、彼女を踊り子に任命したものの、離脱されて後悔したというプレイヤーが見られた。 ---ただし、分岐の条件は厳しいものではなく、選択場面においても通常とは異なるエフェクトが見られるため、見落とすことはほとんどない。また、『蒼炎』における「ジル」や、『if』の「スズカゼ」のように、唐突に離脱されるわけでもなく、ストーリーの流れを追っていくとむしろ離脱は自然であることがわかる。そのため、これらほどの批判は見られない。 ---蒼月の章でも、ドゥドゥーが条件次第で永久離脱する。ただしこちらは、代替キャラと呼べる性能のキャラが後に加わるほか、残留の条件を満たすのも難しくはない。 ---- **総評 製作発表時こそ、学園要素というFEらしからぬ概念が賛否をもたらしたが、後に二部構成であることと、かつての味方同士で相争うという要素が明かされると、ファンの期待も一気に高まった。~ そして現実の戦記をもとに、複雑に絡み合う戦争のシナリオを長年扱ってきたコーエーテクモゲームスが開発に携わる事で、今までにないほど、悲愴でリアルな戦争描写がなされている。~ キャラクターや世界観、時代背景の推移などの描写も緻密に描かれており、新規プレイヤーやライトゲーマーと従来からのシリーズファンとの間で賛否両論とする所が多かった『覚醒』『if』から一転してシリーズ屈指の良作と言える優れたシナリオとなった。 難易度も、「ノーマル」「ハード」は従来より易しめだが、「ルナティック」は相応のてごわいシミュレーションとしての歯ごたえを楽しめる。~ これらの要素が絡み合い、シリーズのファンを喜ばせただけにとどまらず、戦記モノを好むユーザーにオススメの一作となっている。 ---- **余談 -今作は、シナリオをはじめとしたゲーム部分のほとんどがコーエーテクモゲームスのスタッフによる製作であり、インテリジェントシステムズはゲーム全体の監修及び世界観の構築、ビジュアルや音楽といった要素の製作という形で関わるにとどまっている。 --このような形になった理由としては、当初は『Echoes』との並行開発となっていたもののスケジュール的に時間が足りないと判断されたため、と明かされている。ゲームの中核部分を外注するというのはIS側にとっても異例の開発体制ではあったものの、コエテク側が気を利かせて''社内からFEシリーズのファンを選抜してくれた''ため、想像以上にスムーズな話し合いが出来たという。 --特に技能育成などの一部のシステムはコーエーから発売されていた『[[Zill O'll]]』に発想のヒントを得たとのこと。 ---「ニルヴァーナ」「打ち砕くもの」など、一部の兵種や武器の名称に『Zill O'll』の要素がちょっとだけ混ざっているのはその痕跡。もちろんコエテクからの許可は得ている。 -『[[TETRIS 99]]』とのコラボ祭を開催していた。 -発売からわずか2か月で、全世界で229万本を売り上げるという記録を残した。 --さらに、2020年1月に、全世界で累計258万本の売り上げを達成。その後も継続的にセールスを伸ばし、任天堂における2020年3月期の決算説明会にて、2020年3月までの累計で287万本(国内58万本/海外229万本)を売り上げたことが発表された。 --そして2022年12月には410万を上回るなど、シリーズ最大の売り上げを達成した。 -「The Game Awards 2019」にて「Best Strategy Game」と「Player's voice」を受賞した。 -日本語版では主人公のデフォルトネームが男女で違うが、英語では男女ともに「Byleth」で統一されている。 --また、剣を得意としていることや、特殊な力を内に秘めていること、覚醒することで髪の毛の色が変わることなど、『[[サモンナイト3]]』のレックス・アティ((ちなみにアティは『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』において、『覚醒』の主役キャラであるクロム・ルキナと共演している。))や『[[英雄伝説 閃の軌跡]]』のリィン・シュバルツァーなど、教師の主人公のお約束を踏襲したものとなっている。 -本作では、過去作に出てきたキャラクターの名前と一致する地名や人名などが多く登場する。 --クロードやヒルダ、物語の中に登場する獅子王ルーグなどの人名をはじめ、アミッド大河やオグマ山脈、ミルディン大橋など。明らかに多数の名称が使用されているため、意図的なものと思われる。 -黒鷲の学級の生徒の一人「フェルディナント=フォン=エーギル」は1部の戦闘での進軍時に「我が名は!フェルディナント=フォン=エーギル!」と高らかに自分の名前を叫ぶ。本作からフルネーム制が導入されたことも相まって一部のプレイヤーから「最初にフルネームを覚えたキャラはフェルディナントだった。」と話題になった。 --担当声優の板泰斗氏もそのことを知っているらしく2020年8月14日に放送された「ファイアーエムブレムシリーズ30周年記念生放送」でゲストとして登壇した際に上記の名乗りを生披露する一幕もあった。 -本作発売前にアプリゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」から級長三人とベレス(ベレト)の出演が決定していた。前作の『Echoes』も同じように発売前から一部のキャラクターは登場していたがほとんどボイス流用だったのに対してこちらは全部新録されている。なお、ベレトに至っては条件が整って本作を購入すれば☆5で無料配布されるが2020年6月29日で配布が終了。それ以降は普通の召喚でのみと従来の入手方法へ。 --第4回英雄総選挙では級長3人とリシテアが上位をもぎ取り、発売から一年後に5年後の姿が早く実装された。 -どのルートも、すべてのキャラを救いきれないことから、プレイヤーからは「『if』の「インビジブルキングダム(透魔王国)」のような大団円ルートが欲しい」という要望もあった((もっとも、インビジブルキングダムにも、仲間に入れられず命を落とすキャラは数名存在する。))。 --しかし、ファミ通のインタビューで今作のディレクター担当の草木原俊行氏によると最初から大団円を作る予定はなかった事を明かしており「''大団円ルートがあると、どうしてもそのルートが正解になってしまう''というのが大きいですね。本作ではどのルートもこのゲームの正史であって、遊んでくれた方それぞれに自分の正史を決めてほしい」とキッパリ発言。氏の発言から遠回しにメインシナリオで関与した追加コンテンツ『if』のインビジブルキングダムの内容とDLC商法がプレイヤーから不評だった評価を耳に入り、理解した上での考慮が窺える。 --その後においてもヒーローズのイベント「想いを集めて」でその可能性を匂わす内容が触れてあるのみで最新作の『エンゲージ』もエンディングは一本道である事からISは今後追加コンテンツでメインストーリーに関与する別エンディングは作らない方針を固めている。 -『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』ではDLCファイターとして「ベレト/ベレス」が参戦した。また、本編の舞台となるガルグ=マク大修道院がステージとして登場。本編のキャラも何人かゲスト出演している。 -高い人気を集めたゆえか、現在もパッケージ版が品薄になりやすく、中古でも定価程の価格となっている。さらに、「amazon」では後述する『無双 風花雪月』や、次回作である『エンゲージ』より高価格を保っているなど、その人気の高さがうかがえる。 -2022年6月24日に、本作を題材にしたFE無双シリーズ第二弾『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』が発売された。 --製作スタッフは本作のメンバーを踏襲しており、世界観はそのままだが、3人の盟主と関わりを持つ主人公が別の人物になっているなど、本作のシナリオと全く違う物語が展開される。ちなみに、サブタイトルの英題が本作だと「Three Houses」なのに対し同作は「Three Hopes」になっている。 //--また、2023年9月28日に発売された『Fate/Samurai Remnant』も[[本作と共通するスタッフによって手掛けられており>https://www.gamecity.ne.jp/fate-sr/special/conversation.html]]、本作を彷彿とさせるシビアなストーリー展開がなされる。 //無双ならともかく、ライターが同じならバディミなんかも該当するし、掲示板でも「キリがない」という意見があるのでCO。

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