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//23.6.29 判定変更議論に伴い良作/シリ不→良作へ変更 *熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls 【ねっけつこうはくにおくんがいでん りばーしてぃがーるず】 |ジャンル|アクションゲーム|&image(https://image.gamer.ne.jp/news/2021/20210623/00399a5045cdeda073190bf3673c529d0b0d/m/4.jpg,height=200)| //海外版のパッケージ画像が使用されていたので変更 |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;Xbox One&br;Windows(Steam)&br;プレイステーション5|~| |発売元|アークシステムワークス|~| |開発元|WayForward Technologies|~| |発売日|【Switch/PS4/One】2019年9月5日&br;【PS5】2022年6月23日|~| |定価|2,900円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |備考|日本国内はDL専売&br()パッケージ版は海外一部地域限定|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|現代風アメリカ製『くにおくん』&br()随所に感じられるシリーズ愛&br()しかし手放しで褒められない部分も|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ベルトスクロールアクションの元祖として有名な『くにおくん』シリーズだが、国内のみならず海外にも根強いファンがおり、昨今では『くにおくん』から強い影響を受けたインディーゲームなども発売されている。~ そんな中、本作は米国のディベロッパーであるWayForward社内の『くにおくん』の熱心なファンが現在版権を有しているアークシステムワークスへ持ち込んだ企画であり、過去の国内製タイトルとは直接つながらない新機軸の「外伝」作品である。 「Girls」という単語がついている通りメインの主人公はいつもの「くにお」と「りき」ではなく『[[新・熱血硬派 くにおたちの挽歌]]』に登場した「みさこ」と「きょうこ」が抜擢されている。近年の作品やドラマ、舞台などではこの2人は喧嘩とは無縁のヒロインとして描かれる事が多かったが((「みさこ」は元々『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』が初出。「きょうこ」は『熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲』から再登場しているが、やはり基本は戦わない。))、今回は『挽歌』ベースの喧嘩が強い設定となっている。 またビジュアル・世界観が基本的にFCドットや往年の不良文化を意識していたシリーズ作とは違い、『[[シャンティ>シャンティシリーズ]]』シリーズ等でWayForward社が得意とするなめらかなドットアクションと、日米の現代的なポップカルチャーの融合した世界観に一新されているのが特徴。~ タイトルこそダウンタウンシリーズの北米版「River City」を冠するが((一応、スポーツシリーズの『超熱血!サッカーリーグぷらす』や熱血硬派シリーズの『乱闘協奏曲』も海外では「River City」の名を冠して発売されている。なお、『びっくり熱血新記録』は海外では『Crash 'n the Boys: Street Challenge』の名で発売しており『ホッケー部』や『サッカーリーグ』も「Crash 'n the Boys」の名を冠して発売予定があったが中止となっている。))、「みさこ」「きょうこ」が主役だったり、日本版の「熱血硬派くにおくん外伝」というタイトルの通り、熱血硬派シリーズの世界観をベースにしている。 ---- **ストーリー 「みさこ」はリバーシティ高校(本作における熱血高校)にて補習授業に悲鳴を上げていた。~ 自分の学校をサボった「きょうこ」はその横でスマホをいじっていたが、そこで信じられない写真を目撃する。~ 「くにお」と「りき」が謎の人物に車に乗せられていたのだ。 「りきとくにおが誘拐されたーーーー!!!」 2人は何者かに誘拐されたと思しき「くにお」と「りき」を助ける為、担任の川上先生の静止を振り払って教室を飛び出して行く。 「愛を黙らせることなんてできないよ!くにおとりきを誘拐したやつ、見つけ出してボコボコにしてやる!それにね、先生の授業すっごいつまんない!」 「そうだそうだ、その通り!''何の話だっけ?''」 ---- **特徴 -上記の通り主人公は「みさこ」と「きょうこ」の二人で、一人プレイの場合どちらかを選んでプレイする。 --概ねみさこはパンチ技が得意でボス戦に強め、きょうこはキック技が得意で雑魚戦で使いやすい、という特徴づけがなされている。 --二人プレイにももちろん対応しており、1Pとは違うキャラを操作する。 ---二人プレイの時は一方がやられると、体から魂が抜け出て昇天しはじめる。昇天しきると体が消えて続行できなくなるが、その前に''踏み付けて魂を体に無理矢理押し戻す''事で復帰させられる。なんとアグレッシブな…((『乱闘協奏曲』でも倒れた仲間の口に刺激物をねじ込んで強引に蘇生させていたが、テキストだけなのでこれほど直接的な演出は無かった。))。 --一度エンディングを見れば「くにお」と「りき」もプレーヤーキャラとして使うことが出来る。 -敵を倒したりステージクリア時に貰えるお金を使うことで回復アイテムの購入やレベルアップで覚えない技の習得が行える。 --作中には非常に多くのショップが登場し、購入できるアイテムも豊富。回復アイテムだけではなく特殊効果のある装備アイテムも多数購入できる。 ---多くの回復アイテムは使用時に永続的なステータスアップも行われる。但し、『[[ダウンタウン熱血物語]]』と違って初使用時のみ。 --ライフが0になりやられてしまった場合、そのエリアからライフ全快の状態でコンティニュー可能な親切設計。ただしペナルティとして所持金の一部を失う。 -操作は比較的シンプルで6つのボタンと移動のみ。 --ボタンはそれぞれ弱・強攻撃とゲージを消費する特殊技、ジャンプ、ガード、舎弟呼び出しに振り分けられている。 --同じ方向に二回スティックを倒すとダッシュができる。 -画面内で最後の1体になった敵はダメージを与えたりダウンを奪うと、無防備な状態で「命乞い」をすることがあり、この状態になった敵は「舎弟」にする事が可能。 --舎弟は戦闘中に任意のタイミングで呼び出して援護攻撃をさせられる。使い勝手的には格ゲーのストライカーに近い。ただし舎弟にもライフが設定されており、登場して攻撃している際にはちゃんと敵キャラからダメージを受け、ライフがなくなると使えなくなる。 --命乞いをしている敵は完全に無防備な上に掴み技も可能なので、舎弟にする気がないなら一気に畳み掛けて経験値や金に還元するチャンスにもなる。無視してトドメを刺しても再登場した際に改めて舎弟にできる。 --舎弟にできるキャラは1人だけで、常に最新のキャラと入れ替わる。入れ替わった元舎弟は普通に敵として再登場するので遠慮なくシバき倒すもまた舎弟にするも自由。 --一度でも舎弟にしたキャラはメニュー画面に登録される。外見や名前も3~6種類用意されており、コンプリート要素でもある。 -マップのあちこちにはリバーシティの親分(熱血硬派シリーズの宿敵「さぶ」)の像があり、これを全て壊すと特別なアイテムが手に入る。 -ストーリー中にはシリーズ初のアニメムービーや、コミック調の演出も用意されている。 ---- **評価点 -ビジュアル面 --元々ドット絵の評価が高かったWayForward社ということもあってドット絵に関しては文句なしの出来。 --主人公二人はもちろんのこと敵もぬるぬると動き、本作の派手なアクションをより爽快に演出している。 ---特にボス戦は演出も極めて凝っており、初見時は驚くこと請け合い。近年はインディー製のドットゲーも少なくないが、それらと比べてもWayForward社の職人芸が光るクオリティになっている。 --テクノス倒産後の『くにおくん』シリーズはハードが進化しても(DSの『超熱血』シリーズなどの一部作品を除いて)大昔のファミコンのドット絵と、2~3頭身のスタイルのままだった((本作以前で最後に出た頭身の高い『くにおくん』は、日本での稼働前にテクノスジャパンが倒産して海外でのみのリリースになってしまったアーケード作『くにおの熱血闘球伝説』(1996年)であり、そこから数えて実に''23年ぶり''である。))が、本作は原案となった『挽歌』をリスペクトしてか4~5頭身程度で描かれており、動きの迫力とキュートさの両立に成功している。キャラの表情等も分かりやすい。 ---一方、作中に挟まるTIPSや背景にはちゃんとお馴染みのFC風二頭身ドットを仕込んだりと、随所にドッターの遊び心も感じられる。 --メニュー画面はスマホ画面になっており、視覚的に面白い。きょうこ・みさこ双方で各自の性格を反映した大きく異なる見た目になっている作り込みも好評。 --カットシーン・ボス登場・ショップ内は白黒漫画・アニメ・2Dイラストとそれぞれ異なる表現ながら絵柄の統一感がとれており、いずれも海外のクリエイターが担当しているが日本人から見ても全くバタ臭さは感じない。 ---なお、みさこの髪の色が旧作の青から黒になっているが、このシリーズは髪色変化はよくある事である((第一作目の時点でくにおの髪がイラストでは茶色なのに本編では黒(同作のひろしはほぼ同デザインで茶髪なので茶が使えないわけではない)など。))。 --背景もまた描き込まれており、マップ1つ1つに特色を与えているので似たような風景は少ない。随所に仕込まれたネタもあってプレイヤーを飽きさせない。 ---ロケーションも豊富で、住宅地や学校は勿論、ショッピングモールやスラム街、ゲームセンターなど様々な場所で喧嘩を楽しめる。この点も『挽歌』に近い。 ---特にステージ5にあたるオーシャンハイツは魚市場、海岸、水族館、ホテル、テーマパークと、マップ一つ移動するだけでガラリとロケーションが変わる。 ---最初のリバーシティ(熱血)高校、最終ステージの三和会ビルと言った建物内のステージでも、様々な部屋やフロアを用意する事で差別化が出来ている。 -コンボの面白さ --元々のシリーズのアクションとRPGを掛け合わせたような独特の面白さは今回も健在。 ---簡単な操作ながら雑魚相手に次々と多彩な技を決めてぶっ飛ばしていく爽快感はなかなか。 --ドットの滑らかな動きやアクションの派手さと相俟って、普段の『くにおくん』とは一味も二味も違う喧嘩を繰り広げる事ができる。 -豊富すぎる小ネタ --上述した通り世界観のベースは熱血硬派シリーズだが、ダウンタウンシリーズのキャラも多数登場し、『[[すぺしゃる>熱血硬派くにおくん すぺしゃる]]』『[[乱闘協奏曲>熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲]]』のようなおまけモードやサブイベントのみの登場でも、(シリーズは逆だが)『[[熱血物語SP>ダウンタウン熱血物語SP]]』のようなチョイ役でもなく、ちゃんとストーリーに絡んで来る。 ---主人公は熱血硬派シリーズヒロインの2人だが、ダウンタウンシリーズヒロインの「はせべ」「まみ」も登場し、共演する。 #region(2周目以降で条件を満たすと…(ネタバレ注意)) ---なんと「はせべ」「まみ」が''真のラスボスとなる。''シリーズの垣根を越えたまさかのヒロイン対決である。 ---『熱血物語SP』のミニモード『FoDD2016』では「はせべ」をモデルとしたキャラが隠しボスを務めていたが、本編で本人と対決するのは本作が初。「まみ」に至っては本格的な喧嘩自体が初である((一応、『熱血行進曲AS』などに参戦した事はあるが、あくまでスポーツバトルだった。))。 #endregion ---シリーズお馴染みのデカ女「みすず」は「リバーシティー高校に金で雇われた警備員」という、『挽歌』を彷彿させる役回りで登場する。ダウンタウンシリーズの宿敵「やまだ」は2面ボスという一ボスの扱いだが、「悪のパワー」を存分に活かして襲ってくる。 ---なんと本作において「さぶ」に娘がいた事が判明。服役中の父に代わり、極道として三和会をまとめている。『乱闘協奏曲』に登場したチャイニーズマフィアの兄と言い、恐ろしい一族である。 ---クエストでの情報提供キャラでは、『[[熱血高校ドッジボール部]]』の「なりたか」、『番外乱闘編』の「みほこ」、『[[いけいけ! 熱血ホッケー部>いけいけ! 熱血ホッケー部 すべってころんで大乱闘]]』の「ようこ」「かおり」と言った目立たないキャラを敢えてチョイスしているのも芸が細かい。 ---各ショップではシリーズ歴代キャラや後述する別作品のキャラが店員を務めており、過去作を知っている人には嬉しい演出となっている。熱血硬派シリーズの古株「しんじ」は本編にこそ出ないが、ここで姿を見せている。 ---更にはシリーズで日米双方に存在する未発売タイトルのキャラも登場している。 --敵一人一人に名前があり、倒されると一言呟いて消滅するお馴染みの演出も勿論健在。 --本作ではフィールドのあちこちにモブの一般市民がいる。『[[初代熱血硬派くにおくん]]』のようにシバき倒したりは出来ないものの、単なる背景ではなく近くで攻撃されると驚くの程度の反応は示すようになっている。 --『くにお』以外の旧テクノスネタもあるのだが、それもまた細かい。 ---『[[ダブルドラゴンシリーズ]]』からのネタがいくつかあるのだが、中にはネオジオ版格ゲーのネタや本作同様WayForward社開発故に二重パロになる『ネオン』由来のネタなど非常にディープな仕上がり。しかも同シリーズのキャラもゲスト出演している((同シリーズキャラの「アボボ」は『乱闘協奏曲』に続いてのゲスト出演となる。))((あろうことか、『ネオン』の敵役だった「スカルマゲドン」は「ジミーとビリーに敗れ、現在は改心して骨董品屋を営んでいる」というトンデモ設定で登場する。))。 ---更には『[[コンバットライブス]]』のキャラクターまでもが登場している。あるショップでは同作ラスボスが''凄まじい迫力で注文を取る''という爆笑ものの演出になっている。 --その他『くにおくん』とも関係ない日本製ゲーのネタもあるので分かる人なら色々楽しめるだろう。 --これだけネタを詰め込みつつも、各キャラの設定は本作独自の物となっており作中の会話やカットシーンでキャラの相関関係は説明されるため本作が初『くにおくん』でも話を理解する上で支障はない。 ---過去作由来のネタは(後述のオチを除き)本筋と関係ない部分に分かる人だけ分かるように仕込まれているため、シリーズのプレイ経験はないが絵柄が気に入った人やWayForward社製のタイトルのファンの人でも手を出しやすい。 -アレンジされたキャラクターデザイン --全体的にポップでかわいらしい仕上がり。 ---また、一回限りのチラッと出るだけのキャラにもドット&立ち絵を用意したりと手は込んでいる。 --敵も従来のような不良やヤクザなどの男性キャラばかりではなく、『River City Girls』のタイトル通り女子生徒やチアガールなど女性キャラも多数存在。ボスキャラも裏ボス含めた8人中の6人が女子である。 ---そして本作のキャッチコピーが「''女の子だからって、なめんなよ!''」になっている通り女同士だろうが容赦は一切なくバイオレンスなボコり合いっぷりが展開される。この治安の悪さこそまさに『くにおくん』だろう。 ---過去作の特にダウンタウンシリーズは多数の女性キャラが登場しても喧嘩に参加する事は皆無で、精々スポーツバトル程度でしか戦わないなど、この手の作品では珍しくないが女尊男卑の雰囲気が無くもなかった((特にドラマ版は表現の関係もあってか、同情の余地の無い悪女に対してすら手を上げず、最終回で執拗に襲ってくる女殺し屋に対しても「くにお」と「りき」は攻撃をいなすだけで、特に「くにお」は不自然な程にスルーしていた。「くにお」が殴った女性は「みずす」だけで、しかも役者は男性だった。))が、今作は従来の熱血硬派シリーズ以上に正に男女平等のシバき合いが展開される。 --発売前は美少女化と言われることもあったが、元の雰囲気を崩した極端なギャルゲー・お色気要素が強いようなものではない((一応回復施設のサウナ内で裸になっているシーンがあるが、しっかりタオルを着用しており、胸の谷間すら見せない。))のでいわゆる萌え系が苦手な人でも手を出しやすい。 ---ただし後述の通りいつもの『くにおくん』とはまた違ったノリだが…。 -BGM --シーンに合わせてポップな曲からロック調まで多様なジャンルの曲が使用されており、飽きずに探索できる。 --特に本作初登場のオリジナルキャラで女性ボーカリストの「ノイズ」というキャラが登場するのだが、わざわざ8曲も本作のためだけにノイズが歌っているという設定の楽曲が描き下ろされ、いずれも本作のBGMを担当したMegan McDuffee氏本人が熱唱している。 ---どれもオシャレな楽曲で、曲だけ聞いたらとても『くにおくん』の曲とは思えない程。それでありつつも本作のBGMとしての違和感はなく、ユーザーからは好評。 --また、ボス戦曲や一部のSE等はチップチューンアーティストのChipzel氏が担当しており、どの曲も懐かしい音色ながらも現代的なアレンジに仕上がっている。特に4面ボス戦の曲は昔からのシリーズファンならば「おっ!」と思うはず。 ---- **賛否両論点 ***ゲームとしての賛否両論点 &bold(){英語ボイスのみ} -『くにおくん』は言うまでもなく日本発祥のタイトルだが、本作は''英語音声のみ収録''で日本語音声は未収録になっている。 --一応字幕やカットシーンは日本語にローカライズされているため、ストーリーを理解する上では支障はない。 --また、メイン声優陣は日本産アニメの吹き替え経験もある役者なので芝居に関しては問題はなく、全編英語というのもアメリカナイズされた世界観にマッチはしている。 --とはいえ少々日本語訳の精度は難アリ。そういうもの(低予算翻訳によるドタバタ劇)だと割り切れるかが評価の分かれ道かもしれない。 -実際、未収録の理由は予算上の都合とスタッフからコメントされている。日本のユーザーからは多少無理してでもいれろという声もあるが、カリフォルニアの中小メーカーがパブリッシャーの協力なしに独自に日本での収録環境を整えるのははっきり言って無理だろう。 --スタッフも心残りだったようでセールスがかなり良ければアップデートという形で日本語音声も追加したいとはコメントしている。結果として本作ではそれは叶わなかったが、以降の作品で実現することになった。 -オプションでボイス音量の設定も出来るので、どうしても気になる人は音声を切ってシリーズ過去作同様のボイス無し状態でプレイする事も可能。但し、デモシーンや一部演出の音声は変えられない。 --ちなみに背景の文字は一貫しておらず、普通に日本語が書かれている。一例として「みさこ」の通う学校の校名は「熱血高校」と「RIVER CITY HIGH(SCHOOL)」の2通りある。 ---場合によっては同じ場面で混在していることも(校門エリアの背景では、校門には「RIVER CITY HIGH」・校舎は「熱血高校」表記)。 &bold(){高めの難易度} -概ね洋ゲーは国内ゲーよりも難易度が高い傾向にあるが、本作も歯ごたえのある難易度となっている。 --特に中盤からのボス戦は「死んで覚える」バランスになっている。もちろんパターンはあるのでリトライを繰り返せば突破できるレベルデザインにはなっている。 ---また、難易度が高いと言っても仕様上稼いでちゃんとレベルを上げて回復アイテムを持てるだけ持っていけば実質的な難易度は大幅に下がり、プレーヤーの力量に合わせある程度調整することはできる。 -単純に敵キャラのライフや火力がやたらと高く、大抵のマップでは4体くらいが配置されており、同時出現数も最大6体とかなり多い。 --ゲーム開始直後のリバーシティー高校から出てくる敵キャラから既に「ガード不可のスタン攻撃を行う男子生徒」「至近距離からダッシュ攻撃を連発する女子生徒」「バックステップで攻撃を避けてヘビーアタックを決めるリーゼント」など嫌らしさ全開。中盤以降もほぼノーモーションで長射程のアームパンチをかます「サイボーグ男」、ガードすると被弾が確定するハンマー振り回しを行う「ハンマー男」などがわんさか登場する。 ---隙が多く攻撃パターンも少ない「警官」や、全体的に動作が鈍い「プロレスラー」など比較的弱い・処理しやすい敵キャラもいるが、それらの敵も混戦となれば時間差のスタングレネードや遠距離からのローリングアタックで格段に厄介になる。 --ザコ敵の行動アルゴリズムが徹底して「裏周り・挟撃」という嫌らしい思考であり、一旦ザコ集団を正面に捉えても、常に半数のザコが上下から回り込みに来るので迂闊に攻撃を振れない。 ---そのため左右に振れる技を持たない序盤は、壁を背にして攻撃方向を1方向に絞ってやっと勝負になる。しかもザコの耐久力が総じて高めなため、ダウンさせてもさせても起き上がって回り込んでくるザコ集団に心が折れる。 ---ラストに訪れるステージでは移動速度が速い「男ヤクザ」や「女ヤクザ」、「着ぐるみ女」が大量に出現し、気弾や投げナイフといった遠距離攻撃も相まって行動アルゴリズムの嫌らしさを存分に実感できる。 --どのザコも積極的にヘビーアタックやダッシュ攻撃でダウンを狙ってくるし、コンボも容赦無く叩き込んでくる。油断するとザコ相手でもライフが尽きてしまう。 --初期配置の敵を殲滅した後に出てくる増援敵には上位種となる赤い服の敵、最上位種となる肌が灰色になり黒い服((舎弟一覧での設定上は「ゾンビ化」「呪い」「ドッペルゲンガー」等様々な要因で強化されたタイプとされている))もいるが、これらの強化タイプの火力は輪をかけて高く、アームパンチや気弾などの大技を受ければライフの3分の1から半分程度削られることもザラ。 -敵がドロップする金額が少額なため、ザコ狩りでは金がなかなか貯まらず、アイテムも中盤までは回復量が低いものばかりなので、序盤は回復もままならず死んで復活した方が安上がりな事が多い。この点は『ダウンタウン熱血物語』を彷彿させる。 --一応初心者や周回プレイでのトロフィーコンプの救済用か火力・スピードが大幅に増強される隠しアイテムは存在する。 ---故に昔のゲームによく見られた「アイテムや技が揃っていない最序盤が一番難しく感じる」こともあるが。ある意味レトロゲーリスペクトではある。 -難易度選択に「ノーマル」と「ハード」はあるが、初心者向けとなる低難易度の「イージーモード」は存在しない為、苦手な人には尚の事厳しい。 --もっとも、主役二人の元ネタの『挽歌』やGBの『番外乱闘編』もイージーでは最後まで行けない仕様だったりはしたが。 &bold(){ストーリーについて} -話のノリが完全に海外のカートゥーンアニメのような頭のネジが飛んだような物となっており、日本人からすると少々急だったりトンデモに感じてしまう部分も。 --元々『くにおくん』シリーズ自体、かなりぶっ飛んだ部分はあったが、本作はその方向性が異なっている。シリアスな大筋にぶっ飛んだ要素を入れていた熱血硬派シリーズは元より、コミカル重視でハチャメチャ路線のダウンタウンシリーズとも違う。 --言ってしまえば同社開発の『シャンティ』シリーズと完全に同じノリである。あちらが笑えた人や普段から海外製のギャグ要素の強いコンテンツに慣れ親しんでいる人ならそれほど大きな違和感は感じないとは思われる。そうでなければ「笑いどころの解らないコメディ」を見せられているようなものであり、ややキツいかもしれない。 --後半特に意味もなくシュールな背景もあったりと若干バカゲー感もある部分も。 &bold(){「くにお」と「りき」の使い勝手} --上述の通り、一度エンディングを見ればくにおとりきでプレイできるが、当然レベル1のため非常に弱い。雑魚1体倒しきるのすら困難。 --隠しアイテムを装備すればよいが、入手のためには大金を稼ぐ必要がある。 --一応ボス討伐とクエストクリアの達成で手に入るお金や経験値はみさこやきょうこでクリアしても、くにおやりきにも入る仕様となっているので、最初のステージだけ使わない選択肢もある。 --一方で技を道場で購入できる段階までくれば、くにおは熱血アッパーやサウナタオルを筆頭に強い技揃いなので、無数の雑魚相手に無双しボスも楽に倒せるなど、隠しキャラとして文句なしという程度に強くなる。 ---反面、りきは全体的に隙が多すぎて使いづらい技が多くかなり使い辛い。 ***『くにおくん』のシリーズ作としての賛否両論点 &bold(){大幅モデルチェンジに対する批判} -あらゆる点が過去のシリーズ作から大胆なモデルチェンジが行われた結果、このような部分に関して「あくまで本作は『リバーシティガールズ』だから気にならない」という意見と、~ 「非正史の外伝とは言えこの改変はちょっとどうかと思う」という賛否の分かれるポイントがいくつか存在する。 --逆に言うと過去の『くにおくん』経験の少ない人やそもそも『くにおくん』を遊んだことがない人にとっては特に引っかからない部分とは言える。 &bold(){敵キャラの性能・行動アルゴリズムについて} -敵のいやらしさなどは『くにお』より『[[ファイナルファイト]]』のようだ、と言われることも。もちろんパンチハメのあるあちらと違って簡単攻略できるハメ技はないが。 --ダウンした敵が起き上がり時にノータイムで攻撃してくることがあり、余計な反撃を食らうことが多々ある。 --敵との駆け引きはベルスクというよりは格ゲーのようでもある。 --中盤以降のボス戦は2Dアクションゲームのような仕様となっており、普段のベルスクとは違った操作や攻略方法が要求されるので演出と合わせて楽しかったという意見もあれば少々戸惑ったという意見も。 &bold(){演出・シナリオ面} -シリーズお馴染みの技の演出が一部旧作とは全く異なる物になっているため、現代風アレンジとして面白いという声もあればそこは旧作を踏襲して欲しかったという声も。 -敵キャラが倒された際の一言コメントは健在だが、「くそがっ!」「負けちゃった」「コテンパンにされちまった」等真面目なコメントが多く、過去作に比べてネタ要素が薄め。 --「昼飯がどっか行っちまう」「それでも私可愛いよね」などネタ寄りのセリフもあるが、やはりインパクトには欠ける。 --「話し合いはどうなった?」「顔はやめてよ!」「頭がクラクラする…」「オェー!」「骨が!」「''血の味がする''」など、むしろ物騒なセリフの方が目立つ。 -「デザイン」に関しては評価点と記述したが、各キャラクターの性格の変更は旧シリーズを知っている人から難色を示されることも。 --上述の通り「はせべ」と「まみ」も登場するのだが、ある理由から嫌味ったらしい性格になっており、色々と人を選ぶ。 ---特に2周目以降の条件を満たした展開ではかなり悪辣な毒を吐かされている。しかも正確ではなく言い掛かりに近い。詳しくは後述。 --また、女性陣のリファインについては好評だが、本作版の「くにお」と「りき」の見た目に関してはかなり意見が割れる。 --ただ、往年のくにおくんシリーズにおいてキャラクターは、舎弟・ライバルといった「役割」や「能力差」という見地によって語られる面が強く、膨大な登場人物がいる割には性格の掘り下げについて無頓着・不統一であった。そこに不良校の女子生徒が同じ女子生徒に対してどのように接するかや、男子生徒が不良娘に対してどのように関わり得るかを踏まえてキャラクターの土台から作り直したという点では、蛮勇であり、或いは新たな可能性への開拓であったともいえるかもしれない。 -シナリオに関しても、エンディングや裏ボスのイベント周りは暴走の極みであり、批判意見が多い。 --その為か、2020年5月14日のアップデートにてこれらは''別物と言ってもいいほどに''作り直された。 ---当初は裏ボスを倒そうがエンディングに変化は無かったが、このアップデートによって「裏ボスを倒した場合に見られるトゥルーエンド」が追加された訳である。 #region(最終盤の重大なネタバレ含むので注意) -主役二人の元ネタ『挽歌』がアメリカ未発売だからと言う事なのか、最終盤の展開はなんと''日本語字幕と英語で異なる内容''となっている。 --その内容も、英語音声については否寄りの意見が多く、原語よりマイルドな内容の日本語版ですら大きく賛否が分かれる。 --そもそもまず両言語で共通する部分からして賛否があるのだが…(後述)。 -ラスボスを撃破した後、主役二人は「くにお」と「りき」に会うのだが、日本語字幕では「誘拐なんてされておらず、車に乗っていた女の子を''ナンパ''をしていただけ」であった。恋人がいながらそんな事をしていた二人に激怒した「みさこ」と「きょうこ」は彼等を殴り飛ばし、星になっておしまい…というオチ。 --ナンパしにいくことに関してはいくら外伝でも「熱血硬派」ではないだろと言われることも。 ---もっともGB版『[[行進曲>ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会]]』で女子更衣室に突っ込んで満足げな顔をしたり、『[[サッカー>熱血高校ドッジボール部 サッカー編]]』の時も「くにお」が「みさこ」の♡♡♡♡目当てという不純極まりない動機で助っ人になったりとスケベな描写が見られていた作品もなかったわけではない((『初代熱血硬派くにおくん』に至っては冒頭で級友から「くにおはスケベな所がある」とひどいことを言われている。))。 #region(そして英語音声の方はと言うと…(ドギツいネタなので注意)) -なんと「みさこ」と「きょうこ」に関して「''名前も知らねぇイカレ女がまた来やがった''」と表現し、二人を放っておいて立ち去ろうとするのだが、その際に「はせべ」「まみ」と&color(pink){''お楽しみ''}にいくともとれる言い方をする。ある意味二人の早とちりで済んだ日本語版よりも救いの無いオチとなっている。 #endregion -「みさこ」「きょうこ」は「くにお」「りき」の恋人のはずだったのにどうしてこういうオチなのか、それは裏ボス撃破後に明かされるが…。 --実は真相は''「くにお」と「りき」は「みさこ」と「きょうこ」と恋仲ではなく、単に一方的に「みさこ」と「きょうこ」が付きまとっているだけで、自分たちで勝手に恋人だと思い込んでいた''…という衝撃の事実であった。 ---元々の下敷きになったとされる『挽歌』では、「くにお」は「みさこ」と、「りき」は「きょうこ」と明らかにカレシカノジョの関係になっており((特に「きょうこ」に関しては発表の近い『乱闘協奏曲』やドラマ版でもはっきり「りき」の彼女として登場している。))、この時点でシリーズファンからすれば「はぁ?」と首をかしげたくなる展開なのは否めない。 --そして「はせべ」「まみ」からは「''アメリカで発売していない16bitゲームで一回デートしただけ''」だの「くにおもりきも''殆ど覚えてない''」だのメタにも程がある暴言を吐かれる。爆笑したという人もいれば最後の最後で真面目に締めずメタネタかと憤る人も…。 ---つまる所、英語音声のオチは「『挽歌』はアメリカで出ていないから分からない」というメタオチである。 --一応道中の「はせべ」「まみ」との会話が双方微妙に噛み合わない等伏線は張られており、丸く収まらないオチだと感づくようにはなっているが…。 ---そしてこの二人をブチのめした所で結末は変えられない(アップデート前)。 --尚、確かに『挽歌』は日本でしか発売されていないが、「みさこ」「きょうこ」が登場した作品のうち『乱闘協奏曲』『乱闘行進曲かちぬきかくとうSP』などはアメリカでも発売されており、しかも後者にはしっかり『挽歌』準拠で登場している。 ---後年、本作続編と共に『挽歌』の移植&ローカライズが発表されたが、このネタの扱いはどうなるのだろうか? -また、どちらの言語の展開であってもOPのくにおたちが連れ去られるシーンに関して実際にあったことなのか、映像や写真から勘違いしたのか、勘違いしたのならどのような経緯で映像ないし写真を手に入れたのか、それとも単なるイメージ映像なのか等が不明確となってしまっている。 --オープニングアニメでは「くにお」と「りき」が暴行されて拉致される様子が映し出されるが、これらもただのイメージ映像だった事になる((また、OPでは「くにお」「りき」「みさこ」「きょうこ」の四人が仲良く過ごしている様子も映るものの、英語版ではこれすらも完全にイメージに過ぎないという事に。))。 -ただし、EDでは寝ている「みさこ」とスマホを見て叫ぶ「きょうこ」の絵で終わるので''最終的に作中の全ての展開は夢オチ''とも、''最初に戻るループオチ''ともとれる描写にもなっている。 --各人のハッチャケぶり・ブラックジョーク・メタネタ・統合性のおかしい部分に関してはスタッフとしても深く考えずその場その場の勢いで笑って楽しんで欲しいという事なのかもしれない。 --補足すると同社開発の『シャンティ』シリーズ等にもこうしたノリは見られつつも本国で一定以上の人気があるので、オチまでアメリカンテイストと言える。 -2020年5月14日のアップデート後、通常のエンディングこそ変わらないが、「はせべ」と「まみ」を倒した場合はその後の展開が大幅に変わり、''恋人設定は妄想ではなく事実''となる。 --日本語字幕では誘拐が誤解のままだが、大して気にしていないくにおとりきはハンバーガー屋によるので、みさこときょうこに同行を求め、最後のシーンで肩を抱き合う二組のカップルの彼女同士が拳をぶつけ合うハッピーエンドとなっている。 --英語音声も上述の台詞は全部削除され、字幕の展開通りに録り直され、誘拐事件はくにおとりきが余裕で自力で解決し、ハンバーガー屋を誘う展開となっている。 --恐らく一番文句言われた部分だろうが、すでに完成されたゲームでここまで思い切った手直しはなかなかできるものではなく、踏み切った制作陣は賞賛されて然るべきだろう。 --また、続編の内容から考えて、通常エンドの超展開は無かった事になる模様。ただ、「さぶこ」も「はせべ」も「まみ」も全員ブチのめしたことにはなっている。 #endregion -本作の賛否点は上でも少し言及した『ダブルドラゴンネオン』に通じる部分があり、同作があまり楽しめなかったユーザーからは本作も発売前より不安視されていたのだが、ある種その不安が的中してしまったと言える。 --もっとも『ネオン』はそれ以前の『ダブルドラゴン』も徐々に(スタッフが狙ったのと狙っていない部分含め)バカゲー臭漂う要素が増えて来ていたという経緯からある程度許容する人もいたが。本作はそうした前置きが無かった分モロにシリーズファンの間で議論になってしまったと言える。 ---- **問題点 -旧作リスペクトなのか、なるべく少ないボタンに操作を割り振った結果、思わぬ操作の暴発が起こりやすい。 --一番よく使う弱攻撃ボタンに「マップ移動」「店に入る」「物を拾う」「バス停でマップを見る」と攻撃以外の様々な機能を詰め込んだために意図しない行動が暴発しやすい。 ---ver1.20へのアップデートで解消された。攻撃以外の機能は長押しに変更され、意図しない動作への対策が取られた。また、メニュー画面等での操作方式が、いわゆる欧米式の×ボタンで決定、〇ボタンでキャンセルから日本式、つまり〇で決定×でキャンセルに変更された。 --レベルで習得するアクションの中に隙が大きかったりダメージ効率が悪く著しく有用性が低い物があり、誤って暴発すると敵から反撃を食らいやすい。 -アイテムは投擲した場合や相手の攻撃で落としてしまった場合、自分への当たり判定が発生し続けるので自滅しやすい。 --2人でプレイしていると投げたアイテムは同士討ちをオフにしていても味方への当たり判定がある。 --特に画面がロックされた状態だと画面端に跳ね返ってこちらに飛んでくるのでかなり危険。 -アイテムは説明が一切無く、実際に買ってみないと効果が分からない。 --旧シリーズではそういう仕様の作品もあったが、さすがに2019年の作品でこれは不親切である。 --消費アイテムとパッシブ効果持ちの違いが分からないため、強力なパッシブ効果持ちのアイテムを取り逃すことがある。 --2人でプレイしているとアイテム効果は片方が買った時点で判明するため、初回を後回しにするとステータスアップ効果を得たかどうかわからなくなってしまうことも。 ---- **総評 硬直化しつつあった『くにおくん』界に新風を巻き起こした一作。~ コンボの面白さ、きめ細かなドット演出は流石WayForward社と言った所で、山のような小ネタからも同社の『くにおくん』愛は十分伝わるが、その一方海外メーカー故の日本人との感性の違いや大味感も作品に現れており、人により評価の振れ幅が大きい。~ 特にシリーズ過去作に思い入れのあるファンからは一部の改変部分やせっかくのフルボイス化にもかかわらず日本語音声未収録なのが槍玉に上がりやすい。~ ビジュアル面やBGMについては日本人から見ても平均以上の出来なだけに、「あそこさえよければ…」というポイントがいくつか見受けられるのが非常に惜しい。 とはいえこれまでの国内製シリーズ作も(特にテクノス倒産後は)褒められたものでない出来のタイトルも見受けられていたので、それらと比べるのであれば本作は比較的良い仕上がりと言える。 ベルスクは好きだが『くにおくん』経験が少ない人や過去のWayForward社の作品が気に入った人ならば余計な先入観を持たずに楽しめると言える。~ 特に槍玉に上がる大きな問題点もアップデートで改善された為、発売当初よりも勧め易い作品になっている。 ---- **余談 -「りき」は熱血硬派シリーズとダウンタウンシリーズでそれぞれ違う彼女と付き合っている事から、「きょうこ」が元カノで今は「まみ」と付き合っているという説((ダウンタウンシリーズの第1作の『ダウンタウン熱血』ではくにおが3年生、「きょうこ」初登場の『挽歌』はくにお2年生と明記なので、両作品をつなげて考えると後発の『挽歌』の方が時系列的に前になる。))と''二股説''があった((シリーズ生みの親の岸本良久氏は過去に「りきが最終的にどちらと一緒になるか」という質問をされた際にも明言はせず、そればかりか「りきはもてるので新たなガールフレンドができるかも」と語っている。))。 --その為、両方の彼女が登場する本作にて外伝なりの一つの答えが出るかと期待する声もあったが、結果は上述した通りの斜め上どころではない超展開であった。 --ちなみに続編における「みさこ」と「きょうこ」の設定では、「くにお」と「りき」の彼女というのは自称だがガールフレンド&ボーイフレンドの関係には違いない、という事で落ち着いた模様である。 -本作の後にスピンオフ『熱血硬派くにおくん外伝 イカすぜ!小林さん』が発売されたが、こちらは旧作スタッフによる日本製であるためか、正式に日本語音声が収録されている。 --タイトルに「熱血硬派」とあるがこちらは「こばやし」が主役の通り、本作と違ってダウンタウンシリーズの世界観がベースとなっている((開発中止になった『ダウンタウン熱血物語2』で使用予定だったシナリオの流れを汲んだ作品である。))。 -クロスオーバーアクションゲーム『コードシフター』に本作のみさこ&きょうこが参戦。 --くにお等ほかのメンバーは他作品からの参戦となっている。 -後に発売された『ダウンタウンスペシャル くにおくんの三国志だよ 全員集合!』は歴代キャラがシリーズを問わず三国志の武将として登場しており、その中には本編における「みさこ」と「きょうこ」もいた。 --…のだが、遅れて発売されるPS4/Win版にてRCG版の二人が「ミサコ」と「キョウコ」として''別人枠で参戦''することになった((Switch版もアップデートで同要素が実装された。))。%%まさかの分裂である。%% ---本編の「みさこ」は諸葛亮、「きょうこ」は周瑜の役なのだが、RCG版の二人は二喬(みさこ=大喬、きょうこ=小喬)にそれぞれ扮している。%%つまり「きょうこ」は夫婦を一人二役でやっていることに…。%% ---- **その後の展開 -2022年12月1日に続編となる『River City Girls 2』がPS5/XSX/PS4/One/Switch/Winで発売された。本作と同じ4人の中心人物に加え、新プレイアブルキャラクターも登場する。 --新技や新たな敵キャラも追加され、ローカルとオンラインの2人協力プレイも搭載。さらには待望の日本語ボイスも収録されている。 -上記の『RCG2』と同時に本作のPS5版も発表され、2022年6月23日に発売された。 -2022年には本作の源流という扱いで現行機向けに『挽歌』の移植&ローカライズが行われた。 --日本版タイトルは『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌 -with River City Girls Extra-』だが、初の発売となる海外では『''River City Girls Zero くにおたちの挽歌''』と、ストレートに『RCG』の「ゼロ」として扱われている。 --『RCG2』に先駆けて、「みさこ」と「きょうこ」の日本語ボイスも収録されている。 --こちらは本作の「みさこ」と「きょうこ」がスカルマゲドンの店から''SFC本体ごと買ってきた『挽歌』をプレイする''という、またぶっ飛んだ設定になっている((しかも「きょうこ」の部屋では「新しいテレビを買う金が無いので未だブラウン管テレビを使っていた」という設定により、特に前準備も無くSFCがそのままプレイできた事になっている。))。そのノリも「''当人にも記憶が無い、20数年前の自分達の出演作''」で遊ぶという流れなのもこれまたおかしい。 -『RCG2』発売に合わせ、『熱血硬派くにおくん 乱闘演舞編』のSOLID STARによる舞台版『RCG』が公演される予定だったが、公演直前に関係者の新型コロナウイルス感染が発覚し、残念ながら中止となってしまった。 --紹介サイトによると、『RCG』に出演していないくにおくんシリーズキャラも独自の『RCG』仕様で登場する予定だったらしい。また、「はせべ」だけ何故か''二人一役''で演じられるはずだった。
//23.6.29 判定変更議論に伴い良作/シリ不→良作へ変更 *熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls 【ねっけつこうはくにおくんがいでん りばーしてぃがーるず】 |ジャンル|アクションゲーム|&image(https://image.gamer.ne.jp/news/2021/20210623/00399a5045cdeda073190bf3673c529d0b0d/m/4.jpg,height=200)| //海外版のパッケージ画像が使用されていたので変更 |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;Xbox One&br;Windows(Steam)&br;プレイステーション5|~| |発売元|アークシステムワークス|~| |開発元|WayForward Technologies|~| |発売日|【Switch/PS4/One】2019年9月5日&br;【PS5】2022年6月23日|~| |定価|2,900円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |備考|日本国内はDL専売&br()パッケージ版は海外一部地域限定|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|現代風アメリカ製『くにおくん』&br()随所に感じられるシリーズ愛&br()しかし手放しで褒められない部分も|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ベルトスクロールアクションの元祖として有名な『くにおくん』シリーズだが、国内のみならず海外にも根強いファンがおり、昨今では『くにおくん』から強い影響を受けたインディーゲームなども発売されている。~ そんな中、本作は米国のディベロッパーであるWayForward社内の『くにおくん』の熱心なファンが現在版権を有しているアークシステムワークスへ持ち込んだ企画であり、過去の国内製タイトルとは直接つながらない新機軸の「外伝」作品である。 「Girls」という単語がついている通りメインの主人公はいつもの「くにお」と「りき」ではなく『[[新・熱血硬派 くにおたちの挽歌]]』に登場した「みさこ」と「きょうこ」が抜擢されている。近年の作品やドラマ、舞台などではこの2人は喧嘩とは無縁のヒロインとして描かれる事が多かったが((「みさこ」は元々『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』が初出。「きょうこ」は『熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲』から再登場しているが、やはり基本は戦わない。))、今回は『挽歌』ベースの喧嘩が強い設定となっている。 またビジュアル・世界観が基本的にFCドットや往年の不良文化を意識していたシリーズ作とは違い、『[[シャンティ>シャンティシリーズ]]』シリーズ等でWayForward社が得意とするなめらかなドットアクションと、日米の現代的なポップカルチャーの融合した世界観に一新されているのが特徴。~ タイトルこそダウンタウンシリーズの北米版「River City」を冠するが((一応、スポーツシリーズの『超熱血!サッカーリーグぷらす』や熱血硬派シリーズの『乱闘協奏曲』も海外では「River City」の名を冠して発売されている。なお、『びっくり熱血新記録』は海外では『Crash 'n the Boys: Street Challenge』の名で発売しており『ホッケー部』や『サッカーリーグ』も「Crash 'n the Boys」の名を冠して発売予定があったが中止となっている。))、「みさこ」「きょうこ」が主役だったり、日本版の「熱血硬派くにおくん外伝」というタイトルの通り、熱血硬派シリーズの世界観をベースにしている。 ---- **ストーリー 「みさこ」はリバーシティ高校(本作における熱血高校)にて補習授業に悲鳴を上げていた。~ 自分の学校をサボった「きょうこ」はその横でスマホをいじっていたが、そこで信じられない写真を目撃する。~ 「くにお」と「りき」が謎の人物に車に乗せられていたのだ。 「りきとくにおが誘拐されたーーーー!!!」 2人は何者かに誘拐されたと思しき「くにお」と「りき」を助ける為、担任の川上先生の静止を振り払って教室を飛び出して行く。 「愛を黙らせることなんてできないよ!くにおとりきを誘拐したやつ、見つけ出してボコボコにしてやる!それにね、先生の授業すっごいつまんない!」 「そうだそうだ、その通り!''何の話だっけ?''」 ---- **特徴 -上記の通り主人公は「みさこ」と「きょうこ」の二人で、一人プレイの場合どちらかを選んでプレイする。 --概ねみさこはパンチ技が得意でボス戦に強め、きょうこはキック技が得意で雑魚戦で使いやすい、という特徴づけがなされている。 --二人プレイにももちろん対応しており、1Pとは違うキャラを操作する。 ---二人プレイの時は一方がやられると、体から魂が抜け出て昇天しはじめる。昇天しきると体が消えて続行できなくなるが、その前に''踏み付けて魂を体に無理矢理押し戻す''事で復帰させられる。なんとアグレッシブな…((『乱闘協奏曲』でも倒れた仲間の口に刺激物をねじ込んで強引に蘇生させていたが、テキストだけなのでこれほど直接的な演出は無かった。))。 --一度エンディングを見れば「くにお」と「りき」もプレーヤーキャラとして使うことが出来る。 -敵を倒したりステージクリア時に貰えるお金を使うことで回復アイテムの購入やレベルアップで覚えない技の習得が行える。 --作中には非常に多くのショップが登場し、購入できるアイテムも豊富。回復アイテムだけではなく特殊効果のある装備アイテムも多数購入できる。 ---多くの回復アイテムは使用時に永続的なステータスアップも行われる。但し、『[[ダウンタウン熱血物語]]』と違って初使用時のみ。 --ライフが0になりやられてしまった場合、そのエリアからライフ全快の状態でコンティニュー可能な親切設計。ただしペナルティとして所持金の一部を失う。 -操作は比較的シンプルで6つのボタンと移動のみ。 --ボタンはそれぞれ弱・強攻撃とゲージを消費する特殊技、ジャンプ、ガード、舎弟呼び出しに振り分けられている。 --同じ方向に二回スティックを倒すとダッシュができる。 -画面内で最後の1体になった敵はダメージを与えたりダウンを奪うと、無防備な状態で「命乞い」をすることがあり、この状態になった敵は「舎弟」にする事が可能。 --舎弟は戦闘中に任意のタイミングで呼び出して援護攻撃をさせられる。使い勝手的には格ゲーのストライカーに近い。ただし舎弟にもライフが設定されており、登場して攻撃している際にはちゃんと敵キャラからダメージを受け、ライフがなくなると使えなくなる。 --命乞いをしている敵は完全に無防備な上に掴み技も可能なので、舎弟にする気がないなら一気に畳み掛けて経験値や金に還元するチャンスにもなる。無視してトドメを刺しても再登場した際に改めて舎弟にできる。 --舎弟にできるキャラは1人だけで、常に最新のキャラと入れ替わる。入れ替わった元舎弟は普通に敵として再登場するので遠慮なくシバき倒すもまた舎弟にするも自由。 --一度でも舎弟にしたキャラはメニュー画面に登録される。外見や名前も3~6種類用意されており、コンプリート要素でもある。 -マップのあちこちにはリバーシティの親分(熱血硬派シリーズの宿敵「さぶ」)の像があり、これを全て壊すと特別なアイテムが手に入る。 -ストーリー中にはシリーズ初のアニメムービーや、コミック調の演出も用意されている。 ---- **評価点 -ビジュアル面 --元々ドット絵の評価が高かったWayForward社ということもあってドット絵に関しては文句なしの出来。 --主人公二人はもちろんのこと敵もぬるぬると動き、本作の派手なアクションをより爽快に演出している。 ---特にボス戦は演出も極めて凝っており、初見時は驚くこと請け合い。近年はインディー製のドットゲーも少なくないが、それらと比べてもWayForward社の職人芸が光るクオリティになっている。 --テクノス倒産後の『くにおくん』シリーズはハードが進化しても(DSの『超熱血』シリーズなどの一部作品を除いて)大昔のファミコンのドット絵と、2~3頭身のスタイルのままだった((本作以前で最後に出た頭身の高い『くにおくん』は、日本での稼働前にテクノスジャパンが倒産して海外でのみのリリースになってしまったアーケード作『くにおの熱血闘球伝説』(1996年)であり、そこから数えて実に''23年ぶり''である。))が、本作は原案となった『挽歌』をリスペクトしてか4~5頭身程度で描かれており、動きの迫力とキュートさの両立に成功している。キャラの表情等も分かりやすい。 ---一方、作中に挟まるTIPSや背景にはちゃんとお馴染みのFC風二頭身ドットを仕込んだりと、随所にドッターの遊び心も感じられる。 --メニュー画面はスマホ画面になっており、視覚的に面白い。きょうこ・みさこ双方で各自の性格を反映した大きく異なる見た目になっている作り込みも好評。 --カットシーン・ボス登場・ショップ内は白黒漫画・アニメ・2Dイラストとそれぞれ異なる表現ながら絵柄の統一感がとれており、いずれも海外のクリエイターが担当しているが日本人から見ても全くバタ臭さは感じない。 ---なお、みさこの髪の色が旧作の青から黒になっているが、このシリーズは髪色変化はよくある事である((第一作目の時点でくにおの髪がイラストでは茶色なのに本編では黒(同作のひろしはほぼ同デザインで茶髪なので茶が使えないわけではない)など。))。 --背景もまた描き込まれており、マップ1つ1つに特色を与えているので似たような風景は少ない。随所に仕込まれたネタもあってプレイヤーを飽きさせない。 ---ロケーションも豊富で、住宅地や学校は勿論、ショッピングモールやスラム街、ゲームセンターなど様々な場所で喧嘩を楽しめる。この点も『挽歌』に近い。 ---特にステージ5にあたるオーシャンハイツは魚市場、海岸、水族館、ホテル、テーマパークと、マップ一つ移動するだけでガラリとロケーションが変わる。 ---最初のリバーシティ(熱血)高校、最終ステージの三和会ビルと言った建物内のステージでも、様々な部屋やフロアを用意する事で差別化が出来ている。 -コンボの面白さ --元々のシリーズのアクションとRPGを掛け合わせたような独特の面白さは今回も健在。 ---簡単な操作ながら雑魚相手に次々と多彩な技を決めてぶっ飛ばしていく爽快感はなかなか。 --ドットの滑らかな動きやアクションの派手さと相俟って、普段の『くにおくん』とは一味も二味も違う喧嘩を繰り広げる事ができる。 -豊富すぎる小ネタ --上述した通り世界観のベースは熱血硬派シリーズだが、ダウンタウンシリーズのキャラも多数登場し、『[[すぺしゃる>熱血硬派くにおくん すぺしゃる]]』『[[乱闘協奏曲>熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲]]』のようなおまけモードやサブイベントのみの登場でも、(シリーズは逆だが)『[[熱血物語SP>ダウンタウン熱血物語SP]]』のようなチョイ役でもなく、ちゃんとストーリーに絡んで来る。 ---主人公は熱血硬派シリーズヒロインの2人だが、ダウンタウンシリーズヒロインの「はせべ」「まみ」も登場し、共演する。 #region(2周目以降で条件を満たすと…(ネタバレ注意)) ---なんと「はせべ」「まみ」が''真のラスボスとなる。''シリーズの垣根を越えたまさかのヒロイン対決である。 ---『熱血物語SP』のミニモード『FoDD2016』では「はせべ」をモデルとしたキャラが隠しボスを務めていたが、本編で本人と対決するのは本作が初。「まみ」に至っては本格的な喧嘩自体が初である((一応、『熱血行進曲AS』などに参戦した事はあるが、あくまでスポーツバトルだった。))。 #endregion ---シリーズお馴染みのデカ女「みすず」は「リバーシティー高校に金で雇われた警備員」という、『挽歌』を彷彿させる役回りで登場する。ダウンタウンシリーズの宿敵「やまだ」は2面ボスという一ボスの扱いだが、「悪のパワー」を存分に活かして襲ってくる。 ---なんと本作において「さぶ」に娘がいた事が判明。服役中の父に代わり、極道として三和会をまとめている。『乱闘協奏曲』に登場したチャイニーズマフィアの兄と言い、恐ろしい一族である。 ---クエストでの情報提供キャラでは、『[[熱血高校ドッジボール部]]』の「なりたか」、『番外乱闘編』の「みほこ」、『[[いけいけ! 熱血ホッケー部>いけいけ! 熱血ホッケー部 すべってころんで大乱闘]]』の「ようこ」「かおり」と言った目立たないキャラを敢えてチョイスしているのも芸が細かい。 ---各ショップではシリーズ歴代キャラや後述する別作品のキャラが店員を務めており、過去作を知っている人には嬉しい演出となっている。熱血硬派シリーズの古株「しんじ」は本編にこそ出ないが、ここで姿を見せている。 ---更にはシリーズで日米双方に存在する未発売タイトルのキャラも登場している。 --敵一人一人に名前があり、倒されると一言呟いて消滅するお馴染みの演出も勿論健在。 --本作ではフィールドのあちこちにモブの一般市民がいる。『[[初代熱血硬派くにおくん]]』のようにシバき倒したりは出来ないものの、単なる背景ではなく近くで攻撃されると驚くの程度の反応は示すようになっている。 --『くにお』以外の旧テクノスネタもあるのだが、それもまた細かい。 ---『[[ダブルドラゴンシリーズ]]』からのネタがいくつかあるのだが、中にはネオジオ版格ゲーのネタや本作同様WayForward社開発故に二重パロになる『ネオン』由来のネタなど非常にディープな仕上がり。しかも同シリーズのキャラもゲスト出演している((同シリーズキャラの「アボボ」は『乱闘協奏曲』に続いてのゲスト出演となる。))((あろうことか、『ネオン』の敵役だった「スカルマゲドン」は「ジミーとビリーに敗れ、現在は改心して骨董品屋を営んでいる」というトンデモ設定で登場する。))。 ---更には『[[コンバットライブス]]』のキャラクターまでもが登場している。あるショップでは同作ラスボスが''凄まじい迫力で注文を取る''という爆笑ものの演出になっている。 --その他『くにおくん』とも関係ない日本製ゲーのネタもあるので分かる人なら色々楽しめるだろう。 --これだけネタを詰め込みつつも、各キャラの設定は本作独自の物となっており作中の会話やカットシーンでキャラの相関関係は説明されるため本作が初『くにおくん』でも話を理解する上で支障はない。 ---過去作由来のネタは(後述のオチを除き)本筋と関係ない部分に分かる人だけ分かるように仕込まれているため、シリーズのプレイ経験はないが絵柄が気に入った人やWayForward社製のタイトルのファンの人でも手を出しやすい。 -アレンジされたキャラクターデザイン --全体的にポップでかわいらしい仕上がり。 ---また、一回限りのチラッと出るだけのキャラにもドット&立ち絵を用意したりと手は込んでいる。 --敵も従来のような不良やヤクザなどの男性キャラばかりではなく、『River City Girls』のタイトル通り女子生徒やチアガールなど女性キャラも多数存在。ボスキャラも裏ボス含めた8人中の6人が女子である。 ---そして本作のキャッチコピーが「''女の子だからって、なめんなよ!''」になっている通り女同士だろうが容赦は一切なくバイオレンスなボコり合いっぷりが展開される。この治安の悪さこそまさに『くにおくん』だろう。 ---過去作の特にダウンタウンシリーズは多数の女性キャラが登場しても喧嘩に参加する事は皆無で、精々スポーツバトル程度でしか戦わないなど、この手の作品では珍しくないが女尊男卑の雰囲気が無くもなかった((特にドラマ版は表現の関係もあってか、同情の余地の無い悪女に対してすら手を上げず、最終回で執拗に襲ってくる女殺し屋に対しても「くにお」と「りき」は攻撃をいなすだけで、特に「くにお」は不自然な程にスルーしていた。「くにお」が殴った女性は「みずす」だけで、しかも役者は男性だった。))が、今作は従来の熱血硬派シリーズ以上に正に男女平等のシバき合いが展開される。 --発売前は美少女化と言われることもあったが、元の雰囲気を崩した極端なギャルゲー・お色気要素が強いようなものではない((一応回復施設のサウナ内で裸になっているシーンがあるが、しっかりタオルを着用しており、胸の谷間すら見せない。))のでいわゆる萌え系が苦手な人でも手を出しやすい。 ---ただし後述の通りいつもの『くにおくん』とはまた違ったノリだが…。 -BGM --シーンに合わせてポップな曲からロック調まで多様なジャンルの曲が使用されており、飽きずに探索できる。 --特に本作初登場のオリジナルキャラで女性ボーカリストの「ノイズ」というキャラが登場するのだが、わざわざ8曲も本作のためだけにノイズが歌っているという設定の楽曲が描き下ろされ、いずれも本作のBGMを担当したMegan McDuffee氏本人が熱唱している。 ---どれもオシャレな楽曲で、曲だけ聞いたらとても『くにおくん』の曲とは思えない程。それでありつつも本作のBGMとしての違和感はなく、ユーザーからは好評。 --また、ボス戦曲や一部のSE等はチップチューンアーティストのChipzel氏が担当しており、どの曲も懐かしい音色ながらも現代的なアレンジに仕上がっている。特に4面ボス戦の曲は昔からのシリーズファンならば「おっ!」と思うはず。 ---- **賛否両論点 ***ゲームとしての賛否両論点 &bold(){英語ボイスのみ} -『くにおくん』は言うまでもなく日本発祥のタイトルだが、本作は''英語音声のみ収録''で日本語音声は未収録になっている。 --一応字幕やカットシーンは日本語にローカライズされているため、ストーリーを理解する上では支障はない。 --また、メイン声優陣は日本産アニメの吹き替え経験もある役者なので芝居に関しては問題はなく、全編英語というのもアメリカナイズされた世界観にマッチはしている。 --とはいえ少々日本語訳の精度は難アリ。そういうもの(低予算翻訳によるドタバタ劇)だと割り切れるかが評価の分かれ道かもしれない。 -実際、未収録の理由は予算上の都合とスタッフからコメントされている。日本のユーザーからは多少無理してでもいれろという声もあるが、カリフォルニアの中小メーカーがパブリッシャーの協力なしに独自に日本での収録環境を整えるのははっきり言って無理だろう。 --スタッフも心残りだったようでセールスがかなり良ければアップデートという形で日本語音声も追加したいとはコメントしている。結果として本作ではそれは叶わなかったが、以降の作品で実現することになった。 -オプションでボイス音量の設定も出来るので、どうしても気になる人は音声を切ってシリーズ過去作同様のボイス無し状態でプレイする事も可能。但し、デモシーンや一部演出の音声は変えられない。 --ちなみに背景の文字は一貫しておらず、普通に日本語が書かれている。一例として「みさこ」の通う学校の校名は「熱血高校」と「RIVER CITY HIGH(SCHOOL)」の2通りある。 ---場合によっては同じ場面で混在していることも(校門エリアの背景では、校門には「RIVER CITY HIGH」・校舎は「熱血高校」表記)。 &bold(){高めの難易度} -概ね洋ゲーは国内ゲーよりも難易度が高い傾向にあるが、本作も歯ごたえのある難易度となっている。 --特に中盤からのボス戦は「死んで覚える」バランスになっている。もちろんパターンはあるのでリトライを繰り返せば突破できるレベルデザインにはなっている。 ---また、難易度が高いと言っても仕様上稼いでちゃんとレベルを上げて回復アイテムを持てるだけ持っていけば実質的な難易度は大幅に下がり、プレーヤーの力量に合わせある程度調整することはできる。 -単純に敵キャラのライフや火力がやたらと高く、大抵のマップでは4体くらいが配置されており、同時出現数も最大6体とかなり多い。 --ゲーム開始直後のリバーシティー高校から出てくる敵キャラから既に「ガード不可のスタン攻撃を行う男子生徒」「至近距離からダッシュ攻撃を連発する女子生徒」「バックステップで攻撃を避けてヘビーアタックを決めるリーゼント」など嫌らしさ全開。中盤以降もほぼノーモーションで長射程のアームパンチをかます「サイボーグ男」、ガードすると被弾が確定するハンマー振り回しを行う「ハンマー男」などがわんさか登場する。 ---隙が多く攻撃パターンも少ない「警官」や、全体的に動作が鈍い「プロレスラー」など比較的弱い・処理しやすい敵キャラもいるが、それらの敵も混戦となれば時間差のスタングレネードや遠距離からのローリングアタックで格段に厄介になる。 --ザコ敵の行動アルゴリズムが徹底して「裏周り・挟撃」という嫌らしい思考であり、一旦ザコ集団を正面に捉えても、常に半数のザコが上下から回り込みに来るので迂闊に攻撃を振れない。 ---そのため左右に振れる技を持たない序盤は、壁を背にして攻撃方向を1方向に絞ってやっと勝負になる。しかもザコの耐久力が総じて高めなため、ダウンさせてもさせても起き上がって回り込んでくるザコ集団に心が折れる。 ---ラストに訪れるステージでは移動速度が速い「男ヤクザ」や「女ヤクザ」、「着ぐるみ女」が大量に出現し、気弾や投げナイフといった遠距離攻撃も相まって行動アルゴリズムの嫌らしさを存分に実感できる。 --どのザコも積極的にヘビーアタックやダッシュ攻撃でダウンを狙ってくるし、コンボも容赦無く叩き込んでくる。油断するとザコ相手でもライフが尽きてしまう。 --初期配置の敵を殲滅した後に出てくる増援敵には上位種となる赤い服の敵、最上位種となる肌が灰色になり黒い服((舎弟一覧での設定上は「ゾンビ化」「呪い」「ドッペルゲンガー」等様々な要因で強化されたタイプとされている))もいるが、これらの強化タイプの火力は輪をかけて高く、アームパンチや気弾などの大技を受ければライフの3分の1から半分程度削られることもザラ。 -敵がドロップする金額が少額なため、ザコ狩りでは金がなかなか貯まらず、アイテムも中盤までは回復量が低いものばかりなので、序盤は回復もままならず死んで復活した方が安上がりな事が多い。この点は『ダウンタウン熱血物語』を彷彿させる。 --一応初心者や周回プレイでのトロフィーコンプの救済用か火力・スピードが大幅に増強される隠しアイテムは存在する。 ---故に昔のゲームによく見られた「アイテムや技が揃っていない最序盤が一番難しく感じる」こともあるが。ある意味レトロゲーリスペクトではある。 -難易度選択に「ノーマル」と「ハード」はあるが、初心者向けとなる低難易度の「イージーモード」は存在しない為、苦手な人には尚の事厳しい。 --もっとも、主役二人の元ネタの『挽歌』やGBの『番外乱闘編』もイージーでは最後まで行けない仕様だったりはしたが。 &bold(){ストーリーについて} -話のノリが完全に海外のカートゥーンアニメのような頭のネジが飛んだような物となっており、日本人からすると少々急だったりトンデモに感じてしまう部分も。 --元々『くにおくん』シリーズ自体、かなりぶっ飛んだ部分はあったが、本作はその方向性が異なっている。シリアスな大筋にぶっ飛んだ要素を入れていた熱血硬派シリーズは元より、コミカル重視でハチャメチャ路線のダウンタウンシリーズとも違う。 --言ってしまえば同社開発の『シャンティ』シリーズと完全に同じノリである。あちらが笑えた人や普段から海外製のギャグ要素の強いコンテンツに慣れ親しんでいる人ならそれほど大きな違和感は感じないとは思われる。そうでなければ「笑いどころの解らないコメディ」を見せられているようなものであり、ややキツいかもしれない。 --後半特に意味もなくシュールな背景もあったりと若干バカゲー感もある部分も。 &bold(){「くにお」と「りき」の使い勝手} --上述の通り、一度エンディングを見ればくにおとりきでプレイできるが、当然レベル1のため非常に弱い。雑魚1体倒しきるのすら困難。 --隠しアイテムを装備すればよいが、入手のためには大金を稼ぐ必要がある。 --一応ボス討伐とクエストクリアの達成で手に入るお金や経験値はみさこやきょうこでクリアしても、くにおやりきにも入る仕様となっているので、最初のステージだけ使わない選択肢もある。 --一方で技を道場で購入できる段階までくれば、くにおは熱血アッパーやサウナタオルを筆頭に強い技揃いなので、無数の雑魚相手に無双しボスも楽に倒せるなど、隠しキャラとして文句なしという程度に強くなる。 ---反面、りきは全体的に隙が多すぎて使いづらい技が多くかなり使い辛い。 ***『くにおくん』のシリーズ作としての賛否両論点 &bold(){大幅モデルチェンジに対する批判} -あらゆる点が過去のシリーズ作から大胆なモデルチェンジが行われた結果、このような部分に関して「あくまで本作は『リバーシティガールズ』だから気にならない」という意見と、~ 「非正史の外伝とは言えこの改変はちょっとどうかと思う」という賛否の分かれるポイントがいくつか存在する。 --逆に言うと過去の『くにおくん』経験の少ない人やそもそも『くにおくん』を遊んだことがない人にとっては特に引っかからない部分とは言える。 &bold(){敵キャラの性能・行動アルゴリズムについて} -敵のいやらしさなどは『くにお』より『[[ファイナルファイト]]』のようだ、と言われることも。もちろんパンチハメのあるあちらと違って簡単攻略できるハメ技はないが。 --ダウンした敵が起き上がり時にノータイムで攻撃してくることがあり、余計な反撃を食らうことが多々ある。 --敵との駆け引きはベルスクというよりは格ゲーのようでもある。 --中盤以降のボス戦は2Dアクションゲームのような仕様となっており、普段のベルスクとは違った操作や攻略方法が要求されるので演出と合わせて楽しかったという意見もあれば少々戸惑ったという意見も。 &bold(){演出・シナリオ面} -シリーズお馴染みの技の演出が一部旧作とは全く異なる物になっているため、現代風アレンジとして面白いという声もあればそこは旧作を踏襲して欲しかったという声も。 -敵キャラが倒された際の一言コメントは健在だが、「くそがっ!」「負けちゃった」「コテンパンにされちまった」等真面目なコメントが多く、過去作に比べてネタ要素が薄め。 --「昼飯がどっか行っちまう」「それでも私可愛いよね」などネタ寄りのセリフもあるが、やはりインパクトには欠ける。 --「話し合いはどうなった?」「顔はやめてよ!」「頭がクラクラする…」「オェー!」「骨が!」「''血の味がする''」など、むしろ物騒なセリフの方が目立つ。 -「デザイン」に関しては評価点と記述したが、各キャラクターの性格の変更は旧シリーズを知っている人から難色を示されることも。 --上述の通り「はせべ」と「まみ」も登場するのだが、ある理由から嫌味ったらしい性格になっており、色々と人を選ぶ。 ---特に2周目以降の条件を満たした展開ではかなり悪辣な毒を吐かされている。しかも正確ではなく言い掛かりに近い。詳しくは後述。 --また、女性陣のリファインについては好評だが、本作版の「くにお」と「りき」の見た目に関してはかなり意見が割れる。 --ただ、往年のくにおくんシリーズにおいてキャラクターは、舎弟・ライバルといった「役割」や「能力差」という見地によって語られる面が強く、膨大な登場人物がいる割には性格の掘り下げについて無頓着・不統一であった。そこに不良校の女子生徒が同じ女子生徒に対してどのように接するかや、男子生徒が不良娘に対してどのように関わり得るかを踏まえてキャラクターの土台から作り直したという点では、蛮勇であり、或いは新たな可能性への開拓であったともいえるかもしれない。 -シナリオに関しても、エンディングや裏ボスのイベント周りは暴走の極みであり、批判意見が多い。 --その為か、2020年5月14日のアップデートにてこれらは''別物と言ってもいいほどに''作り直された。 ---当初は裏ボスを倒そうがエンディングに変化は無かったが、このアップデートによって「裏ボスを倒した場合に見られるトゥルーエンド」が追加された訳である。 #region(最終盤の重大なネタバレ含むので注意) -主役二人の元ネタ『挽歌』がアメリカ未発売だからと言う事なのか、最終盤の展開はなんと''日本語字幕と英語で異なる内容''となっている。 --その内容も、英語音声については否寄りの意見が多く、原語よりマイルドな内容の日本語版ですら大きく賛否が分かれる。 --そもそもまず両言語で共通する部分からして賛否があるのだが…(後述)。 -ラスボスを撃破した後、主役二人は「くにお」と「りき」に会うのだが、日本語字幕では「誘拐なんてされておらず、車に乗っていた女の子を''ナンパ''をしていただけ」であった。恋人がいながらそんな事をしていた二人に激怒した「みさこ」と「きょうこ」は彼等を殴り飛ばし、星になっておしまい…というオチ。 --ナンパしにいくことに関してはいくら外伝でも「熱血硬派」ではないだろと言われることも。 ---もっともGB版『[[行進曲>ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会]]』で女子更衣室に突っ込んで満足げな顔をしたり、『[[サッカー>熱血高校ドッジボール部 サッカー編]]』の時も「くにお」が「みさこ」の♡♡♡♡目当てという不純極まりない動機で助っ人になったりとスケベな描写が見られていた作品もなかったわけではない((『初代熱血硬派くにおくん』に至っては冒頭で級友から「くにおはスケベな所がある」とひどいことを言われている。))。 #region(そして英語音声の方はと言うと…(ドギツいネタなので注意)) -なんと「みさこ」と「きょうこ」に関して「''名前も知らねぇイカレ女がまた来やがった''」と表現し、二人を放っておいて立ち去ろうとするのだが、その際に「はせべ」「まみ」と&color(pink){''お楽しみ''}にいくともとれる言い方をする。ある意味二人の早とちりで済んだ日本語版よりも救いの無いオチとなっている。 #endregion -「みさこ」「きょうこ」は「くにお」「りき」の恋人のはずだったのにどうしてこういうオチなのか、それは裏ボス撃破後に明かされるが…。 --実は真相は''「くにお」と「りき」は「みさこ」と「きょうこ」と恋仲ではなく、単に一方的に「みさこ」と「きょうこ」が付きまとっているだけで、自分たちで勝手に恋人だと思い込んでいた''…という衝撃の事実であった。 ---元々の下敷きになったとされる『挽歌』では、「くにお」は「みさこ」と、「りき」は「きょうこ」と明らかにカレシカノジョの関係になっており((特に「きょうこ」に関しては発表の近い『乱闘協奏曲』やドラマ版でもはっきり「りき」の彼女として登場している。))、この時点でシリーズファンからすれば「はぁ?」と首をかしげたくなる展開なのは否めない。 --そして「はせべ」「まみ」からは「''アメリカで発売していない16bitゲームで一回デートしただけ''」だの「くにおもりきも''殆ど覚えてない''」だのメタにも程がある暴言を吐かれる。爆笑したという人もいれば最後の最後で真面目に締めずメタネタかと憤る人も…。 ---つまる所、英語音声のオチは「『挽歌』はアメリカで出ていないから分からない」というメタオチである。 --一応道中の「はせべ」「まみ」との会話が双方微妙に噛み合わない等伏線は張られており、丸く収まらないオチだと感づくようにはなっているが…。 ---そしてこの二人をブチのめした所で結末は変えられない(アップデート前)。 --尚、確かに『挽歌』は日本でしか発売されていないが、「みさこ」「きょうこ」が登場した作品のうち『乱闘協奏曲』『乱闘行進曲かちぬきかくとうSP』などはアメリカでも発売されており、しかも後者にはしっかり『挽歌』準拠で登場している。 ---後年、本作続編と共に『挽歌』の移植&ローカライズが発表されたが、このネタの扱いはどうなるのだろうか? -また、どちらの言語の展開であってもOPのくにおたちが連れ去られるシーンに関して実際にあったことなのか、映像や写真から勘違いしたのか、勘違いしたのならどのような経緯で映像ないし写真を手に入れたのか、それとも単なるイメージ映像なのか等が不明確となってしまっている。 --オープニングアニメでは「くにお」と「りき」が暴行されて拉致される様子が映し出されるが、これらもただのイメージ映像だった事になる((また、OPでは「くにお」「りき」「みさこ」「きょうこ」の四人が仲良く過ごしている様子も映るものの、英語版ではこれすらも完全にイメージに過ぎないという事に。))。 -ただし、EDでは寝ている「みさこ」とスマホを見て叫ぶ「きょうこ」の絵で終わるので''最終的に作中の全ての展開は夢オチ''とも、''最初に戻るループオチ''ともとれる描写にもなっている。 --各人のハッチャケぶり・ブラックジョーク・メタネタ・統合性のおかしい部分に関してはスタッフとしても深く考えずその場その場の勢いで笑って楽しんで欲しいという事なのかもしれない。 --補足すると同社開発の『シャンティ』シリーズ等にもこうしたノリは見られつつも本国で一定以上の人気があるので、オチまでアメリカンテイストと言える。 -2020年5月14日のアップデート後、通常のエンディングこそ変わらないが、「はせべ」と「まみ」を倒した場合はその後の展開が大幅に変わり、''恋人設定は妄想ではなく事実''となる。 --日本語字幕では誘拐が誤解のままだが、大して気にしていないくにおとりきはハンバーガー屋によるので、みさこときょうこに同行を求め、最後のシーンで肩を抱き合う二組のカップルの彼女同士が拳をぶつけ合うハッピーエンドとなっている。 --英語音声も上述の台詞は全部削除され、字幕の展開通りに録り直され、誘拐事件はくにおとりきが余裕で自力で解決し、ハンバーガー屋を誘う展開となっている。 --恐らく一番文句言われた部分だろうが、すでに完成されたゲームでここまで思い切った手直しはなかなかできるものではなく、踏み切った制作陣は賞賛されて然るべきだろう。 --また、続編の内容から考えて、通常エンドの超展開は無かった事になる模様。ただ、「さぶこ」も「はせべ」も「まみ」も全員ブチのめしたことにはなっている。 #endregion -本作の賛否点は上でも少し言及した『ダブルドラゴンネオン』に通じる部分があり、同作があまり楽しめなかったユーザーからは本作も発売前より不安視されていたのだが、ある種その不安が的中してしまったと言える。 --もっとも『ネオン』はそれ以前の『ダブルドラゴン』も徐々に(スタッフが狙ったのと狙っていない部分含め)バカゲー臭漂う要素が増えて来ていたという経緯からある程度許容する人もいたが。本作はそうした前置きが無かった分モロにシリーズファンの間で議論になってしまったと言える。 ---- **問題点 -旧作リスペクトなのか、なるべく少ないボタンに操作を割り振った結果、思わぬ操作の暴発が起こりやすい。 --一番よく使う弱攻撃ボタンに「マップ移動」「店に入る」「物を拾う」「バス停でマップを見る」と攻撃以外の様々な機能を詰め込んだために意図しない行動が暴発しやすい。 ---ver1.20へのアップデートで解消された。攻撃以外の機能は長押しに変更され、意図しない動作への対策が取られた。また、メニュー画面等での操作方式が、いわゆる欧米式の×ボタンで決定、〇ボタンでキャンセルから日本式、つまり〇で決定×でキャンセルに変更された。 --レベルで習得するアクションの中に隙が大きかったりダメージ効率が悪く著しく有用性が低い物があり、誤って暴発すると敵から反撃を食らいやすい。 -アイテムは投擲した場合や相手の攻撃で落としてしまった場合、自分への当たり判定が発生し続けるので自滅しやすい。 --2人でプレイしていると投げたアイテムは同士討ちをオフにしていても味方への当たり判定がある。 --特に画面がロックされた状態だと画面端に跳ね返ってこちらに飛んでくるのでかなり危険。 -アイテムは説明が一切無く、実際に買ってみないと効果が分からない。 --旧シリーズではそういう仕様の作品もあったが、さすがに2019年の作品でこれは不親切である。 --消費アイテムとパッシブ効果持ちの違いが分からないため、強力なパッシブ効果持ちのアイテムを取り逃すことがある。 --2人でプレイしているとアイテム効果は片方が買った時点で判明するため、初回を後回しにするとステータスアップ効果を得たかどうかわからなくなってしまうことも。 ---- **総評 硬直化しつつあった『くにおくん』界に新風を巻き起こした一作。~ コンボの面白さ、きめ細かなドット演出は流石WayForward社と言った所で、山のような小ネタからも同社の『くにおくん』愛は十分伝わるが、その一方海外メーカー故の日本人との感性の違いや大味感も作品に現れており、人により評価の振れ幅が大きい。~ 特にシリーズ過去作に思い入れのあるファンからは一部の改変部分やせっかくのフルボイス化にもかかわらず日本語音声未収録なのが槍玉に上がりやすい。~ ビジュアル面やBGMについては日本人から見ても平均以上の出来なだけに、「あそこさえよければ…」というポイントがいくつか見受けられるのが非常に惜しい。 とはいえこれまでの国内製シリーズ作も(特にテクノス倒産後は)褒められたものでない出来のタイトルも見受けられていたので、それらと比べるのであれば本作は比較的良い仕上がりと言える。 ベルスクは好きだが『くにおくん』経験が少ない人や過去のWayForward社の作品が気に入った人ならば余計な先入観を持たずに楽しめると言える。~ 特に槍玉に上がる大きな問題点もアップデートで改善された為、発売当初よりも勧め易い作品になっている。 ---- **余談 -「りき」は熱血硬派シリーズとダウンタウンシリーズでそれぞれ違う彼女と付き合っている事から、「きょうこ」が元カノで今は「まみ」と付き合っているという説((ダウンタウンシリーズの第1作の『ダウンタウン熱血』ではくにおが3年生、「きょうこ」初登場の『挽歌』はくにお2年生と明記なので、両作品をつなげて考えると後発の『挽歌』の方が時系列的に前になる。))と''二股説''があった((シリーズ生みの親の岸本良久氏は過去に「りきが最終的にどちらと一緒になるか」という質問をされた際にも明言はせず、そればかりか「りきはもてるので新たなガールフレンドができるかも」と語っている。))。 --その為、両方の彼女が登場する本作にて外伝なりの一つの答えが出るかと期待する声もあったが、結果は上述した通りの斜め上どころではない超展開であった。 --ちなみに続編における「みさこ」と「きょうこ」の設定では、「くにお」と「りき」の彼女というのは自称だがガールフレンド&ボーイフレンドの関係には違いない、という事で落ち着いた模様である。 -本作の後にスピンオフ『熱血硬派くにおくん外伝 イカすぜ!小林さん』が発売されたが、こちらは旧作スタッフによる日本製であるためか、正式に日本語音声が収録されている。 --タイトルに「熱血硬派」とあるがこちらは「こばやし」が主役の通り、本作と違ってダウンタウンシリーズの世界観がベースとなっている((開発中止になった『ダウンタウン熱血物語2』で使用予定だったシナリオの流れを汲んだ作品である。))。 -クロスオーバーアクションゲーム『コードシフター』に本作のみさこ&きょうこが参戦。 --くにお等ほかのメンバーは他作品からの参戦となっている。 -後に発売された『ダウンタウンスペシャル くにおくんの三国志だよ 全員集合!』は歴代キャラがシリーズを問わず三国志の武将として登場しており、その中には本編における「みさこ」と「きょうこ」もいた。 --…のだが、遅れて発売されるPS4/Win版にてRCG版の二人が「ミサコ」と「キョウコ」として''別人枠で参戦''することになった((Switch版もアップデートで同要素が実装された。))。%%まさかの分裂である。%% ---本編の「みさこ」は諸葛亮、「きょうこ」は周瑜の役なのだが、RCG版の二人は二喬(みさこ=大喬、きょうこ=小喬)にそれぞれ扮している。%%つまり「きょうこ」は夫婦を一人二役でやっていることに…。%% ---- **その後の展開 -2022年12月1日に続編となる『[[熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls2>熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2]]』がPS5/XSX/PS4/One/Switch/Winで発売された。詳細は当該記事にて。 -上記の『RCG2』と同時に本作のPS5版も発表され、2022年6月23日に発売された。 --その後、『RCG2』と本作をセットにしたパッケージ版も発売された。但し、日本語ボイスは『RCG2』のみであり、本作はいずれのプラットフォームにおいても英語ボイスのみである。RCGにおける日本語ボイス自体は実現しているが、スタッフが公言していた本作への追加はされなかった。 -2022年には本作の源流という扱いで現行機向けに『挽歌』の移植&ローカライズが行われた。 --日本版タイトルは『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌 -with River City Girls Extra-』だが、初の発売となる海外では『''River City Girls Zero くにおたちの挽歌''』と、ストレートに『RCG』の「ゼロ」として扱われている。 --『RCG2』に先駆けて、「みさこ」と「きょうこ」の日本語ボイスも収録されている。 --こちらは本作の「みさこ」と「きょうこ」がスカルマゲドンの店から''SFC本体ごと買ってきた『挽歌』をプレイする''という、またぶっ飛んだ設定になっている((しかも「きょうこ」の部屋では「新しいテレビを買う金が無いので未だブラウン管テレビを使っていた」という設定により、特に前準備も無くSFCがそのままプレイできた事になっている。))。そのノリも「''当人にも記憶が無い、20数年前の自分達の出演作''」で遊ぶという流れなのもこれまたおかしい。 -『RCG2』発売に合わせ、『熱血硬派くにおくん 乱闘演舞編』のSOLID STARによる舞台版『RCG』が公演される予定だったが、公演直前に関係者の新型コロナウイルス感染が発覚し、残念ながら中止となってしまった。 --紹介サイトによると、『RCG』に出演していないくにおくんシリーズキャラも独自の『RCG』仕様で登場する予定だったらしい。また、「はせべ」だけ何故か''二人一役''で演じられるはずだった。

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