このページはVer.10.2 (2018年2月7日の更新)を基準にしています。
頻繁にアップデートが行われるため、必ずしも本記事の内容が最新の内容に対応しているとは限りません。


ハースストーン

【はーすすとーん】

ジャンル トレーディングカードゲーム
対応機種 Windows、OS X
発売・運営・開発元 Blizzard Entertainment
サービス開始日 2014年3月11日
プレイ料金 基本無料(課金要素あり)
判定 良作
ポイント テンポが良いデジタルカードゲーム

暖炉のそばの席へどうぞ!!



概要

Blizzard Entertainment社の人気RTSシリーズ『Warcraft』および人気MMORPG『World of Warcraft』と世界観を同じくする、完全デジタル型トレーディングカードゲーム(TCG)。対AI戦およびオンライン対人戦が可能。
基本無料のオンライン専用ゲームであり、クライアントソフトは無料でダウンロード。また同社のオンラインサービス「Battle.net」のアカウント取得が必須となる。

オーソドックスかつ非常にシンプルに纏まったゲームシステムとテンポの良いスピーディーなゲーム展開により、全世界で圧倒的な人気を獲得している。
2015年10月21日(日本時間)には日本語がサポートされ、またAndroid版、iOS版のリリースもあって、日本でも高い人気とプレイヤー人口を獲得した。
海外では、リリース当初は『Hearthstone: Heroes of Warcraft』というタイトルだったが、現在は副題が削除されて『Hearthstone』となっている(日本でのタイトルは最初から副題なしの『ハースストーン』)。


ゲームシステム

基本ルール

  • 基本ルール
    • 1対1の対戦型TCG。デッキは30枚(1種類2枚まで)のカードで構築する。相手ヒーローの体力(初期値は基本的に30点)を召喚したミニオンの攻撃やダメージを与える呪文などによって0以下にすることが勝利条件である。
    • 全てのカードには使用コストが設定されており(コスト0のカードもある)、カードを手札から使用する際にマナクリスタルに入っているマナを消費する。マナを使用したマナクリスタルは消灯し、そのターンの間使用不能となる。マナクリスタルは最初のターンは1個だが、ターン経過ごとに1個ずつ最大10個まで増加する。
      • つまり基本的にはマナは毎ターンの安定供給が保証されており、試合が進む毎に使えるコストの幅が増していく。土地カードやエネルギーカードと言った形は取っておらず、代替手段は少ない。
    • デッキが切れてドローできなくなったとしても即敗北にはならないが、山札からドローするごとにカードを引く代わりにヒーローがダメージを受ける。
  • ヒーローとカードについて
  • ヒーローとクラス
    • ヒーローはプレイヤー自身ともいえるキャラクター。これの体力が0以下になると敗北である。ヒーローは1つのクラスに就いており、現時点では9つのクラスがある*1*2
    • この手のカードゲームのお約束である色(属性)の概念は本作にはないものの、特定のクラスにしか扱えない固有カードと全てのクラスが扱える中立カードという概念が同等の制約となっている。
      使用するデッキを組む際、プレイヤーはまずクラスを選び、そのクラスの固有カード+中立カードを組み合わせてデッキを作成することになる。
    • 各ヒーローは1ターン1回だけ2マナを消費して使える固有の「ヒーローパワー」を持つ。「好きな対象に1ダメージを与える」「能力1/1のミニオンを召喚する」などそれほど強力なものではないが、手札を一切消費せずマナだけで確実に使える点が重要。
    • ヒーローは通常は攻撃力を持たないが、武器を装備したり、カードやヒーローパワーの効果などによって攻撃力を得て自ら攻撃を敢行することもできる。ミニオンに攻撃した場合は相手ミニオンの攻撃力分のダメージを受ける。
    • ダメージを軽減する装甲値を得ることもある。ダメージを受けた際にはまず装甲値が減っていき、0になるとそこから先は体力が減る形式。

カード

  • カードの種類
  • ミニオン - ヒーローの手下として戦う者たち(他のゲームで言うモンスターやクリーチャー)。使用コスト・攻撃力・体力の値を持ち、さらに様々な特殊能力を持つものも多い。全てのクラスが使える中立カードとクラス固有のものがある(デッキに入る中立カードはすべてミニオンである)。
    • ミニオンは基本的に、場に出た次のターンから1ターンに1回攻撃できる。攻撃対象は攻撃側が選択できるので、敵ミニオンと戦っても敵ヒーローを狙っても良い。ミニオン同士が戦闘した場合、両者は互いの攻撃力分のダメージを受けて体力が減り、0以下になると破壊される。減った体力は基本的に回復しない(体力回復のスペルカードやヒーローパワーはある)。
    • 特殊能力の一例
      • 挑発:これを持っているミニオンが出ている場合、相手はそのミニオンしか攻撃対象にできない。挑発持ちが複数いる場合はその中で好きなものを選べる。
      • 雄叫び:手札から場に召喚された時に発動する効果。逆に破壊された際に発動する断末魔という能力もある。
      • 呪文ダメージ+N:自分の、ダメージを与えるタイプの呪文カードのダメージ量がN点増える。複数いればその分だけ累積される。
      • 他にも様々な特殊能力がある。もちろん場に出ているだけで効果を発揮し続ける能力もまだまだある。
  • 呪文 - ダメージを直接与えるなど、各種の効果を及ぼす使い切りカード。クラスの固有カード限定。
  • 秘策 - あらかじめカードを伏せてセットしておき、条件が満たされると自動発動する(いわゆる罠カード)。特殊な呪文カードという扱いで、一部クラスの固有カード限定。
    • 本作ではプレイヤーは敵のターン中に何もできないため、この秘策カードは敵の意表を突ける数少ない要素である。
  • 武器 - 使用するとヒーローが武器を装備。ヒーローが攻撃力を持ち攻撃ができるようになる。耐久度(攻撃回数制限)あり。一部クラスの固有カード限定。
  • コイン
    • 後攻側は先攻より手札が1枚多いのに加えて、使用したターンのマナを1つ増やすことができる0コストの呪文カード《コイン》」も手札に追加される(すなわち先攻は手札3枚、後攻は手札4枚+コインの計5枚でスタートする)。これの使い方でプレイヤーの巧拙が分かると言われる、地味ながら重要な存在である。
    • 多くのTCGでは先攻有利のゲームバランスになりがちだが、本作はこのコインのおかげか、先攻と後攻の勝率はほぼ変わらないというデータが出ている。
  • カードのレアリティ
    • レアリティは基本、コモン、レア、エピック、レジェンドの5種類。このうち基本カードはアカウント作成時に無条件でもらえたりヒーローのレベルを上げる事で確実に手に入る基本的カードである。他のレアリティはカードパックから引いたり、アドベンチャーモードの景品として手に入ったりする。レジェンドはミニオンのみが存在し、またデッキに入れられるレジェンドは1種類につき1枚のみ。
  • カードパック
    • 最も手軽かつ確実にカードを手に入れる手段は、ショップでカードパックを購入することである。
    • パックの価格はどれもゲーム内通貨100Goldもしくは$1.49のリアルマネー課金(リアルマネーはまとめ買い割引あり)。カードが5枚入っており、うち1枚は確実にレア以上である(感覚的にエピックは結構出る、レジェンドは滅多に出ないという感じである)*3
    • バンドル販売もされており、こちらはリアルマネー課金に限るが安く購入できる。
  • 対戦のフォーマット
    • サービス期間が長期化したのに伴い、スタンダードとワイルドの二種類のフォーマットが制定されている。クラシック以外の拡張セットは、登場してから2年間というスパンでスタンダードでの対戦では使えなくなる(いわゆるスタン落ち)。
    • スタン落ちしたカードはワイルドフォーマットでのみ使用可能。カードの購入は出来なくなり、後述する魔素の支払いによる作成でのみ入手可能となる。また、スタン落ちしたカードでも酒場の喧嘩では出現する。

ゲームモード

  • 本作には日本で展開されている基本無料ゲームにありがちな、いわゆるスタミナ制は採用されていない。
    • よってプレイ回数に制限は一切なく、好きなだけ以下のモードで遊び続けることができる。
  • カジュアル
    • 勝っても負けてもランクが変動しないフリーの対人戦。マッチングされる相手はランクが近い者が選ばれる。
    • 気楽なお遊びや新作デッキの動作テスト、あるいはデイリークエスト消化のために利用するプレイヤーが多い。
  • ランクマッチ
    • ほぼ同じランクのプレイヤーとマッチングし、勝つほどランクが上がるランク制の対人戦。ランクは1~25まであり、数字が少ないほど高ランク。ランクは毎月初頭にリセットされ(先月のランクに応じて16~25に割り振り)、その際に先月のランクに応じた報奨(カードや魔素)がもらえる。
      • ランク1のさらに上に「レジェンド」という専用のランクがあり、これになるのが本作の上級者の証と言える。レジェンドランクではレジェンドプレイヤー同士で戦い、その中での順位付けがなされる。
      • ランク20、15、10、5、レジェンドに到達したプレイヤーは、その月内は下のランクに落ちることはない。
    • 自分のカード資産で構築したデッキを用いて、同等の実力を持つ人間プレイヤーと真剣勝負をするモードであり、多くのプレイヤーがこれを本作のメインコンテンツと考えている。
      月末という期限までにランクを少しでも高めようと躍起になるプレイヤーも多いが、当然ながら上のランクに行くほど勝利は難しくなる。
  • 闘技場(Arena)
    • ランダムに配られるカードから選んでその場で構築したデッキで戦う、TCG用語で言う「限定戦」モード。
    • 開始するたびに毎回、150Goldもしくは$1.99の「入場料」を支払わなくてはならない。限定構築デッキで人間プレイヤーと戦い、3回敗北もしくは12回勝利すると終了。そして成績に応じた報酬が受け取れる*4
      報酬には必ずカードパック1個が含まれ、さらに成績によってGoldや魔素などが付与され豪華になってゆく。3勝以上の成績をつかめれば、普通にカードパックを購入するより効率が良い。
    • (他のTCGにも言えることだが)限定戦には独特の面白さがあり、またカード資産の格差に影響されない公平な戦いができるので、この闘技場モードを特に好んでプレイしている人も多い。
  • ソロ・アドベンチャー
    • 特殊な形式のAI戦。様々な特殊条件・特殊能力を持った敵ヒーローたちと連戦するキャンペーンモード。ヒーローのグラフィックやセリフ音声なども独自のものが用意されている。遊ぶ時はぜひ音声ONで。
      • 無条件で遊ぶことができる場合と、解禁するためにGoldかリアルマネーが必要な場合があり、報酬の傾向もそれぞれ異なる(時期によって運営方針が変化している)。
    • また、無料でAIと戦う練習用モードも用意されている。対戦相手ヒーローとノーマル/エキスパート2段階の難易度を選んで腕試しをする。練習モードとはいえエキスパートはなかなか手ごわい。
  • 酒場の喧嘩(Tavern Brawl)
    • その名にふさわしくクレイジーな特殊ルール・特殊条件の下で対人戦を行う。ルールは毎週変更され、その週での最初の勝利の際にカードパックが1つもらえる。
    • ゲームバランスもあまり詰められていないジョーク的モードであり、真面目に考えても仕方がないような局面も多い。しかしプレイの新たな手がかりを得るきっかけとなることもあるし、運の要素が強く誰でも5割に近い確率で勝てるのでデイリークエスト消化のために利用する人もいる。
  • その他のシステム
  • デイリークエスト
    • ゲーム内通貨「Gold」の主な供給源。「指定されたクラスのデッキを用いて2勝する」「5マナ以上のミニオンを20回召喚する」など色々な目標が毎日1件与えられる(達成できないクエストは3件まで溜めておくことができるが、3件溜まった状態だと新しいクエストを受領できない)。これを対人戦で達成すると内容に応じた額のGoldが手に入る(40~100Goldほど)。
    • これとは別に対人戦で3勝毎に10Goldがもらえる(この分は1日最大100Goldまで)。これらを合わせると、おおむね2日につき3個のペースでカードパックを入手できる*5
  • 魔素によるカード作成
    • 本作の大きな特徴と言えるシステム。不要なカードを還元して魔素というポイントに変換でき、この魔素を消費してどれでも欲しいカードを作成することができる。
      • レアリティが高いほど還元時に入手できる/作成時に必要な魔素の量も大きい。基本カードは還元も作成も不可能。
    • パックからゴールデンと呼ばれる、金色の外枠と絵にアニメーション風のエフェクトが付けられたカードが出ることがある。性能は普通のカードと同一で見た目が綺麗なだけだが、作成コストが高く設定されており多量の魔素に還元できる。
    • 一部のカードのゴールデンは作成不可能であり、大会上位者などに与えられる名誉トロフィーとなっている。しかしゴールデンでないバージョンなら誰でも作成できる。

評価点

  • 快適な操作性と軽快なプレイテンポ
    • 手札のミニオンを場に出す時は手札とゲーム盤面を順にクリックする(あるいは手札から盤面にドラッグする)だけ。呪文使用時は手札と対象をクリック、攻撃時もミニオンと対象をクリックといった具合に、操作がとても簡単でわかりやすい。
    • さらに、カードの使用時や戦闘時は簡単なアニメ効果が挿入されるのだが、この効果中に次の操作を受け付けてくれる。このスピーディな操作感覚は非常に気持ちよい。
    • 使用可能な手札や攻撃可能なミニオンは緑色の光に包まれ、できることが何もなくなるとターン終了ボタンが緑色に光る。そのため自分がやるべきことがわかりやすく、高速で思考することができる。
      • リアルTCGでも熟練者になると、特に熟考する必要のない場面ではほとんど瞬時にカード操作やフェイズ進行宣言を済ませてしまうのだが、本作はそれに近いスピード感でプレイすることができる。
    • 試合時間も一試合数分ほどで終わるため、つい次の対戦をしてしまうような後を引く中毒性がある。
    • 攻撃が行われた際には打撃音や歓声があがり爽快感がある。ミニオンが発する音声も「タズディンゴー!」などという叫びや非人間型ミニオンの鳴き声・咆哮など印象に残る味のあるものが多い。
    • 各ミニオンの特殊能力は基本的に「何かしたら/されたら自動発動」という形なので煩わしさがない。カード使用リソースの基盤であるマナクリスタルも毎ターン確実に補充され色の概念もないので、いわゆる「マナ事故」を起こして何もできずに負けるということがない。
  • 完全日本語対応
    • 2015年10月に待望の日本語サポートが開始され、全てのテキストと音声が日本語化されている。
    • テキストの質も高く、洋ゲーでは日常茶飯事の誤訳も少ない。
    • 吹き替え音声は、田中敦子、玄田哲章、大塚明夫といった有名声優たちを多数起用。ベテラン揃いの声優陣だけあって短いセリフの中に見事に情感を込めている。
    • 敵ヒーローやミニオンあるいは脇役に至るまで、とにかくキャラがしゃべりまくるゲームなのだが、そのすべてがハイクオリティな日本語吹替音声となっている。
    • 訳語にもセンスが良いものが多い。《Anyfin Can Happen》というカード名を《七つの罪》、《Everyfin is Awesome》を《エラばれし我らにヒレ伏せ》とするなどのノリノリの超訳は絶賛されている(どちらも魚人族マーロックに関係するカードで、英語では“thing”を“fin”に置き換えている)。
  • 重課金の必要がない課金バランス
    • おおまかに言うと「無課金でも十分楽しめるが、それでは強くなっていくペースが遅いのでじれったく感じることもある。課金で早めることは可能だが、課金限定コンテンツは全く無い」といったバランスとなっている。
    • 本作ではカードパックをはじめほぼすべてのコンテンツをゲーム内通貨であるGoldでも購入できる*6。したがって(理論的には)完全無課金でもゲームのすべてを味わい尽くすことができる。(現実的には、無課金者がレジェンドカードを手に入れるペースよりも新カードの登場で環境が変化するペースのほうが早いので、今から本作を開始して無課金でトップレベルプレイヤーを目指すのは困難を極めると思われる)。
    • さらに、不要なカードを潰して欲しいカードにリサイクルするシステムがあるので、特定のカード・特定のデッキを手に入れることが比較的容易である。
    • 当然ながら、無課金だと新しいカードが手に入るペースが遅くなかなかデッキは強化されない。しかし対人戦は同程度の強さの者がマッチングされるので、全く勝てずにつまらない思いをすることもないだろう。
      • 無課金の場合、使いたいクラス以外の固有カードを全て還元してしまうという手もある。9種全てのクラスの個性を楽しむことは難しくなるが、より早いペースで強くなることができるかもしれない。
    • 一方、初期課金を検討するならば数千円程度を投じるだけで飛躍的に豊富なカード資産を所有できる。「弱いままのデッキで長い間辛抱するよりも、数千円程度の課金で一気に強くなり、色々なクラスやデッキスタイルを体験するほうが楽しいしモチベーションも維持しやすい」という価値観の人もいる。個人の価値観や経済状況に応じて、幅広い楽しみ方が許容されているのは大きな評価点である。
    • 上記のカード作成システムのおかげで、それほど多額のお金をかけなくてもトーナメントレベルの強力なデッキは手に入る。今から本作をはじめる人は2~3万円ほど課金すればトップレベル層のカード資産に追いつくことができると言われている(一般的なソーシャルゲームやリアルTCGと比べるとこれでも破格の金額である)。もちろんプレイングの技術は課金では手に入らないが。
      • そして一旦追いついたら、以後はゲーム内報酬や不要なカードなどをやりくりして欲しいカードをピンポイント入手できるので、課金の必要性はそれほど高くなくなると言われている。
      • (上の文章は日本語対応前後の頃に書かれたものであり、現在の状況とはやや異なるかも知れない)
    • ソーシャルゲーム・スマホゲームでよくある「毎日コツコツとプレイを続ければ課金しなくても強くなれるが、課金すると無課金者を追い抜いて一足飛びに強くなれる」というスタイルを、ほぼ最初にデジタルTCGに取り入れた事を特筆したい。
      発想自体は決して斬新ではないが、後続作品に及ぼした影響力は絶大である。
  • 地味目だが絶妙なゲームバランス
    • ミニオンの体力はターン終了でも回復しない。そのためどんな強いミニオンでも、弱いミニオンやスペルの波状攻撃で倒すこと自体は不可能ではない*7ので、たった1体の強力なミニオンに完全制圧されてしまうようなことは少ない。
    • また、1枚で状況を確実にリセットしてしまうようなカードも、早い段階で決まると勝利が確定するような必殺コンボも少ない(あっても随時消されている)。
    • したがって、ミニオン同士のダメージ応酬がゲームの主軸となる。コストの安いミニオンで高コストミニオンを相打ちにとったり、自分のミニオン1体を処理するために相手に複数のカードを消費させたりといった地味なアドバンテージの積み重ねが勝利に繋がる、絶妙なゲームバランスとなっている。
    • 低マナ域中心の速攻デッキ(アグロ)、中マナ域を中心としたデッキ(ミッドレンジ)、序盤をコントロールして終盤に重いカードで勝つデッキ(コントロール)など、様々なデッキスタイルが考案されているが、どれかが強すぎるということもなく拮抗した勢力を保っている。
    • クラス間のパワーバランスも概ね良好。デッキごとの相性差が激しい面もあるが、環境の遷移やトッププレイヤーによるデッキの開発とともに様々なクラスが脚光を浴びており、どのクラスでデッキを組んでも概ね実戦的なものを作ることができる。
    • ランダム要素を含むカードが多めにデザインされており、同じデッキで戦い続けても内容に変化が起こりやすい。
      継続プレイによるマンネリに陥らないよう考慮されている。
      • この点を鑑みると、他のTCGよりも相対的に運要素は強い。一試合の帰趨がランダム抽選の結果に左右されることも多々ある。
        しかし、そういった運要素への対応や割り切りも戦略の一部とみる向きもあるため、決してただの運ゲーに堕しているわけではない。
        事実、強豪プレイヤーの中にはコンスタントに結果を出し、ゲーム内ランキング上位常連となっている者が多数存在する。
      • e-Sportsの競技種目として本作の大会が開かれることも多いが、そこでは複数のデッキを用意し、相手の対戦したくないクラスを使用不可にするなどのルールを作ることによって戦略面を強調したものになっている。短期決戦ゆえにここ一番でe-Sportsの神が運命のいたずらを起こすことも多いが。
    • スタンダード制の導入に伴い、新しいカードパックの追加と合わせてトップメタのデッキは目まぐるしく変動しており、多くのプレイヤーによって日々研究が進められている。定番デッキが上位に胡坐を描き続けることは困難であると言える。
      • 例を挙げると2017年に導入された『大魔境:ウンゴロ』は当初、クエストローグ呼ばれるデッキがランク戦で猛威を振るっていたが、1か月も立たないうちに研究が進み、様々なヒーローのデッキがランク上位を占め、メタデッキが短期で変動する状態となった。
  • 他プレイヤーへの不快行為や迷惑行為ができない
    • 対戦中のチャット機能がなく、対戦中に「挨拶」「お見事」「おおっと」などの定形メッセージを発することしかできない(ヒーローごとに言い回しの異なるセリフがあらかじめ収録されている)。メール機能はフレンド(互いの合意の上で結ばれる)に対してのみ送信できる。したがって、他プレイヤーから暴言や煽り発言を受けて不愉快な思いをすることがない。
      • こちらのミスや劣勢時に「感謝」「お見事」のメッセージを連発する煽り厨もごくたまにいるが、本作で起こりうる不快行為はせいぜいそのくらいである。これも相手ヒーローの肖像を右クリックして「黙らせる」を選択すれば非表示にできる。
    • 切断は基本的に切断した側の敗北(された側の勝利)と扱われるし、投了も可能なので切断されることは(不可抗力を除いて)ほぼない。また放置に対しては、1ターン完全放置すると翌ターンの制限時間が大幅に縮まるという形で対策が取られている。
  • 様々な小ネタ
    • ソロ・アドベンチャーで特定のカードを出すとヒーローが反応するなど、小ネタが充実している。
    • 弱小カードも対応していることがあり、ゲームを盛り上げる。

賛否両論点

  • ヒーローやミニオンのグラフィックは極めて美麗だが、基本的に洋ゲーセンスなので日本人にとっては好みが分かれる。
    • 白目をむいている人がやたら多く、女性キャラクターは総じて勇ましい。
  • 他のTCGでも言えることだが、多くの構築デッキに入る使いやすいカードと、構築デッキに全く入らないような使いにくいカードの明確な差は存在する。かつ、一度登場し「使いにくい」と評されたカードが強化される機会はほぼ皆無である。
    • 《ドグサレガオ》など、ランダムでミニオンを召喚するカードも多いので弱小カードにも出番がまったくないということはない。
    • バランス調整としては極端に強すぎるカードの弱体化(nerf)がほとんど。弱体化によって使い物にならなくなってしまったカード(《レプラノーム》など)も存在する。
    • 本作には作成システムがあるため必要なカードを揃えることが比較的容易であり、さらに闘技場モードがあるためどんなカードでもある程度の出番はある。また、高いレアリティのカードが使いづらくても、それは気兼ねなくリソースに変えられるということでもある。
    • 2019/06/04に、一部のカードが強化修正された。今後も継続的にこのようなアップデートが行われることが期待される。
  • 闘技場
    • Ver7.1のアップデートで、出現するのはスタンダードカードだけになった。
      • 後述する《ドクター・ブーム》など、スタン落ちしていたカードの活躍場が減ってしまった。
      • ほぼ使い道のないカードが出現しなくなった点は好評。
    • 登場するカードが減ったので、覚えるべきカードも減り初心者には優しい仕様になった。
    • Ver7.1のアップデートによる他の変更点も多く、良くも悪くもゲームバランスが変わっている。
  • ヒロイック喧嘩
    • 酒場の喧嘩で時折開催される。闘技場のように入場料を払い12勝するか3敗するまで対戦する。
    • 自分の所持するカードでスタンダードデッキを構築する必要がある。
    • 入場料が1000Goldに設定されている。闘技場が150Goldで挑戦できることと比較すると非常に高い。
    • 報酬は0勝だと「カードパック1つ」、12勝で「50パック、約1000魔素、約1000ゴールド、ゴールデンレジェンドカード3枚」と両極端。
      • 以上のような仕様から、ハイリスクハイリターンな環境で実力を確かめたい上級者専用ルールと言える。
      • 普段の酒場の代わりに開催されるため、門前払いされる初心者は勿論のこと、普段の酒場報酬が欲しい中~上級者からも不評である。

問題点

  • 非常に強力な上に運に左右されるカードの存在
    • 「絶妙なゲームバランス」を評価点として述べたが、残念ながらこの評価を覆しかねない“壊れカード”が存在するのも事実である。
    • 以下、過去に大きな問題となっていたカード。
+...
  • 2015年度に強すぎると指摘されていたのが、「ゴブリンvsノーム」というパックのレジェンドの中立ミニオンである《ドクター・ブーム*8が殆どのデッキに入るほど強力だった。
    このカードは7マナ7/7というマナ相応の数字に加えて、手札から場に出た時に《ブームロボ》という「破壊された時に相手のランダムな目標に1-4点のダメージを与える」1/1のミニオンを2体召喚するという、まさにアドバンテージだらけの出し得カードである。
    • その後、スタン落ちしてワイルドでのみ使用可能となった。
  • 2016年度、スタンダード環境でプレイヤーから強すぎると言われていたのが《希望の終焉 ヨグ=サロン》という怪物級ミニオンである。
    「旧神のささやき」というパックの目玉であるレジェンドミニオンで、10マナという最も重いマナコストのカードなのだが、手札から場に出た時の効果が「自分がこの対戦で今まで使った呪文カードの枚数分、ランダムな呪文効果をランダムな対象に対して使用する」という無茶苦茶な代物である。
    • 当初はコストが重すぎるせいもあり、非実用的なお楽しみカードと思われていたのだが、しばらくすると「絶望的な状況をたった1枚でリセット・逆転できる可能性が高い」パワーカードであることが知れ渡り、全体的に速攻型のデッキが弱くなった事もあって多くのデッキに切り札として組み込まれるようになった。
    • 強すぎるということに加えて、効果が運次第という点も対戦相手から嫌われた。
    • その後、「自身の放った呪文の効果によって自身が除去された場合、その時点で呪文を使うのは止まる」という弱体化修正がなされ、ランク戦の上位デッキからは姿を消した。
  • 2017年8月以降、あまりに強すぎると問題視されているのが、「凍てつく王座の騎士団」に含まれるドルイドのスペルカード《究極の侵蝕》である。
    10マナのスペルで、その効果は「(好きな目標に)5ダメージを与える。カードを5枚引く。装甲を5獲得する。5/5のグールを1体召喚する。」というもの。
    少しでもカードゲームを嗜む者なら目を疑うような事が書いてある。とりわけ「カードを5枚引く」がやばすぎる。
    • 10マナという、このゲームで最も重いカードではあるが、ドルイドはマナ加速を得意とするヒーローであるため、10ターンよりも早くこのカードが出てくる場合が多いのである。
    • 前述2つがレジェンドなのに対してこれはエピックなので、比較的安い魔素で作成できる。さらにエピックなのでデッキに2枚入れられる。そのため一時は、アグロ(速攻型)を除くほとんどのドルイドデッキでこれを見かけることになり、対戦相手をうんざりさせた。
    • ただし、運営は2017年9月5日の公式発表で「統計データによれば、《究極の侵蝕》が有効に働く度合いは真ん中程度にすぎない」「使用した際の効果の大きさから、実際以上に強力であるように感じられている」と述べている。
    • そして運営は《究極の侵蝕》を修正するのではなく、ドルイドのマナ加速能力を担っていた《練気》という別のカードを弱体化修正するという意外な対応をとった。
    • また、同じくドルイドの《広がりゆく虫害》という呪文カードも「強すぎる」「《究極の侵蝕》を使うまでの時間稼ぎに最適で隙がなさすぎる」等と言われていたが、こちらはマナコストを1上げる弱体化修正がなされた。
    • 結局、スタン落ちするまで《究極の侵蝕》が弱体化修正されることはなかったが、他の多くのドルイドカードが弱体化の対象になったことで「ドルイドだけが圧倒的に強すぎる」という状況は是正された。
  • 2018年度に問題とされたのが《月を食らうものバク》《ゲン・グレイメイン》という中立のレジェンドミニオンである。
    • 対戦の開始時に、バクは「デッキ内のカードのマナコストがすべて奇数ならヒーローパワーを強化版に変更する」、ゲンは「すべて偶数ならヒーローパワーのコストを2ではなく1にする」という効果を発動させる。
    • いわゆる「奇数デッキ・偶数デッキ」を成立させるカードなのだが、あまりにも強すぎてスタンダードフォーマットで見かけるデッキの多くがこのスタイルになってしまい、環境に停滞と閉塞をもたらしていた。
    • さらには他のカードが「奇数・偶数デッキにおいて効果がありすぎるから」という理由*9でマナコストを1上げる修正が行われるに至って、ついにプレイヤーたちの不満は頂点に達した。
    • 開発側にとっても、新しいカードを生み出すにあたって「奇数・偶数デッキ内でどのくらい強いか」ということを常に考慮しなくてはならないため、開発上の足かせになっていたのではないかと推察される。
    • その後、この2種と、これらほど強くはないが同様の「奇数・偶数」メカニズムを備える4種のカードは「殿堂入り」として、本来の予定より1年早くスタン落ちした。
      しかし、とばっちりで弱体修正されて使用に堪えなくなったカードたちは、もう帰ってこない。
  • その後も新カードパックの発売のたびにゲーム環境は劇的な変化を遂げている。
    安定した良バランスと評価される時期もあれば、特定のヒーローやデッキスタイルが強すぎてつまらないと言われる時期もあり、その評価は一定していない。
  • あまりに強すぎると運営が認めたカードは定期的に弱体化修正が行われており、環境の適正化が進められている。
    しかし、「対応が遅い」「適切な対応でない」といった批判も多い(問題のあるカード自体ではなく他のカードを修正したり、不変であるはずの「基本」「クラシック」カードに頻繁に手を加える等)
    • 弱体化修正されたカードは一定期間、作成時と同じコストの魔素に還元できる(普段は作成時の数分の一)。これが所持カードを弱体化されたユーザーへの「補填」なのだが、「レジェンドカードを弱体化するとユーザーに大量の魔素を渡すことになり課金に悪影響が出るので、運営はどんな手を使ってでもレジェンドの弱体化を避けているのではないか」という邪推がユーザー間に流れている*10
  • 特に2018年度の『ワタリガラス年』は、「奇数・偶数デッキに環境が塗りつぶされてしまった」「前年度『マンモス年』のカードが全体的に強すぎたせいで次の年も変わり映えがせず、ゲームバランスもよくなかった」と不評であり、本作の人気と売り上げに深刻な傷跡を残している*11
  • 先の対戦中の定形メッセージ表示だが、初期設定で非表示にすることはできない(必ず相手ヒーローをクリックして黙らせる必要がある)。「相手に何か言われるだけでも嫌」というプレイヤーは毎回非表示にする必要があり、地味に面倒。
    • ちなみに開発者はこの点について「変えるつもりは全くない」とのこと。
  • バグ
    • カードの仕様ミス、特定の操作でクラッシュなどのバグが発生することがある。
    • 大抵はすぐにアップデートで改善されるので、大きな問題にはなっていない。
    • バグというわけではないが、高度な3D処理をしているわけでもないのにクライアントソフトがやや重め
      メモリが4GB以下のPCではたまにフリーズすることもある(新しめのゲーム向きPCなら全く問題ない)。

総評

優れた操作性とゲームバランス、そしてカジュアル性が特に評価され、全世界で圧倒的な支持を集めている傑作TCGである。
非常にテンポが良く、1ターンに費やす時間や勝敗が決するまでの時間が短い点が特徴。それでいて面白さや奥の深さは他のTCGに劣るものではなく、ついつい連続でプレイし続けてしまう高い中毒性を備えている。特に操作性に関しては、およそ文句のない完璧な完成度である。
また、他人から不快行為を受けることがなく自分のミスで他人に迷惑をかけることもない気軽さを理由に本作を愛好する人もいる。
基本無料の課金制ゲームでありながら、トップレベルを目指さない限りは重課金を必要としない点も特徴的である。
本作以降にリリースされた多くのコンピュータTCGも、本作のルールや操作性、課金/無課金のバランス感覚などを大いに参考にして作られている。


余談

  • 本作にはAmericas(NA)、Europa、Asiaの3つのサーバーがあり、1つのアカウントで3つのサーバーそれぞれに1つずつゲームデータを持つことができるのだが、日本人新規プレイヤーが今からどのサーバーでプレイすべきかわからずに混乱する例が多く見られる。
    • 2015年11月現在、日本人プレイヤーの間で主流なのがAmericas鯖なのだが、Asia鯖の新設により今後はこちら主流に移り変わっていく可能性がある。
    • さらにBlizzard社は、Americas鯖でのプレイデータ(課金履歴など)に見合う分のカードパックをAsia鯖のプレイデータに付与するという措置を行った。これを「運営は日本人に対してAsia鯖への移住を促している」と解釈した層が、このままAmericas鯖で遊び続けていいものかどうか悩み始めるという事態に至っている。
    • 日本語対応以降に本作を開始した日本人はほとんどAsia鯖を選択している。日本国内大会などに参加するためにも、今から本作を始める人にはAsia鯖をおすすめする(2017年3月記述)。
  • 世界大会も行われており、2014年の優勝者には$10万の賞金が授与された。
    • 2016年には国内大会が開かれ日本でも世界大会に参戦するプレイヤーが選出された
  • 今までBrizzardのゲームは日本ローカライズに恵まれなかったが、本作において初の本格的な展開に恵まれることになった。
  • 《Psych-o-Tron》というカードの翻訳は《マジキチ・オ・トロン》……だったのだが、アップデートで《マジヤバ・オ・トロン》に変更された。
    • 名前のエラッタという珍しい例である。
  • 定形メッセージは一度送ると数秒のインターバルが発生して、連続して送れない。
    • ただしフレンド対戦なら連続で送ることが出来る。
  • 以後の多くのコンピュータTCGに多大な影響を与えた、エポックメイキング的な作品である。
    • 日本国内、国外を問わず、「ハースストーンクローン」と呼んで差し支えないようなゲームが多数存在している。
    • TCGの始祖をコンピュータゲーム化した『Magic: The Gathering Arena(MTGアリーナ)』も、操作性に関しては本作を見習っている部分が多い。
添付ファイル

*1 現時点では『World of Warcraft』ではプレイヤーが選べるクラスは11種類あるが、追加コンテンツであるMonkとDeath Knightは本作には登場していない。

*2 課金コンテンツとして追加ヒーローもいるが、見た目と音声が異なるだけで性能は既存9人のいずれかと同じ。

*3 より詳しい調査で判明したが、レジェンドの出現率は20パックに一枚・ただし40パックまでに1枚確定で出る(いわゆる天井)。同様にエピックは5パックに一枚、10パックまでに1枚確定。また初めて買う種類のパックは10パックまでに一枚レジェンド確定(新規プレイヤーへのご祝儀)

*4 『MTGアリーナ』等とは違い、作り上げた限定構築デッキがそのままもらえるわけではない。

*5 現実的には3勝ボーナス×10=100Goldを毎日取得するのは困難なので、1日1パック開けられたら上出来だろう。

*6 前述した追加ヒーローは課金のみ。ただし性能差はまったくない。

*7 もちろん、相手のカード1枚を処理するためにこちらのカード複数を消費しているので、その分だけ形勢は不利になる。

*8 名前の時点でマーベルコミックスの名ヴィラン「Dr.ドゥーム」のパロディキャラクター。

*9 公式が明言したわけではないが、多くのプレイヤーがそう考えている

*10 一方で運営はキャンペーンで10個前後のパックをタダでくれるような気前の良さも持っているので、これは本当に邪推なのかも知れないが。

*11 SUPER DATAの2019年2月発表によれば売り上げ前年比52%減