ファイナルゾーンII

【ふぁいなるぞーんつー】

ジャンル アクションシューティング+シューティング
対応機種 PCエンジン CD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 日本テレネット(RENO)
発売日 1990年3月23日
定価 6,780円
判定 なし
配信 プロジェクトEGG:2012年11月6日/500円(税別)
ポイント PCソフトからのPCEオリジナル続編
戦場の狼チックなゲームパート
無難な出来だが作り込み不足


概要

  • 今は亡き日本テレネットが1990年にてPCエンジンにリリースしたCD-ROM2ソフト。ジャンルとしてはアクションシューティングメインとなる。
  • かつてテレネットがリリースしたパソコンソフト『ファイナルゾーン』*1の続編にあたる作品であり、PCE限定の続編でもある。なお、特に前作に触れていなくても、プレイに支障をきたす要因はなく、単独でも十分楽しめる。
  • [ストーリー] 反乱軍鎮圧の任務を命じられた、ボウイ大佐率いる連邦軍特殊武装部隊「TOP」。彼らが待機する軍事衛星「ヴァルハラ」が何者かによって爆破され、任務遂行の為、ボウイは仲間達と合流しながら反乱軍の占拠する科学兵器へと急ぐ。しかし、そこには軍部の秘密基地「ZODS」によって仕組まれた恐ろしい罠が待ち受けていた。(以上、説明書のストーリーを多少改変した転載)
  • 一人プレイ専用、全7ミッション*2構成。

主なルール

  • いわゆる『戦場の狼』ライクなアクションシューティングであり、前方に進みつつもステージ最後に待ち構えるボスを倒せば次のステージへ進めるという流れとなる。なお、前のスクロールに進むと、後ろへのスクロール(後戻り)は一切できなくなる。
    • 但し、ステージ3に関しては純粋なる縦シューティングとなっている(詳細は下記にて)。
  • ステージ開始前に最大5人のキャラから一人選びバトルに挑むキャラ選択制となっている。
    • ステージ1~3に関しては使用キャラが固定されているのでキャラ選択はできない。また、ステージ4~5は選択キャラが2人、ステージ6は選択キャラが3人しか選べず、5人全員からキャラを選べるのは最終ステージのみとなっている。
    • ステージ3を除けば、プレイヤーキャラを乗せた新世代パワードスーツ「NAP」(New Age Powerdsuits)*3を操作する事となる。ステージ3に関しては戦闘ヘリでの操作となり、NAPとは無関係である。
  • 以下、選択キャラ/専属NAPの詳細。
    • 「ハワード・ボウイ大佐/LUPUS(ルーパス)」 - 本作の主人公にてTOP隊長。NAPの性能はバランス重視。ステージ1、5、6、7にて出撃可能。
      • 主火器はバルカンファランクス、副火器はバズーカを搭載。
    • 「ハンナ・フランクス少佐/PUMA(プーマ)」 - TOP所属。NAPの性能は攻撃力重視。ステージ2、5、6、7にて出撃可能。
      • 主火器はバルカンファランクス、副火器はビームランチャーを搭載。
    • 「アイザック・ヴェルダー元大佐/TREMOR(トレマー)」 - 現極秘調査隊第四部士官。NAPの性能は白兵戦能力重視。ステージ6、7にて出撃可能。
      • 主火器はロングセイバー、副火器はビームライフルを搭載。
      • また、ステージ3ではNAPとは別で、彼をパイロットとした特殊戦闘ヘリ「REDVAL(レッドバル)」を操作する事になる。
    • 「ランディ・ハンセン大尉/OCELOT(オセロット)」 - 連邦軍兵士。NAPの性能は多様性重視。ステージ4、7にて出撃可能。
      • 主火器はビームターレット、副火器はミサイルランチャーを搭載。
    • 「リン・モモコ元中尉/DUGONG(デュゴン)」 - ボウイの妻であり、ウエルダーの妹。NAPの性能はスピード重視。ステージ4、7にて出撃可能。
      • 主火器はアサルトライフル、副火器はグレネードランチャーを搭載
  • 自機(NAP)の主な操作方法は、方向キーにて自機の八方向移動など、ボタンは各自、主火器攻撃(以下メインショット)ボタンと副火器(以下特殊ショット)ボタンに使用する(ステージ3は若干操作方法が違う(下記))。
    • 方向キーは自機の移動と共に射程方向調整も兼ねる。よって、敵に攻撃を定めるには移動しながら攻撃向きも同時に調整する必要がある。
    • 方向キーを特定方向に入れっぱなしにしながらショットか特殊ショットボタンを押せば、自機を固定させながらその方向への攻撃ができる。但し、移動しながらの方向固定は本作にはできない。
    • メインショットはいわゆる通常攻撃にあたる攻撃。各機体共にショットを撃つとその間は自機移動ができず隙が発生してしまうので注意である(下記特殊ショットも同様)。
    • 特殊ショットは全キャラ/NAPに弾数制限があり、メインショットよりも火力の高い性能を持つ。
    • ステージ3は純粋なる縦シューティングであり、方向キーでヘリの八方向移動(必ず前方のみのショットとなる為、方向調整はできない)、ボタンは他ステージと同じメインショットと特殊ショットに使用する。
  • 一部の敵を倒すと以下のアイテムを落とす。なお、「B」と「H」、「S」と「P」のアイテムは時間にて交互に切り替わる形式となっている。ステージ3には「S」「P」は出現しない。
    • 「B」…特殊ショットの弾数を一定数回復。
    • 「H」…ライフが一定数回復。
    • 「S」…ライフが全回復。
    • 「P」…ライフの最大値が一定数増加する。
  • ライフ制で全部なくなるとゲームオーバー。コンティニュー可能だが、そのステージの最初からのやり直しとなる。
    • クリアまでの制限時間は一切設けられておらず、じっくりと先に進みながらの攻略が可能となっている。
    • 以前のステージで選んだキャラ/NAPを次ステージにて再度選ぶと、前ステージにてダメージをもらったライフは若干回復するが、完全にはライフやショット関連は回復しきれないままのバトルとなるので注意。

評価点

  • 特に複雑なシステムは存在せず、ゲーム自体も無難に作られたといった感じであり、テレネット製にしては割と遊べる内容。良くいえばすんなり入り込める安心感。
    • こういっちゃ何だが、当時のテレネットが関わるソフトの多くは悲惨な出来なものが多く、それに比べれば本作は比較的まともな出来といえる。
  • やはりテレネット製のお約束に漏れず、BGMのクオリティは極めて高い。残念ながらサウンドテストは不可だが。
    • ボーカルBGMが2曲程存在する。1曲目はタイトル画面で流される曲で、どことなく70年代ロボットアニメを彷彿とさせる暑い…もとい熱い男性ボーカル曲。もう1曲は下記にて。
    • このゲーム独特の特徴として、使用しているキャラ/NAPによって道中BGMが変わるという仕様がある。いわば、各キャラ毎にメインテーマが用意されているものと思ってもらえればいいかと。
      • 特にモモコ機で使用すると流れるBGMはソウルフルな女性ボーカルBGMであり、これがなかなかの良曲だったりする。しかし、本作におけるモモコは特にメイン的位置付けにいるキャラではなく、どちらかといえば脇役寄りなキャラに留まっており、何故彼女にこの曲が用意されたのかは不明(もしかすると前作に関連しているかもしれない)。
      • また、ランディ機BGMは妙に『超兄貴』臭がする気だるい曲調である。ランディの容姿はいかついスキンヘッドの野郎であり、曲が曲だけに…いや、やっぱり止めとこう。
      • なお、各キャラの専属BGMが流れるのはステージ1~6の道中限定であり、最終ステージとボス戦では全キャラ共に固定のBGMとなっている。
  • またまたテレネット製のお約束、豪華声優陣を起用したビジュアルシーンも完備されている。ビジュアルはオープニング、各ステージの前後、エンディングに至るまで必ず流される。
    • 主人公のボウイ役の声優はシブかっこいい声に定評のある広中雅志氏を起用。なお、広中氏は同じテレネット製である『PCE版ゴールデンアックス』のアックス・バトラー役や、『キアイダン00』のジョウ・ダグボーン役も演じている。

賛否両論点

  • 完全なるリアル系統の近未来戦争が舞台のストーリーであり、良くいえば硬派でかっこいい作風といえるし、悪くいえば地味で熱血的なものが足りない。
    • 同じアクションシューティングでゲーム性に類似点が見られる、同社の『レッドアラート』とは真逆の雰囲気を持っている作品である。
    • おバカテイスト満載で火傷しそうな程に熱い展開が満載だった『レッドアラート』に比べると、本作は本当にシリアス一色でネタになりそうなイベントは皆無となっている。また、イベント数や声優陣によるボイスの収録数に関しても本作は『レッドアラート』に比べると若干少ない。

問題点

  • ゲーム自体は無難な出来ではある反面、作り込みの浅さも幾つか目立つ。
    • テレネット制のアクションやシューティングにありがちな自機ダメージ後の無敵時間が皆無という理不尽さは本作にもあり、下手すればライフ最大から一撃で致命傷なんて事も普通に起こる。このゲームにおける死亡要因の多さがこれで、たとえ敵が雑魚ばかりで余裕そうな状況でも気が抜けない。
    • テレネット製にありがちな、敵や背景の使い回しの多さも多く、いまいち先に進んでる感に乏しい。ステージ3と最終ステージは専属の雑魚敵なのだが、それ以外のステージはほぼ似たような敵のみで構造されており面白みの少ないものとなってしまっている。
    • さらには半数のステージにおけるボスが雑魚が大量に出現するだけ(いわゆる雑魚ラッシュ)で終わらせている場面すらある。まぁ、戦場の狼もボス = 雑魚ラッシュだったので、リスペクトしているともいえなくもないが…。
    • 他にも、各キャラのアニメーションパターンが少ない、一部敵弾と背景が同化して判別し辛い、といった不備も存在する。
  • ステージ数と使用できるキャラの割合の比率がおかしい。一見すると、5キャラから選択できるのは魅力そうに思えるのだが…。
    • ステージ1~3は完全に使用キャラ固定だが、この辺はまだ話のプロローグ的な意味合いも兼ねてるので、まだ納得できるが…。
    • ランディ機、モモコ機は全ステージ中の2ステージ(4と7)しか選べない。しかも、最終ステージ(7)のBGMはどのキャラを使用してもラスト専用曲なので、モモコ機の女性ボーカルやランディ機の兄貴曲はステージ4でしか聞けない。何故だ?
    • ヴェルダー機もステージ3は戦闘ヘリでのバトルな為、NAPに乗ったヴェルダー機を操作できるのはステージ6~7しかない。ボウイに次ぐ主役級キャラなのに何この扱い?
    • 選択できる機会が多いボウイ機とハンナ機ですら、全ステージ中の4ステージ限定と、あまり多く出撃できているとはいい難い。
    • ストーリーの流れの関係上、キャラの使用が制限されてしまうという致し方ない事情はあるのだが、それにしたってこのキャラ使用制限が激しさはおかしいとしか思えない。特に、モモコ機、ランディ機の冷遇さはかなりアレである。
  • 曲そのものは上質なのだが、曲数があまり多いとはいえず、この辺も使い回しが目立っている。ちなみに、本作はクオリティ重視なのか、内蔵音源によるBGMが一切存在しない(すべてCD音源の楽曲)。
  • エンディング後のスタッフロールが存在せず、最後は「END」と表示されるだけで終わる。歴代のテレネット製ソフトでも、そこはちゃんと用意されているのに何故?
  • ビジュアルシーンによるイベントの流れがやや端折られ気味であり、意外とそっけなく話が進行する節がある。
    • とはいえ、話自体はそこまで複雑なものではなく綺麗に纏められてはいるし、ラストの展開は戦争という行為の悲しさを実感させられるやるせない終焉にて締められている。

総評

  • ゲームパート的にも、ストーリー的にも無難には纏まっている出来で、特にクソゲーと呼べるような致命傷は確認されていない。しかし、細かな不備は色々とあり、「作り込めば良作認定間違いなし」と思える段階を放棄しているかのような作りの浅さも目立っている。
  • 面白い要素は持っているのに、それを引き出そうとしないあたりがテレネットクオリティというべきか…。とりあえずは最低限の面白さは確かに持っているので、ストーリーを楽しみながら暇潰し感覚で遊ぶには決して悪くはない作品だと思われる。
  • 1990年10月に往年の名機シャープX68000とメガドライブにて『FZ戦記 アクシス』*4というタイトルの続編が1作目を手掛けたウルフチームから発売されている。パッケージ*5や雰囲気もガラッと変わり、ゲームもゲリラ戦からクォータービュースタイルのロボットバトルとなったので、ストーリーを読まない限りは今作とのつながりについては気が付き難い。*6

余談

  • 本作の黒幕、アレフ・ロイマン博士と、『レッドアラート』の黒幕、ガルシア博士の容姿が非常に似ている。
    • 博士という肩書き、バイオモンスターを生み出すマッドサイエンティスト、主人公らに殺意を抱いているという点も共通。
      • 特に両作に繋がりがある訳ではないので、単なる偶然の一致という説が濃厚だが。

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最終更新:2023年09月27日 16:35

*1 開発は当時日本テレネット内の開発部門だったころのウルフチーム

*2 便宜上、以下ステージと表記する。

*3 一応、NAP自体は『FZ戦記 アクシス』にも登場するが本作に出てくるものとは素性などが全く異なっている。本作が(ビジュアルシーンを見る限りでは)「兵士が直接装着する外部装甲」なのに対し、『FZ戦記 アクシス』では完全に「ロボット型の機動兵器」になっている。

*4 GENESIS版は『Final Zone』のタイトルで発売された

*5 パッケージイラストは『超時空要塞マクロス』のキャラクターデザインでも知られる美樹本晴彦氏が手掛けている。

*6 『FZ戦記 アクシス』のストーリーを読むと主人公であるハワード・ボウイの1作目での功績(166号作戦におけるGN-16Bの破壊)の下りがあるので明らかに1作目から話が続いているのは明白だが、『Ⅱ』の部分についてはほぼ書かれていない。「Ⅱ」はウルフチームが一切関わってないこともあり設定や世界観の繋がりが同作とは希薄なのもそれに拍車をかけている。