未来戦史ライオス

【ふゅーちゃーうぉーず らいおす】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 パック・イン・ビデオ
発売日 1989年12月1日
定価 6,300円(税別)
判定 なし


概要

機動戦士ガンダム』に代表されるリアルロボットアニメの様な、巨大ロボットによる戦争を描いたウォーシミュレーションゲーム。
「ライオス」という惑星を舞台に、バトルアーマーと呼ばれるロボットの軍隊を率いて解放戦争を行う。

ストーリー

ディザーバス太陽系第8惑星『ライオス』。この星には海に浮かぶただ一つの大陸に6つの王国があり、バトルアーマーと呼ばれる全長15m程の軍事用ロボットが実用化されていた。

惑星歴59077年頃、悪の王国ゴインキアの国王はライオス全土征服を企み、バトルアーマーを量産。その戦力をもって、セシリア王国以外の4ヵ国を手中に収めた。

しかしゴインキア王国がセシリア王国に侵攻しようとしたその時、セシリア王国の王子ヤッピーは「平和を乱す者を許してなるものぞ」と自ら戦う決意を固める。

そして惑星歴59086年、ライオスに平和をもたらすため、セシリア王国から22機のバトルアーマーが飛び立った…

特徴

  • まずワールドマップを移動し、戦闘するエリアを選ぶ。勝利するとそのエリアは解放された事になり色が変わり、新たなエリアに進める様になる。
    • 戦闘マップの他に、情報を貰える町や城のエリアもある。
  • 自軍・敵軍とも、指揮官機は1機で1ユニット、それ以外の部隊は3機で1ユニットとして扱われる。
    • 各ユニットは、出撃前に武器とレッグの選択が行える。レッグは2本脚・キャタピラ・ウイング・タイヤ・フロート(水上用)などが用意されているが、それぞれに積載限界があり、それを超える重さの武器は装備させることができない。
    • 各ユニットにはHPと弾数(攻撃回数)が設定されている。HPが0になった機体は破壊され、そのマップ中では復活できない。3機編成のユニットは1機ごとにHPが設定されており、1機倒されるごとに戦闘力は落ちるものの、全滅しない限りは戦闘を続行できる。
  • これら戦闘用ユニットの他に、補給用ユニット「シャトル」が存在する。
    • 自フェイズの初めに1ユニットのみ補給を行え、機体のHPと弾数を全回復させる事ができる。マップ中、これ以外の回復方法は存在しない。
      • シャトル自体はHPこそ高いものの、攻撃も移動も行えず、自身を回復させる事も出来ない。
  • どのマップも、勝利条件は「敵の指揮官とシャトルの両方を破壊する」または「シャトルを除くすべての敵を破壊する」こと。
    • 敗北条件は「自軍の指揮官とシャトルのどちらかが破壊される」ことである。自軍が不利な条件である。
      • とはいえ、敗北後のペナルティがない。また、後述の資金・経験値の概念がない事と、ロストした機体も戦闘後に即修復される事もそれに拍車をかけている。
  • 資金や経験値は存在しない。特定のエリアで勝利すると、新装備が入手でき、全ユニットの命中率や防御力が上がったり、指揮官機がパワーアップしたりする。
  • セーブデータは1個所のみ。勝利か敗北をした直後のみ、セーブできる。同時に破壊された機体も全て復活する。

評価点

  • 最初から様々な装備が揃っており、編成の自由度がかなり高い。戦闘開始前にマップが表示され、それに合わせて自分なりの作戦を立ててプレイするのが楽しい。
  • ロボットのデザインがなかなか良い。パッケージや説明書のイラストはかなりかっこよく、ゲーム画面でもそれがある程度反映されている。
  • 音楽はタイトルを始め良い。味方ターンの曲は一種類だが、敵ターンの曲は舞台となる国ごとに6種類用意されている。
  • 戦闘シーンの演出は、ロボットのバストアップ画像と数種類の爆発エフェクトを使った、ファミコンとしては迫力のあるもの。
    • 戦闘シーンの間はBGMはないが、その分特徴的なエフェクトやSEが際立ち、脳裏に残りやすい。

賛否両論点

  • 世界観がややカオス。
    • 説明書や戦闘シーンを見る限りではリアルロボット風のシリアスかつハードな世界観だが、主人公の名前がヤッピーだったり、敵味方共に部隊がやられる際、マップ上のユニットが爆発すると同時に二頭身のパイロットが歩いて退場していったり、勝利時には「やったー てきをたおしたぞー」、敗北時は「いっしょうけんめいたたかったのにー。」とメッセージが出るなど妙にコミカルでゆるい部分もある。

問題点

  • ゲームバランスは割と大味。
    • 主に敵の数で調整されている。序盤はこちらより1機少ないくらい、配下敵HPもこちらより低めだが 終盤はこちらの2.5倍くらいまでの敵総数になる。
    • 敵のAIはあまり賢いと言えず、こちらの装備にしてもレッグは全員ウイングにして、武器は指揮官機は前半に手に入るガトリングガン、部下は全員アサルトライフルという一辺倒の編成が移動・弾数の面で安定しており、一番クリアが楽である。
    • もちろん他のレッグや武器が使えないという訳ではなく、ほとんどの装備がそれぞれの強みを持っている。とことん攻撃力重視なら平地戦ではタイヤ+レーザーキャノンもかなり強いし、森などに陣取って長射程武器でちまちま削る戦い方でもちゃんと戦果は挙げられる。指揮官はミサイル+フットというのもそれなりに有効。
      • ただしキカンホウ(機関砲)とサブマシンガンのみ取り柄のない完全な地雷装備。
  • 新武器はどれも「一つしか手に入らなかった」という理由で指揮官しか使えず、部下機への武器追加は一切ない。
    • 性能をアップさせる装備の方は部下機にも効果がある。
  • FCのスペック上仕方のない事なのかもしれないが、敵の思考時間がやたらと長い時もある。敵総数が多い終盤ステージにありがち。1マップクリアに1時間以上かかることも。しかも中断セーブが出来ないので、ちょっとした時間にプレイしにくい。
  • 攻撃の時に強制的に画面が切り替わり武器の演出が入ることも時間がかかる要因の1つである。効果音などの演出が一発一発行われ、被弾、ロスト判定並びにその処理も一機一機ごとに行われるので少し間延びした印象を受けるかもしれない。一網打尽に撃破すると爽快感はあるが。
  • バトルアーマーがHP0で破壊される際の演出がはっきり言って稚拙。
    • 小さな爆発数回した後消滅…と無残さをあまり感じない。前述の戦闘後に即修復からすると、破壊の程度が配線が焼けてシステムダウンに陥った程度と推測される。
      • 閃光と同時に大爆発…だったら無残な演出になるが、前述の撤退シーン等のコミカルさと合わない作風になりかねない。
  • クリアまで非常に時間がかかる上、新装備入手以外のイベントもないので、プレイが中だるみしがち。
    • クリアするだけなら全てのマップを攻略する必要が無いのが救い。また最短ルートでもある程度新装備が集まるようにはなっている。
  • ターンの初めに補給が終わった後、指揮官の行動を終了させてからでないと部下を行動させられない。
    • 部下の行動は「まにゅある」も含めた9種類の命令から1つ選ぶスタイル。指揮官として采配を振るっている感を味わうことは出来るが、やはり思考時間がある上に大まかな指示しかできない(ある敵部下を集中攻撃しろといったことはできない)ので結局プレイヤーが自分で操作できる「まにゅある」を選んだ方が良い。
      • しかしよりによって「まにゅある」の項目はコマンド表の1番下にある。上キーを押せばすぐ選べるが、キーレスポンスが良いのが災いして、たまにカーソルが通りすぎてその上の「まかせる」を間違って選んでしまうことがある。
  • 全体マップ移動の時、隣の国に入るためには特定の場所から入らなければいけない仕様なのだが、国境や関所といったものは画面には一切表示されない。
    • 通れるか通れないかは、実際にそこまで移動してカーソルが出るかどうかで判別しないといけない。

総評

待ち時間が長いなどの問題はあるものの、編成や戦略の自由度の高さ、戦闘時の演出のかっこよさなど良い点も多く、マイナーゲーながらプレイヤーからの評価は割と高い。
ロボットのカスタマイズは当時としては比較的斬新な要素であり、着眼点は良い。もう少しテンポやバランスを良くすれば良作にもなり得た惜しい作品である。


余談

  • 発売初週での売上ランキングでは58位ととんでもなく売れず、その後ベスト20に一度もランクインしたことがなかった。
    • この当時のゲームソフトの売上は9割以上が発売初週に一気に売れて、2週目で急激に落ち、3週目以降はジワジワ落ちていく「初週集中型」だったので、ウラを返せば初週で売れないようなゲームはまずヒット路線から脱落。現在超レアモノと呼ばれるソフトの大多数が初週にベスト20入りすらできなかったものばかりである。
    • にもかかわらず、本作は水面下では細々と長く売れていたようで現在でもそこまでレアモノというわけではない。

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最終更新:2023年12月23日 22:59