ドラえもん のび太のドラビアンナイト
【どらえもん のびたのどらびあんないと】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PCエンジン(Huカード/スーパーCD-ROM2)
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メディア
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4MbitHuカード/CD-ROM1枚
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発売元
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ハドソン
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開発元
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ナウプロダクション
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発売日
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(Hu)1991年12月6日 (SCD)1992年5月26日
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定価
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(Hu)5800円 (SCD)4800円
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判定
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なし
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ポイント
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アクションゲームとしてはごく普通の出来 ドラえもんのリアクションが楽しい Huカード版はドラえもん以外のキャラが空気
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ドラえもんシリーズ
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概要
1991年に上映された同名アニメ映画のゲーム化にあたる。メインジャンルはスタンダードな横スクロールアクションである。
他のアクションゲームとしてのドラえもんゲー同様にプレイヤーキャラはドラえもんが担当する。のび太など他のキャラはイベントシーンで登場するのみに留まる。
Huカード版とスーパーCD-ROM2版のマルチリリースとなっている。当時のPCEは同じゲームをHuカード、CD-ROM2系の2メディアにて発売する事が時折あった。
SCD版はHu版の上位バージョンの位置付けにあたる。ゲーム内容自体は両者共に特に相違はない。なお、SCD版の方が販売価格が1000円程安い。
SCD版限定として「アニメシーン導入やアニメキャストによるイベントフルボイス化」「エンディングに映画版のテーマソングが流される」といった演出が追加されている。
本作の約2年前に同じPCEソフトとして『迷宮大作戦』がリリースされたが、それとはストーリーはおろか、ゲームシステムも完全に別物化している。
よって、本作は単にドラえもんを題材とした単独のゲームである。
なお、PCEのドラえもんゲーは本作が最後のリリースとなった。
主なルール
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操作系統。
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方向キーにてドラえもんの移動操作。ボタンは各自、攻撃ボタンとジャンプボタンに使用する。
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方向キー左右で前後移動。
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方向キー下でうつぶせ動作。キー斜め下でうつぶせしながらの前後移動もできる。ただし、うつぶせ中は一切の攻撃ができない。
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攻撃ボタンを押すと今装備している武器型道具(下記)の攻撃を行う。
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ジャンプボタンでジャンプ動作。ボタンの押す長さによってジャンプ距離が変わり、ジャンプ中に方向キー左右である程度の移動調整が可能。ジャンプ中の攻撃も可能。
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時折道端に根っこが植えられている。それに接近して方向キー下 + ジャンプボタンを4回押すと、根っこを抜き埋められた"ドラ焼き"が入手できる。
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洞窟や部屋の入り口などがある場面で方向キー上を押すとその中に入れる。
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エリアによっては水中での戦いとなる場面がある。ここでの操作は方向キーでドラえもんの移動、攻撃ボタンで攻撃となる。うつぶせなどの操作は水中では行えない。
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SELECTボタンを押すとひみつ道具一覧リスト画面へ切り替わる。この画面では今所持しているひみつ道具の確認や装備・使用などが行える。
RUNボタンを押すとポーズができるが、一覧リスト画面もポーズの機能も兼ねるので、RUNボタンの使用意義はあまりない。
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その他、状況によっては「崖上の段差をよじ登る」「キノコに乗って大ジャンプ」などの特殊動作を要する場面がある。
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ステージ構成について。
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本作は最終を除く各ステージが4つのエリアに分かれており、該当エリアをすべてクリアしないと先のステージへ進めない。
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各ステージの1~3エリアはゴールポイントであるどこでもドアをくぐればクリア。4つ目のエリアは奥に待ち構えるボスを倒せばそのステージがクリアとなる。
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ステージ5(最終)はエリアが1つしかなく、エリアの奥まで進めばラスボス戦となる。
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本作は一本道のステージセレクト制を採用しており、先のエリアに進むだけでなく前のエリアへの後戻りも行える。
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一度クリアしたエリアはステージMAP画面にて再挑戦が可能。ただし、初回のステージ5だけは強制進行となり、ステージMAP画面に戻る事はできない。
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エリアが始まるとドラえもん後方にどこでもドアが置かれている(初回のステージ5は例外)。これにくぐればステージMAP画面に戻れるがクリア扱いにはならない。
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初回のステージ5をクリアし、エンディングを迎えた後にタイトル画面に戻ってコンティニューすると、ステージ5を含むすべてのエリアが再挑戦可能となる。
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ひみつ道具、及びアイテムについて。
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ドラえもんには多種多様な「ひみつ道具」を複数所持する事ができる。
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ゲーム開始時ではショックガンのみの所持だが、エリア内の様々な場所に配置されているアイテムを取得する事により、所持できるひみつ道具の数が増えていく。
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手に入れたひみつ道具の多くは一覧リスト画面に追加表示され、その中の武器型・消費型道具に関してはその中から選択(装備・使用)する事が可能。
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入手できる道具は主に「武器型」「消費型」「自動型」「即効型」「ネタ型」の5つの分類に分けられる。
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「武器型道具」は装備する事でドラえもんの攻撃として使用できる。使用回数はすべて無制限で好きな時に武器型の切り替えが可能。
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「消費型道具」は使用するとその道具が消費されてしまう。所持中の道具と同じ効果のアイテムを取った場合、強制的に効果が発揮されるが所持分はそのまま残る。
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「自動型道具」はエリア内の特定場所に近づくと自動的に効果が発揮される。使用回数は無制限。
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「即効型道具」は取得した時点で効果が発揮される。他のアクションゲームでいうところのアイテム効果とほぼ同じ感覚といえる。
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「ネタ型道具」は何かしらのお遊び演出が拝めるだけで、特にゲーム的な意味での効力はない。
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登場する主なひみつ道具(アイテム)の種類は以下の通り。
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ひみつ道具一覧
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攻撃型道具
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ショックガン
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初期装備。前方1方向に連射可能で一部の敵の動きを止める弾を発射する。 攻撃力は低く、敵によってはダメージすらも与えられない場合がある。
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くうきほう
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ステージ1内にて入手可能。前方1方向に強力な弾を発射する。 連射は効きにくいが、攻撃力が高く敵によっては前方に吹き飛ばせる(一撃で倒せる)性能も持つ。
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アタールガン
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ステージ1ボスを倒すと入手可能。ドラえもんの近くにいる敵にサイトが表示され、攻撃するだけで誘導弾がサイトを追尾してくれる。 しかし、連射が非常に効きにくい上に、弾の動きが鈍いという欠点も持つ。
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ヒラリマント
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ステージ2ボスを倒すと入手可能。敵や敵弾を画面外へと吹き飛ばす近距離専用のマント攻撃。 他の武器型道具に比べリーチが著しく短いものの、吹き飛ばした敵を他の敵に当てて倒す事ができる。
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?
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ラスボス戦途中で入手可能。ラスボス戦でしか使用できない特殊な武器型道具。ネタバレの可能性があるので名称と性能の説明は割愛。 その性質上非常に強力な攻撃だが、ラスボス戦を抜けると一覧リスト画面から消えてしまう。
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消費型道具
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タンマウォッチ
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使用すると一定時間敵の動きが止まる。
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バリヤーポイント
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使用すると一定時間ドラえもん周りにバリアが張られ、触れた敵を吹き飛ばせる。ただし、完全無敵ではないので状況によってはダメージをうける可能性あり。
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バリヤーオマモリ
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使用すると一定時間完全無敵になる。しかしその反面、バリアーポイントとは違って敵を吹き飛ばす効果はない。
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ぎゃくどけい
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ライフがなくなった時、1度だけライフが全回復する。ただし、持っているだけでは効果が無く、あらかじめ使っておかなければならない。
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プカリクリーム
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使用すると水面のある地形に溺れずに浮かぶ事ができる。使用したエリアを抜けるまで効果は続く。
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いなずまソックス
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使用すると一定時間移動速度が速くなる。また滝の急流を登れる効果もある。
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自動型道具
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しんかいクリーム
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水中エリアにて効力が発揮される。通常は移動にクセが発生してしまうが、これを持っていると水圧の抵抗を受けにくくなる。
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オールマイティパスA オールマイティパスB
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AとBの2種類が存在し、通常ではお目にかかれない特定のひみつの扉が開かれる。 AとBによって開かれる扉に相違があり、両方持っているとすべての扉が開く。
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かいそくシューズ
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砂漠エリアにて効力が発揮される。通常は移動にクセが発生してしまうが、これを持っていると移動がしやすくなる。
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スーパーてぶくろ
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ステージ3ボスを倒すと入手可能。壷や壁などに近づくと自動的にそれを破壊する効果がある。
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カラオケマイク チアガールてぶくろ ガードセット
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説明書にてその効力が書かれていない自動型道具。諸事情により効力の詳細は割愛。
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即効型道具
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タケコプター
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一定時間空中への高速飛行ができ、完全無敵ではないものの敵を体当たりで倒せる効果も付く。時間を越えると強制的に地面へ落下する。
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クイック
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一定時間移動速度が速くなり、タケコプター同様の敵体当たり効果も付く。
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ドラ焼き フルパワー
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前者はライフが1回復、後者はライフが全快する効果。
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1UP 2UP
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前者は1UP、後者は3UPする効果。
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ランダム
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何かの消費型道具がランダムで入手できる。
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ミニゲーム
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「あみだくじ」「たからさがし」「シャッフル」のミニゲームのいずれかが発生し、その結果によって何かの即効型道具が入手できる。
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ネタ型道具
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道具の一例としては「水中はなび」「オトコンナ」などがある。ゲーム的な意味での効力はないのは前に述べた通り。
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ミス条件について。
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ライフ制と残機制を兼ねており、ライフが0になると残機を消費してステージMAP画面に戻されてしまう。
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ドラえもんの最大ライフ値は常時4、消費ダメージは如何なる敵ダメージでも1で固定となる。
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エリア(ステージ)をクリアしても、消費したライフは一切回復しないままでステージMAP画面に戻される。
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本作には原則として即ミスする様な落とし穴は存在しない。水辺に落ちて溺れてもミスではなくダメージすら受けないため、近くの足場に移動すれば復帰できる。
しかし例外として、一部のエリアに設置されている流砂(何も操作しないと下に沈んでしまう)にはまると即ミスしてしまう。また、あるステージに存在する、降りてくる壁に潰された場合も、即ミスになる。
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エリア(ステージ)クリア、もしくはミス後の復活時でも、一部例外を除けば所持している一覧リスト画面のひみつ道具はそのまま引き継がれた状態で再開できる。
評価点
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アクションゲームとしての土台はしっかりと作られている。
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際だって完成度の高い内容ではないものの、プレイヤーを問わず手堅く遊べるアクションゲームといった印象。
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様々なひみつ道具を駆使して、バリエーションに富んだエリア(ステージ)を攻略するのが楽しい。キャラゲーだからといって作りの手は抜いていない。
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比較的低めの難易度ではあるが、ゲームバランスの調整はなかなかのもの。
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極端な難易度の偏りは皆無で、先に進むにつれ正当に難しくなっていくという流れ。確実にプレイヤーの腕前がオールクリアへと近づく模範的アクションゲーム。
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「難しいエリアでも消費型道具の多用で切り抜けられる」という、極端に難易度がぬるくなりすぎない程度の救済措置が与えられているのも嬉しい。
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前作の『迷宮大作戦』では目立っていた、ゲームとしての深刻なマンネリが大幅に改善が成されたのも評価したい。
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何気に操作性が良質な部類。
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キーレスポンスはかなり軽快で、操作性の悪さによる無駄な苦戦を強いられずにドラえもんを動かせるのは美点である。
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意外と思われるかもしれないが、当時のナウプロダクション開発のアクションゲームは操作性が良い作品が多い。
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「ドラえもんらしさ」を表現したグラフィック・BGM周り。
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当時のPCEの中でもグラフィックの書き込みは非常に優秀、かつ映画版の世界観を上手く表現できているのは純粋に素晴らしい。
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SCD版では映画版を彷彿とさせるビジュアルシーンもあり、より映画版に近い雰囲気が堪能できる。
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ゲーム中のドラえもんのリアクションがやけに豊富で動かしているだけも楽しい。
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事ある度に変化のあるリアクションがあり、ドラえもんに愛着が沸いてくる。この辺は良い意味でキャラゲーライクといえる。
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BGMのクオリティも非常に高く、ゲームを盛り上げてくれる。
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なお、『迷宮大作戦』とは違って「ドラえもんのうた」を良アレンジしたメインステージBGMは存在せず、オリジナル楽曲がメインとなっている。
問題点
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プレイが長期戦になりがち。
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『迷宮大作戦』にあったセーブ・パスワード機能が本作には一切存在しない。
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他のアクションゲームに比べ迷路的な道のりの場面が多く、1エリアあたりのクリアが長めになりやすい傾向にある。
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そういった環境の全17エリアをぶっ通しでプレイしなければならないのが地味にきつい。なお、SCD版のみではあるが裏技でステージセレクトができる救済処置はある。
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ミスしてしまうとステージMAP画面に戻されてしまうのも長期戦に拍車をかける。
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特にボスのいる各ステージの4つ目のエリアは他エリアと比べさらに長い道のりになる事が多く、ボス戦前後でミスするとかなりだれてくる恐れがある。
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幸いにも(?)ボス自体は全体的に弱いので、そこまで進むと何とかなる事は少なくない。あくまでもボスの行動パターンが理解できればの話だが…。
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充実すらもしていないオプション。
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オプションの類は全く用意されておらず、一度ゲームをクリアしてしまうとそれ以上のクリア目的が見当たらなくなってしまう。
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『迷宮大作戦』では複数の難易度が用意されていただけに、この辺はボリュームダウンしてしまった感を覚えてしまう。
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ゲームとしての不備。
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ドラミちゃんのミニゲームの1つに、パネルをめくって出た矢印の向きに進んで、最終的に辿り着いたパネルの道具をもらえる、というものがあるのだが、実は
矢印の向きを無視してめくっても何のペナルティも発生しない
ため、好き勝手にめくることができてしまい、せっかくの仕掛けが全く無意味になってしまっている。何も書かれていない白紙パネルの存在も意味不明。
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2-1には3UPがあり、壁をどうにかできる道具を入手すれば取れるが、ステージを出入りすれば何度でも取れるため、いくらでも残機が稼げてしまい、ある意味ゲームバランスを崩しまくっている。
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映画版のイベント演出が薄い(Hu版)。
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Hu版のイベントにおいては、誰も会話をせずにキャラのジェスチャーのみの表現になっている。
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このため、映画版を知らない人からしてみればどういうストーリーなのかが直感的に分かりにくくなっている。
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また、Hu版はドラえもん以外のキャラの登場機会がかなり抑えられており、ドラえもん以外のキャラはほぼ空気といえる絵面となってしまった。
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反面、SCD版はフルボイスによる会話とアニメ絵が挿入され、ちゃんとドラえもん以外のキャラもイベントで登場する機会が増えている。
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ストーリーやキャラのやり取りを本格的に堪能したい場合はSCD版の方が向いているのは間違いないと思われる。
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とはいえ、Hu版も表現としては頑張っているので、アニメ演出よりもゲーム的な表現で楽しみたいというならばHu版の味わい深さも捨てがたい。
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アニメのゲーム化においてはあまり珍しい事でもないが、恐竜時代や弥生時代に行くなど、映画版と話の設定が全く違う。原作と同じアラビア世界はステージ4でようやく登場、ボス撃破後原作の王様やアブジル、カシムが唐突に現れるが、あまりにも無理矢理。
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とはいえ、アクション重視のゲームなので、よほど映画版ストーリーにこだわらなければ大して気になる問題ではないだろう。
総評
アクションゲームとしての出来はごく普通としかいいようがないレベル。特別凄いというべきものも、クソゲーととれるような酷い部分も見当たらない。
ストーリーを楽しみたいならSCD版、余計な演出抜きで楽しみたいならHu版がおそらくは適任だと思われる。どの道、アクションゲームとしての出来は全く差はない。
最終更新:2022年08月10日 17:40