ウルティマ 恐怖のエクソダス

【うるてぃま きょうふのえくそだす】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ポニーキャニオン
発売日 1987年10月9日
定価 5,900円
プレイ人数 1人
判定 なし
Ultimaシリーズ


概要

コンピューターRPG『ウルティマ』シリーズの第3作『Ultima III Exodus』のファミコン移植版。
当時のファミコンは、1987年1月に『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が発売されRPGブームが起きていた。その最中発売された作品。

PC版『Ultima III』は、当時のファミコンで主流となりつつあったRPGとはかなり様式の異なるゲームであった。
インターネットもない時代で攻略本も不親切なものしかなかったため、複雑なシステムのゲームが市民権を得るのは難しい時代であった。

特徴

  • キャラクターメイキングや4人パーティはファミコンでは本作が最初。
  • セーブはバッテリーバックアップ。
  • また、ステータス一覧表示や、操作キャラの視点内しかフィールドマップを視認できないという、これまでにないシステムを採用している。
  • ファミコン版では3作目からの移植となるためか、いわゆる「剣と魔法の世界」的な要素が主体になり、『I』や『II』から続くSF要素は完全に廃されている。「カード」は「石版」に変わっており、エクソダスの正体についても結局最後まで言及されない。
  • ラストはある意味衝撃的。他にない。

システム

  • 豊富な選択肢のキャラメイク。
    • パラメータの割り振りはボーナスポイント50ポイントを5ポイント単位で力・器用さ・魔力・法力に割り振る*1
+ 種族と職業
人/HUMAN 能力値がオール75まで伸びる。特に短所はないが長所もない。
妖精/ELF 器用さが99まで伸びるが、法力が50までしか伸びない。
獣族/DWARF 強さが99まで伸びるが、魔力が50までしか伸びない。
小人族/BOBIT 法力が99まで伸びるが、器用さが50までしか伸びない。
魔族/FUZZY 器用さと魔力が99まで伸びるが、強さが25までしか伸びない。
戦士/FIGHTER 強さ特化職業。特技はないが全ての武器防具を装備でき、この職業のみ打撃で与えるダメージが高い。
盗賊/THIEF 器用さ特化職業。呪文は使えないが罠外し能力は他のどの職業よりも高い。
魔術師/WIZARD 魔力特化職業。魔力の数値がそのままMPになる。唯一魔術の上位呪文が使える。
シスター/CLERIC 法力特化職業。法力の数値がそのままMPになる。唯一法力の上位呪文が使える。
騎士/PALADIN 法力呪文が使える前衛系職業。法力の半分の数値がMPになる。
詩人/LARK 魔術呪文が使える前衛系職業。魔力の半分の数値がMPになる。
山賊/BARBARIAN 盗賊技能を持つ前衛系職業。盗賊よりも強力な武器を装備できる。
魔女/ILLUSIONIST 盗賊技能と法力呪文が使える後衛系職業。法力の半分の数値がMPになる。
科学者/ALCHEMIST 盗賊技能と魔術呪文が使える後衛系職業。魔力の半分の数値がMPになる。
僧侶/DRUID 魔術と法力、両方の呪文が使える後衛系職業。魔力と法力どちらか高い方の半分の数値がMPになる。
レンジャー/RANGER 盗賊技能を持ち魔術と法力の呪文も使える前衛系職業。魔力と法力どちらか低い方の半分の数値がMPになる。
  • 住民や兵士など、誰に対しても戦いを挑める。最初にロードブリティッシュ(この世界の統治者)と一戦を交えて、そのまま全滅するのはお約束。
    • そして「王様が最強なら自分で世界救えよ」などとジョークを叩かれるのもお約束。*2
    • 街の中で住民を虐殺したり強盗を働くと守衛に囲まれ、弱いとあっという間に全滅させられてしまう。しかし慣れると、この方法で稼ぎを行うプレイヤーもいる。
      • 全滅してもキャラが死亡するだけで所持金はそのままなので、蘇生代金以上稼いでから全滅すれば儲かる。あるいは蘇生する必要のない捨てキャラに盗ませてもいい。
  • 宿屋がないかわりに食料の概念がある。
    • フィールドで歩きまわる、あるいはBボタン連打で時間を経過させればHPやMPは回復するが、食料を消費する。食料がなくなるとHPが減りはじめ、あっという間に餓死ということもある。
      • しかしHPは多めで、食料も非常に安価かつ減りにくい。
      • また食料はアイテム保持枠を埋めず、独自に勘定されている。
  • 武器は飛び道具と直接攻撃の2種類。
    • ナイフは一度だけ飛び道具として使えるが、隣接しての直接攻撃なら何度でも使える。
  • 鎧は装備すると防御力ではなく回避率が上昇する。
  • 2DMAP上で視界の概念がある。
    • よくある屋内や壁の中がブラックアウトされるだけのものとは異なり、移動にあわせて常に見えない影の範囲も移動していくシステム。
    • 画期的ではあったが、処理が重くなってしまったのか、移動の際、たまに引っかかるような多少のもっさり感がある。
      • そのためか、次回作の『IV』のファミコン移植では、この処理は大幅に簡略化されている。
  • 風向きの概念があり、船で移動する際、風向きに応じて移動速度が低下する。
  • 馬に乗ると、説明書の記載にある自分の移動速度が倍という効果ではなく、フィールドの敵キャラの移動速度が半分になる
    • 相対的に倍になっているとはいえるが、おそらくシンボルエンカウントや視界の仕様上、処理速度を保てなかったと思われる。
    • 仕様を知らないか、単に快適な移動速度を求めるプレイヤーからは、まったくの無駄アイテムとみなされがち。
  • ダンジョンに入ると、2Dフィールドから1フロア16マス四方の3Dダンジョンになる。
    • ウィザードリィのように壁に厚みがない方眼の仕切り線タイプではなく、壁にも1ブロック分の厚みがある。
  • 戦闘はタクティカルバトル。
    • フィールドではシンボルエンカウント。ダンジョンはランダムエンカウント。
      • ダンジョン内で向きを変えるだけではエンカウントしない。これを利用して、その場でグルグル回り続けてMPを回復するというテクニックが使える。
    • 逃げるコマンドがないという仕様(一応救済アイテムはあるが、逃走目的には使用しにくい)。国産PC版と異なり、これは原典のAppleII版と同様。
  • レベルアップは、一定経験値を貯め、王様に会う必要がある。
    • しかしレベルアップではHPしか上がらない。ステータスを上げ高度な魔法を覚えるには、別世界を探索した先にある神殿に寄付する必要があるという面倒な仕様。
    • 魔法の習得は、対象魔法の消費MPまで最大MPが上がれば、自動的に習得する。
      • このため、終盤に覚える強力な上位魔法は、習得してもほぼ1度使うだけで、大半のMPを消費してしまうことになる。
  • レベルを上げると、地上で出現する敵が強くなっていく。
    • 敵の強さは「PTの4人のうちの最大レベル」で決まるため、レベル最大のキャラは引っ込めておかなければ詰みかねない(キャラは最大20キャラ作ることが可能で、ウィザードリィなどと同様、ある程度のフラグは他PTにも引き継がれる)。
    • このため、レベル上げは最低限にとどめ、以降はレベルを上げることなく、ステータスのみを上げるのがクリアへの近道となる。
      • オリジナル版ではクリアのためにはある程度のレベルまで上げる必要があったが、本作ではその必要がない。ただし、船を入手するために最低一人はレベル上げをする必要がある。

評価点

  • オリジナルの『Ultima III』は名作である。移植時の様々な問題に目をつぶり、国産RPGとはやや異なるプレイスタイルに慣れれば、名作の面白さの一端を垣間見られるかもしれない。
  • メッセージや固有名詞のアレンジのおかげで隠れがちだが、キャラメイキングが多少簡略化された程度*3で、システムやゲーム内容に関しては比較的忠実に移植されている。
  • バッテリーバックアップシステムが当時のゲームとしては驚異的な強固さな上、3つセーブ可能。意図せずに消えてしまうようなことはまず無いと言っても良い。
    • その強固さは「2階から落としても消えない」「分解して電池を外そうとしたが溶接されていた」という、ユーザーからの報告もあるほど*4
    • 同時期(前後1ヶ月以内)に発売された、『女神転生』(パスワード40文字)・『覇邪の封印』(119文字)・『桃太郎伝説』(38文字)などと比べても先進的。
    • 3つあるバッテリーバックアップにそれぞれ名前を付けて管理が可能。
  • パッケージやCMで描かれている日本製西洋ファンタジー風のキャラクターは好みの問題もあるが、悪くない。
    • メンバーは戦士、盗賊、魔術師、シスターという最もオーソドックスな組み合わせ。ただしシスターの見た目はどちらかというと魔女に近い。

賛否両論点

  • クリアへのパターンは非常に自由度が高く、必須フラグや聞く必要のあるNPCの情報(イベント)は少ないため、プレイヤーによってプレイ時間には大きく幅が出る。
    • 主流となりつつあった、次の行き先や行動を自然に誘導してくれる親切なRPGに慣れている場合、何をしていいかわからなくなることがある。
    • システムをよく理解しないと、ほぼ確実に自爆するハメになる。そのいっぽうで、ステータスが上がればレベル1でも最強魔法が使えたりと、簡単にクリアすることも可能。
  • 戦闘バランスは、HPがダメージに対して膨大であるなど、きわめて易しい。
    • ただし、TRPGの判定バランスを引き継いでしまったのか、命中率が低く設定されており、もっさりとしたキャラの動きとあいまってストレスが溜まる。
      • 器用さを上げれば命中率も上がる。しかし初期設定では最大でも25までのため序盤は攻撃を外しやすい。
  • キーワード入力がなくなったため、謎解きの一部が変更されている(祈りやつるはしなど)。
    • 全ての謎を解くには、ほとんどのダンジョンを最深部まで潜らなければならなくなった。もっともPC版のようにほぼ無視できるというのも問題ありだが。
  • BGMは全曲、オリジナル曲に差し替え。
    • 原作ではこの作品よりBGMが初めて用意され、後のシリーズでも受け継がれるシリーズの代表的な曲が多数用意されているのだが…。
    • 後藤次利氏によるオリジナル曲の評価はそれほど悪くないが、やはりPC版の曲が好きだった人には違和感が残ってしまうのは、仕方ないだろう。

問題点

  • レベル上げの罠。
    • 普通のRPGに慣れている人なら、まず最初の町の周辺でレベル上げをするだろう。しかし本作はレベルを上げてもHPが上がるだけで能力は上がらず、敵はどんどん強くなって太刀打ちできなくなる。この罠にはまって最初からやり直す人が続出した。
    • レベルを6以上に上げるには「おうのしるし」が必要だが、上げすぎるとやはり太刀打ちできない敵が出てくるようになる。レベルが5もあれば十分クリアは可能なので、存在そのものが罠とも言える。
  • 装備品のほとんどが空気設定。
    • 武器は最初の所持金で買える「パチンコ」か、ちょっとお金をためて買える「ふきや」で十分。もっと上位の武器は買いに行くのも大変な場所にあり、値段も高い。
      • 敵は離れた位置に出現するため、飛び道具が非常に役立つ。近接最強武器はタダで手に入るので、飛び道具以外の武器を買うのはほぼ金の無駄。
    • 鎧は前述のとおり回避率しか上昇しない。飛び道具や魔法で戦うのが基本スタイルなので、鎧が役立つ機会自体あまりない。
      • 値段も異様に高く、性能とは到底釣り合っていない。そもそも最強の鎧がタダで手に入るので、これも買うのはほぼ金の無駄である。「頑張ってお金をためて強い鎧を買ったのに全然ダメージが減らない」と嘆いた人もいるだろう。
  • クリアのためには大金が必要。
    • 武具購入の必要がほぼないにもかかわらず、キャラの強化やアイテム購入、さらに情報収集*5にまで金がかかるため、金稼ぎは必須である。全員の所持金をカンストさせても足りないくらい。
      • 金稼ぎの手段は豊富にあるが、敵を倒したり献血*6などでチマチマ稼いでいては時間がかかってしょうがない。
      • ギャンブルもあるがセーブポイントが近くにないため非効率。
      • ダンジョンの宝箱をあさったり町中の宝箱を盗む*7のには危険が伴う。
      • 結局捨てキャラを大量生産して金を奪って削除というのが一番楽だろう。プレイヤーの良心が問われるが…
  • 食糧システムは、見落とした初心者には致命的なトラップになるいっぽう、理解した人間にとってはストレスにすらならないほど空気と両極端。
    • そのためか、次回作のファミコン版『IV』では割愛されている。
  • 戦闘中のコマンドキャンセル不可。
    • 各キャラはターン中に移動か武器攻撃か魔法を選ぶのだが、入力ミスをしてしまうとキャンセルが効かない。移動以外は行動そのものがキャンセルされてしまい、1ターンを棒に振ることになってしまう。
      • 魔法の場合、魔術呪文か法力呪文かを間違って選んでしまったときもキャンセルできない。
  • 多彩なシステムを持っているわりに、ゲーム的に意味のあるものは少なく、その多くはただの空気か、初心者へのトラップとしてしか機能していない。
    • 操作性も快適とはお世辞にもいいがたく、大多数のユーザーからクソゲー評価をされたのもやむなしか。
  • 「戦士」「盗賊」「魔術師」「シスター」の一芸特化職業が使いやすく、それ以外の複合系職業が非常に使いにくい。
    • ダンジョン内の罠や宝箱の罠回避は「盗賊」がトップクラス。宝箱の罠は法力呪文「ウネム」で確実に回避できるが、ダンジョン内の罠は回避できない。重要な場所付近では罠が何個も並んでいたりするため、盗賊技能がないと大損害を受ける。
      • 「山賊」は盗賊よりも強い武器を装備できるが、それらの武器は基本的に必要ないため、劣化職業扱いになってしまう。「戦士」のような打撃ダメージが大きいという特徴もない。ちなみにキャラ作成時は「さんぞく」なのに、装備画面ではなぜか「きこり」と表示される。
      • ダンジョン内の罠は、踏んだ時に先頭キャラが罠の解除を試みることになる。このため「魔女」「科学者」は後衛職にもかかわらず先頭に立たなければ特技を生かせない。使わなければ「騎士」「詩人」の劣化職業である。
    • 魔力系呪文は「魔術師」、法力系呪文は「シスター」が一番多く使いこなせる。というか、高位呪文を使えるのはこの2職業だけである。
      • 「騎士」「詩人」「レンジャー」は飛び道具が使えるのであまり問題にならないが、「科学者」「僧侶」はほぼ魔法でしか敵を倒せない。「魔女」にいたっては魔術呪文が使えないため、アンデッド除去の呪文か棍棒で直接殴るのがメインになる。名前や見た目に反して武闘派な職業になってしまった。
    • 幸い、本作の最強近接武器と最強防具は誰でも装備できるため、一応どんな職業の組み合わせでもクリアできる可能性は残っているとは思うが…

FC版独自アレンジの問題

  • 戦闘から逃走できない(国産PC版はオリジナル版と異なり「画面外に出る」ことにより逃走できる)。PC版から入ったユーザーは画面外に出ようとして「そっちにはいけないよ」と表示されて絶望する。
    • 一応オリジナルアイテム使用により戦闘から脱出できるが、集めるのが大変でそうやすやすと使えない。手に入る時期も中盤以降である。
      • ちなみにこのアイテム、その場の状況を一切問わず、使った瞬間にロードブリティッシュ城に移動する。使い捨て、かつひとり1個しか持てない*8という難点はあるものの、戦闘中やダンジョン深部、果ては異世界にいても使えるため、非常に重宝する。
    • フィールドではシンボルエンカウントなので事前に避けられるが、3Dダンジョン内ではランダムエンカウントであり、いかんともしがたい。しかも救済アイテムを使うとロードブリティッシュ城まで戻されてしまうので、ダンジョンでの目的達成前に使うのは意味がない。
  • キャラメイク
    • 性別の指定ができなくなった。
    • イージーモードでのキャラ作成ができるが、あくまで「簡単にキャラを作れる」だけであり、パラメータの割り振りに無駄が多い*9。これを利用するとゲーム難易度はむしろ上がる
    • オリジナル版で僧侶にあった「MP回復力2倍」というメリットが、ファミコン版ではカットされている。
      • 魔力か法力のどちらかを上げるだけでMPが増えるので育成しやすいが、魔術呪文のいくつかは魔力値が威力にかかわってくるので魔力を上げるパターンでほぼ確定。法力を上げると攻撃呪文の威力が悲しい事になってしまう。
  • 固有名詞・セリフ・登場キャラなどに大きなアレンジがなされている。アレンジの監修を担当したのは秋元康。
    しかしその奇妙なアレンジは、オリジナル版を知るプレイヤーからすると受け入れ難いものがほとんどであった。つまり「数少ない擁護者を敵にまわしてしまった」わけであり、これがより一層評価を微妙にしてしまっている点である。
    • セーブする場所は、ずばりセーブデパート
    • 「あなたがたは ロトのしそんですか?」など、ウルティマの世界観をぶちこわしにするセリフ多数。
      • メタ発言をする人物は原作でもそれなりにいるが、数が多くなりすぎた。役に立つヒントよりも、どうでもいい会話のほうが圧倒的に多い。
    • さらに、本作のイメージソングを歌っている声優の日高のり子がゲーム中に登場し、レコードを宣伝する。
      • ある行為をすると、PC版にないアイテム「ハートの磁石」をくれる。イメージソングの曲名でもある。
      • なお、他の住民と同じように戦いを挑めるが、彼女はロードブリティッシュと異なり、普通に倒せてしまうので、その点をバカゲー要素として評価するプレイヤーもいる*10
    • パーティーメンバーが縦列になって歩く、いわゆるドラクエ歩きを採用。FCのスペックでシンボルエンカウントや視界などのシステムを再現した代償か、妙にモタつくキャラの動きと相まって、後列にモンスターシンボルがぶつかり戦闘を強制される事故が起きる。ステータス画面を開くと全員が先頭に集まる小技を駆使する必要があるなど神経を使う。
    • 状態異常に「風邪」が追加。毒に比べるとダメージ量は低いが、呪文では治せず、街などの施設に行くしかないうえ、ほかのパーティメンバーにうつる場合がある。

総評

オリジナルの内容を知るユーザーにとっては妙な独自色がネックとなる。
本作がウルティマ初体験の人には、一風変わった難解で不可解な仕様はとっつきにくい。
その結果、どちらのプレイヤーからも歓迎されないまま終わってしまった、不遇の一作である。
しかし、時代背景を鑑みてみれば必ずしも全てがつまらないというわけではなく、所々に光る点も持ち合わせている。
何より、オリジナルのPC版は米国で1983年(日本版は1985年11月)発売という点を考えてみれば、当時としてはハイクオリティーで先進性があった、という点は認めざるを得ないだろう。
ある意味では「評価されなかった名作」というべきなのかもしれない。


その後の展開

  • 翌1988年には本作ベースのMSX2版が発売されている。発売元は本作と同じくポニーキャニオン。
  • 本作の反省からか、『Ultima IV』の移植作『ウルティマ 聖者への道』では、かなり遊びやすく無難なアレンジに改善されている。
    • オリジナル版では女性だったジュリアが、なぜかファミコン版ではヒゲのマッチョの男に性転換しているなどのツッコミどころはあるが。

余談

  • 海外でもNES(北米版ファミコン)で発売されている。
    • こちらは日高のり子→シェリーというキャラ名の変更などを除けば、概ね日本版と同じ。
      • UltimaVI以降ではシェリーという名のネズミが登場するが、超重要な役を演じることになる。ちなみにこのNES版の方がVIの発表より早い(1988年*11なのでVと同時期)なので名前が同じなのはおそらく偶然だと考えられる。
    • 初期の敵のHPが下方修正された上にMP0で使用できる掃討用の魔法が1戦闘中に何度でも使えるため、序盤だけはかなり簡単になっている。調子に乗ってレベルを上げすぎると苦労するのは一緒。
    • 基本的に評価はそれなりに高いが、日本語版から逆輸入する形になっているせいか、「厳しい文字制限のため略称が分かりにくい」ことに加え、あからさまな誤植や文法ミス、不自然だったり意味のとおらない文章があちこちに存在する。問題の奇妙なアレンジは少なくなっている(ロトの子孫>リンクの子孫*12 など、やめておけばいいのに、わざわざ形を変えて残しているものもある)ので、その点にさえ目をつぶれば名作ではある。
      • ちなみに「石版」もちゃんと元の「card」に戻ってはいるが*13、エクソダスの中枢が何だったのか、などの点について言及が無いのは一緒。
    • ついでにスタッフロールでも、翻訳・再構成についての言及は全く無し。元のチームで作業を行ったのだろうか?エンディングは日本語版と完全に同一である(泣
  • 超余談として、ログイン誌上で原作シリーズをウルティマと書いたことに対して「アルティマだろ」とツッコミが入っており、「英語読みのアルティマではなくラテン語読みのウルティマと原作者も言っている」*14と答えていたのだが収まらず、当作品の正式名がウルティマとなった事で、やっと沈静化したという話がある。

(参考)ウィザードリィ 狂王の試練場

  • 1987年12月に、ウルティマシリーズと並ぶ有名RPGであるウィザードリィシリーズの『ウィザードリィ 狂王の試練場』がファミコンで発売された。
  • この作品の出来が非常に良く、つねづね本作と対比されたことも、本作の評判を落とす一因となった。
  • ちなみに本作の開発現場は、のちにゲームスタジオの入ったビルの隣にあるビルだったという(ソースは狂王の試練場の開発に携わった遠藤雅伸氏)。
  • 本作と同様5つの種族が登場する。魔族(ファジー)の代わりにノームが採用されている。また妖精(エルフ)はあまり器用でなく魔法全般が得意、小人族(ホビット)は器用な代わりに魔法が苦手など違いがある。

+ タグ編集
  • タグ:
  • 1987年
  • FC
  • RPG
  • ポニーキャニオン
  • Ultima

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月04日 16:28

*1 原典のPC版と異なり能力値に0を指定することも可能。

*2 なおウルティマ5ではロードブリティッシュ自ら冒険に出かけたせいで国が大変なことになる。

*3 FC版では職業によって性別が固定となっている

*4 これは「未プレイの初期状態のみ可能な裏技」があり、それを行おうとしたプレイヤーが初期状態にしようとしてことごとく失敗、その際に試した事象として報告されたもの。

*5 バーで酒を飲んだり、占い師に有料で情報を得る。

*6 HPが減る代わりにお金がもらえる。

*7 店のカウンター越しにも盗める。クリアにはほぼ必須のテクニックである。

*8 「わたす」コマンドによって、簡単に複数所持が可能だが、個数が表示されない

*9 パラメータの割り振りに0を指定できないPC版の仕様を引きずったものだと思われる。

*10 非戦闘系NPCにしてはHPが高いが、初期PTでも普通に倒せる程度。経験値は0。

*11 ゲーム内クレジットより。但し発売は89年2月にずれ込んでいる。

*12 海外でもゼルダは有名だがドラゴンクエストはマイナーなため(そもそもアメリカでドラゴンクエストというと、別の作品(アメリカ製TRPG)を指す。2003年からはアメリカでもスクエニの商標になったそうだが)。

*13 石版だと"tablet"になる。21世紀だとむしろその方がコンピュータ的に聞こえるというのは皮肉であろうか?

*14 作者の別名である「ロードブリティッシュ」は、アメリカ人でありながらイギリス(ブリテン)訛りの英語を話すのをからかわれたことにより、開き直って自ら名乗ったもの。英国訛りの英語と言うのは変かもしれないが、日本での学校で教えている英語も、実際は米語(判りやすいところで「Z」を「ゼット」と発音するのが英語、「ズィー」が米語)だったりする。