ドローン トゥ ライフ ~神様のマリオネット~

【どろーん とぅ らいふ かみさまのまりおねっと】

ジャンル らくがきアクションアドベンチャー

対応機種 ニンテンドーDS
発売元 アガツマ・エンタテインメント
開発元 5TH Cell
発売日 2008年12月4日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 2箇所
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 落書きだらけのアクションゲーム
どちらかといえばストーリー重視
段々と落書きが煩わしくなってくる


概要

  • お子様向けゲームが多い事で知られるアガツマ・エンタテインメント発売のニンテンドーDSソフト。ジャンルとしては横スクロールアクションゲームが主体となる。
  • 元々は海外で発売されたゲームで、日本向けにチューンされてリリースされた経緯がある。
    • 日本での本作の知名度は低いが、海外では続編が製作される程の人気を博している(国内のリリースは本作のみ)。
  • オートセーブ方式。

ストーリー・登場人物

これは私達の村で起こった特別な物語。

私達「ラポーサ」が生まれるずっと前、神様は「いのちの本」を描きました。 神様はこの本にすべてを描き込み、生命をあたえました。
地球も美しい森も、そして私達ラポーサも神様の手によって描かれました。

しかし今、村は闇に包まれて…。
神様…あなたのお力がいります…。
村を守る炎「フレイム」が消えてしまい…。
黒い雲が村を覆っています…。
あなたが最後の希望なのです…。
助けて…どうか………。

  • 主要登場人物。
    • 神様のマリオネット (プレイヤー)
      • 村が黒い雲に覆われ、その危険に直面した事を危惧した神様が遣わしたマリオネット。
      • マリオネットの正式名称はプレイヤー自らが自由に名付けられる。よって、固定的な名称はない。
      • プレイヤーは彼を操り、村の危険を解決しなければならない。
      • 彼自身は神様によって作られたマリオネットに過ぎないが、「村を守る」という硬い義務を持っている。
  • 村長
    • ラポーサの村長。
    • 他の誰よりも村を愛し、住民達に親身となって付き合ってくれる人格の持ち主。
  • マリ
    • 村長の孫娘。神様にラポーサと村の救済を願ったのは彼女である。
    • 強きな性格だが、自身の若さ故の未熟さを自覚する一面もある。
  • ジョーイ
    • マリの幼馴染。
    • 冒険好きで危険な行動にも積極的に行う性格。それ故に好意を抱くマリに心配されている。
  • ウィル
    • 村に黒い雲を覆わせた張本人。本作における黒幕。
    • 元々は村の住民だったが、「神様よりも上手いものが描ける」という傲慢に満ちた自信によって"いのちの本"を奪い、いつしか悪に目覚め黒い雲を創作してしまった。
    • 住民時代から村長とは対立関係にあった。彼は病的なまでに村長を憎み、村長に味方する者全員を敵対視している。

主なルール

  • ゲームの流れについて。
    • 本作は主に「フィールドモード」と「アクションモード」の2パートの繰り返しでゲームが進められる。
      • 各モード共に神様のマリオネット(以下:プレイヤー)を操作する事になる。各モードのプレイスタイルは完全に異なるので、下記では個別にモードを紹介していく。
      • ゲーム開始時におけるフィールドモードの村周辺は非常に閑散としており、住民の数もまばらである。
        アクションモードのステージをクリアする度に段々と村が活気付き、住民の数も増えていく。
        そして、以前では黒い雲に覆われていた場所が開放し、探索可能な場所が増えていくという流れとなる。
  • 落書きイベントについて。
    • 本作はゲームを進める度に「落書きイベント」が頻繁に発生する。
      • 落書きはパレットツールを用いて対象を自分好みのデザインに描く事ができる。
      • 描ける落書きは「プレイヤーの容姿や装備している武器」「フィールドモードに配置されているオブジェ」「アクションモードに配置されている仕掛け」など様々である。
      • 落書きはあくまでも「対象のデザインを自分好みに描ける」だけに過ぎず、どの様な描き方をしようがプレイヤーの性能やイベント内容などが変化する事はない。

フィールドモード

  • フィールドモードについて。
    • トップビュー視線にて、村周辺を探索できるモード。
      • 主にストーリーにまつわるイベントが発生するモードとなっており、ミス・ゲームオーバーやアクション性のある要素は(一部例外を除き)存在しない。
      • このモードではプレイヤーを移動させて住民キャラと会話したり、アクションモードで稼いだコインを消費して買い物する(下記)事などができる。
      • プレイヤーが特定の住民キャラに話しかけるとお使いイベントが発生する。お使いを複数回行うと次のアクションモードのステージに進める。
  • 操作系統。
    • フィールドモードでのプレイヤー操作は以下の通り。
      • 十字ボタンで八方向移動。Bボタンを押しながら十字ボタンでダッシュ移動。
      • 住民キャラや施設に近づいてAボタン、もしくはタッチペンでタッチすると会話ができる。
      • その他、特定状況ではタッチペン用いて操作する場面もある。
  • 特別な施設について。
    • 村には様々な施設があり、プレイヤーをそこに近づけると何かの利用ができる。
      • 「トビラ」…アクションモードに移項できる。一度クリアしたステージはトビラを通じて何度でも再トライが可能。表面上では4つのトビラが存在する。
      • 「ショップ」…アクションモードで稼いだコインを消費して様々なアイテムを購入できる。各アイテムは1品限りで売る事はできない。
      • 「ホール」…以前描いた落書きを書き直せる。
      • 「寄付所」…ここにコインを寄付すると何かいい事が起きる…?

アクションモード

  • アクションモードについて。
    • サイドビュー視線にて、横スクロールアクションがプレイできるモード。
      • 原則として一般的な横スクロールアクション感覚での操作方法となる。クリア条件などに関しては下記にて。
  • 操作系統
    • アクションモードでのプレイヤー操作は以下の通り。
      • 十字ボタン左右でダッシュ移動。小刻みにキーを入れれば徒歩移動。
      • Bボタンで武器攻撃。主に飛び道具がメインとなっており、ステージによって武器の攻撃性能が変化する。一部例外を除き、攻撃に使用回数制限がある。
      • Yボタンでパンチ攻撃。
      • Aボタンでジャンプ動作。特定ステージ限定で三段ジャンプ動作も可能。
      • ジャンプ中に十字ボタン下とAボタンでヒップアタック。
      • 十字ボタン下でしゃがみ動作。さらにそのままキーを下に入れ続けると、下位置の視野を確認できる。
      • LかRボタン押しっぱなしで、左右位置の視野を確認できる。十字ボタン下との組み合わせで斜め下位置の視野を確認できる。
      • その他、特殊操作やタッチペンを用いて操作する場面もある。
      • ステージによってはシューティングや強制スクロールによるゲーム性になる場面もある。
  • ステージクリア条件について。
    • 各ステージは大きく分けて「通常ステージ」と「ボスステージ」の2タイプに分けられる。
      • 通常ステージにはボス戦は存在せず、ボスステージはボス戦のみとなる。但し、最終ステージ(ラスボス戦)だけは例外で、「道中を超えた先にボスが待っている」という構造となる。
  • 通常ステージのクリア条件に関して。
    • このステージでは画面内を自由に行き来でき、制限時間などの制限は特にない。但し、強制スクロールなどで急ぎ足を要求される場面はある。
    • ステージ内のどこかにある4枚の「ページのかけら」入手と、3人の「捕らわれた住民」を救出し、ステージ奥に配置されている「出口のトビラ」に向かえばステージクリアとなる。
    • ページのかけら入手や捕らわれた住民救出が抜けた状態で先に進むと、行き止まりが発生し先に進めない。この場合は後戻りで抜けたそれらを入手(救出)し直す必要がある。
    • 特定の場所まで進むと画面が一旦切り替わり、次の場所に進める。一部例外を除けば前画面への後戻りは可能である。
  • ボスステージのクリア条件に関して。
    • ステージ開始直後から即ボス戦が始まる。ボスにダメージがあたえられる状況では何かの攻撃を当てていき、そうでない状況では逃げ回って攻撃の機会を窺っていく。
    • 通常ステージ同様、制限時間は設定されていない。また、戦闘中は時折アイテムの補給が入る。
    • ボスのライフゲージを完全になくせばステージクリアとなる。
    • このステージではページのかけらは登場しない。捕らわれた住民は1人いるが、ボスを倒せば自動的に救出される。
  • ステージ目的について。
    • 通常ステージ内では何かしらの「目的」が存在する。
      • 通常ステージをクリアする上で必ず達成しなければならない「強制型」と、強制ではないがゲームをやり込む上で達成しておきたい「任意型」の各目的がある。
    • 目的に関しては以下の通り。
  • 強制型目的。
    • 「ページのかけら」…各ステージのどこかにて4枚散らばっている。
    • 「捕らわれた住民」…各ステージのどこかにて牢獄に3人捕らえられている。攻撃をすれば牢獄を破壊して彼らを救出できる。
  • 任意型目的。
    • 「スタンプ」…各ステージのどこかにて3つ散らばっている。これを取得するとフィールドモードにおけるショップのアイテムの品揃えが増える。
    • 「黒いシャドウ」…各ステージのどこかにて大量に侵食されている。これをタッチペンでこすると消し去る事ができる。侵食を防がないと敵が無限繁殖してくる。
  • アイテムについて。
    • 各ステージ内には以下のアイテムが存在する。
      • 「コイン」…「銀」「金」「赤」の3種類のコインがあり、銀は1コイン、金は5コイン、赤は10コイン分の入手となる。これをたくさん集めておくと、フィールドモードの施設で使用できる。
      • 「ハート」…「小」と「大」の2種類のハートがあり、小はプレイヤーの剥げた塗装が2段階、大は全段階の回復ができる。
      • 「飛び道具の弾」…飛び道具系武器攻撃の使用回数を増やせる。ステージによっては出現しない。
      • 「1UP」…その名の通り、プレイヤーの残機ストックを1増やす効果。
  • ミス条件について。
    • 本作はライフ制と残機制を兼ねている。
      • プレイヤーは神様の力によってマリオネットの体から落書きによる「塗装」がされている。ダメージをもらうと、この塗装が段々と剥げていく。
        ダメージの度に「手 ⇒ 足 ⇒ 胴体 ⇒ 顔」の順で剥げていき、完全に剥げた状態でダメージをもらうとミスとなる。
        本作には明確なるライフ表示はなく、この「どれだけプレイヤーの塗装が剥げているか」という目安がライフ状況を示している。
      • ダメージ条件は「プレイヤーが敵・敵の弾・ダメージの床」に触れる事である。また、落とし穴に落ちると塗装状態に関わらず即ミスとなる。
      • ミス後は特定場所からの戻り復活となっている。その場合、それまでに達成していた目的や入手アイテムの状況はそのままとなる。
    • 残機ストックをすべて失うとゲームオーバーとなる。
      • 本作はコンティニューは存在しないが、ゲームオーバーまでの状況がオートセーブされ、次回プレイ時にてそこからの再開ができる。

評価点

  • 何でも描けるユニークな落書きイベント。
    • ある意味、本作最大の特徴がこれであろう。
      • 落書きできる対象はプレイヤー自身を筆頭とした様々なものであり、それなりのデザイン力があればそこそこ本格的な絵面に仕上げる事ができる。
      • 「色彩は25色」「塗り潰しやアンドゥなどの便利機能搭載」「お絵かきページのズーム機能」があり、お遊びとはいえなかなか本格的なパレットツールとなっている。
      • デザインの制限は一切ないので、差しさわりのないデザインにするのも、世界観にそぐわない程のカオスデザインにするのも自由である。
      • 「デザインするのがめんどくさい」という人には、プレイヤーデザイン限定でサンプル素材も用意されており、それを選ぶだけで簡単にプレイヤーを作成できる機能もある。
  • 魅力的な世界観。
    • ほんわかとしたタッチのファンタジー空間。
      • 村長やマリを筆頭とした登場キャラ全員が、非常に可愛らしいキャラクターデザインで描かれており愛着が沸いてくる。また、彼らの動きが滑らかなアニメーションで表現されているのも見所である。
      • 最初は閑散としていた村がゲームを進める度に段々活気付き、アクションモードで捕らわれていた住民が村に集まっていく様が楽しくなってくる。
      • 上記のプレイヤーデザインのキャラと、ファンタジータッチの周囲が交じり合う様は結構なシュールである。一部の人はそのギャップにくすっと笑えるかもしれない。
  • ストーリー性を重視した作り。
    • フィールドモードにおけるイベント発生率が多く、まとまった内容のストーリー性が堪能できる。
      • 「マリの願いが神様に届き、マリオネットとして救世主が村にやってくる」「定期的に襲ってくるウィルとの対立」といったドラマティックな展開が多く詰まっている。
      • 「マリとジョーイとのツンデレなやり取り」といった2828できるシーンや、変な住民来襲に先住民が困惑するドタバタ劇といった微笑ましいイベントも数多い。
      • その一方で話の本質は重々しく、ゲーム終盤では可愛らしいキャラクターデザインからは想像できない程の微欝な展開も待ち構えている。
  • アクションゲームとしての作りもしっかりとしている。
    • アクションモードの出来もぬかりはなく、無難に楽しめるものとなっている。
      • 操作性は軽快ですんなりとプレイヤーを操作できる。操作系統自体もこの手のアクションゲーム慣れしている人ならばすぐに入り込めるであろう分かりやすさである。
      • プレイヤーが大きめに描かれている影響でダメージをもらいやすい面もあるが、ハートアイテムの出現率が多めでゲームバランスの調和は取れている。
      • 極端に難易度がおかしいステージは特になく、初心者でも頑張れば必ずクリアへの道が開ける控えめな難易度である。但し、ボス戦ステージ全般はやや難しい難易度に調整されている。

問題点

  • 落書きイベントの頻度が多すぎる。
    • 確かに落書きイベントはユニークで面白い試みだが、度が過ぎる程に多く発生する。
      • 特にアクションモードにおける各ステージのイベント頻度は大方3回近く発生し、その度にゲームが一時中断される。これにより、足止めによるテンポ感阻害に悩まされやすい。
      • フィールドモードにおいてもアクションモードのステージをクリアする度に、ほぼ必ずといっていい程にイベントが入る。イベントによっては巨大な建物の落書きを強いられる場面すらある。
      • プレイヤーデザイン以外では一切のサンプル素材が用意されていないので、イベントが発生する度に一からデザインを行わなければならない。
      • 落書きはあくまでも「対象のデザインを自由に描ける」だけに過ぎず、それ以上の必要性は全くない。
        演出の一環としては面白い試みだろうが、ゲーム性という意味ではなくても何ら差し障りない要素である。
      • 「落書きはゲーム内の外観をデザインするもの」と割り切るにしても、落書きできる素材はゲーム内のほんの一部分しかなく、世界観範囲で落書きを行うのはほぼ不可能近い。
      • また落書きの対象としては「バネ」や「リフト状の雲」、「水に浮かぶ氷」などアクションゲームでお馴染みのオブジェクトやステージの雰囲気に合うそれならまだしも、「敵を踊らせるラジオ」「トランポリン替わりになる家屋」「マリオシリーズのリフトよろしく連なって降下し続け、足場として使える『椅子』」など独創性以前に必要性が薄いもの・その物体である必要性に疑問が生じるオブジェクトも少なくない。この傾向はゲーム後半のステージほど強く、無理に落書きのシステムを導入した結果ネタ切れに繋がったとも邪推できてしまう。
  • お使いイベントの頻度も多すぎる。
    • フィールドモードは全編通してお使いイベントの連続である。
      • 大方は「○○に話しかける ⇒ ○○から□□の元へ行って欲しいと頼まれる ⇒ □□に話しかけ●●の元へ… ⇒」というテンプレの繰り返しを余儀なくされる。
      • アクションモードのステージをクリアする度にフィールドモードの村の探索範囲が広くなる影響で、さらにお使いの行動範囲が増していき、移動操作に要する時間も長引いてくる。
      • お使いに関するヒントが多く表示され、過剰に迷わされる心配が薄いという親切な配慮もあるが、いくら何でも一方通行なお使い強要が過剰な感は否めないところだろうか。
  • アクションゲームとしてのボリューム不足感。
    • アクションモードのステージ数があまり多くなく、アクションゲームとしての物足りなさを覚えてしまう。
      • ステージ総数は19ステージ(ボス戦はその内の4ステージ)しかなく、純粋にアクションゲームとしてみた場合のやり応えはあまり高いとはいえない。
      • 「ステージによってはプレイヤーの性能が常時変わる」「シューティングや強制スクロールなどの変化球が挟まれる」など、ゲームを飽きさせない工夫も見られるが…。
      • 本作のプレイ時間自体はそこそこ長いが、その時間の半分近くはイベント関係に消費され、アクションゲームとしての楽しみはやや抑え気味である。
  • 謎の残るエンディング。
    • エンディングを迎えても一部未消化な複線がある。
      • 一例としてはゲーム前半に登場する「顔の半分が黒い子供」を挙げる。非常に異端な雰囲気を持つ訳ありなキャラだが、それに関する描写は最後まで語られず終いである。
      • 因みにこのキャラクター、同じく未回収の伏線である「他キャラのような長い耳を持たない青年」共々国内未発売の続編にて非常に重要な役割を持つ。ただその正体ないし真相は世界観を大きく破壊しかねないものでもあり、そう考えると続編がローカライズされずそれらの伏線回収がなされなかったのを惜しいと考えるか、逆に考察の余地を持つことが出来たと前向きに捉えるかはある意味プレイヤー次第とも言えよう。

総評

ユニークな落書きイベントによるデザイン創作や、黒い雲に覆われた村が段々と発展していく様は見所だが、アクションゲームとしては若干物足りない点は惜しいところだろうか。


余談

  • 本作は何気に週間ファミ通のクロスレビューでも好評価を得ている。そのポイントはやはりゲームとしての作りの丁寧さ・落書きイベント・世界観の魅力さが主となっている模様。
+ タグ編集
  • タグ:
  • AADV
  • アガツマ・エンタテインメント

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最終更新:2023年03月11日 13:53