クロノ・クロス

【くろの・くろす】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚組
発売・開発元 スクウェア
発売日 1999年11月18日
定価 6,800円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)*1
廉価版 スクウェアミレニアムコレクション
2000年11月30日/3,990円
PS one Books
2002年2月21日/2,625円
アルティメットヒッツ
2006年7月20日/1,575円
配信 ゲームアーカイブス:2011年7月6日/800円
判定 なし
ポイント 続編というよりはスピンオフに近い内容
前作キャラクターの悲劇的設定
解釈任せのストーリー
仲間の多さなどシステム面の賛否
クロノシリーズ
クロノ・トリガー (PS/DS/Win) - ラジカル・ドリーマーズ - クロノ・クロス

※本項ではオリジナルのPS版『クロノ・クロス』について解説しています。
PS4/One/Switch/Win版『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』については参考記述扱いで後述。




星の見る夢は、まだ終わらない



概要

SFC末期の大作RPG『クロノ・トリガー』(以下トリガー)と同シリーズとされるソフト。トリガーの「ドリーム・プロジェクト」と名付けられた3人*2は開発に関わっていないが、それ以外の主なスタッフは関わっている。
また、前年に発売された『ゼノギアス』が元々『クロノ・トリガー2』という企画を発端としていたため、『ゼノギアス』と今作のスタッフの重複も多く、作品内にも類似点が散見される*3

前作がタイムトラベルなのに対し、こちらはパラレルワールドがテーマ。よく似ているが少し異なる2つの世界を冒険するRPGとなっており、主人公の出身世界である「ホーム」と、よく似た異世界である「アナザー」を行き来することで進行していく。

キャラクターイラストは前作とは異なり、『聖剣伝説3』やアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』のキャラクターデザインを手がけた結城信輝が担当した。


特徴

  • シナリオ
    • 本作は、前作クロノ・トリガーの「現代」の舞台だったA.D.1000よりさらに20年後にあたるA.D.1020、周囲を岩礁に囲まれた海域「エルニド諸島」を舞台としている。
    • トリガーと同じ世界観を描いたものとなっているが、冒険の舞台そのものは前作とは異なっており、前作の町やダンジョンを訪れることはない。
    • 一方でシナリオにおいては物語が進むにつれてトリガーの要素が非常に深く関わってくる作りになっており、どちらかというと作品の題名のように「トリガーと交差している」といった形となっている。
    • 本作の世界そのものもトリガーから派生した「別次元(パラレルワールド)」という位置づけであり、単純に「トリガーの未来を描いた正史」というわけではないということを留意しておきたい。
  • 戦闘システム
    • 戦闘システムは前作のATBではなく、「クロス・シーケンス・バトル」というゼノギアスのシステムを更に発展させた新システムとなっている。
    • ターン制に近いが、「スタミナ」が残っているキャラクターを好きなタイミングで行動させることが出来る。基本的にスタミナがある間はどのキャラに対しても好きなタイミングでコマンド入力が可能。
      • スタミナは防御以外の行動を行うと消費されるが、他のキャラクターが行動すると徐々に回復していく。スタミナの最大値は7.0で、消費によってマイナスの値になった場合はプラスになるまで行動不能になる。
      • 敵の行動はこちらがある程度行動するたびに差し込まれる。こちらの特定の行動に即時カウンターするボスがわずかに存在する。
    • 通常攻撃が弱・中・強の3種類になった。強になるにつれダメージが増え、命中させた時のパワーレベルの増加も大きいが、命中率が低くスタミナの消費量も大きくなっていく*4。同じキャラが攻撃を連続で命中させると命中率が少しずつ上がるため最初は弱攻撃で命中率を上げていくのがひとつの作戦である*5。また武器がロッドのキャラは強攻撃が全体攻撃であるが、敵全員にヒットしないとパワーレベルが増加しないという難点がある。
    • 魔法やアイテムにあたる「エレメント」はMPが存在しない代わりにスタミナを7.0消費し、さらに通常攻撃を当てると上昇するパワーレベルで使用できるものが決まる。なお、スタミナが7.0以下でも発動は可能だが、その場合はマイナスになってしまうので前述のように行動不能になる。
    • エレメントは各キャラクターの「エレメントグリッド」にあらかじめセットして初めて使用できる。キャラによってグリッドの数などが違い、ひとつの個性となっている。後述するレベルスターによってグリッド数は増えていく。
      • グリッドは1~8までのレベル別に分かれており、そのレベルが上記のパワーレベルに対応している。1つのレベルには複数のグリッドが存在する。エレメントには固有レベルとレベル幅が設定されており、配置できるレベルが決まっている。レベル幅が設定されている場合は、本来のレベルのグリッドより低い位置や高い位置にも配置でき、その分威力も上下する*6
      • なお、1つのグリッドに配置されたエレメントは基本的に1戦闘中1回しか使えない。下位~中レベルのエレメントは店で購入できるので、複数装備しておくのもひとつの手。回復アイテムにあたる個数消費のエレメントはメニュー画面からも使用可能。
    • エレメントには誰でも装備できる「共有エレメント」特定のキャラクター専用の「固有エレメント」が存在する。ただし、共有エレメントの中にもキャラクターの先天属性(後述)によって装備可否が決まるものも存在する。
      • また、前作のように特定の仲間の固有エレメント同士を合体させた「連携技」もある。組み合わせは前作よりも限られているが、中には「エックス斬り」「ミックスデルタ」など前作がわかればニヤリとさせる連携もある。
  • 属性システム
    • エレメントは基本的にすべて6色の属性(赤・青・緑・黄・白・黒)に区分されている。属性はそれぞれ対関係になるものが存在し(赤⇔青、緑⇔黄、白⇔黒、がそれぞれ対関係)、その属性同士が弱点となっている。
    • また、前作同様キャラクターにはそれぞれ「先天属性」という属性が設定されており、それに対応してダメージ量が変化する特徴があり、敵に応じてパーティーを編成すると有利に戦うことができる。味方も敵も無属性のキャラクターは誰一人存在しない。一部のボスは先天属性の攻撃を吸収する。
    • 戦闘画面左上には、3つの枠で示された「フィールドエフェクト」という属性を生かしたシステムがある。
      • 戦闘開始時にはそのフィールドの属性色が配置されている。敵味方がエレメントを使用する度に、使用された属性色が最新3回分までそこへ記録され、古い属性色は押し出されて消えていく。フィールドを同色に染めていくほどその属性の魔法やキャラクターのステータスが強化、逆に反属性が弱体化されていく*7
      • このため「どのエレメントを装備するか」「どのタイミングで使うか」「どの属性を使用して有利な状況に持っていくか」といった戦略性もある。
    • 単純に弱点属性で攻撃していれば良いとも限らない。ボスキャラの中には弱点属性を喰らうと厄介な反撃をしたりパワーアップしたりするようなものも少なくなく、一筋縄ではいかない。
  • 前作のような単純なシステムではないが、慣れれば戦況をコントロールできるようになり、他のRPGとは違った戦略性や楽しみ方が可能。
  • ラスボス戦含む全ての戦闘から例外なく100%「逃走」可能
    • 味方が戦闘でピンチになったとしてもすぐさま緊急脱出して一旦仕切り直すことができる。
    • イベント上のボス戦で逃走した場合には大抵の場合封鎖されたり等でその場から脱出できず、進めるために再び戦わざるを得ない場合が多いが、一時休憩して体勢立て直しを行うことができる。ラスボス戦に至っては一旦離脱して準備を整えるために町に戻ることまでも可能。
      • ただし、一部のボス等では逃げたとしてもメニューも開けずそのまま再戦となる場合があり、逃走可能である意義が全く無い場合も。また、逃走してしまうとマップ上でステータス異常攻撃を喰らうなどのペナルティ持ちボスも居る。
      • 戦闘の途中で逃げてもそれまで与えたダメージ等は引き継がれず、次の戦闘では敵は全回復しているため完全に仕切り直しとなる。
      • アイテムを盗んでいた場合は逃走時に必ず落としてしまうため、これでアイテムを増やすことはできない。ただし盗んだアイテムがレア枠ではなかった場合に逃げて再び盗みをやり直すという事が可能。
    • また、どんな緊迫した場面からも逃げられるという設定上、シチュエーション的にやや無理のあるシーンもある。反面、逃走した場合にしか見られないレアな台詞等も多く、プレイヤーは「自ら逃走を選ばない」という選択も取れるため、これ自体は批判されることはあまり無い。
  • 装備品は「買う」のではなく「作る」
    • 宝箱やドロップなどで素材が集まるので、それを揃えて鍛冶屋で作ってもらう。お金も消費する。
      • 素材のなかには「目玉」「体液」「種子」等、どう考えても武器や防具の素材にならないものもあるが…
    • いらない装備品は、「売る」他、「分解」という選択肢がある。分解した場合、素材に戻るのでまた別の装備を作ることが可能である。但し、素材を売ることはできない。
    • 鍛冶屋で作ってもらえない装備品も分解可能であるが、当然装備品に戻すことはできない。
      • さすがに重要アイテムは分解不可である。
    • 冒険中盤で「鍛冶屋の職人魂」が手に入る。これを使うとセーブ可能な場所ならどこでも鍛冶屋を呼び出すことができ、便利である。
  • 強くてニューゲーム・コンティニュー(クリア後要素)
+ クリア特典のためネタバレ隠し
  • 前作同様、2周目要素としてクリアデータの内容をそのまま引き継いでゲームを始めからプレイできる「強くてニューゲーム」が存在する。さらに、任意の1周目途中のデータにクリアデータの内容を上乗せしてプレイできる「強くてコンティニュー」も搭載されている。
    • ただし前作とはシステムが異なり、ゲームをクリアするとセーブが行われ「クリアデータ」に変化する。ここからそのデータでそのまま強くてニューゲームするか、そのデータを引き継いで別のデータ(2周目以降のプレイデータは不可)を選んで強くてコンティニューするかを選択する。
      • この仕様のため、前作のように任意のセーブデータから強くてニューゲームということは出来なくなった。ただし、任意のセーブデータへ強くてコンティニュー→(2周目以降扱いに変わるため)ラスボスに直行して倒す→クリアデータにしてから改めて強くてニューゲーム、とすることで擬似的には可能。
    • 強くてコンティニューでは、クリアデータとコンティニュー対象データの両方のデータが合算され、キャラのステータスはクリアデータ準拠の強さのまま、所持アイテム・エレメント・お金等の状況は双方を合わせたものになる。
      • これを応用し、1周目クリア直前のデータとクリアデータを別々に保存することにより、クリアデータからクリア直前データにコンティニューするとアイテム数が合算されて倍になるアイテム増殖技も発見された。このままクリアしてクリアデータに上書きし、さらに1周目クリア直前データにコンティニュー、と繰り返すことで無限増殖が可能。
  • 2周目における特典として、ゲーム開始直後からラスボスに挑戦できる他、ゲームスピードをリアルタイムで任意に変更する「試作時間変速機」、戦闘中のみ主人公の代わりに戦うメンバーを選べる「身代わりの護符」という特殊アイテムを入手している。
    • 特に試作時間変速機は高性能であり、高速化すればゲームのテンポが非常に上がる。逆にスローにすることもできるため技の演出をじっくり見ることもできる。
    • トリガー同様、いつラスボスを倒したかで内容が変化するマルチエンディングが搭載されており、今回もその内容は多彩。前作と同じくスタート直後にクリアすることで行ける開発室も用意されている。
  • 2周目以降は、ゲーム後半である手順を踏めばいままでの周回プレイで仲間にしたキャラを呼び出すことが可能になる。周回を重ねれば仲間を全員揃えることが可能。

評価点

  • 音楽
    • トリガーでも作曲を担当した光田康典氏の民族楽器をつかった独創的な音楽となっている。
    • OP曲「CHRONO CROSS ~時の傷跡~」や「龍神」「星を盗んだ少女」など非常に高い評価を受ける曲も多い。
    • 光田氏も「自分の納得いく出来だった」と述べている。
    • なお、本作の楽曲の一部は、前作トリガーや後述の『ラジカル・ドリーマーズ』からのアレンジとなっている。
  • グラフィック
    • マップのグラフィックはPSのゲームでありながら、PS2にも劣らないと言われるほど。
    • 本作の舞台となるエルニド諸島には古代遺跡や火山洞窟、ジャングルやSF風の建造物など多彩なロケーションが存在し、いずれも極めて美麗かつ緻密なグラフィックで描かれている。
    • 主人公の住む「アルニ村」の青い海と空、南国の情緒あふれる建造物や屋内に差し込む光の表現に目を奪われたプレイヤーも多いだろう。
      • 良質なBGMと合わさり、本作の「雰囲気の良さ」が非常に高い評価を受けている由縁でもある。
    • キャラの3Dモデルは時代相応のローポリであり流石に見劣りするものの、とりたてて大きな破綻もなく、戦闘中にアップで映ったり大きなアクションをしても違和感が無いレベルなため十分な評価点である。
    • 要所で差し込まれるムービーも非常に美しい。シナリオの山場となるシーンで過不足なく効果的に用いられており、ストーリーを盛り上げてくれる。同時期のゲームの3Dムービーと比較すると人物のモデリングがかなり自然で違和感のないものとなっている点も特筆に値する。
      • OPムービーは本編の重要なシーンをうまく抽出した内容、グラフィック、音楽とあらゆる面で完成度が高く、「ゲーム史上最高のOPの一つ」にしばしば挙げられる。
    • 戦闘中の演出も良質で、特にボスの必殺技や上位エレメントは非常に派手で迫力がある。
      • 但し戦闘の演出は「バカゲー」を目指したらしいが、あまりそれっぽくなってはいない。一部の固有エレメントとアースクエイクくらいか。
  • 世界観
    • 西欧風の色が濃い前作とは違い、舞台は辺境のエルニド諸島であり開始序盤の南国風の「アルニ村」や「港町テルミナ」を始めとしてアジア文化を感じられる世界観も魅力。
    • 一部の建造物や組織が西欧風色だったり、アマゾンの様なジャングル、遺跡を探索したりとひとつの世界観に収まらないごった煮感も個性を引き立てている。

賛否両論点

  • シナリオ
    • 本作のシナリオは非常に複雑かつ重厚なものとなっている。ゲーム内で語られない設定も非常に多く、普通にゲームをクリアしただけでは全容の理解が極めて困難。
      迂遠な表現や「殺された未来の復讐」等の概念を擬人化した表現も多用されるためより理解を妨げる。
    • 加えて、以下の格納で述べるように、(特に前作との繋がりに関連する要素において)人によっては受け入れがたい要素が存在する点、十分な解説・描写がなされておらずプレイヤーの考察や解釈に委ねられる要素が多い点、単純に設定面で明らかな齟齬や矛盾が生じてしまっている箇所が多々ある点、
      何より「前作の時点でハッピーエンドとしてまとまっていた物語に後付けの形で様々な設定が加えられた」「続編ではなくパラレルワールドというコンセプトがプレイヤーに十分に伝わらなかった」という点などから、プレイヤーから大きな批判や「そもそもストーリーが理解できなかった」という声を生むこととなった。
    • その一方で、前作で描写されていた設定に本作独自の要素を巧みに掛け合わせて描かれたシナリオは壮大の一言であり、プレイヤーの想像や考察意欲を掻き立てる設定や演出面も非常に優れていたことから、本作のシナリオを受け入れて高く評価するプレイヤーや、「深くは理解できなかったが十分に楽しめた」というプレイヤーも大勢存在する。
    • 良くも悪くも本作を語る上で外すことのできない代表的な賛否両論要素と言える。
+ ネタバレ隠し
  • 本作の舞台となる「エルニド諸島」は岩礁に囲まれた小さな諸島だが、実は前作の舞台には一切登場しない場所である。設定上においては(目立たなかった等ではなく)本来は存在し得なかった筈の場所となっている。
    • この地域が生まれた経緯についてはゲームを進めると明らかになるようになっている。
  • 前作のストーリークリア後の話であるが、舞台であった王国が滅亡している設定になっており、一部の主要キャラについては既に故人であることが暗示されている等、前作でハッピーエンドを迎えた後の話だと考えると、やや受け入れがたいものがある。
    • 今作のもっとも大きな賛否両論点であり、ファンの中にもさまざまな意見が見られる。「こんな風に出るなら出なくてよかった」と否定的に受け取る者から「あくまでパラレルワールドだから」と特に気にしない者、「むしろこういう未来があってこそのクロスだ」と肯定的に受け止める者までさまざまである。
    • 本作のシナリオは設定や伏線が充実していることからこうした要素について殆ど説明されていないことが尚更目立つ上に、後述するトリガーのPS版やDS版の追加要素の不備により未プレイの者からの批判をも招く結果となった。
  • 本作は前作の「あるキャラクターの救済」を目的としたシナリオになっており、トリガーで語られなかった部分でもあるためその点は好意的に受け止められることが多いのだが、その過程を描く上では本来必須であったはずの前作のあるメインキャラクターの出番が大幅にカットされており、残されたそのキャラクターらしき人物とその周辺に散逸するわずかなイベントからその存在を推測する事しか出来ない*8
    • そのくせ、本作の救済の対象である問題の人物は説明されなければ誰なのかもわからないくらい別人のような姿に変貌している。
      • 一応これにもきちんと理由はあるのだが、メインキャラクターの方はちゃんと面影があるのにこの変わり様だったため、前作プレイヤーから見てもいまいちピンとこない状態となってしまっている。
    • カット理由は加藤氏いわく、シナリオだけでなくディレクターとしての仕事もありスケジュールが厳し過ぎてメインシナリオ以外は丸投げせざるを得なかったとのこと。
      • トリガーでは北瀬氏と時田氏の両名がディレクションを担当していた。
  • 前作でメインシナリオの大部分を手がけ、本作でも監督、脚本を勤めた加藤正人氏は「クロスはクロスであって、トリガー2じゃない」と語っている他、田中弘道氏も「続編ではなく別タイトルで勝負したい」との発言を受けたと発言しており、商業的な理由からあくまで続編として売り出したいであろう旧スクウェアの意向が強く反映された宣伝とのギャップも見受けられる。
    • 加藤氏いわく、「クロノ・トリガー2」として企画スタートした『ゼノギアス』完成後、ゲーム完成後のスタッフに与えられる休暇中に、『ゼノギアス』スタッフが自主的に出社して「クロノ・トリガー2」を作りたいと会議が持たれたらしいが、加藤氏はタイミング悪いことに、ちょうど休暇を取って南の島でダイビングしていため経緯は良く知らないとのこと。
      • ちなみに、ただ遊んでいたわけではなく、本作の舞台は「海に囲まれた島」であり、その趣味と経験は作中の描写にしっかり反映している。
  • 本作に先駆けて発売された『クロノ・トリガー』のPS移植版では、特定のマルチ・エンディングでは通常のエンディング・ムービーではなく、本作に繋がる王国の崩壊や聖剣の消失といった非常にネガティブな要素を端的に示したムービーが流れるようになっている。
    更に、すでにこれら異なる2種のエンディングをそれぞれ見たことが記録されたシステムデータを持った状態でクリアすると、エンディングの種別に関わらず両方のムービーが連続して流れる、つまり「クリア直後でみんなハッピー!」なムービーのあとに「数年後、色々崩壊」なムービーが流れるという、上げて落とすの見本ともいえる謎仕様となっている。
    • 後に発売されたDS版トリガーの追加エンディングでは、本作の世界が別のパラレルワールドであるかのような描写がされ*9、悲劇的なエンディングムービーもプレイヤーのいるトリガー本編とは異なる世界を描いたエンディングでのみ流れるようになったのだが、いかんせん演出面の不備から分かり難いものとなってしまっている。
      • あまりにも不評だったためか、その後のSteam版ではこの悲劇的なムービーそのものが削除されている。
    • また、移植版トリガーの通常のハッピーEDムービーではルッカが赤子を拾うのだが、クロスの時代設定から逆算すると3歳児くらいの少女をルッカが孤児院に引き取ったことになってしまう*10ため、外見上の年齢が合っていない。
      • ただし、キッドが誕生したきっかけはA.D.1006年に起こったある事件によるもののため、キッドの自称「16歳」という年齢そのものが怪しいのでは(つまりムービーの描写の方が正確で、自称年齢の方が誤り説)という指摘もある。
    • ムービーではクロノ達の結婚式のシーンとルッカが赤子を拾うシーンが一繋がりで流れるため、まるで同じ頃に起こった出来事に見えてしまう。実際にはクロスの設定上の時系列では両者に数年の開きがあり、ルッカがキッドを拾った2年前には既にガルディア王国は滅亡している。
      • ただし、以上の点はクロス側の設定と比較しての矛盾点であり、DS版での変更により「クロスとは繋がらない別の物語」を描いたムービーだと考えることもできる。
    • 矛盾点としてよく指摘されるサラのペンダント*11は、クロスのゲーム中の設定でも両方の存在が語られており、トリガーを抜きにしてもあたかも2つに増えているかのように思わせる描写になっているため、PS版ムービーだけの問題ではない。
      • キッドが肌身離さず持っているのはサラから託されたペンダントそのものであるはずなのだが、一方でアルティマニアではこのサラのペンダントは「次元の渦に飲まれて分身を作ったサラの手から一度離れ他者の手に渡った後、北の王国(ガルディア王国)に代々伝わり前作のマールのものになった」と解説されており、ゲーム内でもカーシュが後者の伝承について言及している。
      • これについてはファンから以下のような様々な解釈や考察がされることがあるが、公式には詳細が明らかにされていない。
        「ペンダント分裂説」:サラのペンダントが何らかの理由で2つに分裂し、一方がキッドに託され、一方がガルディア王国に伝わったとするもの。
        「サラ→ガルディア→キッド説」:ペンダント自体は1つのままでサラから直接託されたのではなく、ガルディア王国に代々伝わっていた現代のサラのペンダントの場所に導かれてキッドが(王国崩壊後の)現代の森に生み出されたとするもの。
        「サラ→キッド→ガルディア説」:サラからペンダントがキッドに直接託された後、全てが終わった後にキッドの手を離れ、時間を遡って過去のガルディア王国に伝わったとするもの。
  • もともとのシナリオが平行世界という、話の筋を把握するのに非常にまぎらわしい設定をベースにしているのみならず、終盤になると前作の時間移動も徐々に絡んでくるため非常に難解・複雑である。
    • 例としては、前作の主人公達が「未来を改変したこと」を遠因として本作では悲劇的な結果となったキャラクターや、前作のアンチテーゼの立場を持つ敵サイドが存在することなど。人それぞれに回答があるがゆえ議論になりやすい。
    • 黒幕の関与についての見解がキャラによって違ったり、分裂時は正常だが合体形態は別の存在に乗っ取られている重要キャラがそうなってることについてロクに説明がなかったりなどが一層難解にしている。
    • エンディングで唐突にあらわれる「ズルワーン」という単語。ネットで調べれば一発だが、当時のネット普及率では完全に意味不明だったプレイヤーも多々いた。
    • あくまで前作のパラレルワールドであり本筋ではない」という作品のスタンスとは裏腹に、「前作の価値観を今一度問いただした上で、前作での歴史改変を肯定するかどうかはプレイヤー自身の行動に委ねる」という前作にとっても無視出来ない非常に重要な要素やプロセスを含んでいることも、本作を単なるスピンアウト作品として論じ難い状況を生んでいる。
    • 攻略本「アルティマニア」では、この難解なシナリオ理解の手助けになる設定解釈および年表が付属しており、ゲーム内では説明されなかったことも一部解説されている。
  • 前作では『歴史改変によりに先祖が死ぬと子孫は消滅する』*12というタイムトラベル物の作品では普遍的かつ分かりやすい設定だったが、本作ではパラレルワールド方式の設定を取り入れている。
    • その一方で、前作同様に歴史改変によって既存の未来の物が消滅する概念も存在しているため、例えば恐竜人が勝ち残ったifの未来の産物は恐竜人が滅んでいる作中世界でも消滅することなく存在している一方、同じくしてこの世界の歴史の未来から来た存在は歴史改変による自身の即時消滅を恐れているなど、2種類の歴史改変に対する設定が混在してしまっている。
      • 「タイムクラッシュ」という特殊な事象によって生じたことなので、ディノポリスは例外的に存在できると考えるしかない。*13
      • 真エンディングで語られるような形でこの世界を生み出した母世界、母世界を生み出した祖母世界、祖母世界を生み出した曾祖母世界というような平行世界構造も考えられる。もしくは真エンディングで言っているような生まれる前の星が見ている夢という可能性もある*14
  • 今作のグッドエンディングでは、さらに改変が起こる事によって、主人公の旅した時間全てが巻き戻り、HomeもAnotherも無かった事になり、全く新しい未来へと繋がる。
    • このため、最終的に世界が救われた一方で、今作内で冒険し育んだ関係や解決した出来事などは全てがリセットされて水の泡と化してしまったとも解釈できてしまうような結末となっている。
  • 加藤氏自身「破綻した部分を含んでいる」「ちょっとヘン」と認めており、後述の「9という評価」に繋がっているといえる。
  • 物語も後半に差し掛かった頃、前作の主人公たち三人の亡霊?が今作の主人公を責める。それも「みんな あなたのせい」という理不尽なもの。挙句の果てに前作主人公には「人でなし」とまで言われてしまう。主人公が特別な立場であろうとそれまでの主人公本人にどうにかできるものではない。そもそも彼らは前作だと他人をそんな風な責め方をするような人格としては描かれていない。重要な人物が「気にするな、滅びゆくもののエコーだよ」と言って慰めてくれるが彼らを「偽物」とは言っていない。
    • 最終決戦前に再び現れる亡霊のような三人は打って変わって協力的な態度。また主人公は確かに「それまでの本人にどうにかできるものではない」が、「これからどうにかしないと、世界を滅ぼしてしまう」立場であるため、前述の態度は(その時点では自分の立場を知らない)主人公への遠回しな警告・叱咤激励とも考えられる。ただ遠まわしである必要性は薄く、上述のように言葉もかなり冷たいため、理不尽さが強い。
  • 上記の「前作との関係性」や「シナリオの粗・説明不足」などを抜きにしても、RPGのストーリーとして評価を下げる部分が多く見られる。
    • 本作の物語はほぼ全編を通して 序盤に出会うとある敵方の重要人物を追跡する形となっているのだが、この人物の正体や目的はかなり終盤にならないとほとんど見えてこない。
    • この敵の正体や目的を含め、本作の重要な設定の大部分は最終盤で訪れるとあるダンジョンにて一気に開示されるため、ある程度は演出上意図的なものと思われるが、それ故に物語の大部分は「正体も意図も不明瞭な敵を追うことに終始させられる」「思わせぶりなセリフや謎が次々と示され、分からないことばかりが積み重なっていく」ことになる。
    • このため、主人公の立場的にもプレイヤーの心情的にも 流されるまま・促されるままにシナリオが進行する印象を受けやすい。明快な最終目的が序盤に提示される前作と比べると対照的である。
      • こうした構成上、(特に1周目は)どうにかしてストーリーを理解しようとするプレイヤーほどスッキリしない気持ちで読み進めることになる。本作は演出面が抜群に優れているお陰で、ストーリーの細かい要素を把握しきれないまま進行していても決して退屈な冒険というわけではないのが幸いではあるが…。
      • 重厚な設定に基づいた物語をゲームのシナリオに上手く落とし込めているとは言い難く、こうした構成面でも本作の「分からない・難解」という評価に拍車をかけてしまっている。
    • 前作(および他の多くのRPG)で見られるような「問題提起→解決のワンセットからなる小さなシナリオの区切り」があまり無いため、プレイヤー側がカタルシスを得られる展開も少なめ。
    • 中盤は「目的地Aに行くためにまずBに行く必要がある」といった形でたらい回しにされる展開が連続したり、大きなイベントが起こらない6属性の龍神と戦いに行くパートが長く続くため、物語上の盛り上がりに欠ける期間の割合がやや多い。
  • 前述した敵方の重要人物の諸々について。
    • 当初は超然としたミステリアスな人物のような描写がされるのだが、第一の目標であった『セルジュの確保』が済んだ途端に態度が一気に小物化する。
    • その正体は実のところ、敵性生命を封じて(一応)現行人類世界を守護する者だったのだが
      『アクシデントが原因で保身に走り、計画的に暗躍したがその割には必要以上に周囲を引っ搔き回して(一応は)味方側から恨みを多数買い、舐めてかかっていたら入念な準備を許してしまい、手痛い反撃を受け消滅し現行世界を危機にさらす』と、劇中での行動は整理してみるとかなり迂闊。
    • また、Home側では普通に計画に失敗して消息不明となっている微妙な情けなさを晒していたりする。
  • 物語上で重要となるイベントにもかかわらず、任意発生、又は選択肢で発生するものが多数存在する。サクサク進めていると重要な会話や、重要キャラクター加入イベントを逃してしまい、ストーリーを見失いがち。
    • 物語の根幹に関わるともいえる前作関連の超重要イベントが隠し要素、隠し会話扱いであるためプレイヤーがその気でなくても素通りしてしまう。それにもかかわらず発生条件が厳しいものや、取り返しのつかなくなる要素も存在する。
    • 進行手順によっては物語上必須とも言える重要なキャラクターさえ一度も仲間にしないままクリアすることも可能。その場合上記の重要イベントを発生させることが不可能になるだけでなく、後述のグッドエンディングに関するヒントも大幅に減ってしまうためそれすら望めなくなる始末である。
      • ただし、重要キャラの加入拒否は選択肢だけであり、意図的にわざと仲間入りを拒否し続けないかぎりは起こらない。この場合にもストーリーにはガッツリと関わってくるため、シーンによっては不自然に見える箇所もある。
      • なお、グッドエンディングに関しては単にゲーム中のヒントが減るだけなので達成不可能というわけではなく、イベントの大半を無視していてもキーアイテムに関わるものだけをこなせば普通に見ることは可能。
    • 他にもただメインストーリーを追うだけでは話に付いて行けなくなる部分もいくらかある*15
    • 逆に言えば意図的にショートカット可能な部分がいくつかあるということでもあり、シナリオフラグを把握していれば早解きに利用することも可能となっている。ただし、本来こなすはずのイベントをすっ飛ばした場合、それと引き換えに貴重なアイテムやエレメントが入手不可能になったり、悲劇的な展開へ分岐してしまう箇所もいくつかある。
  • 全体的に説教臭さが目に付く。
    • ここまでのシナリオに関する記述でも、いくつか出てきているがほんの一部である。
    • 特にある種族が別の種族を虐殺した件について「我々は人間のせいで住処を追われた。だからこの殺戮も人間が悪い(要約)」という噴飯物の主張をする*16
    • それだけなら推定悪役の戯言で終わる話なのだが、なんと当の被害者種族側がその発言を受けて「そうか、悪いのは人間なんだ!」と、たった今助けてくれた主人公一行を一方的に責め始めるという安易な説教展開を優先した為か滅茶苦茶な事になる。
    • ただし、ルート次第では上記の加害者種族を元の住処から追いやったのは主人公一行という展開になる。この場合、加害者種族からその事を責められ、被害者種族からは助けられたとはいえ元々の原因を主人公一行が作った事を責められるという説得力のある展開になる。
    • また、加害者種族を元の住処から追いやった事に対しても、瀕死の重傷の仲間の命を救うためという相応の理由があり、やむを得ない事情があったとはいえ、他種族を犠牲にしたツケを両種族から責められる事によって後々払う事になるという、後味の悪さはあるものの説得力は自体は十分にあるものとなっている。
    • 後者のルートは前情報無しの初見プレイであれば、ほとんどのプレイヤーが選ぶであろう実質的な正規ルートと言えるものであり、前者のルートは実質的なIFルートであるため、整合性が取り切れなかったものであると考えられる。
  • 前作『トリガー』と比較して、ワールドマップが狭く感じる。
    • 世界全体を散策できたトリガーに対し、今回は1つの島(岩礁に囲まれた海域)が舞台であるため、作中で外国の存在はほのめかされているが外海には出られない。よって、かなり小規模に感じる。
    • ただ前作トリガーは時代の違いによるマップ数が多い代わりに、町やダンジョン自体は多くなく*17、冒険の規模が狭いと感じるのは単なるイメージ的な部分も多い。
    • 基本はパラレルワールドものであるため、よく似た2つの世界を行き来するストーリーである。現代・未来・中世・古代・原始時代など多くの時代を移動できたトリガーに比べるとあまり代わり映えがしない。また、ワールドマップ上ではHOMEかANOTHERを表示され見分けが付くようにはなるものの、2つの世界はマップそのものが全く同じであるため(出現モンスターやマップの細部が違う)、自分が今現在どちらの世界にいるのか、目指す目的地はどちらの世界なのか、等が混乱しやすい。
      • ただし両世界では辿った歴史が少し異なるため、一部の町は同じ構成でも雰囲気がガラリと変わっていたり、同一人物でも置かれた状況が異なっていたりする。BGMもアレンジ違いになっていたりなど、細かい部分での違いも多い。基本は同じ場所なのに2つの世界で細かい違いがあるという面を探すことを楽しめるようにはなっている。
  • 本作には経験値はなく、ストーリー上で戦うボスを倒すことで全員が1レベルアップする。厳密にはボス戦後に「レベルスター」というアイテムを獲得でき、仲間全員のレベルが1段階成長するというシステム。レベルが上がるごとにHPや攻撃力だけでなく、エレメントを装備できるグリッドの数も増えていき、戦略の幅も広がる。
    • 仲間キャラが次々と加入する本作の性質上、新しい仲間が加わった際に一からレベル上げをする手間を無くすために配慮されたシステムといえる。このため、雑魚戦を一切行わなくてもボス戦ではある程度の強さを常に保つことができ、前述の早解きのしやすさにも拍車をかけている。
    • その反面、「ザコ敵を倒しまくってキャラクターを育てる楽しみが殆どない」「シナリオの進行に応じて必ず一定のステータスが担保されてしまうため戦闘の緊張感に欠ける」という批判もある。
    • ただし、雑魚と戦闘をしてもまったく成長しないわけではない。雑魚戦で勝利するとほんの少しだけ能力アップが起こる。この成長が起こるのは各キャラ数回だけだが、その後レベルスターを入手すれば、また数回ザコ戦後に少量の能力アップが発生する。そのためパーティに入れてザコ戦に参加させたキャラは、雑魚を無視して進めている場合やパーティに入れていないキャラよりも少しパラメーターが高い状態になるため、雑魚との戦闘にまったく意味が無いわけではない。
    • また武器を強化するための素材やお金などは雑魚敵と戦うことで入手できるため、武器やエレメントを効率よく充実させるためには、結局雑魚との戦闘が必要となってくる。
  • 主人公の「セルジュ」はトリガー同様、『DQ』型の「喋らない主人公」である。
    • プレイヤーの感情移入がしやすい反面、無口なため物足りなくもある。
    • とはいえ、終盤まで見せ場が少なかったトリガーの主人公「クロノ」と比べて、最初から最後までストーリーの中心人物であり、主人公らしい見せ場も多いのだが、逆に言えば、『DQ』型主人公との相性の悪さは前作以上である。
      • 「倒れているキャラにセルジュが駆け寄って屈んだ後に、後ろで棒立ちしている別の仲間キャラが『大丈夫か!?』と声をかける」シーンなど、もはや喋らない設定にした意義が分からないほど不自然な場面も度々見られる。
    • 選択肢などにも個性が見られるが、ほとんどが短い簡潔な選択肢である関係上、「説明しろ」「そんなヒマはない」等、やたら高圧的と取れるものが多い。人によっては「イメージが違う」と思われることも。
    • ただし、とあるイベントでは普段喋らないはずの「セルジュが喋る」場面があり、プレイヤーに驚きをもたらす演出として効果的に使われている。
    • なお、名前変更は可能なものの前作の主人公である「クロノ」という名前だけは付けられなくなっている*18
  • 仲間になるキャラクターが非常に多く、その数、総勢45名*19
    なのだが…。
    • 物語の重要人物とそうでないキャラとの扱いの差が激しく、仲間に加わる理由が希薄なイロモノキャラや、戦闘員として目立てない程ステータスが低いキャラもいる(というよりかなりの数がイロモノ)。仲間集めが単なる「コレクション」要素にしかなっていないという批判意見があり、ストーリーにほぼ関係のない「何故こいつが仲間に?」というキャラも多数いる。
      • 後述の不評点で述べるように、戦闘パーティ人数が少なく入れ替え後の戦闘準備を整えるのが面倒というのも一因である。
      • ただ、多い分、それがごっそりいなくなる展開の際に主人公の心情をプレイヤーも味わえる。
      • また、影の薄い仲間が非常に多い反面、主人公の「セルジュ」、ヒロインの「キッド」、中盤で一時的に仲間になる2名のキャラ等、ストーリーの主要人物の描写は濃密であると言える。
    • この点については元々「町の住人を誰でも仲間にして、戦わせたり出来る」という企画が元になっており、実際は誰でも全員仲間になるというわけではないが、普通のRPGではありえないようなメンバーを組めるという魅力もあると評価する声もある。
      • 個人個人のイベントはそれほど多くはないが、仲間をもう一つの世界の同一人物の所へ連れて行き会わせると特別な反応がある等の要素がある。一部のキャラは、これをすることで固有技や専用武器入手などキャラ個別のイベントも用意されている。
    • ストーリー上ほぼ無関係な仲間キャラが加わる一方、上記に述べたように重要キャラを仲間に加えないことも可能であり、ストーリー序盤においてはパーティーの選択の自由度が高い。ただし後半はメインキャラクターが勝手に加入する事が多くなる。
      • 最低限の仲間のみ加入で進もうとした場合、序盤は主人公を除いてたった3人のみ(途中離脱もあるため、序盤終了時は最低2人)で進めることも可能。一方、一旦仲間離脱が起きた後の中盤以降はシナリオ上の流れで最低15人もが選択の余地なく強制加入となる。
    • 開発段階では短いシナリオを想定していたため、仲間それぞれに深く掘り下げたイベントを用意するはずだったのだが、シナリオの肥大化により開発期間が足りずその多くを断念したと、後にインタビューで語られている。
      • なお、本作について「仲間を増やしすぎたせいで容量不足になった」という意見が見られることがあるが、製品版のディスク容量自体には余裕があるため、単純にイベントを作成するための"期間"が足りなかっただけと推察できる。仲間になる人数についても、開発中は64人の予定だったものが製品版では45人に引き下げられている。探してみると、顔グラフィックはあるがイベントを持たない村人が結構何人もいる。
      • なお本作は発売が一度早められた経緯があり、マスターアップも発売日の2週間前という非常に過酷なスケジュールだったらしい。
    • 仲間が多いためか「セリフ自動生成プログラム」を搭載しており、イベントの多くでは汎用台詞の一人称や語尾だけを変えてそのキャラクターの個性に沿った台詞を生成するようになっている。
      • これにより、たとえシナリオ上の関与が薄いキャラを連れていたとしても、ほとんどのイベントでパーティー内のキャラが多くの台詞を喋ってくれるようになっているため、お気に入りのキャラがイベントに絡めずあまり発言できない といったことは起こらない。
      • その反面、キャラによっては一部不自然な台詞*20が生成されることもある。
      • 自動生成で喋る内容はあくまで汎用的なセリフのみであり、キャラクター個人の掘り下げというよりは、どんなキャラを連れていてもイベントシーンで不自然な状況が起こらないようにするための措置的なシステムである。
    • 当然ながら全ての台詞が自動生成というわけではなく、そのキャラが深く関わるイベントや、ゲーム序盤のイベントなどでは、各キャラクター独自の個別台詞が多い。
      • 裏を返せば「意外なキャラが意外なシーンで独自のセリフで物語に絡んだ発言をする」といったシーンはほとんど無いため、結局のところイロモノキャラを連れるよりも物語に直接的に関わるキャラを連れている方がシナリオ面でもより深く楽しめる、という形になってしまっているのは残念なところ。
  • 一般的な「強くてニューゲーム」はそういうものだが、2周目以降は戦闘があっという間に終わりリスクも感じられない完全な作業になる。
    • 敵のHPが2倍になるが他の能力値はそのままである。これならHP2倍もないほうがいいと思えるほど。

問題点

  • ゲーム進行に支障のあるバグ
    • 土龍の島というダンジョンの仕掛けを、特定の手順で一部だけ解除した状態で途中で外に出て中断してしまうと、以降仕掛けが解除できずにゲーム続行不可能となってしまう不具合がある。発生してしまった場合の復帰方法は無く、諦めて最初からゲームを始めるか、2周目以降(または1周目に強くてコンティニュー)でそこからストーリーを無視してラスボスを倒しクリアするしか無い。
      • 対処方法は「亀を落とす際、画面左の崖上の方を先に落とす」「仕掛けを解除し終えるまで部屋の外に出ない(画面を切り替えない)」事。
    • 「ツマル」という、戦闘中の行動や傾向によって5種類のいずれかの形態に段階進化する*21仲間キャラクターがいるのだが、本来は形態が変化するとステータスの上昇値がその形態独自のものに変わる仕様のはずが、実際のゲームでは形態の変化に関わらず常に初期形態の成長率で固定(弱いまま)であり、場合によってはエレメントを配置するグリットすら増えなくなる。
      • 特に後者のグリッド増加無しになる現象は発生条件が「最終進化した後にセーブ→ロードを行う」という通常のプレイ上で充分起こりえる範囲で発生するため問題となった。一応、終盤まで最終進化させず、ラストダンジョンで最終進化させた後はノーセーブでボス戦に勝利する(グリッドが増えきったのを確認した後はセーブOK)という手順で回避可能。
      • 一方、前者の初期形態ステータスのままで固定になる現象はどうやっても回避方法がなく、そのため攻略本の各形態のステータス値の記載は完全に嘘になってしまっている。
    • また、「ツマル」と、モンスターに変身できる「スプリガン」というキャラクターを一緒のパーティーに入れていた際、戦闘中にスプリガンが変身中にツマルが進化してしまうと不具合が起き、場合によってはフリーズに繋がる危険なバグも存在する。
    • ゲーム序盤でラディウス村長と話して受けられるチュートリアルバトルは本来なら負け戦闘であるが、2周目以降、倒せないはずの村長に「1回の攻撃で」1024以上のダメージを与えるとなんと倒せてしまい、場合によってはバトルから抜け出せず続行不可能になったり、自分を攻撃できるようになったりなどの怪現象が発生する。
      • ただしこのレクチャー自体は必須イベントではないため、レクチャー自体を無視するか、強すぎる攻撃をしないように心がければ回避可能。2周目以降でレクチャーを受けて村長の攻撃を全て耐えきると免許皆伝となる隠しイベントがあるのだが、これを見たい場合はこちらから手を出さずに防御し続けると良い。
    • ゲームクリア後の2周目では、イベント固有エレメントと召喚エレメント以外のエレメントは全てそのまま引き継ぐはずなのだが、何故かその他の共有エレメントの所持数までも減少してしまうことがある。発生条件は確定されておらず、同じセーブデータからクリアしても消える場合と消えない場合がある、そのエレメントを装備していたかどうかに関わらず減ることがあるなど曖昧。
      • 完全な対処方法は無いが、クリア前のデータも念のため残しておき、もしも「インフィニティ」のような貴重なエレメントの所持数が減少してしまった場合はクリア前からやり直すのが無難。
    • 連携技の消費パワーレベルに不具合があり、パーティーの並び順によっては本来よりも余計にパワーレベルが消費されてしまう。(参考)
      • バグの仕組みを理解した上で並び順や蓄積パワーを工夫すれば逆に消費を減らすことも可能なのだが、普通にプレイしている場合は大抵余計に消費されてしまうことが多いため、ただでさえ使いづらい連携技の使い勝手がさらに下がっている。
    • その他細かいバグもいくつかあるが記載を省略する。
  • システム面
    • 仲間の多さと戦闘パーティ人数の少なさに関する不評
      • 仲間になるキャラクターは非常に多いが、メインパーティの人数は前作同様3人までとなっている。つまり、固定の主人公を除くと連れ回せるのは一度に2人のみ。2周目以降は戦闘中のみ主人公を外せるため3人を選べるが、それでも意図して頻繁に入れ替えない限りは全ての仲間を使うことは難しい作りになっている。
      • 序盤ではかなり自由に加入キャラを選べ、中には選択肢やタイミングを逃すとその後仲間にならないキャラなどもいるのだが、中盤以降はシナリオに付随して自動的に加入するキャラが多く、プレイヤーによっては煩わしさを覚えてしまう(ただし、仲間が無駄に増えること自体のデメリットは特に無い)。
      • 各キャラが仲間になるタイミングはそれぞれ決まっており、中には二択・三択のルート分岐で仲間にできるキャラが変わったり、ほぼ終盤でなければ仲間に加わらないキャラも存在する。またゲーム中盤で仲間全員が一時的に離脱する*22イベントが起きるため、好きなキャラクターを使える期間は限られている。
      • 仲間にするのが困難、もしくは仲間イベントに気付き辛いものもある中、せっかく仲間にしても決して強いというわけでもなく、むしろメインシナリオで強制的に仲間になるキャラより弱いケースが多い。
    • 2周目以降はいままでの周回プレイで仲間にしたキャラを呼び出すことが可能になるため、ルート分岐キャラも周回を重ねれば全員集められるが、それも召喚アイテムを入手できるのは全26章中最速でも24章目からとストーリー上はほぼ終盤であるため、問題が完全に解消されるとは言い難い。
    • レベルが上がるごとに各キャラクターのエレメントグリッドの数が非常に多くなるため、メンバーを入れ替える際にエレメントの付け替えを行う場合、手間が掛かる。
      • エレメントを一気に自動で穴埋めするオススメ配置という機能も存在するが賢さに難があるため有用とは言い難い。
    • 装備品の整頓機能がない。やや不便であるし、人によっては気になる。
  • 戦闘のテンポ
    • 敵も味方も攻撃時に相手の所に走り寄り、攻撃という動作をカメラを切り替えて行う。攻撃キャンセルした後また攻撃動作に入ろうとするとやはり同じことが起こる。通常攻撃を三段階で使い分けるシステムもあり、いちいち視点が切り替わることでもっさりとした印象を与えテンポを悪くしている。
    • 他にもエレメントの攻撃演出の長いものも少なからずある。
    • ただ2周目からは大幅に高速化が可能(詳しくは上述のクリア後要素参照)。
  • レベルスターのカンスト上限が★99であるのに対し、1周での★の獲得数は47~48個となっており、2周するだけでほぼ上限に達してしまう。そのため、3周目以降のプレーではキャラを成長させる余地がほぼ無く、過去の周回で仲間にしていなかったキャラを仲間にしても既に成長しきっていて育てる楽しみがほぼ無くなってしまう。
    • ただし、ここで他のキャラの成長を楽しむために新たにニューゲームで1周目を始めたとしても、強くてコンティニューの存在により過去のデータを統合すれば以前のデータも無駄にせずに済むため、心機一転で楽しむことも可能。だが、1周目では当然ながらゲームスピードを変更する便利な試作時間変速機が利用できないという不便さもある。成長システムがほぼ強制であるため、試作時間変速機等の特典アイテムのみ引き継いで1周目を開始できる弱くてニューゲームなどがあれば良かったかもしれない。
  • 各属性の格差
    • 攻撃エレメントには多少の差異はあれど大きな格差は無いが、補助&回復エレメントに関しては属性ごとに非常に大きな格差があり強力な全体回復や補助を持つ白、緑、青が優勢*23、補助エレメントこそ強力だが回復エレメントに乏しい黒、回復エレメントや強力な補助に乏しい赤、黄はやや劣勢気味である*24。もちろん今作ではすべての敵、味方に属性が設定されているため一概にはこの属性が強い弱いとは言えないのだが…。
    • これにより当然白、緑、青の先天属性を持つキャラが強キャラになりやすいのだが、何故かこれらの先天属性と次点の黒属性のキャラはそもそもパラメータが高めなキャラクターが多く、逆に赤、黄の先天属性のキャラはパラメータの高いキャラが少ない(強キャラがいないわけではない)。これが意図的なのか偶然なのかは不明。
    • 一応赤属性のキャラはパラメータが高いキャラは少ないが、パラメータの低いキャラも少ないため平均としてはパラメータが低いわけでは無い(赤属性はスタミナ回復値が抜けて高いキャラが2名存在し、やや玄人向けではあるが他属性にはないタイプの強キャラとして存在感はある)が、黄属性は一部を除いてパラメータが低いキャラに偏ってしまっており、特に魔力とスタミナ回復値が低いキャラがあまりに多い。
    • また、汎用エレメントはキャラと属性が一致していなくても使用可能である。先述した様に緑の汎用回復エレメント「ヒールウィンド」は終盤でも通用する回復量を持っているため、黒や赤属性のキャラでもこれを使用すれば回復面で大きく不利になる事は少ない*25。ただし、黄属性のキャラはフィールドエフェクトが反対属性の緑で染まる事を承知で「ヒールウィンド」を使うか回復量で劣る白属性の「リカバー」を使うかの選択を迫られるため、ここでも黄属性はやや不利となる。
  • キャラの多さの割に戦闘での差別化要素が薄い
    • 本作の戦闘はシステム上「通常攻撃を命中させてエレメントパワーを貯め、汎用エレメントを使用」という流れが基本となるため、戦闘に参加させられるキャラの多さの割に「このキャラでしか出来ないこと」といった差別化要素が薄め。
      • もちろん「腕力は高いが命中率に難がある」「スタミナの回復速度に優れ手数が多い」といったステータス面での個性は分かりやすく実感できるが、前作の『剣技で戦うクロノ/化学兵器を操るルッカ/蛙の性質を生かした技を使うカエル』といった戦闘スタイルでの差別化を考えると、今作は視覚的にはやや画一的であり物足りない。
    • 今作でもキャラ独自の固有エレメントは存在し、それらのエフェクトは非常に個性的で面白いのだが、効果的に目立った独自性を備えるものはかなり少ない。1人につき最大3種類・1戦闘につきそれぞれ1回のみという性質上、やはり汎用エレメントが戦闘の主力にならざるを得ない。
    • 前作では非常に豊富だったキャラ同士の連携技の種類も今作では大幅に少なくなっており、性能面でもあまり頼りにならない(下記)。本作は仲間になった後の味方キャラ同士の絡みがかなり少ないため、こういった面でこそ大勢の仲間がいる意義を持たせて欲しかったところ。
  • 連携技の使い勝手が悪く、一部を除いて完全に趣味技と化している
    • 連携技は特定の固有エレメントを2人もしくは3人分組み合わせて発動するのだが、両者がそのエレメントを使用できる状況(パワーレベルが溜まっていて、かつ2人とも行動可能)でしか発動できない。当然ながら、使用後は発動条件として使われた固有エレメントが全て使用済みになる。
    • だが、そうして大量のパワーレベルとスタミナを消費するにもかかわらず、その効果が2人分のコストに見合っていないことが多い。
      • 中には「エックス斬り」のように非常に威力が高く属性も本来のものから変わるものや、「フラメンコ」のように特殊な効果を持つものなどもあるのだが、大抵の場合はそれぞれ分けて使用した方が強いことが多く、前作と違い連携技の大半がロマン技と化している。
    • さらに前述したように連携技のみ消費パワーレベルにバグがあり、パーティーの並び順によっては正常にパワーが消費されず、本来より余計にパワーが消費されてしまうという事態が起こる。
  • マップ・操作性関連
    • PS期のRPGにはつきものな問題ではあるが、画面が引き過ぎてキャラや宝箱が小さくなりすぎたり、建物や屋根が陰になってキャラが見づらい場所、マップ切り替えが起こる地点が分かりづらい場所が所々存在する。
    • 通れそうで通れない隙間・通れなさそうで通れる通路も多々ある。本作はグラフィックの質が高いため黎明期ほど多くはないものの、それでもマップの移動周りでストレスを受ける場面は少なくない。
    • ○ボタンで調べられるオブジェクトの判定がやけにシビア。明らかに怪しいと思って(正解のギミックを)一度調べたのに、位置取りがほんの少し悪かったせいで反応が無く、何もないものと思い込んで詰まってしまうようなケースも。
  • テキストの所々に誤字脱字がみられる
    • 中には「おもいどり」など初歩的なものも見られる。大事な場面でこれが出ると良いシーンが脱力モノになる。残念ながら終盤のクライマックスシーンにもある。
    • 誤字という程ではないものの、「ざしょうして、のりあげてしまった」といった不自然に平仮名が使われている文や、逆に「待って居る」「滅んで行く星」など過剰に漢字を用いている文も非常に多く、上記の誤字脱字の多さと併せてテキストが読みづらい場面が目立つ。
  • グッドエンディングへの到達方法が難しすぎる。
    + グッドエンディングについて(ネタバレ)
  • ラスボス戦は単純にHPを0にするだけではそのまま次元の彼方へ逃げられ、ただスタッフロールだけが流れて完結するバッドエンディングになってしまう。
    • グッドエンディングを見るためにはラスボスを「倒す」のではなく別の手段をとる必要があるのだが、それには特定のアイテム(エレメント)を入手した上で、さらにそれを特定の条件下で使用しなければならない。しかし、それを示すヒントがかなり少なく、さりげなさすぎる。
    • キーアイテムとなる重要エレメントは、入手するための場所、素材、方法などが具体的に指示されないどころか、肝心の生成場所も隠しマップ扱い*26になっているため、数少ないヒントを便りに自分で探す必要がある。
    • また、使用時のヒントの1つとしてがあり、最終戦ではエレメントを使用する毎に音が鳴り、その音で特定のメロディーを奏でる事が必要になる。だが2つ目と5つ目に使用すべきエレメントの音階が同じ(非常に近い?)ため、逆に並べてしまうと、音は合ってるのに何も起こらずまたやり直しになってしまう。
      • このメロディーについてはラストダンジョンのとある演出や、初戦時のラスボス*27が変化する形態の順番など、最後の戦いのBGMが環境音なことがヒントになっているものの、あまりにもさりげなさすぎるため、そこに自力で気付けるプレイヤーが果たしてどれだけいる事か…。
  • 上記の要因と、バッドエンディングでも歌付きのスタッフロールは流れて2周目に行けてしまう点から、逃げられたものがグッドエンディングだと勘違いして「エンディングが意味不明だ。」と思われてしまう事もあった。
    • 中にはグッドエンディングの存在に全く気づかなかった人も少なからず存在する。
    • スタッフロール中にはゲーム中の主要イベントシーンに加え実写パートがところどころ挿入されており、グッドエンディングの方ではこの実写が大きく意味を持つ(ラストにグッドエンディング専用の追加シーンもある)のだが、一方でバッドエンディングではラスボスを倒した直後に会話もなくそのままスタッフロールに直行してしまい、唐突な実写が混じったイベント集のカットを見せられてそのまま中途半端に終わり「Fin」が表示されるという、これだけ見ると何がなんだかわからないものになってしまっている。これが実はバッドエンディングであることや、グッドエンディングへのヒントなども特に示されない。
  • 最終ダンジョンをクリアした後、ムービー付きでそのダンジョンが意味ありげに変形するのだが、そこへ入る事はできない。
    • 仲間が「あれがラストダンジョンの本当の姿」と言う旨を発言したり、その造形である意味を推察したりするが、それだけである。
    • 開発段階では裏ダンジョンになる予定だったという説もあるが真相は不明。
  • 2周目以降はとある場所で隠しボスとして前作の印象的な敵と戦える…のだが、周回による新要素はその程度。これは前作も同様ではあるが。

総評

1つの作品としてみても難解で複雑な構成のストーリー、やや鈍重で練りこみ不足な部分もあるが斬新でタクティカルなバトルシステムなど、かなり人を選ぶ作風になっている。
また名作と誉れ高い『クロノ・トリガー』の「続編」として宣伝されたためか、何かと前作『トリガー』と比較される傾向にあり、シナリオ面では前作とのつながりに関する点で前作プレイヤーの間で論争が起きやすい。
またグラフィックやシステム面でもFFに近かった『トリガー』とは全く異なる独特のシステムを採用しているため、同じ『クロノ』の名を冠しているものの両作には大きな作風のギャップがある。
開発者自身も「10ではなく9と評価されるゲーム」としているが、賛否両論になってる辺り良評価と不評は1:1なので良く見ても5点の作品と言われている。


余談

  • 本作発売の2週間前にPS移植版『クロノ・トリガー』が発売。
    • 前述の賛否両論点に挙げたように、本作とリンクするアニメムービーが追加されており、特にバッドエンディングムービーの内容が物議を醸した。
    • ただし、ゲーム本編においては両作のセーブデータ同士による連動要素などは一切ない(お互いに無関係な別のゲームのセーブデータとして見なされる)。
  • 世界観や一部のキャラクターはSFCのサテラビューで配信されたサウンドノベル『ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-』(以下ラジカル)が原型になっている。
    • ラジカルのメインシナリオ「Kid 盗めない宝石編」はトリガーの古代編の設定を基にしたストーリーで、トリガーの世界観が下敷きになっている。
      • ラジカルの内容は、クロスでは序盤の蛇骨館潜入イベントに凝縮された格好になっている。
    • ただし、ラジカルとクロスは、登場人物(セルジュやキッド)や用語(凍て付いた炎)など一部の設定が共通しているものの、例えるなら読みきり漫画と連載漫画の関係に近く、ストーリー自体は繋がらず設定も細部で異なるパラレルな内容となっている。クロスではこのラジカルの冒頭部がテキストとして登場する箇所があり、ラジカルも今作と別次元のパラレルワールドであると捉えられるような描写がなされている。
    • なお、ラジカルは選択肢によりストーリー設定が分岐するサウンドノベル(全7シナリオ)であり、最初から遊べるメインシナリオ以外の話はトリガーとの設定の繋がりはない。
      • ノベルゲームという形態上、クロスでは喋らないセルジュもよく喋る。
    • 『クロノ・クロス アルティマニア』によれば、PS版トリガースタッフはラジカル収録を打診したが、加藤氏が昔の文章を読まれるのは恥ずかしいと断っており、長らく移植作品に収録されることはなかった。サテラビューの普及率の低さと配信ソフトなども相まって「幻のソフト」として扱われていた。
      • 一方、年月を経て2009年に発売されたDS版の『クロノ・トリガー アルティマニア』では、加藤氏が『ラジカル』について、いずれまた何かしら別のカタチでオマケとして収録できればと話し合っているが、個人的にそのまま出すのは躊躇はあるものの今更あれにどう手を入れるんだという事でどうなるのかは分からない旨を語っていた。
      • その後、2022年に後述のリマスター版で蘇ることとなった。収録の経緯について、リマスター版の公式Twitterの質疑応答にて「既に20年以上の年月が経ってしまったし、プレ値で取引されたりとおかしなことになってるようなので」と、今回の話が来たときにはもういいやと許容する姿勢だったことを語っている。
  • 海外においてはかなり高く評価されており、国内と違い幾つもの賞を受賞している。
  • 『ゼノギアス』において、宣伝用デモムービーや『チョコボの不思議なダンジョン』収録の体験版で使用されたものの本編中では未使用だった「さあ、愛に血を流させてやろう…… 地獄の海のように紅く、深く……!」というセリフは本作に流用されており、古龍の砦でのイベントにおけるヤマネコのセリフとして登場する*28
  • 一部の設定で前作と齟齬があるものが存在する。
    + ストーリーに絡むネタバレのため隠し
  • 前作にも登場した精霊のグランとリオン兄弟のうち、弟のリオンは前作では兄のことを「グラン兄ちゃん」と慕い、一人称もグランと同じ「ボク」だったのだが、本作では兄を「グラン」と呼び捨てで呼び、一人称も時々「俺」を使うという全く別人のような性格に変貌している。兄のグランは前作とほぼ変わらない口調なのにリオンだけ大きく変更されたため、一部では「リオンがグレた」「魔剣化したせいで性格が歪んだ」等と言われることも。
  • 本シリーズに大きく関わる「ラヴォス」は、前作では原始語で「ラ」=「火」・「ヴォス」=「大きい」という意味が解説されていたのだが、本作では前作の「エイラ」が「つよい、大きい名前」と言われ「ラ」=「大きい」と解釈されていると取れる場面が存在する。
    • これらの設定の齟齬について、前作とパラレルワールドであることによる違いだと解釈するユーザーも存在する。
  • 本作のように「最初は前作との繋がりが明示されていないが、話が進むにつれて繋がりが明確になっていく」という手法を用いた続編作品はアニメなど他作品において度々見かけられる。
    • 例を出すと『超時空世紀オーガス02』『∀ガンダム』『トップをねらえ2!』『SSSS.GRIDMAN』などが挙げられる。
  • 聖剣伝説 LEGEND OF MANA』初回盤の特典として本作の体験版が収録されている。しかし、ロード時間が長い、戦闘中のモーションが助長、エフェクトがとりあえず作って当てておけといった感じで本編に比べて著しく陳腐などの問題があり、公式サイトで「出さなきゃよかった」と言われるほどであった。
    • 特にロード時間は敵が行動する度に発生するなど非常にストレスフル(本編ではちゃんと修正されている)。体験版をプレイして購入を見送った人も多いとされる。
    • ちなみに似たような問題点が『レーシングラグーン』にも該当している。
  • 2001年頃に『クロノ・ブレイク(ブレーク)』なる新規タイトルがスクウェア・エニックスにより日本や北米で商標登録されていることが話題となり、「クロノシリーズ新作か!?」とファンの期待が掛けられ、ネット上ではコラ画像などが一時期出回ったものの、その後も同作の開発発表などは行われること無く、結局このタイトルは期限切れで商標破棄されている。
    • 推測として、スクエニがFFシリーズに集中することにしたためお蔵入りになった、開発者の移籍で制作がストップした、等の噂はあるが真相は不明。
    • なお、後に初期案はスマートフォン用RPG『ファイナルファンタジーレジェンズII 時空ノ水晶』*29に転用されている事を『トリガー』のディレクターの一人だった時田貴司氏が2017年に明かしている。実際、『レジェンズII』のストーリーは『トリガー』との共通点が非常に多い。
  • 2008年発売のDS版トリガーには、本作クロスとのつながりを暗示した追加ダンジョンやエンディングが追加されているが、このゲームが賛否両論だったばかりにそのエンディングも賛否両論分かれている*30
    • また、本作自体はそのDSどころか任天堂ハード向けには移植されていないため(アーカイブスもPSP・PS3向けのみ)、何も知らずにそのエンディングを見て「何これ?」と思った人も多い。また、前述のPS版で物議を醸したバッドエンディングムービーが追加エンディングにて流れるようになった点もそれに拍車を掛けていた。
    • この評価を意識したのか、2018年発売のSteam版トリガーではDS版の追加エンディングこそあるものの、バッドエンディングムービーは収録されていない。
  • 長く公式での動きが全くなかった作品だが、2021年末よりWFSのスマホ/Win*31用RPG『アナザーエデン 時空を超える猫*32』にて本作とのコラボが実現した。公式特設サイトはこちら。更に公式特設サイトには隠しボタンが設置されており、それを押すと昔風のサイトに飛ぶこともできる(クロノシリーズといえば…な場所を押してみよう)。
    • なお、開発会社こそ異なるが同作には『トリガー』『クロス』のスタッフが一部(シナリオライターである加藤正人、音楽家である光田康典など)携わっており、オマージュやパロディも豊富に含まれている。
    • スマホ用ゲームとコラボするのは『トリガー』『クロス』通して初の試みであり、またセルジュ、キッド、ツクヨミには20年越しで声優が付くことになった。後に星の子も新たなシナリオと共に追加され、星の子にも声優がついた。特にこのシナリオではラヴォスの謎や星の子がやってきた理由などを知ることが可能な重要なファクターとなっている。
    • 直近にて、WFSはスクエニと提携してスマホ向けRPG『聖剣伝説 Echoes of Mana』を開発し2022年にリリースすることが発表されており、その縁もあってのコラボではないかと見られている。
    • また、前触れ無く突如昔のゲームとのコラボが行われたことから、『クロス』側にも何らかの動きがあるのではないかとファンから予想されていたが、翌年その通りに後述のリマスター版が発表された。
    • クロノクロスRDの公式Twitterにて8月1日、クロノクロスクエスチョンという質問コーナーで加藤正人氏本人からアナザーエデンとのコラボを勧める回答がされている。

リマスター版(参考記述)

  • 2022年4月7日に本作のリマスター版『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』が発売された。*33
    • 対応機種はPS4/One/Switch/Winでダウンロード専用で発売された(Steam版のみ1日遅れの4月8日発売)。
    • タイトルにあるとおり、前述のサウンドノベル『ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-』も同時収録。両作とも多言語対応となり、『ラジカル』については日本以外での公式リリースは今回が初となる。
    • 発売から約10ヶ月経過した2023年2月22日、本作の追加アップデートが配信された。(公式詳細ページ)
      • 発売当初問題視されていた戦闘時のフレームレート問題や、オリジナル版から引き続き未修正のままだったツマルバグが改善。後者はオリジナル版の発売から実に約23年3ヶ月越しの修正となる。

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最終更新:2024年04月09日 07:37

*1 アルティメットヒッツで付与された判定を記載。

*2 坂口博信氏、堀井雄二氏、鳥山明氏。ただ坂口氏はエグゼクティブプロデューサーとして名を連ねてはいる。

*3 今作は『ゼノギアス』の製作後、トリガー及び今作でメインシナリオを担当している加藤正人氏の要望で改めて『クロノ』を作るべく製作されることになったという経緯がある。

*4 弱で1.0、中で2.0、強で3.0の消費。パワーレベルの上昇も同値。

*5 途中で行動終了したり、攻撃対象を変更する、敵の反撃を受けたりすると命中率はリセットされる。

*6 ただし、効果が決まっているエレメントは低いレベルに配置したほうが少ないパワーレベルで使用できてお得。

*7 例として赤2つ・白1つの時は赤属性と白属性が強化、青属性と黒属性が弱体化する。

*8 これについては後述のトリガーDS版でのみ補完された。

*9 『クロス』に登場するあるキャラの正体に繋がるような演出も出てくる。

*10 公式年表ではA.D.1007年頃にキッドがルッカに拾われ、本作の舞台であるA.D.1020年の時点でキッドは自称16歳である。

*11 ガルディア王国に長年かけて伝わったマールのペンダントと、時空を超えてキッドが誕生した際にサラから託されたペンダント。

*12 前作ではマールが先祖であるリーネ王妃のいる過去の時代に飛ばされて本人と勘違いされた結果、本物の王妃の捜索が打ち切られるという事態に陥ったため、子孫である彼女は消滅してしまった。クロノ達がボスを倒して王妃を救出することで、マールも復活する。

*13 Homeワールドは死海が発生したりしており、後述するように最終的にはなかったことになる。

*14 前作のタイムゲートは死に行く星が最期に見た走馬灯の夢が発生原因の根本だった。

*15 例えばいきなり聞いた事の無い用語が飛び出したり、本編で特に語られていない事を常識のように話されたりなど。

*16 ある種、真理ではあるのかもしれないが、他者ならともかくそれを自分で言っても程度の低い言い訳でしかない。

*17 例えば現代編はダンジョンや一軒家を除くと城1つ・町3つ程度しか無い。

*18 思わせぶりな設定ではあるが、実際にはシナリオ上の意味は特に無い。

*19 ただしルート分岐などの関係で1周で全員は仲間にならない。

*20 本来知っているはずの事を知らないような言動をしたり、口調が不自然な文体になる、個別イベントとは違う口調になるなど。

*21 「初期形態」⇒ 2段階目「天使」or「悪魔」⇒ 3段階目「神獣」or「聖獣」or「魔獣」

*22 離脱した仲間は各町にいるが、話しても拒絶されてしまう。なぜか主人公も積極的に現状を理解してもらおうとはしない。ついこの間まで彼らをパーティーに入れていたプレイヤーはショックを受けるかもしれない。

*23 白は全属性唯一蘇生エレメント(「リバイブ」「リターン」)を持っているほか、魔法エレメントを完全シャットアウトできる「Mイレイザー」・全体回復魔法「リカバー」「ホーリーライト」・ステータス異常回復「ピュリファイ」・魔法防御を操作する「ウォール」「センスティブ」など全くスキのないラインナップ。敵・味方の魔法エレメントダメージを1.5倍にする「マナコール」もいろんな意味でバランスブレイカー。緑は命中率を簡単に99%まで上げられてしまう「イーグルアイ」と汎用全体回復魔法「ヒールウィンド」が序盤から終盤まで強い。青は汎用回復が単体の「ケアラ」止まりであるため回復エレメントは白、緑に一歩劣るが、先天専用全体回復「ケアレスト」が強く補助の「インフィニティ」は一定時間スタミナが減らなくなるという超性能。

*24 黒は魔法攻撃力を操作する「ジーニアス」「フーリッシュ」が使いやすく、コスパがやや悪いが200回復 + フィールドを黒にできる「ポーション」はヤマネコ編では地味に便利。高位の攻撃魔法「フリクション」「ブラックホール」が他の属性より強いことも含め中間位の性能といったところか。敵・味方の魔法エレメントダメージを半分にする「マナフィーブル」も一部ボスに非常に有効。赤は物理攻撃力を上げられる「ハイマッスル」はよく使用されるが、それ以外は先天専用も含めて微妙。一応「イーグルアイ」にほとんど株を奪われているがフィールドを赤にできる点も含め「ハイマッスル」とのシナジーが高い「ナイナイ」はそこそこ。またLV5以下の使用済みエレメントを再使用可能になる「アゲイン」は最強クラスだが消費エレメントのためおいそれと使用することはできない。回復もタブレットで30しか回復できない。あとはセルジュとグレンの連携で使用できる「エックス斬り」はなぜか赤属性で、理論上ゲーム中最大のダメージを出せるほどに強い。黄は物理防御を操作する「ハイプロテクト」「ノークロース」が多少使える程度、回復も80のカプセルのみ、そもそも黄先天キャラの中に魔法が得意なキャラが1人もいないという不遇っぷり。

*25 実際、白や青属性のキャラでも入手法が限られる「ホーリーライト」や「ケアレスト」、性能的に劣る「リカバー」や「ケアラ」を差し置いて「ヒールウィンド」が回復の主力になる事も有り得る。

*26 一度入るまで地名すら表示されない。

*27 ラストダンジョン最深部で戦う時の事。真のラスボス戦はラスダンクリア後に別の場所で発生する。ただ、このラスボス、初戦時の方が明らかに強くBGMもラスボスらしいものであるため、初戦時がゲームとしての実質的なラストバトルであり、真のラストバトルは初戦時に勝ったならグッドにせよバッドにせよエンディング自体はほぼ確実に見れるため、一種のイベントバトルであると見ることもできる

*28 本作では「さあ、愛に血を流させてやろう! 地獄の海のように、紅く……深く……!」と、三点リーダーや感嘆符は微妙に変更されている。

*29 当初は基本プレイ無料の『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』→バージョンアップ版『ファイナルファンタジーレジェンズII』だったが、後に買い切りの完全オフライン専用アプリとしてリニューアル配信。

*30 一部詳細は上記の「シナリオ」の項のネタバレに記載。

*31 Win版はコラボ発表直後の2021年12月6日よりサービス開始。

*32 基本プレイ無料+ガチャだが、ゲーム自体は完全一人用でシステムも普通のRPGに近く、他プレイヤーとの対戦・交流などのソーシャル要素は一切ない。

*33 本作の発売前情報が2022年2月10日に初公開された。