THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず いーえっくす ねおぶらっど】

ジャンル 対戦格闘

対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 アートゥーン
発売日 2002年1月1日
定価 通常版 5,800円
GBA本体セット 15,600円
判定 クソゲー
ポイント 格ゲーとして破綻
メーカー対応が香ばしすぎる
マーベラスな正月の悪夢(ナイトメア)
タカラ餓狼の再来
KOFシリーズ関連作品リンク


概要

  • マーベラスが発売したゲームボーイアドバンス初の『KOF』。アドバンスセットでは限定デザインのGBA本体との同梱となっている。
  • 本作は「オロチ編とネスツ編を繋ぐ立ち位置」として発表された。
    さらに、従来の携帯機向けKOFはいずれも低頭身にアレンジされていたが、本作では発売前に紹介されていた静止画では従来のKOFの見た目を遜色無く再現できているように見え、GBAでもネオジオ頭身と同じようにKOFが出来るとファンは期待を寄せていた。……が、見事に裏切られた。

特徴

  • 主なシステムは『KOF2000』がベースなので割愛するが、キャラや背景の素材に『'99』の物を多く使用している関係上、そちらがベースと誤解されやすい。
  • 本作オリジナルの新キャラクターとして、桜の花弁をベースとした技を使う「葉花萌」が追加。
  • CPU戦は「チーム戦」と「シングル戦」の2つの他、チーム及びシングル戦の2つが選択可能な「通信対戦モード」、プレイヤー1人でどこまで戦えるか競う「サバイバルモード」、最終戦クリア時のタイムを競う「タイムアタックモード」、対戦の練習が可能な「スパーリングモード」、と基本的に選択可能なモードは家庭用KOFを踏襲している。
  • シングル戦は『'99』や『2000』と同じく2人を選択し、片方をストライカーにする形式。
  • 操作モードはA,B,L,Rの4つのボタンを使用する「4ボタンモード」とA,B,Rの3ボタンを使用する「3ボタンモード」の2種類。それぞれオプションで変更出来る。
+ キャラクター一覧
  • 基本的に『'99』のものを踏襲しているが、主人公チームがオロチ編の京メインに戻っているなどいろいろと差異がある。
  • 唯一の新キャラクターとして主人公チームに葉花萌が参戦している。
  • デフォルト6チーム+中ボス1人+ラスボス1人。ストライカー専用6人+隠しストライカー4人。
  • ()内のキャラクターはストライカー専用。チーム内に1人だけしか入れられず、加入させた場合は強制的にそのキャラがストライカーになる。
  • 通常キャラ4人でのエディットチームを組んだ場合やシングル戦では従来通りストライカーを毎回選択可能。
チーム メンバー
主人公チーム 草薙京 二階堂紅丸 葉花萌 (矢吹真吾)
餓狼チーム テリー・ボガード アンディ・ボガード 不知火舞 (ジョー東)
龍虎チーム リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア キング (ユリ・サカザキ)
怒チーム ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル レオナ・ハイデルン (ウィップ)
サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 椎拳崇 (鎮元斎)
韓国チーム キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ (ジョン・フーン)
エキストラストライカー(隠し) (K') (マキシマ) (山崎竜二) (ヴァネッサ)
中ボス(隠し) 八神庵
ラスボス(隠し) ギース・ハワード

問題点

「SFC版の初代『餓狼伝説』と並ぶ、もしくはそれ未満」と言われている程、ゲームとしての完成度が低い。

  • 格闘ゲームとして調整がまったく成り立っておらず、不具合・バグだらけ。中にはゲームがフリーズする致命的なものまである。
    • CPU戦ではしゃがみキックのみで勝ててしまう。
    • リョウのしゃがみ強パンチ・テリーの弱バーンナックルが1ドットしか減らない。
    • チョイの鳳凰脚やリョウの覇王翔吼拳のMAX版は通常版よりダメージが低い。消費ゲージを追加しているのに弱体化とは存在意義が無いのもいいところである。
      • が、ロバートのMAX版龍虎乱舞は体力ゲージの8割分のダメージ。通常版の3倍近く。
    • 萌の星読のダメージが異常に高い。
    • 萌はのけぞりがやけに大きい為、キングはミラージュキック→通常技→×nや、萌は歩き小Pでの永久コンボが決められる。
    • キムは紅丸に対して鳳凰脚の最後の一発が当たらず、落下中に再度鳳凰脚が繋がる。ゲージ3本なら即死。
      • よく見ると鳳凰脚を喰らった後の紅丸はダウンした体勢のまま垂直に落下しているというあり得ない現象が起きている。
    • ラルフのふっ飛ばし攻撃をキャンセルするとスーパーアルゼンチンバックブリーカーが当たるが、相手を投げ飛ばしている最中にグラフィックがずれて一旦相手が落ちてから拾う形になる。
      • また、この途中で地面に落ちたところにストライカーが当てられる。クラークだとラルフが拾うはずだった相手を奪ってしまい、場合によってはラルフが固まる。
    • ストライカー紅丸を当てた際に超必殺技を使うと相手がしばらく空中で震え、追い打ちが可能。
    • テリーのライジングタックルは降下中にも攻撃判定があるため隙が皆無
      • ライジング(昇る)なのに降下のせいで強いとは中々面白いネタではあるが。或いは真吾の朧車・未完成かチャンの鉄球飛燕斬の真似か
    • ヒットストップが画面全体方式になっている。
    • 全ての飛び道具に発生保証がついている。
    • 足払いがカウンターヒットすると追撃が可能。スパーリングモードでは設定を弄れば永久コンボも可能。
    • コマンドをまったく認識してくれない。
      • ダッシュ、萌の外袖、MAX版超必殺技が出しにくいと言った辺り。
      • リョウの暫烈拳に至ってはコマンド通りでは出せず、虎咆の暴発でなければ出せない。
  • 初心者向けという触れ書きで追加された「3ボタンモード」では強キックのコマンドが→+強パンチなのだが、密着して出す場合にコマンド的に通常投げがやたらと暴発しやすく、強キックを密着して確実に出すにはダッシュから出さなければならないため、結局通常の4ボタンが実践的というオチがついている。
  • 通信対戦をするとボタン設定が強制的に先に通信を始めた方のものになってしまう。
  • ハードを考えても酷い演出やアニメーション。
    • 画面写真等の静止画だけ見ると本家KOF並のクオリティだが、いざプレイしてみると動きが悪く、カクカクしている。
      • 京の超必殺技でお馴染み「裏百八式 ・大蛇薙」に至っては、攻撃が出る前の 腕を振りかぶるアニメーションが欠如している 。当たり判定云々の話ではない。
    • OPはボスキャラクターを除く全キャラクター(ストライカー専用の真吾と鎮元斎を含む)のバストアップ絵が表示され、最後に萌のバストアップ絵が表示されるだけの手抜き仕事。
      • 従来のSNK作品でも『リアルバウト餓狼伝説』などは本作同様にバストアップ絵が表示されるOPだったが、それらはちゃんと専用のイラストが表示されるなど手抜きではない。
    • 対戦チーム毎にステージが固定されている上に、ラウンド開始時の演出もカット。
      • 下水道ステージは『'99』だとエレベーターの演出がストーリー等と相まって盛り上がるのだが、その演出もカット。
    • 掛け合いも存在しない。
  • 音源やボイスなどの点。
    • BGMの多くは『2000』のものがアレンジされているのだが、音源がファミコン並にしょぼい。
      • しかもOPなどは音量が非常に小さい。
      • 『2000』からの曲は、音源がしょぼくなっただけで曲自体が極端に改悪されているというわけではないため、まだチップチューンアレンジと捉えれば聞けないこともない。
        しかし、よりによってストーリーモードの庵とギース戦のBGMがシリーズお馴染みの「嵐のサキソフォン」「ギースにしょうゆ」などではなくオリジナル曲のため、どうにも盛り上がらない。
    • ボイスもこもっている上に数が少なく、やけにケチっている。
      • テリーのパワーゲイザーなんかは原作だと「パワー…ゲイザー!」と言った具合だが、本作だと「パワー…ほわぁ!」と、中途半端に他のボイスを使い回している。
      • しかもベースとなった『2000』の物を使用しておらず、何故かそれ以前の作品の物ばかりを使用している。
        例えば京は荒噛みの「ボディが甘いぜ!」等のボイスが、『'96』の頃の「燃えろ~!」や「喰らえ!」になっている。
  • 劣悪なストーリーモード。
    • ストーリーは「優勝セレモニーの際に庵が襲い掛かる。撃退するとギースが現れ、庵の中に眠るオロチの力を覚醒させるために大会優勝者と戦わせたと発言。その後ギースと戦うが、倒されると即座に逃亡」程度で説明が済む。
      • しかも倒されたギースはプレイヤー達に「逃げるのはお前達のほうだろう?」と言いつつ自分が真っ先に逃げる。
    • なぜ優勝セレモニーが行われずに庵がいたのかという疑問については、実は今回のKOF自体が庵の力を見極めるためにギースが仕掛けた罠であったらしい。しかし、ギースは庵のオロチの力を狙って一体どうしようとしていたのかなどの点は一切不明である。
      • そもそもの話として、この時期のギースは『'95』でビリーに調査させたり『'96』で自ら大会に参加したことでとっくにオロチの力を見限っていた筈なので、今更わざわざ庵の力を狙うのもおかしな話である。
      • ちなみにギース自身のストーリーでは影武者(シャドウ)が勝手に大会を開催しこれらを仕掛けたことになっている。
        上記のように明らかな設定矛盾があることや、あまりにも情けない姿を見せているため、他のチームストーリーのギースも実はシャドウだったことにしたい程である。
    • 前情報では「本編のオロチ編とネスツ編を繋ぐ」等と言われていたが、本作は繋ぐどころかどちらのシナリオともほぼ関係がない。
      • 一応はオロチ編を踏まえて「三種の神器によりオロチが封印されてからしばらく経ったある日、世界各地の格闘家へ差出人不明のKOFの招待状が届けられた」という設定なのだが、ネスツ編開始時点でネスツに監禁されて行方知れずになっていたはずの京が「アメリカに渡って修行していた際に知り合った萌」と共にしれっと登場しており、その割にネスツ関連には一切触れない等、時系列的にもどこに差し込んで良いのかよくわからない状態である。
    • 中間デモに専用のBGMやイラストが用意されているわけでもなく、立ちグラフィックと台詞のみで進行する。特にイラストがないのは致命的。
      • さらに歩行グラフィックも使われずに地面を滑るようにキャラクターが現れたり去っていくというシュールさ。内容も状況説明ばかりでまったく面白くない。
    • 中ボスの庵戦とラスボスのギース戦は3対1なのだが、ボス側に補正もかかってなければ体力ゲージが実質3本分ということもなく、同じキャラクターを3回KOさせるという納得のいかない設定。しかも1回倒すごとに何事も無かったかのように登場デモが挟まれる。
      • 本編での3対1戦は相手に能力強化補正が掛かったりなどがされており、非常に強力になっているかわりに1回倒せば勝利となっていたが、本作のやり方は強引どころか馬鹿げているレベル。
      • その本編では京のクローンが登場していたり、ボンボン版餓狼伝説ではギースのこそ出ないがクローンが出るのもあって、相手が3体いるのはクローンだからと言うネタもあったりする。
    • 何故KOFの醍醐味であるチーム戦でこうなってしまったのかは理解に苦しむところだが、実は上記の不可解な仕様は本作のシングル戦をやれば謎が解ける
      • 従来のKOFのシングル戦モードは通常の格ゲー通りの2本先取・最大3ラウンドで、一部の作品では設定変更でラウンド数が変更できるというのが普通だった。
        しかし、本作では3本先取・最大5ラウンド固定で、設定で変更することもできない。
      • しかも対戦画面をよく見ると、チーム戦・シングル戦ともに体力ゲージ下に勝利ラウンド数を示すランプ枠が存在し、勝利すると□□→□■のように点灯して埋まっていく。
        つまり本作はシングル戦でもチーム戦と同じシステムを使い回しており、内部的には同キャラ3人でチーム戦をやっているという仕組みなのである。
        尤も、さすがにシングル戦モードのみ体力ゲージはラウンド毎に全回復するようになっているため、本数固定であること以外の実質的な弊害はないのだが。
        おまけにスパーリング(トレーニング)モードでも勝利ラウンド数を示すランプ枠が存在意義が無いにもかかわらず残ったまま。手抜きとしか言いようがない。
      • このため本作にはそもそも「1人だけで戦う」という設定そのものが存在しないと思われ、件の庵・ギース戦も同様に内部的には同キャラ3人チームで疑似ラウンド制を再現しているに過ぎないのだろう。
    • チーム毎にEDも用意されているが、デモと同じく立ち絵グラフィック流用のみの仕様なのでまったく盛り上がらない。
      • 2チーム程は専用のED曲が用意されているのが救いか。
  • 『'96』から久しぶりにKOFに登場したギースの仕様。
    • 餓狼チームでのクリアで使用可能になるが、性能は飛ばない疾風拳・発生の遅い当て身投げを持つ『'96』仕様。隠し技にデッドリーレイブは追加されているが相当弱い。ラスボスとして出て来ても弱い。
      • 『KOF』でデッドリーレイブが正式に使えるギースは本作が一応初である。ちなみに『'96』当時は没技として自動乱舞式のデッドリーレイブが存在していた(チートで使用可能)が、本作のものは『リアルバウト餓狼伝説』シリーズで登場した際の連続入力式になっている。『'96』仕様のギースが再び使えるのなら、幻の当時仕様のデッドリーレイブを素直に復活採用させれば良かっただろうに。
      • しかも任天堂携帯機における『'96』仕様のギースは一世代前の機種のゲームボーイで発売された『熱闘KOF'96』で既に登場していた訳で……。
    • 同様に主人公チームのクリアでは庵が使用可能になるが、そちらは普通の性能のため中ボスとしても強く、比較すると余計にギースの微妙さが目立つ。
    • キャラクター選択画面や対戦画面の顔グラフィックは通常キャラクターは『'99』の流用だが、ギースは『'96』のものなので明らかに浮いている。
      • 森気楼氏による公式イラストも他のキャラクターは『'99』の写実的なイラストを使用しているのにもかかわらず、彼だけ『'96』当時のアニメ調のイラストを流用。やはり浮いている。
  • 鳴り物入りで主人公チームに追加されたオリジナルキャラクター「葉花萌」もいろいろアレな性能。
    • 技はボイスが「つくよみ!」な星読や、発生が遅すぎて全然対空になっていない対空技の「燕飛」、庵の葵花の様な連続入力技だが、1段目と2段目が全然繋がらない「外袖」などことごとく変。
    • ボイスは『真サムライスピリッツ』のチャムチャムでお馴染みの元女優・千葉麗子なのだが、例によって演技が棒読み気味。「えい↓」「やー↓」
      • チャムチャムのボイスも相当アレだったのだがクセになる点では評価されていた。しかし本作ではボイスの仕様のために更に悪化している。
      • ちなみに続編『EX2』では必殺技は大幅に修正・仕様変更され、ボイスはともかく殆ど別キャラクターとも言うべき変貌を遂げている。
    • 本作にストーリーなど上のようにあってないようなものなので、新キャラかつ本作の主人公チームの一員である筈なのにキャラクター的にも非常に空気。
      • 中間デモでも庵に因縁があるのは京であり、ギースとの会話でも萌はヤジを入れるぐらいしかしない。エンディングでも、何かを思う京に対して疑問を投げかけるが「別に。おまえにゃ関係ねえよ」とばっさり吐き捨てられてしまう。いったい何のために出てきたのか……。
      • 一応、萌単独のストーリーでは庵から僅かに興味を示され、エンディングでは庵の独り言として萌が「十種神宝」であることが語られるのだが、庵自身は「だが俺には関係のない話だ」で済ませてしまうため、それについては一切分からず仕舞いで終わってしまう。
      • 続編でようやくきちんと設定が掘り下げられ、主人公チームの一員らしい設定が追加された。
  • キャラクター選出の面
    • 「オロチ編とネスツ編を繋ぐ」という謳い文句だったためか、主人公チームがネスツ編のものではなく、オロチ編の京主体のものに戻ってしまっている。
      • これにより、ネスツ編の主人公であったK'達は、本作ではストーリーと全く関係ない隠しのエキストラストライカーに追いやられてしまった。
      • その隠しストライカーも『2000』主人公チーム勢ぞろいかと思いきや、ラモンの代わりに何の脈絡もなく山崎が入っている。人気キャラクターといえばそうなのだが、ネスツ編では『2000』のストライカーと『2002』のプレイアブル(一応こちらのほうが早い)しか出番がなかったので疑問なところ。
    • 容量の都合からか本編でお馴染みの女性格闘家チームはオミットされている。舞は『'99』同様に餓狼チームに所属し、キングも『2000』のように龍虎チームに入っているので完全消滅というわけではないが。
  • ストライカー専用キャラクターの扱い
    • ストライカー専用キャラクターは作中のストーリーデモやエンディングに一切登場しない。選ばれた基準もどうにも不明瞭。
      • が、バックストーリーではジョーは外部のムエタイ大会に参加し、ユリは風邪をひいたのでタクマに看病してもらっているため不参戦……、
        つまりストライカーになっているキャラクターはストーリー上は「その場に居ない」ことになっている設定という全く以て謎な状況になっている。
      • ちなみに雑誌アルカディア等で本作の記事が載った際には、第一報からしばらくの間はストライカー専用キャラクターの情報は全く無かった事から、制作時に何かしらの問題が生じていた可能性ある。
    • その割にチームストーリーはストライカー専用キャラクターも含めた4人でチームを組まないと見ることができない。
      • 例えば主人公チームは京・紅丸・萌・真吾の構成で、実際のデモには真吾は一切登場しないのだが、京・紅丸・萌・別のキャラという構成にすると、デモに出てくる3人は見た目上同じように揃っているのに台詞は京のエディットチーム扱いとなってしまう。
      • また、CPU戦を公式チームでプレイする場合は必ずストライカー専用キャラクターが含まれているため、試合毎にストライカーが変更できず完全に固定されてしまう。
  • その他細かなミス・誤記・不具合も多い。
    • 説明書には「ジョーあづま(正:ひがし)」「ラクター(正:キャラクター)」などの誤表記。
    • 勝利ボイスがチャン・コーハンにしかない。さらに、本来は巨漢なのに本作では他のキャラクターと同じくらいのサイズに縮められている。
    • キャラクターセレクト画面でカーソルを動かすと処理落ちする。
    • ランダムでキャラクターを選択した際に相手側にも同じキャラがいた場合、何故か相手と一緒のカラーになってしまう。
    • プレイヤー一人でどこまで戦えるか競うサバイバルモードと最終戦クリア時のタイムを競うタイムアタックモードも追加されているが、それぞれクリアしても何の特典も無い。

賛否両論点

  • バトルアビリティの不採用
    • ベースとなった『'99』と『2000』でのスコアシステムは「バトルアビリティ」という特殊な物を採用していたが、今作では『2001』以降の作品と同様の一般的なスコア形式に回帰している。
    • 一般プレイヤーにとっては理解しやすくなった反面、オリジナルでバトルアビリティを好んでいた層からは残念な評価を下される事がある。
  • シングル戦やエディットチームのデモ
    • 本作は公式チーム以外で組んだりシングル戦を行った場合、メイン1人だけが対象ながらそれぞれのキャラクター個別で一言二言だけながら専用の会話デモやエンディングが用意されている(チーム戦では残り2人は棒立ちで無言になる)。
      • 本編ではエディットチームの場合は無味乾燥な汎用台詞になるケースが多かったため、個別にデモを用意したことについては無駄に頑張っていると言えるかもしれない。肝心のストーリーの中身が薄すぎるのはどうしようもないし、力を入れる箇所を間違っている気がしなくもないが。
    • しかし内部的にはそれぞれのキャラクターの優先順位が設定されているらしく、選んだ順番に関係なく優先順位が高いキャラ1人のデモが優先されてしまう。
      • 本作のシングル戦はストライカーが居るため2人を選択する形式なのだが、例えばレオナと京を選択して終始レオナしか使っていない場合も京のデモが優先されてしまう。
      • チーム戦でも、ストライカーに回していたキャラが何故かデモだけ出張ってきて台詞を全部持っていくという事態が起こり得る。
      • これを防ぐにはシングル戦でエンディングを見たいキャラを選んだ後、必ずデモから除外されるストライカー専用キャラクターを選ぶと良い。

評価点

  • (止め絵の)グラフィックは良い
    • 携帯機にしてはネオジオ版と遜色ないグラフィック、ACと同じ頭身のキャラクターを採用。
      • 実際には上記のようにアニメーションや演出が劣化しているものの、ドット絵そのものはしっかりしており、ぱっと見だけならクオリティが高い。それ故に雑誌の画像写真に騙された購入者も多いともとれるが
    • 加えて、これまでの携帯機作品ではハードの都合上で近距離通常攻撃など何かしらの技が削除されていたのだが、本作ではハード容量の上昇によって登場しているキャラに限られているが殆どの技がネオジオ版と同様になっている。
    • 更に、キャラ選択画面のグラフィックも移植元の物を忠実に再現。
  • 使用ボタンの増加によって攻撃の強弱の使い分けが容易になった。
    • これまでの携帯機種で発売されたネオジオ格ゲーの移植版ではボタン数の少ないゲームボーイやネオジオポケットで発売されていた事もあってか、ボタンの圧力で攻撃の強弱の調整を行うというややこしい操作系統だったが、本作で従来のA,Bボタンに加えてL,Rの2ボタンが登載されそれぞれのボタンに強弱攻撃が割り振られた事により、ようやくアーケードと同等の操作系統を携帯機で実現出来たとも言える。
  • 登場キャラが多い。
    • KOFシリーズはチームバトル制を採用している作品なのだが、これまでの携帯機作品はハード容量の都合上、オリジナルからリストラされたキャラ数も多くなる傾向が見受けられていた。
    • だが本作ではストライカー専用のキャラこそ多いものの、それを含めれば'99に登場していたキャラの殆どが形態問わず出演している事から、これまでの携帯機版KOFよりも多いキャラを使える点は評価出来る。
  • 試合中のボイス搭載。
    • これまでの携帯機で発売されたネオジオ格ゲーの移植版ではボイスの再現が行われていないケースが非常に多かったが、今作はネオジオ版同様に試合中にキャラクターが喋る様になった。
  • 楽曲の再現性
    • 問題点で述べたように音質と音源がハードスペックを考慮してもチープだったりと、お世辞にも優れているとは言えないが、曲構成の再現自体は頑張っている。
    • というのは、本作以前の携帯機で発売されたネオジオ作品の移植群におけるBGMは、一部のフレーズがカットされていたり音程が非常におかしかったりと、再現性の時点で難を抱えている物も多かったが、本作収録分の楽曲についてはそういった物が見受けられず、基本的に原作に忠実な楽曲が採用されている。
  • システムの元となった『2000』で対戦バランスを崩した元凶のストライカージョーを含む、ダウン追い打ち効果のあるストライカーの削減。
    • ただし、ストライカーリョウには残ったままである。
    • 直接関係はないが、チャンのストライカー動作が鉄球大圧殺から画面端から端までをローリングアタックで進むものに変更されている。
  • ギースと萌の書き下ろしのバストアップ絵。
    • 前述した通り、本作の素材は基本的に『'99』の流用であるのか、新たに追加された2名は『'99』風のバストアップ絵が新たに書き下ろされている。
  • 本作では主人公チームの曲として使用されているが、続編では聞けない『2000』の紅丸チームのBGM(「INNER SHADE」)が聞ける。
    • 『EX2』では紅丸が参戦自体していないためか、主人公チームのBGMは原作では対戦時にしか聞く事ができなかった京のテーマ(「Good Bye ESAKA」)に変更。
  • 続編では見れないレバー入れ特殊技と各種通常投げの名前がコマンド表で見れる点。特に萌の通常投げとレバー入れ特殊技は本作でしか見られない。

総評

次世代の携帯ゲーム機であるゲームボーイアドバンスでリリースされた本作は、鳴り物入りでPRされた割には格闘ゲームとしての出来はボロボロ、シナリオ面もボロボロと、全体的に出来が悪く、大失敗という結果になってしまった。

一応、グラフィックやシステム面などでネオジオの作品を再現している部分も見受けられている事から、携帯機でネオジオ製ゲームの忠実な移植が可能になる土壌が出来上がりつつある点を証明しているのも事実ではある。


余談

  • メーカーの行動が非常に香ばしい。
    • 当時、メーカーの公式サイトに公式掲示板が存在していたのだが、案の定バグ情報やクレームが大量に寄せられていた。
      が、恐るべきことにそのバグ情報を非難する書き込みもなんと大量に投稿されていた。
      • 更に社員が一般人を装ってKOFのファンサイトで宣伝を行っていたのではないかという情報も。 本当だとしたら企業としてあるまじき行為である
    • そして、証拠隠滅のためか掲示板を閉鎖&リニューアル。
      • ただ、SNKが倒産直後で混乱状態*1だったことと、ハードの都合でソースを泣く泣く削ってバグだらけになったとフォローできる点もあるが……とはいえゲーム進行にすら影響の出るバグへのサポートや謝罪もなしでそれどころか、火消しや証拠隠滅ともとれるような対応はやはり物を売る企業としてはあるまじきとしか言いようがない。
    • ちなみに本作の開発下請けを担当したアートゥーンは主に3D系アクションゲームを手がけていた開発メーカーであり、それまで2D格闘ゲームを手がけた経験は全く無かった。
      • 一応誤解を招かないように言うが、アートゥーン開発の他のアクションゲーム等はそこそこな出来である(『ブリンクス・ザ・タイムスイーパー』、『ブルードラゴン』等)。要は「全く格ゲー開発のノウハウのない会社に何故KOFを任せてしまったのか」という、メーカー選択を誤った形。
      • ただ、こちらはこちらで同じハードのロンチタイトルにてやらかしているため、全く負がないとは言えないかもしれない。また、『ヨッシーの万有引力』のように、アートゥーンが手掛けたことがきっかけで後続作品のゲームの質が落ちてしまったというケースもある。
      • 同社にとっても黒歴史なのか、当時のアートゥーン公式サイトの開発作品紹介の欄には本作だけが存在しなかった。
      • ちなみに同社は後に吸収合併されAQインタラクティブ・マーベラスAQLを経て現在はマーベラスへと統合されているが、主なスタッフは合併前後に独立し、後に『バランワンダーワールド』を手掛けたことで知られるアーゼストを立ち上げている。
参考動画

続編

続編の『THE KING OF FIGHTERS EX 2 ~HOWLING BLOOD~』は、発売元は同じだがデベロッパーはサン・テック*2に交代し、旧SNK社員も開発に加わっている。
詳細は当該記事を参照。


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最終更新:2024年04月12日 23:23

*1 実際、プレイモアが旧SNKの知的財産権の一括譲渡を受けたのが2001年10月30日(SNKの破産宣告と同日)という時期から考えても権利関係がゴタゴタな状況下での開発であった。

*2 こちらはかつてSPSに在籍していた開発者たちがスピンアウトして興したデベロッパー