バトルフィールド1942

【ばとるふぃーるど いちきゅーよんに】

ジャンル FPS
対応機種 Windows
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 Digital Illusions CE
発売日 2002年9月13日
定価 オープン価格
プレイ人数 1人~64人
判定 良作
ポイント 当時としては驚異の64人同時対戦FPS
みんなでワイワイできるカジュアル性
ミリタリー物だがゲーム性の重視
自由度の高さでバカゲー要素もあり
MODの豊富さ。岡○城でお花見だ!
砂漠で潜水艦を見つける兵士
バトルフィールドシリーズ


概要

『バトルフィールド』シリーズの1作目。
第二次世界大戦がモチーフで、プレイヤーは枢軸軍チームと連合軍チームに分かれて最大32vs32人のオンライン対戦を楽しめる。
東部戦線、西部戦線、北アフリカ戦線、太平洋戦線での激戦となった戦場を再現したステージで、大戦中に使用された陸海空の様々な兵器を駆使して戦う。
連合・枢軸の2チームに分かれたプレイヤー達がそれぞれ1人の兵士となって参戦し、時には白兵戦や銃撃戦、時には兵器に乗り込み撃ち合いながら自軍の勝利を目指す。
最大64人同時ネット対戦、戦場の名にふさわしい広大なフィールド、簡単操作であらゆる兵器を動かせる、という今までにないタイプのFPSとして世界中でヒットした。
最盛期は100万人もがプレイした偉大な戦場FPSのシリーズ先駆者。現在は『BF1942』の略称で呼ばれている。


特徴・評価点

チケットシステム
  • 『BF1942』のメインコンテンツ「コンクエストモード」では、両チームにはチケットと名付けられた戦力値があり、敵のチケットを0にするか時間切れ時に失ったチケットの割合が少ない陣営が勝利となる。
    チケットは敵をキルすると1減らせる他、マップ上の「拠点」を半数以上占拠すると敵のチケットが徐々に減り続ける。このため戦いの主眼は拠点の攻防に集約され、広大なマップでも激しい戦闘が発生する
    • 安全な後方に腰を落ちつけて敵を待ち伏せても不利になるので、能動的に攻めいる必要性が出てくる。
    • あるいはマップの広さを活かして敵の後方へこっそり回り込み、手薄な拠点を占拠することで、敵を挟み撃ちにしたり強力な兵器が沸く拠点を確保して火力優位に持ち込む戦略を取る事もできる。
      • 拠点を確保している側は逆に、こうした「裏取り」を防ぐために最前線以外にも幾分かの戦力を割く必要が生じ、敵の動向を読みあう駆け引きの要素も生まれる。
簡単な操作
  • 基本操作は、WASDで移動、マウスで視点操作、左右マウスボタンで攻撃、加えて兵器乗降キーだけで、誰でもすぐに慣れることができる。
  • 当時ミリタリー物のPCゲームといえばリアルさを売りにした煩雑でマニアックな操作を要求されるリアル系シミュレーターが大半だったが、『BF1942』はスポーツFPS感覚のシンプルに纏まった操作体系で、据え付け機銃からジープ、タイガー戦車、潜水艦、B-17爆撃機、果てには戦艦大和すら一人で操る事ができる。
    • 強力な兵器を味方にすれば心強い反面、それが敵として現れると上手いプレイヤーであっても一人で対抗する事は難しく、味方と協力して撃破する必要がある。そこで自然と他プレイヤーとの連携が発生し、言葉の通じない他国プレイヤーと一体感を味わうことが出来る。強敵の撃退に成功し、賞賛の意味で使われるラジオチャットの「了解!」を応酬する快感はたまらない。プレイヤー間の連携を重視する本作を特徴付けている要素である。
    • 1人だけで兵器に乗り込み操縦して戦うこともできるが、他のプレイヤーも乗り込めば副砲担当や機銃などを担当し、死角を補って更に活躍できる。兵器が戦場の死神となるか、兄弟の棺桶となるかは、他プレイヤーとの連携次第である。
没入感を高める様々な演出
  • 激しい戦闘中も味方と連携が取れるよう、簡単な操作で発言が出来るラジオチャットが用意されている。F1~F10キーを2回押すだけで、敵発見、攻撃指示、協力要請などさまざまなチャットを発信できる。いちいちチャットウインドウを呼び出し戦闘を中断して文章を打つ必要が無く、シームレスに戦闘を続けられる点が画期的だった。
    • なお、この頃はボイスチャットは(外部ツールも含めて)全く一般的ではなかった。
  • プレイヤーが所属する軍の国籍は、日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ソ連。ラジオチャットの音声は自軍の国籍に応じて変化するため、その国の兵士になり切った気分になれる。
    • 拡張パックを導入すればフランスとイタリアが加わり、後述のMODではフィンランド、ハンガリー、中国、イラク、オランダ等の音声を有志が製作し、楽しめるものもある。
大味なゲームシステム
  • 全体の調整はリアル志向とは掛け離れており、多人数対戦ゲームとして楽しむためのバランス調整になっている。
    • 銃のダメージが低めで、適度な撃ち合いを楽しめる。
    • 戦車砲弾がさほど強力ではなく、戦車の装甲も手榴弾でダメージが通ったりバズーカの当たり所によっては一撃死するなど、絶対的な存在ではない。
    • 片方の陣営に上手いプレイヤーが少し居ても64人対戦の中での影響は微々たる物なのでワンサイドゲームになりにくく、この点が誰でも気楽に参戦できる要素の一つとなっている。
バカゲー的な側面
  • 簡単な操作であらゆる事ができる自由度故にネタ方面でも人気が高い。
    • リアルな動きをする兵器同士の衝突や、逆にリアルとは掛け離れて爆発に巻き込まれると空高く舞い上がる生身の兵士など、ビジュアル的に面白いシーンが数多く発生する。
    • 気の知れた仲間で集まれば、殺し合いは一切せずにマップ内を走り回ったり、乗り物でレースをしたり、一人では出来ないスタントをするなど、遊びの自由度が高い。後述するMODによりゲーム環境を自由に変更できる点も、自由度の高さを更に飛躍させている。
    • 飛行機によるスタントからジープによるレースゲーム等を披露した動画、複数プレイヤーが役者のように動いてストーリー仕立てにしたMADムービー等も製作されている。
    • ゲームエンジンの特性から動くオブジェクトの上に乗る事ができるため、飛行機が翼に何人も乗せて離陸したり、某物置メーカーもびっくりな人数が戦車の上に乗ったり、リモコン爆弾を多数投げ込んだジープで敵陣に突っ込み自爆するといった光景が見られる。
    • 後述のMODを組み合わせる事で更にバカバカしさを増した設定をしたおふざけサーバーを公開している所もある。
  • 洋ゲーにしては日本語訳がしっかり出来ている方だが、ところどころにおかしな日本語が散見される。手榴弾に「爆発性」と印刷されていたり、艦の重要区画の扉に「限られた」と書かれていたり、ラジオチャットの「兵士よ、良くやった」「敵の潜水艦を発見!*1」等々。
    • これらはファンにネタにされ、本作を象徴するワードとして愛されている。
MODの豊富さ
  • MODとは、ユーザーがゲームデータを改造して作ったカスタムゲームのこと。語源はModify(改造)の略称。
  • 公式からMOD作成用の資料やツールが配布され、ゲームに様々な改造が施せるようになっている。MAPデータ、オブジェクトの配置、3Dモデルやテクスチャ、武器や兵器の性能など、その気になればどんな3Dゲームでも作れてしまうほど改造の自由度が高い。
    • 製作環境が充実しているため、数多くの有志によって多くのMODが作られた。ゲームソフト自体の動作が軽く、PCスペックの進化によって大規模な改造を施してもサクサク動く点も多くのMOD製作者とプレイヤーに受け入れられた。
    • 史実を研究して作られたマニアすら唸らせるリアル・史実志向の戦争ゲームや、現用兵器に置き換えた現代戦闘、レースゲームやサッカーができるもの、果ては動画サイトで有名になった踊りを再現する*2といったジョークの様な物もあり、実に多彩である。
  • 発売から年月を経た今でも国内の有志の手によって開発を続けられ、2015年現在でも毎晩のように64人対戦が行われている人気MODも存在する。
    • 国内の製作者の手により海外製のMODに史実では日の目を見なかった試作兵器・マイナーな兵器を追加した本格的な物、戦国時代を再現したもの、季節限定で有志のサーバで稼動するお花見(!)と言ったMODが未だに国内で遊ばれている。

問題点

登場兵器や武器の考証が不正確で、史実と食い違う点が多々ある
  • 日本軍がドイツ軍の対戦車ロケット砲「パンツァーシュレック」や「StG44」アサルトライフル等を装備している。
  • 日本軍が開発していたが完成できなかった「四式自動小銃」が配備されており、表記も「五式」と誤っている。
  • 連合軍のM10駆逐戦車が重戦車となっている。現実のM10は装甲が薄く機動性が高い高機動戦車駆逐車。
  • どのマップでも日本軍の駆逐艦が「初月」、戦艦は「大和」、空母は「翔鶴」のみ。
    • その他にも多くの考証誤りが見受けられるが、ゲームバランス上致し方ない点もある。MODの中には、それらの解決を図って製作されたMODも存在する。
マップのバランスが良くない場所がある。
  • ベルリン。リスポン地点が狭い路地なので連合軍は殆ど手も足も出ない状態。兵器間のバランスが如実に出るマップもしばしば存在する。
大味なゲームバランス
  • 評価点でも述べた大味さは、間口を広くする一方で、ストイックなゲーマーの中にはそれを好まない人もいる。
    • あくまで集団競技あるいはパーティーゲーム的な要素が強いので、緻密なエイムや個人技に重きを置くFPSヘビーゲーマーの中には低く評価する人もいる。
シリーズ共通の問題点
こちらを参照

総評

発売当時は展開が速く高度なスキルを要求されがちな『Unreal Tournament』『QUAKE III Arena』の様なスポーツ系とシビアかつ専門的すぎるミリタリーマニア位しか手が出しづらシミュレーター系のFPSの大半を占めていた。
本作はの立ち位置は両者の中間にあたりCOD等で人気を博す後のカジュアル志向FPSの先駆けともいえる。
大味で粗も多い所もあるが、それすら魅力の1つとして受け入れられるのは本作ならではと言ったところ。
発売十年経っても人が減ったといえ、未だに国内サーバでも対戦を行うユーザーが居り、本格的なリメイクが望まれるほどの根強い人気を持つ本作は色褪せぬ魅力を持っている。


余談

  • 『BF』シリーズ以前に開発元のDICEは『CODENAME:EAGLE』と言う作品を出しており、本作の前身とも言える内容を持っている。
  • 体験版にも登場したウェーク島のマップは、地上戦、空戦、艦船戦闘が楽しめるバランスの取れたマップで、『BFBC』シリーズ除く多くのPC作品でリメイクされたウェーク島が実装されている。
    • 現代戦の『BF4』や、軍vs軍ではない『バトルフィールド ハードライン』では実装されていなかったが、本作同様に第二次世界大戦が舞台の『BFV』では太平洋戦線の実装と共に復活した。
  • 後に「ロード・トゥ・ローマ」「シークレット・ウェポン」の2種の拡張パックが発売された。
  • FPSゲームでよく使われるスラング「芋スナ」は本ゲームが発祥である。このゲームにおける、スナイパーライフルを持っている兵科は「偵察兵」であり、本来の偵察という仕事をせず、芋虫のように匍匐状態でスナイパーもどきをしているのが元ネタ。現在では「戦況に関わらず固定位置から動こうとしないスナイパー」を指す言葉として、FPS(TPS)ゲームで広く使われている。
  • 湾岸戦争をモチーフとしてイラク軍とアメリカ軍が戦うMOD「Desert Combat」は完成度の高さから世界中で遊ばれ、これを製作したメンバーはDICEに引き入れられ『バトルフィールド2』の開発スタッフに加わった。
    • 韓国製の基本プレイ無料FPS「War Rock」が、DesertCombatの3Dデータを無断使用して問題になった。
  • EAのデジタル配信プラットフォームのOriginクライアントで無料DLする事が可能になっていた。GemeSpyのサーバーサービス終了に伴い、他のGameSpyサーバーを使用する他のシリーズ共々、配信終了となった。
    • 現在では、インストールされた本作に少し手を加える事で、オンライン対戦を引き続きプレイする事ができる。
  • 『BF』シリーズは本作から『バトルフィールド ベトナム』まで(拡張パックも含めて)、ゲームパッケージは兵士のドアップ顔が同じ構図で載っているという共通デザインだった。いつしか一部の日本人プレイヤーから、彼は「戦場太郎」という名前で呼ばれるようになった。
  • 2009年に『バトルフィールド バッドカンパニー』をベースに本作をリメイクした*3『バトルフィールド1943』がPS3/360のDL専売ソフトとして発売されている。
    • なお、2023年12月8日にこの『BF1943』と『BFBC』『BFBC2』のオンラインモードがサービス終了予定(参照)。
      • 以降はオンライン専用の『BF1943』が遊べなくなる可能性が高い。
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最終更新:2023年03月22日 16:00

*1 本作には様々な乗り物が登場するのだが、潜水艦は全部で22あるマップのうち2つのマップにしか登場せず、対潜水艦専用のボイスコマンドはほぼ使い道がなかった為、このセリフはネタ的扱いを受けていた。

*2 インドの楽曲をネタにしたオアフDEダダダというMAD動画。

*3 エンジン自体は『BFBC2』に使われているFrostbite 1.5。