パースートフォース ~大追跡~

【ぱーすーとふぉーす だいついせき】

ジャンル ドライビングアクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 スパイク
開発元 ビッグビッグスタジオ
発売日 2006年3月2日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 320KB以上
レーティング CERO:12(12才以上対象)
判定 良作
ポイント カーチェイスとSTGを豪快に組み合わせた作品


概要

  • 『MotorStorm:Arctic Edge』*1などを手掛けたビッグビッグスタジオが開発し、スパイクがローカライズしたアクションゲーム。*2
  • レースゲームとシューティングアクションが一体になったゲームで、 激しいカーチェイスを展開しながら敵を追い詰める という、タイトル通りの内容。80~90年代の、ジャン=クロード・ヴァン・ダムなどが活躍していたような大味なアクション映画の世界をそのまま楽しめるといってよい。
    • タイトーのアーケードゲーム 『S.C.I.』に非常によく似ている
  • 日本国内ではパッとしなかったが、世界累計では100万本以上の売り上げを記録し、続編(『Pursuit Force:Extreme Justice』)も作られている。
    • IGNなどのレビューサイトでも高評価を得ている。

ストーリー

アメリカ某所にある架空の州・キャピタル州。
この州の治安は、今やデトロイトやニューオリンズを抜いて、アメリカ最悪と評されるまでになっていた。
というのも、実に5つの強力な犯罪組織が集結し、州を掌握していたからだった。
警察は、この事態を打破するため、犯罪者を撲滅するための強力な部隊を組織した。
プレイヤーが配属されたその部隊の名は、「パースートフォース」と言った。


評価点

爽快でスピーディーなチェイスアクション

  • 基本的な展開は、車(あるいはボート)で道路(川)を猛スピードで進み、逃げる敵を次々と仕留めていくというもの。並走しながら銃撃を加えたり、あるいは直接車体を当てたりといった攻撃で、敵の車両をつぶしていく。
    • このチェイスパートは、『Need for Speedシリーズ』シリーズのような直線的なコースと、ブレーキをかけなくてもガンガン曲がる挙動を持った乗り物で構成されており、入り組んだ路地を右へ左へと走るものではない。そのため、非常に爽快感がある。『バーンアウト』シリーズに似ているとも言える。
      • このタイプのステージでは、一定距離逃走されると隣の州に逃げられたこととなり、プレイヤーの負けとなる(基本的に道路は一本道で敵は走り続けるので、実質的には制限時間のような物である)。
  • また、一台の車で追いかけるのではなく、敵の車や、並走する一般車に飛び移り、乗っ取って進めていくことになる。
    • 車の挙動と同様に、主人公のエースの跳躍力もまたかなり非現実的。高速で疾走しつつ隣の車へ飛び移る。場合によっては 車三台分ぐらいの距離を飛び移る 。だがその違和感よりも、相手の車に勢いよく飛び移り、至近距離で銃撃を加えて敵を倒す、というアクションの痛快さが遥かに勝る。
    • ジャスティスゲージというゲージを貯めた状態だと、空中を飛び移っている状態でゲーム進行がスローになり、その間に敵に銃撃して*3、無傷で車を奪取することが可能になったりもする。
  • 敵の車に飛び移った場合は、相手の攻撃を受けないようにしつつ攻撃をする、だるまさんが転んだのようなモードになる*4
    無事その車両にいるすべての敵を倒せば、その車両を奪うことができる。
    • あまり長時間隠れつづけていると振り落とされてゲームオーバーになってしまう。また、他の車両にいる敵はプレイヤーを狙い続けるので*5 奪い取った車が即爆発 …ということもたまに起こる*6。そのため、車両がボロボロの状態で全滅させる場合は、ゲージを満タンで残しておくなどの戦略が必要になってくる。因みに、奪おうとしている車両が壁や他の車にぶつかったりして主人公にぶつかっても、ダメージはない。
  • 炎上する車から飛び出して相手の車に飛び移る場面、飛び移ったはいいが振り落とされそうになる場面、逆に車に取り付いてきた敵を何とか振り落とそうとする場面、乗り捨てた車が勢いよく転倒しながら爆発炎上する場面などがとにかく立て続けに訪れるため、 アクション映画好きなら興奮しっぱなしになること間違いなし である。

美麗なグラフィック

  • この作品の発売はPSPの発売からわずかに1年足らずしか経っていない時期であるが、グラフィックの質は決して低くない。
    • 長大なコースの背景には豊富なオブジェクトが設置されているが、木やビルなどの描きこみが丁寧。また、工業都市のビル街から、砂漠地帯、雪原地帯、あるいは運河まで、マップの種類は多岐にわたる。土煙や雪煙を巻き上げて繰り広げるカーチェイスは迫力がある。
  • 条件クリアなどでイラストを鑑賞できるギャラリーモードや車を集めるコレクション要素も。イラストの質も悪くない。

日本語フルボイス

  • フォントのローカライズはあまり丁寧とは言えないが、登場人物の声がすべて日本人声優で吹き替えられている。

ツボを心得た登場人物・ミッション

  • 主人公は、その活躍ぶりからやがて「エース」と呼ばれだす新米警官、という以外に一切キャラ付けがなされておらず、没入感が高い。そしてその一方で、彼を取り巻く人物は敵味方どちらも個性的。
    • プレイヤーが戦うのは、道を踏み外した傭兵集団「ウォーロード」、老舗マフィア「カペリファミリー」、脱獄囚集団「コンビクト」、女だけの強盗集団「ヴィクシンズ」、そしてジャパニーズヤクザの車両窃盗集団「キラー66」。どれもその造形はこてこて。またその中の人物も、ゴルゴ13のような殺し屋など、ベタすぎるほどベタなものばかり。
    • 味方も味方で、口うるさく頑固な上司と、美人ヘリパイロットで構成されている。基本的に、ミッションの目的や、ミッションクリア後の評価などはすべて上司の声で語られるが、口調が人間臭い割にプレイヤーに対して一切同情しない鬼上司ぶりが面白い。
  • ミッションも、往年のアクション映画へのオマージュが捧げられているものがある。
    • 速度が時速100マイル以下に落ちると爆発する爆弾を抱えながらバスを運転しつつ、乗客を救出する ……という いくらなんでもそのまんますぎる ものまで*7

BGM

  • 90年代のアクション映画、というより海外ドラマ、あるいはビデオスルーのB級映画を彷彿とさせるものが多く、ゲームの雰囲気づくりに一役買っている。
    • メニューなどを除くと各勢力・シチュエーションにマッチしたBGMがそれぞれ2種類ずつといったところ。

レースパート

  • ミッションモードは基本的に前述のシューティングアクションで構成されているのだが、それをクリアするごとに、ミッションモードで登場したコースを利用してレースが楽しめる。
    • こちらは、タイムアタックと、アドホック通信による対戦が可能で、車種も約30種類と、 おまけと言うには大きすぎるボリューム を持つ。
    • 雰囲気は『バーンアウト』そっくりで、ミッションモードと同様、ライバルや一般車を体当たりなどで蹴散らしながら猛スピードでゴールを目指す。
  • チェックポイント機能
    • 難易度が高い本作ではあるが、チェックポイントはそれなりに充実しているので、同じステージを前・中・後編といった感じに、失敗した場合でもリトライが最初からとは限らない。

賛否両論点

難易度が高い

  • アーケードゲーム的な大味さが難易度の面にも出ている。爽快感が魅力であるとは書いたものの、何も考えずに追いかけて発砲しているだけでは早々に詰まる、戦略性の高い一面も持っている。
    • 先述したジャスティスゲージとは、敵を仕留めたり逮捕したりすることで貯まっていく。これが満タンになっている間は、スローモーションで射撃を行ったりできるが、すべて消費する代わりに主人公の体力と車の耐久度を全回復するという使い方もできる。ミッションによっては護衛対象が車に同乗しているために乗り換えできないことがあるため、どのようにゲージを使うかで明暗が分かれる。
  • わざわざ日本国内でこのゲームに目をつけて買うようなプレイヤーにとっては苦にならないことが多いかもしれないが、海外でも難易度の高さについては賛否両論上がっていた。
  • ボス戦がすべて対乗り物
    • ヘリから射撃したり、敵のデザインが秀逸だったりするが、すべてのボス戦は乗り物を壊して倒す。そのため、ボスとの直接対決(TPS)は一度も訪れない。

問題点

ロードが長い

  • ミッション選択画面、開始・終了画面でロードが入るが、これが結構長い。
    • その代わり、いったんミッションが始まると読み込みはほとんど入らないが、快適とは言い難い作りである。

銃撃戦の作りがちゃち

  • 車を降りて、通常のTPSアクションを行うパートもあるが、カメラワークが雑で戦いづらい。
    • また、車から降りた状態のキャラの挙動も、敵味方共に雑。地面から数センチ浮いているとしか思えない。テンポも悪く、チェイスシーンで高まっていたスピード感が一気に失われる。
    • 車から降りてしまうと、キャラクターのグラフィックの粗さも際立ってしまう。
  • 敵が近接攻撃をしてこないが、こちらは無敵の近接攻撃ができる。
    • 十字砲火を受けていても、近接攻撃中は無敵。まるで、よくあるゾンビゲームのボスゾンビになった気分である。
      • もし仮に、操作キャラが3人くらいから選べるなどの要素があれば、そういった怪力キャラがいても悪くはないだろうが。

ミッションが少ない

  • 5つの敵集団ごとに6つのミッションがあり、ミッションモードは計30のミッションで構成されている。難易度が高いため、実際のクリアには結構時間がかかるが、仮にスムーズにクリアしていったとすると、ミッションモードのコンプリートに要する時間は長くても6時間程度である。
    • 難易度調整もないため、一周クリアするとあとはスコアアタックのみとなる。
    • 主人公エースの体力を半分にしたり、毒状態にしたりといったチートモードが内蔵されているため、あえて縛りをかけて楽しむことも可能だが、することは変わらない。

操作性が若干悪い

  • ×ボタンでアクセル、□ボタンでブレーキ、○ボタンで飛び移り、Rボタンで射撃・攻撃……と、順当な割り当てになっているが、Rボタン押しっぱなしよりも連打した方が射撃の威力が高いなど、プレイヤーにとっては負担にしかならない仕様がいくつかあり、指が疲れる。
    • ただし、キーコンフィグは存在する。

総評

粗いところがあるのは否めないものの、カーチェイスとシューティングを豪快に組み合わせることで、稀有な魅力を獲得した傑作といえる。

ただし、現在では日本語版は、店頭で手軽に手に入れられるものではなくなってしまっている。


余談

  • デベロッパーであったビッグビッグスタジオは元々『World Rally Championship』シリーズを手掛けていたEvolution Studiosの子会社で、本作発売の翌年9月にはどちらもSCEの買収を受け傘下デベロッパーとなった。その後は前述の『MotorStorm: Arctic Edge』、2012年初頭に発売されたPSVitaの『Little Deviants』*8を手掛けたが、2012年1月にSCE WorldWide Studiosの意向によりスタジオは閉鎖された。
    • 一方、かつての親会社であり、2006年からは『モーターストーム』シリーズを手掛けていたEvolution Studiosも『DriveClub』から2年後の2016年4月にスタジオが閉鎖され、開発部門のメンバーはCodemastersへと移り、同社のレーシングゲームの開発に関与することとなった。
  • 海外のみだが続編である『Pursuit Force:Extreme Justice』(PSP)が2007年12月に発売された*9。スーパーカー型のパトカーやホバークラフト、ジェットスキー、サイドカーといった車両が登場し、ボス側も戦車、列車、飛行機など前作よりもバラエティに富んだ内容になっており、アドホック通信による2人協力プレイも可能となっている。
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最終更新:2022年05月10日 00:43

*1 PSPとPS2で発売された『モーターストーム』シリーズの3作目。日本ではPSP版のみ『モーターストーム・レイジングアイス』のタイトルで発売された。同シリーズを手掛けていたEvolution Studioが唯一関わっていないタイトルでもある。

*2 海外でのパブリッシャーはSCE

*3 このゲージを消費することで車を修理することもできる。そのため欲しい車がダメージを受けているときは、敵を瞬殺して奪うか奪ってから修理するかという戦略も。

*4 だるまさんが転んだとは違い、任意のタイミングで飛び出したり隠れたりすることができる。つまりゴールが近い場合など時間がないとき、HPを犠牲にしつつごり押しも可能ではある。

*5 このモード中はダメージを受けない

*6 衝突によるダメージのみなのか実際に銃撃のダメージも入っているのかは不明。

*7 因みにそのミッションの名前は「スピード」。そのまんますぎる…

*8 日本ではPSVitaのローンチタイトルとして2011年末に先行発売された

*9 PS2版の発売も予定されていたがキャンセルされた。