遊☆戯☆王5D's TAG FORCE4
【ゆうぎおうふぁいぶでぃーず たっぐふぉーすふぉー】
ジャンル
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対戦型カードゲーム
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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コナミデジタルエンタテインメント
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開発元
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コナミデジタルエンタテインメント、テンキー
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発売日
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2009年9月17日
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定価
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5,250円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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おい、デュエルしろよ 良作とするには一歩足らない
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遊☆戯☆王 関連作品リンク
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概要
TFシリーズ初の5D'sゲー。ただし、『TF3』から大幅に仕様変更した弊害か、あるいは製作期間の問題か所々で作りこみの甘さが気になる。
一本のゲームとしては致命的な問題点やバグは無いのだが。
特徴・システム
基本的な部分については『1』参照。『3』からの変更点と細かい仕様のみ記述。
『1』~『3』からの変更点
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世界観やライフ表示・SEなどはアニメ『GX』から『5D's』仕様に変更。
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音楽は『3』まではアニメ使用曲「っぽい」曲だったが、本作からは全てゲームオリジナル曲に差し替えになった。
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BEMANIシリーズで活躍しているSota Fujimoriと広野智章(劇団レコード)が担当しており、音楽自体の評価は高い。
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マップは3Dから2Dになった。
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これに伴い3Dマップを用いたミニゲームは全てオミットされた。
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「ドローパン」の廃止。代用としてアイテムスロットが登場。
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カードショップの前にスロットマシンが設置されており、1回200DPで挑戦できる。オーソドックスな3リールのマシンで、止めた絵柄に対応するアイテムを3つの中から選択して一つ貰える。
横一列に同じ色の絵柄が並べばアイテムは3つとも貰える。
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キャラクターによってアイテムの嗜好が異なり、好きな物をプレゼントすれば好感度が上がり、嫌いな物をプレゼントすると好感度が下がる。
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何を上げれば好感度が上がるかは確認不可能だが、キャラのイメージにマッチする物を渡せばだいたい上昇する。
例えば子供っぽいキャラならお菓子、【ドラゴン族】使いなら龍のぬいぐるみ、遊星ならミルク、といった具合。
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モンスターフィギュアはキャラクターの嗜好を問わずに機嫌が上昇する。また、一部のレアフィギュアはカードショップの店員に渡すことでカードの割引してくれる。
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カードレンタルはレンタル料が無料になったが、最大でも5枚までしかレンタルできなくなった。
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デュエル前のじゃんけんがスキップ可能に。
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ゲーム開始時の「読み込みが完了しました」というダイアログがなくなりテンポよく始められるようになった。
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収録カードは4,063枚以上。
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拡張パック『ANCIENT PROPHECY』、デュエルターミナル『疾風のドラグニティ!!』まで収録だが、『STARDUST OVERDRIVE』のカードも一部先行収録。
なお、TF3の時点ではゲームオリジナルカードだったが後にOCG化されたカードはOCG仕様になっている。
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初期制限は2009年3月制限となっている。変更もできるがCPUは制限変更後も以前のデッキを使用するのはこれまでと同じ。
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OCGではただのシンクロモンスターとなったダークシンクロモンスターがゲームオリジナルカードとしてダークシンクロ版も再現され収録された。
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これに伴い、専用のダークチューナーも実装。ダークシンクロ時の演出は通常のシンクロとは別のものとなっているので雰囲気も完璧。
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もちろんTF3までのオリジナルカードもちゃんと残っており、ダークシンクロ以外にも新たなゲームオリジナルカードが登場する。
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パートナーにできるキャラクターはD1(アニメキャラ)が14人、D2(ゲームオリジナルキャラ)が66人で合計80人。D3は消滅。
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さらにD1の遊星、アキ、ダグナー勢4人、御影さんは衣装違い版があるので実質的には87人となる。
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D2キャラにもキャラ紹介とボイステストが搭載され、D1とほぼ同じ扱いになった。
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『3』までのオリジナルキャラはアカデミアが舞台だったためか教師・生徒のみだったが、今作ではセキュリティ・アカデミア女子・大人・子供の4タイプとなった。
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傾向としてはセキュリティは過去~現在の環境のトップデッキ、アカデミア女子はやや強めのテーマデッキ、大人はそれなりのテーマデッキ、子供は使いにくいが決まった時は強力なコンボデッキ、と言った感じ。ただしこれに反するキャラもいる。
評価点
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5D's初期特有の殺伐とした雰囲気の再現度が高い。
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全体的にトップス・シティ側の住民とサテライト側の住民の仲の悪く、好感度はあげにくいものの正しい原作再現を行っている。
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マーカーなしのぶっきらぼうな遊星、高慢なジャック、トゲトゲしていたアキ、皮肉屋の龍可とレギュラー陣の初期性格が見られるのは今となっては貴重。
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キャラクターの個別ストーリーもアキやルドガーなど番組初期の陰鬱な雰囲気が色濃いシナリオが存在する。
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遊星にいたっては、「マーカーなしver」と「マーカーありver」と2種類のシナリオがある。
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他にもとにかく「5D'sのキャラゲー」としての押さえるべき所は完璧。
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クソキャラゲーにありがちなキャラ崩壊は一切ない。一方アニメ版にて視聴者にネタにされた部分を昇華して盛り込むなど、ゲーム版スタッフがファンサイトもチェックしていることをうかがわせ、「出来のいい同人誌」とも喩えられる。
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キャラクターのデッキも高レベルだとアニメ版で使用しなかったガチカードの割合が増えるものの、デッキのコンセプトが別物になってしまうようなカードのチョイスはない。
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例外的に龍可だけアニメと関係のない【シモッチバーン】だが、そもそもアニメでの龍可のデッキは雑多なカードの詰め合わせ状態で、彼女のデッキのマスコットの《クリボン》との相性もいいので悪いチョイスではないだろう。
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サテライト編~ダークシグナー編のデュエルのなかったキャラたちもサブイベント担当として何らかの形で登場している。ラリーにいたってはD1で個別ストーリーあり。
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カード店員はセイコさんから胡桃沢になったが、覚えていた視聴者がどれだけいたことやら。
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その一方で相変わらずキャラの衣装変更版ストーリーははっちゃけている。
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特筆すべきはやはりアニメでも突っ込みどころ満載だったチーム・サティスファクション(満足同盟)時代の鬼柳が使えることだろうか
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発売当時はまだOCG化されていなかった「STARDUST OVERDRIVE」の一部のカードが先行して使えた。
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このパックのカードはレギュラー陣およびダークシグナーたちのキーカードが多く、もしも収録されなかったらかなり悲惨な事態になっていたと思われる。
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ただしこのパックの未収録カード内に【デュアル】で必須の《デュアルスパーク》等有用なカードが何枚かあるのが惜しい。
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デュエル面もUIの改善がなされた。
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シンクロ召喚の本格化にあわせてか、モンスターカードのレベルが常時表示されるようになり、戦略を組み立てやすくなった。細かい所だが普通のモンスターは白、チューナーは黄色で表示されるため錯誤しにくい親切な作りになっている。
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デュアルモンスターを再度召喚してない状態だと効果が灰色で表示されるようになり、再度召喚してるか否かの判別がつくようになった。ディフォーマーのように「2つのうちどちらかの効果が発動している」タイプのモンスターも発動していない効果が灰色で表示されるのでこちらも便利。
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デッキレシピが50個から200個も保存可能に。ソート機能も充実しているのが嬉しい。
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新規ムービーはなかなか綺麗。《スターダスト・ドラゴン》は特に力が入っているので必見。
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一方GX期に作られたムービーは特殊勝利カードと《青眼の白龍》、《光と闇の竜》以外は削除されてしまった。
賛否両論点
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クロウが尋常でない位強い。
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《黒い旋風》と《BF-疾風のゲイル》が無制限だった時期と言えばどんな凄惨な状況だったかOCGプレーヤーは理解できるだろう。OCGをやってない人に説明すると現実世界の世界大会で頂点を極めたデッキを使うやつがいる、と説明するといいだろうか。
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一応《ダーク・アームド・ドラゴン》や《王宮の弾圧》が入っていない、シンクロはBFシリーズのみ、低レベルデッキなら微妙なBFも投入されていると有情な部分もあるのだが…。
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ただ、微妙とはいえ闇・鳥獣・BFなので《闇の誘惑》のコストにしたり《ゴッドバードアタック》の弾にしたり《BF-大旆のヴァーユ》 の効果を使ったりできるのであまり意味がない。
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しかもD2のイベント3で絶対に戦うことになる。他のキャラとは段違いのスピードでデッキを展開していくため、原作同様「インチキ効果もいい加減にしろ!」とこっちが言いたくなる。
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結局のところ、クロウがBFシリーズを使うのは原作通りなので仕方がないところでもある。
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何故かクロウはアニメでもワンターンキルや無限ループコンボを行ったり、複数枚積み構成を行っていたり、デッキにガチカードである《聖なるバリア-ミラーフォース-》を投入していたりと妙に実戦的な部分が目立つ。そういう意味でも強いのは原作再現とも言えなくもない。
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フリーデュエルモードではDP(当ゲーム中での通貨)減少ペナルティが課されるのだが、特定の操作をすることでペナルティを無しにできてしまう。この状況下で特殊ルールを用いて決闘すれば凄まじい早さでDPの荒稼ぎができてしまう。
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もちろん手っ取り早くカードを集めたい人にとっては有用なのだが、早い段階でカードが揃ってしまうということはそれだけ飽きも早くなるわけで…。一長一短なところである。
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『5』『6』では修正されて荒稼ぎできなくなった。ちなみにこのことに関する小ネタも出てくるので、やはりスタッフはファンサイト等をちゃんとチェックしている模様。
問題点
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アニメ序盤のキャラはほとんどが登場しているのだが、何人か未登場の登場人物がいる。ダークシグナー編の内容がメインなのだが、よりにもよってダグナー編のラスボスであるゴドウィン超官が出ない。製作時期が悪かったとしか言えないが。
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加えて言うとボマーも出ない。おじさんことディヴァインも死亡済み。
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イェーガーもジェスターはギリギリ収録されているのだが開発時期の関係かデュエルできるのは『5』まで待つことに。
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その他のアニメでデュエルしたキャラだと鷹栖、ムクロ、ジル、フランク、虎堂は出ない。もっともメインはダークシグナー編で前の二人以外は単発キャラという事情もあるが。
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ジルは彼がアニメで使用したマスクドナイトシリーズがゲームオリジナルカードとして存在する。もしかしたら出す予定もあったのかもしれない。
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一応本作に登場しなかった序盤のキャラも『WCS』シリーズや遊☆戯☆王 デュエルターミナル、Wiiの『遊戯王5D's DuelTranser』や『遊☆戯☆王5D's Wheelie Breakers』などで登場している。
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オリジナルキャラ関連のあれこれ。
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全体的に立ち絵、3Dモデルの使い回しが目立つ。さながらファミコン時代並みのカラバリ使い回しをしている。
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『3』では貧乳設定のキャラにはわざわざ専用3Dモデルを作ったりと謎の力の入れ方もしていたのだが...。
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特に事態を重く見ていた(?)のか『5』『6』では徐々に立ち絵と3Dモデルを改良して差別化している。
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『3』までの一部のオリキャラは続投しているのだが学生のままのキャラがいる一方、大人になっているキャラもいる。名前だけ同じパラレルワールド...と思いきや『3』の時代の話をしたりどういう扱いなのか理解に苦しむ。
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続投キャラの中には落ちぶれたり性格が全く別物になってしまったキャラもいるので、該当キャラがお気に入りだった旧作からのプレイヤーにはちょっとショック。
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新規キャラは病弱和風お嬢様、潔癖症のガチレズ、ピンク髪のテンプレツンデレ、モンスター擬人化幼女、アイドル候補生、超不幸幼女等色々な意味で濃い。幸いにもアニメキャラがすでに濃いキャラだらけなので浮いていないが。
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ただこの超不幸な幼女に関しては、「親の過去の所業で周りから嫌われている」という設定なのだがそういう子にこそ優しいはずの遊星やクロウですら嫌っている、というのは流石にツッコミが入った。この辺りは『5』以降に改善されている。
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主人公、コナミくんは後続作品ほどハジけてはないが、それでもネタ的な部分はこの時点で色々多い。
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作中誰からも持ち上げられるのだが、『遊戯王』という作品そのものがアニメ界きってのカオスな作品なのでむしろ違和感なく溶け込んでおり、評判は悪くない。
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ちなみに、『1』~『3』と『5』『6』のコナミくんとは別人の模様。
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デュエル中の動作が『3』以上にもっさりするようになった。データインストールは『5』以降は対応するのだが本作では対応していない。
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デュエル開始前後やデッキ編集などで画面暗転した時のロード時間も『5』以降と比べると長い。
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タッグデュエルパートナーの手札が見れなくなり、戦略を組み立てにくくなった。
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確かにアニメでは手札を見せ合って相談するようなシーンはないので原作再現とも言えなくもないが、『3』までは可視化されていたので以前からのプレイヤーには批判されがち。
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遊戯王史上最大級のぶっ壊れカードだった《ダーク・ダイブ・ボンバー》が使える時期に発売されたのだが、このカードの入手方法が非常に面倒。
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一日一回だけ引けるランダムくじ引きから入手というもの。しかも478種の中からであり、他のカードは使い道の限られる初期バニラだらけなのでハズレた時のうまみは一切ない。
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なお、同条件で入手のカードに《メンタルスフィア・デーモン》と《ギガプラント》がある。前者は汎用性が高いシンクロかつ【サイキック】の主力、後者は【植物族】の要なのでこれらのデッキを組もうとしたらこちらも手に入れるまで難儀することになる。…アキさん、涙目。
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この三枚は過去作連動キャラのクリア特典なので連動特典のうまみをなるべく減らさず、同時に通常プレイでも全てのカードが揃うようにするためにと考えた結果なのだろう。一応全種入手まで絶対にダブらず一度に10枚もらえるという救済点はある。
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そもそも《ダーク・ダイブ・ボンバー》を投入すれば間違いなくゲームバランスが崩壊するため容易に入手できなくした可能性も否定しきれないが。
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キャラの機嫌が悪くなりやすく、好感度を上げにくい。
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とにかくほぼ毎日話しかけないとすぐにドクロマーク(最悪状態)だらけになりやすい。相性がいいキャラを連れて話すか、フィギュアをプレゼントすればすぐに上昇するが。
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特にダークシグナーのキャラは一部を除き夜にしか登場しないため好感度を上げにくい。
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また、D2キャラは所在地をマップ画面から確認できないので、遭遇するためにはやや運が絡む
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一応キャラクターの身分によって大雑把な所在地はある(例えば学生ならシティ方面かデュエルアカデミアに高確率でいる)のだが、これに反するキャラもおり、日によっては一日中出現しないこともある。
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ダークシグナーの一人、ディマクのパートナーデッキがひどいことになっている。
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ディマクルートは他のキャラとは違い、主人公はただ見ているだけで進行するのだがディマクのデッキに通常召喚できるモンスターは一切投入されておらず、極めて特殊な条件下でなければモンスターを召喚することすらできない。当然このことに気づいていないとやめるまでディマクが負け続けるのを見る羽目になる。
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そのためパートナーデッキ改造が必須。だがディマクに10000DP払いたくないという意見や、9枚(一枚はEXなので実質8枚だが)入れ替え不可かつどれも使いづらいカードのため改造しても負けてしまうこともある。
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よりにもよってストーリーラストでぶつかるのが前述のクロウ。話もギャグ寄りなのでスタッフ的にはネタルートのつもりなのだろうが、原作のディマクの掘り下げ不足とあいまって人によっては笑えない仕上がりとなっている。
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女性モンスターばかりを集めたパックの入手が難しい。
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一応汎用性に優れたカードは少ないのだが、そのパックの解禁条件の一つである激レアフィギュアを5種類集めることになっており、完全にコレクター泣かせになっている。
総評
問題点がやや多いように見えるが、実のところデュエルシミュレーターとして使うならば(今だとカードプールの古さはあるが)問題はない。
製作期間のタイミングの悪さと当時の制限改訂と環境が暗黒期そのものだったことが評価を落としてしまっているところ。
それでもGX期に負けないほど「公式による二次創作」としては良い出来で、スタッフの『遊戯王』への限りない愛は伝わってくる一作。
ただ、今から買うのはよほど初期の5D'sが好きという人か、『4』~『6』通して遊びたいという人以外にはあまりオススメできない。
正直後続作をプレイしてからでは動作の重さやオリキャラのコンパチ感が気になるので、「
ギャルゲー要素が薄いだなんて
こんなんじゃ満足できねぇぜ……」という人には『TF5』か『TF6』を勧めたいところ。
最終更新:2024年01月09日 16:41