超ヒロイン戦記

【すーぱーひろいんくろにくる】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
メディア 【PS3】BD-ROM 1枚
【PSV】PlayStation Vitaカード
【PS3/PSV】ダウンロード版(配信終了)
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 トーセ
発売日 2014年2月6日
定価 【PS3】8,480円
【PSV】7,480円(各税5%込)
判定 なし
ポイント チョイスに疑問ありだが魅力ある作品揃い
今作でも体を張る一般人達
半端なヒロイン重視が仇となった
脱衣を期待させた公式
事実上『クイーンズゲイト』の続編
驚愕の真エンディング
不具合あり
バンダイナムコ クロスオーバー関連作品シリーズ


概要

萌え+バトル系(理由は後述するが一部除く)に分類されるアニメのキャラクターが一堂に会する戦略シミュレーションRPG。単に『ヒロイン戦記』とも呼ばれたりする。
クイーンズブレイド スパイラルカオス』『クイーンズゲイト スパイラルカオス』を手掛けたチームが開発しており、原作では捉えきれなかったヒロインたちの一挙一動をスーパーロボット大戦シリーズのノウハウを生かして掘り起こし、PS3/PSVの性能をフル活用したなめらかな3DCGによって再現した。
インターミッションではフリートークや「修練の間」というフリーバトルステージなどがある。また、選んだルートや満たした条件によってエンディングが変化する。

なお、読みやすさを考慮して、『スパロボ』『クイーンズ』は以下の文中に頻繁に出てくるためそれらのみ『』を省き、参戦作品は『』をつける。


参戦作品一覧

作品名 原作
ドリームハンター麗夢 18禁OVA*1
戦姫絶唱シンフォギア テレビアニメ
京騒戯画 テレビ・ウェブアニメ*2
緋弾のアリア ライトノベル
ゼロの使い魔F
IS〈インフィニット・ストラトス〉
ひぐらしのなく頃に 同人ゲーム
快盗天使ツインエンジェル パチスロ
デ・ジ・キャラット ブロッコリー企業キャラクター
すーぱーそに子 ニトロプラス企業キャラクター

全10作。基本的にアニメ版で版権を取得しているが、『ツインエンジェル』『デ・ジ・キャラット』『そに子』は何故か原作の版権であるらしい*3


システム

大本のシステムはクイーンズシリーズを引き継いでいる。

能力破壊システム

  • クイーンズシリーズの“コスチューム破壊システム”に代わって導入されたもの。
  • 各キャラクターには「ATK」(攻撃力)・「HIT」(命中率)・「SPD」(回避率)という3つの「能力部位」が存在し、これらの部位にダメージを与えゲージを減らすことでその部位の能力を下げることができる。
  • どの能力に多くのダメージを与えるかを指示することができる。
  • 全ての能力部位が破壊されたキャラクターは、HPが残っていても無条件降伏となる。

ソウルシンパシー、エクストラアタック

  • 能力部位のゲージを1つでも0にすると連続で攻撃可能になる。
    • キャラクターが保持している技が表示され、攻撃可能な部位の技が表示される。
  • ソウルリンク範囲(簡単に書くと援護可能エリア)に味方ユニットがいる場合はソウルシンパシーになり、いない場合はエクストラアタックとなる。

Wインパクト

  • 3つの部位とHPを同時に0にした時に発動する特殊演出。相手に更なる追い打ちをかける、いわゆるオーバーキル。
    • 発動時には各ヒロインの水着やコスプレなどのイラストが何故か出現し、ボーナスも手に入る。
  • Wインパクトでしか手に入らないアイテムもある。

その他独自要素

  • クイーンズシリーズではマップと戦闘シーンが2Dだったが、先にも少し触れてる通り今作では3Dになった。
  • 行動終了後にキャラの向きを選択できる。本作は攻撃と防御の確率変動にキャラの向きが大きく作用するため終了後の配置にも気を配ることになる。

評価点

  • 「美少女アニメ版スパロボ」というコンセプトそのもの。
    • 会社やブランドが同じ作品を集めたお祭りゲーは昔からそれなりにあった。しかし、
      1. 「会社やブランド」といった垣根を超えて
      2. 一般的に知名度の低い(メジャーとは言いづらい)作品も取り揃え
      3. キャラだけでなくストーリーや世界観も混ざった
      4. テレビ(家庭用)ゲーム
    • といった要素を持っているのは、スパロボとその姉妹作を除くと意外に少ない。特に“美少女アニメ”という括りでは、かの『魔女っ子大作戦』程度しか前例がなかった。
      • クイーンズゲイトもお祭りゲーだが、「ある一つの世界に異世界から特定のキャラのみ集まってくる(転移する)」というタイプの作品なので似ているようで全く違う。
    • 「スーパーヒロイン大戦」「スーパー魔法少女大戦」*4というキーワードで検索してもらうとわかるが、本作のような美少女もののお祭りゲーは多くの人が待ち焦がれていた存在なのである。
  • 参戦作品のマイナー・メジャーの比率。
    • スパロボをモデルケースとした結果、マイナー・メジャー作品の比率が程良く配分されている。
      • メディア展開が一通り終了していた『ひぐらし』『ツインエンジェル』は久々のメディア登場となりファンを歓喜させた*5
      • 『ゼロの使い魔』は発売前に原作者が逝去しメディア展開が中断されていた中での参戦となった。
      • 『デ・ジ・キャラット』は二代目のデザインだが初代準拠のキャスティングとなっており、これまた久々のメディア登場となった。本作発売の1年前には生誕15周年を記念した各種展開も実施されていた。
    • この手のお祭り企画はメジャーな(=メディア露出の多い)作品ばかりが採用される傾向にあり、そもそもマイナー作品を多めにすると買う人が少なくなる。しかしメジャー作品ばかりでは飽きられてしまうためメジャーとマイナーの配分は意外と難しい。
      • さらにマイナー作品とそのファンにとって、お祭りゲーは「もう一度日の目を見られる」チャンスである*6
    • チョイスに不満はあるものの(詳しくは賛否両論点にて)、以上の点からマイナー作品を採用したことやメジャー作品との比率は立派な評価点だろう。
  • 良質なシナリオと戦闘アニメーション。
    • お祭りゲーに定評のあるバンナムだけに、テキストは各作品の特徴を的確にとらえたものとなっている。
    • 殆どは世界観が全く違う作品揃いだが原作の設定とキャラの性格をきちんと保持しており、コラボゲーならではの「夢の共演」という雰囲気を十分に出している。原作を知っているとニヤリとくる小ネタも完備。
      • 一例を挙げると『ひぐらし』は閉鎖的な村内で起こる惨劇を描く物語だが、緋弾のアリアが「探偵*7として事件に介入する」といった世界観の違う作品同士ならではの大胆なコラボが実現している。
    • 中にはキャラクターの意外な魅力を再発見できる作品もあり、完成度としては一定の評価を得ている。
    • テキストのノリはクイーンズシリーズを受け継いでおり、様々な方面からのパロディネタが取り上げられている。版権オンリーになったため声優ネタも盛り込まれている*8
      • 特に釘宮理恵氏は本作でくるみ、コト、アリア、ルイズの四役(何れも主役級)を演じており「超釘宮戦記」と言われる程。PVでも釘宮氏のキャラによる組み合わせが紹介されていた。
    • 戦闘アニメーションは原作で戦闘のあったユニットは忠実に再現、原作で非戦闘キャラだったユニットについても原作を意識した仕様になっており、それなりに高いクオリティ。マップもそうだが3Dは綺麗である。
      • 『アリア』『IS』勢の、剣で斬るような単純な演出はあっさりしているが、必殺技はかなり演出が良質であると思われる。
      • 『シンフォギア』の技名が画面に表示される演出は非常に再現度が高い。
      • 『ひぐらし』勢は大半がギャグ的な技になっているが一部の技では原作のように豹変し狂気の片鱗を見せる。
      • そに子は原作での戦闘要素が皆無*9なため殆どがオリジナルの技だが、彼女のコミュニティのある某動画風の演出がありそちらの再現度が非常に高い…というかリアル。
      • 尤も一般人を戦いに参加させた事には疑問の声も多いが(後述)。
  • オリジナルキャラ
    • 今作の主人公である「ノエル=風祭」と「める=らんしぇる」はどちらもマジックとヨーヨーを戦闘に取り入れたまったく新しい格闘技の使い手であり、版権キャラに埋もれず独自の個性を発揮している。
    • 声優はそれぞれ佐藤利奈氏と金元寿子氏が担当しており、キャラデザインはノエルを『ラングリッサー』『グローランサー』などを手掛けた重鎮・うるし原智志氏、めるを『To Heart』などを手掛けた水無月徹氏が担当している。
    • この二人の他にオリジナルの男性主人公として「クロード」が登場している。
      • 女性キャラ二人・男性一人の構成はクイーンズゲイトを引き継いだもので、実際に世界観も繋がりがある(後述)。
  • キャラクターの能力バランスが良い
    • 今作にはゲームバランスを崩壊させる露骨な強ユニットが存在していない。
    • 理由として、全キャラがMAP兵器のような多数の敵を一度に攻撃する技を持たず単体攻撃しか行えない点や、ソウルシンパシー等を利用したユニット間の協力が重要になってくる点などがあげられる。
    • 今作はフリーステージでキャラクターのレベル上げができるようになっているため、次のメインステージでレベルが低い強制出撃キャラがいる場合フリーステージで補うことができ、途中で詰まることがない。
      • 一部キャラクターの固有特技が協力であったり、後述のボーナスポイントの関係で多少の有利不利はあるものの、全キャラクター問題なく使っていくことができる。

賛否両論点

参戦作品

発表早々「参戦作品の統一感が無さ過ぎてチグハグ」との前評判が定着。メーカーの本気度が疑われ、ゲーム全体の完成度が不安視されたほど。争点は以下の2つである。

  • ファンの想定していたスーパーヒロインと違う顔ぶれ。
    • 「超(スーパー)ヒロイン」というタイトルで「戦闘シミュレーション」というコンセプトのため、「バトル要素のある美少女アニメ」がスパロボのごとく大挙登場すると予想するファンが多かったが、実際は10作品のみと比較的少なく「一般層や多数のアニメファンに通用するほどの認知度がある」といえる作品が殆ど参戦していなかった。
    • 認知度の低さに加え、メディア初登場から数年以上経った作品が多いため「旬が過ぎている作品ばかり」という声が多くを占めた。
      • 近い時期に新作アニメが発表されていた『京騒戯画』『IS』『シンフォギア』もそれぞれ旧作準拠での参戦となっている。ただしこちらは発表時期と開発期間の都合を考えると仕方ない部分である。
      • また、スパロボにおけるマジンガーやゲッターのような「往年の名作枠」としての参戦と思われる『麗夢』は1985年のOVAであり無茶苦茶古い。他にもいくつか同じような古い作品があればまだしも、1作のみではとてつもなく浮いてしまっている。一応根強い人気で本作発売前後にエロ漫画化されたり一般向け漫画化*10されたりはしたが……真面で『キューティーハニー』とか参戦させられなかったものか
      • 『デ・ジ・キャラット』も初出は古い(1998年)が、こちらは現役の有名マスコットキャラなので現在でも露出は多い。
  • 戦闘系に固執しないキャラクターチョイス。
    • 戦闘シミュレーションゲームなのにもかかわらず、戦闘要素が薄い・メインではない作品が多数混じっている。
      • 『ゼロの使い魔』はラブコメディー要素が強くそもそも戦闘描写が少ない*11
      • 『デ・ジ・キャラット』もコメディー要素が強く攻撃が「過激なツッコミ」「爆発オチ」「芸人の一発ギャグ」でしかない。
      • 「軍人と戦う場面もあった」とはいえ基本的に一般人レベルの戦闘力しかない『ひぐらし』の参戦も疑問。一応『ひぐらしデイブレイク』なる同人アクションゲームが発売されPSPに移植もされてるが、本来はサスペンス物でありアクション要素を売りにした作品ではない*12
      • 『そに子』は論外。
    • 「超(スーパー)ヒロイン」という名前故に変身系ヒロインがメインになると考えていた層も多く、ファンの予想外なチョイスが多い。
      • 「合致している」と言えるのは『麗夢*13』『シンフォギア』『IS』『ツインエンジェル』の4つだけで半分も越えていない。
      • 『京騒戯画』『アリア』は戦闘系美少女アニメである分まだましだろう。
    • 昨今のクロスオーバー作品では何故かよくある事だが、そもそも一般人を殴り合いに巻き込む意図が分からない。世界観が明かされる前の初見プレイ時には特に浮いて見えるため、戸惑いを見せるユーザーは少なくない。
      • 前述した『魔女っ子大作戦』でも一般人が戦闘に参加したり戦闘と無縁な魔女っ子達が体を張っているが、こちらは別ゲームのシステムをそのまま流用(所謂ガワ替え)したため起きた事例であり、今作はわざわざ原作描写や設定を尊重した上で一般人が戦闘しているため余計に真意が測りにくい。
    • 一応(原作での)戦闘要員と一般人キャラが同列に戦うことができる理由がゲーム内できちんと設定されており、終盤の伏線にもなってはいるが…「そうまでして戦わせたかったのか?」という疑問が残る。
+ 衝撃の真相
  • ある条件を満たした状態でエンディングを迎える事で、実は本作はヒロイン達によるお芝居だった事が明かされる。
    • 本編を撮影と勘違いしていると思われていたそに子は実際に他の撮影現場から紛れ込んできたキャラであり、この設定の伏線。ユーザーから場違いと思われていたキャラ達が戦っていること自体が本作の世界観を読み解く鍵となっていたのだ。いいのかそれで!

その他

  • やはり主人公ハーレム。
    • 版権作品の男性キャラがほぼ出ない(後述)ため主人公の一人であるクロードが悪い意味で目立ってしまっている。
      • 念のために言うとユニット性能は悪くなく彼自身も不快感を煽るような性格ではない。むしろ作中で女性キャラに弄られるパターンが多い。
  • 脱がない。
    • 前述の通り本作はクイーンズシリーズを手掛けたチームが作ったのだが、何故か脱がしゲーではなくなってしまい残念がるユーザーも多かった。
      • 公式が雑誌などで“クイーンズシリーズ開発チーム”をやたら強調していた事も拍車を掛けている。
      • 「では実際に脱がしゲーに匹敵する程のお色気要素が在るか?」と聞かれるとそうでもない。精々乳揺れとパンチラがある程度。あとはカメラアングル的にセクシーな描写がある位で、露骨にエロいキャラが居る訳でもない。
    • 尤も自社版権キャラ(オリジナル勢)や『麗夢』などの御色気を売りにした作品ならいざ知らず、他社の(「微エロ*14がある」とは言え)キャラを安易に脱がすのは常識的に考えづらく*15、「そもそも期待する方が間違っている」とも言える。
      • 版権クロスオーバーの方に期待していたプレイヤーからは、前述の理由に加えて「同人ゲームじゃないのだからこの仕様で良い」という声も多い。問題はやはり“脱がしゲー”であることを消費者に期待させた公式の煽り方にあるだろう。
  • 実は続編?
    • 参戦キャラも世界観も一新されているが、実は本作のオリジナル主人公達はクイーンズゲイトのオリキャラと完全に繋がっており、本編開始早々の会話からクイーンズゲイトの主人公の名前が出てくる。名前だけ。
      • 中途半端に絡めてしまったせいで、クイーンズゲイトを知らないユーザーは一部の会話に付いていけなかった。
      • 本作がクイーンズゲイトと比較されるのは単純にスタッフの一致などだけではなく、こういった部分からも垣間見える。そこまでやる位ならいっそクイーンズシリーズの新作にすればよかったのに。
      • もっとも、クイーンズシリーズの版権元はホビージャパン(オリキャラの版権はバンナム)なので多数の版権元に加えてホビージャパンにまで版権料を払いたくないとかなんかしらの問題があったのかもしれない。「だったらクイーンズゲイトのオリキャラ参戦させろ!」と言う話だが。
      • 当然、内面の掘り下げやクイーンズゲイトの名誉挽回、いざという時の助太刀といった続編ならではの見せ場も無い。前作(?)のユーザーにとっても大して旨みが無い。

問題点

  • ボーナスポイントの問題
    • このゲームではレベルアップ時に手に入るボーナスポイントを各ステータスに割り振ることで自由に育てることが可能になっている。
    • しかし、ポイントはレベルアップ時に毎回割り振らねばならず、取っておくことができない。
    • これが特に問題になるのが、一時離脱するキャラや後半に加入するキャラ。合流時にレベルが自動で上がった分は勝手にポイントが割り振られてしまう
      • 本作ではボーナスポイントの影響が大きいため、一極集中で割り振れない分は大きなハンデになってしまう。
  • 全体的にゲームテンポが悪い。
    • 戦闘面の各システムを発動すると同じ技を複数回繰り返すことになり、実質的な技数が少ないため飽きが早く来てしまう。
      • おまけに演出ばかり長々と見せられる技も多く絵面的にはかなり地味。特にそに子は一つ一つのアニメーションがかなり長く、「とっとと攻撃しろ!」と言いたくなる。
      • 何より既に存在していた「部位破壊」の概念に「脱衣」を加えて独自の魅力を引き出していたクイーンズシリーズから重要な「脱衣」要素を抜いているためただのありふれた部位破壊システムになってしまい、魅力が薄い。
      • その対策としてアニメーションオフ機能が搭載されているのだが、オフにしてしまうと「エクストラアタック」「ソウルシンパシー」「Wインパクト」といったシステムまで機能しなくなってしまう
      • 一応ボタン長押しでアニメの早送りはできるが…。
    • 脱衣要素に変わるサービス要素として用意されている「Wインパクト」だが、表示されるイラストはランダムであり頻繁に同じイラストが出てきてしまうこれまた地味である。
    • マップでカメラアングルを変更できない。3Dにしたのに何故?
    • 更に 戦闘アニメの早送り処理を多用しているとゲーム全体の動作が重くなっていきそのまま続けると最悪強制終了する不具合がある 。修正もされていない。
  • 中途半端な男性キャラの起用
    • 本作はタイトル通りヒロインに焦点を当てており、男性キャラは極力排除されて言及もされない。つまり男性主人公が居る作品は本作においてのみ最初から主人公が居なかった事にされている。しかし、一部の敵と前述の通りオリジナル主人公のみ男性キャラとなっている。
      • 味方側だけでも完全に排除してあればともかく、主人公のみ男性キャラであるために浮いてしまっている。と言うか少々不自然に見えてしまっている。
      • 『麗夢』や『シンフォギア』のような原作終了後の時系列から参戦の作品はともかく、『アリア』や『IS』などは原作第一話からのストーリーが組み込まれている上で男性キャラがいない。このせいで原作の男主人公が担っていた役割を必然的にオリジナル主人公が担うこととなり、原作を知っていればこそ違和感を禁じ得ない状況に。
      • 版権キャラクターとのハーレムを空気だけでも感じさせるための配慮なのだろうが、原作主人公を差し置いて版権ヒロインがオリジナルキャラに靡くような空気に「喜んだプレイヤーは多い」とは言えない。
      • 一方で相手役がいない作品も本作では半数程度チョイスされてはいるのだが、そういう作品の場合はむしろ「相手役がいない」からこそ評価を受けている部分もあり、そこにオリジナルキャラが絡むことに関して反発を覚えるプレイヤーは決して少なくはない。
      • クイーンズゲイトは各版権作品の特定のヒロインのみの登場であったが、本作は中途半端な形を採ったせいで所謂寝取られを余計に警戒させる事となった。
    • 主人公など一部男性キャラに対する需要を主張する声も多く、そもそも参戦させなかったことに疑問の声もある。「存在を消すぐらいならほかの作品にすれば良かったのに」との声も。
      • 一応公式サイトでの作品紹介はきちんと男性キャラ込みで記載されている。また、一部キャラの台詞で原作の男性キャラの存在がそれとなく示唆されている。そのため余計に本編中に姿を見せない違和感が際立っているのだが…。
  • 各作品の扱いのムラ
    • 男性キャラが登場しないことで、キャラが大幅に削減されてしまった作品がある。そもそも女性キャラであっても戦闘に完全不向きなキャラは完全除外されている。
      • 最も割りを食っているのは原作自体男女比が半々程度となっている『京騒戯画』。そもそもバトル向きのキャラがやや男性に偏っているせいで、弊害をもろに受けることに。
      • 当時はまだ謎が多すぎて登場させづらかった古都はまだしも、原作でビシャマルを操って戦っていたショーコ博士なども未登場*16。結局登場するのは主人公のコトと八瀬のみと微妙な組み合わせ*17で、「何故参戦させたのか」という疑問すら湧く。
    • 用語に対する解説や、グラフィックの充実度にもムラがある。
      • グラフィックについては『シンフォギア』や『IS』に顕著で、立ち絵の種類が異様に少なく全体像のイラストが収録されていない。
      • 特に『シンフォギア』勢は他の参戦作品全てと比べてもかなり違和感のある仕様となっており、戦闘時には原作同様ギアを纏うが立ち絵では原作で全く登場しないインナースーツのみの状態が表示される。原作では変身の際にはギアごと装着される描写となっており*18、ギアを外す必然性もない。実際は通常絵の立ち絵の色違いのため、単純にギアを描写する手間を惜しんだものともとれてしまう。
      • さらに主人公の立花響はシナリオ上での出番が多い割りに、通常時の立ち絵が仮面ライダーBLACKのように両腕を組んだ変なポーズ。普通の棒立ちを用意できなかったのだろうか…*19
      • Wインパクトの際、『IS』のキャラには水着などのイラストがあるが『シンフォギア』のキャラにはサービスカットが全く無い。確かに水着とか出てきたのはアニメ3期(本作発売後に放送)以降だけど…。
  • 敵ユニットの種類の少なさによるプレイの冗長化
    • 多くの敵キャラが主人公側の闇バージョンである。敵くらいなら死神博士以外にももう少し出せたかもしれないのに、「男性キャラを廃する方針の弊害」とも言えよう。
      • クイーンズシリーズにも登場し好評だったギャル型モンスターに至っては登場すらさせてもらえなかった。このせいで部位破壊のシステムも余計に魅力がなくなってしまっている。一応女性の敵ユニット自体は存在するが…。
      • 『デ・ジ・キャラット』の「オタクの男性(ゲーマーズの客)」など、人によってはあらゆる意味で不愉快と思われかねない雰囲気ぶち壊しな雑魚敵も登場する*20
  • 「SPECIAL(ギャラリーのようなもの)」が不親切
    • 一度見たイラストしか見れないようになっている。
  • 「ドリームハンター麗夢」のシナリオの進み具合が悪い
    • 本作の綾小路麗夢は、真の力が封印された状態でシナリオが進むため、宿敵の死神博士を倒せないままシナリオが進み、最終的には死神博士が麗夢の真の力を開放するのを手伝う。そしてそのまま一気にシナリオが完結してしまう。
  • アニメーションの質
    • 「それなりに高いクオリティ」とは前述したが、OPや戦闘演出の一部でのアニメーション作画の質は、クイーンズシリーズと比べてもお世辞にも「高い」とは言えない微妙な出来。異なる作品同士のキャラが共演するアニメパートも同様の有様である。
      • スパロボなどではまず見られないアニメ映像でのコラボである点や、OP曲や声優の演技など光る点もあるのだが…。
  • ラスボスが弱い
    • ラスボスのHPは本作でも一番多いのだが、本作の敵キャラクターは能力に与えられるダメージの防御を全くしないため、相手の射程外から適当に攻撃し続けるだけであっという間に勝利できてしまう。
  • その他
    • 『ツインエンジェル』以外、原作のBGMが何故か一切使われていない。
      • その代わりか、各作品のBGMはいずれも原作の主題歌を彷彿とさせるような曲調となってはいるのだが、やはりクロスオーバーとしての盛り上がりに欠ける。クイーンズゲイトでは原曲が一切使われていなかったが、そんなとこまで受け継ぐ必要はない
      • 特に『シンフォギア』は各キャラが「持ち歌を歌いながら戦うことで敵との交戦が可能になる」という設定が大前提にある作品。しかもシナリオ上では歌っていることになっているためそれぞれのボーカル曲が流れない事に失望するファンも多かった。
    • キャラクターボイスが戦闘やフリートークでしか流れない。
    • クイーンズシリーズからの伝統で特定のコマンドを押すと全く別のゲーム画面が表示されるオマケ機能があるが、パンチラ程度しか無い本作では全く必要無い。こんなのに力を入れるよりかはもっと他のシステムを…。
    • 常にスクリーンショットが撮れない(Vita版)。

総評

作品のチョイスはともかく、「スパロボ風ギャルゲー」「クイーンズシリーズ後継作」という点では期待が集まっていた。
基本的なシステム自体はスパロボ・クイーンズの両シリーズがベースだが、それらと比べても粗が目立つ出来となった。御色気要素や男キャラに関しては今でもよく議論となる。

ただ、『ヒーローズファンタジア』共々新しいクロスオーバーゲームを世に送り出した事実を評価する向きはある。
参戦作品*21の続編や他の戦闘系美少女アニメの参戦も期待されており、改善された後継作やリメイク・続編を望む声も根強い。

作品間のクロスオーバーやSDキャラとカットインを駆使した戦闘アニメ等の見所も多く、全体的な難易度が抑えられていることもありライトユーザーでも楽しめる作風。
知っている作品がある、かわいいヒロインが協力したり活躍するシナリオが好き、不具合上等、といった人には特に御勧めできる一作である。


余談

  • ゲームの開始画面や店舗別特典では各キャラがスパロボのパッケージ風にSD頭身で描かれている。
  • 公式サイトではゲーマーズの情報誌「フロムゲーマーズ」に連載されている『デ・ジ・キャラット』の四コマ漫画「げまげま」の特別版が読める。なお作中ででじこが「でじこの衣装が二代目バージョンだからでじこ信者は深く考えず二度涙するがいいにょ」と発言している。
  • 公式サイトにそれぞれ作品紹介の項目があるが文体が全く統一されておらず、ほぼ原作の公式サイトでの紹介文のコピペである。また、なぜか『ひぐらし』の項目だけ不自然にスペースが空いている。
    • キャラ紹介の項目でも『ひぐらし』の園崎魅音だけ通常の立ち絵ではなくSD頭身の画像となっていたり、ぷちことラ・ビ・アン・ローズ(うさだ)の項目の説明が「通称:○○」という記述だけだったりレナやセシリアのスクショで顔グラフィックが表示されてなかったりとどこかおかしい。
  • 参戦作品について。
    • 『IS』の版権表記はアニメ版第1期となっているが、既に権利がオーバーラップに移管しているにも拘らずMF(メディアファクトリー)(現:KADOKAWA)のまま変わっていない。まぁアニメ版がMF時代だったからであろう。なお、オーバーラップ版ではイラストレーター(キャラデザ)も変更されている。
      • MF版は作者の弓弦イズル氏と旧MFとの諍いにより契約解除の末、7巻で打ち切られている。当然MF版は絶版。
      • オーバーラップ文庫版の方も2018年4月25日発売の12巻を最後に刊行が途絶えている。イズル氏曰く「13巻で完結!」らしいが、アニメ版も続報は無くDMMで展開していた基本無料ゲームは1年ももたなかった。
    • 『ゼロの使い魔』は前述の通り作者が病死、それにより未完のまま終わるかと思われていたが、闘病中の作者がシナリオプロットを遺した上で代筆者を指名していたおかげで無事に最終2巻が刊行され完結を果たした
  • 2018年10月30日にダウンロード版及びダウンロードコンテンツが配信終了となった。
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最終更新:2023年06月18日 09:57

*1 半年後にアダルト部分を差し替えた全年齢版が発売された。以降続編アニメは全年齢対象となっている。

*2 先行配信版とテレビ版では設定が異なる。本作に登場するのは先行配信版。

*3 但し『そに子』はアニメ版に先駆けて参戦が発表されている。

*4 単に「魔法少女大戦」では前年開始の同名ゲーム(およびそのアニメ化作品)がヒットしてしまうので推奨できない。

*5 両作とも、後年には新作OVAや漫画が発表されている。

*6 スパロボで言えば、参戦によって知名度を大きく上げた『忍者戦士飛影』『マシンロボ クロノスの大逆襲』『冥王計画ゼオライマー』はその代表例だろう。

*7 正確には〝武偵〟。武力を行使する探偵の通称。

*8 『ツインエンジェル』の遙との会話を拒む『IS』の箒など。遙と、箒の姉である束の声優はどちらも田村ゆかり氏。

*9 ただし翌年には格闘ゲーム『ニトロプラスブラスターズ』に参戦している。

*10 何気に新ヒロインが登場したりする。どうせなら頑張って彼女も参戦させられなかったものか?

*11 もっともラブコメ要素が強いのはアニメ版で、原作ライトノベル版は国家間の紛争に巻き込まれたり特務機関に所属したため戦闘描写もかなり描かれてる

*12 原作は“れなぱん”等でキャラを圧倒するシーンはあれどやはりギャグ補正によるものであり、軍人と戦った際は完全な地の利と相手の不利を同時にとった最終ルートを除き、(多少善戦はしたが)最終的には呆気なく制圧され射殺されている。襲い来る複数の軍人や戦闘経験豊富な隊長すら格闘で圧倒する猛者はいるが男性である。

*13 ただし原作での麗夢の変身は夢の中でのみの話だったりする。一応「夢オチ」等ではなく「人の夢の中で夢魔と戦う」作品だからだが。

*14 要は前述の「乳揺れ」「パンチラ」「セクシーアングル」の事。

*15 『クイーンズゲイト』に参戦した他社版権キャラは原作ゲームブックの時点で版権元が脱衣許可を出している作品と18禁作品『ペインキラー琴音ちゃん』のみである。

*16 メインで戦っているのはロボットであるビシャマルであるためと思われる。

*17 作中での仲は良いものの、住処が異なることから絡みが少ない。

*18 はっきりとインナースーツのみの状態が描写されるのは第2期の変身シーンからだが、今作は第1期仕様である。

*19 公式サイトでの響の立ち絵は普通の棒立ちだが、これは原作公式サイトでのキャラ絵をそのまま流用しているだけである。

*20 尤も『デ・ジ・キャラット』自体がそういう作風なのだが…。

*21 『麗夢』『シンフォギア』『アリア』『IS』『ツインエンジェル』の5作。