このページはアーケード作『ローリングサンダー』とシリーズ作品・移植作品の紹介をしています。



ローリングサンダー

【ろーりんぐさんだー】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード(システム86)
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1986年12月
プレイ人数 1~2人(交互プレイ)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソールアーケード
【Wii】2009年7月21日/800Wiiポイント(税5%込)
アーケードアーカイブス
【Switch】2022年3月17日/838円(税10%込)
【PS4】2022年3月17日/837円(税10%込)
判定 なし
ポイント スパイ映画を彷彿とさせるゲーム
小回りがききにくい故の高難易度

概要

1986年12月にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からリリースされた横スクロールアクションゲーム。
当時のナムコ製のゲームとしては珍しく、1960年代に流行していたスパイ作品の影響を大きく受けたハードボイルド色が強い作風となっており、
敵が人造生物・敵首領も正体不明の宇宙人らしき存在と、サイバーSF風味な味付けも加わった、一風変わった舞台設定が特徴となっている。

1~2人交互プレイ可能、全5ステージ×2周構成。


ストーリー

1968年のニューヨーク。
緑色の肌を持つ謎の男「マブー」が率いる秘密組織『ゲルドラ』は、人造生物を用いた世界征服を目論んでいた。

これを察知したWCPO(世界刑事警察機構)は、ゲルドラの野望を捜査し未然に防ぐべく、直属の特殊工作チーム『ローリングサンダー』を召集。
女性スパイ「レイラ・ブリッツ」が情報収集の為にゲルドラに潜入するも、スパイの潜入を察知したマブーにより彼女は捕らえられてしまった。

事態を重く見たWCPOはレイラの救出及びゲルドラ壊滅のため、
ローリングサンダー最強の工作員である青年「アルバトロス」を現地へ派遣したのだった。


主なルール

  • 使用コントローラーはレバー+2ボタン。レバーでアルバトロスの移動、ボタンは各自、銃での攻撃とジャンプに使用する。
    • レバー操作は左右でアルバトロスの移動、下でしゃがみ。攻撃は立ち状態としゃがみ状態のみにおいて可能で、ジャンプ中は攻撃が一切できない。
    • 通常ジャンプはレバー操作無しで垂直、レバー左右でその方向にジャンプする。高度は必ず一定だが、レバー左右による空中制御が極僅かに可能。
      • 空中制御は「一見してほとんど分からない」くらいの微妙な変化しかつけられないが、後半ステージでは明暗を分ける要素の一つとなりうる。
    • アルバトロスの真上に足場が無い状態でレバーを上に入れながらジャンプボタンを押すと、垂直にハイジャンプする。
      • 真上に足場がある状態でハイジャンプするとその足場に飛び移り、逆に「手すり付の」足場に乗った状態でレバー下+ジャンプで、手すりを乗り越えて下に飛び降りる。
    • ドアがある場所でレバー上操作をすると、その部屋に入れる。入っている最中にレバー下操作を行うか、入ってから暫くすると部屋から出てくる。
      • 金網の隙間の近くでも同じ操作をすると、金網の中への出入りが出来る。金網に入った状態であれば、金網の奥にあるドアに入る事も可能。
  • アルバトロスの銃の弾丸には制限がある。
    • 銃のマークがついたドアに入ると弾丸を補給でき、逆に弾丸を全て撃ちきってしまうと、ペナルティとして低性能の銃攻撃しか放てなくなる。
    • 銃は計3種類存在し、その状況によって自動的に使用できる銃が変わる様になっている。どれも前方にて直線に弾を放つのは共通している。
      • 「ハンドガン」…ゲームスタート時の初期段階で50発所持している銃で、連射力も弾のスピードもそこそこ。「BULLET」と表示されたドアにて補給が可能。
        マシンガン入手後に弾が尽きると再びこれに換装される。換装後はマシンガン入手前に消費した分の弾は回復せず、そのままの弾数が維持される。
      • 「マシンガン」…「ARMS」と表示されたドアのみで入手できる機関銃。ボタンを押しているだけで連射が可能で弾のスピードも速いが、ムダ撃ちもしやすい。
      • 「低性能ハンドガン」…ハンドガンの弾が尽きると武器のランクが落ち、弱体化してしまう。画面内に一発しか撃てず、弾のスピードも非常に遅い。
    • ミスすると、次のスタート時にて初期段階のハンドガン50発状態に戻る。ステージクリアした場合は次ステージへ銃弾が引継ぎ可能。*1
  • 最終ボスであるマブーを除いてこのゲームにはエリアごとのボスが存在しない。よって、ほとんどのステージはゴール地点まで進む事がクリア条件となる。
    • ゴール地点に到着した時点で画面内に敵がいた場合、ゴールと同時に敵が消滅する。
  • ライフ+残機制で全て無くなるとゲームオーバー。ミス条件は「ライフを全部失う」「落とし穴に落ちる」「各ステージに設定されている制限時間が0になる」のいずれか。
    • 主人公のライフは8メモリ存在するが、実質は2ライフしかない。敵に触れる・パンチ等のダメージを受けるだけで4メモリ消費され、敵の銃火器攻撃を受けると即死となってしまう。
      しかもダメージを受けた際の無敵時間も存在しない為、実質的にはダメージを受ける=即死と思った方がいいだろう。
    • 後期バージョン(後述)のみ、ゲームの設定次第では回数限定でコンティニューが可能だが、必ずそのステージの最初からの再スタートとなる。

評価点

  • スパイ映画を彷彿とさせる、当時としては非常に斬新な設定。
    • グラフィックやBGMに関しても、いかにもそれっぽい雰囲気を漂わせており、スパイ映画好きにとってはニヤリとできる存在であった。また、SF風味を加味した独特なテイストも新鮮である。
    • また、主人公のアルバトロス、主な雑魚敵である「マスカー」*2のグラフィックパターンは当時としては極めて多く、かなり滑らかに動くのも特徴であり、製作側の細かさが窺える。
      この滑らかなグラフィックパターンは後の『チェルノブ』(データイースト)などでも見られ、アーケード業界に少なからず影響を与えたとして評価されている。
      • マスカーのデザインも、アメリカの過激な白人至上主義団体『クー・クラックス・クラン』のマスクに酷似しており、不気味な怪しさや危なさを感じられるものである。
  • ドルアーガの塔』等で知られる小沢純子氏が作曲を担当したBGM・SEは、何れもゲームの雰囲気に似合った、渋めながらもかっこよさを感じられるテイストに仕上がっている。
    • BGMは曲数こそ少ないが、1986年当時のアクションゲームでは珍しかったであろう、木琴やボンゴのような音が比較的前面に押し出された曲が多く、BGMだけを取ってもクオリティが高い。
      • メインBGMと言える1・2・5面のBGMは徐々に盛り上がっていく曲調、洞窟内が主な舞台の3・4面では常に落ち着いた曲調と、対照的な作りとなっているのも印象的ではないだろうか。
    • SEも雑魚敵のマスカーを倒した際に発する少々間の抜けた断末魔*3、ステージによって変わるアルバトロスの足音やドアの開閉音と、こちらも1986年のゲームとしては鮮明に聞き取れる部類である。
  • プレイヤーを飽きさせない工夫が見られる2周目
    • 2周目では敵配置変更だけに留まらず、一定間隔で当たると即死のレーザーを照射するレーザートラップが追加される他、一部のステージの構成にも変化が生じる。
      • 注目すべきは4面(9面)で1周目では「前半は洞窟、後半は一面溶岩の中で狭い足場渡り」であるのに対して、2周目では「金属等の無機質な地形を進み、敵からの攻撃や各所で設置されたレーザートラップを掻い潜る」という敵本拠地の最深部に近づいていることを実感させる雰囲気に様変わりする。

賛否両論点

  • 当時のナムコ製のゲームとしては、ややお色気色の強い部分がある。
    • ステージをクリアしていくと、敵司令室のモニターに捕らわれたレイラの姿が映し出されるビジュアルシーンが挿入されるのだが、中には薄着の状態で電気ショックを受けさせられるという際どい描写がある。
      これの影響で下記のナムコミュージアム関連のCEROは「ローリングサンダーだけがB指定(他の収録ソフトはA指定)」という異例の判定がなされている。

問題点

  • 非常に高い難易度。
    • アルバトロスの行動の制約と「ダメージを受けるとほぼ一撃死」「一度ミスをすると弾数リセット」というシステムが相まって、多くの熟練を要しないと1コインクリアの道は開けない。
      • 画面を1画面以上スクロールさせるとキャラクターが初期化されるようになっており、画面をスクロールさせてから弾丸補給部屋に再び入ればまた補充できるようになる。
        1つの扉ごとに弾丸の補充数に違いがあるが、クリアには時間が許す限り各所の部屋でコレを繰り返して弾丸をたっぷり補充してから先に進むことがほぼ必須となるだろう。
        それでも一度のミスでその全てが水の泡となるので、クリアには「プレイヤーの忍耐力」と「各面を知り尽くした上で、ミス無く迅速なプレイ」という、相当なゲームテクニックが要求される。一応2周目を含めてどの場面でも復活できるように調整されてはいるが、その場合無駄撃ちがほぼ出来ない非常にシビアなパターンが求められるため、やはりノーミス進行を維持するに越したことはない。
      • その上、中期バージョンまではコンティニュー不可の一発勝負。コンティニューが可能になった後期バージョンでも上述の仕様故に、コイン任せのゴリ押しプレイは一切通用しない*4
      • アルバトロスの動きは自由度が低く、操作性が悪い。 ジャンプは低くて早い為、敵の弾をジャンプで避けづらい。ジャンプ中の攻撃はできない。ジャンプ後の制御、微調整は一切効かない。
    • また敵や罠の意地悪な配置や初見殺しも非常に多い。
      • 一例としては、アルバトロスの目の前でしゃがんで発砲する敵、画面端からほぼ予兆がなく飛んでくる*5手榴弾、後半ステージには攻撃を当てにくい敵が大量出現してきたり、と相当なる苦難が待ち構えている。
      • ステージ上の敵配置は原則的に固定だが、ドアから出現する敵や敵の行動パターンにランダム要素があるため、その時の状況に応じたアドリブが求められる。
    • 更にやっかいな事として、エンディングを迎えるには2周目をも攻略しなければならない事が挙げられる。もちろん2周目の難易度は1周目以上に高くなり、ただでさえ難関なステージがもっと熾烈になっている。
      • 敵の数や出現頻度も上がっている為、「ドアから出ようとしたらドアの前に敵が止まってしまい、触ってミスしないよう、扉を出てはすぐ戻る…」等の事実上の詰みに陥ってしまうこともしばしば。
      • 8面(2周目3面)と10面(2周目最終面)道中では後半に1周目にはなかったパートが追加されるため、他の面以上に制限時間の脅威が牙を剥くことになる。
        特に8面は3面道中を少し短縮化して、そこから4面後半の溶岩地帯を繫ぎ合わせたような構成になっており、弾薬補充を極力抑えて*6急いで進まないと間に合わないほど非常にシビア。
  • バグの存在
    • 「たまに自キャラの弾が消える」「弾を撃った際に投げた手榴弾が目の前に出現する」「レーザートラップのレーザーが途切れなくなり、進行不能になる」等といった進行する上で厄介なバグが見られる。
      特にレーザートラップのバグはノーミス進行の維持が重要であるが故に、運悪く発動してしまうとほぼ泣き寝入りするしかなくなる。
    • 一方で「特定の場面である操作をするとショートカットできたり、こちらの攻撃が当たらなくなる代わりに敵をすり抜けられる」といったプレイヤーに有利なバグも存在する。

総評

スパイらしさを巧みに表現した演出類・システムは当時としてはハイクオリティで評価点だが、その高難度がとにかくネックとなってしまった。
確かにスパイ作品では華麗に任務遂行する場面がお約束ではあるが、本作も生半可なプレイでは即座にふるい落とされてしまうシビアさを持つ。
「状況に応じて慎重or大胆に行動できなければ任務完了はほぼ不可能」という、ある意味で特殊部隊の工作員っぽさを体感できる一作である。


家庭用移植

そこそこの知名度な割に、単体の家庭用移植は長年ファミコン版に留まり、後はナムコミュージアム関連ばかりとなっていた。
かっこいいゲームだが、ナムコとしては少し異質なゲームだったのが移植されにくい要因であろうか。
全てナムコ発売(『バーチャルアーケード』のみバンダイナムコゲームス)。

  • ファミリーコンピュータ版(1989年3月17日発売)
    • FCのハード性能の都合上、発砲数の制限や、画面に登場するキャラの数・マスカーの種類が大幅に減少等、アーケード版と異なる部分が多々見受けられる。
      • ステージクリア後のビジュアルシーンは全て書き直された他、ボスの攻撃方法や2周目の演出などにも変更が入っている。
        とは言っても各ステージの形状や配置、キャラの滑らかな動きは概ね再現されており、サウンドもN160音源*7を搭載し、通常のFCソフトと比べて少し豪華。
      • 特定のドア*8に入るとライフ・時間・残機のいずれかが増加する救済要素も追加されている。
    • 移植担当は作りからアークシステムワークス(当時はアーク)とされているが、後年に同じく開発した『人間兵器 デッドフォックス』でも本作のUIが流用されている。
    • 海外ではテンゲン*9から任天堂に無許可で発売されたNES版があり、こちらはH/Wの仕様上特殊音源が使用不可の為サウンドが一から作り直されている。
      • このため2020年発売の『ナムコットコレクション』海外版に相当する『NAMCO MUSEUM ARCHIVES Vol.2』ではNES版ではなくファミコン版が収録されている。また理由は不明ながら『マッピーランド』も日本版での収録となっている。
  • ニンテンドースイッチ/プレイステーション4版(2022年3月17日配信開始)
    • アーケードアーカイブスシリーズとして配信。
    • 前期/後期/最終バージョンの3種類(後述)を収録。うち前期と後期バージョンはこだわり設定で一部のバグの再現のON/OFFを切り替え可能。

オムニバスソフト*10

  • ナムコミュージアム アンコール(プレイステーション、1997年10月30日発売)
    • 互換性の問題により、PS2本体では正常に動作しない*11
  • ナムコミュージアム Vol.2(プレイステーション・ポータブル、2006年2月23日発売)
  • ナムコミュージアム バーチャルアーケード(Xbox360、2009年11月5日発売)
  • ナムコットコレクション(Switch、2020年6月18日配信)
    • FC版の移植。DLC第2弾として2020年8月20に配信。まとめ買い2400円+税、単品300円+税。

余談

  • このゲームは細かく分けると4つのバージョンが確認されている。ゲーム内容はほぼ同じだが、一部仕様と演出面に相違がある。変更点はWikipediaの項に列挙されているので、そちらを参照。
  • アルバトロスの容姿が「ルパン三世(赤ジャケット)に似ている」とか、イベントシーンでのマブーの顔が「ウッチャンナンチャンの南原清隆氏に似ている」とか、稼働当初からネタ面でも有名であった。
    • アルバトロスの件に関しては、彼が使っている拳銃もルパン三世のそれと全く同じ『木製グリップ付のワルサーP38』である*13
  • 海外においては、そのゲーム内容から本シリーズを『タイムクライシス』の元祖と見る意見が多々見られている。
    • 「スパイ作品がテーマで主人公は凄腕工作員」「遮蔽物を挟みながら多数の敵を倒していく」「制限時間が厳しい」点は確かに酷似している。
      事実、バンダイナムコのスタッフのツイートによると、同シリーズも企画当初は本シリーズの延長線上になる案もあったことが判明している。

ローリングサンダー2

【ろーりんぐさんだーつー】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード(システムⅡ)
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1991年3月
プレイ人数 1~2人(同時プレイ)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソールアーケード
【Wii】2009年10月27日/800Wiiポイント
アーケードアーカイブス
【Switch】2023年5月25日/838円(税10%込)
【PS4】2023年5月25日/837円(税10%込)
判定 なし
ポイント 二人同時プレイが可能に
良くも悪くもあまり変わっていない

概要(2)

前作の正式なる続編。基本的なゲームシステムはそのままに、二人同時プレイが可能となり、グラフィックやBGMがより進化した。
1~2人同時プレイ可能(1P側がピンク/白服のレイラ、2P側が白/茶服のアルバトロスを操作)、全8ステージ構成。


ストーリー(2)

前作から約30年後の199X年。各国の人工衛星が何者かに次々と破壊され世界中の情報が途絶、同時に真偽不明の情報が流れ始め、世界は大混乱に陥った。
捜査を開始したWCPOは、かつて「ローリングサンダー」最強の工作員、アルバトロスによって壊滅したゲルドラが武器商人「ギムドー」の手によって『ネオゲルドラ』として復活し、この事件を起こした事を突き止める。
WCPOは『ローリングサンダー』にネオゲルドラの捜査及び活動阻止を命令、アルバトロスとレイラは米・マイアミのギムドー邸へ送り込まれたのだった。


主なルール(2)

  • 大方は前作同様だが以下の相違点がある。
    • 概要でも述べたとおり、二人同時プレイが可能となり、二人交互プレイはなくなった。なお、レイラとアルバトロスの性能差は一切なし。
      • 厳密には銃の発射音が異なり、それぞれレイラはこもったような音・アルバトロスは派手な音となっている*14
    • 通常ジャンプ中の軌道調整がかなり自由になった。但し、ジャンプの飛距離は短くなっている。また、ジャンプ中の銃攻撃ができないのは前作通り。
      更にプレイヤーの横方向への移動速度は前作より若干遅くなり、ジャンプ後の着地時には一瞬の硬直時間が発生するようになった。
      • 前作ではジャンプしながら進むことで通常より速く移動できるテクニックが存在したが、本作では上述の硬直時間のため、歩いて進む方が安全。
      • レバー入力が8方向に変更され、しゃがみながらの振り向きが攻撃中でなくとも可能になっている。
    • ライフメモリは前作の8つから2つに変更、通常の敵に触れただけではお互いが吹き飛ぶだけでダメージを受けなくもなった。
      • 敵の格闘攻撃を受けたり、敵そのものが攻撃判定を持っていた場合は1ダメージを受け、銃火器のダメージは相変わらず2(即死)。
    • ステージの制限時間は前作では全ステージ共通で180秒(後期バージョンは150秒又は120秒)で固定だったが、本作ではステージによって異なる。
      • 一部時間設定がシビアなステージが見られるが、全体的に前作よりは比較的余裕のある調整である。
    • ステージクリアの条件が小変更。各ステージのゴール地点まで向かう点は前作と同じだが、ゴール地点に敵がいる場合は、その敵を全滅させる必要がある。
      • 最終ボス以外のボス敵が存在しない点は前作と同じ。
  • 前作にあったステージクリア時の弾数引き継ぎはない。ボーナス点に換算された後、次ステージは初期弾数からのスタートとなる。
  • デフォルトでコンティニューが可能となった。但し、一人プレイ時では必ずそのステージの最初に戻されてしまう。
    また、コンティニューは進んだステージまでのステージセレクトも兼ねている(例えば、ステージ4でミスすればステージ1~4までのセレクトが可能)。

評価点(2)

  • 5年越しの続編だけあって、SYSTEMII基板を活かした豪華な外観となり、拡大演出の追加や敵種類や罠の種類も増した。
    • 本作のコンポーザーはAYAこと佐宗綾子氏が担当。前作と比べるとハデでオシャレだったり、緊張感を煽るハイテンポの曲調がメインとなっている。
      • 特に4面の「WHERE IS THE TARGET?」は中盤までは緊迫感溢れる曲調だが、終盤に前作の1・2・5面のアレンジに転調する曲で、旧作ファンを喜ばせた*15
    • 細かいながら敵・味方共にボイスの種類が増加しており、主人公は敵との接触時・ダメージ時・ミス時に異なる悲鳴を上げるようになった。
  • ステージのバリエーションも、途中で上下にスクロールしたり、特定のポイントに入るとBGMが切り替わるといった変化が見られるようになった。
    • ストーリー上はマイアミのギムドー邸が舞台の1~4面と逃走したギムドーを追跡してエジプトへ向かう5~8面の二部構成となっており、雰囲気がガラリと変化する。
  • 癖が強かった自機の性能にある程度見直しが入り、遊びやすくなった。
    • 8方向レバー化によりしゃがみ振り向きが容易となり、敵への接触ダメージの廃止により前作で見られた理不尽な点が改善されたのは嬉しい点。
      前作ではドアの前に敵が止まってしまい接触ダメージが事実上回避できないといった光景が見られたが、本作ではそのような心配は無用である。
  • 本作ではゲーム進行に影響するような目立つバグは見られない。

問題点(2)

  • 依然として高い難易度。
    • 前作からの変更点の一つである「弾丸はステージクリア時に得点に換算されて没収、ステージ毎にリセット」の影響はかなり大きい。
      プレイヤーにとってはいくら弾を節約しても得点にしかならないのは痛い所。この為、前作に比べて弾切れが起こりやすくなっている。
      • 前作では一度弾を回収した部屋をスクロールアウトさせることで再度弾を回収する事が出来るテクニックが存在したが、本作では不可能となっている。
      • 2P同時プレイで片一方がミスをした場合は即時に復活するが、この際に弾丸の補充が行われない為、弾切れが起こった状態で死んでしまうと絶望的。
    • 前作同様に敵の攻撃が苛烈で初見殺しが非常に多く*16、パターンを組んだ後でも対処を誤るとあっさりとやられてしまう状況が多い。
      その為、危険度や耐久力の高い敵の出現位置を把握した上で、出現とほぼ同時に無駄弾を撃たずに即殺する事が求められる覚えゲーの傾向が強まっている。
      • 敵の手榴弾が飛んでくる速度が前作から高速化しており、投げられたのを視認してからの回避は困難。前作ではあった効果音による投げる前の予兆も本作には存在しない。
        更に前作では手榴弾の直撃を受けても当たり方次第では稀にではあるが即死を免れることがあったが、本作では直撃されると問答無用で即死となる。
      • 耐久力の高い敵も増えており、中には倒すのに8発も銃弾を当てないといけない敵も存在する。交戦する機会が少ないのが救いか。
    • 特に最終ステージである8面の難しさは相当なもの。敵配置の多さに対して中盤以降の弾丸の補充機会がなく、闇雲に敵を倒しまくっているとあっという間に弾切れとなってしまう。
      ラスボスである「ギムドー」の攻撃も激しく、倒すのに必要な数の弾薬を持ち込み遠距離から撃ちこんで速攻で畳み掛ける以外の手段で倒すのは至難の業。
      更に前作の最終面(5&10面)と同様にステージ内に中間地点が存在せず、ミスすると道中後半であろうが「ギムドー」戦であろうが容赦なくステージの最初からやり直しとなる。
      • その為、倒す必要のない敵は扉や遮蔽物、体当たり等でスルーして弾薬を節約していき、敵を倒す場合も極力無駄弾を撃たないシビアなパターン構築が求められる*17
    • 一方で調整そのものを破棄したような理不尽な場面はなく、難しいなりにバランスは調整されており、やり込んだ分だけ腕の上達がきちんと実感できる作りになっている。
      体当たりで敵を怯ませる・穴へ突き落すことが可能になり、敵配置や行動のランダム性も薄まったため、攻略パターンの安定化は前作よりも若干ながら容易になっている。
  • 確かに前作よりは豪華になったものの、1991年リリース・かつ回転縮小機能を持つSYSTEMII基板のゲームとしては明らかに地味でパッとしない内容。
    • システム面においては二人同時プレイ以外に前作からの流用色が目立つために目新しさに欠け、それゆえに続編としてのインパクトが薄い点、
      なおかつ上記の「弾丸がステージを跨いで引き継げず、更に終盤の面では弾切れしやすい」点で爽快感が薄れたと感じやすい点も一因であろうと思われる。
    • 当時のゲームでは一般的になりつつあった、舞台が大転換する際のストーリー説明やカットシーンが無い点も地味。その為、4→5面の舞台転換が理解不可能。
      稼働後に発売された公式サウンドトラックでは、カットシーン用のボツBGMが複数収録されており、当初はカットシーンを搭載する予定だった事が窺える。
      • カットシーンの構想は、メガドライブ版で各面の開始時に流れるという形で実装され、大まかな物語が理解できるようになった。

総評(2)

ゲームとしての出来は悪くなく、丁寧に作りこまれている作品ではあるが、前作からの進化を感じにくい地味めな内容が災いしてか、大してヒットせずに市場から消えてしまった。
リリースされたタイミングがあの『ストリートファイターII』がリリースされ大ヒットし、対戦格闘ゲームが大人気となり始めた直後であった点は悲運だったと言えるものの、
それ以前に前作にあった爽快感をスポイルしてしまったシステム面・SYSTEMII基板らしさを感じにくい演出類では、どうあがいても埋没する運命だったとも言えるだろう。

家庭用においても、メガドライブ版の後はWiiのバーチャルコンソールまで一切の移植無し、ナムコミュージアムにもSwitch版まで未収録であった。


家庭用移植(2)

  • メガドライブ版(1991年11月19日発売、ナムコ)
    • 新ステージ・新武器・前作のFC版と同様の回復アイテムの追加や、難易度の緩和といった家庭用向けに遊びやすいチューニングがされた。
      二人同時プレイも再現されているが、使用キャラが1面開始前に選択可能となり、アルバトロスがデフォルトの1P用キャラとなっている。
      各面の開始時には前述の通りカットシーンが追加、メッセージは全て英語ながら、基本的には主人公達の状況報告でストーリーの解説がなされる。
      • 一方でアーケード版の評価点だったBGMは後半面の約半分が削除。一部では新規曲もあるが、残存したBGMは大幅に短縮されている。
    • 2007年12月4日から、MD版もバーチャルコンソールにて配信された(現在は配信終了)。
  • ナムコミュージアム(2017年7月28日配信、バンダイナムコエンターテインメント)
    • 移植としてはバーチャルコンソールから8年ぶりでナムコミュージアムの収録としては事実上初収録。
  • Switch/PS4版(2023年5月25日配信、ハムスター)
    • アーケードアーカイブスシリーズの1本として配信。
      国内版と、難易度が高めになっている海外版を収録。ハイスコアモードは両バージョンに対応。
      「こだわり設定」にて1P側コントローラーで2P側のアルバトロスを使用する事ができるようになっている。

Rolling Thunder 3

概要(3)

  • 『2』から2年後の1993年に北米でのみ、ジェネシス(メガドライブの北米版)でリリースされた。日本のメガドライブでプレイするには要メガキー*18
  • そのことから察するに当初は国内でも発売の予定はあったものの、何らかの事情で国内発売中止という判断がなされた様子である。
  • 開発も他のナムコゲームを手掛ける事が多かったナウプロダクションが担当している。2014年時点でVCなどの配信は無し。
  • 1人プレイ専用、全10ステージ。主人公はアルバトロスでもレイラでもなくジェイ (Jay) という新キャラクターで、途中、バイクと水上バイクに乗った特殊ステージが一つずつある。
    • ジェイはアルバトロス達の上官という設定になっており、ストーリーも『2』の同系列でアルバトロス達とは別行動をしている設定になっている。
  • ノーマルをクリア後に表示されるパスワード「RISKY」を入力するとコンフィギュレーション画面のMISSIONでHARDを選ぶ事が出来るようになる。
    MISSIONは難易度を表しており、ハードでクリアするとEDの最後にグラフィックが一枚追加される。
  • 完全な一人用作品で、二人同時プレイはおろか二人交互プレイすらない。
    • なお、パスワードで「GREED」と入力すると、隠しキャラのエレン(女性キャラ)*19でプレイする事が可能。ただし、ストーリーやデモはジェイのままである。

主なルール(3)

  • 多くの点は『2』と同じなので割愛。
  • ライフの目盛りは5が上限。ノーマルでは5メモリ中3メモリ、ハードでは2メモリ分しか体力がない状態からスタート。
    敵の攻撃のダメージはパンチで1メモリ、銃弾で2メモリ。道中入ると体力を1メモリ回復させられるドアもある。
  • ジャンプ中の銃攻撃は相変わらず出来ないが、上を押しながらで斜め上への銃撃が可能になった。
  • サブウェポンはバズーカやグレネードなど飛び道具系の九種と常時携帯している近接武器のナイフで全十種類。
    • ステージによっては開始時に飛び道具系九種の内から一つを選んで持ち込める。一度持ち込んだ武器を後のステージでまた持ち込む事は出来ない。
    • 『2』同様に道中にはサブウェポンを入手できるドアがあるが、注意すべきは弾数が加算されるのは所持中の武器と同種の場合のみという点。
      異種の武器の場合所持中の武器を捨てての持ち替えとなるため考え無しに入ると勿体無い事に。なお、どの武器が入手できるのかはドア横に表示されている。
    • 飛び道具・ナイフ共に使用はAボタン。飛び道具系が先に使われ、それが無い場合にナイフで攻撃。
      『2』までは最低でも通常弾を消費しないと雑魚一人すら倒せないためステージの後になるほど低性能ハンドガンを使わされがちだったが、これで通常弾を温存して進むということが一応可能になった。
  • 画面上には表示されないが制限時間が存在する。『2』までと違い時間切れになっても即死とならないが、画面に自分を狙う照準が現れてどこからともなく撃たれ続ける状況になる。
    プレイヤーミスで再開してもそのステージにいる間は継続される。但し、制限時間自体はかなり長い。
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最終更新:2024年01月02日 09:55

*1 ステージクリア時にハンドガンの残弾が50発未満だった場合は50発に回復する。

*2 下記の『クー・クラックス・クラン』型のマスクを被った者とゴーグルを装着した者の二種類がいて、ゴーグルの方は銃二発で倒れる

*3 2017年に行われたイベント『電撃ゲームミュージックライブ ~初冬の陣~』での小沢氏の発言によると、マスカーの断末魔は当時の他のナムコ製ゲーム同様、編集を加えた小沢氏自身の声であるとのこと。

*4 これは同期のナムコ製アーケードの多くにも当てはまる仕様ではある。

*5 一応、敵が手榴弾を投げる際にはなんとも言えない独特な効果音が流れるのだが、これが非常に地味なのでかなり気づきにくい。

*6 一応1、2回ならギリギリになるが間に合う。また、ある程度進めて中間地点からの復帰になった場合は制限時間に余裕ができる。もっともミス時の弾薬数リセットの影響でその後の10面が非常に厳しくなってしまうが…

*7 ナムコ製波形メモリ音源(C15/C30)をベースに作られた音源チップ

*8 外見上はドアの無い壁に隠されたものもある。

*9 ナムコとは一時関連会社の関係にあった、アタリゲームズのCS機用ソフト部門子会社。

*10 PS2版、PSP版、Xbox360版はローリングサンダーのみCERO:B、switch版は全体でCERO:B

*11 動きがスローモーになった上、BGMがワンダーモモのメインテーマに強制的に変わってしまうという強烈な現象が発生する。

*12 PS2版『ナムコミュージアム アーケードHITS!』等、極一部では制限時間が150秒または120秒の後期バージョンを収録している。

*13 一応、ファミコン版のビジュアルシーンではレイラも同じ拳銃を持っており、設定的にはあくまで「『ローリングサンダー』チームが採用している拳銃の1つ」に過ぎない可能性が示唆されていたが、続編の『ローリングサンダー2』ではアルバトロスのプロフィールで使用拳銃がワルサーP38と改めて公表されている。

*14 ナムコの無料雑誌『NG』等に掲載された公式設定や各イラストでは、レイラは『木製グリップ付のワルサーPPK』、アルバトロスは『黒色のワルサーP38』を使用している。

*15 同曲は後に『太鼓の達人』シリーズの家庭版『Vバージョン』『あつめて★ともだち 大作戦!』や、アーケード版の『太鼓の達人 ブルーVer.』に高めの難度を持つ曲として収録され、本作を知らない若年層の太鼓プレイヤーを中心に若干ながら知名度を上げる事となった。

*16 銃を構えたと同時に銃撃、出合い頭に躊躇なく弾を乱射してくる、前後からしゃがみ撃ちを行う敵同士による挟み撃ち等。

*17 なお、これらの問題は稼働当初から槍玉に挙げられていたもので、かつて『マイコンBASICマガジン』誌にてアーケードゲームのハイスコアが集計されていた時、長い間本作のスコア申請は最終面止まりばかりで、かつプレイヤー名や備考欄のほとんどに「弾が無い」という言葉が有ったほどであった。

*18 実際には本体内の止め具を取り外せばメガキーが無くてもプレイ可能。

*19 ゲーム内のビジュアルシーンで主人公のJayと通信している女性オペレーター