ワンダーボーイV モンスターワールドIII

【わんだーぼーいふぁいぶ もんすたーわーるどすりー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 メガドライブ
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 ウエストン
発売日 1991年10月25日
定価 7,000円(税別)
配信 【Wii】バーチャルコンソール:2007年3月27日/600Wiiポイント
SEGA AGES ONLINE:
【PS3】2012年5月23日/600円
【360】2012年5月23日/800マイクロソフトポイント
判定 良作
ワンダーボーイ/モンスターワールドシリーズリンク


概要

『ワンダーボーイシリーズ』の最終作*1にして『モンスターワールドシリーズ』の3作目となるアクションRPG。
モンスターワールドII ドラゴンの罠』の後の世界を舞台としており、前作の登場人物の名前なども登場する。
伝説の勇者の子孫シオンが世界を脅かす魔物たちを倒すため、様々な仲間たちと共に活躍する。


特徴

  • 基本的なシステムは『ワンダーボーイ モンスターランド』や『モンスターワールドII』を踏襲している。
  • シオンのアクションは武器での攻撃とジャンプ、魔法の3つ。
    • 魔法とアイテムは一度に2つまで装備可能で、Aボタンを押しながら左右どちらかを押すことでセットしたものを使用する。
  • シオンにはレベルは存在せず、4種類の装備と魔法の習得、ライフアップの獲得で成長していく。
    • 装備は武器、鎧、盾、ブーツがあり、適宜装備を変更する必要がある。
      • 槍系の武器は盾を装備できなくなる。ブーツ系は移動速度やはしごの昇降速度、海中の移動速度を上げるなど多彩な効果がある。
    • 魔法は使用回数が決まっているが、同じ魔法を入手すると使用回数が増えていく。2種類までセットでき、魔法ボタン+左・右で使い分け可能。
  • 道中では連れていける仲間の種類が増える。
    • 仲間は1匹しか連れていけないが、たまに回復アイテムのハートを出したり、お金を掘り出すなど固有の特殊能力で手助けしてくれる。
    • ただし、一定範囲を過ぎたり、宿屋で休んだりシオンが死ぬと自動的に仲間からはずれてしまう。再度仲間にした場所に行けば何度でも仲間になってくれる。

評価点

  • 歯ごたえのあるゲームバランス
    • 元々がアクションゲームであるシリーズを踏襲し、アクション性が非常に高いゲームに仕上がっている。
    • 武器の種類に応じて攻撃の出し方が変わるため、敵に応じて有効な武器を装備するという戦術性が生まれた。
      • 剣なら頭の上から足元までと広い攻撃判定の斬りおろしが出来る。攻撃していない時は常に盾を構えているため、ジャンプや歩きながらでも弾をガードでき、不意打ちされても運良く防げたりする。武器・盾のランクを上げると少しずつリーチが長く・ガードの範囲が大きくなる。
      • 槍なら一直線に突きが出来、上下幅は狭いが出が早くリーチも少しあり判定が強い。盾は持てないが、前面で振り回すことで前を覆うほど広い&攻撃力有りの盾となる。ただこの振り回しは地に足を付けた状態でしか出来ず足が止まるので、任意発動なこともあり剣装備時の盾とは一長一短。
      • こちらの攻撃も敵の攻撃もだが、基本連続してヒットしない(攻撃を当てるとごく短時間だが、仰け反って無敵&麻痺状態になる)こともあり、敵の隙を突いて攻撃を当てていく事が重要で、単純ながらアクション性は高い。
    • 魔法も多彩で使い勝手が良いものが揃っている。最後にセーブした宿屋へワープする「リターン」など便利な魔法も登場した。
    • 舞台となるフィールドも序盤の南国風エリアから、森、海中、砂漠、雪国などバリエーション豊富。森では上から敵が降りてきたり、砂漠では地中から敵が出現したり、雪国ではツルツル滑ってたりするなど、それぞれのステージの特色も大きい。
    • 『モンスターワールドII』と違って死亡時に復活の薬を貰えるルーレットは廃止されたが、ゴールドが8分の7になって最後にセーブした宿屋に戻されるだけで、ペナルティは相変わらず優しめ。
  • ストーリー性の強化
    • 『モンスターランド』『モンスターワールドII』はARPGではあるものの、アクションゲーム寄りの作りでストーリー性は薄かったが、本作では街中での情報収集や人助けを通してストーリーが進むRPG的な面が強くなった。
    • また、ゲーム開始地点のマップが『モンスターランド』最初のマップと同じだったり、最初のボスがおばけきのこだったりとシリーズファンへのファンサービスも多い。
      • 『モンスターランド』ではスフィンクスとのボス戦がクイズだったが、ここでもスフィンクスとのボス戦はクイズになっている(ただし問題数は大幅に増えており、このゲームに関する知識があれば解けるものの、ヒントはどこにもない)。
      • 世界観を引き継いでいる事もあり、基本はファンタジーだが、終盤は『モンスターランド』同様のSF展開となっていく。
  • グラフィック・BGM
    • 『モンスターランド』の雰囲気を残しつつ、キャラクターが大きめになったり、メガドライブの音源を生かしたBGMも良曲ぞろい。
  • セーブが可能になった
    • 前作がパスワードセーブだったためゴールドの増減といった問題があったが、このお陰で続きからも手軽にプレイしやすくなった。ゴールドもちゃんと保持されている。
    • ただし、当時高価だったEPROMを採用しているためセーブ容量が少なく、データは1つしか作れない。

賛否両論点

  • パッケージとドット絵の乖離
    • 明るめの画面に可愛いドット絵キャラクター、タイトル画面のかっこよさとは想像もつかない全然可愛くないキャラクターイラストは逆に働く「パッケージ詐欺」。例えるなら 「ビックリマン」 。シリーズファンでなければあのパッケージで良質なアクションRPGと思えない。
      • 良い見方をすれば「個性的」「メガドライブで数少ない小中学生に向けたパッケージ」とも言える。
      • パッケージイラストが良くてゲームのグラフィックが良くない・雰囲気も似ていない等は沢山あるが*2、パッケージイラストが変でゲームのグラフィックが良いのはなかなか無い。*3
    • シリーズの他のパッケージと比べても結構な異質っぷり。タイトルを書いていないと同シリーズと思えるかどうか。

問題点

  • 会話シーンが増えた事でストーリー性は強化されたものの、盛り上げ方はイマイチで淡々とした印象が強い。エンディングもあっさりしている。
    • その分、ストーリーを無視して進めることができる場面も多い。
    • プレイ中の大半は進行に必要な装備を買うための稼ぎを行うことなる。一応、敵が密集していて稼ぎやすい場所は用意されているが。
      • 経験値によるレベルアップがなく、魔法以外の能力は装備依存で大体店で買わなければならないため、金稼ぎは不可避。特にブーツ系を購入するのは新ステージに適応するのに必須。値段も一気に増加していく。
  • 救済アイテム「チャームストーン」が非常に集めにくい
    • 最大HPが増える「ハートの器」や「魔法の使用回数増加」回収は必須といえるが、完全回収には能力が向上した後に戻ってきて探す、ヒント無しで隠し扉を探し出す等々かなり難しいため、取り逃し救済として「チャームストーン」をある隠しショップで「ハートの器」などと交換してもらえる。しかし、そのチャームストーンは1つにつき50万ゴールドと、最終盤でも1回限りの宝箱を除けば集めるのに苦労するような価格のため、複数個集めるのは非常に困難。正直、救済にはなっていない。
    • 一応、ダンジョンの宝箱から入手できる物もあるが、そのダンジョンが中盤を過ぎた頃に訪れるダンジョンのため、あまり意味がない。別に一つも取らなくてもクリアに支障はないが。制作側的には、あくまでどうしても見つからない場合の救済のつもりだったのだろう。
  • 隠し扉が多い割にヒントが少ない
    • 隠し扉の中にはハートの器や魔法の使用回数増加アイテムが入っているので、取り逃すとそれだけ難易度が上がる事になるが、全くヒントが無い。
    • 一応宝箱と同じ画面内だったりする場所もあるが、全く別の場所にあるなど、独力で発見するのは不可能だろうと思えるのもある。
  • セーブできるようなったのはいいが、その場所は宿屋。そして、泊まらなければセーブできない。つまり、セーブは常に有料、ということになる。宿代は高くないので、そこまで困らないのは救いだが…。
  • 物価について
    • 途中まではそこまで高くないので、わりと安心なのだが、氷の世界のチルダームまで辿り着くと、1つ3000~10000という超高額の武具が並び、いきなりはね上がる。いくらなんでも、上がり方が極端過ぎ。

総評

モンスターワールドシリーズの伝統を受け継ぎつつ、RPG的な要素を強化して順当に完成度を上げた良作。
全体的に手堅くまとまっているので、遊びやすいタイトルと言えるだろう。


移植

  • 『超英雄伝説ダイナスティックヒーロー』(PCエンジンSUPER CD-ROM2、ハドソン/アルファ・システム)
    • 昆虫をモチーフにしたキャラ替え移植。敵はレプトル族という爬虫類系。
    • CD-ROM2である事を生かしてオープニングテーマ付きのビジュアルシーンが用意されている。その他のBGMもCD-DAの高音質。
      • 『PCエンジン ハイパーカタログ』に収録された体験版ではOP曲が別のものとなっていた。
    • セーブデータの数が4つに増えているという改善点も。
    • 2007年11月にはWiiのバーチャルコンソールにて配信が開始された(現在は配信終了)。
  • 欧州ではマスターシステム版が1993年に発売されている。
  • 『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.29 モンスターワールド コンプリートコレクション』(プレイステーション2、セガ)
    • MD版と国内未発売のマスターシステム版を収録。
  • 『SEGA AGES ONLINE』(プレイステーション3/Xbox360、セガ/M2)
    • MD版と海外版を収録。360版は『モンスターランド』『モンスターワールドIV』も収録。
  • 『ワンダーボーイ アルティメット コレクション』(プレイステーション3/4、Nintendo Switch)
    • 2023年2月17日発売。メガドライブ版とマスターシステム版(英語)を収録。

余談

  • 序盤で入手する重要アイテム「魔法のオカリナ」は使用するとA、B、Cボタンで自由に演奏することが出来る。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の先駆けと言える。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1991年
  • MD
  • ARPG
  • セガ・エンタープライゼス
  • ウエストン
  • ワンダーボーイ/モンスターワールド

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最終更新:2023年12月17日 00:44

*1 次作『モンスターワールドIV』の主人公が女の子になったので「ワンダーボーイ」ではなくなったため。

*2 ある意味、FC時代のドラゴンクエストもこの傾向。

*3 SFCのソウルブレイダーが同様の例。