キャプテン翼V 覇者の称号カンピオーネ

【きゃぷてんつばさふぁいぶ はしゃのしょうごうかんぴおーね】

ジャンル SLG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売・開発元 テクモ
発売日 1994年12月9日
定価 10,479円(税込)
判定 なし
ポイント 旧シリーズから路線変更
リアルタイムサッカーゲームに変化
旧テクモシリーズキャラ大量削除に非難
演出・試合展開共に全体的にテンポよく進化
キャプテン翼シリーズ


概要

テクモ版キャプテン翼シリーズ最終作。
マウリシオとバモラが登場する事から、恐らく『IV』のワールドクラブカップ編のED後の物語だと思われるが、特に明言はされていない。
今までのシミュレーション色が強かったキャプ翼シリーズから一転、従来どおりのコマンド選択を交えつつもリアルタイムでフィールド上を駆け回る「スーパーフォーメーションサッカー」や「プライムゴール」等といった、一般的なサッカーゲーム風に変化した。
Jリーグが発足した1992年以降、日本でもサッカーゲームが人気を博したことなどから今までのスタイルを変化させていった様子が窺えるが、従来のシミュレーションを楽しむファンからは賛否の出る作品となってしまった。 また、1994年に『キャプテン翼 ワールドユース編』が連載されたためかテクモ版で演じてきたシナリオが大きく影響され、今まで登場していたテクモオリジナルのキャラクターが大量のリストラに遭った。
前作がゲームバランスなどが原因で大きく評判を落とした作品だったが故の様々な変化を用いた作品であったが、当作も駄作とまでは行かずとも評価の分かれる作品になってしまった。

特徴

  • 従来のテクモキャプテン翼シリーズと違い、リアルタイムでフィールド上を動き回るタイプのサッカーゲームに進化。
    • ただ、いわゆるシミュレーション要素は残っており、フィールド上で敵チームのメンバーとぶつかると従来どおりの行動を選択して対処する形になる。
    • 試合時間はプロリーグのそれに準拠しており、前後半それぞれ45分の計90分。勿論実時間の流れの方が早い。
  • メインストーリーの進行度合いに合わせてサブストーリーが追加。
    • それぞれメインのキャラクターごとに「○○の章」といった形で名前が付いている。
    • 今までの作品ではメインストーリーでは全日本メンバーしか操作できないことが殆どだったが、今回はドイツ代表の「カール・ハインツ・シュナイダー」やイタリア代表の「ジノ・ヘルナンデス」といった名キャラクターの視点から数試合楽しむことが出来る。
    • 一部キャラクターはサブストーリーをクリアすることでメインストーリーで必殺技が追加される事もあるため、クリアをすることで今後のメインストーリーが進行しやすくなる。
      • また、この仕様に伴い前作で存在していた試合の勝敗で進行ルートが変わるということはなく*1、メインストーリーは基本的に分岐なしの一本道になっている。
  • 敵キャラクターにもガッツの上限が設定された。
    • 前作までのシリーズでは味方のガッツが有限だったのに対し敵のガッツは無限であり、後半になればなるほど敵側が有利になるシステムだった。だが、今作は敵のガッツも有限になったことで、敵に必殺技を使用させることで相手の弱体化を誘えるようになっている。
    • 今作は強力な必殺シュート、必殺ドリブルを使う敵が多いためにある程度相手のガッツも意識しないと立ち回れない。
  • オフサイドルールが追加。
    • オフサイドの導入はキャプテン翼の原作を知っていると若干気になる部分ではあるがサッカーゲームとして明確になった。
    • これにより前作までのように強引にボールをゴール前に持っていこうとすると敵にボールを渡しやすくなる。
    • 逆に敵側もオフサイドにかかるようになったため、現実通りにオフサイドトラップのようなフォーメーションを組むことも可能。
      • 序盤の味方GKブルノは、歴代のザルキーパー森崎・レナートをも下回る絶望的な性能で「イタリアの森崎」の異名で知られる。このため敵がブルノに向かってシュートする前にオフサイドトラップで対処するという戦法も有効。
  • 一部コマンドの追加
    • 接触ディフェンス時のコマンドに「せりあう」が追加された。
      • 基本的にタックルと同じでボールを取りに行くコマンドだが他コマンドと違い反則を取られないと言う特徴がある。
      • 漫画では多用された現実のサッカーでは起きないエース選手同士が足を止めて一対一でボールの奪い合いをするという場面の再現で、キャラゲーとしてはこれまで無かったのが不思議なくらいの名シーン。だが、漫画と違いエースの一騎打ちだけでは無く 次から次へと選手が殺到して人海戦術で無理矢理ボールを奪う 様子は小学生のワーワーサッカーのような……。
    • キーパーも通常シュートに限りポジショニングによって使用出来るコマンドが変化する様になった。
      • 通常時&必殺シュート時はこれまでと同じくパンチング、キャッチ、必殺セービングとなる。
      • キーパーのポジショニングが最良だとブロックとキャッチのみになる。ブロックは高確率で止められるがボールは正面に転がる。この場合のキャッチは必殺セーブ不可ながら、やや成功しやすい。
      • ポジショニングが最悪だとダイビングか必殺セービング(なければダイビング一択)しか選べない。ダイビングは成功率はパンチングと大差ないが成功してもこぼれ球にするだけで、その上キーパーが必ず倒れてしまうので他の選手のフォローが無いとピンチになる。
      • キーパーのポジショニングの上手さは新しく設定された能力「判断力」で決められる。*2
  • 普通にプレイしていれば滅多にないが「自殺点(オウンゴール)」も発生するようになった。
    • 実用性には乏しいが自軍のゴールにドリブルで突っ込むことにより意図的にすることも可能。ただ、相手に入れられた場合と同じで特別なメッセージなどはない。
  • グラフィックが原作寄りに進化。
    • 今までのシリーズは翼達の立ち絵などのグラフィックは「原作絵に寄せた」雰囲気の絵になっていたが、今回の作品では原作者高橋洋一氏のデザインのもとにグラフィックが作り直され、よりキャプテン翼のゲームとして進化を遂げている。
    • キャラクターにはそれぞれ顔グラフィックが追加され、試合中にも非常に区別が付きやすい。ただし、必殺技のないモブキャラクターは顔グラフィックがなかったり、単なる色違いだったりする。
  • 一部キャラクターに音声が搭載。
    • 本作発売時点では「キャプテン翼J*3」が既に放送(同年10月から開始)されていたにもかかわらず小粥よう子(翼)、鈴置洋孝(日向)、山田栄子(岬)、橋本晃一(若林)、飛田展男(若島津)、難波圭一(シュナイダー)と初期アニメに準拠した声優がキャスティングがされており、一部の必殺シュートなどでは声が伴われ、試合を盛り上げてくれる。
      • 「J」で変更された声優陣のキャスティングが非常に不評だったこともあって、大多数の原作ファンにとって嬉しい要素。*4
    • 試合前には翼が「キャプテン翼 ファイブ!」とタイトルコールもしてくれるようになった。
    • テクモ版の伝統でもある、若島津の三角飛びの「キエエエエーッ!」は気合が入っており必聴。
  • 今までのテクモキャプ翼の王道を捻ってきたシナリオ。
    • 翼が新しいチームに入って活動するも最初は翼のことを認めないメンバーが居るなど、前作のストラットを彷彿とさせるような解りやすいシナリオはあるものの、かなり特徴的なシナリオになっている。
    • 原作でロベルトの恩師として名前のみが上がっていた「ジョアン監督」が作り上げたクラブチーム「カンピオーネ」に始まり、日向のスランプによる仲間になってから暫くのお荷物化、今まで能力的な不遇からネタキャラとしての地位を確立しつつあった新田が全日本の敵に回るなど、常道を外してきたストーリー展開が繰り広げられる。
    • とはいえ、決して今まであった熱いストーリーが失われているわけではない。プロとして成長した翼達と、全日本に襲いかかる様々なトラブルとの戦い、新たなライバルを交えてのワールドトーナメント大会は多くの人を楽しませてくれる。
    • サブストーリーもそれぞれのキャラクターに焦点を当てた作りになっており、よりキャプテン翼のキャラクターに愛着を持てるシナリオ作りになっている。
  • オールスター用のエディットキャラの登録機能の追加
    • 前作では毎回作成の手間がかかる上に一人しか作成できなかったが、14人まで登録できるようになった。
      • キャラクタータイプと特徴*5を選択し、ポイントを振り分ける仕様である。
      • 尚、キーパーは作成不可能。そのため「おまけシナリオ2」のプレイヤーキャラチームはキーパーに森崎か中西を使うハメになる。
  • オマケシナリオ
    • メインとサブの全シナリオクリア後にスペシャルマッチ4つ(アイコンは石崎顔)が追加される。
      • ただし一つはエディットキャラで組まれたチームによる全日本との試合で、これはエディットキャラをフルに作っていないと出現しない。

評価点

  • 前作以前より大幅に良くなったテンポ。
    • シンプルなサッカーゲームにゲーム性が変わったことでかなりテンポが良く進められるようになっている。
    • コマンド選択も敵と出会う度に発生してきたカットイン演出、実況演出がほとんどカットされたため試合進行がスムーズ。
    • それでいて必殺シュートなどの時には従来どおりの実況や演出が挟まるなど決して演出面で手を抜いている部分は感じさせない。
    • 必殺技モーションも大幅に長い物は無くなり、途中に相手プレイヤーがいた時の演出もあまり時間がかからないため、ゲームの長さを感じさせない。
    • また、今までのシリーズではボールを持っているチームが変わるごとにBGMが変更されていたが、今回は試合開始時(反則などの再開時含む)にボールを所持している側のBGMのまま、途中で反則やハーフタイムで試合が中断されない限りは音楽が変わらなくなった。今までのようにBGMで敵味方のボール所持を判断できなくなったが、試合のテンポには大きく貢献している。
      • BGMそのものもその質が大幅に落ちた前作よりは盛り上がるものになっており、だいぶ改善されている。
  • ビハインド状態になるとガッツを全回復する「はげます」というコマンドが一度だけ使える。
    • これにより「ピンチに追いつめられると底力を発揮して逆転」という原作らしい試合が一層しやすくなった。
  • 敵ガッツが有限になったことにより増した戦略性
    • 敵に必殺技を使わせてガッツを削るという戦法が出来るようになったため、今まで以上に敵選手のマークが重要な行動になっている。
    • 全体的に最大ガッツが少なめで、使用する必殺技のガッツの消費量が多めに設定されており、強力な技をいかに温存しながら進めるかが今まで以上に重要。
  • センタリング時に高低の指定が可能
    • 今までセンタリングを送る際、高いボールと低いボールは完全なランダムだったため一部の必殺シュートに影響を与えていたが、今回は浮き玉の高低を選択可能。
      • とはいえ距離が近すぎると低いボールが浮き球にならなかったり、高いボールが低いボールにしかならないなど完全なコントロールはできない(これはこれでリアルではあるが)。
    • それでもセンタリング時の必殺シュートの利便性が大きく上がり、時間ギリギリまでペナルティエリア付近で丁度いい球を待つといったストレスが緩和された。
  • 一枚絵などによる演出が強化。
    • 前作までは立ち絵による会話に加え、カットインの使い回しなどでテクモシアターを作ってきたが、今回から一枚絵によるシーンも多数追加。
    • ファンにも人気の高いジノ・ヘルナンデスが体育座りをして落ち込むという伝説の一幕も。*6
  • 新たなライバルキャラクター、シニョーリの際立った個性。
    • 本作ではラスボスチーム「カンピオーネ」に関わる人物たち(チームを率いるジョアン監督、日本から転身した新田、最強の選手アルシオンなど)がメインの敵となるが、その中でも最も目立った活躍をするのがシニョーリである。
    • 年齢は翼たちよりも幼く、性格的にも「悪ガキ」「我が儘な子供」と言った少年。だが前作最強チームのミランを相手にダブルハットトリックを決めたり、彼のプレーを目の当たりにした日向がショックでスランプに陥るほどの超天才児。あまりの才能のため自分一人だけで試合に勝てると思い込んでおり、他人にパスを全く出さないプレースタイルであった。ジョアン監督の教育方針がそうだったという理由もあり、見方を変えれば「監督が教えてくれたスタイルを素直に実践している」という子だとも言える。
    • だが、カルチョフェスタで翼に敗れるとカンピオーネに入団させてもらえなくなり、ワールドトーナメントではブラジル代表として出場する。そこでもやはり自分勝手なプレーを押し通していたが、とうとう前半で交代させられ、ベンチに下げられてしまう。「俺より下手な奴が出てるのに」と不満を口にするが、主将オリベイラから「サンターナのプレーをよく見てみるんだ」と諭される。
    • サンターナはオフサイドトラップを活用してチームプレーで日本の攻撃を阻む。それを見ていたシニョーリは「自分が出ていた時よりも日本が苦しそうだ」「それにどちらも真剣にプレーしている」と気づき、自分の行いを反省して「サッカーはみんなでやるものなんだ」と考えを改める。
    • 結局ラスボスチームには参加せず、ブラジルチーム内でも「後半でサンターナを投入して本気を出すチームの前座」という扱いになってしまうが、シナリオ前半での大活躍、ゴールを決めるたびにボイス付きで「へへん、ちょろいね!」と軽口を叩く可愛い仕草、そして我が儘な性格だと思っていたらきちんと自分を反省する素直な性格であったことが判明し、シナリオ全編を通して見れば彼の好感度は非常に高い。
    • 性能はサンターナ、シュナイダーなど最高峰の選手からは少し劣るものの、もしもカンピオーネに入団していたら相当な強敵となっていたはずである*7新田が不要になってしまうが。
    • また、スランプに陥れた日向からはコンクリート壁を貫通する威力のファイナルタイガーを直接ぶちこまれるという壮絶なお仕置きをされるオチが待っている。
  • 余興として楽しいおまけシナリオ。
    • その1「カナリアスターズ」は実在のスタープレイヤーとのドリームマッチ、その2はエディットキャラのチーム「プレイヤーズ」をマイチームに全日本と戦う、その3は全日本どうしの同キャラ戦、その4の「イテガヤキングダム」はテクモスタッフで構成されたチームで早苗に情報を聞くと「なぞのチームでカンピオーネより強力らしい」などと言うがGK以外は全然弱く*8「現実のサッカーではまず見られずキャプツバによくある大量点での圧勝」を楽しむゲーム性になっており、それぞれ違った楽しみ方がある。
      • プレイヤーズは後述の通りザコ同然な能力しか得られないので、とことん苦しい戦いを強いられるが裏を返せば「慣れ親しんだ全日本をいかに弱いチームで工夫して破るか?」という楽しみ方に昇華できているとも言える。
    • ちなみに、おまけモードの全日本にはメインストーリーでは合流しなかった新田もちゃっかり合流している。
  • 情報の価値が上がった。
    • 前作までは、ミーティングで聞ける「情報」が本当に敵の情報くらいしかなく、その対処法はほとんど明かされていなかった。
    • 対して本作では、敵の特徴や攻略法などを教えてくれることもあり、重宝する。また「マークを二人つけて」という情報を得ることで、実際にその選手の実に二人のマークを付けられるなど、一度は参照する価値がある。

問題点

  • AIの挙動がいまいち不安定
    • ペナルティエリア外からいきなりシュートを打つことも多く、逆にワンツーやパス回しなどでやたらと時間を食うこともしばしば。
    • 敵がボールを持っている時にぶつかる事は少なく、少々鬱陶しさを感じることもある。
    • オートカットのジャンプでもガッツが消費されるようになり意図しない形でガッツを浪費する。
      • 取れるパスならまだしも、必殺パスに対しては相変わらず無力な上、それらが苦手な選手(立花兄弟など)にとってはムダに浪費するだけにしかなっておらず、繰り返されるとイライラさせられる。
  • テクモオリジナルキャラクターの大量リストラ
    • 1~4まで続いたキャプテン翼シリーズで人気を博していた多くのキャラクターがリストラされ、ゲーム中で戦う事ができなくなってしまった。
      • 大きくリストラされた中、ワールドユース編でも登場したカルロス、前作で翼の好敵手として登場したストラット、キーパーとして存在感を出していたゲルティスやレナート*9、そしてトンチキ外国人の代表としてファンから愛されてきたミハエルなどは続投するなど完全に存在を消されてしまったわけではない。
      • だからこそリストラされた基準が不明なため不満を持つファンは多い。
      • 後輩キャラのマウシリオのようにリストラはされず、顔付きの扱いにはなってはいても技が一切なくなって完全なザコ扱いになってしまった残念なクチもいる。ただ顔は似ていないし本当に前作の彼と同一人物なのかすら不明。もし別人なら彼もリストラとどっちにしても残念な扱い。
    • テクモキャプテン翼シリーズ自体がこうしたオリジナルキャラクターに支えられてきた側面が強く、キャラクター個別の会話シーンなどがないキャラクターは多いがそれぞれの持つ特徴的な能力に思いを馳せられ物語を彩ってきた。*10
    • それだけに今回の大量リストラは反発も多く、5を受け入れないファンも多い。
      • 特に2でラスボスを務めた人気キャラクター、コインブラが怪我で療養していて復帰が危ぶまれている姿は多くのファンの悲鳴をもたらした*11
      • カルロスとの友人関係自体はより強くなっているため、そういった点での評価は高い。
    • また、原作キャラクターが修得した(原作に存在しない)新必殺技はほとんどが消滅*12。せっかく付いた個性が失われた事も悲しい。
      • 逆に、シェスターのフラミンゴクリップ、ビクトリーノのダイビングボレーなどこれまでゲームには取り入れられていなかった必殺技が追加されたキャラもいる。
  • カルロス(サンターナ)周りの設定改変。
    • ブラジル代表のカルロス・サンターナは、大元は1986年7月に公開されたアニメ映画『キャプテン翼 世界大決戦!! Jr.ワールドカップ』にファン・ディアス、ラモン・ビクトリーノと共に登場したキャラクターだった。ディアスとビクトリーノは漫画のジュニアユース編に登場したが、サンターナはブラジルチームが出場しなかったため、登場しないまま原作はいったん完結した。なお映画では「カルロス」呼びではなく「サンターナ」呼びだった。
    • その後、ジュニアユース編の続きを描いたテクモの『2』でブラジルにおけるライバルとして登場。フルネームは同一ながら、主に「カルロス」と呼ばれていた。ここではほとんど名前以外はテクモのオリジナルキャラクター同然で設定やストーリーが追加されていき*13、約4年もの長い間ファンの間ではすっかりそちらのイメージが定着していた。
    • が、その後連載されたワールドユース編で、主に「サンターナ」と呼ばれる設定で登場(繰り返すが原作では元々劇場版の頃から「サンターナ」という呼称だった)。それによってゲーム版カルロスの境遇もワールドユース編サンターナに近いものに変更されてしまった。顔グラに至ってはまさにワールドユースのサンターナそのまんま。
    • 前述の通りコインブラとの繋がりは変わっていないものの、これまでのテクモのストーリーでは全くなかった「サッカーサイボーグ*14と呼ばれていた過去」や「ブラジルチームとの確執」といったワールドユース編の要素が唐突に描かれるようになり、今まで翼とはライバルとして相対しながらもスポーツマンとして向き合ってきた過去シリーズから比べると違和感がある形に。
      • そしてこれがものの見事なまでにどっちつかずでまるで上手く行っていない。明るく紳士的なゲーム版カルロス、凄惨な過去と暗い陰を持つ漫画版サンターナ*15はそれぞれ別個の魅力を持つキャラクターであるのだが、無理矢理混ぜ込んでみてもゲーム版カルロスの魅力を削ぐ結果にしかならず、漫画版サンターナの持つ魅力は全く描かれていない。人物の根幹設定から覆す事になるので、その両立などもともと無茶な話だったのだ。
    • 選手登録名も馴染みの「カルロス」から「サンターナ」に変更され、過去ファンからは批判が多い。また同じチームに別人の「カルロス」というモブキャラがいるというのも紛らわしい。むしろその名前がチラついて「カルロスのままでよかったのに」という余計な思いが入ってしまいかねない。
      • 一応、性能や性格は前作までのカルロスと殆ど変わらないため、サブシナリオでも昔ながらのカルロスとして使用できる。実質「サンターナと名乗るカルロス」でしかなく、カルロスを期待するファンからは「いらん要素が加わってしまった」、サンターナを期待する原作側ファン*16からは「全然サンターナじゃない」*17という事に……。
  • 日向の終盤までの大幅弱体化
    • 原作でも翼に次ぐ実力を持つ日向小次郎は、最初は若島津と共にユベントスに所属し翼と対戦する。その後、中盤以降は全日本の一員として活躍することになるのだが、ある事情により長期間弱体化してしまう。
    • まず前作で体得したドラゴンタイガーがなかったことにされている。*18
      + シナリオのネタバレ注意
    • 日向はパルマ所属のブラジル代表、シニョーリの実力に圧倒されて自信を喪失してしまい、中盤から終盤にかけて全能力が表示上から半減された状態でシナリオが進むことになる。
      • その能力たるや、モブ相手に強引なドリブルをしても当然のようにボールを取られ、ネオタイガーをペナルティエリア内から撃っても、モブのGKにすら平然とキャッチされるほど。
      • 日向はシリーズを通しての点取り屋であったため、実質上の復帰戦になるブラジル戦までは大幅な戦力ダウンを強いられる。
        • にもかかわらずロベルト監督の命令で強制出場。これならまだ3のように新必殺技開発のため無断で失踪した方がマシだった……。
  • 復活イベントまでが長いため、今までの作品で日向に頼ってた人は勿論、原作ファンや初プレイ者にも印象が良くない。
    • それでも復活後に覚えるファイナルタイガーはラスボスから得点が可能な貴重な必殺シュートであるため、今まで溜まっていた鬱憤を晴らせる瞬間*19は魅力的。ブラジルからアルゼンチンまでにかけては敵チームのGKも非常に強力なため、実際このファイナルタイガーが無いと厳しいバランスになっているので、プレイヤーの気持ちはともかくゲームバランスは取れている。
  • ……だがクリア後に追加されるスペシャルマッチではライトニングタイガーもファイナルタイガーも習得していない状態になっている。こんな状態で最強のGKジウマールから点を取れるはずもなく、再びストライカーとしての役割を果たせないお荷物に逆戻りしてしまう。設定ミスにしてもあんまりである。
  • BGM・SE周りの問題
    • BGMは今までと同じ水準で評価は高いものの、前述したように敵味方でBGMが変わらなくなったため、どちらのチームがボールを持っているかが分かりづらくなった。
      • 特に今作からはリアルタイムシミュレーションになったため、尚更その問題が顕著。今までのようにプレイヤー一人だけが大写しであれば気にならないのだが、ゲーム画面に選手が沢山映る中、敵味方のどちらがボールを持っているかを瞬時に判断するのはなかなか難しい。
      • また、試合終了5分前のBGMが若干変更された。特に「5分前になった瞬間」のBGMは音楽というよりも焦燥感を煽るだけのエフェクト音楽のような感じで評判は良くない。一応、その途中で反則などで一旦試合再開をすると昔なじみの試合終了5分前のアレンジ風BGMに切り替わる。
    • SEは極端に明るい感じになっており、キーカーソルの選択音もバネの跳ねるような高音が響き渡る。
      • それ以上に問題なのがボールをキックした時の音。ゴールキックすればミサイルでも発射したかのような爆音が響き渡り、シュート・パス時にはシンバルでも叩くかのような金属音が足から放たれる。
      • 敵がボールを持っていると頻繁にパス回しやワンツーを繰り返すため、サッカーのフィールドはまるで吹奏楽部の練習のような状況に。
    • また、1~4までずっと専用BGMがあったドイツ代表に今作では専用BGMが用意されていない。
  • シナリオに関する問題点
    • 全体的に問題なく纏まってはいるものの、細かい点が目につくのは前作までと一緒。
      + ネタバレ注意
      • メインストーリーで大きく取り扱われるラスボスチーム「カンピオーネ」の一員であり、クリア後のスペシャルマッチで満を持して全日本に合流する新田。だがゲーム内ではそこまで強くなっていない。強化自体はされてはいる*20のだが、試合のシチュエーションが悉く悪く、シナリオとの温度差を感じやすい。
        • 冒頭では毎試合ハットトリックを決めているという驚異の躍進ぶりを見せる新田だが、その新田を使用する初戦ではハットトリック達成にはギリギリの量(ゴールポストが一度でも発生すれば達成不可能)のガッツしか持ち合わせていない。本作のデビュー戦にして早くも「強くなった新田」というストーリー描写とのギャップが生じてしまっている。
        • ラスボスチームのカンピオーネでは、エースのアルシオンの影に隠れてしまいやはりあまり目立たない。 後半開始時には「前半の全日本のチームプレイに感化されたカンピオーネのメンバーが、キックオフから総動員での連携技『ラ・オルケスタ』で一気にボールを繋ぎ、最後にアルシオンと見せかけ新田がシュートする必殺技『シャドウストライク』を披露する」というイベントがあるが、その結果は必ずポストに阻まれるというあんまりなもの。仮にもラスボスなのだから失点確定イベントにしても違和感はなかっただろうし、そうでないなら「シュートの結果は普通に判定し、成否はレベル次第」という設定であったら……。*21
          • 一応補足すると、一連の動きを見た翼が前半の攻め方からの変貌ぶりに戦慄するシーンが入るため、むしろポストで命拾いしたという印象のほうが強い。しかし結局のところ最後の最後で失敗したのは新田なので、やはり彼の不甲斐なさが浮き彫りになってしまっている。
            なお、この技はアルシオンと新田の両選手で使用できるが、有志の検証ではご丁寧に「新田が使用するシャドウストライク(アルシオンがシュート役)」よりも「アルシオンが使用するシャドウストライク(新田がシュート役)」のほうがポスト直撃率が高かったことが判明している。
        • スペシャルマッチでは新田の離脱期間で今までスタメンFWに繰り上がっていた佐野よりは遥かに強いが、対戦相手が極端すぎてやはり強さを実感できない。せっかく帰ってきたのに、試合展開としては本当に新田が居ても居なくても同じになってしまう
      • 翼は前作のエンディングでローマに移籍する事になっていたはずなのだが、なぜかレッチェに移籍する事になった。レッチェは下部リーグから上がってきたばかりの弱小チームで、「世界最高レベルのサッカー」を求めてイタリアに渡ってきた翼は前作までの馴染みのサンパウロFCの方がはるかに強かったという非情な現実*22を突き付けられる……。(特に 森崎やレナートより弱いGKブルノ。飛び出しに関しては控えGKのオテッロの方が優秀(判断力はすぐに追いつく)。 )
        • これは難易度調整の一環だと思われる。しかし、前作のエンディングの流れを無視しているし、レッチェに移籍することになった理由付けくらいは必要だっただろう。
  • ゲームシステムの仕様変更に伴う弊害
    • 今作からオフサイド*23の概念によりDFを前進させるライン押上げによるオフサイドトラップ等の戦略に幅が広がったのだが、これによって無理に接触プレイに持ち込むよりオフサイドトラップを発生させて間接フリーキックに持ち込む方が燃費が良いという結論にたどり着く。
      • 今作のストーリーは「一人ではサッカーは出来ない」「チームプレイの大切さ」に主眼を置いているために、個人技で突っ込んでくる選手が仲間に促されたり自分から悟ったりしてチームプレイに目覚めてパスも回す様になっていくのだが、そういう選手は能力が高く単騎突破力がある上に必殺シュートも強力なために個人技主体でチームプレイ無視の時の方が厄介という性質を持つ。
      • カンピオーネもこれに当てはまってしまっており、オフサイドトラップが効く「ラ・オルケスタ」や実はそこまで補正が強烈ではない「シャドウストライク」も織り交ぜてチーム全体で攻撃してくる様になる後半よりも、全能力最強のアルシオンによる「芸術的ドリブル*24」による敵陣突破&必殺シュート「スターバースト」を放つ単騎特攻主体の前半の方が厄介という事になってしまっているのだ。これではジョアン監督の戦法が正しかった事になってしまう。せっかくのシナリオが台無しである。
    • 今作では浮き球バグが無くなっているため、浮き球での競り合いが理不尽に不利という事は無くなったが、ペナルティエリア内におけるキーパーとの接触プレイは相変わらず強力であり、浮き球に頼らなくても得点できるようになった。
      • 今作ではセンタリングにおいてパスの高低も選べる様になったので空中技も自由に撃てる様になっており、「キーパーに飛び出させてのオーバーヘッドキック*25」が猛威を振るう事となった*26
      • キーパーが飛び出せば攻撃側に有利な補正で判定が可能かつ必殺セーブも封じ込められるので、キーパーとの空中ボール接触戦に持ち込んで必殺シュートを叩きこめば高確率で得点できてしまう。キーパーが邪魔にならない位置にいる味方にパスを渡せば、普通のシュートでも得点できてしまう。
    • また今作ではパスの仕様が変化し、パスがゴールを割ることも発生しうるようになったのだが、それを悪用してゴール内に必殺パスを放り込むことができるようになってしまっている。必殺パスは必殺シュートに比べてはるかに燃費が良いので*27、この事に気付くと真面目に必殺シュートを使う気が起きなくなってしまう。
      それというのも、ドリブルでゴールにキレ込んでキーパーと1対1になるとキーパーは「ドリブルにそなえる」「シュートにそなえる」の二択で「パスにそなえる」なるものはない。これは前作までも同じだが、前作ではそこでパスを選べばキーパーも飛び出さないため「元からなかったことになる」という無難な結果になったのだが、今作はパスの指定先が自由であり、さらに必殺パスは指定先に味方がいないと高確率でボールが点々と転がるため味方のいないゴール付近に必殺パスを蹴りだせばほぼゴールを割ってしまうのだ。
      • そしてご丁寧に翼やアルシオンなど最強クラスの選手は必殺シュートの他に必殺パスも持っている……。
      • 必殺パス「ピンポイントパス」で日向やストラットにボールを渡すのが本来の役割であるはずのファケッティが事実上の「ピンポイントシュート」で世界最高クラスのストライカーに変貌してしまうという事態も。
      • ドリブル中の選手が自分のすぐ手前にパスをすると、フワッと浮き上がるような軌道のパスになる。これをキーパーの前でやるとキーパーは反応できないので、タイミングさえ合えば簡単にゴールできてしまう。
      • ゴールラインぎりぎり*28からシュートを打ってキーパーがキャッチすると、後ろを向いたままパスしようとしてゴール内に投げ込んでしまうという珍プレーが見られる。
    • ワンツーがほぼ無意味に
      • 小気味よくパンパンと実行してくれること自体は良いのだが、数ミリしか進まない。前作までは所謂異次元ワープが発動することで成立していたコマンドなのだが、今作のようにきちんとキャラが表示されていると、ワンツーを行うような短い時間では全然進めないのである。当然前から敵が迫ってきていてもワンツーで躱すどころか、普通に接触してしまう。
    • ゲームの高速化とコマンド選択の仕様の問題
      • 前述のとおり、リアルタイムでフィールド上を動き回りフィールド上で敵チームのメンバーとぶつかるとコマンドを選択するという形なのだがコマンド画面はぶつかった瞬間に開かれる。さらにコマンド画面は過去作では対戦モードでの仕様だった十字キー+BYXボタンで必殺技を使う形式をストーリーでも採用している。そしてフリーの時にコマンドを開くボタンはBボタンである。
        つまり、必殺技が非常に暴発しやすい。特に十字キー右+Bボタンの必殺シュートは自軍が左で右に攻め込むという都合上、敵ゴールへ向かってドリブル→敵が近付いてきた→コマンドを開こうとBボタンを押すと一瞬先に接触されており右+Bの判定→必殺シュート発動…といった具合に頻発する。乱戦でこぼれ球を拾った瞬間に敵選手から離れつつコマンドを開こうとする等はもはや自殺行為でしかない。
      • 接触してからコマンド受付までに一拍おいて欲しかったところである。というか従来通りストーリーではコマンド決定→必殺技選択、という形式でよかったのでは…?
  • エディットキャラの能力の不足
    • 上記の通りポイントを振り分けてキャラを作成するのだが明らかにポイントが足りない
      • 平均的に割り振ると最弱チームのモブ以下の雑魚が出来上がる。当然必殺技を駆使しても通常のコマンドであっさりと対処されてしまうのだ。使わなければ手も足も出ない。
      • 一つの要素に全振りすれば地上シュートだけならファンベルグ*29以上、タックルだけならクスタ*30以上といった選手を作ることはできる…というかそれしか作りようがなく思い通りの選手は全く作れない。
      • おまけシナリオの「プレイヤーズVS全日本」ではこのエディットキャラ達とキーパーの森崎&中西で今作最強のチームの全日本と戦わされる事になる。
        前述の通りバランスよく割り振ったキャラ達だと正攻法ではまず勝ち目が無いが、特化型選手で揃えると圧勝することも可能という極端な試合になる。
    • 前作と違いこのステータスを1上げるとシュート力が○上がる、といった表示が無くどの能力がどの行動に対応しているのか分かり辛いため特化型選手を作ろうとして中途半端な選手になることも。
      • 能力とはちょっと意味が違うが、顔選択も必殺技バリエーションを顔キャラの原型に紐づけているだけでしかない。これならば前作のように限られた中でも自由に選択の幅があった方が良かっただろう。

総評

決して悪い作品ではないものの、従来のテクモキャプ翼を求めていたユーザーからは不評な部分も多い。
特に前作まで積み上げてきたテクモのキャプテン翼らしさという部分がキャラクターの大量リストラによって失われてしまった事は大きな問題になった。
Jリーグが発展し始め、当時のサッカーブーム、そして原作の新たな連載によって新たな地点に進まなければいけなかったテクモのキャプテン翼だったが
新たに始まった原作を重要視する余りその余波を受けて、テクモのキャプテン翼を好きだったユーザーを裏切る形になってしまった。

しかし、決して嫌っているファンばかりではなく、今までと変わらない熱いストーリー展開や原作でも人気の高い多くのキャラを自分で使用できるストーリーを評価する人も多い。
現状で出来る部分はしっかりと抑え、今までのトンデモ展開を超える作品としてテクモキャプ翼の完結編となった。

余談

  • この作品を最後にテクモからキャプテン翼が販売されることはなくなった。
    • これ以降、キャプテン翼のゲームはバンダイから発売されることになったが、そちらのキャプテン翼のゲームの評判は芳しくない。早速1年後には当時まだ初期だった「ワールドユース編」をベースとして後にシリーズ一のクソゲーと悪名高い『キャプテン翼J THE WAY TO WORLD YOUTH』を発売。
      • アニメ自体がクソと酷評された「キャプテン翼J」のタイトルを冠しているため、その相乗効果で悪いイメージを一層強めた。反面その一方であくまで「キャプテン翼」ではなく「キャプテン翼J」ということで、テクモシリーズと一緒に並べて扱われないことも多い。
    • それ以後もキャラゲーとしては原作再現を重要視しているものが多く決して何もかもがクソゲーと呼ばれたものばかりではないのだが、ワールドユース編をはじめ正式な原作の続編は連載打ち切りが多発するほど不人気だったことや、原作が止まっている数年の間にテクモが作り上げてきたキャプテン翼があまりにも多くの人に受け入れられていたのが原因だろう。
    • 長年に渡って「テクモ以外は全部クソゲー」という状況が続いていたが、実に20年以上もの時を経て登場した『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』がついに悪しき伝統を打破し、「テクモ以来の良作」が誕生した。
+ エンディングのネタバレ
  • なお、そうした理由を最初から踏まえているためか今回のエンディングは遂に翼が早苗にプロポーズをして終了となる。
    • ワールドユース編の最終回でも結婚式を挙げた二人だが、時期的にワールドユース編の連載終了は1997年のため、事実上原作よりも先にテクモ版の翼はゴールインしたということになる。
    • 前作までのシリーズではエンディングで常に早苗を待たせたままプロの道に行く、という流れを2から4までずっと続けてきたため、二人のゴールインを以てテクモ版キャプテン翼の物語が終演を迎えるのは感慨深いものがある。後は戦ってきたライバルたちが消えないでいてくれたならもっと良かったのだが…
  • 本作発売時に連載中だったワールドユース編で翼に並ぶもう一人の主人公として登場した葵新伍が全く登場しない
    • 本作がワールドユース編の影響でカルロス(サンターナ)周りの設定変更、オランダユースの原作キャラ登場、テクモオリジナルキャラクター大幅リストラなどがされた割にワールドユース編の日本側設定を拾って追加する、ということは殆どしていない。
    • 葵は連載中ではサンターナより先に登場しているが、実際に日本に合流するまで時間がかかった事などで能力が不明な点*31、必殺シュートが原作に存在しない点などもあって見送りにされたのかもしれない。とはいえ、カルロスの設定をサンターナ周りに合わせるよりはゲストのような扱いでも葵を参戦させたほうがよっぽど良かったような…*32ただでさえ序盤の翼がメインの部分はセリエAでの物語なのだし…*33
    • ちなみに葵と対になるディフェンダーキャラの赤井止也は発売時登場していないので不参戦は仕方ないと言える。「RJ7(リアルジャパンセブン)」のメンバーも少し前に登場したばかりだったので取り込むには無理がある。
  • 原作では長らく名前のみ語られるだけだったカンピオーネのジョアン監督だが、オリンピックを描いた「ライジングサン」においてブラジル代表監督として遂に登場した。
    • ただし容姿も性格も本作とは全く似ておらず、本作のジョアン監督のような卓抜した指導力も持ち合わせてはいない。カルロスとサンターナの違いのように、「同名の別人」レベルで異なるキャラクターとなった。
  • 森崎はとうとう本作で中西に対して基礎能力で上回り下剋上を果たした。
    • どちらも小学生時代からのキャラではあるが、当初は森崎はボールを恐がったり無名の島田小の攻撃にうろたえてあっさり失点したりとザコっぷりが凄かったのに対し、中西は小学生とは思えない大人の相撲取りバリの巨体を誇る威圧感があり南葛戦では5失点で大敗したとはいえ、それは翼に無失点記録を破られたことから冷静さをなくして崩れたためで、それまでは無失点で南葛戦でも冷静な時は翼のシュートも余裕で止めるなどなかなかの強キャラぶりだった。実際当時は若林、若島津に次ぐ日本全国で3番手の位置にいたほどで森崎は彼の足元にも及ばなかった。
    • 中学3年では早田の東一中に敗れたとはいえ、それでも1失点のみで全国屈指のキーパーには違いなく高校ではその早田がチームメイトになったことまでは語られているが、どのような試合をしたかは語られていない*34のに対し森崎はピンチメーカーの役割ながらも、ここぞという時にピンポイントでは活躍を見せていたためそれが評価されてこうなったとすれば、まさに後に与えられる異名「S・G・G・K=スーパー・ガンバリ・ゴール・キーパー」らしい結果と言えるかもしれない。
      • とはいえ二人が直接相対する全日本最初の紅白戦(プレイヤーは紅組でキーパーは森崎)では中西のいる白組側の方がレベルが高いため、その恩恵で中西の方が強い上に、基礎能力でもその差は微差にすぎないためプレイヤー目線では「どっちもザル同士五十歩百歩」という残念な下剋上であった。
  • サンターナ(カルロス)の新必殺シュート「ステルスシュート」。
    • 「ステルス」とは「隠密」の意味で、技の内容はコインブラが前作まで使っていた「マッハシュート」のように、ボールが一瞬消えて再び現れるというもの。これまでの「ミラージュシュート」「ファントムシュート」のような「吹っ飛ばす力はないが触れられずにゴールする」という特性は受け継いでいる。
    • 我々日本人としてはミラージュは自動車、ファントムやステルスは戦闘機といった機械的なイメージを持ちやすいだけに、そう考えると今までと同じ響きには違いない。しかし本来の意味で考えると「ミラージュ」は「幻影」、「ファントム」は「お化け」といったファンタジー色の濃い名前だったことを考えるとそれらとは少々かけ離れたものになっている。

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最終更新:2024年04月13日 14:33

*1 岬・松山の章では岬の所属するパリと松山の所属するマンチェスターのどちらを操作するか選択できるが、どちらを選んで勝利しても展開は同じ。

*2 ABCの三段階で、若林はA、森崎はC。若島津、ゲルティス、ラスボスであるサビチェビッチなど強力なGKにも判断力Bという選手は割と多い。

*3 この時点では小学生編のリメイクのようなもので、翼以外の声優陣は全て総入れ替えされている。ワールドユースに移行してからは翼役も別人になった。

*4 「J」の第1話は14.1%とまずまずの滑り出しだったが絵質の一新や新しい声優陣のキャスティングが受け入れられずに、すぐに視聴率が急落し致命的な低視聴率に陥り旧シリーズのリメイクは小学生編で打ち切られゴールデンタイムから外された。その後、当時連載中だったワールドユース編に移行しても挽回できずに終わった。

*5 ドリブルの速度やラフプレイの頻度

*6 シュナイダーとの戦い後に自分の実力不足に打ちひしがれて居るシーンなのだが、何故か電気も点けずに一人で部屋の隅で体育座りをしているのが妙に似合っており、今でもネタにされる。なお、この場面ばかりが有名になってしまったが、ヘルナンデスは気を取り直して次の試合でシュナイダーのシュートを見事に防ぎ、驚かせている。

*7 どうもジョアン監督は「翼に負けた奴は失格」と見なしているようで、他にも「これであのチームに入れなくなった」と嘆く選手がいる一方、翼抜きの全日本に負けたクスタは入団している。

*8 もっとも、早苗も「強力なのはなにについてなのかいまひとつはっきりしてない」と続けており、サッカーが強力とは言ってないのだが、GKは強力。

*9 フィールドではちゃんと顔があるものの行動選択時はモブと同じく頭から下の後姿が出るのみになっている。これはフランスのアモロも同じ

*10 4はそうしたキャラクターとの会話シーンも多かったため、特に残念な結果に

*11 ただしゲームシステムが大幅に変わってしまった今作で彼を出すと「倍速ドリブルで誰も追いつけない」又は「倍速ドリブルが無くなってコレジャナイ呼ばわり」された可能性も否定できないのだが…

*12 若島津の牙龍三角飛び、三杉のムーンスライダー、ボッシのサーブルノワール、シェスターのスパイラルパスカットなど

*13 分身ドリブル、ミラージュシュートなどの必殺技はアニメ映画版では使用していない。翼と同じドライブシュートを使っていた。

*14 因みにこれも上記の劇場版の頃にあった異名で、そのままワールドユース編に持ち越された形なので設定自体は存在していた。だがテクモ版ではこのように呼ばれたことはない。

*15 劇場版の頃は貧しいスラム街育ちで「サッカーで成り上がって家族を幸せにしてやりたい」という志を持った日向に近い生い立ちだった。WY編では「孤児ながらも優しい老養父母に育てられ幸せな暮らしもつかの間、その養父母を幼少のうちに失い、生きるためには欲望しかない悪徳な継養父の意のままに監禁され機械的にサッカーに利用されるしかなかった」という更に悲惨なものになった。

*16 ワールドユース編は最後は連載打ち切り終了。それ以上にファンからすれば様々な不評要素が山積みでそんな終わり方を残念とすら思われない黒歴史となったが、この当時はまだそういったものが顕著化しておらず、原作が止まっている間に展開された好評なテクモ版オリジナルストーリーの先行印象もあって当時を含む連載初期は非常に人気が高く、これからの展開に期待されていた時期であった。

*17 なにしろ持ち技が全然違うのだから、WY編のサンターナとしての動き「ゴールデンイーグルシュート」「サンターナターン」などは全く見られない。

*18 本作発売から少し後に当時連載されていたワールドユース編で日向のライバルとして火野竜馬という竜イメージを意識した新キャラが登場している。ただしその影響があったのかただの偶然かは定かではない。

*19 にっくきシニョーリに直接叩き込み、吹き飛ばしたあげく敵GKゲルティスも吹き飛ばし、さらにはコンクリートの壁を貫通する。なおシニョーリは「ち、ちくしょう……」と悔しがるだけで無事である。

*20 地上でのシュートの威力を比較すると、翼のサイクロンよりも新田の新必殺技「ファルコンダイブ」の方が強い。

*21 2のコインブラの初見マッハシュート、3のシュナイダーの演説ネオファイヤーがこの形式のイベントで、「最初は必ず決まる」とは限らないが彼らの能力が高すぎてだいたい決まる。

*22 キャプテン翼4の項目に詳しく書かれているが、そのサンパウロFCもゲーム開始時点では3までのサンパウロユースチームの方が強い有様だった。つまり翼は常に「前回より弱いチーム」に入団している事になる。

*23 攻撃側がパスを出した瞬間守備側の一番後ろの選手より前に出ている攻撃側の選手がプレーに関与すると反則扱いとなるルール。原作では小学校サッカー時代からあったが、ゲーム版では今作から本格的に登場した。

*24 ただし「芸術的ドリブル」は必殺ドリブルの中では燃費が悪く連発すると呆気なくガッツ切れになる。

*25 空中必殺技と全必殺シュートの中で最も燃費が良いシュート

*26 ここで原作からの「佐野がオーバーヘッドキックを使える」という設定が活き、さらに新田不在のため佐野が最後までスタメンFWとして抜擢されている。さすがに終盤まで活躍し続けるわけでは無いが、様々な要素が重なって意外な形で輝く事になった。

*27 ブーストサイクロンは500消費、カミソリシュートでさえ180消費に対しドライブパスやカミソリパスは30消費

*28 キーパーよりも後ろの位置

*29 最強のノーマルシュートが武器のオランダ代表。4のラスボス

*30 マレーシア代表で後にラスボスチームの一員として再登場する今作最強DF

*31 実際に葵が全日本に参加するのは連載時期的には1995年のこと。当時の葵はイタリアで個人技を見せるぐらいしか出番がなく、他の日本選手と比べる機会もなかったためステータスの調整が見送られた可能性もある。とはいえこのゲームは翼のライバルとしてのオリジナルキャラクターが沢山いるわけだし、後のバンダイ版『J』でも「新幹線シュート」という原作にないオリジナル技を使っていたので同じように調整する手も使えそうではあるが。

*32 ファンサービス的なキャラとして、当時ジェノアに在籍していた三浦知良選手とおぼしき「カズヨシ」という控え選手が存在する。日本代表として共に戦う事は無いが……。

*33 葵新伍は中学で翼率いる南葛に練習試合で大敗して以降イタリアで留学をしており、セリエAのチームであるインテルFCの下部組織に入団している

*34 裏を返せば特に弱体化した印象を与えないまま姿を消していたことが幸いして前作では顔なしの不遇ながらも能力はそこそこに強かった。