Fractured Minds
【ふらくちゃーど まいんず】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション4 Nintendo Switch Xbox One Windows 7/8/10,Mac(Steam)
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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Wired Production
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開発元
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Emily Mitchel Games
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発売日
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2019年11月14日
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定価(税込)
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【PS4】200円 【Switch/Steam】225円 【One】216円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:C(15歳以上対象)
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セーブデータ
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作成不可
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判定
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クソゲー
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ポイント
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精神病に関するメッセージがあまりにも錯綜している 製作者の技術は評価できる
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概要
当時17歳のEmily Mitchel氏が個人で開発したゲーム。
特徴・システム
精神病をモチーフとした一人称視点のADV。
3Dで描き出される精神的な異世界を探索し、適宜画面中央にとらえたアイテムを調査・回収しつつ先に進む方法を探る。
構成
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全6章構成。どの順にプレイしても差し障りは無い。
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1章が非常に短いため途中でセーブすることもできない。
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チャプター1(日常)
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化け物が夢に現れて飛び起きた主人公。部屋を出ようとするが、扉のカギが一向に見つからず……。
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チャプター2(空虚)
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場面が変わって、誕生パーティの席にいる主人公。ロバの絵に尻尾をつけてあげると事態が急変し……。
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チャプター3(安全地帯)
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スノードームの中には心安らぐ世界があった。しかしいつかは外に出なくてはならず…。
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チャプター4(パラノイア)
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持っているスマホにしか興味を示さない人々の背中を見ながら……。
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チャプター5(溺れている)
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水没した部屋が舞台。リモコンの電池を探し出し、部屋を鎖す暗証番号を読解して外に出ることが目的。
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スポットライトにつかまるとやり直し。
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チャプター6(怪物)
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主人公の心を蝕む化け物と直接的に対決する。バルブをまわしてボイラーを爆発させることで怪物に攻撃を試みる主人公。追い詰めた暁に判明する化け物の正体とは…。
問題点
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メンタルヘルスをテーマとしている、という触れ込みだが…
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1~6章で起こる出来事および舞台となる異世界は、開発者の実体験がもとになっているのではないか? といったレベルのことしか分からない。
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メンタルヘルスをテーマに据えるにしては、その精神病の描写が非常に限定的。
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本作の主人公は、自宅でつらい体験をしており、かつ化け物を見る症状に悩まされているようだが、これらは精神的な疾患を抱えた人が誰しも体験するわけではない。
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出てくるキャラクターや部屋が妙にかわいらしかったり、中途半端にゲーム性を出そうとしている(後述)ところもある。
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主人公はまわりの物体や世界に対して怖がりつづけるが、別に世界が生々しいわけでもなく妙にかわいらしいキャラクターが出てくるだけなのでプレイヤーは置いてけぼりを食らう。
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6章あるが、各章の時系列の関係性も不明。物事の因果関係がつかめないので、主人公がなぜ精神を病むことになったのか、今主人公が精神的に良くなっているのか悪くなっているのか、はたまた現状維持なのかも分からない。精神疾患を治したいときの参考にはならない。
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ゲームのメッセージが錯綜している
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ゲーム中に文章が出てくることがあるが、英語(原作の言語)の表現をかなり直訳しているため、読んでいて意味が分かりにくい。
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ゲーム締めくくりにメッセージが出てくるが、これも和訳がたどたどしい。締めくくりの超展開から理解するまで時間がかかる。
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ネタバレ
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化け物(の力の源)はプレイヤー自身だ、というメッセージがチャプター6で唐突に展開される。
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無理にゲームにしようとしている
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アイテムを手に取ったり調べたりして先に進むだけのゲームなので仕方ないことかもしれないが、変なこじつけで先に進めないことが多い。
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特にチャプター2,4の流れは強引過ぎる。
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チャプター2では、目隠しをしなくてはならない理由、ロバに尻尾をつけたら家が暗くなる理由、プレゼントをいきなりあけられない理由、どれも不明のまま。
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チャプター4では、歩きスマホをする人の流れを追って、背中にある模様を視認しなくてはならない、というこれまた現実的でなく、精神病との関連も薄いゲームが展開される。
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ボリュームが薄すぎる
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何をすればいいのかわからず右往左往としている時間が本作プレイ時間の大半を占めるが、効率よくプレイすれば10分程度のボリューム。
評価点
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特にバグはない
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こういった個人製作の3Dゲームにはありがちだが、そういった類がない。
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演出面
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物悲しげなピアノのBGMはよい。
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精神的な闇の局面に差し掛かると、光が一瞬にして消え世界観が邪悪なものに書き換わる。
総評
若きクリエイターが個人で製作したことを鑑みれば確かに製作技術など褒めるべき部分もあるのだが、商業ベースで見た際のゲームとしての完成度は著しく低い。
無理に出そうとしたゲーム性、精神病で苦しむ人のためのメッセージ性が足の引っ張り合いをしており、意味不明という言葉に集約される作品。
値段を考慮してもボリュームが薄すぎるため、プレイする意義は薄いといわざるを得ない。
余談
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製作者のEmily Mitchell氏は当時17歳。商業ベースに乗せるにあたって修正した部分もあるにはあるのだろうが、個人製作でここまで作った点は純粋に凄いと言える。
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本作の収益の40%が、ゲーム業界メンタルヘルスの問題に取り組む慈善団体Safe in Our World(2019設立)へ寄付される模様。購入してプレイする最大の意義はコレかもしれない。
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英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)主催の「BAFTA Young Game Designers Award」の「2017年度 15~18歳部門」の受賞作に選ばれている。
最終更新:2022年06月11日 21:39