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ラディア戦記 -黎明篇-

【らでぃあせんきれいめいへん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 テクモ
発売日 1991年11月15日
定価 6,900円
判定 なし
ポイント テクモシアター
複数バトル
続編は出なかった


概要

ファミコン末期にテクモから発売されたアクションRPG。
ゼルダの伝説シリーズ聖剣伝説シリーズのように剣と魔法を使って戦う仕様で、シナリオ、複数バトル、テクモムービーなど非常に力の入った大長編作品に仕上がっている。
「黎明篇」という副題がついているが本作は一作目であり、続編も出ていない単発作品である。

ストーリー

OPデモはレフィス姫が城から逃げ出そうとするシーン。
その頃、記憶喪失のまま森を彷徨っていた主人公ラムナは魔術師ダルス・盗賊バルーと旅をしていくうちに、帝国の野望に立ち向かい、やがてレムリアルの世界の根幹に深く関わっていく事になる。

登場人物

+ +を押して展開
  • ラムナ
    • 本作の主人公。記憶喪失で森をさ迷っている。剣の腕は確かだが魔法は一切使えない。最初に名前を思い出すシーンで名前入力が出る。最大4文字までで、空白を4つ入れるとデフォルトのラムナになる。
    • HPが0になったら、復活アイテムを使う事もなく即ゲームオーバーになる。
  • ダルス
    • 魔術師の男性。森でラムナを発見したと思ったら山賊と勘違いして襲う、さらわれた少女と同行しているだけの男を誘拐犯と間違えて襲うなど非常に早とちりな性格。
    • 故郷のサマラがノヴァに支配され、父は処刑され、妹は行方不明と、結構重い過去を持つ。
  • バルー
    • 盗賊団の頭の男性。村人から恐れられていると思えば、少女を怪物から救うなどの一面も見せる。彼もまたラムナと旅をする事になる。
    • 飛び道具を得意とし、魔法も扱える。
  • ハーマン
    • 遠い砂の国から来た戦士の男性。非常に真面目な性格で、大地を操る能力を持つ。戦闘でもイベントでも活躍する。
    • 同僚にはルシカがいる。姫を守ろうとして命を落とした。しかし、人々はそれにより奮い立つ事になる。
  • レフィス
    • ある王国の姫。OPで乗っていた飛行機が墜落し行方不明になる。ヒロイン扱いで仲間にはならないが、テクモシアターにはたびたび登場する。
  • ガディス
    • OPでレフィス姫を空中戦で追いかけ回していた男。見た目からして悪役そのもので、ラムナ達にも牙を剥いて来るなど粗暴なとこばかり目立つが、民からは信頼されており意外と紳士的である。
    • CMでは「破滅? それはどうかな?」と言っているがそれの意味が分かるのはかなり先の話になるだろう。
  • ノヴァ
    • ガディスに仕える魔術師。非常に忠実であり何度も牙を剥いて来る。しかしながら、ある人物の父親でもあり単なる敵味方では終わらない。

特徴

  • 本作は非常に深いストーリー、オリジナリティのある戦闘システムで知られている。詳しくは評価点の方で後述。
  • 特技
    • HP回復、脱出、攻撃など実に多彩なものが用意されておりプレーヤーの意図に応じて使ってくれる。
    • MP制ではなく、各魔法に使用回数が設けられている仕様。立て続けに放つ事は出来ずに一定時間おかなくてはならないが、HPグラフの右側の「255-最大HP」に比例する独特の仕様になっている。
      • 勿論、レベルが上がると使用回数も増えて、HPも上がるので次までのタイムも短縮。
    • 覚え方は、巻物を仲間に使うとそれぞれ4種類まで覚える。回数0/0の段階では巻物で覚えてもまだ使えない。
    • 巻物は道中の宝箱やタンスから手に入る。多めに配置されているので普通なら全員に全部覚えさせて残りの巻物を売って武器防具の購入資金にするほどであり、しかも序盤で売ってしまっても、終盤の町で売っている(8,000ギル)ので巻物が足りなくて困る事だけはないようになっている。
  • 死に真似という選択肢も面白い。これは敵を欺いて戦闘回避するというものであり珍しい。
    • イデアの日』でも死んだふりで戦闘をやり過ごす仕様があったりする。
  • EXPは敵を倒した時点で獲得し、戦闘中にレベルアップしたりもする。
  • 道具
    • あらゆる道具は大きく3つに分別される。
    • 「薬」
      • 薬草、毒消しなどの回復アイテムを分類。それぞれ最大9個まで。解説が用意されているのはこういう類のみである。
    • 「獲物」
      • 肉、牙、骨の3種類があり、モンスターを倒して手に入れたら店で買い取ってもらうのがセオリー。所持数は最大99個まで。売る以外にもHP8回復、毒攻撃、追い払うという使い道もある。
    • 「アイテム」
      • ここには巻物やエリクサーなど貴重なアイテムが並ぶ。PAGE1~3にそれぞれ6つ、合計18と少ない。しかも他の分類のように何個も持てるわけではなく、例えばエリクサー3個なら3箇所使うので取捨選択が大事になってくる。
      • なお、イベントアイテムもここに入るのだが、埋まっている際はどれかを捨てるようになっている。
    • 戦闘中にも使えるのだが、全員眠っていてもアイテムを使えるのはご愛敬。
  • 武器
    • 武器という表記のコマンドだが、武器だけでなく防具・装飾品と多彩。1人あたり6個まで持てるのだが、種類が多いので計画的にやらないとすぐに埋まってしまうだろう。
  • このように膨大なアイテムが上手く大別されてはいる。
  • 通貨
    • 単位はギル。店で売る際は半値ではなく3/4で買い取ってもらえる。
  • セーブ
    • 本作は「ベッド」で全回復してセーブ画面に入る。最大3箇所まで用意されており書き込む際はその先のEXPの量などが表示されている。
  • ゲームオーバーの際
    • 主人公のHPが0になるとゲームオーバー。その際はセーブした場所まで戻されるが、それまでのEXPだけは継続される。

評価点

本作独自のゲーム性

  • 通常歩行
    • 最大5人で、歩行する際は十字状に並ぶ。『ロマサガ2』のインペリアルクロスみたいなものであり、通行不可の場合はパーティーの中央に寄る。これにより見栄えも良く、ファミコン特有の横に5人並ぶ事によるチラツキもかなり抑えられている。
      • 狭い場所を渡ったり、他のキャラが要る際はチラつくがそこは仕方のないところである。
    • マップも、階段や崖や吊り橋など、段差など立体感が表現されている。
  • 戦闘システム
    • 前述のとおり、ゼルダの伝説シリーズや聖剣伝説シリーズのような見下ろし型アクションだが、本作独自の要素が多数盛り込まれている。
    • まずはエンカウント方式で、移動の際は普通のRPGのように仲間たちと歩き、敵と遭遇した際はその場で1画面に固定で戦う。
    • 敵味方がそれぞれ5体ずつ入り乱れて戦う。敵を挟み撃ちにしたり、追い詰められている仲間に駆けつけるなど判断力が求められる。時には瀕死の仲間の代わりにわざと攻撃を食らうなど、単数ではありえなかったゲーム性を確立。
    • 作戦を指示する事も可能で、他の仲間は主人公の作戦に応じて突撃したり引き下がったりする。
    • HPは数字ではなく棒グラフで表示、これによりパーティ全体のHPの状態を即座につかめる。
      • 更にHPバーの右の空白は、魔法を撃った際の冷却期間として使われている。
  • 相談
    • 仲間たちが顔グラとともに、主人公達が次にすべき事を教えてもらえる。『エスパードリーム2』みたいで有難い仕様である。

ストーリー

  • 多少展開が強引な所もあるが、一つのストーリーとしてよくまとまっている。
    • 「黎明編」という副題の通り、一話完結ながらも色々と含みを持たせて終わる。
      • 特に終盤にかけて、予想だにしなかった驚きの世界が明らかになり、このゲームは一体どこまで続くのか、どれほど壮大なスケールの物語が用意されているのか、とても期待がふくらむ。続編が作られなかったのが非常に惜しい。

グラフィック

  • キャプテン翼2』や『忍者龍剣伝』でお馴染みのテクモシアターが随所で入る。
    • 多重スクロールも多用されており、立体感も奥行き感も見事に表現されている。
    • 序盤だけだが昼夜の概念もある。
  • ダメージの食らいモーションも多彩で、感電・凍結・がんじがらめなどのグラフィックも用意されているなど細かく作り込まれている。
  • フォントの文字も中間色が使われており高級感がある。

操作性・テンポの良さ

  • ステータスはカーソルを移動させるだけでパッパッと表示されて快適。

音楽も良質

  • あらゆる場所ではBGMが盛り上げてくれる。しかも簡単な裏技でSOUNDモードが用意されている*1のが嬉しいところである。
  • このように、ゲーム性、演出ともにDQやFFにも無かった独自の要素を打ち出してきている。

問題点

ゲームバランス

  • 雑魚敵はシンプル
    • 動きも攻撃も特筆すべき点はなく、違いを挙げるなら飛び道具や地形無視や状態異常をかけてくるあたりである。
    • 地形無視タイプの敵は、壁の中などに移動されると攻撃が届かないので無駄に長引く。本作は基本的に逃げる事もできないので敵を全滅させるまで戦闘が終わらないのが難儀。ラムナ達はジャンプは勿論、空を飛び回る事も不可能。
  • 状態異常の毒がうざい
    • 序盤を過ぎたあたりから毒攻撃をしてくる敵が出るのだが、毒状態にされると戦闘終了でもベッドでも治らず毒消しを使うしかない。だが100Gもするため痛い出費となる。
      • 歩行中にもHPが削られて行くので甘く見ているとHPが0になっている事も。主人公がHP0の状態でエンカウントしたら即ゲームオーバーになる。
  • ストーリーが一本道
    • ストーリー的に急がなければならない場面がずっと続くためか、サブイベント等は存在しない。
  • 移動魔法やアイテムがない
    • シナリオの都合上、同じ場所を何度も往復させられることが多い。
    • 終盤に差し掛かる頃に聞いた事のない地名へ向かわされるのだが、相談しても「草原の北西の砂漠」という漠然としたヒントしか表示されない。まず草原がどこなのかわからない。
      • 正解は「序盤の町付近の草原」であり、ひっそりと新しい道ができているのでそこを通っていく事になる。ゲーム開始から今まで通って来た道をほぼ全部往復させられるのである。徒歩で
    • 乗り物は船と巨大飛行船が用意されているのだが、行先は決定されておりプレーヤーの思い通りに運転できないのも辛いところ。
  • ボスまでが長い
    • 長いダンジョンを抜けた後にボス戦があるのだが手前にセーブポイントが無いのは辛い。負けても『FF6』のようにEXPだけは残るので全くの徒労というわけではないのだが…
  • ボス戦が大味
    • ボスは攻撃力が高く、範囲攻撃をしてくるなど攻撃を見切りにくい。仮に見切ってかわしたとしても、仲間がくらってしまうのであまり意味がない。
    • 反面耐久力があまり高くなく、適当に剣で攻撃していれば案外すぐに倒せてしまう。
    • 状態異常魔法などは通用しない。
    • 以上の事から、ボス戦のセオリーは回復しながらのゴリ押しで速攻カタをつけるのが最適となる。戦略もへったくれもない。

アイテム・装備品の利便性が非常に悪い

  • 解説文について
    • 「薬」や「獲物」などでは解説文が付いているのみで、武器防具、アイテム、魔法には解説文も一切付いていないので分かり辛い。そのため、実際に使ってみたり、装備してみないと効果は未知数のままである。
  • 消耗品
    • 獲物→肉を使う際はカーソルの位置を覚えていて立て続けに使う際はやりやすい。しかし、薬草などは使うたびにカーソルが上に戻るので続けて使うのがやや面倒。HPが全快でも回復アイテムを使ってしまう。
  • 武器防具
    • 別な防具を装備するには、今装備しているものを一度外してからでないとエラー扱いである。
    • 店で買う際は、装備出来るキャラにマークが付くのは良いのだが、どれくらい変動するのかは出ないし、すでに持っていても購入できてしまうなど粗が目立つ。
    • 店では誰が装備出来るか分かるだけまだ救いがあるが、宝箱などで入手した際は仲間内でとっかえとっかえ試着していくしかない、アイテムの受け渡しの操作性も良好とはいえないのが難儀。
    • 武器、鎧、胸当て、頭、肩、腰など装備箇所が多く、武器防具アイテム欄を圧迫、更に簡素なアイコンすらなく、どこに装備しているのかも表示されない。
      • コプンダイアデムは頭装備だと辛うじて分かるが、ジオファウンテンは中盤の仲間の専用武器で、彼女がいなくなった後に忘れたら用途は絶対に分からないだろう。
  • アイテム
    • 解説文がないので効果が分からない。エリクサーならともかく、本作独自のアイテムが多く、いのちのたま、ミラクルミー、トラベルベルなど、また、使ってもかき消される場所もあるので効果も分からずアイテムはロストという事もある。
    • アイテムは手に入れた順番に並ぶ。整頓機能もなく、手動で入れ替える事も出来ないのは不便。捨てる事も出来ないためプレーヤーによっては終盤で迷惑を被る事もありうる。
    • また、最大所持数が限られているのに、イベントアイテムのスペースを開けなくてはいけないのも難儀である。
      • その際は、他のアイテムを捨てようと言われるようになっている。

魔法

  • 全体攻撃や全体回復など効果が大きい代わりに使用回数が少ないという大雑把なものである。解説文もないので実際に使って試してみるしかない。
    • ボス戦闘ではボスには勿論、取り巻きの雑魚にも一切効かないので有難味が薄い。回復や、雑魚敵を楽に倒せるくらいしか使い道がない。
    • 習得も巻物を使って覚えるので味気ないとこ。イベントではハーマンが道を作るというのみである。

セーブ回り

  • セーブする際はカーソルが記憶されておらず、間違って他のところへ上書きしがち。特に本作を使い回す際は他の人のセーブデータを上書きしないように毎回毎回、細心の注意を払う必要がある。
  • ベッドで「旅の記録を 取っておこう」→「はい」→「ファイルを選んでください」通常プレイなら何の問題も無いが、キャンセルを受け付けず必ずセーブをしないと進まない。本作は終盤の仕様もあってかベッドで全回復だけしたいという需要もあるが、うっかり手元が狂うとこういう事になる。

ゲームの終盤

  • 空飛ぶ乗り物
    • 作中ではムービーと共に登場して、これで世界を飛び回る事を期待したプレーヤーもいたが…
    • 最後の最後には、行動範囲が広がるどころかこれに乗ってラストダンジョンとラスボスを倒しに行くしかなくなる。
  • ラストダンジョン
    • ボス戦の後、イベントが自動で進行してラストダンジョンに放り込まれる。買い物で態勢を整える事も出来ない。
    • 引き返す事は不可能。当然ながら店も一切なく、通貨ギルは役に立たなくなっている。状況によってはかなり不利になり易い。
    • 最強の剣を手に入れた後は準最強の剣ムーンブレードは売る事も出来ず他のキャラも装備出来ないためゴミ箱行きというのも残念なところである。
    • 巻物は全員が特技を4つ覚えている際は捨てる事も出来ずアイテム欄を圧迫するマイナスアイテムとまでなってしまう。
  • このように問題点が複合するとより厄介なのである。

その他

  • 文章
    • Aボタンを押しっぱなしにすると文章が少し早送りに出来るのは良いが、▼マークの際にも勝手に改行してしまう。そして、オープニングでガディスの台詞を早送りすると演出が多少ズレる。
    • 贅沢を言えば漢字を使って欲しかったがファミコンでは仕方のないところである。
  • 顔グラ
    • 色々と用意されているのは良いのだが「相談」コマンドの会話でしか出てこない。メニュー画面を開いても出てこないし、重要イベントでの会話でさえも顔グラは出てこないなど非常にもったいないと言える。

総評

独自の世界観がテクモシアターや大人数バトルにより表現されており、FFとはまた違った魅力を打ち出してきている。
ファミコンにしてはかなり頑張っているのだが、既にスーパーファミコンでFF4などが発売されていた時期であり、それらと比べるとやはりグラフィックや演出面で見劣りしてしまう。
スーパーファミコン作品に作り変えて出していればまた違ったかもしれないのに、既に衰退しかかっていたファミコンで出されてしまったせいで見向きもされず、続編も出ないまま消えていってしまった。
アクション自体は良質で、簡単すぎず難しすぎずの程良いバランスではあるが、マップ移動が面倒くさい・ボス戦が単調など、やや大味なシステム関連の問題点に振り回されるのは否めず、良作には今一歩届かない。色々と惜しい作品である。

余談

  • 当時のテレビではCMが放送されており本格的なフルアニメで製作され「ファミコンRPG最後の超大作」*2と銘打たれるなど、まさに渾身の力作なのが窺える。
  • 「破滅? それはどうかな?」「やめてえーっ!!」、橋が崩れるシーンなどがアニメで表現されており、いずれも作中に出て来たシーンである。
  • タイトルには黎明篇とある通り、他のシリーズも予定されていたが、あまりヒットに恵まれずお蔵入りとなってしまった。
  • 本作には、忍者龍剣伝を手掛けた吉沢秀雄氏が携わっており、後に風のクロノアシリーズも携わっている。
  • 説明書のイラストは苅部誠氏によるものである。更におよそ丁度2年後にSFCで発売される『アクタリオン』の説明書のイラストも担当。後に漫画家として週刊少年ジャンプでギャグ漫画である『地獄戦士魔王』が連載された。
  • テクモのファミコン作品はこれで終わりではなく、本作の後に『テクモスーパーボウル』、さらに『ソロモンの鍵2』で有終の美を飾り、その後にSFCへ移行する事になる。

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最終更新:2023年09月27日 05:47

*1 タイトルでBを押しながらスタートする。ちなみに0~Fとあるが16進数というものである。

*2 発売後は「ファミコンRPG超世代宣言」に変わっている。