本稿では『フェアルーン』『フェアルーン2』『フェアルーンコレクション』の3作を紹介しています。
本稿では『フェアルーン』といった場合は3DS/PS Vita版を指すものとし、
同名の原作Flashゲームについては『フェアルーンコレクション』における『フェアルーンオリジン』の紹介をもって代えさせていただきます。
フェアルーン
【ふぇあるーん】
ジャンル
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ナゾトキアクションRPG
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対応機種
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ニンテンドー3DS PlayStation Vita
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発売元
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フライハイワークス
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開発元
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スキップモア うららワークス
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発売日
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【3DS】2014年10月8日 【PSV】2016年3月28日
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定価
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【3DS】300円(税込) 【PSV】500円(税込)
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メディア
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ダウンロード専売ソフト
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO: A(全年齢対象)
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判定
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良作
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概要
原作はスキップモアが2009年に公開したFlashゲーム(こちらについては後述する『フェアルーンコレクション』において『フェアルーンオリジン』として解説)。
その後リメイクしたバージョンが2013年にスマートフォンで、2014年と2016年に3DSとPS Vitaでそれぞれ配信されている。
プレイヤーは主人公である希望の少女を操作し、魔物との戦いを経て成長し、3体の妖精を探し魔王を倒すのが目的となる。
基本システム
以下のシステムは後述の『2』でも同様。
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戦闘は体当たりで双方のレベル差を判定し撃破可否を決めるのみ。
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自分と同レベルなら1ダメージを受けつつ敵を倒し経験値1ポイント獲得。
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こちらのレベルが高ければノーダメージで倒せるが経験値はない。
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敵のほうがレベルが高い場合は倒せない上により多くのダメージを受ける。もちろん経験値は得られない。
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隠しアイテムで防御力が上がっている場合は被ダメージを1ポイント軽減。この場合、本来同レベルの敵はノーダメージで倒しつつ経験値を獲得でき、本来は1レベル高い敵が倒せる(この場合経験値は2ポイントとなる)ようになる。
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ここまでをまとめると「敵のレベル-自分のレベル+1(シールドアップを持ってる場合は最後の+1を無効化)で被ダメージを算出し、それが1以下なら敵を倒すことができる」「倒した場合は敵のレベル≧自分のレベルなら経験値獲得」ということである。
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どの敵が自分と同じレベルであるかは「はじまりのしょ」が教えてくれる。
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特定の場所を調べた際など、持っているアイテムを選択して謎を解く必要がある。
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特定の場所で「マナのかけら」を使うと完全回復可能な回復ポイントになる。
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マップ上にはシークレットアイテムが手に入るダンジョンがあるが、そこで徘徊している敵は「ビットキラー」を入手していない状態で接触すると即死。
ちなみにビットキラーもシークレットアイテムである。
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ラスボス(3連戦)は(なぜか)シューティングゲームの体裁。左右移動で敵の攻撃をかわしつつAでショットを撃つ。
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HPが0になった場合特定のマップ(墓という扱いになっている)に移動させられる。
評価点
どこか懐かしい雰囲気
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ドット絵デザインや8bit風サウンドなど、3DSやPSVitaでありながら懐かしい雰囲気を味わいながら楽しめるゲームとなっている。
ある程度のボリュームがある
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本作の時点でも「草原」「炎の世界」「水の神殿」「塔」「空」などいくつかの世界が存在する。
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本作ではそれぞれにこれといった名前はついていない。
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マップという観点で見ると「草原」「草原の地下」「炎の世界」「空」の4つがメインで、ラストダンジョンもマップとしては2層分となっている。
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塔は全20階で、これは後述の『2』よりも高い。
ちなみに塔のマップは5フロア単位で記録されており4つ分となる。
賛否両論点
いきなりSTG化するラスボス戦
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ラスボス戦でシステムが唐突に変わるため戸惑うかも。
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敵の行動パターンは決まっており、威力の低い攻撃の中に高威力の攻撃が混ざっている。威力の高いほうを避けることを意識しつつ低いほうも避けていけばよい。
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ラスボス戦第2形態以降で主人公のHPが0になるとまた第1形態からやり直しとなる。
ストーリーが短い・薄い
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しっかりとレベルアップしながらゲームを進めていくと1日でゲームクリアできる。
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また、ストーリーに関するメッセージがほとんどなく、石板を入手することで増えていくメッセージなどでプレイヤーが想像する程度の情報しかない。
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どちらもシリーズ全作品で共通の事象だが、『2』では多少ストーリー関連のセリフが用意されている。
問題点
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モンスターリストがレベル順ではない
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自分と敵のレベル差が重要な意味を持つことを考えると、モンスターリストがレベル順でないというのは今自分がどこにいるべきかわかりにくいという点で問題視できる。
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実績における必要周回数がやや多め
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一通りクリアするまでに倒す敵の数は1000体程度だが、実績で要求される撃破数は5000。
ボリュームを考えると5周はちょっと多めかもしれない。
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周回プレイがない
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一度ゲームをクリアしても強くてニューゲームができない。
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一般的なアクションRPGと違って魔法がない
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回復魔法もないため、減少したHPを回復させるには回復ポイントへ行く必要がある。
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そもそもアクションRPGと銘打ってはいるが実際のところは遠距離攻撃の類は一切存在しない。
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(3DS版限定)STGパートにおいての画面処理
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3DS版では上画面でラスボス、下画面に主人公の構成で戦闘になるが、上画面と下画面は直結した処理となっている為、上画面下端に到達したラスボスの弾が即下画面の上端に表示される。
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「何が問題なのか?」と感じるかもしれないが、3DSには上画面と下画面の間に折りたたみ用の空間が存在するのだが、その隙間が一切なく直結しているかのように表示されるため、感覚的に弾を避けづらくなる。
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Vita版では1画面のためワープしたかのように見える現象はないが、こちらはこちらでラスボス戦における縦幅が短くなってはいるものの、まだ感覚的には避けやすいほう。
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ラスボス撃破後もセーブ可能
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ラスボスを撃破してもゲームは続くのでセーブはできるが、これは罠である。
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一度これを行うとそのデータではエンディングを見る以外のことはできなくなる。
総評
RPGと銘打ってはいるがどちらかというとアドベンチャーゲーム。
レベルを上げて徐々に行動範囲を広げ、行く先で謎を解いていくという流れ。
後述するようにスマートフォンでの配信の際に『ハイドライド』作者の目に止まって評価された作品。
余談
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スマートフォンでのリリース時にはダウンロード数はふるわなかったものの『ハイドライド』作者の内藤時浩氏と会うきっかけになったと、原作者のユウラボ氏が語っている。
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そして3DS版発売時にはその価格について氏から
ん!? …ちょwおまwww 300円とは何事ぞ!
あのな、人件費って計算したことがあるんかいな。
そんな金額でその品質を売られたら、後のパブリッシャーが困るだろおお!!!!
とコメントをもらっている。
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両機種でラスボス撃破後にやることが異なっている。
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一応ネタバレ
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3DS版はタッチパネル、PS Vita版はボタン操作。
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3DS版は体験版あり。なお、製品版へのデータの引継ぎは体験版のほうで行う(ため起動回数を使い切っていると引き継ぎ不可)。
フェアルーン2
【ふぇあるーんつー】
ジャンル
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ナゾトキアクションRPG
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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フライハイワークス
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開発元
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スキップモア うららワークス
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発売日
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2016年7月13日
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定価
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800円(税込)
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メディア
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ダウンロード専売ソフト
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO: A(全年齢対象)
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判定
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良作
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概要(2)
2016年に配信された第2弾。
マップが広くなった上、大きく分けると5層もある世界構造となっている。
本作は3DS独占タイトルとなっている(ただし後に『コレクション』収録という形でSwitchやWindowsに移植されている)。
システム変更点
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敵を倒したときなどにコインを落とすことがある。これでスキル(前作でいうところのシークレットアイテム)を強化することもできる。
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本作ではスキルは取るだけでは効果を発揮せず、コインを消費して発動させる必要がある。また、Lv2まで強化できる。
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特定の敵を倒すためには「まものスレイヤー」が必要。また、このほかにもアイテムとしての剣は2つ存在する。
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レベル差が被ダメージに影響するのは前作と同じだが、本作では被ダメージが2以上になる場合でも敵を倒すことはできるものの被ダメージが大きくなっている。
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前作の最高レベルは25だったが本作では30。
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ラスボス戦は4連戦となり、前後にも移動できる。
評価点(2)
全5層のボリューム
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世界の中心に建つ塔(全16階、最上階はユウヒのオリと銘打たれている)を軸として、大きく分けると地上(ミドリのそうげん)/5F(シロのせつげん)/10F(アオのしんでん)/16F(ハイのせかい/ソラのだいち)の4層に分かれており、最上階のその先にもまた別の世界(ゲート)が存在する。
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4つの世界はショートカットでの移動も可能。ただし終盤までは16Fへの移動はワープに限定される。
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最終的な目標クリアタイムが3時間(前作は1時間)となっている点からも、前作よりボリュームが増えていることがわかる。
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本作ではメインの4層それぞれに地上と地下があり、それと塔が15Fまでと最上階、そしてラストダンジョンとスキル入手マップ(ヒミツのファイル)で計12枚のマップが存在する。
ストーリーに関連したNPCの登場
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ストーリーに関連したNPCの存在により、『1』での問題点とも言えるストーリー面の薄さが多少は緩和されている。
賛否両論点(2)
一部の敵が経験値を持っていない
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塔にいるナイト系など、倒しても経験値をもらえない敵がいる。
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塔で該当する敵が初めて登場した際に、経験値を持っていないことについて言及されている。
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モンスターリストでは経験値を得られる敵(レベル順に並ぶ点で前作より改善)と得られない敵でグループ分けされているため、そういった敵は図鑑に登録するために一度倒す程度でOK。
ノーミスを要求されない、むしろ特定の実績では死ぬことを要求される
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本作では前作にあったノーミスクリアの実績はない。それどころか、逆に死んだときに作られる墓石を3種類全て集めるという実績が存在する。
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しかも、最初の剣を取る前のドレス姿でも死ぬ必要がある。
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特定のアイテムを入手した後近くの即死ポイントで死んで地上に移動するデスルーラができるポイントもあったりする。
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一例(ネタバレ)
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10F地上にあるスキル入手マップの場合、最速で行った場合は外に出なくても徘徊している敵(前作同様この手の敵は「まものスレイヤー」を持っていない状態でぶつかると即死)でデスルーラ可能だったりする。
既に「まものスレイヤー」を持っている場合も、外に出て周囲にある入口と同様の場所でデスルーラ可能。
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一応ラスボスのノーミスクリア実績は存在するが……
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ネタバレ
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本作ではラスボス戦で力尽きても自動で復活する。
その際に登場するキャラもモンスターリストに登録されるため、モンスターリストの実績の達成にはラスボスで力尽きる必要がある。
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中盤辺りから複数のエリアが絡む謎が登場する
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アオのしんでんに入って以降、必要なアイテムが別のエリアで手に入るという類の謎が頻発する。
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本作ではモンスターの割振りもレベル帯に応じて割り振られているため、必要なアイテムが過去のエリアにあるという状況だと取りに行く途中で会った敵から経験値を得られない点で面倒に感じる。
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特にアオのしんでんの場合は「謎を解くために必要なアイテムがミドリのそうげんにある」という事態が3度発生する。タイムアタックを考慮した場合、ここの準備次第でも結構差が出る。
終盤のマップにおける(謎解き面での)ハード依存性
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本作の終盤ではマップの形が特定の文字になっているところがある。
しかもそれがラスボス撃破後の最後の謎解きにも絡んでいるため、リリースできるハードが制限されてしまっているという見方も可能。事実、後述の『コレクション』配信開始までは3DS以外ではプレーできなかった。
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ネタバレ
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ご丁寧に、対象のエリアはマップ上で全域をオープンにすることを要求するギミックがある。
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ラスボス撃破後の最後の謎では、そのマップの形を文字としてボタンを押す必要がある。
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後述の開発経緯記事の第3回で「3DSならではの謎解き」としてこのネタを思いついたという旨の記述があるため、きちんとしたコントローラーがあるゲーム機向けであることを意図して作ったネタであるのは事実である。
一部の面倒な実績
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上述の墓石コンプリートにおけるドレス姿など、何かと面倒な手順の実績が存在する。
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ネタバレ
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墓石コンプリートの条件には特定のアイテムで魔物に変身した姿も含まれる。
こちらもドレス姿と同様敵と接触してもダメージを受けないため、即死ポイントに行く必要がある。
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また、剣を取らずドレス姿のままで最初の世界のボスまでたどり着くなんてものも。
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さらには、IDカードを自分で更新するのではなく妖精に何度も話しかけて更新してもらう(これ自体が実績対象ではなく、この時のセリフを見ることが対象となっている)なんてものまである。
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問題点(2)
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前作の問題点も健在
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周回プレイなし、魔法などの遠距離攻撃がない、ラスボス撃破後もセーブ可能といった点は今作にもある。
総評(2)
5層構造の世界など、ボリュームが増えて正当進化といった形である。
余談(2)
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フェアルーンシリーズは「2」をもって完結している。
フェアルーンコレクション
【ふぇあるーんこれくしょん】
ジャンル
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ナゾトキアクションRPG+STG
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対応機種
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Nintendo Switch Windows(Steam)
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発売元
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フライハイワークス
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開発元
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スキップモア ESQUADRA
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発売日
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2018年5月17日
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定価
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1,000円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO: A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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シリーズ原作Flashを『オリジン』として移植
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概要(コレクション)
上記2作品のほか、原作Flashゲームの移植版『フェアルーンオリジン』とシューティングゲーム『フェアルーンブラスト』を収録。
3作それぞれの最速クリアタイムと『フェアルーンブラスト』のスコア(3キャラ個別)はオンラインでランキング集計される。
画面構成は『1』はPS Vita版準拠、『2』は本作の為に新規作成された画面になる。
『フェアルーンオリジン』のシステム
原作Flashゲームの移植であるため、システムがリメイクされた上述の2作とは異なるところがある。
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敵との強弱関係はなく、自分で体当たりすれば倒せ、敵のほうから体当たりされるとダメージを受ける。
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HPが尽きるとゲームオーバー。その場にとどまっていれば徐々に回復する。
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余談だが、集める必要のある妖精は全4体となっている(上述2作では3体)。
『フェアルーンブラスト』のシステム
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2分間でどれだけスコアを稼げるかを競うシューティングゲーム。
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敵の集団を倒すと次の集団が出現。
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敵を倒した際にエネルギーアイテムが出現し(回収は自動)、ゲージがいっぱいになったら必殺技を発動可能。
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被弾時はパワーアップがあればそれが解除されるがプレー続行。パワーアップのない状態で被弾するとゲームオーバー。
評価点(コレクション)
原作Flashゲームを『フェアルーンオリジン』として残したこと
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Web界隈ではFlashからHTML5への移行が進み、Flashの再生に必要なAdobe Flash Playerのサポート終了が近づいていることもあって、様々な名作Flashなどの文化が消えゆくことが懸念されているご時世である。
そんな現在において、大元のFlashゲームを『フェアルーンオリジン』として残したことは評価に値する。
優しいコスパ
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3DS版の上記2作合算の値段は1,100円なのに対し、こちらは1,000円でさらに2本付くため若干お得。
賛否両論点(コレクション)
シリーズの中でも輪をかけて短い『フェアルーンオリジン』
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『フェアルーンオリジン』の目標クリアタイムはなんと6分。
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とは言ってもマップ自体は12画面分の2層となっており、上述2作ほどではないが意外とボリューム自体はある。
問題点(コレクション)
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『フェアルーンブラスト』をクリアしても(全作品クリア実績としては付くものの)特典はない。
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そもそも『フェアルーンブラスト』自体が3作ともクリアすることで出現する隠し要素である。
総評(コレクション)
環境面で消えゆく存在だったFlash版を『オリジン』として後世にきちんとした形で残すなど、シリーズ全作品をまとめてプレーするならこれといった感じ。
余談(コレクション)
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『フェアルーンブラスト』には『神巫女』からヤマトとウズメがゲスト出演。
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しかも、本シリーズの主人公である「異世界の少女」でクリアするとつく実績が「ヒノメマスター」である。
髪の色かぶりかヒノメは犠牲になったのだ
最終更新:2022年01月02日 22:29