POSTAL

【ぽすたる】

ジャンル STG


対応機種 Windows
MAC
Linux
OS X
Android(海外のみ)
発売元 Ripcord Games
ツクダシナジー(日本語版)
マイクロマウス ⇒ ドライブ(日本語版)
【Linux】Loki Entertainment
【Steam】Running with Scissors
開発元 Running with Scissors
発売日 1997年9月24日
【Steam】2013年3月21日
【Android】2015年4月10日
定価 【ドライブ】2.980円
【Steam】無料
【GOG.com】無料
配信 Steam/GOG.comにて無料配信中
判定 なし
ポイント 謳い文句は「全米発禁
大量殺人犯の銃乱射ゲーム
全方向に喧嘩を売る内容が問題視
POSTALシリーズ 1 / 2 / 3 / 4


概要

アメリカ・アリゾナ州ツーソンの小規模ゲーム会社Running with Scissorsによって開発され、パナソニックのメディアレーベルであるRipcord Gamesによって1997年に発売されたマウスエイムによるトップダウンシューター。

アーケードゲーム『ロボトロン2084』に強い影響を受けており*1、全方向シューティングやクリア条件といった要素に名残が見られる。


ストーリー

アリゾナ州パラダイスに住む男「ポスタル・デュード」は、ある日パラダイスの町から洗脳物質がばら撒かれていることに気付いてしまった。

放出された洗脳物質は町に住む人々を惑わせ、狂気と暴力に取り付かせてしまっていたのだ。

狂ってしまった警官たちに包囲され自宅からの立ち退きを要求されたデュードは、たった一人の正気を保った人間として狂人たちに立ち向かうことを決意し、銃を抱えて元凶であるアリゾナ空軍基地へ向かう。



ゲームシステム

  • マウスで攻撃方向を決め、WASDで移動、Fキーでしゃがみ、Qキーで自殺。左クリックまたは方向キーで発砲し、数字キーで武器を選択する。
    • 武器は無限に撃てるマシンガン、投げた数秒後に爆発するグレネード、敵を炙って行動不能にする火炎瓶、敵を吹っ飛ばすロケットランチャーなど多種多様。
  • ベースとなったRobotron同様に、プレイヤーはマップ上に存在する警官や自警団、SWATを殺害していく。画面上には「殺戮ノルマ」が表示され、殺害対象を一定値以上殺害した状態でF1キーを押すと次のステージが始まる。プレイヤーが死んでいる場合でもノルマさえ達成すれば次のステージへ進めるため、ノルマがぎりぎりの場合のみ自爆戦法が戦略として通用する。
    • 道中に遭遇する非武装の一般市民は殺害ノルマには含まれないが、倒してもデメリットはない。
    • NPCへ低威力の攻撃を加え続けるとダウン状態となり、武器を失ったままはいずって逃げようとする。この際に接近してXキーを押すことで追いうち攻撃(とどめを刺す)が可能。
  • アイテムや武器弾薬は道中に落ちているものを利用する。
    • ボディアーマーを拾うことで、敵の攻撃を軽減することが可能。
  • 火炎瓶によって火達磨になっている間は、移動こそできるものの攻撃が不可能になる。

評価点

唯一無二のアイデア

  • 良いか悪いかは別として、大量殺人鬼を主人公とするそのコンセプトは当時他にないものだった。自主規制の多い大手ゲーム会社が絶対に発売しないであろう領域を攻めるスタンスは小規模ゲーム会社ならでは。
    • 結果的にクオリティの高さは望めないものの題材の過激さにおいて突出した作風は一部の愛好家に受け、『POSTAL 2』『POSTAL3』と複数の続編が発売され、インディーズデべロッパーによる『Hatred』や『Hotline Miami』といったオマージュタイトルを生み出した。

日本語吹替

  • 迫真の音声吹き替えが収録された日本限定の拡張パック『ポスタル パワーアップキット』(要・オリジナル版POSTAL)が存在し、これを追加インストールすることで、やたら生々しい断末魔を聴きながら遊べる。
    • これらのデータはSteam版にも含まれており、オプションで選択可能。また日本の特別ステージ「Osaka(道頓堀)」「Tokyo(秋葉原)」が収録されており、原語版でもこのステージのみ強制的に日本語音声が流れるようになっている。

問題点

ゴア要素自体は薄いゲームプレイ

  • シチュエーションや殺害対象から猟奇的なゲームとされるものの、ゴア要素自体はそこまで作りこまれていない。顔を抑えてもがいたり這って逃げだそうとするなどダウン時のモーションは複数用意されているが、たとえ至近距離でショットガンを浴びせたりグレネードやロケット弾が直撃しようが大量の血液流出や肉体の欠損といったものは一切起こらない*2
    • ゴア要素だけに関して言えば、『QUAKE II』や『BLOOD: One Unit Whole Blood』のような同時期のFPSのほうが血しぶきや人体欠損などの遥かにすさまじいゴア演出を実現していた。敵の殺害自体を楽しむには、これらの作品と比較すると今一歩演出が追いついていない。

戦略性の薄い武器調整

  • 初期装備のマシンガンが無限に打てる上に射程も長く、またマシンガンでは倒せない敵もほとんど登場しない。このため他の武器にわざわざ切り替えずとも敵の攻撃が届かない遠距離からマシンガンを撃っているだけで攻略でき、グレネードやロケットランチャーといった武器の適切な使いどころがあまりない。
    • 単純にトップダウンシューターとして見ると、この調整のせいかあまり面白い内容とは言い難いものとなっている。

BGMがない

  • 道中にBGMはなく、常時環境音のみ流れる。ゲーム全体でもイントロ画面などでおどろおどろしい雑音が流れるのみ。

地形構造がわかりにくい

  • マップは斜め視点から見下ろした絵のようなテイストとなっており、2次元構造のため一部オブジェクトの判定がわかりにくい。
    • 一応建物の裏側などではプレイヤーの周辺のみ透ける機能はある。しかしこの機能は敵には作用しないため、建物の裏に潜む敵を視認することができない。

日本人描写

  • 「大阪」「秋葉原」ステージは殺害目標が本編同様だが、一般人のみ肌がまっ黄色。そういう作風と割り切れば仕方ないが。

総評

続編『POSTAL 2』のような不謹慎だが笑えるブラックジョークもなく、ただひたすら市街地で大量殺戮を行うだけという陰湿極まりないトップダウンシューター。
マウスエイムによる軽快な操作や火力の高い武器による爽快感の高い射撃など褒められる箇所はあるものの、総合的に見ればビデオゲームとしての完成度はお世辞にも高いとは言えない。
良くも悪くも「狂人の大量殺戮」というテーマや露悪趣味的な作風は一貫しており、ゲームとしての出来よりはその残虐性のほうが話題に上りやすい作品である。


規制

  • アメリカでの1997年の発売当時はその内容や表現への団体の抗議や上院議員ジョー・リーバーマンによる非難、小売店の販売拒否、「Postal(郵便局)」という名称に対する米郵政公社の訴え(2003年に棄却)など数多くの問題が持ち上がっていたものの、発禁には至らず17歳以上推奨で発売されていた。
    • 転機となったのは二年後の1999年4月20日。コロラド州ジェファーソンでコロンバイン高校銃乱射事件が発生し、アメリカ中で銃乱射事件への関心が高まるなかで当然の如く本作の題材が問題視され、結局その後本作は発売禁止となった。
  • 日本でも同様に問題視されながらも「全米発禁」を謳い文句に「オリジナル+追加マップ集の『Postal Special Delivery』+大阪と東京ステージ(日本語吹き替え付)の『ポスタルパワーアップキット』」を1本にまとめた『ポスタル プレミアムパック』*3が18歳以上の自主規制を設けて発売が継続されていた*4
  • 結局最終的な発禁数は宣伝文句によればアメリカ、ニュージーランドなど「10か国以上」だという。

余談

  • 内容が内容だけにCS機への移植はされていない。Androidでの配信もされているが日本からは購入が不可能。
    • steamでは無料で提供されているので、日本から遊ぶならこれが手っ取り早いだろう。メニュー画面などの日本語対応はされていないが、オーディオオプションで日本語を選択することで音声のみ日本語吹き替え版になる。
    • 2016年末にRunning with Scissorsから 本作をオープンソース化することが発表された。 オープンソース化に当たって同社は「長きにわたってサポートしてきたこのゲームの将来をファンの手に委ねたい」とコメントしている。また「他のプラットフォームに移植したいという意思さえあればそれも可能さ。例えばドリームキャストとかね・・・」と意味深なコメントも残している。
      • そして、2022年5月14日にイギリスのWAVE Game StudiosよりChinchilla Retroの移植によるドリームキャスト版が完成し、同年6月2日に発売することが発表された。もちろんRunning With Scissorsの許諾を得た上で開発されている。オリジナルのソースコードから最適化を施しており、原作の日本語音声及び日本ステージも収録されるとのこと。
  • 現在のCEROレーティングで言えばCERO:Z(18歳以上のみ対象)相当だが、正直それでも収まらないレベルである。余談だが、北米のESRBレーティングでは「M」となっている。
  • 2016年5月にはUnreal Engine4でリメイクされた『Postal Redux』が発売された。当初、PS4版の発売アナウンスもあったがデベロッパーの経営上の問題によりキャンセルされた。*5
    • こちらもオリジナルの拡張パックの内容がアップデートで順次配信され、前述の日本ステージもアップデートで追加されている(もちろん日本語音声付きで)。
    • しかし、2020年9月25日にはPSハードではなくNintendo Switchでの移植が発表。その後、無事10月16日に配信が開始された。23年越しの初のCS機移植である。但し、当然ながら海外のNintendo e-Shopでの配信となるため日本からアクセスの際は十分注意されたし。
    • そして、一度はキャンセルとなったPS4版も2021年3月5日に配信が開始された。こちらもSwitch版同様海外のPS Storeでのみの配信となっている。
  • ゲームプレイ中の声(Rick Hunter氏による音声)は誰の声かは明示されていないものの、ファイル名は「悪魔」となっている。しかし続編の『POSTAL 2』では正式にポスタル・デュード役の声優としてRick Hunter氏が参加している。
    • ファンからは「人格障害によってもう一人のデュードが喋る声が聴こえている」という解釈がされていたが、POSTAL2の拡張パック『Paradise Lost』にてこの考察が逆輸入される形で採用されることとなった。
  • ウーヴェ・ボル監督による同名の映画が存在するが、ストーリーや作風は本作ではなく『POSTAL 2』をベースとしているため直接の関係は薄い。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年04月24日 13:06

*1 当時RWS社のオフィスに設置されていたという。実際、『POSTAL 2』に登場したRWS社には古めかしいアップライト筐体のアーケードゲームが複数設置されている。

*2 Qキーで自殺した際のみ頭部が吹っ飛ぶが、それでも演出はショボい

*3 これも日本限定で発売されたパッケージ

*4 日本でも過去にこれら各単品パッケージがリリースされていたが『ポスタル プレミアムパック』の発売を境に販売が終了している。

*5 ただ、これは表向きという説もある。そもそも各CS機のレーティング規定上、どう考えても発売が無理なのは明白である。