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空からの落し物
これは私の祖父の、そのまた祖父の代から引き継がれている、とある出来事を記録したノートの記録、その断片である―――。
『今日の仕事を終え、海岸沿いに家へ向かっていると、空から何やら大きな音が聞こえてきた。
直後、何かが海に落ちる音がいくつも聞こえてきた。徐々に落ちてくる物、音も大きくなっていく。
夕日の逆光で見づらいが、よく目をころして見てみるとそれらは建築物のようで、
辛うじて原型を留めている建築物は、どれもここらの建築物とは違う作りをしていた。
一際大きな塊で落ちてきた物は、海に落ちた衝撃で二つに割れた後、海の底に少しずつ沈んでいった。
気付かなかったが、その頃には街の奴らも同じように様子を見に来て、事の一部始終を拝んでいた。
皆、怯えていた。誰もがこの世の終わりを予想しただろう。ここには、未だ国と言えるような組織は存在しない。
俺達はもう、こ』(ノートはここから解読不能なほどに劣化していた。)
私がこの過去の断片を父から引き継いだ時、頭の中には二つの疑念が湧いていた。
一つは、父の行動に対する疑惑。そんな話聞いたことない、何かの冗談だ。
そしてもう一つは、死の間際に父がこんなことする筈がない、という自分自身への疑念。
だから私は確かめに行った。それが本当にあったというなら、きっとその海にあると、そう思ったから。
疑念の正体はきっと、そこにあるのだ。
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