友との惜別

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友との惜別 

唐突だが、彼には友人がいた。 
友人は彼と同じ時期に[[教会]]に身を置き、同じ時期に[[悪魔祓い]]となった。 
だが、小型級の蟲を操るのが精々の友人は決して戦闘向きではなく、 
圧倒的な戦闘力をもって次々と依頼をこなしては武勲を立て
同じ悪魔祓い達から絶大な信頼を勝ち得ていた彼とは、まさに対照的な存在だった。 

友人は嫉妬していただろう。憎悪してもいただろう。
しかし、友人がその感情を露にしたことは一度もなかった。 

程なく友人は、使役していた蟲に喰われて命を落とした。 
数年ぶりに会った友人が満足に死体も残らなかったという事実は、筆舌に尽くしがたいものがあった筈だ。 
とんとん拍子で出世し周囲から信頼を得ていた彼と、教会内でも周囲に溶け込めていなかった友人が知り合いだったなど、 
彼を取り巻くほとんどの者が知らなかったものだから、人々は彼の前で友人を揶揄した。 

しかし彼は、そんな人々を叱責するでも諌めるでもなく、ただ何時ものように、流された。 


さて、所変わって今。 
[[アーサー]]の護衛任務で、彼は[[ユグドラシル]]の首都・魔法都市[[ファンタズム]]を目指し、進む。 

(何故こんな時にアイツのことを思い出すのだろう) 

彼は[[マイスナー]]とその刺客の足止めのため、一人戦っている。 

(ただ流されるがまま言われるがままに、こんな所でこんなことをして―――) 

「結局私は何がしたかったのだろう……」 

一撃。マイスナーから奪い取った長槍を一閃しながら、 
彼は嘗ての記憶を背に自らに辟易する。 
それでも終われない。彼の心は折れていても、彼自身の体が其れを許さない。 
普通なら逆であるべき状況だが、やはり体が彼を動かす。 
さて、直に終わろうか―――。 

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