#image(02-447-s.jpg,http://www48.atwiki.jp/gennsousekai?cmd=upload&act=open&pageid=416&file=02-447.jpg) ゴッヘルザッホ 深層世界にて 『状況を整理しよう。 私は確かに先程まで野宿をしていた筈だ。今日は朝から歩き詰めで、野宿の際もうとうととしていた。 だとすれば眠ってしまったのだろうことも頷ける。 ならば彼女は、この景色は、私が見ている夢ということなのか?だが、 夢というものは、その者の脳が記憶を整理する際に見せる情報の投影だと、昔何処かで聞いたことがある。 だとするとこれは私の記憶ではないのかもしれない。もし記憶の底に埋もれているしまっているのだとしても、やはり疑問は拭い切れない。 そうこう考えていると、目の前の女性が語りかけてきた。白いドレスに身を包む金髪の美しい女性だ。 だがしかし、その眼には一点の輝きも無かった。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■」 と、何故か彼女の言葉は私にまで届かなかった。 彼女の云わんことを聞き取ろうと耳を澄ませば澄ますほど、私は辺りの状況を知ることになる。 騒がしいのだ。目の前にいる彼女の言葉が全く聞こえない程、辺り一帯に雄叫びが響き渡っているのだ。 「■■■■■■■■■、■■■■」 「■■■■■■」 そんな私のことは知る由もなく、彼女は言葉を紡いでいく。 待ってくれ、君の声が聞こえないんだ。もっと大きな声で話してくれないか? 声を張り上げて彼女に訴えかけるが、どうも彼女は聞こえていないようだ。というより、 まるで意に介さないといった風であった。 よく観察してみると、彼女は確かに私の方を向いているが、その眼は私を見ていないではないか。 まるで私ではない誰かに対して話しかけているようではないか。 若い頃に読唇術を習得しておかなかったことが、ここにきて悔やまれる。 「―――■■■■■■■■■」 その言葉を最後に世界が突然曖昧になりだした。 視界が歪み雑音が遠ざかっていく……待ってくれ、まだ何も分かっていない。まだ…… 次に意識を取り戻した時、既に朝になっていた。一体あれはなんだったのだろうか。 緩慢と野宿の後始末を終え、旅支度を整える。 気にしていてもはじまらない。とにかく進もう。 と、荷物を背負った所で気付いた。物思いに耽っていてまるで気付かなかった。 遺跡だ。ここにも[[旧世界の遺物>旧世界遺物]]があったのか。まるで城のようだ。 次の目的地は決まった。さて、今度こそ行くとしよう。』 ―――[[探検家ゴッヘルザッホ]]の手記より &tags()