三千世界の観測目録/World Archive 主にera2以降の[[大和皇国]]に見られる、この世の全ての情報を書物として蔵する、 所謂『アカシックレコード』に類する書庫が存在するという伝承の一種。 しかし、他の類型のものとの明確な相違点として、そこにあるのは『歴史』 即ち、多数の主観の集合体として定義される『世界の観測者』が、 今現在斯く在るとする"記憶"であり、 客観として定義される、事象を限りなく原型に近い形で記した"記録"ではない、とされていることが挙げられる。 つまり、他の『アカシックレコード』とは異なり、此処にあるのは何一つ偽りの無い"事実"ではなく、 唯大多数の観測者がそうだと思い込んでいる"真実"であるということ。 現在、観測者の役割は、地球上で最高度に発達した知能を持ち、 尚且つその中でも最も個体数の多い人類が担っている。 故に、人類が新たな事柄を発見してそれが世界の常識になれば、この書庫にはそれを記した書物が加わり、 既存の常識が打ち壊され別のものに取って変われば、関係する書物の文章が書き換えられるのだという。 また、この場所には《編纂者/Editor》と呼ばれる者達が幾人か居て、 折に触れて書物の編纂・執筆を行い、情報を管理しているともいう。 なので、伝えられる地域によっては、此処は《編纂者の間/Editor′s Room》とも称されている。 「今日、私は世界の真理の一端を垣間見た。 それと同時に、私が今まで為してきたことは、全て等しく意味など無いことなのだと理解した。 しかし、不思議に怒りや失望はない。何故かと思案し、直ぐに、私が真理を知ったからだと分かった。 あの新興宗教の布教者……[[行善]]、といったか。 彼の言わんとしていた『悟り』とはこのことなのだろう。 全てに通じる真理は、愚かな人間の抱く些事な悩みなど消してしまうのだ。 ――中略―― 今日から私は、彼の地に辿り着く為の旅に出ようと思う。 その日が来るまで、私は凡ゆる真実を知り、それを残していきたい。 後の世の者が、それをどんな歴史にするのかに、思いを馳せながら」 ―――[[時忘れの解き忘れ老人]]の書斎卓上、執筆中だった本の最後のページより &tags()