暁光の皇帝軍 [[マイスナー]]が戦死したという報せがマイスナー自身による見せかけのものであることは、 [[アーサー]]を含め少数の人間だけが感付いていた。 アーサーはマイスナーを牽制する一方、味方を増やすことも行っていた。 そんな中、同じく戦死したはずの[[イザベル]]が帝都に戻っているとの報せが届く。 そこで[[D3兵器]]の存在をイザベルに知らせ、上手くマイスナーと対立させることが出来ればと考え、 [[ディトリッヒ]]をイザベルの元へ送った。 ディトリッヒはD3の存在を知らせると共に、言葉巧みに[[ユグドラシル]]大将軍イザベルを説き伏せ、 結果彼を激怒させた。 非人道的であること以上に、練られた戦術の元であれば戦術兵器として十分有効な[[D2兵器>デビルデバイス]]とは異なり、 無差別に大量破壊を行う戦略兵器でしかなかったからだ。 彼は[[ソレグレイユ]]以前にユグドラシルの国土を焦土にしてしまう兵器など、 制御されていない[[悪魔]]と何も変わらない人災と言ってもいいと考えていた。 そしてアーサーによる再度の帝都奪還戦のさなか、イザベルはマイスナーを問い詰めた。 何故自分に秘匿していたのか。 一体何を企んでいるのか。 しかしマイスナーは、その問いには答えず、ただ、何かを含んだ嗤いを浮かべていたという。 イザベルは悟った。 自らを慕い、信じてついて来た幾多の勇敢な帝国軍兵士達は、この男の下では到底報われないのだと。 ---- 『マイスナー。貴様は一体、何を企んでいる? あのような兵器を使うなどと、[[先帝陛下>ガノッサ]]の御遺志を踏み躙るつもりか』 『これはこれは大将軍閣下。確か貴公は、あの戦いで名誉の戦死を遂げたのではなかったか?』 『それは奇遇だな。私も貴様はあの戦いで消し飛んだものだと思っていたが…… [[七師将>ユグドラシル七師将]]同士、抜かりは無かったということであろう。 世間話をしに来た訳ではない。ソレグレイユを攻撃するために、 我が国の国土までも灰燼と帰させるかマイスナー。 あのような物は兵器でも何でもない、唯の人災だ。 貴様も分かっている筈だ。このままでは、我が国は破滅する。世界を道連れにしてな』 『我はそれでも一向に構わない。我には何の関係もない話だ』 『貴様……よくもぬけぬけと、そのような台詞を吐けたものだな。 民の存在しない国家など、もはや国家などではない。 貴様がこの国を掌握したところで何も変わらぬ。 貴様などに、我が兵士達を預けて置くわけにもいくまい』 『クク…なら、貴様ともここまでだな、大将軍。少しは使えるかと思っていたが…失礼する。 我にはまだ、やることがあるのでな』 『……兵士達が世話になった礼だ、ひとつ忠告しておいてやろう。間もなく夜は明ける。 アーサーは……いや、陛下は、この帝都に戻ってこられる。 国民も、貴様が思うように愚かではない。 先帝陛下、そしてまた[[大帝陛下>バルバロッサ]]の遺志を継ぐ国民が、愚かである筈がなかろう。 自信に満ち、野望に燃えるのは良い。陛下もそう仰るであろう。 だが、過ぎた慢心はいつか必ず、他ならぬ貴様自身を滅ぼすぞ』 『フン、相変わらずだな……知っているさ。いくら我と言えどもな。 そうでも無ければ、このような馬鹿げた真似など……』 ---- 「ユグドラシル帝国大将軍イザベル・ダリウス・サラザールより、 当代無双にして勇猛果敢なる、総ての帝国将兵諸君に告ぐ。 これより我が軍は、正統なる帝位継承者アーサー・フォン・ユグドラシルを援護し、 簒奪者ルーシアス・ベルンフリート・マイスナーを討伐する!!」 ―――摂政府、執務室にて &tags()