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r :このビデオレターは護民官または、護民官補の調査と面談を通過した、養子受け入れ希望のご家族しか見ることができない
#4ひとつ、ふたつ、みっつ。
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ひとつ、ふたつ、みっつ。
女の子は花をちぎっては数え、またちぎっては数えた。
よっつ、いつつ。むっつ。
女の子は花をちぎっては数え、またちぎっては数えた。
「……うん。これでよし」
女の子はそう呟くと今の家である施設へと帰って行った。
今日も里親が決まった子が施設を出ていく。出て行く子がいればまだ施設にいる子もいる。時には出て行った子でも里親とうまくいかずに戻ってくる子もいる。そんな子はよても悲しそうな顔をしており、数日は施設の中で静かに暮らしている。
そんな子を見た時、女の子は施設で自分達の世話をしているメイドさんにお願いをし、今日まで想いを込めて行っている事があった。
「ゲンクン。今日、いくんだよね?」
「……っていうか、おまえダレ?」
女の子は里親が決まったゲンクンの元へとやってきた。施設の中は広く、誰も彼もを知っているわけではない。特に元々知り合いでなく、なおかつ男の子と女の子とでは接点がない場合も多い。
「んー、まぁ、それはいいじゃない。それよりも今日いくんだよね?」
「ああ、でもなんなんだいきなり?」
「もし、よかったらこれもらってくれる?」
女の子はそう言うと小さな封筒を取り出した。
「え? お、おれに?」
え? もしかしてラブレター?
ああ、男の子だからだろうか? 例え知らない女の子がいきなり「もらってくれる?」といって封筒出されたゲンはいきなりのラブレターと勘違いしてしまったのである。
「お、え、あー」
「中にしおりが入ってるんだけど……もし良かったら持っていって」
「え、しおり?」
ラブレターじゃないのにゲンががっかりしつつも開けてみると中にはしおりが入っていた。しおりには白い花の押し花が入れられていた。
「あ、この花」
「うん、私達の国にも咲いてたお花……施設の近くにも咲いてたんだ。みんなバラバラになるから……もしよかったら、だけど」
女の子の気持ちがわかったゲンはにこやかに笑った。
「ありがとよ。これ貰って行くわ」
「うん」
その白い花の合言葉は「幸せを願っています」 女の子は施設を出た子供達が幸せになるようにと今日も白い花を摘む。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
よっつ、いつつ。むっつ。
女の子は花をちぎっては数え、またちぎっては今日の人数分の花を揃えるのであった。
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撮影
国民番号:05-00141-01
PC名@所属国:銀内 ユウ@鍋の国さま
撮影
国民番号:05-00143-01
PC名@所属国:八守時緒@鍋の国さま