IL DESTINO
少年の頃、僕がスケッチした一台の車。父はそのスケッチをとても褒めてくれた。
数年後、カーデザイナーである父は「あの車」をこの世に誕生させた。
父はこの業界では有名でありファンも多かった。
僕が「あの車」に見惚れる時間もないまま、イタリアの紳士に売られた。
海外留学している頃、父が中古車ショップを開業したと母から聞かされた。
帰国後、父のショップで見たものは「あの車」だった。
はじめて「あの車」を見たときの感動と興奮が蘇った。
その日の夜、父は僕にショップの鍵を渡した。
僕は鍵を握りしめショップに走る。
車が出せないじゃないか!
せっかく車をとりにきたのに
このショップにはどんな仕掛けがあるというんだ!
絶対にここから車を出してやる
念願かなって手に入れたこの車。
おそらく数日は家に帰らないだろう。ずっと走り続けているから。
僕がスケッチした車を父がカタチにしてくれた。
いつの日か、今度は僕が誰かに譲り渡す日が来るのだろう。
このように、人々の想いを受け継ぐ素敵な車が、たくさんあるのだと思う。
あなたにも、素敵なパートナーが見つかると思います。
最終更新:2007年11月23日 08:41