原発と保険



383 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[] 投稿日:2011/07/09(土) 11:46:53.63 ID:7uYJp36a0 [1/7]
原発と保険
企業は将来の不確実性のリスクに関して万一の場合の損害を補填して企業経営の安定性を
確保するために損害保険に加入している。他方、損害保険会社は実際に発生した損害額までは
保険加入を認めるのが普通である、と同時にそれ以上の保険契約であっても発生した損害以上
は支払わない「実損補填の原則」である。この原則に修正が加えられたのは戦後2つである。

マンモスタンカーの出現とその事故による沿岸海域への汚染被害に対して、世界の損保業界は
実損害を保険契約として受け付けず、保証上限を加え別組織の再保険機構を設立した。
従って、それを超えた事故が生じた場合には運行する会社の責任となる会社の責任となる可能性
がある事からマンモスタンカーの建造はその後、中止されている。逆に引き受けを決めた
ジャンボ飛行機は運航されている。
保険約款と契約条件は(経済)現実を動かす。
原発の場合はどうか?

伊東光晴(京大名誉教授:経済学)「世界」8月号論文より

しつっこく、車との比較を持ち出す奴はこれで反論のひとつにすればいいのでは?

393 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[] 投稿日:2011/07/09(土) 12:44:03.83 ID:7uYJp36a0 [3/7]
原発と保険:
アメリカのの場合:
民間保険六千万ドルまで引き受け、政府による補償5億ドルの合計五億六千万ドルが保険填補される。
被害の規模からすると低額過ぎて民間企業は原発に参入しない。
国策として推進する以上は保険を超える部分は政府が損害の補償する。
(プライス・アンダーソン法)

ヨーロッパ:
全て事業者には責任限度額を設けて、それを超える部分には国が限度を設けて補償する。
国負担に限度がある点がアメリカと異なる。
(参考)
イタリアは原発に関する政策転換によって政府の支援はしない事になった。
その結果国による補償は行われない事となり、事業継続は事業者の判断に委ねられた。
その結果、脱原発へ向かうことになった。政府支援には成り立たない産業たる所以である。

395 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[] 投稿日:2011/07/09(土) 13:05:08.03 ID:7uYJp36a0 [4/7]
原発と保険:
日本の場合:
民間保険300億(「地震を原因とした津波による事故は免責)、余りに
低額であるため、政府補償が上限1200億円。
民間保険と政府補償の二階建てである点ではアメリカと違いはないが、限度を超えたときには
アメリカでは政府が補償するのに対して、日本では政府が「必要な援助を行うものとする」と
なっている。
原賠法16条である。本法を審議した委員会の委員長は民法の我妻栄であり、アメリカと同様に
限度額を超えた損害は政府が補償すると答申したが、法案では「援助する」にかわった。
大蔵省と法制局が認めなかったと推測される。
本法の重要点は以下二点
1:事業者の損害賠償を規定した第三条は無過失責任であり無限責任であると解されているが、
「異常に巨大な天変災害、社会的動乱」によって生じた時は免責
2:責任集中性と呼ばれ、事業者のみが責任を負う事になっている(第四条)
つまり、福一ならば東電のみが責任を負い、東芝日立は責任はない。
もちろんこれは、アメリカのGEの技術を導入して、その指導のもとに作られた原発が事故を起こした
場合にGEが責任を問われない為のものである。外交力の差が反映されている。

以上、「世界」伊東論文より論旨が変わらない程度に適時抜粋

397 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[] 投稿日:2011/07/09(土) 13:27:33.18 ID:7uYJp36a0 [5/7]
しつこく、原発と保険(「世界」8月号 赤木昭夫 元慶大教授:科学史)

三月期末でも東電の自己資本有利子負債比率は1:6.4で料金収入が期待できる自然独占企業ならではの
借り入れの多い体質であった。これでは賠償にいつまで応じきれるか、予断を許さない。
原発で事故が起きたときの事などはなから頭になく、原発を拡大してきた事が過大な負債の原因となっていた
事も否めない。原発現場をコスト削減で追い詰める一方で全体の財務は少なからず、
放漫であった。
いざとなれば、原賠法が面倒を見てくれるといった安易なモラル・ハザード(道徳荒廃)に陥っていた
疑いが濃厚である。

404 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[] 投稿日:2011/07/09(土) 13:57:47.13 ID:7uYJp36a0 [6/7]
原子力賠償責任法の特徴(異様な点)

1条:目的が「原子力事業の健全な発展に資する為」である点。
理屈として、国策の原子力開発の為であるならば、モラルハザードもお咎めなしである。
安全も賠償も想定外が法律で支持され、促進され、誘われかねない構造が日本に君臨する。
それが、世間で批判される「原子力村」どろろではない、法と権力を備えた「原子力体制」なのである。

3条:(明記されていない解釈と了見に基づくが)
無過失賠償責任、併せて「異常に巨大かつ自然的または社会的災害」の時は免責。
地震を含む激甚天災を免責としたのは、米欧にはない日本だけの例外である。それはすなわち
地震国日本では原発が事業として成り立たない事を宣言させらたに等しい。

4条:責任集中制は英米仏からの技術導入を促進する為に要請され、国内企業に対しては免責するから
何が何でも国策の推進に協力しろと。(免責&責任集中は)常軌を逸していると(海外から)見られていた。

7条:一事業者当たり1200億の責任保険の加入義務
16条:賠償金額が不足した場合には、法の目的(1条に注意)の為であれば、国の援助(肩代わりではない)が受けられる
最終的な賠償責任を国が明確に負担する事には、前例がないと大蔵省が猛反対したので「援助する」にとどめ、各方面の妥協を
とりつけた。「援助」とは何かについて、中曽根科技庁長官は「国家融資をする場合も補助金をやるという場合もありましょう」
と答弁した。

18条:和解仲介の紛争委員会を置くことが出来る
   賠償で紛争が生じた場合の和解推奨として法律の中に予め和解方式が設定されているのも日本ならではの例外である。
   放射線被曝に対する賠償は、健康診断や医療を約束することと引き替えに不問に付されるかも知れない。
   長期紛争化を避けるための名目だが、予め法の中に和解を推奨することは不法行為に対する弁済要求を低めに抑える
   事に繋がる。法廷で争い判例で裁くコモンローの英米とはまる逆で、あきれ果てたと受け取られて来た。

(赤木論文より)

402 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(岡山県)[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 13:49:52.99 ID:+0TTRLPF0 [7/9]
394
原賠法はプライスアンダーソン法以上に酷い 賠償限度額が低すぎる


553 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 13:33:10.27 ID:gWd/w8XY0 [5/8]
かつて1961年制定の「原子力損害の賠償に関する法律」に向けて科学技術庁に委託され
1959年に日本原子力産業会議が作成した「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」
をみたら、政府が「経済的理由により」20ミリシーベルトに引き上げたのは容易に想像がつく。
出力16.6万kWの東海一号機を元に試算。
東海村から2%(1000万キュリー)の放射能が漏れた場合、つまりチェルノブイリ事故の30分の1の規模の事故が発生した場合の災害について
晴れていて大気より地表の温度のほうが低く、したがって空気の入れ替えがないときには、700レム(7シーベルト)で死者は720人を越え、
5000人が障害を起こし、400万人が被曝手帳をもらう被害が出る。被害の総額は1兆円になる。
雨や雪が降った場合は、被害はさらに甚大になる。
疎開しなければならない人は1800万人。放射能をかぶる農地が15万km2に及び、被害額は3兆7000億円に達すると思われる
当時の国家予算は1兆6000億円程度。つまり、一度、原発事故が起きれば国家予算の2倍にも及ぶ被害が出るとデータは語っている。
当時の岸(信介)内閣は、その被害額に色を失い、データを(秘)扱いにしたという。

個人的には金がかかるから移住させないというのはあまりにも国民の健康を
無視している。
一次産業従事者には西日本地区の人手不足の地域に移住してもらって
新たにやり直して貰うことも出来る。
実際に個人や組合レベルで移住の支援も行われているし、自治体からも
田畑付き移住の申し出が出ている。
特に子供に20ミリを適用した件に関してはアメリカの元エネルギー庁高官が
「ゲームに負けそうになってからルールを変更するようなもの」と
非難していたがもっともな言い分だと思う。

229 名前:地震雷火事名無し(埼玉県)[sage] 投稿日:2011/11/22(火) 17:58:10.08 ID:HUy9d8n/0 [6/7]
損保企業の福島原発リスク認識

福島第一原発 1200億円保険打ち切り
福島第一で加入している民間保険は来年一月十五日に契約が終わるが、日本プールは、
炉心溶融などの重大な事故を起こした福島第一は、落ち着いてきたとはいえ、通常の原
発とは比べものにならないリスク(危険性)があり、千二百億円もの保険は引き受けられ
ないと判断。政府や東電にその旨を通知した。

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最終更新:2012年12月11日 20:27