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心の在り処 - Ⅰ歯車編 - (2016/03/01 (火) 16:02:32) の1つ前との変更点

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#center(){ &font(b,28px){◇◆◇◆◇ 心の在り処 - Ⅰ歯車編 ◇◆◇◆◇} } &font(b,22px){▼ 目次} #contents *1.出発 -1347年7月11日 午前9時  商品は問題無し! 委託物も問題無し! よしッ、確認OK!  この業界に入って15年。荷物の確認は、もう手慣れたものだ。 額にうっすら滲ませた汗を無意識のうちに腕で拭いながら、荷車を降りる。  ふと見上げると、視界いっぱいに蒼が広がる。遠く南方には入道雲が空高く立ち込めている。 「もう夏か…」思わずそんなことを呟く。  「商人さ~ん、準備終わりました~?」 見ると20代くらいの若い青年が、紙切れを片手に役場の方から駆けて来た。 あれは山岳横断証明書だろうか。 「お、手続きしてきたのか。俺はちょうど今終わったところだよ。」 「相変わらず手際がいいですね~。じゃ、僕も荷物確認しますね!」  彼の名は、レジェール・グラン。ヒェイン~トリル山岳横断ルートの先導人だ。 インディゴブルーの短く纏まった髪と背の高いスラっとした細身が印象的な青年だ。 彼曰く、先導人を始めて今年で5年らしい。 俺もここ2、3年で何度かこのルートを通る機会があり、その度に会っている。 彼とはちょっとした友人みたいな関係だ。  「そういえば、出発は10時で合ってるかい?」 「そうですよ、10時です!」 時計台に目をやると、まだ40分くらいは時間がある。 せっかくヒェインの町に来たのだし、ちょっとは観光していくか。 「じゃあ俺はちょっと街中歩いてくるわ。」 「分かりました!時間までには戻ってきてくださいよ~。」 「オーケーオーケー。分かってる。」 そう言いつつ俺は、街中へと歩き出した。 ―――――――――   ついつい夢中になって街を回ってしまっていた。 ふと時計台を見ると、長針はちょうどXを指している。 そろそろ戻らねば。俺はやや小走りで広場へと向かう。  「戻ってきましたか!もうすぐ出発するので乗ってください~。」 俺は客車に乗り込む。 客車の中には、すでに6人乗っていた。 ん、その中に一人、見覚えのある顔が・・・。  「ああっ、ヴァルムさん! 今回もお仕事ですか?」 彼女の名はレヴォルテ・ルント。帝国直轄の騎士団員。現在はトリル支部所属だ。 その可愛らしさは、彼女が騎士団員であることを忘れさせられるかのよう。 濃紅で肩に少しかかるくらいのさらさらとした髪は、彼女の可愛さをより引き立てている。 そんな容姿からは想像出来ないが、彼女は武術に長けており、 特に剣術の腕前は帝国ベスト8に入るほどだと言われている。 恐らく彼女は今回も、先導者の護衛としてついていくのだろう。 グラン同様、何度か会っているのでその辺りは察しがつく。  「そうだ。トリルまでな。 最近は特にロコス地方特産の磁器は西方で人気らしくてな。 親方から命を受けて運んでる最中だ。」 「確かに最近は“ロコスの青白磁”って言って人気がありますね~。 白磁器独特のてかてかに、うっすら透明感のある青みが加わって、なんとも美しい色合いを醸しだしているんですよね!  私もけっこう好きですよ、ああいうの!」 ふむ。話を聞く限りでは、トリルだけでも予想以上に人気が出ているらしい。 これは、いくらで売るか再度吟味しなければ・・・。  「ではそろそろ出発ですが、その前にいくつかの注意事項を説明しますね!」 いつもの説明だ。俺自信、この注意事項は何度も聞いているので、もう覚えてしまった。 確か――― 一.先導者の指示があれば、それに従うこと 二.もし何か緊急の用があれば、先導者もしくは同乗している騎士団員に言うこと 三.身勝手な行動は自身の死につながるので注意すること だったか。 「・・・・・・トリルの町には2週間で到着予定です。 途中には温泉スポットがありますので、皆さんがよろしければそこで泊まっていくことも出来ます。 説明は以上です。それでは、出発しますねー!」 こうして、グラン率いる馬車は、ゆっくりゆっくりと進み始めた。 かきかき中 #center(){ &font(b,28px){◇◆◇◆◇ 心の在り処 - Ⅰ歯車編 ◇◆◇◆◇} }
#center(){ &font(b,28px){◇◆◇◆◇ 心の在り処 - Ⅰ歯車編 ◇◆◇◆◇} } &font(b,22px){▼ 目次} #contents *1.出発 -1347年7月11日 午前9時  商品は問題無し! 委託物も問題無し! よしッ、確認OK!  この業界に入って15年。荷物の確認は、もう手慣れたものだ。 額にうっすら滲ませた汗を無意識のうちに腕で拭いながら、荷車を降りる。  ふと見上げると、視界いっぱいに蒼が広がる。遠く南方には入道雲が空高く立ち込めている。 「もう夏か…」思わずそんなことを呟く。  「商人さ~ん、準備終わりました~?」 見ると20代くらいの若い青年が、紙切れを片手に役場の方から駆けて来た。 あれは山岳横断証明書だろうか。 「お、手続きしてきたのか。俺はちょうど今終わったところだよ。」 「相変わらず手際がいいですね~。じゃ、僕も荷物確認しますね!」  彼の名は、レジェール・グラン。ヒェイン~トリル山岳横断ルートの先導人だ。 インディゴブルーの短く纏まった髪と背の高いスラっとした細身が印象的な青年だ。 彼曰く、先導人を始めて今年で5年らしい。 俺もここ2、3年で何度かこのルートを通る機会があり、その度に会っている。 彼とはちょっとした友人みたいな関係だ。  「そういえば、出発は10時で合ってるかい?」 「そうですよ、10時です!」 時計台に目をやると、まだ40分くらいは時間がある。 せっかくヒェインの町に来たのだし、ちょっとは観光していくか。 「じゃあ俺はちょっと街中歩いてくるわ。」 「分かりました!時間までには戻ってきてくださいよ~。」 「オーケーオーケー。分かってる。」 そう言いつつ俺は、街中へと歩き出した。 ―――――――――   ついつい夢中になって街を回ってしまっていた。 ふと時計台を見ると、長針はちょうどXを指している。 そろそろ戻らねば。俺はやや小走りで広場へと向かう。  「戻ってきましたか!もうすぐ出発するので乗ってください~。」 俺は客車に乗り込む。 客車の中には、すでに6人乗っていた。 ん、その中に一人、見覚えのある顔が・・・。  「ああっ、ヴァルムさん! 今回もお仕事ですか?」 彼女の名はレヴォルテ・ルント。帝国直轄の騎士団員。現在はトリル支部所属だ。 その可愛らしさは、彼女が騎士団員であることを忘れさせられるかのよう。 濃紅で肩に少しかかるくらいのさらさらとした髪は、彼女の可愛さをより引き立てている。 そんな容姿からは想像出来ないが、彼女は武術に長けており、 特に剣術の腕前は帝国ベスト8に入るほどだと言われている。 恐らく彼女は今回も、先導者の護衛としてついていくのだろう。 グラン同様、何度か会っているのでその辺りは察しがつく。  「そうだ。トリルまでな。 最近は特にロコス地方特産の磁器は西方で人気らしくてな。 親方から命を受けて運んでる最中だ。」 「確かに最近は“ロコスの青白磁”って言って人気がありますね~。 白磁器独特のてかてかに、うっすら透明感のある青みが加わって、なんとも美しい色合いを醸しだしているんですよね!  私もけっこう好きですよ、ああいうの!」 ふむ。話を聞く限りでは、トリルだけでも予想以上に人気が出ているらしい。 これは、いくらで売るか再度吟味しなければ・・・。  「ではそろそろ出発ですが、その前にいくつかの注意事項を説明しますね!」 いつもの説明だ。俺自信、この注意事項は何度も聞いているので、もう覚えてしまった。 確か――― 一.先導者の指示があれば、それに従うこと 二.もし何か緊急の用があれば、先導者もしくは同乗している騎士団員に言うこと 三.身勝手な行動は自身の死につながるので注意すること だったか。 「・・・・・・トリルの町には2週間で到着予定です。 途中には温泉スポットがありますので、皆さんがよろしければそこで泊まっていくことも出来ます。 説明は以上です。それでは、出発しますねー!」 こうして、グラン率いる馬車は、ゆっくりゆっくりと進み始めた。 かきかき中 #center(){ &font(b,28px){◇◆◇◆◇ ―――――   ―――― ◇◆◇◆◇} }

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