<div class="main"> <div>高校2年の新学期、クラス替えをしにも関わらず相変わらずに私の前の席にはキョンが居る。<br /> 最近、あたしってキョンのことが好き…?ってことに気付いてしまった。<br /> こんなこと口が裂けても誰にもいえないけどね。<br /> でも、キョンももしかしたらあたしのこと好きなんじゃないかなって思うこともある。<br /> なんて思い違いかも知れないけどね、あー!やめやめ!こんなバカバカしいこと考えるもんじゃないわ!<br /> あたしは自分の顔が熱くなってくるのを感じて机にうつ伏せた。</div> <div>新学期初日からSOS団は集まる、あたしも少し遅れて部室へと向かった。<br /> 部室にはもう誰かが来ているらしく中から声が聞こえる<br /> キョン「ちがいますよ!こことここを押さえるんですよ」<br /> みくる「えぇ~?こうですかぁ~?」 <br /> どうやらキョンがみくるちゃんにギターを教えてるらしい。<br /> あたしは勢いよく扉を開けた、案の定2人くっついて1つのギターでくっついて教えてる…。<br /> 「みくるちゃん!着替えるわよ!キョンあんたは出てなさい!」<br /> あたしはすぐさま2人を引き離した。</div> <div>みくる「ふぇ~自分で着替えます~」<br /> ちょっと意地悪にみくるちゃんを無理やり着替えさせる<br /> 「うるさーい!さっさと脱ぎなさい!」</div> <div>みくる「ハルヒさんはキョンさんが好きだからこうやって意地悪するんですか?」<br /> いきなりのみくるちゃんの言葉に私は驚いた。<br /> 図星を突かれて悔しいやら恥ずかしいやらでカッとなって<br /> みくるちゃんを突き飛ばしてしまった。<br /> ガタン!と机の倒れる大きな音の後、沈黙が続いた…。</div> <div>キョン「おい!何があったんだ」部室の外からキョンの声がする。<br /> 「うるさい!今日は…帰る…」<br /> あたしはそうして部室を出た。</div> <div>次の日、教室でキョンが昨日のことについて聞いてきた。<br /> キョン「おい、昨日はどうしたんだよ朝比奈さんあのあと泣いて大変だったんだぞ」<br /> キョンの口から「朝比奈さん」って言葉を聞いてあたしのイライラは更に増した。<br /> 「うるさいわね、関係ないでしょ」<br /> キョン「関係無いことないだろ。心配じゃないか」<br /> それはみくるちゃんの心配?私の心配?なんてこと聞けるわけもなかった。<br /> 自分が少し涙目になってくるのを感じて「もう話しかけないで…」と言って机にうつぶせた。</div> <div>今日部室に最初に着いたのはあたしだった、ああ…ユキの方が先に居たわね。<br /> すこし遅れてキョンが来た。でも昨日のことは聞かれなかった、<br /> 言いたくないことだと察してくれたのかな。<br /> それでもあたしはそこに居る事が耐えられなかった、あたしはやっぱり帰ることにした。<br /> キョン「今日も帰るのか?」<br /> 「アンタが来たからよ!」と言って部室を出て思い切り扉を閉めた。<br /> こんなこと言われたら誰だって傷つくのに…あたしは自分が嫌になった。</div> <div>それからというものの部室にキョンが来るたび、あたしは避けるように出て行った。<br /> どうしても普通に接することができない、どうにかしたい、ずっと悩んでいた。<br /> そんな調子が数日間続いた。</div> <div>いつもの様にキョンが部室にきてあたしは帰ろうとした。<br /> キョン「なぁ、いい加減機嫌直せよ、こっちはなんで怒ってるのかすらさっぱりだ、<br /> 俺が悪かったなら謝るよ、訳くらい教えてくれたっていいだろ」<br /> キョンは何も悪いことなんてしてない、許せないのはあたし自身。<br /> でも訳も言えない、あたしは黙ったままだった。</div> <div>みくる「わたしが悪いんですー、わたしがハルヒさんに…」</div> <div>みくるちゃんが喋りだした時、あたしは頭が真っ白になった、<br /> 「うるさい!キョンのバカ!死んじまえ!」<br /> とんでもないことを言った。<br /> キョン「ああ、そうかい。もういいよ 勝手にしろ!!」<br /> キョンはそう言って出て行った。<br /> そしてそれ以来。キョンは2度と部室に来ることは無かった…。 </div> <div>次の席替え。あたしは初めてキョンと遠く離れた席になった。<br /> もう二度とキョンはあたしに話しかけることはないだろう…。<br /> そしてこんな性格のあたしがキョンに声を掛けることなんてできないんだろう。<br /> そうおもうと泣きそうになる。<br /> あたしは人前で涙を流したことなんてない、堪えれば涙も堪えれるものなのよ。</div> <div>数ヶ月後、風の噂でキョンとみくるちゃんが付き合ってることを聞いた。<br /> けどもう悲しむのはやめた。キョンが1人でいようが誰かと付き合おうが<br /> あたしと再び、昔の様に話せる日は来ないのだから…。</div> <div>あたしもその後、くだらない男に告白され。そんな男と付き合っていた。<br /> ある下校中、そんなくだらない男にもやっぱり愛想を尽かされて怒鳴られてた。<br /> 「おまえ頭おかしいとしか思えねえよ!何考えてんだ!<br /> こんな性格の悪い女初めて見たぜ!もう付き合いきれねーよ!!」<br /> こんな男に何を言われようが気にもしないはずだった。</div> <div>だけどその時。キョンとみくるちゃんがあたし達を見ていることに気付いた。<br /> あたしは惨めやら恥ずかしいやらで、黙って下を向いて何も言い返せないで居た。</div> <div>その時だった、キョンがその男を殴っていた。<br /> キョン「ハルヒは少し変わってるかもしれんが、美人だし万能だし優しいところだってある!お前に何が分かる!」<br /> と怒鳴った。</div> <div>あたしは唖然とした、そして次の瞬間、今まで堪えていた涙が一気に流れた。<br /> 「バカキョン!なんであたしがあんなひどいこと言ったのにそんな事言えるのよ。<br /> ほんとのバカよあんたは…。」<br /> あたしは初めて人前で大泣きした、キョンは何も言わずしばらく胸を貸してくれていた。</div> <div>今もしあの頃に戻れるならば大声で「あたしはキョンのことが好き!」と言えるだろう。<br /> でももう遅い、キョンの優しさと自分の愚かさに、あたしはいつまでも涙が止まらなかった。</div> <div> ―終―</div> </div>