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華~第一章~ - (2007/01/14 (日) 07:10:47) の1つ前との変更点

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<div class="main"> <div> 俺はその他連中の適当な自己紹介をあしらいながら、携帯を開いた。……これはキレイに戻ってらっしゃっるな。<br> 否が応でも信じなければならなくなってしまった……奇しくも綺麗に去年の入学式当日だ。<br> あはははは……これで俺も未来人の仲間入りだなぁ……少しは願ったりもしたが、本当になるとはな……<br> ハッキリ言おう。正直、なっちゃ困る。<br> さて、この部屋に今未来人こと、俺を含むSOS団関係者が既に五人居るわけだ。<br> ハルヒに長門に朝比奈さんについでに鶴屋さんも朝比奈さんにセットでもれなくついてくる。これはお得なセットだな。<br> ……こんな状況にあまり驚いていない俺はだいぶ成長したんだろうな……いやぁ嬉しいこった……くそ忌々しい。<br> だがまぁ……どこかの変態がタイムループを望んだとして、俺としてはコイツとは一緒にはなりたく無いんだがな……<br> 正直、トラウマだ。<br> 「じゃあ、このクラスの委員長は後藤と朝倉でいいな」<br> 「まだまだ至らない所もあるけどもみんな仲良くね」<br> 俺はここで口に出す言葉は決まっているのさ。<br> ――やれやれ……――<br></div> <br> <br> <div>「今年からもまたよろしくねキョン」<br> はぁ……唯一の救いが国木田だけがまともにこのクラスにいるってことか……<br> 「へぇ~あんたキョンって名前なのね。変な名前ね。まぁいいわ。よろしくねキョン♪」<br> 「おい、それは本名じゃなくてあだ名で――」<br> ――振り向くと、今回の元凶と思われるソイツだった。――<br> オイちょっと待てよ。展開がいくらなんでも早すぎやしないか?コイツと話したのはゴールデンウイークの終わった始めの日で……<br> そもそも態度が違いすぎる。初期のコイツは何にしても突っ張り返す奴だったはずなのだが……<br> 「いいじゃない。あたしはいい名前だと思うわよ? キョンって名前は」<br> ……完璧にタイムループって訳じゃ無さそうだ。いや、居るはずのないクラスメイトが居る時点でおかしいのだが。<br> </div> <br> <div>「……まぁいい。よろしくなハルヒ」<br> 「あらいきなり呼び捨て? ずいぶんと馴れ馴れしい奴なのね」<br> しまった。いつもの癖で……なんとか誤魔化さなければ。<br> 「……まぁハルヒって名前もなかなかいい名前じゃないか。それでつい、な。不愉快なら訂正する。涼宮――」<br> 「いえ、いいわ! ハルヒでいいわよ。むしろ、そう呼びなさい!」<br> やれやれだ。ごまかしきったが、むしろそう呼びなさいだなんて訳が分からないのは今のハルヒと一緒だな。<br> ……今から見れば未来の、か。<br> 「フフン、よろしくねっキョンっ!」<br> 彼女は100Wの笑顔でそう言った。<br></div> <br> <div> さて、こういう件に関して一番信用出来るのが同じクラスに居ることについては、<br> ハルヒには感謝せねばならんだろう。……胸一杯の皮肉を込めた感謝をお前にやろう。<br> 「長門有希……だよな?」<br> ――しかし、俺はすぐにハルヒに対する思いを、仮にも感謝の気持ちから、わかりやすい怨念の感情に変えた……<br> 長門有希が微笑んで肯定するんだぜ?これを見て恨み以外の感情をどう持とうか。<br> いや、まだ諦めてはいけない。俺の助け舟はこの長門しか居ないのだから。<br> 「お前は俺を知っているか?」<br> そして長門は顔を赤らめ、首を縦に振り肯定する。そして初めて口を開いた。<br> 「ずっと……探していた」<br> 「何故だ?」<br> 「あなたはわたしに……親切にしてくれた人。ずっと……探していた」<br> 安心していいものか、とりあえず俺と長門は今から三年前に会っているみたいだな。だが……<br> 「もしかしたらお前は宇宙人か?」<br> ここで一切わかりません的な顔で顔を傾げられてはもう既に絶望的だ。<br> さらば、俺の今までの生活。初めまして未来人の俺。<br> 未来人なのだからTPDDは出来るのだろうか?でも概念がわからないから使えないか……<br> </div> <br> <div> 長門に軽く挨拶を終え、正真正銘の未来人に聞いてみよう。ついでに鶴屋さんにも話だけはつけておいた方がいいか。<br> 「こんにちわ。朝比奈さんと鶴屋さんですよね?」<br> 「ふぇ? えっ……あの……その……」<br> 「あっはっは! みくる照れすぎだよ! コンチワ! そうだよ! あたしが鶴にゃんで、この顔真っ赤にしている子がみくる!<br> これから仲良くしてくれよっ!えぇっとぉ~キミ! 名前はなんていうだっけ?」<br> 「あ、あぁ……名前は」<br> 「あの~、キョンくん……ですよね?」<br> 「いえ、だからそれはあだ名……」<br> 「キョンくんっていうのかい? あっはっは! 面白い名前だねぇ! 鶴にゃんは気に入ったにょろ!<br> よろしくねっキョンくん! あたしのことは鶴にゃんって呼んでくれてかまわないからねっ!」<br> </div> <br> <div> 「はぁ……わかりました鶴屋さん。よろしくお願いします」<br> 「おろっ? ちょっと同い年なのに敬語だなんてキミってお堅い人なのかなあ?」<br> やはりどうも慣れというものはそう簡単には取れないものだろう。<br> というか、やはり年上の感じが取れないので、どうもタメ語は無理だな。<br> 「いえ、ですが、なんか大人の雰囲気というか……そう。お姉さんみたいな感じがするので」<br> 「お姉ちゃんだなんて、鶴にゃん照れちゃうにょろ~……まぁいいっさ! 好きなように呼ぶがいいよ!」<br> 「ありがとうございます鶴屋さん。それで……朝比奈さん、少しつきあってもらっていいですか?」<br> 「ふぇっ!? いきなり付き合うだなんてそんな……」<br> 「キョンく~ん? みくるはあたしの娘だよっ! そう簡単には渡さないよっ! その代わり、あたしなら付き合ってあげるから!」<br></div> <br> <div> 何を勘違いしているんだこの人達……というか鶴屋さんの爆弾発言が聞こえた気がするが気のせいか……<br> そうとしか考えられんね。というか、さっさと確認をしたいのだが……<br> 「違いますって。少し、お時間をいただけないかということです。少し気になることがありまして……」<br> 「なんだい違うのかい。まぁしょうがないっさっ。みくる行ってきな! ただしすぐ戻るんだよっ!」<br> よし、鶴屋さんから隔離成功だ。さすがに鶴屋さんに未来人がどうだのという会話を聞かれたら、<br> 弁明に苦労するだろう。素晴らしい勘の持ち主であるあの人はそうそう納得させることが出来ないだろうからな。<br> 「あっ、あの~話というのは……」<br> 「……いきなりで申し訳ありませんが……」<br> 朝比奈さんが息を飲む音がこくっと聞こえた。何をそんなに緊張を?<br> </div> <br> <div> 朝比奈さんが息を飲む音がこくっと聞こえた。何をそんなに緊張を?<br> 「あなたにはTPDDという単語に聞き覚えがありますか?」<br> 俺の言葉を聞いた朝比奈さんはハァっとため息を安緒と不満の顔で吐き出し、そして疑問の顔へと変化させた。<br> 「TPDD……なんですかそれ?」<br> 「時空移動の呼称の一種だと思うのですが……」<br> 「うーん……ゴメンナサイ。わたしにはわかりませんねぇ」<br> 「……そうですか……スイマセンいきなり初対面なのに連れ出して」<br> 「いいえ大丈夫です! それに……」<br> 「それに、なんですか?」<br> 「ふぇっ!? な、なんでも無いですよっ! じゃ、じゃあ戻りましょうか!」<br> 「はぁ……」<br> 「あっ、それと!」<br> 彼女はいつか見せた笑顔で続けた。<br> 「わたしのことはどうぞみくるちゃんとお呼びください!」<br> やれやれ。変なところは忠実に再現されているな……変なところとは朝比奈さんに失礼だが。<br> </div> <br> <div>「ちょっとあなた達! 遅いわよ?」<br> 扉を開けるとすぐに朝倉の檄がとんだ。<br> 「みんなはもう席に着いているのに!」<br> 残る懸案事項のうちの一つとしてコイツの存在についてがまずある。<br> 誰かの手によって改変されたであろうこの世界で、長門が普通の女子高生となり、<br> 朝比奈さんも同じようになっており、且つ何故か俺らと同じクラスになっている。<br> そうなると、この朝倉も長門同様、普通でしがない女子高生となっているのだろうか。<br> だがそうでなかったらどうする?二度あることは三度ありと決めつけた野郎を叩きのめしてやるしかない。<br> まぁその事は叶わずして廃れていくのだろう。なにせ頼りの長門が一般人だ。<br> 襲われたら俺は素直にその運命を受け入れるしかなくなるのだから。<br> 「ちょっとキョンくんっ! 聞いているの!」<br> まずは様子見だ。全ての現状がわかっていない以上、なんの対策をとることもできない。<br> </div> <br> <div> 少なくとも、今の俺は落ち着いている。判断を間違うようなことはしない筈だ。……そう願わんと。<br> 「キョンくんには今日の放課後、事務の手伝いをしてもらいます!」<br> ……いきなり呼び出しって……初っぱなからターニングポイントかよ……初日からそれはないぜ。ここの判断が重要だ。<br> COOLだ、COOLになるんだキョン。って俺がキョンって呼んでどうする? 全然冷静になりきれていない。<br> 「それじゃああたしも手伝うわよ!」<br> 「それじゃああたしも手伝おうかねっ!」<br> 「……手伝う」<br> 「わ、わたしも~」<br> 正直予期できない展開ではあるが、これは助かった。他の三名はどうだかわからないのだが、<br> 少なくともハルヒがいるなら安心して朝倉といれる。この世界でハルヒの能力があると仮定したうえでの話だが……<br> 「う~んそうねぇ……まぁいいわよ。沢山人数いたほうがすぐ終わるわよね」<br> </div> <br> <div> 今日は入学式だけあって俺の頭をさらに悩ませる授業も無く、無事放課後になった。<br> これから無事でいられるかは定かではないが、願わくば朝倉が普通の人間で居るように望みつつ、<br> 俺は現在ハルヒ、長門、朝比奈さん、鶴屋さん、朝倉となんともいえない空気の中事務の仕事をこなしている。<br> しかし、この無音世界はなんなのかね。ハルヒは朝倉を時折睨みつけるようにしながら作業をこなし、<br> 長門も同様に朝倉を睨んでは俺に微笑みかけ、朝比奈さんは俺の方にたまに顔を向けては赤らんで、<br> 鶴屋さんに至っては俺の方をずっと向きながら作業をしている。……鶴屋さんあなた器用な人ですね。<br> </div> <br> <div> 「な、なぁ?ハルヒとか長門だとか朝比奈さんや鶴屋さんはどうして手伝ってくれているんですか?」<br> 思わず敬語になってしまうこの空気。俺は以前にこのような空気を味わったことはないぞ。かつてないほど空気だ。<br> 「それはっ、ねぇ? あんたなんか不器用そうじゃない? だからよ! ねぇみくるちゃん?」<br> 「ふぇ!? あっ……そう、ですねぇ……ねぇ鶴屋さん?」<br> 「みくる~それはちょびっと無茶ブリってやつだよ……ねぇ、有希っこ!?」<br> 「……そう。……涼子も……ね?」<br> 「わたしは別に彼と二人でも十分だったわよ? ねっ! キョンくん?」<br> 「そ、そうかもな……あは、あはははは……」<br> 夕暮れ時の教室に俺の乾いた笑い声がこだました。……なぁ? これはどういう冗談なのか誰か教えてくれ……<br> というか、お前らいつ仲良くなったんだよ……<br> ――この時改めて女性の怖さというもの理解した気がした。――<br> </div> <br> <br> <ul> <li><font color="#666666">第二章</font></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div> 俺はその他連中の適当な自己紹介をあしらいながら、携帯を開いた。……これはキレイに戻ってらっしゃっるな。<br> 否が応でも信じなければならなくなってしまった……奇しくも綺麗に去年の入学式当日だ。<br> あはははは……これで俺も未来人の仲間入りだなぁ……少しは願ったりもしたが、本当になるとはな……<br> ハッキリ言おう。正直、なっちゃ困る。<br> さて、この部屋に今未来人こと、俺を含むSOS団関係者が既に五人居るわけだ。<br> ハルヒに長門に朝比奈さんについでに鶴屋さんも朝比奈さんにセットでもれなくついてくる。これはお得なセットだな。<br> ……こんな状況にあまり驚いていない俺はだいぶ成長したんだろうな……いやぁ嬉しいこった……くそ忌々しい。<br> だがまぁ……どこかの変態がタイムループを望んだとして、俺としてはコイツとは一緒にはなりたく無いんだがな……<br> 正直、トラウマだ。<br> 「じゃあ、このクラスの委員長は後藤と朝倉でいいな」<br> 「まだまだ至らない所もあるけどもみんな仲良くね」<br> 俺はここで口に出す言葉は決まっているのさ。<br> ――やれやれ……――<br></div> <br> <br> <div>「今年からもまたよろしくねキョン」<br> はぁ……唯一の救いが国木田だけがまともにこのクラスにいるってことか……<br> 「へぇ~あんたキョンって名前なのね。変な名前ね。まぁいいわ。よろしくねキョン♪」<br> 「おい、それは本名じゃなくてあだ名で――」<br> ――振り向くと、今回の元凶と思われるソイツだった。――<br> オイちょっと待てよ。展開がいくらなんでも早すぎやしないか?コイツと話したのはゴールデンウイークの終わった始めの日で……<br> そもそも態度が違いすぎる。初期のコイツは何にしても突っ張り返す奴だったはずなのだが……<br> 「いいじゃない。あたしはいい名前だと思うわよ?キョンって名前は」<br> ……完璧にタイムループって訳じゃ無さそうだ。いや、居るはずのないクラスメイトが居る時点でおかしいのだが。<br> </div> <br> <div>「……まぁいい。よろしくなハルヒ」<br> 「あらいきなり呼び捨て?ずいぶんと馴れ馴れしい奴なのね」<br> しまった。いつもの癖で……なんとか誤魔化さなければ。<br> 「……まぁハルヒって名前もなかなかいい名前じゃないか。それでつい、な。不愉快なら訂正する。涼宮――」<br> 「いえ、いいわ!ハルヒでいいわよ。むしろ、そう呼びなさい!」<br> やれやれだ。ごまかしきったが、むしろそう呼びなさいだなんて訳が分からないのは今のハルヒと一緒だな。<br> ……今から見れば未来の、か。<br> 「フフン、よろしくねっキョンっ!」<br> 彼女は100Wの笑顔でそう言った。<br></div> <br> <div> さて、こういう件に関して一番信用出来るのが同じクラスに居ることについては、<br> ハルヒには感謝せねばならんだろう。……胸一杯の皮肉を込めた感謝をお前にやろう。<br> 「長門有希……だよな?」<br> ――しかし、俺はすぐにハルヒに対する思いを、仮にも感謝の気持ちから、わかりやすい怨念の感情に変えた……<br> 長門有希が微笑んで肯定するんだぜ?これを見て恨み以外の感情をどう持とうか。<br> いや、まだ諦めてはいけない。俺の助け舟はこの長門しか居ないのだから。<br> 「お前は俺を知っているか?」<br> そして長門は顔を赤らめ、首を縦に振り肯定する。そして初めて口を開いた。<br> 「ずっと……探していた」<br> 「何故だ?」<br> 「あなたはわたしに……親切にしてくれた人。ずっと……探していた」<br> 安心していいものか、とりあえず俺と長門は今から三年前に会っているみたいだな。だが……<br> 「もしかしたらお前は宇宙人か?」<br> ここで一切わかりません的な顔で顔を傾げられてはもう既に絶望的だ。<br> さらば、俺の今までの生活。初めまして未来人の俺。<br> 未来人なのだからTPDDは出来るのだろうか?でも概念がわからないから使えないか……<br> </div> <br> <div> 長門に軽く挨拶を終え、正真正銘の未来人に聞いてみよう。ついでに鶴屋さんにも話だけはつけておいた方がいいか。<br> 「こんにちわ。朝比奈さんと鶴屋さんですよね?」<br> 「ふぇ? えっ……あの……その……」<br> 「あっはっは! みくる照れすぎだよ! コンチワ!そうだよ!あたしが鶴にゃんで、この顔真っ赤にしている子がみくる!<br> これから仲良くしてくれよっ!えぇっとぉ~キミ!名前はなんていうだっけ?」<br> 「あ、あぁ……名前は」<br> 「あの~、キョンくん……ですよね?」<br> 「いえ、だからそれはあだ名……」<br> 「キョンくんっていうのかい? あっはっは!面白い名前だねぇ! 鶴にゃんは気に入ったにょろ!<br> よろしくねっキョンくん!あたしのことは鶴にゃんって呼んでくれてかまわないからねっ!」<br> </div> <br> <div> 「はぁ……わかりました鶴屋さん。よろしくお願いします」<br> 「おろっ?ちょっと同い年なのに敬語だなんてキミってお堅い人なのかなあ?」<br> やはりどうも慣れというものはそう簡単には取れないものだろう。<br> というか、やはり年上の感じが取れないので、どうもタメ語は無理だな。<br> 「いえ、ですが、なんか大人の雰囲気というか……そう。お姉さんみたいな感じがするので」<br> 「お姉ちゃんだなんて、鶴にゃん照れちゃうにょろ~……まぁいいっさ!好きなように呼ぶがいいよ!」<br> 「ありがとうございます鶴屋さん。それで……朝比奈さん、少しつきあってもらっていいですか?」<br> 「ふぇっ!? いきなり付き合うだなんてそんな……」<br> 「キョンく~ん? みくるはあたしの娘だよっ!そう簡単には渡さないよっ!その代わり、あたしなら付き合ってあげるから!」<br> </div> <br> <div> 何を勘違いしているんだこの人達……というか鶴屋さんの爆弾発言が聞こえた気がするが気のせいか……<br> そうとしか考えられんね。というか、さっさと確認をしたいのだが……<br> 「違いますって。少し、お時間をいただけないかということです。少し気になることがありまして……」<br> 「なんだい違うのかい。まぁしょうがないっさっ。みくる行ってきな!ただしすぐ戻るんだよっ!」<br> よし、鶴屋さんから隔離成功だ。さすがに鶴屋さんに未来人がどうだのという会話を聞かれたら、<br> 弁明に苦労するだろう。素晴らしい勘の持ち主であるあの人はそうそう納得させることが出来ないだろうからな。<br> 「あっ、あの~話というのは……」<br> 「……いきなりで申し訳ありませんが……」<br> 朝比奈さんが息を飲む音がこくっと聞こえた。何をそんなに緊張を?<br> </div> <br> <div> 朝比奈さんが息を飲む音がこくっと聞こえた。何をそんなに緊張を?<br> 「あなたにはTPDDという単語に聞き覚えがありますか?」<br> 俺の言葉を聞いた朝比奈さんはハァっとため息を安緒と不満の顔で吐き出し、そして疑問の顔へと変化させた。<br> 「TPDD……なんですかそれ?」<br> 「時空移動の呼称の一種だと思うのですが……」<br> 「うーん……ゴメンナサイ。わたしにはわかりませんねぇ」<br> 「……そうですか……スイマセンいきなり初対面なのに連れ出して」<br> 「いいえ大丈夫です! それに……」<br> 「それに、なんですか?」<br> 「ふぇっ!? な、なんでも無いですよっ!じゃ、じゃあ戻りましょうか!」<br> 「はぁ……」<br> 「あっ、それと!」<br> 彼女はいつか見せた笑顔で続けた。<br> 「わたしのことはどうぞみくるちゃんとお呼びください!」<br> やれやれ。変なところは忠実に再現されているな……変なところとは朝比奈さんに失礼だが。<br> </div> <br> <div>「ちょっとあなた達! 遅いわよ?」<br> 扉を開けるとすぐに朝倉の檄がとんだ。<br> 「みんなはもう席に着いているのに!」<br> 残る懸案事項のうちの一つとしてコイツの存在についてがまずある。<br> 誰かの手によって改変されたであろうこの世界で、長門が普通の女子高生となり、<br> 朝比奈さんも同じようになっており、且つ何故か俺らと同じクラスになっている。<br> そうなると、この朝倉も長門同様、普通でしがない女子高生となっているのだろうか。<br> だがそうでなかったらどうする?二度あることは三度ありと決めつけた野郎を叩きのめしてやるしかない。<br> まぁその事は叶わずして廃れていくのだろう。なにせ頼りの長門が一般人だ。<br> 襲われたら俺は素直にその運命を受け入れるしかなくなるのだから。<br> 「ちょっとキョンくんっ! 聞いているの!」<br> まずは様子見だ。全ての現状がわかっていない以上、なんの対策をとることもできない。<br> </div> <br> <div> 少なくとも、今の俺は落ち着いている。判断を間違うようなことはしない筈だ。……そう願わんと。<br> 「キョンくんには今日の放課後、事務の手伝いをしてもらいます!」<br> ……いきなり呼び出しって……初っぱなからターニングポイントかよ……初日からそれはないぜ。ここの判断が重要だ。<br> COOLだ、COOLになるんだキョン。って俺がキョンって呼んでどうする?全然冷静になりきれていない。<br> 「それじゃああたしも手伝うわよ!」<br> 「それじゃああたしも手伝おうかねっ!」<br> 「……手伝う」<br> 「わ、わたしも~」<br> 正直予期できない展開ではあるが、これは助かった。他の三名はどうだかわからないのだが、<br> 少なくともハルヒがいるなら安心して朝倉といれる。この世界でハルヒの能力があると仮定したうえでの話だが……<br> 「う~んそうねぇ……まぁいいわよ。沢山人数いたほうがすぐ終わるわよね」<br> </div> <br> <div> 今日は入学式だけあって俺の頭をさらに悩ませる授業も無く、無事放課後になった。<br> これから無事でいられるかは定かではないが、願わくば朝倉が普通の人間で居るように望みつつ、<br> 俺は現在ハルヒ、長門、朝比奈さん、鶴屋さん、朝倉となんともいえない空気の中事務の仕事をこなしている。<br> しかし、この無音世界はなんなのかね。ハルヒは朝倉を時折睨みつけるようにしながら作業をこなし、<br> 長門も同様に朝倉を睨んでは俺に微笑みかけ、朝比奈さんは俺の方にたまに顔を向けては赤らんで、<br> 鶴屋さんに至っては俺の方をずっと向きながら作業をしている。……鶴屋さんあなた器用な人ですね。<br> </div> <br> <div> 「な、なぁ?ハルヒとか長門だとか朝比奈さんや鶴屋さんはどうして手伝ってくれているんですか?」<br> 思わず敬語になってしまうこの空気。俺は以前にこのような空気を味わったことはないぞ。かつてないほど空気だ。<br> 「それはっ、ねぇ? あんたなんか不器用そうじゃない?だからよ! ねぇみくるちゃん?」<br> 「ふぇ!?あっ……そう、ですねぇ……ねぇ鶴屋さん?」<br> 「みくる~それはちょびっと無茶ブリってやつだよ……ねぇ、有希っこ!?」<br> 「……そう。……涼子も……ね?」<br> 「わたしは別に彼と二人でも十分だったわよ? ねっ!キョンくん?」<br> 「そ、そうかもな……あは、あはははは……」<br> 夕暮れ時の教室に俺の乾いた笑い声がこだました。……なぁ?これはどういう冗談なのか誰か教えてくれ……<br> というか、お前らいつ仲良くなったんだよ……<br> ――この時改めて女性の怖さというもの理解した気がした。――<br> </div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1084.html"><font color= "#666666">第二章</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->

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