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きみろりさん - (2007/09/15 (土) 12:57:25) の1つ前との変更点

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<p> 会長「暦の上ではとっくに秋だというのに、今朝もまた変に暑いな。昨晩の雨のせいで、空気もやたらベタベタしているし。まったく、これからあの坂を上って登校しなけりゃならんと思うと、心底うんざりする」<br> ??「かいちょー」<br> 会長「いっそ強権を発動して、生徒会室にだけでもエアコンを設置してやろうか…?」<br> ??「かいちょー」<br> 会長「しかし、あからさまな使い込みをしてもすぐにバレるしな。古泉にねちねち小言を言われるのも癪に障るし。ううむ…」<br> ??「かいちょーってば!」<br> <br> 会長「うおっ、足元から声が!?<br>     って、女の子か。どうしたお嬢ちゃん、迷子にでもなったかね?」<br> ??「ちがいまちゅ、かいちょー! わたしでちゅ、わたぁし!」</p> <p>会長「わたしと言われてもな。あいにく俺に幼稚園児の知り合いなどは…」<br> ??「もう、これならわかりまちゅか? えいっ!チュッ」<br> 会長「き、キミっ、いきなり何を…むっ!? この味、この唇の感触…。まさか、キミは喜緑くんか!?」</p> <p>㌔㍉「よーやくわかってくれまちたか、かいちょー」<br> 会長「しかし、どうしてそんな幼稚園児のような姿に…?」<br> ㌔㍉「わかりまちぇん、あさおきたらこーなってまちた。</p> <p>    じょーほーとーごーしねんたいともこんたくとできないでちゅし…。かいちょー、わたしこれからどーちたらいーんでしょーか?」<br> 会長「いや、俺にそう訊かれてもなあ」</p> <p><br> 近所の奥様方「ちょっとアレ…白昼堂々変質者じゃ…( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )」</p> <p> </p> <hr> <p> </p> <p>会長「ワケが分からんが、とにかく状況を整理しよう。わざわざ俺を訪ねてきたという事は、例の情報操作能力とやらも使えなくなっているんだな?」<br> ㌔㍉「ええ、おさっしのとーりでちゅ」<br> 会長「同じマンションの長門くん、彼女の助力は仰げないのか」<br> ㌔㍉「いちおーへやはたずねてみまちたけど、けさはもうがっこーにむかってしまったあとみたいで」<br> 会長「携帯で連絡を取れば良かろう」<br> ㌔㍉「それが…わたしたちはそのきになれば、けーたいでんわをかいさなくてもかいわができるので、ながとさんのばんごーはとーろくちてなかったんでちゅ」<br> 会長「で、いざ情報操作が出来なくなったら困り果ててしまった訳か。まるで停電時のオール電化の家のような有様だな」<br> ㌔㍉「すみません、いまのわたしはほんとーにやくたたずで…」</p> <p><br> 会長「………デコピン」<br> ㌔㍉「あいたっ!」<br> 会長「くだらない事をぬかすな。お前が情報操作だの何だのの宇宙人パワーを持っていたから、だから俺はお前と付き合っていたとでも思っているのか」<br> ㌔㍉「か、かいちょー?」<br> 会長「たとえ見た目が幼稚園児でも、お前は確かに喜緑江美里なのだろう。ならばそれだけで、俺にはお前を助ける理由足りえる。<br>     分かったな。つまらん卑下など口にしている暇があったら、お前も現状打破のために、もっと建設的な対処法を考えてみせろ」<br> ㌔㍉「………おおせのとーり、どりょくしまちゅ。それと、かいちょー」<br> 会長「ん、何だ?」<br> ㌔㍉「いまのかいちょーのおことば、とってもうれちかったでちゅよ。チュッ」<br> 会長「…のん気にじゃれ合っている場合ではないだろうに」<br> ㌔㍉「うふふ、たよりにちてますからね☆」</p> <p><br> 近所の奥様方「本物、本物よアレは! 警察呼びましょう警察…( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )」</p> <p> </p> <hr> <p> </p> <p>会長「ともかく、その容姿では学校にも行けまい。急病とでも連絡しておくべきだな」<br> ㌔㍉「はい、でも…」<br> 会長「どうした、北高の番号も登録していないのか?」<br> ㌔㍉「いえ、そーじゃなくて。いまのわたしのこえでは、きっとれんらくちても、きみどりえみりほんにんだとりかいちてもらえないんじゃないかと」<br> 会長「むう、確かに。子供のイタズラと思われるのがオチか」<br> ㌔㍉「わたし、ひとりぐらしでちゅし…じょーほーそーさにたよってまちたから、おとなのしりあいもとくにいまちぇん。どうしまちょう」</p> <p><br> 会長「………ピッポッパッ」<br> ㌔㍉「かいちょー?」<br> 会長「先生ですか。ええ、私です。朝方から突然のお電話申し訳ありません。<br>     実は隣のクラスの喜緑くん、はい生徒会書記の彼女ですが、急な発熱を患ったとの事なので担任の先生にその旨ご連絡を願います」<br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「そうです、本人は電話に出るのもつらい様子ですので。…なぜ私がその状況を知っているのか、ですって? ハッ、これはまた教師とも思えない愚昧な質問を。我々が互いに信頼を寄せ合う間柄だから、に決まっているでしょう」<br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「時間も有りませんので、込み入った話はまた後ほど。では。ピッ」</p> <p><br> ㌔㍉「だめじゃないでちゅか、かいちょー。せんせーにあんなくちのききかたをちて」<br> 会長「こういう場合は、こちらのペースで強引に話を押し進めるに限る。無理が通れば道理が引っ込むという奴だ」<br> ㌔㍉「でもあれではきっと、せんせーはわたしたちのことを…ないしんてんにひびきまちゅよ?」<br> 会長「まったく、困った事だ。だが物事には優先順位という物がある。いま第一に考えるべきは内申点では無いのだから、この損失も致し方あるまい。<br>     まあキミの姿と力が元に戻ったなら、せいぜいフォローでもしておいて貰おう」<br> ㌔㍉「………かいちょーったら。ギュッ」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「どうあれ、連絡は済んだ。今日一日は大手を振って休むがいい。では、家まで送って行こう」<br> ㌔㍉「そんな、ひとりでだいじょうぶでちゅよ」<br> 会長「馬鹿を言え。服も靴もぶかぶかだし、とても大丈夫そうには見えん」<br> ㌔㍉「でも、いまからわたしをマンションまでおくっていったら、かいちょーがちこくしちゃいま…」<br> 会長「お前のペースで一緒に歩いていったなら、確かに遅刻するだろうな。だったら、こうすればいいだけの話だ。ヒョイ」<br> ㌔㍉「きゃっ!?」<br> 会長「少し揺れるが、我慢しろよ」<br> ㌔㍉「は、はい。あっ、でもかいちょー…」<br> 会長「何だ?」<br> ㌔㍉「どうせならかたにかつぐより、おひめさまだっこでおねがいしまちゅ。ポッ」<br> 会長「だから、じゃれ合っている場合ではないというのに…。仕様のない奴だな、行くぞ」<br> ㌔㍉「うふふ、えみりはしあわせものでちゅ☆」</p> <p><br> 近所の奥様方「ああっ、ついに実力行使に!? 幼女をさらって逃げたわ! 警察はまだなの警察は!( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「よし、マンションが見えてきたな」<br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「どうした、喜緑くん。具合でも悪いのか?」<br> ㌔㍉「そうじゃありまちぇん。ただ、かいちょーが…」<br> 会長「俺が?」<br> ㌔㍉「かいちょーが、このままわたしをどこかへさらってくれたらいいのにとおもって」<br> <br> 会長「まさか、本当に熱を出したんじゃあるまいな。まるで風邪を引いた子供のような事を言う」<br> ㌔㍉「ぷぅ。わるかったでちゅね、どーせいまのわたしはこどもでちゅよっ」<br> 会長「拗ねるなよ。お前もいろいろと不安なのだろうが、今はおとなしく待っている事だ。放課後になったらプリンでも買って来てやるから」<br> ㌔㍉「…ふあんなんてありまちぇん。だってはくばのおーじさまが、きっとわたしをもとのすがたにもどちてくれまちゅもの。チュッ」<br> 会長「喜緑くん?」<br> ㌔㍉「うふふ、いまのはいってらっちゃいのきすでちゅ。ここからはもうわたしひとりでだいじょーぶでちゅから、かいちょーはどうぞがっこーへ…」<br> ??「ぬわーっ! き、き、貴様ーっ!」</p> <p><br> 会長「なんだ? 警官が俺たちに一体何の用…」<br> 警官「貴様だなッ、通報にあった幼女誘拐犯というのは!? 真っ昼間っから幼気なおにゃのことチッスなんぞしやがって、許さんっ! 許さんぞ貴様! っていうか俺と代わりやがれ!スチャッ」<br> 会長「なっ、いきなり銃を!?」<br> ㌔㍉「きゃ!?」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 警官「ぐへへ、もう安心だよそこのぷりちーお嬢ちゃん! いまこのカッコいい口谷巡査が助けてあげまちゅからねぇー! <br>     そのあと派出所でケガが無いかじっくり取り調べ…いや、いっそ家までお持ち帰りぃ!」<br> ㌔㍉「ひゃああああ!」<br> 会長「ふざけるなこのペド野郎!ゲシッ」<br> 口谷「ほげえー!?」<br> 会長「喜緑くんが怯えているだろうがっ! まったく、こんな奴が警官とは世も末だ」<br> ㌔㍉「まもってくださってありがとーございまちゅ、かいちょー。でも…」<br> 会長「ん?」<br> ㌔㍉「だいじょーぶでちょーか、このひと。しろめむいちゃってまちゅけど」<br> 会長「うーむ、つい本気で顔面にシャイニング・ケンカキックを叩き込んでしまったからな。まあそれは自業自得だから同情の余地なしとして、そういえばこの警官、さっき誘拐犯がどうのこうの言っていたようだが…?」</p> <p>??「もう、口谷ったらどこ行っちゃったのかな。30年間ナンパ成功率0%だからって、歪んだ方向に先走ってなきゃいいんだけど…あっ!?」<br> 会長「むっ、言ってるそばから警官がもう一人」</p> <p><br> 警官2「く、口谷!? 大変だ、こちら田木国巡査部長、口谷巡査が道端でのびています! 至急応援の手配を…」<br> ㌔㍉「かいちょー、なんだかまずいふんいきじゃありまちぇん?」<br> 会長「そのようだな。とにかく、逃げるぞ!ダッ」<br> 田木国「あっ、待ちなさいそこの学生、こらーっ!」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「タッタッタッふう、どうにかあの警官は撒いたようだが」<br> ㌔㍉「じょーきょーからさっするに、かいちょーがゆうかいはんにんだとかんちがいされているよーでちゅね」<br> 会長「ふざけるな、俺のどこを見れば誘拐犯だなどと――」</p> <p><br> ㌔㍉「………たしかかいちょーは、みるからにあくやくっぽいかおつきなので、すずみやはるひのかたきやくにばってきされたのでは」<br> 会長「あー、もういい分かった! それ以上言うな!」<br> ㌔㍉「なかないでくだちゃい、かいちょー。えみりがついてまちゅ」<br> 会長「泣いてなどいない!」<br> ㌔㍉「それはさておき、いまのわたしはみもとふしょーでちゅから、もしつかまったらかいちょーはものすごくふりでちゅよ」<br> 会長「なりゆきとはいえ、先程の変態警官もぶっ飛ばしてしまったしな。弁解の余地なしか。しかし、これからどこへ向かえば…」<br> 警官3「あっ、いたぞー!」<br> 会長「ぬわっ、また別の警官が!?」<br> ㌔㍉「じんかいせんじゅつはけーさつのとくいわざでちゅものね」<br> 会長「冷静に解説してる場合か! 逃げるぞ、しっかり掴まってろ!ダダッ」</p> <p><br> 会長「はあっ、はあっ…さすがに息が切れてきた…」<br> ㌔㍉「こーこーせーのくせに、たばこなんてすってるからでちゅよ。かいちょーはふだんからもっとせっせいするべきなんでちゅ」<br> 会長「誰のせいでこんな苦労をしていると思っとるんだキミは!?」<br> ㌔㍉「あっ、むこうからもおまわりさんが」<br> 会長「ええい、しつこい連中め! 少しは休ませろ!タッタッタッ」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「ぐうっ、ダメだ…やはりこれ以上は、体力の限界が…。しかしバスやタクシーを使おうにも、子供連れではいかにも目立つし…どうしたものか…」<br> ㌔㍉「………ごめんなさい、かいちょー」<br> 会長「ああ?」<br> ㌔㍉「わたしのせいでごめいわくをおかけちて。もうじゅうぶんでちゅ。わたしをおいてにげてくだちゃい。かいちょーおひとりなら、もしかちてにげきれるかも…あいたっ!」</p> <p><br> 会長「それ以上ほざいたら怒るぞ、馬鹿者め」<br> ㌔㍉「か、かいちょー?」<br> 会長「さっき『俺を頼りにしている』と言っただろう。アレは嘘か?」<br> ㌔㍉「うそじゃありまちぇん! ありまちぇんけど、でも…」<br> 会長「何にせよ、お前を助けると決めたのは俺自身だ。ここで今さら尻をまくれば、たとえ逃げおおせたとて、俺は俺自身に失望する。<br>     そんなのは御免だ。たとえどれほど馬鹿な選択だろうと、俺は俺の決断に責任を取る。お前も俺を頼ったなら、最後まで俺についてこい。いいな」<br> ㌔㍉「………はい。えみりはすべてをかいちょーにおまかせしまちゅ。チュッ」<br> 会長「じゃれ合っている場合ではないと何度言えば分かるんだお前は」<br> ㌔㍉「うふふ、いまのはちかいのきっすでちゅ☆ …ハッ」</p> <p><br> 警官4「そっちの様子はどうだー!ドカドカドカ」<br> 警官5「まだ見つかりません!」<br> 会長「くそっ、もう追っ手が来たか。ここは隠れてやり過ごすしかないな…」<br> ㌔㍉「ドキドキドキ」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 警官4「早く探し出すんだ! 犯人は見るからに冷酷非道な、悪魔のような目付きの男だと言うぞ! さらった幼女にどんな残虐な真似をしでかすかもしれん!」<br> 警官5「分かりました! 全力で捜索します!」<br> 警官4「ああ、だが奴は凶器を隠し持っている可能性もある。仮に発見しても犯人を刺激しないよう、慎重にな!」<br> 警官5「了解です!タッタッタッ」</p> <p><br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「…………」<br> ㌔㍉「なんだか、じょーきょーがどんどんわるくなっているみたいでちゅ」<br> 会長「ああ、そのようだ」<br> ㌔㍉「なかないでくだちゃいね、かいちょー。えみりがついてまちゅから」<br> 会長「だから泣いてなどいないと言ってるだろうが!」</p> <p><br> 警官6「こっちで声がしたぞー!」<br> 会長「しまった!?」<br> <br> <br> <br> ㌔㍉「さらにまだまだつづく、みたいでちゅ」</p>
<p> 会長「暦の上ではとっくに秋だというのに、今朝もまた変に暑いな。昨晩の雨のせいで、空気もやたらベタベタしているし。まったく、これからあの坂を上って登校しなけりゃならんと思うと、心底うんざりする」<br> ??「かいちょー」<br> 会長「いっそ強権を発動して、生徒会室にだけでもエアコンを設置してやろうか…?」<br> ??「かいちょー」<br> 会長「しかし、あからさまな使い込みをしてもすぐにバレるしな。古泉にねちねち小言を言われるのも癪に障るし。ううむ…」<br> ??「かいちょーってば!」<br> <br> 会長「うおっ、足元から声が!?<br>     って、女の子か。どうしたお嬢ちゃん、迷子にでもなったかね?」<br> ??「ちがいまちゅ、かいちょー! わたしでちゅ、わたぁし!」</p> <p>会長「わたしと言われてもな。あいにく俺に幼稚園児の知り合いなどは…」<br> ??「もう、これならわかりまちゅか? えいっ!チュッ」<br> 会長「き、キミっ、いきなり何を…むっ!? この味、この唇の感触…。まさか、キミは喜緑くんか!?」</p> <p>㌔㍉「よーやくわかってくれまちたか、かいちょー」<br> 会長「しかし、どうしてそんな幼稚園児のような姿に…?」<br> ㌔㍉「わかりまちぇん、あさおきたらこーなってまちた。</p> <p>    じょーほーとーごーしねんたいともこんたくとできないでちゅし…。かいちょー、わたしこれからどーちたらいーんでしょーか?」<br> 会長「いや、俺にそう訊かれてもなあ」</p> <p><br> 近所の奥様方「ちょっとアレ…白昼堂々変質者じゃ…( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )」</p> <p> </p> <hr> <p> </p> <p>会長「ワケが分からんが、とにかく状況を整理しよう。わざわざ俺を訪ねてきたという事は、例の情報操作能力とやらも使えなくなっているんだな?」<br> ㌔㍉「ええ、おさっしのとーりでちゅ」<br> 会長「同じマンションの長門くん、彼女の助力は仰げないのか」<br> ㌔㍉「いちおーへやはたずねてみまちたけど、けさはもうがっこーにむかってしまったあとみたいで」<br> 会長「携帯で連絡を取れば良かろう」<br> ㌔㍉「それが…わたしたちはそのきになれば、けーたいでんわをかいさなくてもかいわができるので、ながとさんのばんごーはとーろくちてなかったんでちゅ」<br> 会長「で、いざ情報操作が出来なくなったら困り果ててしまった訳か。まるで停電時のオール電化の家のような有様だな」<br> ㌔㍉「すみません、いまのわたしはほんとーにやくたたずで…」</p> <p><br> 会長「………デコピン」<br> ㌔㍉「あいたっ!」<br> 会長「くだらない事をぬかすな。お前が情報操作だの何だのの宇宙人パワーを持っていたから、だから俺はお前と付き合っていたとでも思っているのか」<br> ㌔㍉「か、かいちょー?」<br> 会長「たとえ見た目が幼稚園児でも、お前は確かに喜緑江美里なのだろう。ならばそれだけで、俺にはお前を助ける理由足りえる。<br>     分かったな。つまらん卑下など口にしている暇があったら、お前も現状打破のために、もっと建設的な対処法を考えてみせろ」<br> ㌔㍉「………おおせのとーり、どりょくしまちゅ。それと、かいちょー」<br> 会長「ん、何だ?」<br> ㌔㍉「いまのかいちょーのおことば、とってもうれちかったでちゅよ。チュッ」<br> 会長「…のん気にじゃれ合っている場合ではないだろうに」<br> ㌔㍉「うふふ、たよりにちてますからね☆」</p> <p><br> 近所の奥様方「本物、本物よアレは! 警察呼びましょう警察…( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )」</p> <p> </p> <hr> <p> </p> <p>会長「ともかく、その容姿では学校にも行けまい。急病とでも連絡しておくべきだな」<br> ㌔㍉「はい、でも…」<br> 会長「どうした、北高の番号も登録していないのか?」<br> ㌔㍉「いえ、そーじゃなくて。いまのわたしのこえでは、きっとれんらくちても、きみどりえみりほんにんだとりかいちてもらえないんじゃないかと」<br> 会長「むう、確かに。子供のイタズラと思われるのがオチか」<br> ㌔㍉「わたし、ひとりぐらしでちゅし…じょーほーそーさにたよってまちたから、おとなのしりあいもとくにいまちぇん。どうしまちょう」</p> <p><br> 会長「………ピッポッパッ」<br> ㌔㍉「かいちょー?」<br> 会長「先生ですか。ええ、私です。朝方から突然のお電話申し訳ありません。<br>     実は隣のクラスの喜緑くん、はい生徒会書記の彼女ですが、急な発熱を患ったとの事なので担任の先生にその旨ご連絡を願います」<br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「そうです、本人は電話に出るのもつらい様子ですので。…なぜ私がその状況を知っているのか、ですって? ハッ、これはまた教師とも思えない愚昧な質問を。我々が互いに信頼を寄せ合う間柄だから、に決まっているでしょう」<br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「時間も有りませんので、込み入った話はまた後ほど。では。ピッ」</p> <p><br> ㌔㍉「だめじゃないでちゅか、かいちょー。せんせーにあんなくちのききかたをちて」<br> 会長「こういう場合は、こちらのペースで強引に話を押し進めるに限る。無理が通れば道理が引っ込むという奴だ」<br> ㌔㍉「でもあれではきっと、せんせーはわたしたちのことを…ないしんてんにひびきまちゅよ?」<br> 会長「まったく、困った事だ。だが物事には優先順位という物がある。いま第一に考えるべきは内申点では無いのだから、この損失も致し方あるまい。<br>     まあキミの姿と力が元に戻ったなら、せいぜいフォローでもしておいて貰おう」<br> ㌔㍉「………かいちょーったら。ギュッ」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「どうあれ、連絡は済んだ。今日一日は大手を振って休むがいい。では、家まで送って行こう」<br> ㌔㍉「そんな、ひとりでだいじょうぶでちゅよ」<br> 会長「馬鹿を言え。服も靴もぶかぶかだし、とても大丈夫そうには見えん」<br> ㌔㍉「でも、いまからわたしをマンションまでおくっていったら、かいちょーがちこくしちゃいま…」<br> 会長「お前のペースで一緒に歩いていったなら、確かに遅刻するだろうな。だったら、こうすればいいだけの話だ。ヒョイ」<br> ㌔㍉「きゃっ!?」<br> 会長「少し揺れるが、我慢しろよ」<br> ㌔㍉「は、はい。あっ、でもかいちょー…」<br> 会長「何だ?」<br> ㌔㍉「どうせならかたにかつぐより、おひめさまだっこでおねがいしまちゅ。ポッ」<br> 会長「だから、じゃれ合っている場合ではないというのに…。仕様のない奴だな、行くぞ」<br> ㌔㍉「うふふ、えみりはしあわせものでちゅ☆」</p> <p><br> 近所の奥様方「ああっ、ついに実力行使に!? 幼女をさらって逃げたわ! 警察はまだなの警察は!( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「よし、マンションが見えてきたな」<br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「どうした、喜緑くん。具合でも悪いのか?」<br> ㌔㍉「そうじゃありまちぇん。ただ、かいちょーが…」<br> 会長「俺が?」<br> ㌔㍉「かいちょーが、このままわたしをどこかへさらってくれたらいいのにとおもって」<br> <br> 会長「まさか、本当に熱を出したんじゃあるまいな。まるで風邪を引いた子供のような事を言う」<br> ㌔㍉「ぷぅ。わるかったでちゅね、どーせいまのわたしはこどもでちゅよっ」<br> 会長「拗ねるなよ。お前もいろいろと不安なのだろうが、今はおとなしく待っている事だ。放課後になったらプリンでも買って来てやるから」<br> ㌔㍉「…ふあんなんてありまちぇん。だってはくばのおーじさまが、きっとわたしをもとのすがたにもどちてくれまちゅもの。チュッ」<br> 会長「喜緑くん?」<br> ㌔㍉「うふふ、いまのはいってらっちゃいのきすでちゅ。ここからはもうわたしひとりでだいじょーぶでちゅから、かいちょーはどうぞがっこーへ…」<br> ??「ぬわーっ! き、き、貴様ーっ!」</p> <p><br> 会長「なんだ? 警官が俺たちに一体何の用…」<br> 警官「貴様だなッ、通報にあった幼女誘拐犯というのは!? 真っ昼間っから幼気なおにゃのことチッスなんぞしやがって、許さんっ! 許さんぞ貴様! っていうか俺と代わりやがれ!スチャッ」<br> 会長「なっ、いきなり銃を!?」<br> ㌔㍉「きゃ!?」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 警官「ぐへへ、もう安心だよそこのぷりちーお嬢ちゃん! いまこのカッコいい口谷巡査が助けてあげまちゅからねぇー! <br>     そのあと派出所でケガが無いかじっくり取り調べ…いや、いっそ家までお持ち帰りぃ!」<br> ㌔㍉「ひゃああああ!」<br> 会長「ふざけるなこのペド野郎!ゲシッ」<br> 口谷「ほげえー!?」<br> 会長「喜緑くんが怯えているだろうがっ! まったく、こんな奴が警官とは世も末だ」<br> ㌔㍉「まもってくださってありがとーございまちゅ、かいちょー。でも…」<br> 会長「ん?」<br> ㌔㍉「だいじょーぶでちょーか、このひと。しろめむいちゃってまちゅけど」<br> 会長「うーむ、つい本気で顔面にシャイニング・ケンカキックを叩き込んでしまったからな。まあそれは自業自得だから同情の余地なしとして、そういえばこの警官、さっき誘拐犯がどうのこうの言っていたようだが…?」</p> <p>??「もう、口谷ったらどこ行っちゃったのかな。30年間ナンパ成功率0%だからって、歪んだ方向に先走ってなきゃいいんだけど…あっ!?」<br> 会長「むっ、言ってるそばから警官がもう一人」</p> <p><br> 警官2「く、口谷!? 大変だ、こちら田木国巡査部長、口谷巡査が道端でのびています! 至急応援の手配を…」<br> ㌔㍉「かいちょー、なんだかまずいふんいきじゃありまちぇん?」<br> 会長「そのようだな。とにかく、逃げるぞ!ダッ」<br> 田木国「あっ、待ちなさいそこの学生、こらーっ!」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「タッタッタッふう、どうにかあの警官は撒いたようだが」<br> ㌔㍉「じょーきょーからさっするに、かいちょーがゆうかいはんにんだとかんちがいされているよーでちゅね」<br> 会長「ふざけるな、俺のどこを見れば誘拐犯だなどと――」</p> <p><br> ㌔㍉「………たしかかいちょーは、みるからにあくやくっぽいかおつきなので、すずみやはるひのかたきやくにばってきされたのでは」<br> 会長「あー、もういい分かった! それ以上言うな!」<br> ㌔㍉「なかないでくだちゃい、かいちょー。えみりがついてまちゅ」<br> 会長「泣いてなどいない!」<br> ㌔㍉「それはさておき、いまのわたしはみもとふしょーでちゅから、もしつかまったらかいちょーはものすごくふりでちゅよ」<br> 会長「なりゆきとはいえ、先程の変態警官もぶっ飛ばしてしまったしな。弁解の余地なしか。しかし、これからどこへ向かえば…」<br> 警官3「あっ、いたぞー!」<br> 会長「ぬわっ、また別の警官が!?」<br> ㌔㍉「じんかいせんじゅつはけーさつのとくいわざでちゅものね」<br> 会長「冷静に解説してる場合か! 逃げるぞ、しっかり掴まってろ!ダダッ」</p> <p><br> 会長「はあっ、はあっ…さすがに息が切れてきた…」<br> ㌔㍉「こーこーせーのくせに、たばこなんてすってるからでちゅよ。かいちょーはふだんからもっとせっせいするべきなんでちゅ」<br> 会長「誰のせいでこんな苦労をしていると思っとるんだキミは!?」<br> ㌔㍉「あっ、むこうからもおまわりさんが」<br> 会長「ええい、しつこい連中め! 少しは休ませろ!タッタッタッ」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 会長「ぐうっ、ダメだ…やはりこれ以上は、体力の限界が…。しかしバスやタクシーを使おうにも、子供連れではいかにも目立つし…どうしたものか…」<br> ㌔㍉「………ごめんなさい、かいちょー」<br> 会長「ああ?」<br> ㌔㍉「わたしのせいでごめいわくをおかけちて。もうじゅうぶんでちゅ。わたしをおいてにげてくだちゃい。かいちょーおひとりなら、もしかちてにげきれるかも…あいたっ!」</p> <p><br> 会長「それ以上ほざいたら怒るぞ、馬鹿者め」<br> ㌔㍉「か、かいちょー?」<br> 会長「さっき『俺を頼りにしている』と言っただろう。アレは嘘か?」<br> ㌔㍉「うそじゃありまちぇん! ありまちぇんけど、でも…」<br> 会長「何にせよ、お前を助けると決めたのは俺自身だ。ここで今さら尻をまくれば、たとえ逃げおおせたとて、俺は俺自身に失望する。<br>     そんなのは御免だ。たとえどれほど馬鹿な選択だろうと、俺は俺の決断に責任を取る。お前も俺を頼ったなら、最後まで俺についてこい。いいな」<br> ㌔㍉「………はい。えみりはすべてをかいちょーにおまかせしまちゅ。チュッ」<br> 会長「じゃれ合っている場合ではないと何度言えば分かるんだお前は」<br> ㌔㍉「うふふ、いまのはちかいのきっすでちゅ☆ …ハッ」</p> <p><br> 警官4「そっちの様子はどうだー!ドカドカドカ」<br> 警官5「まだ見つかりません!」<br> 会長「くそっ、もう追っ手が来たか。ここは隠れてやり過ごすしかないな…」<br> ㌔㍉「ドキドキドキ」</p> <p> </p> <hr> <p><br> 警官4「早く探し出すんだ! 犯人は見るからに冷酷非道な、悪魔のような目付きの男だと言うぞ! さらった幼女にどんな残虐な真似をしでかすかもしれん!」<br> 警官5「分かりました! 全力で捜索します!」<br> 警官4「ああ、だが奴は凶器を隠し持っている可能性もある。仮に発見しても犯人を刺激しないよう、慎重にな!」<br> 警官5「了解です!タッタッタッ」</p> <p><br> ㌔㍉「…………」<br> 会長「…………」<br> ㌔㍉「なんだか、じょーきょーがどんどんわるくなっているみたいでちゅ」<br> 会長「ああ、そのようだ」<br> ㌔㍉「なかないでくだちゃいね、かいちょー。えみりがついてまちゅから」<br> 会長「だから泣いてなどいないと言ってるだろうが!」</p> <p><br> 警官6「こっちで声がしたぞー!」<br> 会長「しまった!?」</p> <hr> <p><br> ㌔㍉「あしおとがだんだんちかづいてきまちゅね…」<br> 会長「うむ、人数も増えてきたようだ。このまま物陰に隠れていても、埒が明かないか。といって、体力的に逃げきるのも難しい。<br>    すまないな、喜緑くん。さんざん偉そうな事を言ってきたが、これ以上は…」<br> ㌔㍉「てやっ!ポカン」<br> 会長「っ!?」<br> ㌔㍉「あやまらないでくだちゃい。わたしのために、かいちょーはいっしょーけんめーはしってくれまちた。そんなかいちょーは、うちゅーいちかっこよかったでちゅよ。<br>    かいちょーはさいごまで、きぜんとしたかいちょーでいてくだちゃい!ギュッ」<br> 会長「…そうか、そうだな。元より、俺は自分の行動になんら恥じる所は無い。捕まるなら捕まるで堂々と捕まってみせよう。ギュッ」<br> ㌔㍉「かいちょー…」</p> <p><br> 警官7「そっちの路地裏はどうだー?」<br> 警官8「見てきます!」<br> 会長「俺たちの逃避行も、どうやらここまでか」<br> ㌔㍉「………っ」<br> 警官7「どうだった?」<br> 警官8「いえ、誰もいませんでした!」<br> 警官7「じゃあ次は向こうだ。行くぞ!」<br> 警官8「はい!タッタッタッ」</p> <p><br> 会長「…どういう事だ、これは?」<br> ㌔㍉「いまのおまわりさん、わたしたちのめのまえをすどーりしちゃいまちたよ?」<br> ??「それは、わたしが不可視遮音フィールドを展開したため」</p> <p><br></p> <hr> <br> ㌔㍉「そのこえは…ながとさん!?」<br> 長門「間に合って良かった。スタッ」<br> 会長「キミか。だがどうしてここに…?」 <p><br> 長門「『機関』の諜報部が警察無線を傍受した。その幼児略取誘拐犯の被疑者が生徒会長に、連れ去られた幼児の容貌が喜緑江美里のそれに酷似していたため、古泉一樹経由でわたしに確認の連絡が入った」<br> ㌔㍉「それでここまできてくれたんでちゅね」<br> 長門「学校関係者には、既に情報操作を施してある。警察関連にも『機関』の手が回るはず」<br> 会長「そうか、何にせよ長門くん、キミのお陰で助かった。礼を言う」<br> 長門「構わない。あなたたちが逮捕されれば、おそらく涼宮ハルヒにも悪影響が出る。わたしはそれを防いだまでのこと。<br>    それに…この件に関しては将来的な意味で、わたしも他人事ではないから…」<br> 会長「………? どうも話が見えないが、ともかく今度こそ帰れそうだな。では行こうか、喜緑くん。ヒョイ」<br> ㌔㍉「はい、かいちょー。ギュッ」<br> 長門「…………」</p> <p><br></p> <hr> <p> </p> <p>㌔㍉「はいどーぞ、おれんじじゅーすでちゅ」<br> 会長「うむ、ありがとうゴクゴクッ。ふー、ようやく人心地がついた」<br> ㌔㍉「わたしをかかえたまま、えんえんおいかけまわされてまちたものね。ごくろーさまでちた」<br> 会長「まったく、何の因果で俺があんな目に」<br> 長門「………それは仕方の無いこと。あなたにも問題の一因があるのだから」</p> <p><br> 会長「なにっ、喜緑くんが縮んでしまった原因が俺にもあるだと?」<br> ㌔㍉「わたしのじょーほーそーさのーりょくをふーいんするくらいでちゅから、てっきりてんがいりょーいきか、てきせーそんざいがらみかとおもってまちたが?」<br> 会長「と言うより、長門くんは既にこの件の全容を理解しているようだな。だったら、まずは喜緑くんを元に戻してくれたまえ」<br> ㌔㍉「そうでちゅね。ながとさん、おねがいしまちゅ」<br> 長門「…それは出来ない」<br> 会長「なんだと?」<br> <br> 長門「正確に言えば、対処そのものは可能。しかし、あなたたちはその対処法を肯定しないと考えられる」<br> ㌔㍉「わたしがもとにもどることを、わたしたちがのぞまない?」<br> 長門「何故なら根本的な原因は、喜緑江美里に内在するから。そもそもあなたの外見、そして精神面までを若干退行させたのは、あなた自身の情報操作能力――」<br> <br> <br> <br> ㌔㍉「よーやくかきょーにはいってきた、みたいでちゅ」</p> <p>会長「つまり、まだまだ続くわけだな」</p>

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